国別報告書|CbCR
- Country-by-Country Reporting
- 2024.08.19
- ベトナムビジネス用語
Country-by-Country Reporting(国別報告書、CbCR)は、経済協力開発機構(OECD)が策定した「税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting, BEPS)行動計画」の一環として導入された制度です。この制度は、多国籍企業グループが、各国における税務当局に対して、グループ全体の利益、税金、従業員数、資産などの経済活動に関する情報を報告することを義務付けています。
■CbCRの目的
CbCRの目的は、多国籍企業が税金を回避するために利益を低税率国に移転する行為を防止し、税務当局が企業のグローバルな活動をより包括的に理解できるようにすることです。この報告書により、税務当局は、企業の利益や税負担がその経済活動と整合しているかどうかを評価し、不適切な利益移転のリスクを特定することができます。
■CbCRの主要な特徴
1.報告内容:
- 各国での収益: 各国での総収益(第三者および関連者との取引を含む)
- 税金: 各国で支払われた法人税の額
- 従業員数: 各国での従業員数
- 資産: 各国での有形資産の額
- 事業内容: 各国での主な事業活動
2.対象企業:
CbCRは、年間連結収益が750百万ユーロ(約1,000億円)を超える多国籍企業グループに適用されます。通常、グループ全体の最終親会社が本社国の税務当局に報告書を提出しますが、特定の条件下では、子会社が報告を行う必要があります。
3.提出先:
原則として、報告書は最終親会社が所在する国の税務当局に提出され、その後、国際的な自動情報交換制度に基づき、報告書が他国の税務当局に提供されます。ただし、最終親会社の所在国と子会社の所在国(例:ベトナム)との間で適切な情報交換協定がない場合、子会社が直接報告書を提出する義務が生じることがあります。
ベトナムでは、税務総局がこの基準を導入しており、収益がこの基準を超える企業グループに対しては、ベトナムの子会社もCbCRの報告義務が生じます。この基準は、OECDのBEPS行動計画に基づく国際的なガイドラインに準拠しており、ベトナムにおいても他国と同様のルールが適用されています。
そのため、ベトナムに子会社を持つ多国籍企業グループが、この基準を満たす場合には、ベトナムでのCbCR報告が必要となります。