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ベトナム法人税30%減額(2026・2027年度)|日系子会社は対象?親子合算・注意点を整理
速報 2026年10月31日 / CastGlobal Law Vietnam ベトナムで、売上100億VND(約38万USD)以下の企業の法人税を、2026・2027年度の2年間に限り30%減額する政府令が、2026年10月29日に施行されました。日系の100%子会社も対象になり得る一方、売上の数え方や見込み違いの際の追納など、実務上の注意点もあります。本稿では、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、制度の背景と要点、グループ会社の扱いを整理します。 本稿のポイント 売上100億VND以下の企業・組織は、2026・2027年度の法人税額が30%減額されます。 既存の軽減税率(15%・17%)と重ねて使え、実効税率は最も低い場合で10.5%になります。 売上の判定は法人単位で、親会社やグループ会社の売上とは合算しません。 判定に使う売上には金融収益やその他の収入も含まれ、見込みが外れた場合は追納が必要です。 今回の減税は、2段階で制度が整いました。まず、法人・個人の所得税減税に関する国会決議(国会決議 43/2026/QH16、2026/8/24)で枠組みが決まりました。その細則を定める政府令(政府令 398/2026/NĐ-CP、2026/10/29)が施行されたことで、実際の申告に反映できる状態になりました。 項目 内容 対象 ベトナム法に基づき設立された企業、協同組合、公的事業単位、その他の組織 売上要件 各年度の年間売上が100億VND(約38万USD)以下 減額の内容 納付すべき法人税「額」の30%(税率の引下げではありません) 対象年度 2026年度・2027年度(2026年度は年度全体に適用) 適用方法 四半期の予定納付の段階で、会社が自ら減額を計算 なお、同じ国会決議・政府令で、売上100億VND以下の個人事業主の所得税も30%減額されています。本稿では、法人税の部分を中心に解説します。 2026年は、国際的な紛争の影響で燃料価格が高騰しました。政府はガソリン等にかかる税を引き下げるなど、物価対策を重ねてきました。6月には、法人税・付加価値税・個人所得税・土地賃料の納付期限を延長する措置もとられています(政府令 245/2026/NĐ-CP、2026/6/27)。 納付期限の延長は資金繰りを助けますが、最終的な税負担は変わりません。今回の30%減額は、税額そのものを減らすもので、支援を一段進めた形といえます。財務大臣は国会で、小規模事業者の困難を和らげて生産・事業を安定させるとともに、インフレ抑制とマクロ経済の安定にもつなげると説明しています。 政府は、VCCI(ベトナム商工会議所)などが行った調査で、売上規模がごく小さい事業者ほど苦境にあり、耐える力も弱いことが示されたとしています。そこで、対象を売上100億VND以下に絞りました。税収減は、2年間で約6.7兆VND(約2.55億USD)と見込まれています。 当初は10月の国会会期で審議する予定でしたが、これを前倒しし、8月の臨時会で出席議員481人中480人の賛成により可決されました。国会決議は成立と同時に施行されています。 当事務所の見方 制度の主眼は、個人事業主と零細企業の支援です。日系子会社が対象に入るのは、副次的な効果と思われます。後述のとおり、外資子会社の扱いについて細かな定めがないことも、この制度設計から理解できます。 ベトナムでは、法人所得税法(Law 67/2025/QH15)により、年間総売上30億VND以下の企業に15%、30億VND超500億VND以下の企業に17%の軽減税率が適用されています(標準税率は20%)。 今回の30%減額は、税率ではなく「税額」を減らす仕組みです。そのため、軽減税率と重ねて使えます。30%減額後の実効税率は、次のとおりです。 区分(年間総売上) 適用税率 30%減額後の実効税率 30億VND以下 15% 10.5% 30億VND超〜100億VND以下 17% 11.9% 100億VND以下だが、関連会社要件により標準税率が適用される会社 20% 14% 他の優遇税制を受けている会社は、優遇分を控除した後の税額に30%減額をかけます。また、減額の対象となる税額は、キャピタルゲインなど法人所得税法第18条3項の所得を含む、その年度の全所得にかかる税額です(政府令 398/2026/NĐ-CP 第3条2項)。 対象は「ベトナム法に基づき設立された企業・組織」です。ベトナムで設立した日系の100%子会社も、これに当たります。一方、駐在員事務所や、外国契約者税(FCT)で課税される外国法人は、ベトナム法に基づき設立された組織ではないため、対象外と考えられます。 売上100億VND以下かどうかは、法人ごとに判定します。同じ法人の支店・事業所の売上は、年次の合算財務諸表に基づき合算します(政府令 398/2026/NĐ-CP 第3条3項b)。しかし、親会社や兄弟会社など、別法人であるグループ会社の売上と合算する規定はありません。 したがって、日本の親会社の売上が大きくても、ベトナム子会社が単独で100億VND以下であれば、条文上は対象になります。ベトナム国内に複数の子会社がある場合も、それぞれ単独で判定します。 15%・17%の軽減税率には、「ベトナム法人である子会社・関連会社で、関連する企業が要件を満たさない場合は適用しない」という除外規定があります(法人所得税法施行政府令(政府令 320/2025/NĐ-CP、2025/12/15)第11条4項c)。税務当局も、この除外規定は関連会社が要件を満たさない場合に限られると回答しています。 一方、30%減額には同様の除外規定がありません。そのため、大手グループの小規模なベトナム子会社では、次のような状態が生じます。 軽減税率(15%・17%)は、関連会社の除外規定により使えず、税率は20%のまま ただし30%減額は受けられるため、実効税率は14% 例外として、2026年8月24日(国会決議の施行日)より後に、会社の分割(chia)・分離(tách)によってできた会社は、分割・分離後の全社の売上を合計して判定します。合計が100億VNDを超えれば、どの会社も減額を受けられません(政府令 398/2026/NĐ-CP 第3条1項・3項c)。 条文上は、「分割・分離」ではなく別会社を新たに設立して事業を分けた場合を直接とらえる規定はありません。しかし、国会審議の段階で、売上の分割・付け替えを防ぐ手立てを政府に求める意見が出ています。また、関連会社間の取引には移転価格規制がかかり、売上を付け替えれば移転価格の調査リスクが生じます。100億VNDは約38万USDにすぎず、節税額に対して再編の手間とリスクが見合わないと考えます。 判定に使う売上には、本業の売上(売上控除後)に加えて、金融収益とその他の収入が含まれます(政府令 398/2026/NĐ-CP 第3条3項)。本業が小さくても、為替差益、預金利息、固定資産の売却益などで100億VNDを超えることがあります。清算前の資産売却や不動産の処分を予定している会社は、特に注意が必要です。 日系子会社に多い4月〜3月の事業年度で、どの期間が「2026年度」「2027年度」に当たるかは、政府令に明記がありません。現時点では不明確なため、所轄の税務当局に事前に確認されることをお勧めします。 実際の売上が100億VNDを超えた場合は、減額分を含む不足額を納付します。個人事業主については、一定期限までは延滞金を課さないと明記されています。一方、法人にはその明文がなく、延滞金の扱いは税務管理法の施行政府令(政府令 252/2026/NĐ-CP)第24条3項に委ねられています。見込み違いのリスクは、法人の方が重いといえます。 政府令の施行は10月29日で、第3四半期の予定納付期限(10月30日)の前日でした。実務上は、第4四半期の予定納付か、年次の確定申告(12月決算の場合は2027年3月末まで)で反映するのが現実的です。 実効税率14%は15%を下回ります。グローバル・ミニマム課税の対象となる大規模グループ(連結売上7.5億ユーロ以上)は、ベトナムの国内ミニマム課税(国会決議 107/2023/QH15、2023/11/29)との関係も確認しておくとよいでしょう。ベトナム国内のグループ全体の売上・利益が小さければ、少額除外が使える可能性が高く、多くの場合は実害はないと思われます。 各子会社の2026・2027年度の売上見込みを、金融収益・その他の収入も含めて確認する 売上100億VND前後の会社は、予定納付の段階では減額せず、確定申告で反映する 暦年でない事業年度の会社は、どの期間が対象年度に当たるかを税務当局に事前確認する 減額だけを目的としたグループ再編は避ける
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- 2026.10.23
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【重要】Beneficial Owner(BO)情報の速やかな申告の推奨
最近、財務省は公文第13767/BTC-DNTN号を発出し、省級事業登録機関に対して、年末の4か月間に企業のBOに関する事項を重点的に検査するよう要求するとともに、公文書第3164/DNTN-GS号で、2025年7月1日から現在までに設立または変更登録を行ったものの、BOに関する申告情報がない企業のリスト(以下「2025年7月1日以降に変更したもののBO未申告の企業リスト」といいます。)を作成しました。これは、地方当局がBO情報の申告に関する規定の遵守状況を優先的に検査すべき企業のリストです。 詳細なリストは、THƯ VIỆN PHÁP LUẬT(ベトナム法令データベース)の掲載ページをご参照ください。 本稿では、BOに関する法律規定の概要、及びBO申告に関する規定を遵守するために企業が行うべき手続についてご説明いたします。 2025年改正企業法第1条1項d号によれば、BOとは、企業の定款資本を実質的に所有する、または企業に対する支配権を有する個人をいいます。BOを特定するにあたり、企業は以下の基準に基づきます。 (i) 所有基準:直接もしくは間接に、または直接及び間接の双方により、定款資本/議決権付株式総数の25%以上を所有する個人。 本基準(i)を満たす個人がいない場合、企業は次の基準(ii)を検討します。 (ii) 実質的支配基準:法令の定めに従い、企業の一定の事項について支配権を有する個人。 (iii) 経営責任基準:上記基準(i)、(ii)を満たす個人がいない場合、企業は、企業を代表して行動する最大の権限を有する企業の管理者である個人1名をBOとして特定し、申告します。 2026年7月23日より前に有効であった規定では、企業にBOが存在しない場合もありました。しかし、現行規定においては、2026年7月23日以降、すべての企業に少なくとも1名のBOが存在するものと理解できます。 BOの特定方法の詳細については、2026年7月23日施行の政令第296/2026/NĐ-CP号第3条の規定をご参照ください。 BO情報の申告には、初回申告と、申告済みBO情報に変更があった場合の通知が含まれます。 ① 初回申告(2025年改正企業法第3条第1項参照) 2025年7月1日以降に設立された企業:企業設立時に、企業設立登録書類とともにBO情報を申告します。 2025年7月1日より前に設立登録された企業:直近の企業登録内容の変更登録/変更通知手続(以下「企業情報変更手続」といいます。)を行う際に併せてBO情報を申告します。また、企業が希望する場合は、それより早く申告することも可能です。 ② 申告済みBO情報の変更通知:変更が生じた日から10日以内(政令第168/2025/ND-CP号第52条1項ご参照)。 申請書類: 企業登録内容変更通知書(通達第121/2026/TT-BTC号 Template No.12) 企業のBOリスト(通達第121/2026/TT-BTC号 Template No.10) 申請方法:国家企業登録ポータル(dangkykinhdoanh.gov.vn)にてオンラインで行います。操作方法は、企業情報変更手続を行う場合と同様です。 (政令第288/2026/NĐ-CP号第2条ご参照) 違反行為 罰金 直近の企業情報変更手続を行う際にBO情報を申告しなかった場合 7,000万ドン以上1億ドン以下 BO情報に変更が生じたにもかかわらず、申告済みBO情報の変更通知が遅延した、または通知しなかった場合 遅延期間に応じて1,000万ドン以上7,000万ドン以下 ① 企業が「BOなし」と申告していた場合 2025年7月1日以降、企業が企業情報変更手続を行う際、一部の省・市の事業登録機関はBOに関する申告を企業に求めていました。そして、当該時点でBOが存在しないと企業が判断した場合、当局は通常「BOなし」と明記するよう求めていました。 しかし、過去に企業が「BOなし」と申告したことは、BOに関する申告を行ったものと判断される可能性があります。 上記1.で分析したとおり、新規定により、2026年7月23日以降、すべての企業に少なくとも1名のBOが存在することになったと考えられるため、企業は、新規定に基づきBOが存在することとなった時点(2026年7月23日)から10日以内に、BO情報を「BOなし」から「BOあり」に変更通知手続を行い、具体的なBO情報を申告しなければならなかったと解釈される可能性があります。 そのため、罰則を受けるリスクを最小限に抑えるため、申告済みBO情報の変更通知手続を速やかに行うことを推奨いたします。現在、各省・市の財務局はBO申告に関する指導公文を発出しており、検査・処罰を行う前に、企業が補充手続を行うための一定の期間を設けています。企業は、地方財務局の通知を自主的に確認し、適切に対応することをお勧めします。 ② 2025年7月1日から2026年7月23日より前までの間に企業情報変更手続を行い、BOに関する申告をしなかった場合 手続実施時点において、旧法令上BOが存在せず、BOに関する事項を一切申告しなかった場合、法的な問題はありません。 なお、新法令により、2026年7月23日以降、企業には必ず少なくとも1名のBOが存在するため、次回の企業情報変更手続を行う際に、BOの初回申告を行うようご留意ください。 ③ 2026年7月23日以降に企業情報変更手続を行い、BOに関する申告をしなかった場合 上記1.でご説明したとおり、2026年7月23日以降、企業には少なくとも1名のBOが存在し、企業情報変更手続を行う際に初回申告をしなければなりません。当該申告を漏らしていた場合は、罰則を回避するため、速やかに補充申告を行う必要があります。 新法令により、2026年7月23日以降、企業には必ず少なくとも1名のBOが存在するため、次回の企業情報変更手続を行う際に、BOの初回申告を行うようご留意ください。 BO情報の特定には、企業の資本構成及び権限構造について明確かつ具体的な理解が必要となるため、各企業の担当者の方には自ら主体的に社内確認を行い、BOを特定した上で、法令に従って申告することを推奨いたします。弊所によるサポートをご希望の場合は、お気軽にご連絡ください。 関連コラムは以下。 ベトナム受益所有者(BO)規制改正|政令296の三段階基準と罰則強化
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- 2026.10.20
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このたび、株式会社スタディストが運営する生産性向上の専門メディア「リンオペ」に、当事務所代表弁護士・工藤拓人による寄稿記事が掲載されました。 リンオペ|ASEAN・海外展開|寄稿記事(2026年10月19日公開) ベトナム商標制度の基礎 日本法との違いから見る出願・登録と権利保護 執筆:工藤 拓人(CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. 代表弁護士) 記事を読む(外部サイト) › 本記事では、ベトナム知的財産法に基づき、商標の出願・登録から権利保護までの基本的な制度を、日本の商標法との比較を交えて解説しています。主なトピックは以下のとおりです。 商標権の発生と保護要件(識別力、不登録事由など) 出願人の範囲と出願から登録までの流れ 存続期間の起算点(日本法との違い)と期限管理上の注意点 権利の内容と侵害行為の類型 不使用取消しその他の取消し事由 譲渡・ライセンスの要件と登録の効力 民事・行政・刑事によるエンフォースメント ベトナムへの進出や現地での事業展開を検討されている企業の皆様にとって、商標戦略を考えるうえでの基礎資料としてご活用いただければ幸いです。 当事務所では、ベトナムにおける商標出願・登録、模倣品対策、ライセンス契約の作成・レビューなど、知的財産に関するご相談を日本人弁護士とベトナム人弁護士が連携してお受けしております。お気軽にお問い合わせください。
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- 2026.10.13
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【ベトナム】2027年の祝日・休日一覧|年間6回・法定12日と実務対応
速報 2026年10月13日 / CastGlobal Law Vietnam 2027年のベトナムの祝日・休日が出そろいました。政府官房公文10065/VPCP-KGVX(2026年10月2日付)と内務省通知11483/TB-BNV(2026年10月9日付)により、テトと国慶節の日程が確定しています。現地では「年間6回・計22日」と報じられていますが、これは週末や振替休日を含めた公的機関ベースの日数です。本コラムでは、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、法定の祝日12日の内訳、民間企業での日程の組み方、振替休日・割増賃金・契約上の期限への影響を整理します。 本稿のポイント 2027年の法定祝日は12日(2026年に新設された「ベトナム文化の日」を含む)。報道の「22日」は、週末と振替休日を含めた公的機関の休暇日数です。 テトは公的機関が2月4日(木)〜2月10日(水)の7連休。民間企業は「1+4」「2+3」「3+2」の3パターンから選択します。 5月1日(メーデー)が土曜日のため、土日休みの会社では5月3日(月)が振替休日となり、4/30〜5/3の4連休となります。 国慶節は公的機関が9月2日(木)〜9月5日(日)の4連休。民間企業は9/2に加え9/1か9/3を選択します。 休日は契約上の期限計算にも影響します。テト前後に期限が来る契約・行政手続は早めの確認をお勧めします。 労働法(法律番号45/2019/QH14、2021年1月1日施行)第112条1項は、労働者が就労せず賃金全額を受ける祝日を定めています。2026年からは、文化発展に関する国会決議(国会決議28/2026/QH16、2026年7月1日施行)により、11月24日の「ベトナム文化の日」が加わりました。2027年の暦に当てはめると、以下のとおりです。 祝日 法定日(2027年) 法定日数 公的機関の休暇期間(週末・振替含む) 太陽暦の元日 1月1日(金) 1日 1/1(金)〜1/3(日)3日 テト(旧正月) 元日は2月6日(土) 5日 2/4(木)〜2/10(水)7日(振替2日を含む) フンヴオン王の命日(旧暦3月10日) 4月16日(金) 1日 4/16(金)〜4/18(日)3日 南部解放記念日・メーデー 4月30日(金)・5月1日(土) 2日 4/30(金)〜5/3(月)4日(振替1日を含む) 国慶節 9月2日(木)+9月3日(金) 2日 9/2(木)〜9/5(日)4日 ベトナム文化の日 11月24日(水) 1日 11/24(水)1日 合計 12日 22日 「22日」の読み方に注意 現地報道の「22日」は、法定祝日12日に、連続する週末と振替休日を足した公的機関の休暇日数です。賃金全額で休める法定の祝日は12日であり、土日休みの会社では、これに週休日との重複による振替休日3日(テト2日・メーデー1日)が加わります。 人事・給与担当の方は、社内カレンダーや予算(稼働日数)の計算で「22日」をそのまま使わないようご注意ください。 1日のみの祝日です。土日休みの会社は1/1〜1/3の3連休となります。年末年始の追加休暇を設ける場合は、年次有給休暇の計画付与や会社独自の特別休暇として整理します。 内務省通知11483/TB-BNVにより、民間企業は次の3パターンから選択できます。使用者は選択した日程を少なくとも30日前までに労働者へ通知する必要があり、公的機関と同じ日程の採用が推奨されています。 パターン 法定5日 振替休日(土日休みの場合) 連続休暇 年末2日+年始3日【推奨】 2/4(木)〜2/8(月) 2/9(火)・2/10(水) 2/4〜2/10(公的機関と同一) 年末1日+年始4日 2/5(金)〜2/9(火) 2/10(水)・2/11(木) 2/5〜2/11 年末3日+年始2日 2/3(水)〜2/7(日) 2/8(月)・2/9(火) 2/3〜2/9 詳しくは【ベトナム】2027年のテト休暇|公的機関・民間の休暇日程と実務対応をご覧ください。 旧暦3月10日にあたる祝日で、2027年は金曜日です。土日休みの会社は4/16〜4/18の3連休となります。 2027年は5月1日が土曜日にあたります。週休日が祝日と重なった場合、労働者は次の勤務日に振替休日を取得するため(労働法第111条3項)、土日休みの会社では5月3日(月)が振替休日となり、4/30〜5/3の4連休です。一方、土曜日が勤務日(日曜のみ休み)の工場等では、5月1日は通常の祝日として休むだけで、振替休日は生じません。 法定2日のうち1日は9月2日に固定され、もう1日は前後いずれかとされています(労働法第112条1項đ号)。公的機関は9/2(木)・9/3(金)を休日とし、週末と合わせて9/2〜9/5の4連休です。民間企業は、内務省通知に基づき9/1(水)または9/3(金)のいずれかを選択します。土日休みの会社であれば、9/3を選ぶことで4連休を確保できます。 2026年に新設された祝日で、2027年は水曜日の1日のみです。国会決議28/2026/QH16が根拠となっており、労働法第112条に明記する改正は審議段階と報じられています。法改正の動向によっては細部の扱いが変わる可能性があるため、本稿では最新の動きを確認次第、更新します。 ベトナムで労働契約を締結して就労する外国人労働者には、上記12日に加えて、自国の伝統的な旧正月1日と、自国の国家の独立記念日(建国記念日)1日の休日が認められています(労働法第112条2項)。 日本人の場合、どの日を充てるかは法令上明確ではなく、会社ごとに運用が分かれています。日本の正月(1月1日)はベトナムの祝日と重なるため、たとえば1月2日を充てる、建国記念の日(2月11日)を充てるなどの考え方があり得ます。2027年は2月11日が木曜日で、テト明けと近接しますので、テト休暇と連続させるかどうかも含め、就業規則や労働契約で具体的な日付を定めておくことをお勧めします。 祝日・テト当日の勤務:少なくとも300%。日給制の労働者には、これとは別に祝日分の賃金が支払われます(労働法第98条1項c号)。 週休日の勤務:少なくとも200%(同条1項b号)。振替休日に勤務させた場合の割増率は明文がありませんが、週休日扱いとして200%以上とする解釈が一般的です。 夜間勤務(22時〜翌6時):さらに30%以上、夜間の時間外勤務はさらに20%を加算(同条2項・3項)。 振替休日の特定:社内通知で「どの日が振替休日か」を明記しておくと、出勤させた場合の割増率をめぐる争いを防ぎやすくなります。 祝日の情報は人事部門だけのものではありません。民法(法律番号91/2015/QH13、2017年1月1日施行)第148条5項は、期間の末日が週末または祝日にあたるときは、その後の最初の勤務日の終了時に期間が満了すると定めています。契約書で「営業日」「暦日」の定義が曖昧だと、支払期限や通知期限がテト明けにずれ込み、相手方との認識が食い違うことがあります。 契約書:「営業日」の定義(ベトナムの祝日か、日本の祝日も含むか)を明記する。テト前後に期限が来る支払・納品・通知条項を年初に洗い出す。 行政手続:投資登録・企業登録の変更、労働許可証の更新などは、テト前と4月末〜5月初に申請が集中しやすいため、1か月程度の余裕を持って申請する。 年休の計画付与:使用者は労働者の意見を聴いたうえで年次休暇の取得計画を定め、事前に通知する責任があります(労働法第113条4項)。4/16(フンヴオン王の命日)〜5/3は、間の平日に年休を組み合わせると長期休暇を設計しやすい期間です。 稼働計画:工場では、2月と4月末〜5月初に稼働日が大きく減ります。受注・出荷計画や日本本社への報告スケジュールに早めに反映してください。 2026年11月中:ベトナム文化の日(2026/11/24・火)の休日を社内に周知する。 2026年12月中:テトの休暇パターンを決定し、法定休日と振替休日の日付を明記して通知する(遅くとも2027年1月5日頃まで)。 2027年3月中:4/30〜5/3の連休と振替休日(5/3)を周知する。 2027年7月末まで:国慶節で9/1か9/3のどちらを休日にするかを決定し、30日前までに通知する(遅くとも8月2日(月)頃まで)。 通年:外国人労働者の追加休日2日の扱いを就業規則で確定させる。契約の「営業日」定義を点検する。 就業規則の改定、外国人の休日の定め方、契約上の期限条項の見直しについては、労務Q&A資料もご参照のうえ、お気軽に当事務所へご相談ください。
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- 2026.10.03
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【ベトナム】2027年のテト休暇はどうなる?|公的機関・民間の休暇日程と実務対応
速報 2026年10月3日(最終更新:2026年10月13日) / CastGlobal Law Vietnam 【更新】2026年10月13日 内務省が通知11483/TB-BNV(2026年10月9日付)を発出し、公的機関の日程(2/4〜2/10の7連休)とあわせて、民間企業は「年末1日+年始4日」「年末2日+年始3日」「年末3日+年始2日」の3パターンから選択できることが確定しました。また、使用者には少なくとも30日前の通知が求められ、公的機関と同じ日程の採用が推奨されています。本文の該当箇所を更新しました。2027年の祝日全体(年間6回・計22日)は2027年のベトナムの祝日・休日一覧をご覧ください。 ベトナム政府官房は、公文10065/VPCP-KGVX(2026年10月2日付)により、2027年のテト(旧正月)休暇を公的機関について2027年2月4日(木)〜2月10日(水)の7連休とすることを通知しました。2027年は旧暦元日が土曜日にあたるため、2026年(9連休)より短い日程です。本コラムでは、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、公的機関の確定日程、民間企業の休暇設定パターン、割増賃金・振替休日の考え方、金融・物流面の実務対応を整理します。 本稿のポイント 公的機関:2027年2月4日(木)〜2月10日(水)の7連休(旧暦12月28日〜正月5日)。法定5日+振替休日2日の構成です。 2027年のテト元日は2月6日(土)。旧暦12月は29日までのため、2026年に続き「30テト」はありません。 民間企業:内務省通知11483/TB-BNV(2026年10月9日付)により、法定5日を3パターン(1+4/2+3/3+2)から選択。土日休みの会社は、元日・2日目が週休日と重なるため振替休日2日が加わり、実質7連休となるのが基本形です。 当事務所の推奨は、公的機関・銀行と日程が揃う「年末2日+年始3日」(2/4〜2/10)。従業員への通知は遅くとも2027年1月5日(火)頃まで(30日前)に。 ベトナムのテト(Tết Âm lịch)は太陰暦で定まり、労働法上5日間の有給の祝日とされています(労働法(法律番号45/2019/QH14、2021年1月1日施行)第112条1項b号)。2027年は丙午(Bính Ngọ)年から丁未(Đinh Mùi)年への年替わりで、太陽暦との対応は以下のとおりです。 太陽暦(2027年) 旧暦 備考 2月3日(水) 12月27日 公的機関は通常勤務(休暇前最終営業日) 2月4日(木) 12月28日 公的機関の休暇初日 2月5日(金) 12月29日 大晦日(Giao thừa)※「30テト」なし 2月6日(土) 1月1日 元日(Mùng 1)・週休日と重複 2月7日(日) 1月2日 週休日と重複 2月8日(月) 1月3日 2月9日(火) 1月4日 公的機関は振替休日 2月10日(水) 1月5日 公的機関は振替休日(休暇最終日) 2月11日(木) 1月6日 公的機関の仕事始め 内務省の上申書(10033/TTr-BNV(2026年9月11日付)および10137/TTr-BNV(2026年9月14日付))を受け、ファム・ティ・タイン・チャー(Phạm Thị Thanh Trà)副首相が同省の提案を承認し、政府官房が公文10065/VPCP-KGVX(2026年10月2日付)でこれを通知しました。 【確定情報】 通知文書:政府官房公文 10065/VPCP-KGVX(2026年10月2日付) 公的機関の休暇期間:2027年2月4日(木)〜2月10日(水)の7日間 該当する旧暦:丙午年12月28日〜丁未年正月5日 内訳:法定5日(年末2日+年始3日)+週休日(2/6土・2/7日)との重複による振替休日2日(2/9火・2/10水) なお、内務省は当初、「年末1日+年始4日」としたうえで2月12日(金)の勤務日を2月27日(土)と入れ替え、2月5日〜14日の10連休とする案も併せて意見照会していましたが、最終的には休暇前の準備期間を確保しやすい7連休案が採用されました。教育機関や一部の行政サービスは、各省・市の個別決定で運用が異なる場合がありますので、所在地の人民委員会や所管官庁の告知もご確認ください。 労働法第112条3項により、テトの具体的な休日は毎年首相が決定し、民間企業は法定5日を旧暦の「年末○日+年始○日」に配分して設定します。また、週休日が祝日・テトと重なった場合、労働者は次の勤務日に振替休日を取得します(同法第111条3項)。 内務省は通知11483/TB-BNV(2026年10月9日付)で、民間企業について次の3パターンからの選択を認めました。あわせて、使用者は選択した日程を少なくとも30日前までに労働者へ通知すること、また公的機関と同じ日程を採用し、労働者に有利な取決めを行うことが推奨されています。 年末1日+年始4日 年末2日+年始3日(公的機関と同じ) 年末3日+年始2日 パターン 法定5日 振替休日 連続休暇/仕事始め 年末2日+年始3日【推奨】 2/4(木)〜2/8(月) 2/9(火)・2/10(水) 2/4〜2/10の7連休/2/11(木)〜。公的機関と同一 年末1日+年始4日 2/5(金)〜2/9(火) 2/10(水)・2/11(木) 2/5〜2/11の7連休/2/12(金)の1日だけ出勤して週末へ 年末3日+年始2日 2/3(水)〜2/7(日) 2/8(月)・2/9(火) 2/3〜2/9の7連休/2/10(水・旧暦正月5日)〜 どのパターンでも合計は7日間ですが、取引先の官公庁・銀行と休暇が揃う「年末2日+年始3日」が、手続の停滞や連絡の行き違いを最も起こしにくいと考えます。「年末1日+年始4日」は2026年に多くの企業が採用した形ですが、2027年は休暇明けが金曜日1日だけとなる点に留意が必要です。 土曜日が勤務日の会社では、週休日と重なるのは2/7(日)の1日のみのため、振替休日は1日となり、連続休暇は6日間が基本です(例:年末2日+年始3日なら2/4〜2/9)。シフト制・交替勤務の職場では、各労働者の週休日ごとに振替休日の有無が変わりますので、個別に勤務表で確認してください。 発想を変えた休暇設計:年次有給休暇の計画付与 2027年は「7連休+数日の平日」が残る暦のため、年次有給休暇を組み合わせると長期休暇を設計しやすい年です。例えば「年末2日+年始3日」に2/11(木)・2/12(金)の年休を加えると2/4〜2/14の11連休、「年末1日+年始4日」に2/12(金)の年休を加えると2/5〜2/14の10連休となります。帰省距離の長い地方出身の従業員が多い工場では、テト明けの欠勤・離職対策としても有効です。 使用者は労働者の意見を聴いたうえで年次休暇の取得計画を定め、事前に通知する責任があります(労働法第113条4項)。他方、民間企業が土曜日等との「勤務日の入れ替え(振替出勤)」を行う方法については法令上の明文がなく、手続が不十分だと振替出勤日が週休日労働(割増200%以上)と評価されるおそれがあります。実施する場合は、就業規則・労働契約との整合を確認し、労働者の同意と事前通知を書面で残すことを推奨します。 少なくとも30日前までに従業員へ休暇計画を通知(内務省通知11483/TB-BNV)。2/4開始なら遅くとも2027年1月5日(火)頃までですが、帰省の交通手配を考えると12月中の周知が望ましいです。 社内通知には、法定休日と振替休日の日付を明記してください(「どの日が振替か」が曖昧だと、出勤させた場合の割増率で争いになりやすいためです)。 工場・24時間稼働の拠点は、交替勤務の体制図・呼出し規程・緊急連絡網を更新し、休日出勤者の割増賃金の計算方法を事前に給与担当と確認してください。 テト賞与(いわゆる13か月目給与)は法令上の義務ではなく、労働契約・就業規則・労働協約の定め次第です。支給条件の定めがある場合はその条件どおりに運用してください。 同じ公文10065/VPCP-KGVXでは、テトのほか以下の休日も承認されています。特に「ベトナム文化の日」は2026年に新設された祝日ですので、年末の勤務計画にご注意ください。 ベトナム文化の日:2026年11月24日(火)の1日。文化発展に関する国会決議(国会決議28/2026/QH16、2026年7月1日施行)により、毎年11月24日は労働者が就労を免除され賃金全額を受ける日とされました。民間企業も対象です。なお、同日を労働法第112条に明記する改正案が審議されている段階です。 太陽暦の元日:2027年1月1日(金)。土日休みの会社は1/1〜1/3の3連休となります。 国慶節(2027年9月2日・木):公的機関は9/2(木)〜9/5(日)の4連休(法定2日+週末)。民間企業は9/2に加え、9/1(水)または9/3(金)のいずれか1日を選択します(同通知)。9/3を選べば土日休みの会社は4連休です。 銀行:国家銀行(SBV)の通知と各行の営業案内に連動します。公的機関の休暇前最終営業日は2月3日(水)となるため、給与・テト賞与の振込、外貨送金、信用状(L/C)決済は1月末〜2月2日頃までの前倒しをご検討ください。 証券取引所(HOSE/HNX):政府の休日日程に合わせて休場となるのが通例です。配当・権利確定・受渡(T+2)の日程は各取引所・証券会社の告知をご確認ください。 税関・物流:電子通関システム自体は稼働していても、現場の人員対応は限定的になりがちです。D/O切替、CYカット、港湾ゲートの締切は各オペレーターの告知を必ず確認してください。 許認可・登記:投資登録・企業登録、労働許可証の更新など行政手続は休暇前後に申請が集中します。期限が2月中旬に到来する案件は、1月中の申請完了を目安に逆算してください。 祝日・テトの勤務には少なくとも300%の賃金を支払う必要があります。日給制の労働者には、これとは別に祝日分の賃金が支払われます(労働法第98条1項c号)。夜間(22時〜翌6時)の勤務はさらに30%以上、夜間の時間外勤務はさらに20%の加算が必要です(同条2項・3項)。 振替休日は「週休日の振替」であるため、週休日の勤務として少なくとも200%(同法第98条1項b号)とする解釈が一般的です。ただし、振替休日の勤務の割増率を正面から定めた明文規定はないため、当事務所では、トラブル防止の観点から、社内通知で振替日を特定したうえで、割増率の扱いを就業規則等で明確にしておくことを推奨しています。 ベトナムで労働契約を締結して就労する外国人労働者には、テト5日に加えて、自国の伝統的な旧正月1日と国家の独立記念日1日の休日が認められています(同法第112条2項)。日本人の場合の扱いは会社ごとに整理が分かれますので、就業規則で明確にしておくと安心です。 内務省通知11483/TB-BNV(2026年10月9日付)により、使用者は選択した休暇日程を少なくとも30日前までに労働者へ通知することとされています。2027年は2月4日開始の場合、遅くとも1月5日頃までの通知が必要です。 2027年のテトは、元日が土曜日にあたるため振替休日の扱いが例年以上に重要になります。①内務省通知の3パターンから自社の日程を決める、②原則として公的機関と同じ「年末2日+年始3日」(2/4〜2/10)を採用する、③振替休日の日付と出勤時の割増率を社内通知・就業規則で明確にする、④12月中に従業員へ周知し、金融・通関手続は1月中に前倒しする、という順序で準備を進めることをお勧めします。就業規則の改定や年休の計画付与、テト賞与の設計については、労務Q&A資料もご参照のうえ、お気軽に当事務所へご相談ください。 過去のテト休暇の運用は、以下のコラムもご参照ください。 【ベトナム】2026年のテト休暇|公的機関・民間の休暇日程と実務対応 【ベトナム】2025年のテト休暇(Tet Holidays)について
- コラム
- 2026.09.04
- CastGlobal
ベトナム個人データ保護法の対応支援サービス|書類作成から公安省への提出まで
2026年1月1日、個人データ保護法(法律91/2025/QH15号、2026年1月1日施行)と、その細則を定める政府令356/2025/NĐ-CP号(2026年1月1日施行)が施行されました。ベトナム法人には、公安省への影響評価書類の提出をはじめとする具体的な手続義務が生じています。本稿では、当事務所の対応支援サービスの内容をご案内します。 本稿は当事務所のサービス内容に絞ってご説明します。法令そのものの内容や、違反した場合の制裁金の水準については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関連記事 ベトナム個人データ保護法の全体像|法律91/2025/QH15号の内容を解説 個人データ保護法違反の罰則|売上高連動型の制裁金と実務上の留意点 ベトナムに拠点を持つ日系企業の多くは、従業員データ、顧客データ、取引先担当者の連絡先を日常的に取り扱い、さらにこれらを日本の親会社やグループ会社のシステムに送信しています。この時点で、個人データ処理影響評価(DPIA)と越境個人データ移転影響評価(TIA)の双方が必要となる可能性がございます。その他の対応事項を含めた主な期限は次のとおりです。 対応項目 提出書類・対応内容 期限 個人データ処理影響評価(DPIA) 影響評価報告書を、公安省サイバーセキュリティ・ハイテク犯罪防止局(A05)へ提出 個人データの処理を開始した日から60日以内 越境個人データ移転影響評価(TIA) 越境移転影響評価報告書をA05へ提出。日本の親会社へのデータ送信や海外クラウドの利用が対象となり得ます 越境移転を開始した日から60日以内 社内規程・同意取得書式 個人データの安全管理措置を定めた社内規程と、データ主体からの同意取得書式の整備(個人データの保管、削除、廃棄、安全管理措置その他関連する個人データ保護規定を含む) 処理開始前に整備 担当部署・担当者(DPO)の選任 担当部署・人員の指定または外部サービスの起用 影響評価書類の提出時までに選任し、社内決定書を整備 契約面の手当て 親会社・グループ会社との間、および顧客・との間の合意書・条項の整備 既存契約の棚卸しと順次改定 なお、小規模企業等については、施行日から5年間、影響評価、DPO選任等の一定の義務を実施するか否かを選択できる特例が設けられています。ただし、個人データ処理サービスを事業として行う企業、センシティブな個人データを直接取り扱う企業、大量のデータ主体の個人データを処理する企業は対象外です。自社が特例の対象となるかは、事業内容とデータの取扱状況に即した個別の検討が必要です。 当事務所では、影響評価書類の作成・提出から、社内規程・契約書類の整備まで、一連の対応を日本語またはベトナム語でご案内しながらワンストップでお引き受けします。ご依頼は下記のパッケージ単位でも、必要な項目のみの単発でも承ります。 No. 書類 様式 業務範囲 1 個人データ処理影響評価報告書 政令356/2025/NĐ-CP号 様式第10号 申請書類の作成、公安省への提出、および公安省における審査・処理状況のフォロー 2 個人データ処理影響評価書類の提出通知書 政令356/2025/NĐ-CP号 様式第02a号 同上 No. 書類 様式 業務範囲 3 越境個人データ移転影響評価報告書 政令356/2025/NĐ-CP号 様式第09号 申請書類の作成、公安省への提出、および公安省における審査・処理状況のフォロー 4 越境個人データ移転影響評価書類の提出通知書(法人向け) 政令356/2025/NĐ-CP号 様式第01a号 同上 No. 書類 様式 業務範囲 5 個人データ保護に関する社内規程/ポリシー(個人データの保管、削除、廃棄、安全管理措置その他関連する個人データ保護規定を含む) 法定様式なし 書類の作成またはレビュー 6 データ主体による個人データ処理への同意書のテンプレート 法定様式なし 書類の作成またはレビュー 7 個人データ保護担当部署・担当者の選任・任命に関する会社決定書、および担当者の実務経験に関する会社確認書 法定様式なし 書類の作成またはレビュー 8 個人データの取扱いに関する外国法人(親会社等)との間の合意書 法定様式なし 書類の作成またはレビュー 9 個人データの取扱いに関する貴社と顧客/サプライヤー/取引先との間の合意書 法定様式なし 書類の作成またはレビュー 「自社に提出義務があるのか分からない」「日本の親会社へのデータ送信が越境移転に当たるのか確認したい」といった入口のご相談から承ります。現状をお伺いしたうえで、必要な対応の範囲とスケジュール、お見積りをご提示します。制度そのものの内容や制裁金の水準については、個人データ保護法の解説記事および罰則の解説記事もあわせてご参照ください。 免責事項: 本記事の内容は2026年9月4日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。個別の案件については専門家にご相談ください。
- コラム
- 2026.08.28
- CastGlobal
【2026年8月施行】ベトナム個人データ保護法の罰金額がついに明確化|政府令330/2026/NĐ-CP を解説
速報 2026年8月19日、ベトナムでサイバーセキュリティ及び個人データ保護分野の行政違反処罰に関する政府令330/2026/NĐ-CP(2026年8月19日施行)が公布・即日施行されました。これまで上限額しか定められていなかった個人データ保護法の罰則について、違反行為の類型ごとの具体的な罰金額がついに明示されています。本稿では、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、日系企業が押さえるべき罰金額の読み方と特に注意すべき違反類型を整理します。 本稿のポイント 個人データ保護分野の罰金額は「組織」が基準。企業にはそのままの金額が適用される 上限は原則30億VND(約1,700万円超)。ただし、売買は違反収益の10倍、越境移転違反は前年度売上高の5%まで 越境移転・人事労務・監視カメラは日系企業が抵触しやすい領域 2026年1月1日、ベトナムでは個人データ保護法(法律91/2025/QH15)と、その施行政府令(政府令356/2025/NĐ-CP)が施行されました。もっとも、これらの法令では罰則の上限が規定されていたにとどまり、「実際に違反した場合にいくら課されるのか」が不明確な状態が続いていました。詳細は当事務所の過去の寄稿記事「ベトナム個人データ保護法 日系企業が押さえるべきポイント」もあわせてご参照ください。 この空白を埋めたのが、サイバーセキュリティ及び個人データ保護の分野における行政違反処罰に関する政府令(政府令330/2026/NĐ-CP、2026年8月19日施行。以下「政府令330」)です。同令は公布日である2026年8月19日から即日施行されています。個人データ保護に関する罰則は第2章第6節(第39条〜第71条)に集中しており、行為類型ごとに罰金額が明記されました。 政府令330第7条1項は、金額を読み解くうえで極めて重要なルールを置いています。 第2章第1節〜第5節(サイバーセキュリティ分野)の金額は個人が基準。組織はその2倍。 第2章第6節(個人データ保護分野)の金額は「組織」が基準。個人が同じ行為をした場合は2分の1。 つまり、以下で紹介する個人データ保護に関する罰金額は、そのまま企業に適用される金額ということになります。 罰金の上限は政府令330第7条4項が定めています(個人データ保護法第8条と同内容)。 区分 上限 根拠 個人データの売買 違反により得た収益の10倍 第7条4項a号 個人データの越境移転規定違反(組織) 前年度売上高の5% 第7条4項b号 その他の個人データ保護違反 30億VND(約1,700万円超) 第7条4項c号 ※収益・売上高を基準として算出した額が30億VNDを下回る場合や、そもそも収益・売上高がない場合には、30億VNDが適用されます(第7条4項a号・b号但書)。なお、処罰の時効は1年と短く設定されています(第3条1項)。 政府令330のうち、日系企業にとって特に重要と考えられるのは以下の4類型です。 個人データ保護分野における最も重い類型です。原則として、違反により得た収益の2倍から10倍の罰金が課されます(第53条1項)。収益がない場合には、対象となったデータ主体の人数に応じた定額が適用されます(同条3項)。 対象規模 罰金 基本データ1,000名未満/センシティブデータ200名未満 7,000万〜1億VND 基本データ1,000〜2,000名未満/センシティブデータ200〜400名未満 1億〜3億VND 基本データ2,000〜10,000名未満/センシティブデータ400〜2,000名 3億〜5億VND 基本データ10,000名以上/センシティブデータ2,000名以上 5億〜10億VND 国防・安寧・対外関係・マクロ経済、生命・身体・名誉・財産を侵害するもの 10億〜30億VND 形式不備も「売買」に該当しうる 「有償の移転であるのに移転合意書がない」といった形式面の不備も、第53条1項b号〜e号により売買とみなされ、この枠で処罰されうる点に注意が必要です。有償のデータ提供や、業務委託先へのデータ提供の対価が発生している場合は、契約書の記載内容を今一度確認すべきです。 2,000万〜3,000万VND(第55条1項):影響評価書を作成・保管しない、処理開始日から60日以内に専門責任機関へ提出しない、定期更新をしない等。 5,000万〜1億VND(同条2項):処理影響評価報告書において故意にデータを偽造する、虚偽情報を提供する、報告書の訂正・補完の要請を拒否する等。 日系企業が最も高い頻度で抵触しうる領域です。日本本社へのデータ共有、クラウドサービスの利用、グループ共通の人事システムの利用などは、いずれも越境移転に該当し得ます。 3,000万〜5,000万VND(第56条1項):越境移転影響評価書を作成しない、移転開始日から60日以内に専門責任機関へ提出しない、要求から30日以内に補正しない、定期更新をしない等。 5,000万〜1億VND(同条2項):受領者との責任分担契約がない、データ主体への通知・同意がない、移転後の安全確保策がない、停止決定後も移転を継続した等。 売上高比例罰(同条3項):影響評価書を作成せずに移転しデータ漏洩を招いた場合等は、ベトナム市場における前年度売上高の1〜2%(被害者1万〜10万人)、2〜3%(10万〜100万人)、3〜5%(100万人以上、または停止決定後の継続移転により国防・国家安全に損害を与えた場合)。 付加的処罰として6〜12か月の越境移転停止(同条5項b号)。 技術的・工学的手段を用いて違法に個人データを収集した場合、対象者数に応じて1億〜8億VNDの罰金が課されます。基本データ5,000名以上またはセンシティブデータ1,000名以上の場合は5億〜8億VNDとなります。ウェブサイトのトラッキングツールやアプリの権限設定なども、同意取得の設計次第ではこの類型に触れうる点に留意が必要です。 場面 主な違反行為 罰金 根拠 同意 同意なしの処理、同意の記録・ログを保存していない等 3,000万〜5,000万VND 第43条1項 同意 停止要求後も処理を継続、沈黙を同意とみなす等 5,000万〜7,000万VND 第43条2項 権利対応 データ主体からの有効な請求に2営業日以内に応答しない、手続きを周知しない等 1,000万〜2,000万VND 第44条1項 権利対応 同意撤回15日、閲覧・修正10日、削除20日等の期限を徒過 3,000万〜4,000万VND 第44条3項 人事労務 採用目的外のデータ要求等 2,000万〜5,000万VND 第61条1項 人事労務 退職後、法定期間を超えてデータを保持、通知なしの監視カメラ・PC監視ソフト導入 5,000万〜7,000万VND 第61条2項 人事労務 違法に収集した従業員データの利用 7,000万〜1億VND 第61条3項 漏洩対応 発見から72時間を超える通報遅延(国防・安寧・本人の生命身体等に損害のおそれ) 4,000万〜6,000万VND 第54条3項 漏洩対応 阻止措置・結果是正を行わない、専門責任機関に協力しない 6,000万〜8,000万VND 第54条4項 体制 DPO(個人データ保護担当者)の指定文書を発行しない、学歴・実務2年の要件を満たさない者を指定 2,000万〜3,000万VND 第57条2項 監視カメラ 公共空間・顧客対応区域で録音録画の掲示・通知をしない 1,000万〜2,000万VND 第71条1項 監視カメラ 映像を商用利用・行動分析・顔認証プロファイリングに転用 3,000万〜5,000万VND 第71条2項 ※上記は主要な類型の抜粋です。原文には他の類型についても規定が置かれています。 個人データ保護法においては、罰金額の上限は定められていたものの、違反行為ごとの個別具体的な罰金額は定められていませんでした。政府令330の施行により、今後は取締りが強化される可能性があります。特に越境移転については、日系企業の通常の業務フローに組み込まれていることが多く、意図せず違反状態となっているケースが少なくありません。 当事務所では、個人データ保護法対応に関するアドバイスを行っております。お気軽にお問い合わせください。 情報ソース: サイバーセキュリティ及び個人データ保護の分野における行政違反処罰に関する政府令(政府令330/2026/NĐ-CP、2026年8月19日施行)/個人データ保護法(法律91/2025/QH15、2026年1月1日施行)/個人データ保護法施行政府令(政府令356/2025/NĐ-CP、2026年1月1日施行) 免責事項: 本記事の内容は2026年8月25日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。個別の案件については専門家にご相談ください。 C CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。
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ベトナム受益所有者(BO)規制改正|政令296の三段階基準と罰則強化
2025年7月にベトナムで受益所有者(Beneficial Owner, BO)規制が導入されてから約1年、2026年7月23日付の政令第296/2026/ND-CP号(以下「政令296」という)が公布・即日施行され、政令第168/2025/ND-CP号(以下「政令168」という)のBO関連規定が全面的に書き換えられました。あわせて、政令第288/2026/ND-CP号により制裁金の上限が1億ドンへ引き上げられています。本稿では、昨年の寄稿記事でご紹介した旧規制からの変更点と、日本企業に求められる対応を整理します。 政令296は政令168の改正政令であり、2026年7月23日から施行されています(政令296第22条第1項)。企業登録手続全般に及ぶ改正ですが、実務上最も影響が大きいのは、BOの認定基準を定める第17条と、その申告義務を定める第18条が丸ごと差し替えられた点です(政令296第3条・第4条)。 旧規定の下では、25%基準を満たす個人が存在しない企業について「該当者なし」として申告が完結し得ましたが、政令296は最終的な個人に到達するまで所有構造を遡ることを求めております。 旧政令168第17条第1項は、(a)25%以上の直接・間接所有、(b)重要事項に関する支配権のいずれか一方に該当すればBOと認定される並列型の基準でした。改正後第17条は、(1)所有基準 →(2)支配基準 →(3)最上位経営者、という優先順位で検討することを企業に義務づける段階構造に改められています。 「直接・間接・その双方の合算により、定款資本の25%以上または議決権付株式総数の25%以上を保有する個人」 旧規定は「直接または間接」の別建てでしたが、合算して判定することが明文化されました。 間接保有の経路として、他の組織に加えて「その他の法的取決め」が追加されました(旧第17条第2項は他の組織を通じた保有のみを想定)。 企業法第4条第22項の家族関係にある個人グループ、または契約に基づき共同で25%以上を保有する場合、グループ内の全員がBOとなります。 合名会社では、出資比率・議決権にかかわらず全ての合名社員がBOとなります。 企業における国家資本の代表者はBOから除外されます(改正後第17条柱書)。 第一段階に該当する個人がいない場合、または第一段階で特定した個人が実際にはBOではないと認めるべき根拠がある場合に検討します。列挙される支配権のうち、企業の財務・投資・事業方針の決定権が追加され、他方で法定代表者の任免権が削除されました(旧第17条第1項b号との対比)。株主間契約や定款上の予算・投資計画の承認権が、25%基準を満たさない個人をBOに引き上げる可能性がある点に注意が必要です。 第一・第二段階のいずれでも該当者が特定できない場合、企業を代表して行動する最大の権限を有する管理者を1名特定します(国家資本の代表者を除く)。すなわち、「該当者なし」で申告を終えることは原則としてできなくなりました。 改正後第18条第1項は、所有構造の各階層を順に精査し、最終的な所有権または支配権を有する個人に到達するまで遡ることを企業の義務として明記しました。所有構造にマネーロンダリング防止法上の法的取決めが含まれる場合、当該取決めのBOは同法に従って特定します。申告は改正後第18条第2項a号〜c号の順序に従います。 2026年7月21日付・同日施行の政令第288/2026/ND-CP号は、政令第122/2021/ND-CP号を改正し、BOに関する違反類型を新設しました。主な制裁金は図表のとおりです。 違反行為 制裁金 設立登記時にBO情報を申告しない 5,000万〜1億ドン 2025年7月1日前設立の企業が直近の変更登記・変更届出時にBO情報を補充しない 7,000万〜1億ドン BO情報の変更届出の遅延・不通知 遅延期間に応じて1,000万ドン以上7,000万ドン以下の罰金。 いずれもBO情報の補充・届出という是正措置が併せて課されます。特に留意すべきは、2025年7月1日前に設立された既存企業が、直近の変更手続の際にBO情報を補充していなければ制裁の対象となる点です。設立年次を問わず、すでに変更登記を経ている現地法人は提出済み書類の確認が必要です。 BO規制は、単なる登記実務ではなく、グループ全体の所有構造の透明性に関するコンプライアンス課題です。実務対応としては、①最終個人まで到達する所有構造図を作成し、三段階の順序で検討した過程を証跡として保存することが重要です。 情報ソース: 政令第296/2026/ND-CP号(2026年7月23日施行)/政令第288/2026/ND-CP号(2026年7月21日施行)/政令第168/2025/ND-CP号/政令第122/2021/ND-CP号 免責事項: 本記事の内容は2026年8月21日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。個別の案件については専門家にご相談ください。 C CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。
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- 2026.08.21
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ベトナムにおけるセクハラ対応 ~日系企業が見直すべき就業規則と初動対応~【寄稿のお知らせ】
お知らせ ベトナムに進出する日系企業において、セクシャルハラスメント対応の重要性が高まっています。近年は、ベトナム人従業員から日本人駐在員やベトナム人管理職に対する告発も見られます。これは単にトラブルが増えたというより、ベトナム人従業員側の権利意識が高まっている表れといえます。このたび、当事務所代表弁護士 工藤拓人が、ベトナム法上のセクハラの考え方と実務対応について解説した寄稿記事が、専門プラットフォーム「リンオペ」に掲載されました。 セクハラの定義 「職場」の範囲 就業規則への明記の必要性 セクハラに対する懲戒処分 通報を受けた後の初動 行政処罰とレピュテーション棄損等のリスク 日系企業がすぐに確認すべき実務対応 ベトナム法人の人事労務を担当される方 ベトナムの労働法規制を把握したい本社海外事業担当の方 ベトナムでは、セクハラ対応を人事マナーの問題としてではなく、就業規則の整備と手続の設計という労務コンプライアンスの問題として捉える必要があります。当事務所では、就業規則の改定、社内研修、通報窓口の整備をあわせてご支援しています。 掲載媒体: リンオペ(株式会社スタディスト運営)https://lean-operation.com/media/global/castglobal_2608/(公開日:2026年8月21日) 免責事項: 本記事及び寄稿記事の内容は2026年8月21日時点の情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。制度の詳細は今後変更される可能性があります。個別の案件については個別にご相談ください。 C CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。
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- 2026.08.21
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【2026年9月28日施行】ベトナムVNeID改正|外国人の「在留カード要件」が撤廃されます
速報 2026年8月13日、ベトナム政府は電子的識別及び電子的認証に関する政府令を改正する政令(政令320/2026/NĐ-CP、2026年9月28日施行)を公布しました。外国人のVNeID(電子的識別アカウント)取得要件から在留カードの保有が外れ、レベル1・レベル2の区分も撤廃されます。あわせて、統合済み書類の再提出要求の禁止と、電子取引アカウントの連携義務化という、日系企業の実務に直結する改正が入りました。ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、変更点と施行に向けた確認事項を整理します。 本稿のポイント 外国人のアカウント取得要件から一時在留カード(TRC)・永住カード(PRC)の保有が外れ、レベル区分も撤廃(改正後 第7条第2項) 国家識別アプリに統合済みの書類について、原本・写しの提出や提示を求めることが禁止(改正後 第4条第4項) 銀行・電子商取引・運送・旅行・医薬品など11分野の電子取引アカウントは、電子的識別アカウントとの連携・認証が義務化(改正後 第40条第9項) 既存アカウントの連携期限は2026年12月31日(銀行分野は2027年6月30日) 本記事は、2025年公開の「【ベトナム】外国人・外資系企業におけるVNeID登録の最新情報」のアップデート版です。以下では、改正法令を「政令320号」、改正対象法令である電子的識別及び電子的認証に関する政府令(政令69/2024/NĐ-CP、2024年6月25日公布)を「政令69号」と表記します。条番号は、特に断りのない限り改正後の政令69号のものです。 政令320号は、政令69号の一部条項を改正・補充するもので、施行日は2026年9月28日です(政令320号第20条第3項)。日系企業の観点から重要なのは、次の3点です。 外国人の取得要件の緩和(改正後 第7条) 統合済み書類の再提出要求の禁止(改正後 第4条第4項) 電子取引アカウントの連携義務化(改正後 第40条第9項・第10項) 項目 改正前(第7条第2項) 改正後(第7条第2項) 対象者 満6歳以上で、永住カード(PRC)又は一時在留カード(TRC)の交付を受けた外国人 ベトナムに合法的に入国した外国人、又はベトナムに合法的に在留する外国人 レベル区分 レベル1・レベル2の2区分(6歳未満はレベル1のみ) 区分なし 年齢要件 満6歳以上/6歳未満で区別あり 条文上、下限の定めなし 最大の変更点は、在留カードの保有が取得要件から外れたことです。従来は在留カードの取得を待たなければアカウントを作れませんでしたが、改正後は「合法的な入国」又は「合法的な在留」で足りることになります。 なお、レベル区分の廃止は外国人についてのものです。ベトナム国民については改正後 第7条第1項でレベル1・レベル2の区分が維持されています。機関・組織については、改正前後を通じてレベルの区別はありません(改正後 第7条第3項)。 外国人アカウントの機能面については、改正後 第9条第3項が「国家データベース・専門データベースから共有・統合・更新された情報と、システムの全機能・全ユーティリティ」にアクセスできると定めており、従来のレベル2に相当する扱いと読めます。 改正前は、外国人がレベル2アカウントを取得するには有効なTRC又はPRCが必要でした(改正前 第7条第2項)。他方、法人アカウントの取得には、法定代表者(又はその受任者)がレベル2アカウントを保有していることが前提とされています(政令69号第12条第1項。同条は今回改正されていません)。 そのため、設立直後でTRC未取得の日本人法定代表者は本人アカウントを取得できず、結果として法人アカウントも作成できないという問題が生じていました。改正後は在留カード要件が外れるため、この問題は条文上解消されます。 条文上は解消、ただし運用は要確認 第12条第1項は「自己のレベル2電子的識別アカウントを用いてログインし」という文言のままであり、外国人の「レベルなし」アカウントがこれに該当するかは条文上明示されていません。第9条第3項の趣旨からは該当すると解すべきですが、システム実装と窓口実務が追随するかは施行後の確認が必要です。 また、条文上は「合法的に入国した外国人」も対象となり得ますが、短期商用ビザでの入国者による申請が実際に受理されるかは、出入国管理当局の受付実務によります。 省級入国管理機関に出向き、旅券又は国際旅行に有効な書類を提示する(第1項) 様式TK01を提出する。携帯電話番号、メールアドレス(ある場合)、アプリケーションへの統合を希望する情報を記載する(第2項) 担当官が情報を入力し、顔写真・指紋を採取して出入国国家データベースと照合する。あわせて国家識別アプリのインストール・申告方法が案内される(第3項) 出入国管理機関がシステム管理運営機関に交付を要請する(第4項) 結果は国家識別アプリ、携帯番号又はメールで通知される(第5項) 14歳未満・被後見人・被代理人は代理人又は後見人と同伴で出頭する。申告には代理人・後見人本人名義の携帯番号を使用する(第6項) 改正前の第11条第1項にあった、アプリ上で完結する非対面ルート(レベル1)は条文上なくなりました。したがって、全ての外国人について窓口出頭と生体情報の採取が必要となります。委任状による代理申請を認める規定は、改正後も置かれていません。 申請先についても変更があります。改正前 第11条第2項aは「公安省出入国管理局又は省級公安」を掲げていましたが、改正後 第11条第1項は「省級出入国管理機関」のみとなりました。ホーチミン市・ハノイ市の受付体制については、施行後に管轄機関へ確認することをお勧めします。 区分 改正前 改正後 外国人・顔写真及び指紋が出入国国家データベースにある場合 レベル1:1営業日/レベル2:3営業日 2営業日(第3項a) 外国人・当該情報がない場合 レベル2:7営業日 5営業日(第3項b) 組織・照合情報が国家データベース等にある場合 3営業日 3営業日(第4項a・改正なし) 組織・照合情報がない場合 15日(暦日) 10営業日(第4項b) 改正後 第4条第4項は、行政手続・公共サービス・民事取引その他の場面において、国家識別アプリに統合済みの情報・書類につき、原本又は写しの提出・提示を求めてはならないと定めました。あわせて、同アプリ経由のオンライン行政手続については手数料・料金の免除・軽減が規定されています(具体的な範囲は改正後 第36条第4項に基づき別途規定)。 統合の対象となる書類は、政令320号第20条第2項により付表としてリスト化されました。 リスト1(個人向け・66種類):一般旅券、査証、外国人の永住カード・一時在留カード、居住情報確認証明書、運転免許証 など リスト2(機関・組織向け・140種類):企業登録証明書(ERC)、条件付事業許可証 など 駐在員の在留・行政手続と、法人側の許認可書類が、段階的に電子的識別アカウントへ集約されていく方向です。「紙の写し+公証」を前提とした社内フローや、契約書上の提出書類条項は中期的な見直しの対象となります。 ただし、統合はデータベース連携が完了した書類から順次進むため(改正後 第8条第1項・第2項)、施行日から一斉に全種類が使えるわけではありません。 事業への影響という点では、政令320号第19条により追加された第40条第9項・第10項が最も重要です。 第9項は、ベトナム国内の以下の分野に関するデジタルプラットフォーム上の電子取引アカウントについて、電子的識別アカウントとの連携及び認証を行わなければならないと定めています。 連携・認証が義務付けられる分野 教育・デジタルリテラシー/証券/通信/銀行/電子商取引(電子商取引法に定める販売者、ライブコマース実施者、アフィリエイトマーケター)/電子インボイス/運送事業/旅行事業/医薬品事業/診療・治療/ソーシャルネットワーク 第10項は、上記以外の分野について、各大臣・省庁級機関の長が、利用前に連携・認証が義務付けられるオンライン取引の具体的リストを公布すると定めています。今後、所管省庁ごとに対象範囲が拡張されていく可能性があります。 対象 期限 国家デジタルプラットフォーム(認証・ログイン・取引実施への電子的識別アカウントの統合) 2026年12月31日 第40条第9項の電子取引アカウントのうち、施行日前に作成済みのもの(銀行分野を除く) 2026年12月31日 同上のうち銀行分野 2027年6月30日 既に交付済みのレベル1・レベル2アカウントが施行後にどう扱われるか(自動的に区分が解消されるのか、経過措置が置かれるのか)は、公布された条文からは明らかではありません。政令320号第20条に関連する経過規定は置かれていないため、当局のガイダンスを確認する必要があります。 また、改正後 第7条第2項も「必要がある場合に」と定めており、条文上は一律の取得義務ではありません。もっとも、改正後 第40条第9項の連携義務や行政手続の電子化が進むほど、事実上の必要性は高まっていくと考えられます。 ベトナムの携帯電話番号を保有しているか確認する(様式TK01で記載が必要) TRC未取得の法定代表者について、施行後の申請可否を管轄公安に確認する 窓口出頭と生体情報採取が必要となるため、出張・帰任スケジュールに余裕を持たせる 自社の事業が改正後 第40条第9項の列挙分野に該当するかを整理する 該当する場合、2026年12月31日(銀行分野は2027年6月30日)までの連携計画を策定する 「紙の写し+公証」を前提とする社内フロー、及び契約書上の提出書類条項を棚卸しする 法人アカウント取得の前提となる法定代表者個人のアカウント保有状況を確認する 当事務所では、駐在員の在留手続及び現地法人の許認可管理の観点から、施行後の運用を注視してまいります。 参照法令: 電子的識別及び電子的認証に関する政府令を改正する政令(政令320/2026/NĐ-CP、2026年8月13日公布・2026年9月28日施行)/電子的識別及び電子的認証に関する政府令(政令69/2024/NĐ-CP、2024年6月25日公布) 免責事項: 本記事の内容は2026年8月21日時点で公布されている法令に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。施行後の当局運用により取扱いが異なる可能性がありますので、実務対応の前に最新情報をご確認ください。 C CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。