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【ベトナム】2025年のテト休暇(Tet Holidays)について

コラム
2024.07.25
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【ベトナム】2025年のテト休暇(Tet Holidays)について

ベトナムでは太陰暦に基づき、年末年始の休暇であるテト休暇(Tết Âm lịch)の日付が決められ、労働法上5日間の祝日と規定されています。西暦での日付は毎年変わりますが、2025年は、太陽暦の1月28日(火)が大晦日、1月29日(水)が元日となります。 1月27日(月):旧暦大晦日前日 1月28日(火):旧暦大晦日 1月29日(水):旧暦元日 1月30日(木):テト2日目 1月31日(金):テト3日目 2月1日(土):テト4日目 2月2日(日):テト5日目 今回、平日に大晦日・元日があり、平日が5連休となると、土日を合わせて9連休となる方も多くなる可能性があります。 ※労働法上「週休日が祝日・正月と重なる場合、労働者は次の営業日に週休の振替休日を付与される」とされている。 正式にどの5日間がテト休暇になるのかについては、別途、公的機関・民間企業に適用される規定が公布される予定です。 例年11月などの年の後半に公布されるため、発表があり次第アップデートしたいと思います。   参考: 【ベトナム】2024年のテト休暇(Tet Holidays)、建国記念日(国慶節)について

【ベトナム】新住宅法及び新不動産事業法の重要な改正点(2024年8月1日施行)

コラム
2024.07.23
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【ベトナム】新住宅法及び新不動産事業法の重要な改正点(2024年8月1日施行)

ベトナム国会は、2023年11月27日に住宅法No. 27/2023/QH15(以下「新住宅法」といいます。)、2023年11月28日に不動産事業法No. 29/2023/QH15(以下「新不動産事業法」といいます。)を可決しました。新住宅法及び新不動産事業法は2025年1月1日に発効しますが、2024年8月1日に早期に発効する予定となりますので、いくつかの重要な改正点について説明したいと思います。 新住宅法では、個人が小規模アパート (min とも呼ばれ、住宅が2 階以上で各階にアパートがあり、又は2 階以上で20 戸以上のアパートの規模がある) を建設して、販売又は賃貸したい場合、住宅建設プロジェクトの投資家の条件を満たす必要があると規定しています。この住宅の種類に対する技術基準は、集合住宅の一般規定に従います。 安全と秩序、防火と消火、技術的インフラストラクチャ等に関する条件を満たし、管轄当局によって承認された設計に従って設計が保証されるアパートは、各アパートに対して住宅所有権証明書が発行されます。この不動産商品は、不動産事業法及び住宅法の規定に基づいて不動産市場における取引にも参加することができます。(新住宅法第57条) そのため、新住宅法では、住宅所有権証明書の発行及び法律の規定に基づく販売・賃借り満期購入、賃貸の許可を通じて、各ミニアパートの個別的所有権を認める法的根拠がありました。 以前、住宅法の草案では、集合住宅の所有期間の規定に関する提案がありました。しかし、新住宅法は集合住宅の所有期間を規定しておらず、使用期間のみを規定しています。集合住宅の使用期間は、設計書類に基づいて確定され、集合住宅の実際の使用期間は権限を有する機関の検定結果に基づきます。(新住宅法第58条) 2014 年の住宅法では、商業住宅プロジェクトにおける社会住宅用の土地の手配の要求が具体的に規定されていません。 しかし、新住宅法の第 83 条は、「省級人民委員会が承認された省級の住宅開発プログラム・計画に従って、社会住宅開発用の十分な土地を手配しなければならない」と明確に規定しています。 また、特級、第一級、第二級及び第三級の各都市においては、政府の規定に基づき、省級人民委員会は、商業住宅建築プロジェクトの投資家が技術的インフラストラクチャシステムの建設投資済みのプロジェクトの土地の一部を、社会住宅を建築するために確保しなければならないことを決定することとされています。 2014 年の住宅法では、「投資家が、社会住宅の建築投資のために国家から交付又は賃貸を受けた土地について土地使用料、借地料の免除を受ける」と規定しています。しかし、実務上は、免除手続きを実施する前に土地価格の確定、土地使用料・借地料の計算等の手続きを待たなければならない投資家もいます。 新住宅法では、投資家がプロジェクトの土地の全部について土地使用料、借地料の免除を受けることとされます。また、投資家は、地価の確定、免除された土地使用料・借地料の計算等の手続き、土地使用料・借地料の免除申請手続きを行う必要がありません。(新住宅法の第85条2項a号) 新住宅法の新しい点は、投資家が社会住宅建設面積の建設投資費用総額の最大10%の利益を享受し、また、サービス事業・商業施設や商業住宅への投資のために技術的インフラストラクチャシステムの建設投資済みのプロジェクト範囲内の宅地総面積の最大20%を使用できることです。 社会住宅建設投資プロジェクトの投資家は、個別に会計処理され、そのサービス事業・商業施設や商業住宅の建設投資費用を社会住宅の価格に入れて計算することができず、そのサービス事業・商業施設や商業住宅の面積に対する利益をすべて享受することができます。(新住宅法の第85条2項c号、d号) 2014 年の住宅法によれば、社会住宅の賃借り満期購入者、買主は、住宅の賃借り満期購入金額・購入金額の全額支払い時点から最低 5 年間以内に住宅を転売することができません。 買主、賃借り満期購入者が住宅の購入金額・賃借り満期購入金額を全額支払った日から 5 年以内に当該住宅の売却を希望している場合、当該社会住宅の管理部局にのみ転売することができ、当該部局が購入しない場合、社会住宅を購入できる対象者に該当する者に対し、同じ売却地点、同じ場所における同種の社会住宅の売却価格と等しい最高売却価格で売却することができます。 新住宅法の第 89 条によれば、買主、賃借り満期購入者が、5 年以内に、建設投資プロジェクトの投資家にのみ転売するか、又は社会住宅を購入できる場合に該当する対象者に対し、建設投資プロジェクトの投資家との売買契約における当該社会住宅の売却価格と等しい最高売却価格で転売することができます。   現行の法律では、将来形成不動産の購入、売却又は賃借り満期購入の場合におけるデポジットについて具体的に規定していません。 新不動産事業法の第23条5項によれば、不動産プロジェクトの投資家は、事業用の条件を全て満たした将来形成の住宅・建物の売却・賃借り満期購入の価格の5%を超えないデポジットのみを取得することができます。 新不動産事業法では、将来形成の住宅・建物の売買に関する支払いが複数回で行われ、初回の支払いがデポジットを含んだ契約金額の30%を超えないと明記されていました。2014年の不動産事業法では、初回の支払いが契約金額の 30%を超えないことのみを規定しています。 また、将来形成住宅の賃借り満期購入の場合における支払率が現在の70%から50%に引き下げられます。具体的には: 将来形成の住宅・建物の賃借り満期購入に関する支払いが複数回で行われ、初回の支払いがデポジットを含んだ契約金額の30%を超えません。 次回の支払いが、住宅・建物を顧客に引き渡すまで、建設の進捗状況に応じて行われなければならず、購入賃貸人への前払金が、賃借り満期購入をした住宅・建設の価値の 50% を超えません。(現在は70%) 新不動産事業法の第 9 条は、個人・組織が不動産事業活動に参加するための具体的な条件を追加しました。そのうち、小規模な不動産事業を行う個人が企業を設立する必要がありません。しかし、当該個人が規定に従って税金の確定申告及び納税を行う必要があり、以下の条件を満たさなければなりません。 十分な民事行為能力を有すること。 刑事責任を追及されず、勾留されず、懲役刑を執行中ではない、強制麻薬中毒治療施設・矯正教育施設で行政処分を執行されず、裁判所により不動産事業を行うことを禁止されないこと。 政府は、不動産の各種類の数量・価値に関する小規模な不動産事業を確定するための詳細な規定を発行します。 2014年の不動産事業法によれば、不動産仲介サービス事業を営む組織・個人は企業を設立しなければならず、不動産仲介士資格認定証を保有する者が少なくとも 2 人いなければなりません。 しかし、新不動産事業法によれば、不動産仲介サービス事業を営む組織・個人は、不動産仲介士資格認定証を保有する者 1人のみを有する必要があります。 2014年の不動産事業法の第62条2項によれば、個人は独立して不動産仲介サービス事業を営む権利を有するが、不動産仲介士資格認定証を保有し、税に関する法律の規定に従って納税を登録しなければなりません。 しかし、新不動産事業法の第61条2項によれば、不動産仲介を行う個人は、次の条件を満たさなければなりません。 不動産仲介士資格認定証を保有すること。 不動産取引所サービス業を営む企業又は不動産仲介サービス業を営む企業において職業を営むこと。 これは、現在のように個人が自由に不動産仲介業務を行うことができないことを意味します。 新不動産事業法の第 47 条は、不動産・不動産プロジェクトの取引における支払いが契約書における当事者によって合意され、法律の規定に従うと規定しています。 プロジェクトの投資家、不動産業を営む企業、不動産サービス業を営む企業は、顧客から口座を通じて不動産事業契約、不動産サービス事業契約に基づく支払い金額を受け取ります。同法の第 62 条 1 項によれば、不動産仲介業務を行う個人は、不動産取引所又は不動産仲介サービス業を営む企業から報酬や手数料を受け取ることができます。そのため、不動産仲介の報酬や手数料はすべて振り込まれます。 新不動産事業法の第 31 条では、次のいずれかに該当する場合、自分で住宅を建設する個人に土地使用権を譲渡することができないと規定しています。 特級、第一級、第二級及び第三級の都市の区、地区、市に属する場合 土地法の規定に基づき、住宅建設プロジェクトに投資するために土地使用権を競売する場合 残りの地域については、省級人民委員会が地方の状況に基づいて、プロジェクト投資家が個人が自分で住宅を建設するための技術的インフラを備えた土地の使用権を譲渡することができる地域を確定します。 そのため、新しい規定は、第 三 級の都市の地区に対して土地の分割及び分割された土地の販売を許可しません。 現在、政令 43/2014/ND-CPの 第 41 条 2 項(政令 148/2020/ND-CPの第 1 条 17 項により改正)によれば、以下の地域において土地の分割及び分割された土地の販売が禁止されています。 特級都市及び中央直轄第1級都市の地区 景観建築に関する要求が高い地域、都市内の建築上のハイライトである建物の中心地域及びその周辺地域 地域レベル以上の道路及び都市内の主要な景観道路の間口        

【ベトナム】2024年土地法の重要な改正点(2024年8月1日施行)

コラム
2024.07.22
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【ベトナム】2024年土地法の重要な改正点(2024年8月1日施行)

ベトナム国会は、2024年1月18日に2024年の土地法(以下「改正土地法」といいます。)を87.63%の賛成多数で可決しました。 改正土地法は2025年1月1日より効力を有するとされていましたが、政府の決議84/NQ-CPにより2024年8月1日から発効することとなりました(以下の例外を除く)。 なお、土地法の第252条2項(第190条と第248条が2024年4月1日から発効する)及び3項(第60条9項が決議 61/2022/QH15 の失効日から発効する)を除きます。また、土地法の第253条、第254条(4項及び5項を除く)、第255条(8項を除く)、第256条(2項及び4項を除く)、第257条(1項を除く)、第258条、第259条、第260条(12項、14項及び15項を除く)は、2025年1月1日から発効するとされています。 以下、最新の重要な改正点について説明したいと思います。 改正土地法の第177条1項によれば、個人の農地使用権の譲受限度は、本法の第 176 条1 項、2 項及び3 項に規定される土地の種類ごとに個人の農地交付限度の 15 倍を超えてはなりません。 現在、2013年の土地法の130条によれば、家族世帯、個人の農地使用権の受譲限度は本法の第 129 条1 項、2項及び3 項に規定される土地の種類ごとに家族世帯、個人の農地交付限度の 10 倍を超えてはなりません。   改正土地法は土地価格枠に関する規定を廃止しました。 2013年の土地法の第113条では、土地価格枠について以下のとおり規定しています。 政府は土地種類毎に、地域毎に土地価格枠を 5 年毎定期的に発行する。ある土地価格枠の適用期間において市場上の一般的な土地価格が、土地価格枠の最高価格より 20%以上上がり、又は最低価格より 20%以上下がる場合、政府が土地価格枠を合わせて調整する。 改正土地法の第 159 条3 項によれば、省人民委員会は、最初の土地価格表を作成し、2026 年 1 月 1 日からの発表及び適用に向けて、決定のために同級の人民評議会に提出します。なお、毎年、省人民委員会は、翌年 1 月 1 日からの公表及び適用に向けて土地価格表の調整・改正・補足を決定するために、土地価格表を省人民評議会に提出する責任を負います。 現在、2013 年の土地法の第 114 条 1 項によれば、土地価格表は 5 年ごとに定期的に作成され、期間の初年度の 1 月 1 日に公表・公開されます。 改正土地法の第158条5項によれば、5つの土地評価方法は以下を含みます。 - 比較方法 - 収入方法 - 余剰方法 - 地価調整係数の方法 - 政府が、国会常務委員会の同意を得た後に、上記4つの方法以外の土地評価方法を規定します。 現在、2013 年の土地法は土地評価方法を規定していません。 土地評価方法は、政令 44/2014/ND-CP の第 4 条に規定されており、直接比較の方法、控除方法、収入方法、余剰方法、地価調整係数の方法が含まれることとされています。 改正土地法の第153条2項によれば、毎年の借地料は、国家が土地を賃貸し、借地料の年払いの形式への変更に伴う土地の使用目的の変更を許可することを決定した時点から5 年周期で安定的に適用されます。 次の周期の借地料は、借地料を確定する次の年の土地価格表に基づいて計算されます。前周期と比較して借地料が上昇した場合、支払うべき借地料が調整されるものの、政府が各段階に規定した比率を超えません。 政府が各段階に規定する調整率は、過去 5 年間の全国の毎年の消費者物価指数 (CPI) の総合指数を超えません。   改正土地法の第 4 条では、土地使用者に関する規定があるものの、家族世帯が含まれません。また、改正土地法は、土地使用家族世帯を次のように定義しています。 「土地使用家族世帯とは、国家が本法の発効日(2025年1月1日)前に土地を交付・賃貸し、土地使用権を公認し、土地使用権の譲渡を受取する時点において同居し、土地共同使用権を持つ婚姻家庭に関する法令の規定に従う婚姻・血縁・養育関係を持つ者である。」 上記の規定に基づき、2025 年 1 月 1 日以降、改正土地法は、土地を家族世帯を交付しないこととなります。 2013 年の土地法の第 5 条によれば、土地使用者には家族世帯が含まれています。   改正土地法によれば、「レッドブック」や「ピンクブック」の正確な名称は「土地使用権、土地に付随する資産の所有権の証明書」といいます。 以前は、「レッドブック」や「ピンクブック」の正確な名称は以下の通りです。 2009 年 12 月 10 日から 2023 年 12 月 31 日までの間、「レッドブック」や「ピンクブック」の正確な名前が「土地使用権、住宅及び土地に付随する他の資産所有権の証明書」といいます。 (法令 88/2009/ND-CP、通達17/2009/TT-BTNMT、2013年の土地法に基づく) それ以前は、「レッドブック」や「ピンクブック」は「住宅所有権及び土地使用権の証明書」又は「土地使用権の証明書」と呼ばれていました。(1994 年 7 月 5 日付けの政令 60-CP、政令 90/2006/ND-CP、政令 64-CP、通達 346/1998/TT-TCĐC に基づく)   改正土地法の第 249 条は、非農地使用税の計算における01 平方メートルの価格に関する2010 年の非農地使用税法の第 6 条 3 項を次のように改正しました。 「1平方メートルあたりの土地価格は、使用目的に応じた土地価格表に基づくものであり、5年周期で安定する。」 2010 年の非農地使用税法の第 6 条 3 項によれば、1 平方メートルあたりの土地価格は、省・中央直轄市の人民委員会が規定する使用目的に応じたものであり、 2010 年の非農地使用税法の発効日から 5 年周期で安定します。   改正土地法の第 247 条によれば、不動産譲渡による課税所得は、各回ごとの譲渡価格として確定され、土地使用権を譲渡した場合、課税所得は土地価格表の土地価格に基づいて計算されます。 2007 年の個人所得税法の第 14 条1 項 (2014 年改正)によれば、不動産譲渡による課税所得は、各回ごとの譲渡価格として確定されます。   改正土地法の第236条5項によれば、土地に関連する商業活動から生じる当事者間の紛争は、民事訴訟に関する法律の規定に従って裁判所によって解決されるか、又は商事仲裁に関する法律の規定に従ってベトナムの商事仲裁によって解決されます。 2013年の土地法の第203条によれば、土地に関する紛争の解決権限は、人民委員会及び裁判所に帰属します。   財務的圧力を軽減するために、改正土地法の第120条2項によれば、国家が土地を賃貸し、賃貸期間全体に一回借地料を徴収する場合が、以下に限定されました。 農業・林業生産、水産物養殖、製塩の投資プロジェクトの実施のための土地の使用 工業団地、工業クラスター、ハイテクパーク地区、工業団地内における労働者の宿泊施設等の土地の使用、商売目的を目指す公共目的に使用される土地、旅行やオフィス事業のための商売・サービス用土地の使用 住宅に関する法律の規定に基づく賃貸社会住宅の建設のための土地の使用 なお、改正土地法の第120条3 項によれば、以下の場合において、国家が土地を賃貸し、借地料を毎年に徴収します。 上記の規定に該当しない場合 上記の規定に該当するものの、借地料の年払いを希望する場合 公的事業単位が本法の第 30 条 3 項の規定に従って土地賃貸借の形式を選択する場合。 現在、2013年の土地法の第56条は以下のとおり規定しています。 1.以下の場合において、国家は土地を賃貸し、借地料を毎年に徴収するか又は賃貸期間全体に一回借地料を徴収する。 a)     家族世帯、個人が農業・林業生産、水産物養殖、製塩のために土地を使用する場合 b)    家族世帯、個人が引き続き本法第 129 条に定められている限度を超えた農地を使用する需要がある場合 c)     家族世帯、個人が商売・サービス用土地、鉱業用土地、建設材料・陶器生産用土地、非農業生産事業所用土地を使用する場合 d)    家族世帯、個人が商売目的を目指す公共工事を建設するために土地を使用する場合 e)     経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が農業・林業生産、水産物養殖、製塩の投資案件用土地、非農業生産・経営用土地、商売目的を目指す公共工事建設用土地、賃貸住宅の投資案件実施用土地を使用する場合 f)      経済組織、財政独立の公立事業組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が事業工事の建設に土地を使用する場合 g)    外交機能を持つ海外組織が事務所の建設に土地を使用する場合 2.       農業・林業生産、水産物養殖、製塩に土地を使用し、又は農業・林業生産、水産物養殖、製塩を国防・安寧の任務と結合し、土地を使用する人民武装単位に対して、国家は土地を賃貸し、借地料を毎年に徴収する。」 また、改正土地法では、土地を賃借し、借地料を毎年に支払う場合の土地賃貸借契約における「賃借権」に関する規定が追加されました。この規定によれば、土地使用者は土地賃貸借契約における賃借権を譲渡することができ、土地賃貸借契約における賃借権の譲受人は、本法及びその他関連法令の規定に従って土地使用者の権利及び義務を承継することができることとされました。(改正土地法の第3条37項)   改正土地法の第30条によれば、国家から土地を賃借し、借地料を毎年に支払っているものの、本法の規定に基づく国家が土地を賃貸し、賃貸期間全体に一回借地料を徴収する場合に該当する経済組織、公的事業単位、個人、海外定住ベトナム系人、外資系の経済組織は、残りの賃借期間の一括払いに変更することを選択することができます。 なお、国家が土地を賃貸し、賃貸期間全体に一回借地料を徴収する経済組織、個人、海外定住ベトナム系人、外資系の経済組織は、年払いへの変更を選択することができます。 2013年の土地法の第172条2項では、「年払いで借地料を収納する形で国家から土地を賃貸された経済組織、財政自主公立事業組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は、賃貸期間全体の一括払いで借地料を支払うことに変更できる」とのみ規定しています。   2023年の住宅法と一致するために、改正土地法は次のように明確に規定しました。 改正土地法の第127条によれば、商業住宅建設投資プロジェクトを実施するために土地を使用する場合、宅地使用権の受け取りについてのみ合意することができます。 土地使用権を既に持っている場合、商業住宅建設投資プロジェクトを実施するために、「宅地使用権」又は「宅地及びその他の土地の使用権」のみが許可されます。 2023年の住宅法の第36条は以下のとおり規定しています。 「 1.  商業住宅建設投資プロジェクトの投資家は、本法の第 35 条 2 項 a号 及びc号 に規定される条件を満たし、本条2 項又は 3 項に規定される場合のいずれかに該当する不動産企業でなければならない。 2.  土地使用権の競落、土地を使用するプロジェクトを実施するための投資家の選択入札の落札により、土地を交付され、土地を賃貸する場合、又はその他、投資に関する法律の規定に基づくオークション又は入札を開催するときに投資家承認を受けた場合 3.  投資家が土地法の規定に基づき商業住宅建設投資プロジェクトの実施が許可される土地の種類に対する土地使用権の受け取りに関する合意を通じて土地使用権を取得したか、又は商業住宅建設投資プロジェクトの実施が許可される土地の種類に対する土地使用権を持っているときに商業住宅建設投資プロジェクトの投資家として投資方針承認及び投資家承認を受けた場合」 現在、政府は、土地使用権の受け取りに関する合意を通じて又は宅地ではない土地の土地使用権を持っている商業住宅プロジェクトの実施の試験に関する国会の決議の作成を提案するために2024年5月27日付けの決議No.80/NQ-CPを発行しました。 この決議には次の 2 つの政策が含まれることを予定しています。 政策は、不動産企業が、商業住宅プロジェクトを実施するために土地に関する法律の規定に基づく土地使用権の譲渡条件を満たした改正土地法の第9条に基づく各種類の土地の使用権の受け取りを合意することを許可します。 政策は、土地使用権を持っている不動産企業が、農地、宅地ではない非農地に対して商業住宅プロジェクトを実施することを許可します。

【ベトナム労務】2024年7月1日からの最低賃金の変更について

コラム
2024.07.03
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【ベトナム労務】2024年7月1日からの最低賃金の変更について

政府は、2024年6月30日に、労働契約に基づき働く労働者の最低賃金を規定する政令第74/2024/ND-CP号を発行し、当該政令が2022年6月12日付け政令第38/2022/ND-CP号に代わるものであり、2024 年7月1日から発効します。 国家賃金評議会の提案と同様に、政令第74/2024/ND-CP号によれば、労働者の最低賃金は、月額20万ドン~28万ドンに引き上げられ、現在受け取っている賃金と比較して約6%の増加に相当します。 具体的には、政令第74/2024/ND-CP 号の第 3 条 1 項は、2024 年 7 月 1 日から新しい地域別最低賃金を次のとおり規定しています。 地域 月額最低賃金 (単位:VND/月) 時間額最低賃金 (単位:VND/時間) 第1地域 4,960,000 23,800 第2地域 4,410,000 21,200 第3地域 3,860,000 18,600 第4地域 3,450,000 16,600   上記の最低賃金の引き上げに加えて、政令第74/2024/ND-CP 号は、低い地域別最低賃金を享受している地域の一部をより高い地域別最低賃金を享受する地域に調整しました。具体的には、以下のとおりです。 以下の地域が第2地域から第1地域に変更します。 – Quang Ninh県:Uong Bi市、Mong Cai市 及びQuang Yen, Dong Trieu – Hai Duong県:Hai Duong市 – Dong Nai県:Thong Nhat町 – Long An県:Tan An市 及びDuc Hoa, Ben Luc, Can Giuoc これらの地域で働いている労働者は、4,160,000 VND/月から4,960,000 VND/月の月額地域別最低賃金が適用されます。 以下の地域を第3地域から第2地域に変更します。 – Hai Duong県:Chi Linh市、Kinh Mon 及びCam Giang、Binh Giang、Tu Ky、Gia Loc、Nam Sach、Kim Thanh – Thanh Hoa県:Thanh Hoa市、Sam Son市 及び Bim Son、Nghi Son – Khanh Hoa県:Ninh Hoa – Dong Nai県: Tan Phu、Cam My – Long An県: Kien Tuong – Soc Trang県:Soc Trang市 – Bac Giang県:Viet Yen, Yen Dung – Thai Binh県:Thai Binh市 これらの地域で働いている労働者は、3,640,000 VND/月から4,410,000 VND/月の月額地域別最低賃金が適用されます。 以下の地域を第4地域から第3地域に移動します。 – Hai Duong県:Ninh Giang、Thanh Mien、Thanh Ha – Thanh Hoa県: Trieu Son、Tho Xuan、Yen Dinh、Vinh Loc、Thieu Hoa、Ha Trung、Hau Loc、Nga Son、Hoang Hoa、Nong Cong – Ninh Thuan県:Ninh Phuoc ​- Thai Binh県: Thai Thuy、Tien Hai これらの地域で働いている労働者は、3,250,000 VND/月から3,860,000 VND/月の月額地域別最低賃金が適用されます。 最低賃金については労働法(法律:45/2019/QH14)に以下の規定が存在します。 第91 条 最低賃金額 1 最低賃金額とは、経済・社会の発展状況に応じた、労働者とその家族の最低限度の生活水準を保障するために、通常の労働条件の下で最も単純な業務を行う労働者に対し支給される、最も低い賃金額である。 2 最低賃金額は地域ごとに定められ、時給・月給で決定される。 3 最低賃金額は、労働者及びその家族の最低限度の生活水準、最低賃金額と市場の賃金額との相関、消費者物価指数、経済成長の速度、労働需給関係、雇用及び失業、労働能率、企業の支払能力に基づき調整される。 4 政府は、本条の詳細を定め、国家賃金評議会の勧告に基づき最低賃金額を決定し、公表する 上記の規定に従い、最低賃金は物価水準等に応じて第1から第4の地域ごとに規定されます。最低賃金の決定過程については、草案が国家賃金評議会により審議され、了承を得た草案が首相府に提出されます。そして首相の最終判断を経た後、政令の形式で発布されます。 労働法によれば、賃金とは以下のように定義されています。 第90 条 賃金 1. 賃金とは、業務を実施するために、合意に基づき、使用者が労働者に対して払う金員であり、業務又は職位に応じた賃金額、手当その他の補助からなる 法文の原文も確認すると賃金とは、基本給(mức lương)、手当(phụ cấp lương)、その他の支給金(các khoản bổ sung khác)の三つにより構成されていると理解できます。 政令90/2019/ND-CP号の規定をみると、最低賃金では、mức lươngという用語を使用しているので、手当金を除いた基本給が最低賃金として予定されていると理解できます。そのため、手当金等を除いた基本給が最低賃金額を下回ってはいけないことになりますので、この点注意が必要です。

ベトナムのVAT税率減少(VAT8%の軽減税率の継続)とVietnam Airlinesの支援策について

コラム
2024.07.01
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ベトナムのVAT税率減少(VAT8%の軽減税率の継続)とVietnam Airlinesの支援策について

ベトナム国会は2024年6月29日に第7回会期で重要な決議を採択しました。この決議には、いくつかの注目すべき経済政策が含まれています。その中でも特に重要なのは、付加価値税(VAT)の減少と、Vietnam Airlinesへの支援策です。 VAT税率の減少 国会は2024年末まで一部の商品のVAT税率を10%から8%に引き下げることを決定しました。この措置は、証券、保険、銀行、不動産などの特定の業種を除いたほとんどの物品やサービスに適用されます。 •対象外の業種: 不動産、証券、銀行サービス、通信、情報技術、コークス、化学製品、特定消費税の対象となる物品やサービス。 •適用範囲: 輸入、生産、加工、取引の各段階において一律に適用。 •除外事項: VATが課されない、または5%のVATが適用される商品やサービスは現行の法律規定に従い減少の対象外。 この政策により、国民は生活費を節約でき、消費が刺激されると期待されています。政府は、この措置により2024年後半の税収が約24,000億VND(約4,000億VND/月)減少すると予測していますが、それでも経済全体の活性化を目指しています。 Vietnam Airlinesへの支援策 同時に、Vietnam Airlinesに対する支援策も決議されました。国家銀行は、Vietnam Airlinesの4,000億VNDの再融資ローンの返済期限を3回まで自動延長することを決定しました。延長期間は最初の再融資期間と同じ長さで、合計延長期間は最大5年となります。この措置は、COVID-19の影響で経済的困難に直面している航空会社の短期的な流動性をサポートするものです。 •延長期間: 各延長期間は最初の再融資期間と同等。 •総延長期間: 最大5年(過去2回の延長を含む)。 •返済義務: Vietnam Airlinesは、2024年7月から12月までの間に全ての元本を返済する義務があります。 政府は、この支援策が効果的に実施されるよう、関連機関や企業に対して厳格な監視と報告を求めています。さらに、Vietnam Airlinesの包括的な再構築計画を早急に策定し、持続可能な発展に向けた解決策を講じるよう指示しています。 経済全体への影響 これらの政策は、ベトナムの経済成長を支える重要な施策として決議されたものです。 VATの軽減税率は、コロナ禍後に導入され(一時の取りやめを経て)継続しています。今回も6月30日に10%に戻る直前での再継続で、事業者にとっての混乱はあるものの、経済全体にポジティブな影響を与えることが期待されています。これからの数ヶ月間で、これらの政策がどのように実行され、どのような成果を上げるか注目されます。   参考(前回延長時の記事): 【ベトナム】VAT減税の延長とグローバルミニマム課税についての国会決議

【ベトナム労務】日本人従業員のベトナム入国から労働契約締結までの法的手続の概要

コラム
2024.06.12
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【ベトナム労務】日本人従業員のベトナム入国から労働契約締結までの法的手続の概要

WP を申請せずに入国ビザを取得したい場合は、出張目的で DN1 または EV ビザを申請できます。 ビザの期間は1 年を超えてはなりません。 (統合文書 30/VBHN-VPQH (以下「統合文書」といいます) 第 9.4 条、第 31.1 条(a))。 ベトナム企業は、ベトナムの入国管理局にビザ申請書を提出することで外国人の保証人となり、外国人は日本のビザ発給機関でビザを受け取ります。手順は次のとおりです。 ■手順: ステップ 1: ビザを申請します。 No. ビザ申請書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠 1 事業登録証明書、投資登録証明書(認証謄本) 入国管理局 統合文書第 10 条、第 16.7 条;   通達No.31/2015/TT-BCA第3.1条 2 組織の権限のある人の印鑑と署名を説明する文書(右記のフォームに記載等を行ないます) 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム NA16 3 申請書 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム NA2 または 入国管理に関する国家 Web ポータルにてオンライン手続ができます。 すべての書類の提出から 5 営業日以内に、入国管理局から結果の通知が送信されます。 次に、日本のベトナムビザ発給機関でビザを受け取ります。 ステップ 2: 日本のベトナムビザ発給機関でビザを受け取ります。 No. ビザ取得書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠 1 ビザ申請申告書 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム  NA1 ベトナムの海外駐在員事務所 (在日ベトナム大使館・在大阪ベトナム総領事館・在福岡ベトナム総領事館) 統合文書; 通達No.04/2015/TT-BCA 2 パスポート   期間は90日以内です(統合文書第9条2、第31条1項(a))。 ビジネス目的で使用できます。 手順 (通達No.22/2023/TT-BCA): ステップ1:公安省のポータル(https://dichvucong.bocongan.gov.vn/、または https://e-services.mps.gov.vn/)にアクセスして、電子ビザ申請情報を入力し、写真とパスポートIDページをアップロードします。 この手順を実行すると、システムによってコードが発行されます。 ステップ2:コードを受け取った後、ビザ発給手数料を支払います。 ステップ3: 電子ビザ発行の結果を印刷します。 なお、日本人であれば45日間はビザが免除されます(決議128/NQ-CP第1条)ので45 日間滞在期間中にビザを申請することも可能です。   「国内異動」(政令No.152/2020/NĐ―CP第2.1(b)条)の形でWPの取得に必要な条件と手続: 雇用局または雇用サービスセンターのウェブサイトに外国人労働者が就労予定の業務にベトナム人労働者を募集する告知を15日間行う。雇用者は、この告知によってもベトナム人労働者を採用することができなかった場合に限り、外国人労働者雇用の報告を進めることができる。(政令70/2023/NĐ-CP第2条) 外国人労働者の雇用の承認文書の取得: 提出すべき書類:外国人労働者の雇用の必要性を説明する文書 フォーム:政令 70/2023/NĐ-CPフォーム01/PLI 労働傷病兵社会問題省または労働傷病兵社会問題局に提出する(政令70/2023/NĐ-CP第2条) 外国人労働者の雇用の承認を受け取った場合、WPを申請することができる。提出すべき書類は以下のとおりです: No. WP申請書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠 1. 申請書 政令No. 70/2023/NĐ-CP、フォーム  No.01/PLI 労働傷病兵社会問題省または労働傷病兵社会問題局 政令No. 152/2020/NĐ-CP 政令No. 70/2023/NĐ-CP 2. 健康診断書 3. 日本の無犯罪証明書 4. 管理者・CEO/専門家/技術者の証明書 –       管理者・CEO:会社定款、企業登録証明書 –       専門家/技術者: 資格(学歴)取得証明 5. 写真2枚(4cm x 6cm) 6. 外国人労働者の雇用の承認文書 7. パスポート(認証コピー) 8. 決定任命 9. 就労経験確認書(職歴証明書・労働契約書などで、ベトナムで勤務する以前に日本法人で12ヶ月以上連続で勤務していたことを示すもの)   WP所得前についてはベトナム法人から当該従業員に対して、給与の支払いはできないと考えます。 ベトナムの規制によれば、外国人は入国目的に反する若しくは申告していない活動をベトナムですることはできません(統合文書第44.2条)。この場合、当該従業員はビジネス目的でベトナムに来ている日本法人の従業員でしかなく、WPを持っていないため、法的はにベトナムにおける外国人労働者に分類されません。 政令No. 152/2020/NĐ-CP第2.1条によれば、外国人労働者とは、ベトナムでの労働契約やその他類似する契約に基づき、勤務する者を指し、日本法人との労働契約しかなく、ベトナムの滞在根拠がVISA等に基づくに過ぎないものについては、ベトナム法上の外国人労働者に該当しません。 ベトナム法人から給与を振込んだ場合、当該会社は次のリスクに直面する可能性があります。 外国人がビザ申請以外の目的で入国した場合、15,000,000 VND ~ 20,000,000 VND の罰金が課せられます。 (政令 144/2021/ND-CP第 18.6 条(b)) 外国人労働者が労働許可証なしで働いた場合、15,000,000 VND から 2,5000,000 VND の罰金が課せられます(政令12/2022/ND-CP第 32 条)。 ベトナムの法人には、労働許可証なしにベトナムで働く外国人労働者を1人から10人まで雇用した場合、30,000,000 VNDから45,000,000 VNDの罰金が課せられます (政令12/2022/ND-CP第 32.5 条) この場合給与は認可された 費用として認められないため、当該給与を損金処理もできません。 したがってWP取得前は日本法人から給与を支給するなどの何らかの手当が必要と考え   政令No. 152/2020/NĐ-CP第 2.1(a) 条にて「労働契約」の形式でWPを取得した場合: 就業予定日より前に労働契約を締結しなければならない。また当該労働契約書 (原本または認証コピー) を WP を発行した機関に送付する必要があります。 ※「国内異動」の形でWPを取得の場合、条文上は労働契約を締結するのは必須ではない(政令No. 152/2020/NĐ-CP第 11.3 条)。もっとも代替書面等の形式や内容が必ずしも明確ではないため、多くの場合労働契約の締結が行われています。 社会保険に加入する (ベトナムの雇用主と無期労働契約または1年以上の有期労働契約を結んでいる場合。(政令143/2018/NĐ-CP第1条)。 ※「国内異動」の形でWPを取得の場合、社会保険に加入する必要がない(政令143/2018/NĐ-CP第 2.2(a)条)。 ビザをDNからLD1またはLD2ビザに変更して滞在を延長する。 2007 年個人所得税法に従って個人所得税を納付する。 関連記事(コラム): 【ベトナムビザ】ベトナム入国ビザの種類について(2023年最新版)

ベトナムで人材紹介業を行うための要件

コラム
2024.06.10
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ベトナムで人材紹介業を行うための要件

ベトナムの人材紹介業を行うための要件については、2021年6月1日から政令23/2021/NĐ-CP号(以下「政令23号」といいます)が施行され現在は当該法令に要件が規定されています。インターネット上ではそれ以前の法令で現在は失効済みである政令52/2014/ND-CP号に基づいて記載されたものが散見されますので、ご注意ください。 以下では新しい規制である政令23号に基づいて記載します。 また、ベトナムで事業を開始するための一般的な要件、企業登録証明書(ERC)や投資登録証明書(IRC)の取得等などについては、その他の記事等できちんと記載されたものがインターネット上でも簡単に見つけられますので、そちらをご確認頂くか、弊所までお問い合わせください。 人材紹介業を行うための要件として、現行法令である政令23号第14条により、①営業拠点の要件、②保証金の要件、③法定代表者の要件の三つが規定されています。 人材紹介業を実施しようとする企業は、自らが所有する、または3年(満36か月)以上の契約に基づいて、安定的に使用できる本店または支店として安定的に使用できる事務所を有している必要があります。 3億ベトナムドンの保証金を積みたてる必要があります。 ① 企業法(法律法律59/2020/QH14号)の規定に基づき企業の管理者であること。 ② 次のいずれにも該当しないこと  刑事責任に問われ、拘留や懲役刑に問われてないこと。なお、こちらの要件は政令23号の文言上は現在刑事手続や刑の執行がなされていないことと読めますが、日本人を法定代表者にする場合は、労働許可証の取得手続等に当たって無犯罪証明の提出が要供されるため、犯罪証明書に記載されるような前科等がないことが事実上要件になります。  薬物矯正施設等への入所処分を受け逃亡中等でないこと。  民事行為能力が制限されていないこと。  裁判所によって、人材紹介業への就業が制限されていないこと。 ③  学士(大学卒業)を有しているか、申請から遡って5年以内の間に2年(満24か月)以上、人材紹介業の管理業務に直接従事した経験があること。  

【ベトナム】個人データ保護規則の違反に対して罰金に関する規則案(2024 年 6 月 1 日施行予定)

コラム
2024.05.30
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【ベトナム】個人データ保護規則の違反に対して罰金に関する規則案(2024 年 6 月 1 日施行予定)

2024 年 4 月 15 日、公安省は、サイバーセキュリティ・個人データ保護分野における行政違反に対する罰則を規定する政令草案(以下、「本草案」という。)を検討のために政府に提出しました。 個人データ保護は、政令No.13/2023/ND-CPが施行されて以来、多くの企業の関心を集めています。しかし、現状具体的な罰則は規定されていません。 この政令草案は、一部不明確な内容もありますが、2024 年 6 月 1 日から施行される可能性があります。この草案が可決されれば、個人データ保護の義務に違反した企業に罰金が課せられる可能性があります。 なお、2024年6月末の段階でまだ可決されておらず、結局施行されていません。今後もまだ変更される可能性が高いと考えています。 以下では、本草案の主要な内容をまとめています。 ※今後、本コラムもしくは別のコラムにより新しい情報等を随時アップデートしていきたいと思います。 本草案は、ベトナムの組織・個人、外国の組織・個人を対象に適用されます。 本草案に記載される行政違反を犯したのが企業の場合、罰金は個人の罰金の2倍となります。この記事で記載している罰金額は、企業に対するものです。 違反行為とその罰則を各項目に分けて以下に記します。 個人データ管理・処理者は以下の行為により、20.000.000 VNDから40.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第15条1項、第17条1項): データ主体の同意なく個人データを処理する。 データ主体に対して収集目的以外での個人データの処理に対する同意を強制する。 データ主体が処理することに同意した個人データを不適切に収集する。 データ主体が同意した目的と異なる目的のデータ処理を誤って行う。 データ主体の同意が、書面、音声、同意欄にチェックを入れること、テキストメッセージにる同意文、同意フォームの選択、または当該同意を示すその他の行為によっても明確かつ具体的に表現されていない。 個人データの修正、開示、削除、または破棄する前にデータ主体に通知しない。 データ主体に処理目的、処理目的に関連して使用される個人データの種類、処理の方法などを適切に通知しない。 データ主体への通知が、電子形式または検証可能な形式を含む、書面で印刷またはコピーできる形式でなされていない。 個人データ管理・処理者は以下の行為により、50.000.000 VNDから100.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第15条2項): データ主体の意図に反して、または権限を有する国家機関の書面での要求に従わず、個人データの処理を継続する。 データ主体が同意の要求に返答しないにもかかわらず、個人データを処理する。 データ主体が個人データの処理に同意したことを証明できない。 個人データ管理・処理者は以下の行為があれば、20.000.000 VNDから40.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第18条1項;第19条1項;第20条1項): データ主体の要求に応じて、個人データを提供しない、又は提供を困難にしようとする。 データ主体の要求を受けた後、週休日,祝日,旧正月を除き、72 時間以内に個人データを提供しない。 データ主体の要求に同意した後、個人データを編集しない、又は意図的に編集を遅らせる。 データ主体の個人データ編集要求を受けた後、週休日,祝日,旧正月を除き、72時間以内に個人データを編集できない旨をデータ主体に通知しない。 データ主体の個人データ削除要求を受けた後、週休日,祝日,旧正月を除き、 72 時間以内に削除しない。 個人データ管理・処理者は以下の行為があれば、20.000.000 VNDから40.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第24条1項): 個人データ保護規則の違反が判明した場合に、所定の期間内に通知しない。 個人データ保護規則の違反の記録を作成しない。 個人データ管理・処理者は以下の行為があれば、140.000.000 VNDから200.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第26条1項): 域外移転影響評価書類を作成せず、政令 13/2023/ND-CP の第 25 条3,4,5項に規定されている手続を実行しない。 個人データの処理が開始された時点から、域外移転影響評価書類を保管しない。 データ処理日から60日以内に書類の原本を公安省に送付しない。 データ移転が完了した後、データ移転の情報と担当組織・個人の連絡先詳細を書面で公安省に通知しない。 域外移転影響評価書類を編集、完成させるという公安省の要請に従わない。 海外への個人データの転送をチェックするという公安省の要請に従わない。 個人データ管理・処理者は以下の行為があれば、20.000.000 VNDから40.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第27条1項): 基本個人データ保護に関する規制を作成・発行しない。当該規制において通知義務、データ主体からの同意の取得義務、個人データの域外移転への影響評価義務など、政令13/2023/ND-CPの規定に従ってしなければならないことを明確に示さない。 個人データ管理・処理者は以下の行為があれば、50.000.000 VNDから100.000.000 VNDの罰金が科せられます(本草案第27条2項): 機密性の高い個人データを保護する部署を指定せず、機密性の高い個人データの保護の担当者を指定せず、当該部署及び担当者を公安省に通知しない。 違反者は、罰金に加えて、違反の程度に応じて追加の罰則及び是正措置も課せられる可能性があります(行政違反処分法2012年 第21条3項、第28条2項;本草案第13条~第27条)。 追加の罰則: 01か月から03か月までの個人データを収集する必要がある業種で経営許可を取り消す。 個人データの違反の証拠やその処理手段に関わるものを押収する。 01か月から03か月までの個人データ処理を一時停止、又は期間限定で停止する。 その他 是正措置: 法律に従って義務を履行する。 違反の結果得られた違法な利益を返還する。 マスコミ等を通じて公に謝罪する。 その他 企業は上記の行政制裁のリスクを回避するために、政令No.13/2023/ND-CP号に規定されている個人データ処理規制に準拠した対応が求められます。

ベトナムの2024年4月30日・5月1日の連休について(南部解放(戦勝)記念日と国際メーデー)

コラム
2024.04.11
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ベトナムの2024年4月30日・5月1日の連休について(南部解放(戦勝)記念日と国際メーデー)

ベトナム労働法第112 条により、 南部解放(戦勝)記念日(Ngày Chiến thắng):4 月30 日と国際メーデー(Ngày Quốc tế lao động:):5 月1 日は祝日となっています。 そのため、カレンダー上は以下のとおりとなります。 4月27日(土) 4月28日(日) 4月29日(月) 4月30日(火) 5月1日(水) 5月2日(木) 5月3日(金) 通常の土曜日 通常の日曜日 平日 南部開放記念日 国際メーデー 平日 平日   上記のように、土日と連休との間に4月29日の平日が挟まっているため、4月29日(月)を振替休日とし、5連休とすることを政府が検討しているという報道がなされています(4月29日の分は別途振替出勤を設ける)。 参考: 1.https://vtv.vn/xa-hoi/trinh-thu-tuong-phuong-an-nghi-5-ngay-lien-tuc-dip-le-30-4-1-5-20240411110218071.htm 2.https://nld.com.vn/nghi-le-30-4-va-1-5-lien-tuc-5-ngay-tien-luong-nhung-ngay-hoan-doi-the-nao-196240410103830692.htm 3.https://dantri.com.vn/lao-dong-viec-lam/trinh-thu-tuong-quyet-dinh-viec-nghi-5-ngay-dip-304-15-20240410161337897.htm しかし、こちらは公的機関の労働者を中心とするものであり、一般的な企業に適用されるものではありません。 その後、公的機関については4月29日が休暇となり、その週の土曜日を代替出勤日とすることに決まりました。 民間企業については、推奨はされているものの義務ではない(祝日の扱いにはならない)と理解できます。 https://vnexpress.net/thu-tuong-chot-nghi-5-ngay-dip-30-4-4733654.html そのため、4月29日について民間企業は自社の取り扱いを決める形になります。 一般的に、有給取得を推奨することや、通常の平日通り扱う(任意で有給を取るなど)という扱いとしています。

ベトナムでの外国企業のM&Aの現状や注意点 (主に2023年データ・報道に基づく)

コラム
2024.03.21
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ベトナムでの外国企業のM&Aの現状や注意点 (主に2023年データ・報道に基づく)

2023年のM&Aについて、外国投資局の発表はどうだったでしょうか。 ベトナムでは外資企業がベトナム国内企業に投資する場合、計画投資省の認可が必要であり、この際に認可された金額ベースの直接投資金額、間接投資金額が発表されています。 計画投資省外国投資局(FIA)が発表したデータによると、2023年のFDI認可額は前年比32%増の365億9000万USD。これには、M&Aのみではなく、新規投資・追加投資の認可額が含まれています。 国別認可額では、シンガポールが約68億USD、続いて、日本、香港、中国、韓国、台湾となっています。これら 6 つのパートナー国だけで、2023 年の外国投資資本の 81.4% 以上を占めています。 M&Aによる出資・株式取得額をみると、シンガポールが22億USD、日本が29億USDとなっており、日本からの投資金額が全体のトップとなっています。 No. 国・地域 M&A件数 投資額 1 シンガポール 349 22.0億USD 2 日本 230 29.4億USD 3 香港 91 1.3億USD 4 中国 412 1.6億USD 5 韓国 961 4.0億USD 6 台湾 234 2.8億USD M&Aの投資金額順に産業分野を並べると、以下のとおりです。新規投資件数の場合、製造業がトップですが、不動産と金融が非常に大きいということがわかります。 1件あたりの金額が大きいうえ、外資の規制も大きい分野ということもありM&Aの参入が多くなったと考えられます。 No. 産業 M&A件数 投資額 1 不動産 102 31.5億USD 2 金融 22 15.5億USD 3 加工・製造 529 15.4億USD 4 テクニカル・プロフェッショナルサービス 531 7.7億USD 5 卸売・小売 1433 6.0億USD 6 医療・社会支援 11 3.4億USD 7 IT 265 1.8億USD 8 運輸・倉庫 138 1.5億USD 9 電気・ガス・水道 9 1.0億USD 出典: 投資計画省・外国投資局Website https://fia.mpi.gov.vn/Detail/CatID/f3cb5873-74b1-4a47-a57c-a491e0be4051/NewsID/00689952-458e-417a-bf12-896d853e1276 Vn economyによれば、ベトナムのM&A市場は2023年で44億USD以上に達する見込みです。「2023 年最初の 10 か月間で、M&A 市場は前年同期と比較して 23% 減少したが、この市場は政治的安定と高い基準のおかげで依然として海外投資家から魅力的であると考えられており、国内での利用は急速に増加し続けている。」と述べられています(*1)。 平均取引額は5,450万米ドルに達し、投資家が戦略的投資に移行し、より大きな財務的可能性を必要としていることを示しており、また、政策支援や需要の増加により、グリーンエネルギー、テクノロジー、不動産、ヘルスケアなどの主要分野でM&A取引が増加する可能性があると予測されています。 さらに投資分野について、Nhan Danでは、現在、多くの投資家は経済の基本基盤である食料生産と流通をはじめ、農業や食料といった主要セクターへの回帰を優先していると言われており、次に病院、医薬品、医療機器などの医療分野であると述べてられています(*2)。このようにベトナムのM&Aは市場規模が増大しているだけではなく、幅広い分野で取り扱われていることが分かります。 更に、ベトナムのM&Aにおける日本の立ち位置は向上しています。1996年から2022年末までにベトナムでは約6,550件の合併・買収(M&A)取引があり、2022年までは主にタイと韓国の競争だったのに対し、2023年から現在は日本の投資家による新たなM&Aの波が形成されています。円の価値が下がっていることもあり、そのため日本企業は「資金を持ってきて海外(ベトナムなど)に投資する」ことが求められているとされています(*3)。 (*1) Vn economy Thị trường M&A Việt Nam đạt giá trị hơn 4,4 tỷ USD năm 2023 https://vneconomy.vn/thi-truong-ma-viet-nam-dat-gia-tri-hon-4-4-ty-usd-nam-2023.htm (*2) “Phá băng” thị trường M&A Việt Nam https://nhandan.vn/pha-bang-thi-truong-ma-viet-nam-post785442.html (*3) DN Nhật Bản đẩy mạnh M&A tại thị trường Việt Nam https://tphcm.chinhphu.vn/dn-nhat-ban-day-manh-ma-tai-thi-truong-viet-nam-101240312184155633.htm ベトナムの人口はおよそ1億人で、国民の平均年齢は31歳です。 労働年齢人口は69%を占める黄金の人口構造により高い優位性を持っています。労働人口は約20年間上昇していくことが想定されています。 また、IT人材の豊富さも強みです。ベトナムの全労働者に占める情報技術人材の割合は、総労働者5,100万人のうち1.1%と推定されていてインドの1.78%、韓国の2.5%、アメリカの4%には劣るもののこの割合が2%まで上昇すると予想されています。 実際には、都市部のIT人材の質・量は非常に高いと評価されており、特にこれまでのIT業界への優遇税制、外国企業誘致、ITエンジニア教育の継続などにより、ITエンジニアのエコシステムもできあがっています。 2022年10月発表 「2050年を見据えた2021~30年の国家マスタープランによれば、ベトナムは2050年までに高所得国入りを達成する目標を掲げました。 マスタープランによると、2021~30年におけるGDP成長率目標を年平均7.0%、 2031~50年までは6.5~7.5%に設定。 一人当たりGDPを、2030年までに7,500ドル、 2050年までに27,000~32,000ドルへと引き上げることを目指しています。 コロナ禍や今後のそれ以外の要因でこの通りの計画が難しいとしても、各種調査においてベトナムの経済成長のポテンシャルは非常に高く評価されています。 たとえば、ベトナムの2023年のGDPは東南アジア5位・世界35位でしたが、英国経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)によると、ベトナムのGDPは2038年までに1兆5590億USD(約230兆円)に達し、東南アジアで2位(1位はインドネシア)、世界では21位に上昇すると予想されています(*4)(*5) (*4) 23年GDP、ベトナムは東南アジア5位・世界35位 IMF報告(VIETJO) https://www.viet-jo.com/news/economy/240313175657.html (*5) ベトナム、今後10年間で資産2.3倍に増加 繁栄スピードは世界一 https://www.viet-jo.com/news/economy/240222193358.html また、ITの力強さも牽引しており、2025年までにベトナムのデジタル経済がGDPの約20%を占め、2030年までに、デジタル経済はベトナムのGDPを7〜16%押し上げ、約280億〜620億米ドルに相当すると予測されています。 「包括的戦略的パートナーシップ」はベトナム外交上で最高位の2国間関係を表していますが、中国、ロシア、インド、韓国に加え、2023年にアメリカと日本も加わりました。中国や欧米との関係性のバランスがこれだけ取れている国は東南アジアでは非常に珍しいです。 アメリカにとっては、米中摩擦からのベトナムの位置づけの重要性(国防、経済など多方面)もあり、地政学的に重要になっているため、2023年9月10日に米国とベトナムにおける関係性を「包括的戦略的パートナーシップ(Comprehensive Strategic Partnership)に格上げする旨を公表しました。2013年に締結された包括的パートナーシップから2段階格上げと過去にない関係強化となりました。 2023年12月27日には日本も「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」から「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしました。 政治的なつながりだけでなく、各国への輸出などを通じて経済的なつながりも強く、バランスのよい各国との経済関係に更に期待が高まってきています。 日本からベトナムへの投資意欲はこの10年高いままですが、近年更に高い注目を維持しています。 2023年度のJETROのアンケート、JBICのアンケートにおいても東南アジアでトップクラスの投資対象国として事業拡大の回答が多くなされています。 JETROのアンケートにおけるベトナムへの進出メリットとして挙げられている上位は、①市場規模・成長性、②安定した社会情勢、③人件費のやすさ、④駐在員の生活環境が優れている、⑤ワーカー等の雇やすさです。 JETRO:2023年度 海外進出日系企業実態調査|アジア・オセアニア編 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/a261e38b2e86c8d5/20230023rev1.pdf JBICの「中期的な有望国・地域」アンケートにおいても、2022年の4位から2023年はインドに次ぐ2位にランクアップしています。中国への投資意欲が減っている一方で、ベトナムは安定的に上位の結果を獲得しており、今年はアメリカ・中国を抑えて2位となりました。 なお、上位の有望理由は①現地マーケットの今後の成長性、②安価な労働力、③優秀な人材、④他国のリスク分散の受け皿として、⑤第三国の輸出拠点として、が挙げられています。逆に課題としては、①労働コストの上昇、②法制の運用が不透明、③他社との厳しい競争、④管理職人材の確保が困難、⑤技術系人材の確保が困難、などが挙げられています。 JBIC 2023年度海外直接投資アンケート調査結果(第35回) また、日本に中長期滞在しているベトナム人は、中国についで2位となっています(2023年発表、出入国管理庁)。 (1) 中国 788,495人 (+26,932人) (2) ベトナム 520,154人 (+30,842人) (3) 韓国 411,748人 (+   436人) (4) フィリピン 309,943人 (+11,203人) (5) ブラジル 210,563人 (+ 1,133人) (6) ネパール 156,333人 (+16,940人) (7) インドネシア 122,028人 (+23,163人) (8) ミャンマー 69,613人 (+13,374人) (9) 米国  62,425人 (+ 1,621人) (10) 台湾 60,220人 (+ 2,926人) 特定技能在留外国人数に限ると、ベトナムが約11万人で全体の53.1%を占めており、最多となっています(2023年12月末データ)。 このような日本への人材移動、その人材のベトナムへの還流などにより、さらに日本との関係性が強まり、またM&Aでの進出も様々な業種で増えていくことが予想されます。 各種報道、実務に基づきCastGlobal作成   本コラムでは詳細の説明は省略しますが、ベトナムのM&Aでは一般的なM&Aに比べて注意したほうがよい点も多くあります。 ベトナムの注目度があがり、様々な業種で中小企業、スタートアップのM&Aが増えています。特にベトナム向けのサービス(医療・教育・エンタメ・IT等)の分野では数年前に比べて大幅に増加しています。 これらの投資では、投資金額が大きくないことも多く、コストの削減のためにデューデリジェンスその他の調査を省略するという事例も見られます。 もっとも、ベトナムのローカル企業では会計・法務ともに法律に沿っていない運用をしている会社が多数あり、買収後のPMIにおいて大きいリスクが出てくる事例があり、その時点で相談を受けることもあります。 解決可能なものであればよいのですが、ビジネスにおける根本的なライセンスの問題や会計上大きいインパクトのある問題であることもあります。このような事態を避けるため、できる限り重要点の事前の調査は行うようにしてください。 現地企業の買収についてリスクが高い場合、新しい企業の設立+事業譲渡を行ってリスクを分断することもできないか、検討することもあります。 特にベトナムマーケット向けの事業では、ローカルのパートナーが重要となります。 そのため、多くの分野でベトナム人パートナーへの追加出資などが行われており、その場合Joint Venture(合弁会社)となって共同の投資家となります。 マイノリティ投資で特に運営に関与しないと決めているのではなく、こちらも経営に関わっていく場合、中長期的に意思決定の齟齬が生じ、経営を続けるのが難しくなるケースもあります。 契約において、両者での株主間契約をきっちり締結する、将来的なさらなる株式購入のステップを決めておく、意思決定できなくなった場合の処理を決めておく、などは日本企業にとって非常に重要になります。 ベトナムのM&Aでは、ベトナム当局の投資認可(M&A承認)、出資者変更の手続などで時間がかかるケースが多くあります。 これらの行政手続きの準備・実行に3−6ヶ月程度かかることもあります。 また、その前にデューデリジェンスや、契約交渉で更に3−6ヶ月の時間がかかることも多くあります。デューデリジェンスで見つかった事象によっては、その改善を待つために更に多くの時間をかけるケースもあります。 このように時間がかかるのは当然の前提として進めないと、交渉で不利になったり、リスクが潜在化したまま契約締結してしまい、将来の大きなリスクになることもあります。 日本の投資側の事情で急ぎたい場合や、ベトナムの投資先から急かされる場合もあるとは思いますが、大きな責任を伴うM&Aを行う場合、金額の多寡にかかわらずしっかりした検討をする必要があります。 一方、中国企業・韓国企業などの意思決定は早いので、手続を急いで行いつつも、意思決定はスピーディーに行っていく、ということも重要になります。ケースバイケースですが、経営陣がバランスよく判断していくことがとても重要です。 その他、M&Aの手続や規制に関しては、下記のQ&A記事(会員限定)もご覧ください。 ベトナムにおけるM&Aの手続および規制の概略