CastGlobal Law Vietnam
(CAST)についてABOUT US
私たちは、2013年にベトナムに設立した日本人弁護士とベトナム人弁護士の所属する日系の弁護士事務所です。ハノイ市とホーチミン市に拠点を有しています。
ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
CASTの特徴FEATURES
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ビジネスの現状・ベトナムのスピード感に合わせたスピーディーかつ柔軟な対応
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タイムチャージに基づかないリーズナブルで相談しやすい顧問契約の設定
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ベトナムのM&A、不動産、企業運営に関わる法務、知財戦略などの専門分野の支援実績
活用例
- 現地の担当弁護士にチャット・メールでいつでも気軽に相談できる環境。
- 自社の担当・駐在員が変わっても、過去の経緯から把握してアドバイスしてもらうことが可能。
- 会社の総務・法務スタッフとも普段からやりとりし、社内のコンプライアンス体制・意識向上にも。
導入事例CASES
ニュースNEWS
- コラム
- 2026.05.13
- CastGlobal
ベトナム半導体政策、2026年の質的転換期 ― 中所得国の罠脱却・2045年高所得国入りに向けた法務目線の整理
特集
2026年5月13日 / CastGlobal Law Vietnam
一人当たりGDP 5,026ドル(2025年・ベトナム統計総局)のベトナムが、2045年の建国100年に高所得国入りを国家目標として掲げる中、その「最短ルート」の中核に置かれているのが半導体産業です。本稿では、2024-2026年に集中的に整備された法的基盤、税制優遇、人材政策、地方制度を整理し、日系企業が押さえるべき法務上のポイントを在ベトナム10年の弁護士の視点から解説します。
ベトナムの一人当たりGDPは2024年の4,700ドルから2025年に5,026ドルへと上昇し、世界銀行が定める上位中所得国の閾値に肉薄しています。しかし、ここから先が「中所得国の罠」と呼ばれる難関であり、過去半世紀でこれを抜けて高所得国に到達できたのは日本・韓国・台湾・シンガポール等、世界でも数えるほどしかありません。
ベトナム共産党政治局が2024年12月に発出した党中央決議57号(Resolution 57-NQ/TW)は、この国家目標達成の「最短ルート」として科学技術・イノベーション・デジタル転換を位置づけました。そしてその中核装置として明示的に指定されているのが半導体産業です。
本稿のポイント
ベトナムの半導体政策は、単なる産業政策ではなく「2045年高所得国入り」という国家命題のための戦略インフラとして動いています。2024-2026年の立法ラッシュは、この命題を支える制度設計です。日系企業にとっては、この国家命題に組み込まれる形で参入することが、最も政策リスクが低く、リターンが大きい構図と言えます。
ベトナム政府は、半導体産業発展戦略(首相決定1018/QĐ-TTg、2024年9月21日)において、2050年までの3段階ロードマップを策定しています。
段階
期間
主な目標
第1段階
2024-2030
設計・OSAT(後工程)中心の基盤形成。FDI選別誘致と人材5万人育成。
第2段階
2030-2040
設計企業200社・ファブ2基・OSAT15基の整備。自立とFDIの併存。
第3段階
2040-2050
電子・半導体産業強国としての地位を確立。
注目すべきは、第1段階で「最先端ファウンドリー」ではなく、設計・OSATを中心に据えていることです。これはベトナム政府が、いきなり大規模前工程投資を狙うのではなく、まず人材育成と後工程・特定用途チップで競争力を積み上げる現実的なアプローチを選んでいることを意味します。日系企業にとっては、この方針こそが参入機会の所在を示すシグナルと言えます。
2024-2026年にかけて、半導体産業を支える法令が4つの階層で集中的に整備されました。それぞれが連動して、ベトナムの半導体エコシステムの制度的土台を形成しています。
投資支援基金政令(政府令182/2024/NĐ-CP、2024年12月31日)により、半導体・AI案件への設備投資・R&D・人材・研究インフラに対する現金支援が制度化されました。これは従来の税制優遇中心のアプローチから、現金交付による直接支援への大きな転換点です。
さらに科学技術ブレークスルー特別決議(国会決議193/2025/QH15、2025年2月19日)では、国費R&Dで国家損害が生じても、所定手続を遵守すれば民事責任が免除される「リスク許容原則」が導入されました。これはベトナム法制で従来なかった画期的な条項で、研究開発活動への萎縮効果を取り除く意図があります。
最も重要な立法が、デジタル技術産業法(Law 71/2025/QH15、2025年6月公布・2026年1月1日施行)です。これは半導体を含むデジタル技術産業を対象とした、世界初の包括的な産業法とされています。法人税優遇、コスト補助、通関簡素化、人材育成までを法律レベルで一体的に規律する内容です。
実務上の最重要ポイント:中央戦略×地方執行の協調連邦制
デジタル技術産業法は、半導体案件所在地の省人民評議会が、地方予算からの補助基準・条件・手続・範囲・水準を独自に定めうると明文化しました。これは、中央政府が枠組みを提供し、地方政府が具体的な金額・条件を競って実装するという「協調連邦制」モデルを法的に裏付けたものです。日系企業にとっては、進出先選定が単なる立地比較ではなく、地方ごとの「補助メニュー比較」になることを意味します。
また同時期に成立した科学技術・イノベーション法(Law 93/2025/QH15、2025年6月公布・2025年10月1日施行)は、1992年の旧科学技術法以来のフルモデルチェンジとして、R&D活動と科学技術人材に対する包括的な優遇枠組みを規律しています。
2026年4月30日に署名され、7月1日に施行される10戦略技術群決定(首相決定21/2026/QĐ-TTg)では、半導体チップ技術が戦略技術として正式指定され、30の戦略製品リストも公布されました。これにより、半導体関連投資が国家戦略上の最上位カテゴリーに位置づけられたことになります。
ベトナムの半導体関連法人税優遇として最も注目されるのが、CIT 10%×15年、4年免税+9年50%減税という最厚遇措置です。ただし、この優遇は半導体事業を行えば自動的に適用されるものではなく、特定の法的資格を取得することが前提となります。
資格取得ルート
根拠規範
科学技術企業認定
科学技術・イノベーション法(Law 93/2025/QH15)
ハイテク企業認定
ハイテク法(Law 133/2025/QH15)
特別投資優遇
首相決定29/2021/QĐ-TTg
指定セクター
法人所得税法(Law 67/2025/QH15)第13条による半導体・AI・デジタル技術
さらに、データセンター8,000万USD超または半導体施設1.6億USD超の大型案件は、追加優遇の対象となります。これらの優遇の入口は複数あり、案件のストラクチャーで取れる組合せが変わるため、進出前のストラクチャー設計が決定的に重要です。後付けで優遇取得を試みる場合、要件未充足により大幅な機会損失を招くことが少なくありません。
ベトナム政府自身が、半導体政策の最大のボトルネックは人材であると認識しています。これに対応するため、2024-2026年にかけて人材関連の制度整備が集中的に進められました。実は、日系企業の駐在員派遣コスト構造を根本的に変える可能性のある変化が、この領域で起きています。
半導体人材育成プログラム(首相決定1017/QĐ-TTg、2024年9月21日)では、2030年までに5万人の半導体人材を育成する目標が立てられています。内訳は以下のとおりです。
区分
目標人数
エンジニア・学士
42,000人
修士
7,500人
博士
500人
うち設計分野
15,000人
うち製造・OSAT等
35,000人
AI専門
5,000人
講師
1,300人
2024-2025年度の実績として、半導体関連専攻に約19,000人が入学しており、これはSTEM学生全体の10%に相当します。国家ラボ4か所・公立大学ラボ8か所の整備も進められています。
改正個人所得税法(Law 79/2025/QH15)および科学技術・イノベーション法(Law 93/2025/QH15)等により、「高品質デジタル技術人材」と認定された者は、個人所得税(PIT)が5年間免除されます。対象は次のとおりです。
集中デジタル技術区(DTP)のプロジェクト勤務者
半導体・AI・戦略技術R&D・主要デジタル技術製品の研究開発・製造プロジェクト勤務者
デジタル技術人材育成活動の従事者
科学技術・イノベーション任務遂行による給与所得(2025年10月1日施行)
重要なのは、この優遇がベトナム人・外国人を問わず適用される点です。日系企業が現地に派遣する技術系駐在員も対象となり得るため、適用要件を充足できるよう人事制度を設計することで、駐在員のネット手取りを大幅に改善できる可能性があります。
デジタル技術産業法(Law 71/2025/QH15)第49条および外国人入国管理令(政府令221/2025/NĐ-CP、2025年8月15日施行)により、外国人専門家の入国・就労に関する画期的な優遇措置が導入されました。
項目
内容
就労許可(Work Permit)
不要。確認書(Confirmation Letter)で代替。処理5営業日、犯歴提出不要。
ビザ
最大5年間免除。1回あたり90日まで滞在可能。通常労働者(LD1/LD2)の入国可能期間の2.5倍。
留意点:認定基準は施行令待ち
「高品質デジタル技術専門家」の認定基準は、2026年5月時点で施行令(Decree)による詳細化を待っている段階です。当面は確認書取得手続を社内で標準化し、要件が明確化された時点で速やかに申請できる体制を整えておくことを推奨します。
中央政府が枠組みを提供し、地方政府が具体的な金額を競う構図の中で、すでに4つの主要地方が独自の半導体支援制度を打ち出しています。中央優遇よりも地方補助の方が、案件収支に直接効くことを示しています。
高度専門家採用費:50%補助、上限6,000万VND/月/人、最長24か月
R&D・チップ設計費:70%補助、上限200億VND/案件
新規設備投資:10%補助、上限300億VND/案件
AIインフラ・データセンター案件:最大2,000億VND/案件
半導体・UAV(無人航空機)向けに1,000ヘクタールの用地構想を打ち出しています。うち500ヘクタールは即応可能とされ、Samsung Vietnamの主要拠点に近接する立地が強みです。
ダナン特別決議により、R&D費の150%スーパー控除(支出した費用の1.5倍を損金算入できる仕組み)、土地賃料支援、行政手続簡素化などが認められています。中部の設計拠点として独自のポジショニングを志向しています。
Samsung関連の先端電子基板案件を後押ししており、ロボット・自動運転・スマート電子機器向けの部材供給拠点として整備が進められています。
2026年1月から5月にかけて、ベトナム半導体産業は「設計→試作→製造→OSAT」が短期間で接続する重要な動きを見せました。主なイベントは以下のとおりです。
日付
主要イベント
1月7日
国家MPW(マルチプロジェクトウェハ)センター設立
1月15日
ASMLとの人材育成・ファブ形成支援で合意
1月16日
Viettel、国内初ファブ着工(Hòa Lạc、27ヘクタール、2026-2030)
1月28日
FPT、国内資本OSAT工場公表(28-32nm Edge AI SoC)
2月19日
政府がIntelに対し生産拡大・R&D設置を要請
3月10日
半導体FDI累計141億USD超・241案件と政府発表
3月20日
ホーチミン市が補助パッケージを正式公表
4月14日
Samsung Innovation Campusに半導体教育を追加
4月30日
10戦略技術群決定(首相決定21/2026/QĐ-TTg)署名
5月11日頃
Bắc Ninh 1,000ヘクタール用地構想を公表
法人税優遇・地方補助・個人所得税免除・ビザ免除は、それぞれ別ルートでの認定・申請が必要です。後付けで複数の優遇を取りに行こうとすると、要件未充足により大幅な取り逃しが生じます。進出スキーム設計の最初の段階で、どの優遇を取るかを決定し、それに合わせた会社形態・事業内容・人員配置を組む必要があります。
「高品質デジタル技術専門家」の認定基準は、施行令による詳細化を待っている段階です。当面は確認書(Confirmation Letter)取得手続を社内で標準化し、要件が明確化された時点で速やかに申請できる体制を整えておくべきです。
ベトナム政府自身が、電力・水・廃水処理・R&Dラボの不足を制度文書で認めています。半導体製造には極めて安定した電力供給と純水・廃水処理能力が必要であるため、土地取得や工場建設より先に、工業団地運営者・電力会社との間でユーティリティ供給のサービスレベル契約(SLA)を契約化することが必須です。停電・断水時のバックアップ、純水水質基準、廃水処理キャパシティなどを契約書レベルで合意しておく必要があります。
戦略製品関連の半導体投資は、輸出管理・原産地規則・対中関係・日米韓技術協力と密接に連動します。日本の外為法に基づく輸出管理、米国のECCN分類、ベトナムの外資規制、第三国由来部材の取扱いなどを案件設計段階で精査する経済安全保障DDが必須となります。
投資支援基金等から受け取る補助金については、減価償却特例の議論が進行中です。補助金収入の認識タイミング、設備の取得価額からの控除、税務上の取扱いなどを、会計監査人・税理士と早期に協議して一体設計する必要があります。
ベトナムにとって半導体は、産業政策である以前に「中所得国の罠脱却・2045年高所得国入り」のための国家プロジェクトです。日系企業にとっては、この国家命題に組み込まれる形で参入することが、最も政策リスクが低く、リターンが大きい構図と言えます。
最先端ファウンドリーで競うフェーズではなく、不足工程を埋める段階投資が現実的です。具体的には以下の分野に商機があります。
OSAT・試験評価(後工程、信頼性試験、品質保証)
特定用途チップ(AIカメラ、UAV、6G、IoT、自動車向け)
材料・装置・保守(高純度材料、検査装置、メンテナンス)
教育・人材・ラボ(企業内研修、共同研究、技術移転)
用地・ユーティリティ(工業団地開発、純水・廃水処理)
段階投資+JV(合弁)/技術ライセンス/受託評価から始めるのが、政策リスクをコントロールしやすい王道です。特に2025-2026年に整備された人材優遇(PIT 5年免除・就労許可不要・5年ビザ免除)は、日系企業にとって駐在員派遣コストを大きく下げる構造変化です。設計拠点・R&Dセンター・教育拠点の早期立上げに有利な追い風と言えます。
結論
ベトナム半導体政策は、2024-2026年に法的基盤・税制優遇・人材政策・地方制度の4階層で集中的に整備され、質的転換期を迎えました。日系企業にとっては、不足工程を埋める段階投資+JV/ライセンスが王道です。優遇取得の入口設計を進出前に確定させ、ユーティリティSLAの契約化と経済安全保障DDを並行して進めることが、成功確率を高める鍵となります。
ベトナム法務コラム一覧
CastGlobal Law Vietnam のサービス案内
ベトナム進出・投資に関するご相談
- コラム
- 2026.04.27
- CastGlobal
ERC先行可能に ― 新投資法で変わるベトナム新規進出のタイムライン
ベトナムへの新規進出を検討する外国投資家にとって、「操業開始までどれくらいの期間がかかるのか」は最重要論点の一つです。2026年3月1日施行の新投資法(法律第143/2025/QH15号)は、第19条第2項で「ERC(企業登録証明書)先行設立」を原則として容認し、従来の「IRC取得→ERC取得」の順序を見直しました。本コラムでは、この制度変更が新規進出の実務タイムラインに及ぼす影響を、条文・当局運用・他社実務報告を踏まえて整理します。
旧法下では、外国投資家はIRC(投資登録証明書)を取得した上で、ERC(企業登録証明書)を申請する順序が原則でした(2020年投資法第22条第1項c号)。新投資法第19条第2項は、市場参入条件を満たすことを条件に、ERCを先行取得する形での会社設立を認めました。
なお、2020年投資法の2025年改正(法律第90/2025/QH15号、2025年7月1日施行)により、革新的スタートアップ等の限定的な場合には既にIRC前ERC申請が認められていました。新投資法は、この特例を業種を限定せず原則化した点が前進です。
新投資法第19条第2項は「外国投資家は、投資登録証明書の発給または変更手続を行う前に、投資プロジェクトを実施するための経済組織を設立することができる。ただし、経済組織設立手続を行う際に、本法第8条に規定する外国投資家の市場参入条件を満たさなければならない」と規定しています(筆者仮訳)。
第8条の市場参入条件とは、外資出資比率、投資形態、投資活動の範囲、投資家の能力等です。
実務上の論点として、旧ルート(IRC先行→ERC)が引き続き選択可能かは条文上明確ではありません。施行細則草案(2026年2月2日付第2版)でも判然としない状況です。ただし、当局担当者により判断が分かれる可能性があるため、申請先となる管轄当局への事前確認が安全です。
中規模サービス業(都市部オフィス設立)を想定した場合の比較は以下のとおりです。
単純比較で、操業開始まで1〜3か月程度の前倒しが現実的です。
銀行口座・リース・雇用契約といった「会社でしかできない行為」をIRC取得前から並行処理できる点が最大のメリットです。
ERC取得後にできる行為:
印章・税コード取得
会社名義での通常口座開設
オフィス賃貸借契約
雇用契約
定款資本の払込準備
社内体制整備
IRC取得までできない/リスクがある行為:
投資プロジェクトの本格実施
FDI資本金の払込(直接投資資本口座=DICAの開設にはIRC提示を求める銀行運用が一般的)
条件付業種のサブライセンス取得、工業団地への入居本契約。
なお、外資規制対象分野や条件付業種では、結局ERC設立時点で第8条の要件を充足する必要があり、その手続に時間を要するため、時間短縮にならないケースもある点に留意が必要です(。
製造業では、第19条のERC先行よりも第28条の特別投資手続の対象拡大が実務的メリットとなります。
2020年投資法下では、特別投資手続の対象は特定区域(工業団地、輸出加工区、ハイテクパーク、集中デジタル技術区、自由貿易区、国際金融センター、経済特区内)のプロジェクトのうち、イノベーションセンター、R&D、半導体、優先ハイテク、デジタルインフラ整備等の特定業種に限定されていました。
新投資法では業種限定が撤廃され、特定区域内なら業種を問わず対象となります(第28条)。
特別投資手続が適用されると、投資方針承認・技術審査・環境影響評価・詳細計画・建築許可・防火防災承認が免除され、原則として申請から15日以内にIRCが発行されます(下位政令で発行期限は最終確定待ち)。
免除の代替として、基準遵守のコミット書面と環境影響の評価・緩和策を記載した投資提案書の提出が必要です。ERC先行と第28条特別投資手続を組み合わせた設計も視野に入ります。
施行細則は2026年2月2日付の第2版草案が公表された段階で、正式公布には至っていません。
施行直後の2026年3月2日、ハイフォン市財政局は投資登録関連手続書類の受理を一時停止する公文書(No.1623/STC-KTDN)を発出しました。
これを受けて3月4日、財政省が「新法の規定に適合する範囲で旧法下の下位法令に従い受理・処理を継続する」旨の調整公文書(No.2519/BTC-PC)を発出し、一応の収束を見ました。ただし「適合する範囲」の解釈は不明確で、担当者レベルでの受理拒否リスクは残りますので、申請前の管轄当局への事前確認を強く推奨します。
また、条件付事業分野は旧法下の234事業分野(施行後2分野廃止で232分野)から198分野に削減され、税務手続代行、税関手続、中古品の一時輸入・再輸出、職業紹介等の計38事業が除外されます(2026年7月1日施行)。
同時にVSIC(首相決定第36/2025/QĐ-TTg号、2025年12月23日)が改訂されたため、ERC上の業種コード登録と付録IVとの対応関係の精査が必要です。
ERC先行設立(第19条第2項)と特別投資手続の対象拡大(第28条)は、新規進出の時間設計を再考させる重要な制度変更です。
サービス業・IT系ではERC先行による1〜3か月の前倒しが現実的であり、製造業では業種限定が撤廃された第28条特別投資手続の活用が大きく浮上します。業種・規模・立地に応じて最適ルートが異なるため、「どのルートを選ぶか」「どのタイミングで何を並行させるか」を事前に設計することが、新法下の新規進出を成功させる鍵となります。
施行細則の正式公布と当局運用の安定化には引き続き注視が必要です。
- コラム
- 2026.04.16
- CastGlobal
【2026年5月更新】タンソンニャット空港「プレアライバル申告」制度の最新運用状況|APECレーン活用・根拠法令・義務vs推奨を整理
速報 2026年5月9日 更新
初版公開:2026年4月16日 / 最終更新:2026年5月9日 / CastGlobal Law Vietnam
📝 2026年5月9日更新内容
・根拠法令(Công văn số 1474/CACK TSN)を特定
・「義務」vs「推奨」のソース別整理を追加
・事前登録者のAPECレーン(ファストトラック)利用の実態を追加
・航空会社(Vietjet、Korean Air等)の対応状況を追加
・国際移民法事務所(Fragomen)の分析を追加
・各国比較表にシンガポール・インドネシアを追記
2026年4月15日より、ホーチミン市タンソンニャット国際空港において、外国人の入国に係る事前申告登録制度(Pre-Arrival Information)が開始されました。制度開始から約1ヶ月が経過し、実際の運用状況が明らかになってきましたので、最新情報に基づきアップデートします。
ホーチミン市出入国管理局(Công an cửa khẩu Sân bay Quốc tế Tân Sơn Nhất)は、入国審査の効率化・迅速化およびデジタルトランスフォーメーション推進の一環として、外国人およびベトナム系外国籍者(越僑)を対象に、入国前にオンラインで個人情報を事前申告する制度を2026年4月15日から正式に開始しました。
根拠文書はCông văn số 1474/CACK TSN(タンソンニャット空港出入国管理局公文書第1474号)です。
▍ ポイント整理
制度名称
Pre-Arrival Information(事前入国情報申告)
根拠法令
Công văn số 1474/CACK TSN
開始日
2026年4月15日
対象空港
タンソンニャット国際空港(ホーチミン市)のみ ※ノイバイ(ハノイ)等は現時点で対象外
対象者
外国人およびベトナム系外国籍者(越僑) ※ベトナム国籍者(ベトナムパスポート使用)・トランジット客は対象外
義務 or 推奨
下記「義務vs推奨」セクション参照
費用
無料(クレジットカード情報の入力も不要)
登録可能時期
入国の3日前(72時間前)から
対応言語
日本語を含む複数言語対応
所要時間
パスポート・フライト情報等を手元に用意すれば約3〜5分
1
公式サイトにアクセス
https://prearrival.immigration.gov.vn/ から申告画面に入る。公式QRコードからのアクセスも可能。
2
個人情報・渡航情報を入力
国籍、到着日、パスポート情報、ビザ情報、出発国、渡航目的、フライト番号、ベトナムでの宿泊先(ホテル名・住所)、出国予定日等を入力。日本語での案内に対応。パスポート写真をアップロードすると一部自動入力される機能もあります。
3
QRコードを受領・保存
登録完了後にQRコードが発行され、登録メールアドレスにも送信されます。携帯でスクリーンショットを撮るか、印刷して持参してください。機内で携帯の電池切れや着陸時の電波不良に備え、複数の方法で保存しておくことを推奨します。
4
入国審査時にQRコードを提示
タンソンニャット空港の入国審査窓口でQRコードを提示。従来の手動入力による処理が、QRスキャンにより大幅に短縮されます。
本制度について「義務なのか推奨なのか」という点は、情報ソースによって表現が異なっており、混乱が生じています。以下、主要ソースごとに整理します。
情報ソース
表現
備考
ベトナム主要メディア
(Thanh Niên, Người Lao Động, CafeF等)
bắt buộc(義務)
Công văn 1474/CACK TSNに基づき報道
米国大使館
must(義務)
「all foreign passport holders must complete」と明記
Fragomen
(国際移民法大手事務所)
must(義務)
ただし「パイロットプログラム」と位置づけ。4月末までは過渡期として遅延を予想
在ホーチミン日本国総領事館
(制度開始初期の案内)
推奨
出入国管理局への確認として「義務ではない」と案内。根拠法令が十分に出ていなかった制度初期の情報
当事務所の見解
公式通知(Công văn 1474/CACK TSN)自体は「bắt buộc(義務)」のトーンであり、ベトナムの主要メディアおよび米国大使館もこれに準じた表現を使用しています。在ホーチミン日本国総領事館が「推奨」と案内したのは、根拠法令が十分に共有されていなかった制度開始初期の情報に基づくものです。
一方で、実運用上は、未登録であっても入国拒否にはならず、手続きに時間がかかるだけというのが現時点での実態です。
「義務だが罰則なし」という状態は、ベトナムの行政運用においてはしばしば見られるパターンです。ただし、今後運用が定着するにつれ、未登録者への対応が厳格化される可能性は十分にあります。事実上の義務として対応しておくことを強く推奨します。
制度開始当初(4月中旬)は運用が固まっておらず、QRコードを提示してもどの窓口で見せるのか現場レベルで混乱が見られました。
しかし、2026年5月上旬時点では、以下のような運用が確認されています。
✅ 実際の運用(2026年5月時点・当事務所確認)
事前登録済みのQRコードをAPECレーン(ファストトラックレーン)の担当者に提示すると、APEC/ABTCカード保持者用のレーンに並ばせてもらえる運用が行われています。
この場合、ファストトラックサービスを別途購入していなくても同様の扱いとなります。
※ まだ運用が完全に固まっていない段階であり、今後変更される可能性があります。ただし、出入国管理局が事前登録者にメリットを出そうとしている方向性は明確です。今後運用が変わる可能性もあるのでご注意ください。
タンソンニャット空港は設計容量を大幅に超過しており、ピーク時(特に夕方以降の国際線集中時間帯)には入国審査の待ち時間が40分〜90分に達することがあります。事前登録によりAPECレーンを利用できれば、大幅な時間短縮が可能です。
各航空会社もこの制度への対応を進めており、チェックイン時や予約確認メールで旅客への通知を開始しています。
Vietjetはいち早く対応し、オンラインチェックイン時に通知を発信。Korean AirやSingapore Airlines等の国際航空会社も予約確認メール等を通じて旅客に事前登録を案内しています。出入国管理局も、航空会社および旅行会社に対して旅客への事前周知を正式に要請しています。
公式ポータル(prearrival.immigration.gov.vn)での入力項目は以下の通りです。
入力カテゴリ
入力項目
基本情報
国籍、到着予定日、パスポート写真(任意・自動入力用)
パスポート情報
氏名、生年月日、性別、パスポート番号(パスポート記載と完全一致が必須)
ビザ情報
ビザ種別(e-Visa、VOA、免除等)
渡航情報
出発国、渡航目的、移動手段、フライト番号、入国地点(タンソンニャット)
滞在先情報
宿泊先名、市、区、住所。就労目的の場合は勤務先情報も
出国予定
ベトナム出国予定日
入力後、確認画面で情報を精査した上で送信すると、システムがファイル番号を付与し、QRコードを生成します。QRコードは登録メールアドレスにも送信されます。
なお、到着日が変更になった場合は、新しい日程が72時間以内に入った時点で再度フォームを送信し直す必要があります。子供を含む全ての旅客に個別の申告が必要ですが、保護者が代理で入力可能です。
国
制度名
導入時期
義務/推奨
ベトナム
Pre-Arrival Information
2026年4月
義務(実態は柔軟運用)
タイ
TDAC(TM6 e-form)
2025年5月
義務
韓国
e-Arrival Card
2025年2月
推奨(K-ETA保持者免除)
シンガポール
SG Arrival Card
2024年
義務
インドネシア
電子税関申告
2024年
義務
日本
Visit Japan Web
2022年11月
推奨
テンポラリーレジデンスカード(TRC / thẻ tạm trú)を保持し、Autogateに登録済みの外国人(日本人駐在員等)がPre-Arrival申告の対象に含まれるかどうかは、公式には明確にされていません。
Autogateは生体認証(顔認証・指紋)とパスポートスキャンにより本人確認を行う別系統のシステムであり、Pre-Arrival申告とは独立して機能すると考えられます。Autogateでの通過は通常30秒〜1分程度で完了します。
ただし、現時点では「Autogate登録者は申告不要」という公式見解がないため、念のため事前登録しておくことを推奨します。登録自体は無料で3〜5分程度で完了し、デメリットはありません。
当事務所からの推奨事項(2026年5月更新)
日系企業の駐在員およびベトナムへ渡航する全てのビジネスパーソンに、次回入国時からの事前登録を強く推奨します。
① 登録は無料で、日本語対応のため手続きが容易(約3〜5分)
② APECレーン利用による大幅な時間短縮が期待できる(実際に運用確認済み)
③ 米国大使館・ベトナム主要メディアは「義務」と明記しており、未登録の場合は処理時間が延長される
④ 将来的な義務化の厳格化(罰則追加等)に備え、早期に登録プロセスに慣れておくことが望ましい
⑤ タンソンニャット空港の1日の到着者数はピーク時に4万8,000人を超え、設計容量を大幅に超過
企業の管理部門・総務部門向けの推奨:出張者の事前チェックリストにPre-Arrival登録を追加してください。e-Visa・航空券・宿泊確認書と同様の必須準備項目として取り扱うことを推奨します。
国際移民法大手事務所のFragomenは、本制度を「パイロットプログラム」と位置づけ、他の入国地点への拡大が予定されていると分析しています。
実際、登録ポータルには空路だけでなく陸路・海路の選択肢が既に含まれており、入国地点のフィールドもタンソンニャットに限定されていません。これは、ノイバイ(ハノイ)やダナン等の国際空港、さらには陸上国境への拡大が技術的に準備されていることを示しています。
ベトナム政府はデジタルトランスフォーメーションを国家戦略として推進しており、タンソンニャットでのパイロット運用を経て全国展開に移行する流れは確実視されます。
⚠ 詐欺サイトへの注意喚起
本登録は完全無料であり、クレジットカード情報の入力は一切不要です。
既に、手数料を徴収する「代行サイト」が複数確認されています。必ず公式URL(prearrival.immigration.gov.vn)からアクセスしてください。ドメインが .gov.vn であることを確認してください。
万が一、登録の過程でクレジットカード情報や金銭の支払いを求められた場合は、詐欺サイトの可能性が高いため、直ちに手続きを中止してください。
- コラム
- 2026.04.16
- CastGlobal
【2026年度最新】ベトナム産休手続きガイド
ベトナムにおいて、女性社員から出産の報告を受けた際、会社担当者は産休取得に必要な書類の確認から社会保険機関への申請手続きまで、一連の流れを正確に把握しておく必要があります。本コラムでは、2025年7月施行の2024年社会保険法(41/2024/QH15)や、2026年7月改正予定の人口法の内容に基づき、産休取得の前提条件・期間・必要書類・手続きの流れ・支給額の目安を整理して解説します。
産休給付を受けるには、原則として出産前の12か月間に6か月以上の社会保険加入が必要です(社会保険法41/2024/QH15 第50条第2項)。
なお、以下の例外があります。
12か月以上加入済みで、医師の指示により養胎のため休職した場合:直近12か月のうち3か月以上の加入で可(第50条第3項)
不妊治療のために休職した場合:出産前24か月間に6か月以上の加入で可(第50条第5項)
まずは対象の社員様がこれらの条件を満たしているかをご確認ください。
女性社員が出産する場合、産休期間は6か月間です(社会保険法第53条第1項、労働法第139条第1項)。このうち、出産前に最大2か月を前倒しで取得できます。双子以上の場合は、2人目から1人につき1か月が追加されます。
※2026年7月から、第2子を出産する場合、7か月間取得できる形で人口法改正により改正される予定です。
なお、女性労働者は、出産前に、最大10日(2日×5回)、出産前検診のための休暇(「検診休暇」といいます)を取ることができます(社会保険法第51条)。
また、①労働者と会社の合意、②医師からの診断書取得、を条件として、最短4か月で職場復帰することができます(労働法第157条第4項。以下、この職場復帰を「早期復帰」といいます)。
基本書類として、子の出生証明書の写しが必要です(実務上は公証コピー「Giấy Chứng Sinh」がもとめられることが多いです)。
加えて、以下に該当する場合は追加書類が必要です。
養胎のため休職した場合:医療機関の休職指示書(第61条第1項d号)
不妊治療を受けた場合:治療過程を証明する書類(第61条第1項a号)
出産後に母親が死亡した場合:死亡証明書の写し(第61条第1項b号)
出産後に母親が健康状態でない場合:医療機関の文書の写し(第61条第1項c号)
出産後に胎児が死亡した場合:死亡証明書の写し等(第61条第2項)
休暇日数は原則5営業日になります。必要書類は以下のとおりです。
子の出生証明書等の写し
帝王切開または32週未満の出産の場合:その旨を記載した医療機関の確認書
別途、会社と労働組合(ある場合)の決定に基づきます(社会保険法第60条第2項)。5~10日が上限です。
社会保険法2024 第62条に基づき、以下のとおりです。
産休中、会社は労働者に対して給与を支給する必要はありません(労働法第186条第2項)が、労働者が社会保険料の給付を受ける手続きについては、会社が労働者に代わってその申請手続きを行う必要があります。
① 社員 → 会社へ書類提出
産休期間終了後45日以内に、上記の書類を会社に提出します(第62条第1項)。
※実務上は、出産後に出生証明書等が取得でき次第、速やかに提出いただくのが望ましいです。
② 会社 → 社会保険機関へ提出
会社は、書類の受領から7営業日以内に、産休取得者のリストを作成し、書類とあわせて社会保険機関に提出します(第62条第1項)。
※通常、社会保険ソフトを通じて電子申請を行ったあと、文書での提出も求められます。
③ 社会保険機関による審査・支給
社会保険機関は、完全な書類受領から7営業日以内に審査・支給を行います(第62条第3項)。不支給の場合は、書面で理由が通知されます。
※修正依頼が数回入ることも多いため、実際には10営業日以上かかることがほとんどです。仮に会社が社会保険料の納付を怠たることにより労働者が社会保険給付を受けられなかった場合、会社は従業員に対して本来給付を受けることができたはずの金銭を給付する義務を負います。
主な支給内容は以下のとおりです。
産休手当(第59条第1項):直近6か月の社会保険料算定対象給与の平均 × 100%(※)× 6か月(双子以上でない場合)
出産一時金(第58条第4項):参照額× 2/子
検診休暇手当(第58条第2項):給付月額に相当する金額を24で割った金額
リハビリ休暇手当(第60条第3項):参照額の30% × 日数(最大5~10日)
産休期間中は社会保険の加入期間としてカウントされ、労働者・使用者ともに社会保険料の納付は不要です(第53条第8項)。
(※)なお、ここでいう「給与」は実際の給与額ではなく、社会保険料の算定基礎となる給与なので、上限があります。現行の上限は参照額(mức tham chiếu)の20倍です(2024年社会保険法第31条)。参照額は現時点では基礎給与が廃止されるまでは基礎給与と同義となっており、2024年7月1日以降の基礎給与は月額234万VNDなので、社会保険料の算定対象給与の上限は月額4,680万VND(約28万円)となります。
つまり、仮に社員の実際の給与が月額6,000万VNDであっても、産休手当の計算基礎は4,680万VNDが上限になります。実際の給与との差額分は社会保険からの補填対象にはなりません。
産休制度は、会社の手続き不備によって労働者が本来受け取るべき給付を受けられなかった場合、会社が当該金銭の支払義務を負うリスクもあるため、書類の受領と社会保険機関への提出は期限管理を徹底する必要があります。また、2026年7月からの改正予定(第2子出産時の産休7か月化)にも留意が必要です。
- コラム
- 2026.04.03
- CastGlobal
2026年4月の大型連休について(フン王記念日・南部解放記念日・メーデー)
2026年4月は、雄王(フンヴォン)記念日(4月26日)、南部解放(戦勝)記念日(4月30日)、国際メーデー(5月1日)の3つの祝日が集中し、カレンダーの並びから大型連休を取りやすい構成となっています。
とくに2026年は、4月28日(火)・29日(水)の2日間だけ有給休暇を取得すれば、最大で9連休となる可能性があり、従業員の休暇申請、工場の操業、物流、送金スケジュールなど、企業実務への影響も小さくありません。本コラムでは、2026年4月末から5月初旬にかけての祝日配置と、民間企業として押さえておきたい実務上のポイントを整理します。
1.2026年4月〜5月初旬の祝日カレンダー
2026年4月末から5月初旬にかけては、以下のようなカレンダーとなります。
日付
曜日
区分
備考
4月25日
土
週末
4月26日
日
祝日
雄王記念日(旧暦3月10日)
4月27日
月
振替休日
雄王記念日が日曜のため翌月曜に振替
4月28日
火
平日
4月29日
水
平日
4月30日
木
祝日
南部解放(戦勝)記念日
5月1日
金
祝日
国際メーデー
5月2日
土
週末
5月3日
日
週末
ポイント: 4月28日(火)・29日(水)の2営業日を挟んで、前半3連休(4月25日〜27日)と後半4連休(4月30日〜5月3日)が並ぶ形です。
2.雄王(フンヴォン)記念日(4月26日)
雄王記念日(Ngày Giỗ Tổ Hùng Vương)は、ベトナム建国の祖とされる雄王を祀る日であり、旧暦3月10日に定められている祝日です。旧暦基準のため、毎年西暦上の日付が変動する点が特徴です。
2026年はこの日が4月26日(日曜日)に当たるため、祝日が週休日と重なる場合の取り扱いにより、翌4月27日(月曜日)が振替休日となります。そのため、土日を含めると4月25日(土)〜27日(月)の3連休になります。
この時期は、北部フート省のフン王祠を中心に祭典が行われるほか、国内旅行・帰省需要も高まりやすく、交通機関の混雑が見込まれます。
3.南部解放記念日・メーデー(4月30日・5月1日)
続いて、ベトナムでは4月30日が南部解放(戦勝)記念日、5月1日が国際メーデーとして法定祝日となっています。
4月30日:南部解放(戦勝)記念日 1975年のベトナム戦争終結と南北統一を記念する日です。
5月1日:国際メーデー 国際的な労働者の日として位置づけられています。
2026年は、4月30日が木曜日、5月1日が金曜日に当たるため、その後の週末である5月2日(土)・3日(日)と連続し、自然に4連休となります。
2025年との違い: 2025年は祝日の並びの関係で特別な振替措置が取られましたが、2026年は木曜・金曜の配置となるため、特段の追加措置がなくても4連休が成立しやすい点が特徴です。
4.「2日休めば9連休」―大型連休の設計
2026年の最大のポイントは、4月28日(火)と29日(水)の2日間に有給休暇を取得するだけで、4月25日(土)〜5月3日(日)まで最大9連休にできることです。
4/25(土)
4/26(日)
4/27(月)
4/28(火)
4/29(水)
4/30(木)
5/1(金)
5/2(土)
5/3(日)
週末
祝日
振替休日
有給取得で連休化
有給取得で連休化
祝日
祝日
週末
週末
このような日並びは、従業員側にとっては魅力的である一方、会社にとっては休暇申請の集中や、操業・納期・物流の調整が必要となる場面でもあります。特に観光地や航空券の予約が早期に埋まりやすくなるため、従業員の申請も通常より早いタイミングで集中する可能性があります。
5.民間企業の実務対応
法定祝日として扱われるのは、雄王記念日、南部解放記念日、メーデーの計3日です。さらに、2026年は雄王記念日が日曜日に当たるため、4月27日(月)が振替休日となります。
一方で、4月28日(火)・29日(水)は法定休日ではありません。 そのため、この2日を休業日にするかどうかは、各企業の方針や就業規則、勤務カレンダーの設計によって対応が分かれます。
パターン
4/28・29の扱い
メリット
注意点
A.通常営業
平日として営業
生産・納期への影響を最小限に抑えやすい
有給申請が集中する可能性があり、人員調整が必要
B.有給取得推奨
有給休暇の取得を推奨
従業員満足度の向上、取引先休業時の実務負担軽減
実質的な強制取得と受け取られないよう配慮が必要
C.振替出勤+全休
別日の土曜出勤等を設定し、4/28・29を振替休日化
連休を明確化し、社内運用を一本化しやすい
就業規則・勤務カレンダー・事前通知の整備が重要
連休の運用方法を会社として決める場合、少なくとも早めの段階で社内周知を行い、工場・倉庫・物流・管理部門を含めた勤務体制を固めておくことが重要です。特にシフト制の職場では、代替要員の確保や休日出勤者の把握も前倒しで進めておく必要があります。
6.日系企業が注意すべきポイント
4月下旬から5月初旬にかけて、ベトナム側のサプライヤーや委託先が一斉に休業する可能性があります。
日本のゴールデンウィークとも時期が近いため、日越双方で確認・承認が止まりやすく、通常よりも意思決定が遅れやすくなります。
発注、検品、出荷、承認スケジュールは、できるだけ前倒しで組んでおくのが安全です。
連休前後は港湾やコンテナヤードの混雑が発生しやすく、通常より早いカット日が設定されることがあります。
税関システムが動いていても、現場対応人数が限られるケースがあるため、搬入・書類差替え・ゲート締切などは各オペレーターの案内を事前に確認すべきです。
最終出荷日から逆算した生産・在庫調整が重要になります。
銀行休業により、外貨送金やL/C決済のタイミングに影響が出るおそれがあります。
月末月初に支払いや決済が集中する企業では、連休前の前倒し手配を検討する必要があります。
祝日に労働させる場合は、割増賃金の計算が必要になります。
祝日が週休日と重なる場合には、振替休日の付与が必要です。
連休明けの欠勤・遅刻・有給の集中申請なども見越して、就業規則や運用ルールを確認しておくと安心です。
ホーチミン市中心部では、南部解放記念日前後に式典やイベントに伴う交通規制が行われる可能性があります。
空港、長距離バスターミナル、高速道路などは、帰省ラッシュにより混雑しやすくなります。
2026年4月末〜5月初旬の休暇方針を早めに社内で決定する
4月28日・29日の扱い(通常営業、有給推奨、振替休日化)を明確にする
取引先・サプライヤー・物流会社の休業予定を事前確認する
出荷、通関、送金、承認フローを前倒しで準備する
祝日勤務者がいる場合は割増賃金計算を事前確認する
日本本社や関係会社との緊急連絡体制を整えておく
※本記事は2026年4月3日時点で整理した内容に基づいています。運用にあたっては、最新の当局案内、各企業の就業規則・社内運用をご確認ください。



