CastGlobal Law Vietnam
(CAST)についてABOUT US
私たちは、2013年にベトナムに設立した日本人弁護士とベトナム人弁護士の所属する日系の弁護士事務所です。ハノイ市とホーチミン市に拠点を有しています。
ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
CASTの特徴FEATURES
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ビジネスの現状・ベトナムのスピード感に合わせたスピーディーかつ柔軟な対応
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タイムチャージに基づかないリーズナブルで相談しやすい顧問契約の設定
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ベトナムのM&A、不動産、企業運営に関わる法務、知財戦略などの専門分野の支援実績
活用例
- 現地の担当弁護士にチャット・メールでいつでも気軽に相談できる環境。
- 自社の担当・駐在員が変わっても、過去の経緯から把握してアドバイスしてもらうことが可能。
- 会社の総務・法務スタッフとも普段からやりとりし、社内のコンプライアンス体制・意識向上にも。
導入事例CASES
ニュースNEWS
- コラム
- 2024.10.16
- CastGlobal
【ベトナム】新しい個人データ保護法(PDPL)の草案について
2024年9月24日、ベトナム政府は新しい個人データ保護法(PDPL)の初稿を公表しました。この法案は、2023年に施行された個人データ保護政令(政令13号。第13/2023/ND-CP号(PDPD))よりも厳格な規定を含んでおり、その上位法として機能するものとなります。2026年1月1日から施行される予定です。以下に、この法案の主要なポイントを整理します。
この草案は2026年1月1日に発効する予定になっていますが、 草案は現在2024年11月24日までパブリックコメント募集中 であり、利害関係者は意見を述べることができる状況です。そのため、内容は大幅に変わる可能性もあります。
公安省が作成したPDPL草案は、7章68条から構成されます。 PDPL草案は、昨年の個人データ保護に関する政令第13/2023/ND-CP号(PDPD)よりも包括的で、マーケティング・サービス、行動広告、ビッグデータ処理、AI、クラウド・コンピューティング、従業員の監視と採用、金融・信用データ、医療、保険など幅広い分野をカバーしています。
法的枠組みの強化: この法案は、個人データの保護に関する法律の基盤を強化し、国際基準に適合することを目指しています。
公的意見募集: 法案は2024年11月24日まで公的な意見募集が行われており、利害関係者からのフィードバックを受け付けています。
様々な分野について詳細の規定が設けられていますが、主な特徴は以下のとおりです。
適用範囲の拡大: 国内外のすべてのベトナム機関、組織、個人に加え、ベトナムでデータ処理を行う外国企業にも適用されます。
同意の厳格化: 個人データ処理には明示的かつ情報に基づいた同意が必要であり、特に健康情報や生体情報などの敏感なデータについては、黙認や無反応は同意とは見なされません。
新しい概念の導入: 個人データ保護に関する専門機関や専門家など、新たな概念が導入されています。これにより、データ保護活動がより専門的かつ体系的に行われることが期待されています。
特定のデータカテゴリへの規制: 健康データや子供のデータなど、特定のカテゴリの個人データにはより厳しい規制が設けられています。
従業員の個人情報に関する統制: 従業員のデータ処理や監視についても明確な同意が必要とされています。
個人データ影響処理評価
政令13号により求められる個人データの処理影響評価についてもより具体化されています。
PDPL草案では、個人データ処理影響評価の申請書類には、政令第13号で義務付けられている個人情報保護業務を担当する組織または個人の情報だけでなく、個人データ保護組織および個人データ保護専門家の情報を含める必要があります。 また、ベトナム国民の個人情報を海外に移転する際の申請書類にも同様の記載が必要です。
さらに、政令13号と比較すると、PDPLデータ処理影響評価の申請書類に2つの追加書類、すなわち、個人データ保護に関する法的規制の遵守状況の説明と評価、および個人データ保護に関する信用格付け書類を含めることを要求しています。
この新しい法案は、企業にとって新たなコンプライアンス課題をもたらす一方で、個人データ保護への取り組みを強化する機会でもあります。
特に、マーケティングサービスやビッグデータ処理に関する新たな規定が企業活動に影響を与えるでしょう。
マーケティングサービスへの影響: 個人データを利用したターゲティング広告には、新たな同意要件が課されます。
中小企業の免除:零細企業、中小企業、新興企業は、最初の2年間だけデータ保護部門の要件が免除されます。 ただし、個人データ処理活動に直接従事する小規模企業、中小企業、新興企業は免除の対象ではありません。
信用評価機関の設立: データプライバシーに関する信用評価機関が設立される予定であり、企業はその評価を受ける必要があります。
パブリックコメントを経て大幅に変更になる可能性もある規定ではあるため、今回は簡易の整理となりますが、個人データ保護政令においては実務上まだあまり進んでいない規制も、本法の議論とともに実務上さらに徹底される可能性があり、注視が必要です。
なお、別途データ法についても公安省により草案が起草されています。新しい個人データ保護法とデータ法はそれぞれ独立した法律でありながらも、相互に関連し合う重要な役割を果たすことが期待されています。
関連記事:
【ベトナム】個人データ(個人情報)保護に関する政令No.13/2023/ND-CPの注目点(2023年7月1日施行):最新版
【ベトナム】データ法草案の概要(Law on Data)
- コラム
- 2024.10.09
- CastGlobal
ベトナムにおける投資報告義務について
法制度上、ベトナムにおける日系企業は、外資企業として投資登録証明書(IRC)が付与され、投資プロジェクトを実行しているという建付けになっています。このような外資企業は、投資プロジェクトを実行する経済組織として、ベトナムの投資法(法律第61/2020/QH14号。以下「投資法」といいます)に従って、四半期および一年ごとに、投資プロジェクトの状況について報告する必要があります(投資法第72条第2項a号)。
当該報告義務についてはあまり認識されていないにも関わらず、昨今取り締まりが厳しくなってきていると言われています。
所管の投資登録機関及び地域の統計機関に実施する必要があります(投資法第72条第2項a号)。
四半期の報告、すなわち年4回、および年次の報告、すなわち年1回がそれぞれ必要とされているので、計5回の報告を毎年行わなければなりません。
① 報告内容
通達03/2021/TTBKHDT号のフォームA.III.1を用いて、概略以下の事項を記載する必要があります(政令第31/2021/NĐ-CP号(以下「政令第31号」といいます)第102条第2項)。
実施する投資資本、純利益、輸出入、労働者、租税及び国家予算 への金額及び土地・水面の使用状況
② 報告時期
報告する四半期の後の最初の月の10日まで
① 報告内容
通達03/2021/TTBKHDT号のフォームA.III.2を用いて、概略以下の事項を記載する必要があります(政令第31号第102条第3項)。
上記の四半期報告の内容 に加え
利益、労働者の収入、各支出及び科学研究及び技術発展への投資、 環境の処理及び保護、使用する技術の起源に関する事項
② 報告時期
報告年度の翌年 3 月 31 日まで
3)報告方法
国家投資情報システムを通じてオンラインで各報告を行います(政令第31号第104条第1項a号)。
本件報告義務に違反した場合、3000万~5000万VNDの範囲で罰金が課される可能性があります(政令122/2021/ND-CP号第15条第2項)。
また、報告を行うことについて強制されたり、修正報告を求められる可能性があります(同第15条第3項)。
- お知らせ
- 2024.10.02
- CastGlobal
【重要】当事務所または当事務所の弁護士の名前を騙った電話にご注意ください
当事務所または当事務所の弁護士の名前を騙って日本の個人の方に電話をかける、詐欺と思われる事案が継続的に発生しているとの情報が寄せられました。当事務所または当事務所の弁護士等は、これらの事案と一切関係がございません。
一例では、弊グループの日本人弁護士名を使って、弁護士業務のような内容で連絡しているケースがあるようです。
当事務所または当事務所の弁護士を名乗る者よりお心当たりのない連絡を受けた場合は、十分に相手の身元を確認し、ご注意ください。また、お近くの警察へのご相談も推奨いたします。
- コラム
- 2024.09.24
- CastGlobal
ベトナムの民泊規制に関する現状
現行の民泊規制について
現行のベトナム法における民泊(Airbnbなど)の規制は、住宅法(2014年)第6条11項に基づいており、「集合住宅を非居住目的で使用する行為」が禁止されています。この規定は、2023年の住宅法改正においても引き継がれ、第3条8項c号で「居住目的以外での集合住宅の使用」が引き続き禁止されています。また、新たに第3条7項において、「住宅法やその他の関連法令に反する宿泊賃貸」が禁止されると定められています。
これに関連し、現状の法解釈には以下の2つの異なる見解があります。
1.見解1:
短期賃貸はホテル事業と類似しており、したがって宿泊サービス事業に該当する。このため、短期的な宿泊目的での集合住宅の賃貸は違法とされ、宿泊サービス事業としてのライセンスが必要になるという立場です。
2.見解2:
短期賃貸は「居住目的」に該当し、非居住目的の賃貸には当たらない。したがって、短期賃貸は合法とされ、規制の適用を受けないとする立場です。
この規定に関する明確なガイダンスは、政令や通達の形でまだ発行されておらず、明確な解釈は示されていません。
そのため、2024年の法令改正において、具体的に民泊に関する新しい規定が導入されるかについては現時点で確定しておらず、今後の動向として、2024年以降の法令や政令により、民泊事業に関する詳細な規制がさらに明確化される可能性がありますが、現時点では不明確な部分が多く、今後の指針を注視する必要があります。
曖昧な規定や見解が残るため、民泊事業を行う企業や個人は、慎重に法的リスクを評価し、適切なライセンス取得や税務対応を行うことが重要です。
また、そもそも物件によっては内部規程上民泊そのものを禁止している物件もありますので、各物件での運用もご確認ください。
- コラム
- 2024.09.23
- CastGlobal
【ベトナム】データ法草案の概要(Law on Data)
ベトナム公安省は、デジタル政府の推進とデータ保護の強化を目指して、2026年1月1日から施行予定のデータ法案を起草しました。
この法案は、データ管理やデジタルガバナンスの枠組みを提供し、企業や政府機関に対してデータの収集、管理、共有に関する新しい規制を導入します。法案は7章66条で構成され、国家データセンターの設立や国家包括データベースの構築が義務付けられています 。
1. 公開不可データの8つの分類
法案では、国家安全保障や公共の利益を守るために、公開が認められない8つのデータカテゴリが定義されています。
データ主体の同意がない個人情報
国家機密データ
国防・安全保障に関するデータ
国益や国際関係に悪影響を与える可能性があるデータ
社会道徳や公共の健全性を害する可能性があるデータ
生命や財産に危険をもたらす可能性のあるデータ
企業秘密
国家機関の内部会議に関する情報
2. 国家データセンターと国家包括データベース
国家データセンターは、国家機関や私的機関からのデータを統合し、効率的なデータの管理と共有を図るために設立されます。私的機関も一定の条件下でデータにアクセスすることができ、アクセスにはデータ主体の同意や国家データセンターの承認が必要です。また、データへのアクセスには料金が課される可能性があります 。
3. データの越境移転に対する規制
法案では、特に「重要データ」や「核心データ」の越境移転に対して厳しい規制が設けられています。これらのデータは、国家安全保障や経済の安定性に関連するもので、国外移転には政府の承認とセキュリティ評価が必要とされています 。
「重要データ(Critical Data)」: 漏洩や改ざんが国家の安全保障、経済、社会の安定、公衆衛生を脅かす可能性のある分野や領域に関わるデータ。
「核心データ(Core Data)」: 国家安全保障、主要経済部門、必要不可欠な公共サービス、主要な公共利益など、悪用されると政治的安全保障に影響を及ぼす可能性のある重要なデータ。
4. 企業への影響
企業は、国家データセンターへのデータ提供義務やデータの越境移転に対する新しい規制に対応するため、データ保護ポリシーを見直す必要があります。
特定の状況下では、データ開示や共有が求められるため、データの管理体制を強化することが推奨されます 。
なお、これとは別に個人データ保護の上位法令(PDPL)の策定も検討されています。
この法案はまだ草案段階にあり、最終的な規定については今後の議論や修正を経る可能性がありますので注視が必要です。
新しい個人データ保護法(PDPL)の草案について