CastGlobal Law Vietnam
(CAST)についてABOUT US
私たちは、2013年にベトナムに設立した日本人弁護士とベトナム人弁護士の所属する日系の弁護士事務所です。ハノイ市とホーチミン市に拠点を有しています。
ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
CASTの特徴FEATURES
- 01
-
ビジネスの現状・ベトナムのスピード感に合わせたスピーディーかつ柔軟な対応
- 02
-
タイムチャージに基づかないリーズナブルで相談しやすい顧問契約の設定
- 03
-
ベトナムのM&A、不動産、企業運営に関わる法務、知財戦略などの専門分野の支援実績
活用例
- 現地の担当弁護士にチャット・メールでいつでも気軽に相談できる環境。
- 自社の担当・駐在員が変わっても、過去の経緯から把握してアドバイスしてもらうことが可能。
- 会社の総務・法務スタッフとも普段からやりとりし、社内のコンプライアンス体制・意識向上にも。
導入事例CASES
ニュースNEWS
- コラム
- 2023.03.27
- 行政書士法人キャストグローバル
【訪日ビザ3:研修ビザ】ベトナムで採用した従業員に現業を含む内容の研修を受けさせたい
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、殆どのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。
これが大前提になります(初回の記事はこちらから)。
報酬の有無、雇用、研修内容に着目して訪日ビザを以下のとおり分類しました。
報酬の発生
雇用契約
研修内容
企業内転勤
〇
本国又は日本法人
デスクワーク
研修
×(実費の範囲においてのみ可)
本国
デスクワーク
技能実習
〇
日本法人
単純労働を含む実務的な作業
研修ビザは上記のとおり、報酬の支払いが発生しない社内研修等を行う場合に限定して取得するビザになります。
特徴しては「OJTを含む研修内容が条件付きで想定されている事(主に公的機関が対象)」「報酬の支払いが想定されていない事」という点が挙げられます。
また、在留期間は3月、6月、1年で設定されています。(入管法施行規則別表第二)
研修ビザは海外支店の社員に社内研修や工場見学を行わせる為に取得するのが一般的です。又、来日する人材が研修を通して取得する技術の内容が、本国では取得が難しいものであり、かつ学んだ技術を本国にフィードバックする事が研修ビザ取得の前提となります⦅出入国管理法別表第一の四⦆
研修生は報酬の支払いを受ける事が出来ません、但し研修手当として生活費や交通地など実費相当額の支給を受ける事は可能です。
研修内容に実務研修を含む場合、受け入れ機関は以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
イ 申請人が、我が国の国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合
ロ 申請人が独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合
ハ 申請人が独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合
ニ 申請人が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構技術センターの事業として行われる研修を受ける場合
ホ 申請人が国際機関の事業として行われる研修を受ける場合
(平成二年法務省令第十六号出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令、法別表第一の四の表の研修の項の下欄に掲げる活動)
従って、基本的に民間企業の研修内容は現業を含まない内容で組み立てる必要があります。即ち、現業を含む研修は公的機関が行う事が想定されています
研修ビザは適切な研修スケジュールを組みたてる事が出来れば研修、見学等を通して効率的に専門的な技術を身に着けることが可能です。
しかしながら、報酬を支払う事が出来ませんし、かつ、OJTが研修の内容として認められる条件が非常に厳しく設定されています。
従って、上記注意点を踏まえた上で研修内容を精査し、報酬の支払いの有無や研修スケジュールを鑑みて条件に合致する場合においてのみ研修のビザを選択するべきだと言えます。
関連記事(コラム):
【訪日ビザ】ベトナムで採用したベトナム国籍の従業員に日本本社で研修を受けさせたい場合の査証(ビザ)について
【訪日ビザ:企業内転勤】ベトナムで採用した従業員にデスクワークを内容とした研修を受けさせたい
- 導入事例
- 2023.03.08
Chidori Hospitality Co., Ltd.
社会課題解決型のカフェブランド「Chidori」。成長意欲の旺盛な若者が、生活体験を向上させられるようなパーソナル空間の提供をテクノロジーを使って実現している。2018年12月にゼロから2022年には会員顧客数約5万人・年間40万人が利用するサービスへと成長させ、新たな市場構築にマーケットリーダーとして挑んでいる。
- 導入事例
- 2023.03.08
Kumon Vietnam Co., Ltd
学習塾「公文式」のベトナムでの運営。現在はホーチミンシティを中心にカント―、ビンズン州、ドンナイ州、北部はハノイ、ハイフォンとベトナム全土で合わせて27教室を展開している。今後は現拠点地域にFC展開を拡大し、ダナンにも進出予定。
- 導入事例
- 2023.03.08
Frontier Consulting Vietnam Co., Ltd
お客さまのニーズに合わせたオフィスの内装デザインの設計と工事を行っています。オフィスの他に、住宅・店舗・商業施設・工場の多方面からご依頼を頂くこともあり、デザインや家具納品のみなど様々なご相談を承っています。
- コラム
- 2023.03.03
- CastGlobal
【ベトナムビザ】ベトナム入国ビザの種類について(2023年最新版)
2022年3月15日の政府決議(No. 32/NQ-CP)によって、コロナ禍で停止していたビザの免除が再開されました。日本人はベトナムへの入国にあたって、滞在期間が15日以内であればパスポートの種類、目的を問わずビザは必要ありません。それ以上の滞在は基本的にビザの申請が必要です。
ベトナムのビザは「外国人のベトナムへの出入国、通過、居住についての法律(47/2014/QH13)」およびその改正法(51/2019/QH14)によって定められており、現在27種類あります。今回はその中でも日本人に利用される機会の多いビザをご紹介します。
NG1
ベトナム共産党中央執行委員会書記長、国家主席、国会議長、首相から招待された代表団のメンバー
12か月
NG2
ベトナム共産中央常務委員会、国会副主席、国会副議長、副首相、ベトナム祖国戦線中央委員会の委員長、最高人民裁判所長、最高人民検察庁の長官、国家監査員の総長などの招聘による代表団のメンバー
12か月
NG3
公館、領事館、国際連合に加盟する国際機関の代表事務所、政府間機関の代表事務所のメンバーとその配偶者、18歳未満の子供、使用人など。
12か月
NG4
外交使節団、領事事務所、国際連合に加盟するため、国際機関の代表事務所および政府間組織の代表事務所に勤務するために来日する人、外交使節団領事事務所、国際連合に加盟する国際機関の代表事務所および政府間組織の代表事務所のメンバーの訪問者
12か月
LV1
ベトナム共産党中央委員会、国会、政府、ベトナム祖国戦線中央委員会、最高人民裁判所、最高人民検察院、ベトナム国家監査院、省庁、閣僚級機関、政府付属機関、省および中央運営都市の人民評議会と人民委員会の部局や機関で働くようになった人
12か月
LV2
社会政治団体、社会団体、ベトナム商工会議所で働く人
12か月
L S
ベトナムで活躍する外国人弁護士
5年
DT1
ベトナムへの投資が1000億ドン以上または投資奨励の対象の地域への投資をする投資家および外国組織の代表者
5年
DT2
ベトナムへの投資が500億ドン以上1000億ドンまたは開発投資促進の対象となる地域への投資をする投資家および外国組織の代表者
5年
DT3
ベトナムへの投資が30億ドン以上500億ドン未満の外国人投資家および外国組織の代表者。
3年
DT4
ベトナムへの投資が30億ドン以下の外国人投資家および外国組織の代表者
12か月
DN1
ベトナムの法律に従い、法人格を持つ他の企業や組織で働く外国人
12か月
DN2
ベトナムが締約している条約に基づき、サービスの提供、商業活動の確立、その他の活動を行うために入国する外国人
12か月
NN1
国際組織、外国の非政府組織の駐在員事務所の所長、プロジェクトの代表者
12か月
NN2
外国企業の駐在員事務所の所長、支店の代表者、または外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織の代表者
12か月
NN3
外国の非政府組織、外国企業の駐在員事務所、外国企業の支店、外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織駐在員事務所で働く者
12か月
DH
ベトナムで研修、学習する人
12か月
HN
会議やシンポジウムに参加する人
3か月
PV1
ベトナムに常駐する特派員やジャーナリスト
12か月
PV2
ベトナムに短期間滞在する特派員やジャーナリスト
12か月
LD1
ベトナムが締約国である条約に別段の定めがない限り、労働許可証の免除証明書をもってベトナムで働く外国人
2年
LD2
ベトナムで働き、労働許可証を取得する必要のある外国人
2年
DL
ベトナムを観光する人
3か月
TT
LV1、LV2、LS、DT1、DT2、DT3、NN1、NN2、DH、PV1、LD1、LD2を保有する外国人の配偶者または18歳未満の子供
12か月
VR
親族を訪問するなどの目的で来訪する人
6か月
SQ
同法17条3項に該当する者
30日
EV
E-Visa
30日
DT1/DT2/DT3/DT4
投資ビザです。ベトナム法人に出資している日本人などが該当します。以前は金額を問わず最大5年間でしたが、2019年の改正によって金額で種類が細分化され、期間もそれぞれ割り当てられました。
DN1/DN2
ビジネスビザです。ベトナムの現地法人への出張等に使われます。取得にはベトナムの勤務先企業からの招聘状(インビテーションレター)が必要です。実務において認められる期間は基本的に3か月か6か月です。
NN2/NN3
ベトナムにある日本の駐在員事務所や支店で働く場合に取得します。
LD1/LD2
就労ビザです。長期間就労する際に取得します。(ベトナムに進出した日系企業など。実際にベトナムで働くには就労ビザに加えて労働許可証(ワークパーミット)の二つが必要です。LDビザの取得には労働許可証の取得が必要となります。本コラムでは労働許可証自体の要件については解説しませんが、労働許可証自体にも種類・要件があり、取得が困難な場合もあるためご注意ください。ベトナムの改正労働法(45/2019/QH14)の154条と、外国人労働者に関する政令(152/2020/ND-CP)の7条に規定されている場合は労働許可証が免除されます。(ベトナムでの就労が3か月以内の外国人、ベトナム人と婚姻している外国人、ベトナムの法律に基づいてベトナムの弁護士資格を持つ外国人弁護士など)
DH
ベトナムへの留学や実習、研究者としての研修が該当します。
EV
E-visaです。ネットで申請手続きができます。以下の基準を満たしているときは申請が可能です。
・ベトナムに入国する外国人であること
・パスポートを所持していること
・「外国人のベトナムへの入国・出国・通過・ベトナムでの居住に関する 法律(47/2014/QH1)」の21条の入国禁止者に該当しないこと
E-visaの有効期間は30日で、入国は1回に限られます。(シングルビザ)
こちらのサイトでE-visa申請が可能です。https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/trang-chu-ttdt
51/2019/QH14の7条の4に記載されている例外を除き、入国後にビザの目的変更はできません。
- コラム
- 2023.03.02
- 行政書士法人キャストグローバル
【訪日ビザ2:企業内転勤】ベトナムで採用した従業員にデスクワークを内容とした研修を受けさせたい
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、殆どのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。
これが、前回コラムでお話しさせて頂いた大前提です。
前回コラムはこちら↓
【訪日ビザ】ベトナムで採用したベトナム国籍の従業員に日本本社で研修を受けさせたい場合の査証(ビザ)について
前回、報酬、雇用、研修内容に着目して訪日ビザを分類しました。
報酬の発生
雇用契約
研修内容
企業内転勤
〇
本国又は日本法人
デスクワーク
研修
×(実費の範囲においてのみ可)
本国
デスクワーク
技能実習
〇
日本法人
単純労働を含む実務的な作業
企業内転勤は上記のとおり、報酬の支払いが発生し、かつ研修内容がデスクワークの場合に限定して取得するビザになります。
特徴しては「研修内容がデスクワークに限定される事」「転勤・赴任・出向等海外の子会社や関連会社との人事異動が想定されている事」という点が挙げられます。また、上記3種の在留資格中、唯一最長5年の在留資格が設定されている点も特徴的です。(出入国管理法別表第二)
企業内転勤はデスクワーク人材の一時的な人事異動等の場合に取得するのが一般的です。
来日する人材について学歴は問われませんが、1年以上の転勤元企業での継続した就労実績が求められます。⦅出入国管理法別表第三(第六条、第六条の二、第二十条、第二十一条の四、第二十四条関係)⦆
・デスクワークのみに業務内容が限定される事
企業内転勤で従事する業務内容は学問的・体系的な知識を要するデスクワークが想定されています。これは在留資格技術人文知識国際業務と同様の業務内容と表されています。⦅出入国管理法 附 則 (令和四年一二月九日法律第九七号) 抄、別表第一の二⦆尚、研修の内容にOJTが含まれる場合はビザが取得できない可能性がありますので注意が必要です。
・在留期間更新申請時に国内での納税義務を果たしているか問われる事
現地法人から直接給与を受け取っている場合確定申告が必要な可能性がありますので注意が必要です。納税証明書を期間更新の際に提出する必要が有ります。
企業内転勤は申請人本人の学歴も要しませんし、辞令に応じた在留期間ではありますが、期間更新を受ける事で長期間滞在し研修を受ける事も可能です。しかしながら、単純労働を前提とした研修には対応出来ません。従って、上記注意点を踏まえた上で研修内容を精査し、雇用形態や研修スケジュールが合致する場合においてのみ企業内転勤のビザを選択するべきだと言えます。
次の記事:
【訪日ビザ3:研修ビザ】ベトナムで採用した従業員に現業を含む内容の研修を受けさせたい
- お知らせ
- 2023.02.24
会員制Q&Aサイト「Vietnam Legal Online」アップデートのお知らせ
CastGlobal Vietnam Co., Ltd.では、ベトナムでの法務等で生じる疑問について整理したQ&A「Vietnam Legal Online」を更新しており、顧問先や会員企業に公開しております。
この度、Q&Aサイトのデザイン刷新、モバイル対応、その他全体の機能改善を行いましたのでお知らせ致します。
1週間のお試しIDの発行も行っています。
なお、データベースシステム自体も更新しており、一部の会員の方のパスワードですとログインできない事例が生じております。お手数ですが、会員でログインできない方は、 info-v@castglobal-law.com または弊社担当者までご連絡ください。
- コラム
- 2023.02.06
- 行政書士法人キャストグローバル
【訪日ビザ1】ベトナムで採用したベトナム国籍の従業員に日本本社で研修を受けさせたい場合の査証(ビザ)について
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、殆どのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。これは、ベトナムで雇用関係にある従業員が日本に入国する場合においても同様です。
在留資格を取得する必要があるかどうかは日本国内で想定されている研修内容に拠ります。
例えば商談や展示会への出席、オリエンテーションの様な限定された研修内容であれば日本国内での在留資格を取得することなく、短期滞在ビザで研修を行う事も考えられます。
短期滞在ビザで研修を行うのは特定のケースしか想定されませんが、ポイントしては「報酬の受け取りが発生しない事」「受け入れ法人が研修を通して利益を得ていない(成果物等を介して)事」という点が挙げられます。又、その短期滞在ビザでの滞在期間は90日を超える事は出来ません。(出入国管理及び難民認定法別表第二)。
従って外国籍従業員が研修を行う場合には在留資格を取得するのが一般的です。
研修に対応する在留資格は、「企業内転勤」、「研修」、「技能実習」等が想定されます。その他「技術人文知識国際業務」も考えられますが、長期滞在を想定した在留資格ですのでで、帰国を前提とした研修とすると使い勝手の点で劣ります(出入国管理及び難民認定法別表第一(第二条の二、第二条の五、第五条、第七条、第七条の二、第十九条、第十九条の十六、第十九条の十七、第十九条の三十六、第二十条の二、第二十二条の三、第二十二条の四、第二十四条、第六十一条の二の二、第六十一条の二の八関係))。
在留資格の用途から大別すると「企業内転勤」「研修」はデスクワーク、「技能実習」は実務作業を行う事が在留資格上認められます。それぞれメリットデメリットを踏まえて在留資格の選択方法について解説します。
「企業内転勤」、「研修」、「技能実習」を報酬の有無、雇用契約の主体、研修内容に分けると以下のとおり大別されます。
報酬の発生
雇用契約
研修内容
企業内転勤
〇
本国又は日本法人
デスクワーク
研修
×(実費の範囲においてのみ可)
本国
デスクワーク
技能実習
〇
日本法人
単純労働を含む実務的な作業
企業内転勤、研修、技能実習で各々契約の形態や報酬の支払い方法が変わってくる事が見て取れるものと思います。
例えば単純労働を前提とした研修であれば技能実習しか選択肢が無い事になりますし、デスクワークが前提でかつ給与を支払うのを前提とした研修とするのであれば企業内転勤しか選択肢は無いという事になります。(平成二年法務省令第十六号出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)
また、研修の在留資格は、報酬の支払いは不可となりますが、実費を超えない範囲であればこれは支給しても問題はないと考えられています。例えば宿泊費、食費等滞在中の日常生活に必要な費用は支給して問題ありません。
したがって、研修内容を精査し、雇用形態や研修スケジュールを綿密に兼用した上で在留資格を選択する必要があると言えます。
※次回以降、各在留資格についてそれぞれ取得の流れや注意点について比較検討していきます。
【訪日ビザ2:企業内転勤】ベトナムで採用した従業員にデスクワークを内容とした研修を受けさせたい
【訪日ビザ3:研修ビザ】研修ビザの内容について教えてください。
- コラム
- 2023.02.02
- CastGlobal
【ベトナム労務】労働者が退職時に行うべき会社側の手続について
ベトナムにおける労働契約の終了事由については、法律第45/2019/QH14号(以下「労働法」といいます。2021年1月1日施行。)第34条に規定されています。このうち主な終了事由としては以下のものを挙げることができます。
労働契約期間の満了
両当事者の合意
懲戒解雇処分
片方当事者からの一方的解除
(その他の終了事由については、労働法第34条をご確認下さい。)
原則として、会社は労働契約の終了に当たって、労働契約の終了を通知する必要があります(労働法第45条第1項)。労働契約期間満了や合意による終了の場合は、特に通知についての期限は規定されていません。そのため、契約終了日までに通知すれば足りると解します。
法律上定められる一方的な解除事由(後述)がある場合、労働契約の一方的な解除が可能となります。
会社による一方的解除の場合、事前の通知が必要になる場合があります。
事前の通知が必要な場合は、労働契約の期間に応じて、以下の法定通知期間が設定されています(労働法第36条第2項)。
無期労働契約:45日以上前
12か月以上36ヶ月以下の有期労働契約:30日以上前
12か月未満の有期労働契約:3営業日以上前
なお、以下に記載する解除事由が無断欠勤の連続等の場合には、そもそも連絡を取ることが難しい状況になってしまっているので事前の通知は不要です。
また、懲戒解雇の場合は特殊な手続となるため、4を参照ください。
理由なく5営業日以上連続して無断欠勤があった場合や、労働者が定年に達した場合(契約により定年後も雇用する内容となっている場合は解除事由となりません)などには会社は当該労働者との契約を一方的に解除できます。
他にも会社が定めた業務評価基準に達しない場合や、長期の治療によっても疾病等から回復しない場合も会社からの一方的解除事由となります。もっとも、この場合事前に詳細な業務評価基準を定めておくことや、疾病等から回復しないことについて医師などの専門家による書面が必要と考えます。
その他の一方的解除事由については、労働法の第36条をご確認ください。
職場において窃盗や横領、暴力行為によって他人に傷害を負わせる、その他会社に重大な損害をもたらす行為をした場合など(詳しくは労働法第125条をご確認下さい)は、一定の手続きを踏むことにより当該労働者を懲戒解雇することができます。
懲戒手続きを行なうためには、当該従業員の弁明等を聞くため、聴聞に相当するような手続(便宜上以下「聴聞会」といいます)を実施する必要があります。大まかな手続きは以下のとおりです(政令第145/2020/ND-CP号(以下「政令第145号」といいます)第145号第70条)。
① 会社は、聴聞会が開催される少なくとも5営業日前までに、懲戒の対象となる従業員(以下、「対象従業員」という)およびその弁護人(いる場合)に対して、聴聞会の時間と場所、対象従業員の氏名(フルネーム)、違反の内容を通知しなければなりません。会社は、聴聞会の実施前に対象従業員およびその弁護人(以下、これらの人物を総称して「参加者」といいます)が当該通知を受け取ったことを確認します。
② 参加者は、①の通知を受け取った場合、聴聞会への出席について会社に連絡しなければなりません。もし参加者のいずれが聴聞会に参加できない場合、会社と対象従業員は、聴聞会の日時または(および)場所の変更について合意します。当該変更についての合意ができない場合は、会社は当該場所と日時について最終決定を下すことができます。
③ 会社は、参加者への上記の通知または変更についての合意に従い、聴聞会を開催します。聴聞会当日に、参加者の出席が確認できない場合であっても会社は聴聞会を開催し、実施することができます。
④ 聴聞会の議事録は、聴聞会が終了する前に作成され承認されなければなりません。当該議事録には、参加者の署名がなされなければならない。参加者が署名を拒否する場合には、当該拒否者の氏名(フルネーム)と拒否の理由を議事録に記載します。
⑤ 懲罰について権限を有する者は、法定の期間内に懲罰についての決定を下し、当該決定について参加者に通知しなければなりません。
上記の手続きを踏まない等、懲戒処分の手続に違反があった場合、懲戒処分が無効となり、違法な労働契約の解除として扱われる可能性があるので注意が必要です。
懲戒事由については以下の原則が適用されます。
使用者は、懲戒事由についての従業員の故意・過失を立証しなければなりません(労働法第122第1項a号)。
懲戒処分の対象となる従業員(以下「対象者」といいます)が労働組合の構成員である場合、当該所属する労働組合には、懲戒処分(聴聞会)への参加権限があります(労働法第122第1項b号)。
対象者は弁護士または労働組合に弁護を依頼する権利があります(労働法第122第1項c号) 。
懲戒処分の対象となる行為が一つの場合、複数の懲戒処分を行う(たとえば、譴責と降格を同時に行う)ことは認められていません(労働法第122第2項)
1人の労働者が一時に複数の懲戒処分の対象となる行為を行った場合、もっとも重大な違反となる行為に対して最も重い形式のみが適用されます(労働法第122第3項)。
したがって、懲戒処分を行うに当たっては、会社は十分な証拠集めを行っておく必要があります。
原則として契約終了から14営業日以内に、会社はすべての金銭等を労働者に支給する必要があります(労働法第48条第1項柱書)。通常想定されるのは以下のものとなります。
1)給与
未払いの給与があれば、これを支給する必要があります。
2)未消化の有給
退職する労働者に未消化の有給がある場合、会社はこれを買い取れなければなりません(労働法第113条第3項)。
未消化の有給については、退職時の前月の給与を基準として1日あたりの給与額を算定し、これに未消化の有給の日数を乗じた金額を支給する必要があります(政令第145号第67条第3項)。
3)退職手当
労働者が12か月以上の勤務実績がある場合には、懲戒解雇による退職の場合を除いて、1年につき半月分の賃金に相当する退職手当を支給しなければなりません(労働法第46条第1項)。前記の半月分の給与とは退職前の6ヶ月分の給与の平均額を基準として算定されます(労働法第46条第1項)。
この点、失業保険の加入(納付)期間は、退職手当を算定するための期間から控除されます(会社法第46条第2項)。そのため、会社が適切に社会保険に関わる手続きを行なっている場合は、高額の退職金を会社が負担する必要はありません。
試用期間について社会保険の加入手続きを行なっていなかった場合、女性の労働者について産休を取得した場合現行法上では社会保険の納付ができないので、これらの期間がないか労働者の社会保険の加入状況を確認する必要があります。
また、退職者が外国人労働者である場合(かつ12か月以上の勤務実績がある場合)、外国人はベトナムの失業保険の加入対象でないため、法令上は退職金の全額を会社が負担する必要がありこの点注意が必要です。
- コラム
- 2023.01.11
- CastGlobal
【ベトナム労務】試用期間中の有給休暇はどのように扱われますか。
ベトナムにおいては、労働契約で合意した労働日数の50%以上を勤務した場合、一月勤務するごとに一日の有給休暇が発生します(政令第145/2020/ND-CP号(以下「政令第145号」といいます)第66条第2項・法律第45/2019/QH14号(以下「労働法」といいます)第113条第2項)。これが、勤務期間一年未満の労働者に対する有給休暇のルールです。
原則として一年に12日間の有給休暇が付与されますが(労働法第113条第1項a号)、勤続年数が5年経過するごとに有給休暇の日数が一日加算されることになります(労働法第114条)。
有給は労働者の権利として認められているものですから、退職時に未消化の有給休暇がある労働者に対しては、会社は当該未消化の有給休暇を買い取らなければなりません(労働法第113条第3項)。
買取を実施する単価の計算の基準となる給与額ですが、退職時の前月の給与額を基準として計算されると規定されています(政令145号第67条第3項)。
なお、買取時の一日当たりの給与額については、有給取得日に勤務した場合の通常の給与額である300%(労働法第98条第1項c号)を基準とすべきという見解もあるようですが、前記の第67条第3項が単に前月の給与額を算定の基準とすべきとのみ規定しており、割増賃金について一切言及していないため、通常の給与額100%の一日あたりに相当する金額に未消化の有給日数を乗じた金額を支給すれば足りると考えられます。
政令第65条第2項によれば、試用期間終了後も当該雇用主のもとで働き続ける場合の試用期間は、有給を計算する際の労働期間として算定されることが規定されています。この規定により、例えば試用期間が60日の場合、試用期間明け後に、当該労働者は2日間の有給を保持していることになります。
一方同項の文言は、試用期間終了後となってているため、その反対解釈として試用期間中(試用期間終了前)の就業期間は、これが終了するまでは有給を算定する際の、就業期間としては加算されないと考えられます。
したがって、試用期間中は労働者に対して有給は発生せず、正式な労働契約に移行することなしに契約を終了させる場合※は、契約終了時の有給の買取も不要と考えます。
※試用期間中は、特段の理由なく契約を終了することが可能です(労働法第27条第2項参照)。