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【2021年労働法】ベトナムにおける懲戒処分について教えて下さい。どのような懲戒が認められていますか。

  • 2021.11.15
  • 労務
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇

■回答 ベトナムでは、以下の4つの懲戒処分が認められています。 譴責 6ヶ月を超えない昇給期間の延長 降格 解雇 就業規則に定めのない、締結済みの労働契約で合意されていない、又は労働に関する法令において定めのない違反行為を行った労働者に対して、労働規律処分を行うことは認められていません(労働法第127条第3項)。 会社は以下の場合に労働者を懲戒解雇することができます(労働法第125条)。 労働者が職場で、窃盗、横領、賭博、故意の傷害、麻薬を使用する場合 労働者が、会社の営業・技術機密の漏洩、知的財産権の侵害行為を行う場合、使用者の財産、利益に関して重大な損害を惹起する行為を行う場合、もしくは特別に重大な損害を惹起するおそれ...

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  • 労務
  • 2023.02.02
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
労働者が退職時に行うべき会社側の手続について
以下のコラムをご確認ください。 【ベトナム労務】労働者が退職時に行うべき会社側の手続について
  • 労務
  • 2021.11.15
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
【2021年労働法】懲戒処分を実施する際の具体的な手続を教えて下さい。
会社が従業員を懲戒処分とする場合、聴聞会(ベトナム語: họp xử lý kỷ luật lao động )を開催のうえ懲戒を行います。具体的な手続の流れは以下のとおりになります(政令145号70条)。 ①会社は、聴聞会が開催される少なくとも5営業日前までに、懲戒の対象となる従業員(以下、「対象従業員」という)およびその弁護人(いる場合)に対して、聴聞会の時間と場所、対象従業員の氏名(フルネーム)、違反の内容を通知しなければなりません。会社は、聴聞会の実施前に対象従業員およびその弁護人(以下、これらの人物を総称して「参加者」といいます)が当該通知を受け取ったことを確認します。 ②参加者は、①の通知を受け取った場合、聴聞会への出席について会社に連絡しなければなりません。もし参加者のいずれかが聴聞会に参加できない場合、会社と対象従業員は、聴聞会の日時または(および)場所の変更について合意します。当該変更についての合意ができない場合は、会社は当該場所と日時について最終決定を下すことができます。 ③会社は、参加者への上記の通知または変更についての合意に従い、聴聞会を開催します。聴聞会当日に、参加者の出席が確認できない場合であっても会社は聴聞会を開催し、実施することができます。 ④聴聞会の議事録は、聴聞会が終了する前に作成され承認されなければなりません。当該議事録には、参加者の署名がなされなければならない。参加者が署名を拒否する場合には、当該拒否者の氏名(フルネーム)と拒否の理由を議事録に記載します。 ⑤懲罰について権限を有する者は、法定の期間内に懲罰についての決定を下し、当該決定について参加者に通知しなければなりません。   懲戒処分の手続に違反した場合、そもそもの懲戒処分が無効となり、違法な労働契約の解除として扱われることになるためご注意ください。将来的に労働者から解雇の無効を争われるという事例が実務上も多くみられるため、労働紛争リスクが非常に高くなります。 使用者は、懲戒事由についての従業員の故意・過失を立証しなければなりません(労働法第122第1項a号)。 懲戒処分の対象となる従業員(以下「対象者」といいます)が労働組合の構成員である場合、当該所属する労働組合には、懲戒処分(聴聞会)への参加権限があります(労働法第122第1項b号)。 対象者は弁護士または労働組合に弁護を依頼する権利があります(労働法第122第1項c号) 。 懲戒処分の対象となる行為が一つの場合、複数の懲戒処分を行う(たとえば、譴責と降格を同時に行う)ことは認められていません(労働法第122第2項 )。 1人の労働者が一時に複数の懲戒処分の対象となる行為を行った場合、もっとも重大な違反となる行為に対して最も重い形式のみが適用されます(労働法第122第3項。例えば、就業時間中に飲酒のうえセクハラを行い、にセクハラにより懲戒解雇される場合)。
  • 労務
  • 2021.11.08
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
【2021年労働法】無断欠勤をする従業員の労働契約を解除したいのですが、可能でしょうか。
会社は以下の場合に労働契約を一方的に解除することができます(労働法第36条)。 ①労働者が、労働契約に定める業務について、会社の規則における業務完遂水準評価基準に従って業務を完遂することが常時できない場合。 ②労働者が、病気、事故で、連続して12か月(無期限労働契約の場合),6か月(12か月から36か月の有期限労働契約の場合)、労働契約期間の2分の1を超える期間(12か月未満の有期労働契約の場合)、治療を受けたが労働能力を回復しない場合。 ③自然災害、火災、危険な疫病、権限を有する国家機関の要求に従ったことにより損害または移転、生産、経営の縮小があり、会社が已むを得ず労働者を減らすことを強いられる場合。 ④労働契約の一時履行停止期間が満了した日から15日以上経っても、労働者が職場に来ない場合。 ⑤労働者が、定年に達した場合。 ⑥労働者が、自らの意思で、5日以上連続で正当な理由なく無断欠勤する場合。 ⑦労働者が、誠実な情報を提供しなかったために、労働契約の継続が困難となった場合。 したがって、5日以上連続で無断欠勤が続く場合、当該労働者が事故等にあって連絡できなった等の正当な理由がない場合、会社は労働契約を解除できますが、その要件に当てはまらない場合は、当然に労働契約を解除できるわけではありません。 一方的解除に該当しない無断欠勤については、就業規則にしたがって懲戒事由して処断する必要があります。   会社は、前頁④(一時履行停止明けの労働契約)、⑥(連続する無断欠勤)の場合を除いて、労働契約を解除する場合、事前に労働者に解除を通知しなければなりません(労働法第36条第2項)。事前の通知は少なくとも以下の日数よりも前に実施する必要があります。 解除しようとする労働契約が、無期限労働契約である場合は解除日から少なくとも45日以上前 解除しようとする労働契約が、 12か月から36か月の期間の有期限労働契約の場合については少なくとも30日以上前 解除しようとする労働契約が、 12か月未満の期間の有期限労働契約および前頁②(労働者が病気や事故により労働労力を回復しないとき)に該当する場合については少なくとも3営業日以上前 会社は労働契約を違法に解除した場合、以下の不利益を被る可能性があります(労働法第41条)。 ㋐ 労働者が勤務を継続する場合 労働者を職場復帰させ、労働者が働くことができなかった日数の賃金、社会保険、医療保険、失業保険を支払い、労働契約に定められた賃金の少なくとも2か月分を労働者に追加で支払わなければなりません。 労働契約に定める、職責・業務が残っていないが労働者が依然として勤務を希望する場合、労働契約を修正、補充した合意を締結する必要があります。 解除の事前通知期間(左記第2項)に対する規定違反があった場合、事前通知がされなかった日数に応じて、労働契約に定めた賃金の1日の給与に相当する金銭を支払わなければなりません(一日の給与額×事前通知をしなかった日数) ㋑ 労働者が勤務の継続を希望しない場合 上記㋐に定める金銭の他、退職金を支払う必要があります。 ㋒ 使用者が当該労働者と労働契約を継続したくない場合で、かつ労働者がそれに同意する場合は、上記㋐、㋑で支給される金銭に加えて、少なくとも賃金の2ヶ月分の金員に相当する追加的な損害賠償を支払わなければなりません。
  • 労務
  • 2021.10.01
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
ベトナムで経済的理由や組織再編によるリストラ(整理解雇)は可能なのでしょうか?
ベトナムの整理解雇については、労働法(法律第45/2019/QH14号)第42条やおよび第43条に規定があります。 第42条第1項には、一部の事業所の閉鎖等、構造・技術上の変更がある場合の例、同条第2項には経済的理由の例が記載されており、第43条第1項には合併等組織再編を理由とする場合が規定されています。 第42条 構造・技術の変更又は経済的理由による場合の使用者の義務 1 次の場合、構造又は技術の変更とみなす。 a) 組織構成の変更、労働の再編成 b) 使用者の生産・経営の業種、職種に係る工程、技術、機械、生産設備の変更 c) 製品又は製品の構造の変更 2 次の場合、経済的理由とみなす。 a) 経済の恐慌又は後退 b) 経済の再編成時における国家の政策、法令の施行又は国際条約の施行 第43条 企業・合作社の消滅分割・存続分割・新設合併・吸収合併、売却・貸付・企業形態の転換、財産の所有権・使用権の譲渡があった場合の使用者の義務 1 企業又は合作社の消滅分割・存続分割・新設合併・吸収合併、売却・貸付・企業形態の転換、財産の所有権・使用権の譲渡があり、それが多数の労働者の業務に影響を及ぼす場合、使用者はこの法典第44条の定めるところにより労働使用計画を策定しなければならない。 経済的理由については、経済恐慌が例示されており、かなり厳格な要件となっていると解されます。   1)労働使用計画の内容 構造・技術上の変更、経済的理由の場合、または組織再編を理由とする場合のいずれであれ、リストラを行う場合、まず労働法の第44条に従って、労働使用計画を作成しなければなりません(労働法第42条第3項・第4項、第43条第1項)。 第44 条 労働使用計画 1 労働使用計画は、次の主たる内容を含まなければならない。 a) 使用を継続する労働者、使用を継続するために再訓練を受ける労働者、パートタイム業務に異動する労働者の人数及びその名簿 b) 定年退職する労働者の人数及びその名簿 c) 労働契約を終了しなければならない労働者の人数及びその名簿 d) 労働使用計画の実施における使用者、労働者及び各関連当事者の権利及び義務 dd) 計画の実施を確保するための措置及びその財源 2)労働使用計画に関わる手続き要件 ① 労働組合との意見交換 社内に労働組合がある会社においては、労働使用計画の内容について労働組合と意見交換をする必要があります(労働法第44条第2項)。 ② 労働者への公開 労働使用計画の内容が確定した15日以内に、その内容を労働者に知らせるため内容を公開・通知することが必要となります(労働法第44条第2項。労働組合の有無にかかわらず必要です)。   1)組織再編行為の場合 合併等の場合は、若干要件が異なり、労働使用計画の遂行し、下記第4項「失業手当の支払い」に記載のとおり失業手当を支払います(労働法第43条第2項・第3項)。 2)構造・技術上の変更、および経済的理由の場合 上記に加えて、労働者が労働組合員である場合には、退職させることについても労働組合との意見交換が必要となります(労働法第42条第6項)。 また退職の対象となる労働者が労働組合員であるかどうかにかかわらず、当該退職について、退職の30日前までに管轄の人民委員会と労働者に通知を行うことも必要となります(労働法第42条第6項)。   1)整理解雇の理由が上記の三つのうちいずれの場合であっても、労働法第47条の定めるところにより失業手当を支払わなければならないとされています(労働法第42条第5項・第43条第3項)。 第47条 失業手当 1 使用者は、丸12 か月以上の間常時自らのために勤務したが、この法典第34 条第11 項の定めるところにより失業した労働者※に対し、勤務した1 年につき1 か月分の賃金に相当する失業手当を支払う。ただし、少なくとも2 か月分の賃金でなければならない。 2 失業手当を算出するための勤務期間は、労働者が使用者のために実際に勤務した期間の合計とする。ただし、労働者が、失業保険に関する法令に従い失業保険に加入していた期間及び使用者から退職手当、失業手当の支払いを受けた勤務期間を差し引く。 3 失業手当を算出するための賃金は、労働者が失業した時の直前の連続する6 か月の労働契約に基づく賃金の平均とする。 4 政府は、本条の詳細を定める。 ※上記の第42条・第43条による退職する労働者をさします 2)会社は、退職する労働者について、失業保険に加入している期間は、失業手当を支払う必要はありません(労働法第47条第2項)。 しかし、試用期間中等において、失業保険に加入していない期間が1日でもある場合、政令145号(政令第145/2020/ND-CP号)第8条第2項により、会社は2ヶ月分の給与に相当する失業手当を労働者に支払わなければならないことになります。   上記のとおり、ベトナムの整理解雇は手続きが比較的煩雑です。 また、経済的利用の要件が厳格と解されること、構造・技術上の変更がある場合・組織再編の場合においては「それが多数の労働者の業務に影響を及ぼす場合」という要件が付加されており、どのような場合に当たるのかは必ずしも明確ではないことなどから実態法上の要件についても判断が難しく、実際には労働組合等の協力を得ないことには適用が難しい制度となっています。そのため少なくとも日系企業ではほとんど同制度が活用されていません。 整理解雇を検討するとしても、 ㋐有期労働契約か、無期契約かを確認し、不要な有期契約を契約満了により終了させる ↓ ㋑労働者との話し合いにより、合意に至ったものを契約解除する ↓ ㋒労働契約の一方的解除の検討(労働法第36条第1項) ↓ ㋓整理解雇の検討 という流れが一般的です。 ◆関連法令 2019年11月20日付法律第45/2019/QH14号(労働法) 2020年12月14日付政令145/2020/NĐ-CP号(政令145号)
  • 労務
  • 2018.08.30
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
労働者が自己都合退職を申し出た場合、どうすればよいでしょうか。事前の通知期間などはありますか。
有期期限の労働者が労働契約を解除できるのは、常にできるわけではなく以下の労働法第37条第1項の場合です。 a,b,c,gの場合は、3営業日前 d,eの場合は、30日前 の通知が必要とされています。 第37条 労働者が労働契約を一方的に解除する権利 1.有期限労働契約、季節的な業務または12ヶ月未満の特定業務を履行するための労働契約の下で就労する労働者は、次の場合に契約を契約期間満了前に一方的に解除することができる。 a)労働契約で合意した業務もしくは勤務地に配置されない、または労働条件が保証されない。 b)労働契約に定めた給与が十分に支給されない、または支給が遅延する。 c)虐待、セクシャルハラスメントを受ける、強制労働をさせられる。 d)自身または家族が困難な状況に陥り、契約履行の継続が不可能になる。 e)住民関連機関における専従職に選出される、または国家機関の職務に任命される。 f)妊娠中の女性従業員が、認可を受けている医療機関の指示により、業務を休止せざるを得ない。 g)労働者が疾病または事故にあったものの、有期限労働契約の場合は90日間、季節的業務または12ヶ月未満の特定業務を履行する労働契約の場合は契約期間の1/4を治療に充てたにも関わらず、労働能力を回復できない。 2.本条第1項に基づいて労働契約を一方的に解除する労働者は、使用者に対し、次の期間をもって事前通知しなければならない。 a)本条第1項第a、b、c、g号の場合は、少なくとも3営業日前とする。 b)本条第1項dおよびeの場合、有期限労働契約については少なくとも30日前、季節的業務または12ヶ月未満の特定業務を履行するための労働契約については少なくとも3営業日前とする。 c)本条第1項第f号の場合、事前通知期限は本法第156条の規定によるものとする。 3.無期限労働契約の下で就労する労働者は、本法第156条に規定する場合を除き、労働契約を一方的に解除できるが、使用者に対し少なくとも45日前に事前通知しなければならない。 そもそも解除事由がなく、一方的に解除できない場合については、給与半額分の賠償金を労働者に求めることが可能です。 一方、期間の違反のみであれば、事前通知が不足している部分について、給与を日割りで払わないことができます。 第43条 労働契約の一方的な不法解除を行なった労働者の義務 1.退職金を受給できないほか、労働契約書に基づく給与の1/2に当たる賠償金を使用者に支払わなければならない。 2.労働者が事前通知期限の規定に違反した場合、事前通知を行わなかった日数に応じて、給与に応じた賠償金を使用者に支払わなければならない。 3.本法第62条に規定する教育費用を使用者に返済しなければならない。   無期の場合や試用期間の場合は、そもそも第37条1項2項は適用されません。 無期の場合には、労働法第37条3項により45日前に通知すれば、事由に関係なく退職可能です。 この場合、有期契約同様、通知期間が不足していれば、②の減額は可能です。 試用期間の場合は、事前の通知がなくとも両当事者いつでも賠償などなく解除可能とされています。 第29条 試用期間の終了 1.試用期間中の業務内容が要件を満たす場合、使用者は労働者と労働契約を締結しなければならない。 2.各当事者は相手方に対して、試用期間中の業務内容が両当事者の合意を満たさない場合の賠償義務を負わずに、事前の通知をすることなく試用を取り消すことができる。
  • 労務
  • 2016.09.12
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
産休中の労働者について有期労働契約が満期となる場合
産休中の労働者に対して一方的に労働契約の解約、又は解雇処分を実施してはいけないとの明確な規定がありますが、満期の場合、更新する必要があるとの規定がないため、労働契約をここで終了することは可能です。 しかし、産休中労働契約が満期となりし、更新しない(=契約終了)場合、下記の留意点があります。   ・会社は労働者に対し、有期限労働契約の期限終了の尐なくとも 15 日前に文書で 労働契約の解除日を通告しなければならない。 (労働法第47条1項) ・労働契約書終了日から7日以内にすべての義務(退職手当の支払等)を完了する必要がある。(労働法第47条2項) ・産休中に労働契約書が終了される場合、引き続き産休制度を受けられるが、産休開始日から労働契約書の終了日までの期間は社会保険加入期間と認めているものの、労働契約書終了以降は社会保険加入期間として認められない。 (社会保険法の案内通達であるCircular 59/2015/TT-BTBLDXHの第12条2項a点)   また、労働契約書が終了する際に社会保険機関から産休中の給与分及び産休手当をまだ受け取っていない場合、その後労働者は自分で社会保険機関と産休制度の手続きを実施しなければならず、実務上は手間と時間がかなりかかるようです。 したがって、産休期間終了まで労働契約書の延長を希望する労働者も多いようです。 その希望に応えるために、政令05/2015/ND-CPの第5条に従って、労働契約書の期間を修正する方法を検討することも可能です。   例:労働者の契約期間は2015年10月1日~2016年9月30日であり、その人が2016年8月30日から産休期間が開始し、2016年9月30日に契約を終了する場合: +2016年9月15日前に、労働契約の終了日を文書で通知する必要。 +2016年8月30日~2016年9月30日:産休期間=社会保険加入期間 +2016年10月1日~2017年2月28日:産休期間であるが、社会保険加入期間ではない +2016年9月30日にまだ社会保険機関から産休中の給与分及び産休手当を受け取っていない場合、労働者はその後自分で手続きを実施する。   労働者に有利に取り扱う場合、労働契約期間(2015年10月1日~2016年9月30日)を2017年2月28日まで延長するとの附録を作成することで、 +2016年8月30日~2017年2月28日:産休期間=社会保険加入期間 +会社は労働者の代わりに、社会保険機関と産休制度の手続を実施できる。 +期間を延長しても、まだ産休期間中であるため、会社はその労働者に対する給与や社会保険の費用がかからない。 +しかし、一つのデメリットは、産休期間中は失業保険を加入しないため、その分は会社が支払う退職手当の対象期間になるので、2017年2月28日まで労働契約を延長する場合、2017年2月28日の時点に契約を終了する場合、下記の計算式の通り、 半月分の退職手当を支払う必要があります。   退職手当 = 退職手当の対象期間(A)x 直近6ヶ月の平均給与 x ½ そのうち、(A)=全ての労働契約期間(試用期間、産休期間等を含める)- 失業保険を加入しない期間(試用期間、産休期間等)=試用期間+産休期間 1<(A)<6 months → ½ に切り替え 6<(A)<12 months → 1 に切り替え 少なくても、半月分の退職手当を支払う必要があります。   会社の状況によって、どちらの方法を採用するか、検討が必要です。  
  • 労務
  • 2016.06.26
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
労働者が会社の資産に損害を与えた場合の損害賠償についての規定を教えてください。
  会社は、労働者がその過失により会社に損害を与えた場合、労働者に損害賠償請求をしてその賠償を求めることが可能です。 また、その賠償金額について給与から天引きすることもできます。 もっとも、就業規則に損害賠償の基準を記載しておく必要があること、手続としては懲戒手続と同様の手続をとる必要があることなど、手続的には煩雑な面もあります。   関連規定が多く存在するため、以下に整理しておきます。   第2節 物的責任 第130条 損害賠償 1.使用者の機器、設備を損壊した場合、または資産に損害をもたらすその他の行為を行った労働者は、法律に基づいて賠償しなければならない。 労働者が起こした損壊が不注意によるもので深刻ではなく、且つその損害額が、政府が公布しその地域で適用されている最低賃金の10ヶ月分を超えない額の場合、労働者は最大で給与3ヶ月分をもって賠償しなければならず、本法第101条第3項の規定に基づいて賃金より毎月天引きされる。 2.労働者が、使用者の機器・設備・財産、または使用者が引き渡したその他の財産を紛失、または許可された基準を超えて物資を浪費した場合、市場の時価に基づいて損害の一部または全てを賠償しなければならない。また、責任に関する契約がある場合は、当該契約に基づいて賠償しなければならない。ただし、事前に予測することができない自然災害・火災・戦争・疫病・大事故・事件が発生し、可能な限りあらゆる措置を講じたにも関わらず克服できなかった場合は、賠償義務はない。   第131条 損害賠償処理の原則・手順・手続き 1.損害賠償額の検討と決定は、労働者の過失、実際の損害額、労働者の家庭の事情、身分および財産に基づかなくてはならない。 2.損害賠償処理の手順・手続き・時効は、本法第123条および第124条の規定に準じる(※)。   第132条 懲戒処分・物的責任に関する苦情の申し立て 懲戒処分を受けた、業務を停止された、または物的賠償責任に基づき賠償を要求された者が、これらを不当と考える場合、法規に基づいて使用者・管轄機関に苦情を申し立てることができる。または法規に基づいた手順に従って、労働争議の解決を要求することができる。   第101条 賃金の天引き 1.使用者は本法第130条の規定に基づいて、労働者が使用者の道具・設備を損壊したことにより与えた損害を賠償する場合のみに、賃金から天引きをすることができる。 2.労働者は、自分の賃金が天引きされる理由を知ることができる。 3.毎月の賃金からの天引き額は、労働者の毎月の賃金から強制社会保険料・医療保険料・失業保険料・所得税の納付額を差し引いた金額の30%を超えてはならない。   (※)123条、124条の規定=懲戒手続の規定 第123条 労働規律違反行為への処分の原則および手順 1.労働規律違反行為への処分は、以下のとおりに規定される。 a)使用者は労働者の過失を立証しなければならない。 b)事業所における労働者集団の代表組織が参加する必要がある。 c)労働者が出席しなければならず、自己弁護する権利および弁護士または他の者に弁護を依頼する権利を有する。18歳未満の場合、両親または法定代理人が参加する必要がある。 d)労働規律違反行為の処分は書面に記録されなければならない。 2. 1件の労働規律違反行為に対し、複数の労働規律処分を適用してはならない。 3.労働者が同時に複数の労働規律違反行為を行った場合は、最も重い違反行為に対応する最も重い処分のみが適用される。 4.次の期間にある労働者に対し、懲戒処分を行ってはならない。 a)病気・療養休暇中、使用者の同意を得た休暇中 b)逮捕・拘留中 c)本法第126条第1項に規定された違反行為に対する管轄機関の結論と検証の結果を待つ期間 d)妊娠中・出産休暇中の女性労働者、12ヶ月齢未満の子供を養育中の労働者 5.労働者が、認識能力もしくは自己の行動管理能力を喪失する、精神疾患またはその他の疾患に罹患している間に労働規律に違反した場合は、懲戒処分を行わない。   第124条 懲戒処分の時効 1.懲戒処分の時効期間は、違反行為が発生した日から起算して最大6ヶ月とする。違反行為が使用者の財産、経営または技術上の秘密の漏洩に直接関連する場合、懲戒処分の時効期間は最大12ヶ月とする。 2.第123条第4項a、bおよびcの各号に規定する期間が終了した際、懲戒処分の時効成立まで期間が残存する場合、使用者は直ちに懲戒処分を行う。時効期間が満了している場合、懲戒処分を行うために時効期間を延長することができる。ただし、延長期間は上記の期間が終了した日から60日を超えてはならない。 第123条第4項第d号に規定された期間が終了した際、懲戒処分の時効期間が満了している場合、時効期間を延長することができる。ただし、延長期間は上記の期間が終了した日から60日を超えてはならない。 3.懲戒処分の決定は、本条第1項および第2項に規定する期間内に公布されなければならない。   第26条 6. 労働法第130条1項に定められた労働者のミスによる機械、設備破損の損害賠償のための給与からの賠償額の差し引きは、国民皆加入義務のある社会保険、医療保険、失業保険、個人所得税(もしある場合)が控除された後の実際の給受取額に準拠する。   第27条 労働規律の内容 労働法第119条2項の労働規律の主な内容は以下の通りに規定される。 5. 労働規律の違反行為、労働規律の処理方法と物的有限責任: 違反行為、違反の度合いに応じた労働規律適用の処理方法、損害のレベル、損害補償、賠償責任のリスト ※これを就業規則に記載するという趣旨です。   第32条 損害賠償 労働法第130条に規定される損害賠償は以下の通りである。 1. 労働者が過失により会社の設備、機械に損害を与えてしまった場合、労働法第101条3項の規定に従い、損害を与える前月の労働契約書に記載された給与額の最大3ヶ月分を持って、毎月控除されるかたちで損害の賠償をしなければならない。(損害を与えた額がその地域に適用される政府公示最低賃金の10ヶ月分を超えない場合) 2. 労働者はケースに応じて損害の一部または全てに対し賠償しなければならない。 a) 労働者の過失による損害額が、政府が公示したその労働者の就労地域の最低賃金額10ヶ月分を超える場合 b) 雇用者の道具、設備、財産または雇用者が渡した他の財産を無くした場合 c) 雇用者の許可範囲でない適正を超えた物品を消耗した場合 3. 労働者が本条2項の規定に沿う、雇用者に損害を及ぼした際、雇用者に対する責任を定めた契約書がある場合は、その契約書に則り損害賠償をしなければならない。 4. 天災、火災、災禍、伝染病、その他の予見不可能な事態の発生において、克服の可能性を模索し、様々な手段を講じても回避できなかった損害に対しては賠償の義務はない。 5. 損害賠償の手順、手続き、期限については労働規律の規定が適用される。   第33条 労働規律および物的有限責任に対する異議 1. 労働規律により処分された者、労働を解除させられた者、損害賠償を求められた者でそれに不服がある場合は、労働法第201条の規定手順に従い雇用者及び国家権限機関に対して、個人労働紛争解決請求書をもって異議を申したてることができる。 2. 雇用者は、国家管理機関が、雇用者の労働規律適用に対して違う結論を下したとき、または雇用者の労働者の一時労働解除の決定に対して違う結論を下した時、または雇用者が決定した労働者の賠償責任に対して違う結論を下した時に公布した決定を取り消し、また新しい決定を公布し、その旨を企業内において通知しなければならない。 3. 雇用者は、雇用者が下した労働規律処理決定、一時労働中断の決定損害賠償の決定により影響を受けた労働者の権利と利益を回復しなければならない。労働法規範の解雇が法に反している場合は、雇用者は労働法第42条の1,2,3,4項の履行義務が生ずる。  
  • 労務
  • 2015.06.30
  • 労働契約の終了、懲戒・解雇
懲戒処分を行うときに必要な手続はありますか。
使用者は、「労働規律」(以下で説明。)に違反した労働者に対して、譴責、6 ヶ月を超えない昇給期間の延長・降職、解雇の3種類の処分を行うことができます(「労働法」第125条)。これらの処分以外に、就業規則において出勤停止等の軽い処分を創設することができるか否かは明確でありませんが、通常はこの3種類のみを懲戒処分として就業規則に規定します(法律上、労働規律の違反に対する処分として減給及び罰金等にすることができないことは明確に規定されています(「労働法」第128条第2項)。)。 「労働規律」とは、「就業規則における時間、技術並びに経営及び生産に関して遵守すべき決まり」とされています(「労働法」第118条)。この定義からわかるとおり、労働規律の違反として処分を行うためには、労働規律として就業規則に規定されていることが必要であり、労働規律として就業規則に規定されていない場合には、処分を課すことができないことに注意が必要です(「労働法」第128条第3項参照)。   懲戒処分を行うためには、①会社が労働者の過失を立証すること、②基礎レベルの労働集団の代表組織が参加すること、③労働者が出席し、自らの権利を守り又は弁護士若しくは他の者に 弁護を依頼する権利を有すること、④労働規律違反の処分を行う際は文書を作成すること、といった要件が必要なので注意しましょう。 この点を含めて、「労働法」第123条は以下のとおり規定しますので、一度内容をご確認ください。 「労働法」 第123条 労働規律違反行為への処分の原則および手順 1.労働規律違反行為への処分は、以下のとおりに規定される。 a)使用者は労働者の過失を立証しなければならない。 b)事業所における労働者集団の代表組織が参加する必要がある。 c)労働者が出席しなければならず、自己弁護する権利および弁護士または他の者に弁護を依頼する権利を有する。18歳未満の場合、両親または法定代理人が参加する必要がある。 d)労働規律違反行為の処分は書面に記録されなければならない。 2. 1件の労働規律違反行為に対し、複数の労働規律処分を適用してはならない。 3.労働者が同時に複数の労働規律違反行為を行った場合は、最も重い違反行為に対応する最も重い処分のみが適用される。 4.次の期間にある労働者に対し、懲戒処分を行ってはならない。 a)病気・療養休暇中、使用者の同意を得た休暇中 b)逮捕・拘留中 c)本法第126条第1項に規定された違反行為に対する管轄機関の結論と検証の結果を待つ期間 d)妊娠中・出産休暇中の女性労働者、12ヶ月齢未満の子供を養育中の労働者 5.労働者が、認識能力もしくは自己の行動管理能力を喪失する、精神疾患またはその他の疾患に罹患している間に労働規律に違反した場合は、懲戒処分を行わない。
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  • 2015.06.30
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生産性の悪い労働者を解雇することはできますか。
「労働者の生産性が悪いから解雇したい」、「労働者が会社内の秩序を乱すから解雇したい」といったご相談をいただくことがよくあります。このようなケースで使用者は労働者を解雇することができるでしょうか。 法律上、使用者は、以下の場合に労働者との労働契約を一方的に解除することができるとされています(「労働法」第38条)。 ①労働者が、繰り返し労働契約に定めた業務を遂行しない場合 ②労働者が、病気、事故で連続して 12か月(無期限労働契約の場合)、6か月(有期労働契約の場合)、契約期間の1/2 以上(12か月未満の季節的業務等の労働契約の場合)にわたり治療を受けたが、労働能力を回復できない場合(労働者の労働能力が回復した際は、使用者は労働契約の継続を検討する。) ③天災、火災又は政府が規定するその他の不可抗力の理由により、使用者が全ての克服措置を実行したが、やむを得ず生産規模の縮小及び人員削減を行う場合。 ④労働者が、「労働法」第 33 条で規定する期限(労働契約の一時履行停止期間が終わった日より15 日以内。一時履行停止期間とは、労働者が兵役に行った場合、女性労働者が妊娠している場合、労働者が逮捕された場合等を指す。)後に欠勤する場合。   法的には、ご質問のようなケースは、上記①に該当すれば、会社は労働者を解雇することができます。しかし、一般には、「労働者が、繰り返し労働契約に定めた業務を遂行しない」とまで言えるケースは少ないため、上記①に該当するとの主張は難しいことが多いといえます。 このような場合、労働者が就業規則で規定された服務規律に違反する行為を行っていることがありますので、服務規律違反を理由とする懲戒処分(初めは戒告処分)を行い、軽めの懲戒処分を積に重ねて最終的に懲戒解雇処分を下す、という方法が理屈上はあり得ます。しかし、この方法は時間的・手続的コストがかかりますので、あまり現実的ではないことが多いでしょう。   そうすると、このようなケースでは、①退職勧奨を行って何とか労働契約の合意解除に持っていくか、又は、②有期労働契約であれば、労働契約で合意された期間の満了を待つほかないことがほとんどです。 ①の場合、退職してもらうための補償金として、一定額の金銭(2ヶ月~3ヶ月分の給与相当額を支給するケースが比較的多いように思われますが、ケースバイケースです。)を支給することもよくあります。このような金銭を支給する場合、いくらの金銭が支給されたか、瞬く間に労働者の間に情報が拡散し、事実上、以後同様のケースで労働者に支給する金銭の最低水準となってしまうことがあるため注意しましょう。 金銭の支給を受けた労働者と秘密保持の合意を締結してもほとんど効果がないことが多いですし、人事部又は経理部のベトナム人から情報が拡散されることもありますので、情報の拡散自体は覚悟せざるを得ないでしょう。 そこで、一つ考えられる対応策としては、事後的に、「このケースは●●、●●、●●、という個別の状況に鑑みて、●●ベトナムドンを支給した。」ということを説明できる資料を準備し(例えば、補償金の支払を受ける労働者と使用者の間で締結する労働契約の解除合意にこのような背景事情を規定する。)、ケースが異なれば支給金額も異なることを説明できるようにしておく、ということが考えられます。これは完全な方法とは言えませんが、法的リスクを減少させるための一つの方法としては検討に値します。 間接的に退職勧奨を行う方法として、退職して欲しい労働者に対して仕事を与えない、当該労働者の役職を下げる、等といった方法が用いられることがあります。 このような手法は、プライドが高いホワイトカラーのベトナム人労働者には特に効果的だと言われることがあり、実際に、やり方次第では労働関連法令に違反しない形で実行することができるものもあります。しかし、行き過ぎた場合には違法になり、労働者から損害賠償請求される可能性等もありますので、慎重に検討することが必要です。 なお、「労働者の給与を使用者の一方的決定で下げる」という強硬手段に出る日系企業がたまにありますが、これは基本的に違法ですのでご注意ください。   ②の場合、有期の労働契約が満了するまでは労働契約を維持しなければいけませんので、直ちに労働者を解雇する必要性がそれほど高くない場合には有効ですが、そうでない場合には適さない方法と言えます。
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  • 2015.06.30
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労働契約の終了事由(労働法第36条のまとめ)
「労働法」第36条によれば、労働契約は以下の1乃至10の場合に終了します。それぞれ、順にご説明します。 会社にとって最も重要な項目は、以下の1、3及び10になります。 ※第192条6項は、「労働組合の非専従役員である労働者が、労働組合の任期中に労働契約期間が満了した場合は、締結した労働契約を任期終了時まで延長すること。」と規定します。 有期の労働契約の期間満了による労働契約の終了を指します。同一の労働者に関して、有期の労働契約の締結は2回までしか認められておらず、3回目の労働契約は無期となりますので、3回目の労働契約を締結した後は、期間満了による労働契約の終了はできなくなります。 通常の労働契約は一定の期間、労働者が使用者に労務を提供するものであるため、業務完了による労働契約の終了が認められるケースは極めて限られてきます。 いわゆる合意解除のケースであり、使用者及び労働者が労働契約を解除することに合意した場合になります。 実質的には使用者による労働者の解雇であったとしても、合意解除の形式を取ることが多いといえます。 合意解除の際には、後の紛争防止のため、賃金が全て支払われたこと(手当、時間外労働手当、賞与等を含む。)、労働契約の開始及び終了時点の確認、(必要な場合)退職補助又は失業補助が支給されたこと、(必要な場合)会社から特別の補償金を支払ったこと、及び、上記以外の当事者間の権利義務等について、書面で合意しておくとともに、使用者が全ての義務を履行したことの確認書に労働者の署名をもらっておくことが望ましいといえます。 これらの文書があったとしても、事後的に労働者から違法解雇と主張されるケースがゼロになるわけではありませんが、このような法的リスクを減少させることはできます。 これは定年退職のケースです。ベトナムの労働者は全体的に若年であるため、現在はそれほど多くありません。 定年退職の要件としては、①原則として、男性は60歳、女性は55歳に達し(重労働に従事している労働者等については、これよりも若い年齢で定年退職とされています。)、かつ、②社会保険料を満20年以上納付していること(「社会保険法」第54条第1項)、が必要となります なお、定年退職者は再雇用することができます。現状、定年退職者の再雇用について詳細な規定は見当たりません。ここでは、定年退職者の再雇用に係る「労働法」の原則的規定をご紹介します。 166条 高齢労働者 1.高齢労働者とは、本法第187条の規定に基づく年齢以上で、継続的に勤務する者をいう。 2.高齢労働者は、1日あたりの勤務時間の短縮または非常勤勤務制度の適用を受けることができる。 3.定年退職前の最後の年においては、労働者は通常勤務時間の短縮または非常勤勤務制度の適用を受けることができる。 第167条 高齢労働者の使用 1.使用者は、必要があれば、十分な健康状態の高齢労働者と相談した上、本法第III章の規定に従って、労働契約の延長または新規労働契約の締結を行うことができる。 2.定年退職後の労働者は、新規労働契約で就労する場合、定年退職制度による権利以外、労働契約にて合意した権利を受けることができる。 3.政府が規定する特別な場合を除き、高齢労働者の健康に悪影響を与える重労働、危険または有害な業務に、高齢労働者を使用することを禁止する。 4.使用者は、職場における高齢労働者の健康に配慮する責任を負う。   実務上はほとんど見受けられないケースです。   実務上はほとんど見受けられないケースです。   実務上はほとんど見受けられないケースです。   いわゆる懲戒解雇の規定になります。 解雇の対象となる労働規律違反については、「労働法」第126条に規定があります。   第126条 解雇処分の適用 使用者は以下の場合に解雇処分を適用することができる。 1.労働者が窃盗、汚職、賭博、故意に人を傷つける行為、職場内での麻薬の使用、使用者の経営または技術上の秘密の漏洩、知的所有権の侵害行為、使用者の資産、利益に重大な損害をもたらす行為または特別に重大な損害をもたらす恐れがある行為を行う場合 2.昇給期間延長処分を受けながら、適用期間中に再犯した労働者、または免職の制裁処分を受けながら、再犯した労働者の場合 再犯とは、労働者が本法第127条の規定に基づき処分された規律違犯行為の処分期間が解消しない間に、当該違反行為を再び行うことをいう。 3.労働者が正当な理由なしに1ヶ月に合計5日または1年に合計20日、無断欠勤した場合 正当な理由があると認められる場合とは、自然災害、火災、自身または家族が疾病し、且つ認可を受けている医療機関の承認がある場合、また就業規則に規定されているその他の場合をいう。   就業規則において懲戒解雇の事由を定める際には、同条の規定をベースにしつつ、不明確な点等について修正していくことが望ましいと考えます。 また、懲戒解雇を行うためには、労働組合の意見聴取を行う等の手続が必要になります。 これらの詳細は、「懲戒処分を行うときに必要な手続はありますか」、「それぞれの懲戒処分の内容・懲戒事由について教えてください」をご参照ください。   労働者側からの労働契約の解除になります。労働者側からの労働契約の一方的解除は、基本的には以下のとおりとなります。 ①有期の労働契約であれば、一定の事由がある場合(使用者側の労働契約違反、労働者自身又はその家族が困難な状況に陥り労働契約履行の継続が不可能な状況の出現、等。)のみ、それぞれの事由に応じて3営業日又は30日以上前の事前通知を行って解除可能。 ②無期の労働契約であれば、45日前の事前通知さえ行えば解除可能。 上記①のとおり、法律上は、有期の労働契約であれば、労働者は労働契約で合意された期間の満了まで労働契約に従って労務を提供することが原則であり、いつでも自由に労働契約を解除することができるわけではありません。 法律上、労働契約の労働者側からの解除はいつでも自由と考えられている日系企業の担当者も相当程度いるようですが、そのような理解は正しくありません。 もっとも、退職を決意し、会社で勤務するモチベーションが下がった労働者の引止めを行ったところで、当該労働者の生産性が低くなることは明らかですので、使用者側が労働契約で合意された期間の満了までこのような労働者の引止めを行うケースはかなり少ないといえるでしょう。したがって、このようなケースでは、多くの場合、労働契約の合意解除(上記3)を行うことになります。 上記②のとおり、無期の労働契約については、労働者が労働契約を解除するためには、事前通知させ行えばよいことになります。 以上につき、詳細は以下の「労働法」第37条をご参照ください。 第37条 労働者が労働契約を一方的に解除する権利 1.有期限労働契約、季節的な業務または12ヶ月未満の特定業務を履行するための労働契約の下で就労する労働者は、次の場合に契約を契約期間満了前に一方的に解除することができる。 a)労働契約で合意した業務もしくは勤務地に配置されない、または労働条件が保証されない。 b)労働契約に定めた給与が十分に支給されない、または支給が遅延する。 c)虐待、セクシャルハラスメントを受ける、強制労働をさせられる。 d)自身または家族が困難な状況に陥り、契約履行の継続が不可能になる。 e)住民関連機関における専従職に選出される、または国家機関の職務に任命される。 f)妊娠中の女性従業員が、認可を受けている医療機関の指示により、業務を休止せざるを得ない。 g)労働者が疾病または事故にあったものの、有期限労働契約の場合は90日間、季節的業務または12ヶ月未満の特定業務を履行する労働契約の場合は契約期間の1/4を治療に充てたにも関わらず、労働能力を回復できない。 2.本条第1項に基づいて労働契約を一方的に解除する労働者は、使用者に対し、次の期間をもって事前通知しなければならない。 a)本条第1項第a、b、c、g号の場合は、少なくとも3営業日前とする。 b)本条第1項dおよびeの場合、有期限労働契約については少なくとも30日前、季節的業務または12ヶ月未満の特定業務を履行するための労働契約については少なくとも3営業日前とする。 c)本条第1項第f号の場合、事前通知期限は本法第156条の規定によるものとする。 3.無期限労働契約の下で就労する労働者は、本法第156条に規定する場合を除き、労働契約を一方的に解除できるが、使用者に対し少なくとも45日前に事前通知しなければならない。   使用者が労働者を解雇する際に適用される条項になります。懲戒解雇(上記8)に該当する場合を除き、使用者が、労働者との間の労働契約を一方的に解除できる唯一の法的根拠になるものといえるでしょう。 ここには、(1)「労働法」第38条に基づく労働契約の解除と、(2)組織再編等に基づく労働契約の解除、の2つが含まれます。 まず、(1)「労働法」第38条に基づく労働契約の解除につき、使用者は、以下の場合に労働者との労働契約を一方的に解除することができるとされています(「労働法」第38条)。 ①労働者が、繰り返し労働契約に定めた業務を遂行しない場合 ②労働者が、病気、事故で連続して 12か月(無期限労働契約の場合)、6か月(有期労働契約の場合)、契約期間の1/2 以上(12か月未満の季節的業務等の労働契約の場合)にわたり治療を受けたが、労働能力を回復できない場合(労働者の労働能力が回復した際は、使用者は労働契約の継続を検討する。) ③天災、火災又は政府が規定するその他の不可抗力の理由により、使用者が全ての克服措置を実行したが、やむを得ず生産規模の縮小及び人員削減を行う場合。 ④労働者が、「労働法」第 33 条で規定する期限(労働契約の一時履行停止期間が終わった日より15 日以内。一時履行停止期間とは、労働者が兵役に行った場合、女性労働者が妊娠している場合、労働者が逮捕された場合等を指す。)後に欠勤する場合。 例えば、中国の労働関連法規では、「労働者が業務に堪えることができず、養成・訓練又は業務職位の調整を経て、なお業務に堪えることができないとき」や、「労働契約締結の際に根拠とした客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約を履行するすべをなくさせ、雇用単位と労働者の協議を経て、労働契約内容の変更につき合意に達することができないとき」に使用者が一方的に労働契約を解除できます。 これらに比べて、ベトナムの「労働法」が認める解雇事由はかなり限定的といえるでしょう。 また、日本の労働関連法規では、基本的に、解雇が有効となるためには、客観的に合理的理由があり、社会通念上相当であることが必要とされています。 抽象的なルールとなっているため、これらの要件を満たすかどうかはケースバイケースですが、例えば、労働者の業務上の重大なミスは該当しえます。これに対して、ベトナムの「労働法」は、上記①乃至④のいずれかの事由が必要であり、それぞれの事由がカバーする範囲が比較的狭いと思われますので(上記①の「労働者が、繰り返し労働契約に定めた業務を遂行しない場合」は多少広めに解釈する余地がありそうですが。)、日本に比べても解雇が認められるケースは限定的といえるでしょう。 以上のとおり、ベトナムの「労働法」上、使用者が労働者を解雇できる事由はかなり限定的であることに注意が必要です。 ベトナムにおける具体的なケースにおける解雇の可否等については、「生産性の悪い労働者を解雇することはできますか」をご参照ください。 次に、使用者が労働契約を一方的に解除する場合の手続要件として、以下の期間を置いて労働者に事前通告をする必要があります(「労働法」第38条第2項)。 ・無期限労働契約の場合は少なくとも45日前 ・有期労働契約の場合は少なくとも30日前 ・上記②の場合及び12か月未満の季節的業務等の労働契約の場合は少なくとも3 営業日前  但し、一定の場合(業務上傷病の場合、休暇中である場合、妊婦の場合、等)には、上記要件を満たしても、使用者が労働契約を一方的に解除することはできないことに注意しましょう(「労働法」第39条)。   使用者は、「組織・技術の変更、経済上の問題、企業の吸収・合併・分割・分離の理由」で労働者を解雇することができるとされています。「企業の吸収・合併・分割・分離」は企業法に紐付けられた概念ですので、どのような場合を指すかある程度明確といえますが、「組織・技術の変更、経済上の問題」とは何を指すでしょうか。 この点、従前存在した「39/2003/ND‐CP」第11条は、以下の事由が組織変更又は技術変更に該当すると規定していました。 ・労働生産性の上昇をもたらす機械、設備又は技術プロセスの一部又は全部の変更 ・雇用の減少をもたらす製品又は製品構造の変更 ・組織機構の変更:単位内の部署の合併又は解散 しかし、「39/2003/ND‐CP」は、「03/2014/ND‐CP」の施行に代替されており、現在は法的効力を有しません。 かつ、「03/2014/ND‐CP」には、上記「39/2003/ND‐CP」第11条に代わるような条項は見当たりません。 したがって、現在有効な法令上、「組織・技術の変更、経済上の問題」が具体的に何を指すか、明確ではないことになると考えられます。この点については、今後、法令において定義の明確化が図られることが期待されますが、現段階の対応としては、法的な効力はないものの、「39/2003/ND‐CP」第11条を参考に考えるほかないでしょう。   一方、「組織・技術の変更、経済上の問題、企業の吸収・合併・分割・分離の理由」を理由に使用者が労働者を解雇する際に遵守すべき「手続上の義務」については、「労働法」第44条乃至第46条に規定があります。これらの規定によれば、以下のとおりとなります。 ・「組織・技術の変更」による解雇 ‐①労働者使用計画を作成及び履行する、②新たな業務がある場合には(既存の)労働者を優先的に訓練し継続して使用する、③事業所内労働者集団の代表組織と協議した後に実行し、また労働に関する省レベル国家管理機関に30日前までに通知する。 ‐一定の場合は失業補助の支給が必要となります。この点は「労働者が会社を退職する際に、会社は労働者に何らかの退職金又は補償金等を支払う必要がありますか」をご参照ください。 ・「経済上の問題」による解雇 ‐①労働者使用計画を作成及び履行する、②雇用先確保の努力を行う【 】、③事業所内労働者集団の代表組織と協議した後に実行し、また労働に関する省レベル国家管理機関に30日前までに通知する。 ‐一定の場合は失業補助の支給が必要となります。この点は「労働者が会社を退職する際に、会社は労働者に何らかの退職金又は補償金等を支払う必要がありますか」をご参照ください。 ・「企業の吸収・合併・分割・分離」による解雇 ‐①後継の使用者は現有の労働者の使用を継続し、労働契約の修正・補足を行う、②(現有の労働者の全員を使用することができない場合)後継の使用者が労働者使用計画を作成及び履行する、③(企業資産の所有権または使用権が譲渡される場合)元の使用者が労働者使用計画を作成及び履行する。 ‐一定の場合は失業補助の支給が必要となります。この点は「労働者が会社を退職する際に、会社は労働者に何らかの退職金又は補償金等を支払う必要がありますか」をご参照ください。 以上に関し、詳細は以下の「労働法」の規定をご参照ください。 第44条 組織・技術の変更を行ったまたは経済的理由を有する場合の使用者の義務 1.多数の労働者に影響を与える組織・技術を変更する場合、使用者は本法第46条の規定に基づき、労働者使用計画を作成し、履行する責任を負う。新たな業務がある場合、労働者を優先的に訓練し継続して使用する。 使用者が新たな業務を用意できず、余儀なく労働者を解雇しなければならない場合は、本法第49条の規定に基づき、労働者に失業手当を支払わなければならない。 2.経済的理由により多数の労働者が失業する恐れがある場合、使用者は本法第46条の規定に基づき、労働者使用計画を作成し、履行しなければならない。 使用者が雇用先を用意できず、余儀なく労働者を解雇しなければならない場合は、本法第49条の規定に基づき、労働者に失業手当を支払わなければならない。 3.本条の規定に基づく多数の労働者の解雇は、事業所内労働者集団の代表組織と協議した後のみに実行し、また労働に関する省レベル国家管理機関に30日前までに通知しなければならない。 第45条 企業・協同組合が吸収・合併・分割・分離された場合の使用者の義務 1.企業・共同組合が吸収・合併・分割・分離された場合、後継の使用者は現有の労働者の使用を継続し、労働契約の修正・補足を行う責任を負う。 現有の労働者の全員を使用することができない場合、後継の使用者は本法第46条の規定に基づき、労働者使用計画を作成し、履行する責任を負う。 2.企業資産の所有権または使用権が譲渡される場合、元の使用者は本法第46条の規定に基づき、労働者使用計画を作成しなければならない。 3.使用者が本条の規定に基づき労働者を解雇した場合、本法第49条の規定に基づいて、労働者に失業手当を支払わなければならない。 第46条 労働者使用計画 1.労働者使用計画の主な内容は、以下のとおりとする。 a)使用を継続する労働者、使用を継続するために再訓練する労働者の名簿および人数 b)定年退職させる労働者の名簿および人数 c)非常勤業務に異動する労働者、労働契約を解除する労働者の名簿および人数 d)計画の履行を保証する方策および財源 2.労働者使用計画を作成する際、事業所内労働者集団の代表組織を参加させなければならない。