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ベトナムにおける契約書の一般条項(準拠法、契約言語、紛争解決)

  • 2021.05.23
  • その他企業法務
  • その他全般

1. はじめに 今回はベトナムにおいて契約を作成または確認する際に知っておいた方が良いことや、留意すべき点について記載していこうと思います。 皆様ご理解のとおり、種類や条件によって契約の内容は種々様々に異なりますので、本稿では一般条項(契約の種類や条件にかかわらず定められることが多い条項)である準拠法、契約言語、紛争解決機関について記載していきます。   2. 準拠法 1)準拠法に関わるベトナム法令の規定 ベトナム法上契約当事者の一方が外国の個人、法人である場合は、当該契約は外国的要素をもつ契約となります(民法91/2015/QH13号(以下「民法」といいます)第664条第2項a号)。そして、外国要素を持つ契約については、国際条約またはベ...

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  • 2020.10.04
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火災報知器・火災探知機の設置義務について教えてください。
科学技術部が公布する消防用の機械器具に関する国家技術基準(TCVN3890:2009)(以下「TCVN3890」という)によれば、容積が1000 m 3以上の可燃性の物品、資材、包装材料の保管倉庫は、自動火災報知システムを設備する必要があります(国家技術基準の6.1.3(n)参照) TCVN3890により、自動火災報知システムは、火災報知センター、火災探知機、火災報知の押しボタン、音及び光での報知装置、関連機器、電源のように基本的な部分で構成され、この自動火災報知システムは、国家技術基準(TCVN5738:2001)(以下「TCVN5738」という)に従って設置されなければならないとされています。 TCVN5738によれば、保護区域に設置する必要のある火災探知機の数量は、その区域の全域で火災を検出するために必要なレベルによって異なり、経済的及び技術的要件を確保する必要があるとされています。 また、自動火災報知システムの一つチャネルに設定されている火災探知機の数量は、その火災報知センターの技術的特性によって異なりますが、各チャネルの保護面積は、開放保護領域の場合2000m2を超えず、閉鎖保護領域の場合が500m2を超えない、とされています。 (TCVN5738の4.3及び4.7項参照)
  • その他企業法務
  • 2024.12.23
  • その他全般
ベトナムの国民番号と変更について
目次Q1. ベトナムのID番号とはどのようなものですかQ2. ベトナムでID番号が変更されるのはどのようなケースですかQ3. 本人の希望でID番号を変更することはできますかQ4. 過去にどのようなID番号システムの変更がありましたか1. 9桁システムの時代2. 12桁システムの導入Q5. これからID番号が変わる可能性はありますかQ6. 個別にID番号が誤って付番されていたことが発覚した場合、どのように修正されますかまとめ A. ベトナムのID番号は、ベトナム国民一人ひとりに付与される個別の番号であり、国民の身分を証明するうえで重要な役割を果たします。従来、9桁や12桁の「Chứng minh nhân dân(CMND)」の番号や、「Căn cước công dân(CCCD)」と呼ばれる市民IDカードの番号等、法改正や政府の管理方針の変遷により複数回の変更・移行が行われてきました。 A. 大きく分けて以下の2つのケースに限られます。 1. 国家(政府)の政策変更などに伴い、国民管理番号システム全体が変更される場合 条約加盟や国家管理政策の変更などによって、政府が法令改正や新規法律の施行を行い、国民管理番号システムをリセットまたは一斉変更する場合です。 過去の例としては、1999年に9桁のCMNDから12桁のCMNDへの移行や、現在のCCCD(電子チップ付含む)への切り替えなどが該当します。 このようなケースでは、国民全体のID番号が新システムに移行し、結果的に番号が変わります。 2. 個別の発行誤りや重複発見など、正当な理由によりID番号が修正される場合 行政当局の発行ミスや重複番号を発見した場合などに、個別でID番号が変更されることがあります。 ただし、具体的な手続きや基準は法律上詳細な規定がない部分もあり、ケースバイケースで政府当局が判断していると考えられます。 A. 原則として不可と考えられます。 法律第26/2023/QH15号 第24条1項g は「国民の申請があれば、IDカードの交付(あるいは交替)を新規発行することができる」と定めていますが、これはあくまでも「同じID番号」での新カード発行を想定した規定です。 有効期限が切れた場合やカードの破損・紛失によって新規IDカードを作成する場合でも、ID番号自体は変わらずに同じ番号が付されます。 A. ベトナムでは、1950年代以降、複数回にわたるIDシステムの変更が実施されてきました。主な変更は以下のとおりです。 GCM (Giấy Chứng Minh) / GCNCC (Giấy Chứng Nhận Căn Cước) / CMT (Chứng Minh Thư) など、時期によって名称や様式が異なるIDカードが存在しました。 1999年に「9桁のCMND (Chứng Minh Nhân Dân 9 số)」へ移行しましたが、そのタイミングでID番号が変更されました。 2012年から「12桁のCMND (Chứng Minh Nhân Dân 12 số)」が導入され、9桁から12桁に移行したことによりID番号が実質的に変更されました。 2016年に「CCCD (Căn Cước Công Dân)」が採用され、さらに2020年からはICチップ内蔵カードである「CCCD gắn chip」の発給が始まりました。 2024年以降は「Thẻ Căn Cước(TCC)」へ移行する予定とされていますが、基本的には12桁の番号体系を継続して使用する見込みです。 これら大規模なIDシステム変更が行われた場合、国民のID番号は政府が定める手続きに従い新しい番号へ移行されることとなります。なお、2016年以降のCCCD(ICチップ搭載含む)への切り替えに関しては、番号の桁数自体は同じ12桁を継続しており、ID番号としての変更は行われておりません(個別の誤発行等を除く)。 A. 政府方針や法令改正の内容によっては、将来的に新たなシステムへの移行が行われる可能性はあります。しかしながら、2024年の時点では、ICチップ付きのCCCDからTCC(Thẻ Căn Cước)への呼称変更やカード様式の改正が予定されている一方で、番号自体を変更する方針が公に示されているわけではありません。 したがって、特段の方針変更(例えば国民管理政策の大幅な転換)や国際条約加盟によるシステム再編などがなければ、現時点でID番号が一斉に変わる可能性は低いと考えられます。 A. 個別事案の場合は、原則として当局による審査や手続きの上で新しいID番号が割り当てられます。具体的には以下のような流れが想定されます。 1.誤付番や重複番号の事実が判明 2.当事者が警察当局・管轄官庁に訂正申請 3.当局による調査・審査の結果、正当な理由が認められた場合に新番号を付与 4.新しいIDカード(CCCD等)の発行 ただし、詳細な手続きについては現行法上細かく規定されておらず、実務上は関係当局の判断やガイドラインに基づいて運用されるケースが多いといわれています。 ベトナムのID番号は、国家の管理政策や法令改正に伴う大規模なシステム変更、もしくは個別の誤発行・重複が見つかった場合に限り原則として変更されます。 本人都合(希望)による任意の変更は認められておらず、カードの更新・再発行を申請してもID番号自体が変わるわけではありません。 過去には9桁から12桁に移行するなど、大きなシステム変更が実施されてきましたが、近年では同じ12桁の番号を継続利用する形でカード様式のみが変わっている状況です。 将来的な大規模変更の可能性を完全に否定はできませんが、現時点で公式に公表された方針や法改正案では「番号の変更」ではなく「カード名称・様式の改正」が主たる内容となっているため、企業実務や個人の生活への大きな影響は限定的と思われます。
  • その他企業法務
  • 2022.09.20
  • その他全般
電子識別及び電子認証を規定する政令59/2022/ND-CPの概要
2022年9月5日、電子識別(e-Identification)及び電子認証(e-Authentication)を規定する政令No 59/2022/NĐ-CP(以下、「本政令」といいます。)が公布されました。 本政令は2022年10月20日から施行されます。以下、本政令に規定されている特に注意すべき点について説明します。   目次1. 電子識別アカウントを発行する対象(本政令第11条)2. 電子識別アカウントに含まれる情報(本政令第7条、8条、9条、12条)3. 電子識別アカウントの登録4. 電子識別アカウントの使用 電子識別アカウントを発行する対象は以下のとおりです。 満14歳以上のベトナム国民 ベトナムに入国する満14歳以上の外国人 ベトナムで活動するために設立または登録された組織(日系企業を含む)   ベトナム国民の場合: 個人識別番号、氏名、生年月日、性別、顔写真、指紋 外国人の場合: 外国人の識別番号、氏名、生年月日、性別、国籍、パスポートの番号・記号・日付・発行機関、顔写真、指紋 組織の場合: 組織の電子識別番号、組織名、設立年月日、本社住所、法定代表者又は組織の長の識別番号・氏名   対象及び電子識別アカウントのレベルによって、登録手順が異なります。 ベトナム国民の場合: VNelD アプリケーションを介して登録します又は、村レベルの公安、またはID カード申請機関において登録(本政令第 14 条) 外国人の場合: VNelD アプリケーションを介して登録します又は、出入国管理局又は、省レベルの公安において登録(本政令第 15条) 組織の場合: VNelD アプリケーションを介して登録(本政令第16条) 具体的な手順については、本政令に規定される上記の条項をご参照ください。 なお、本政令には、電子識別アカウントを登録することを義務とするという明確な規定はありません。 つまり、電子識別アカウントを登録するかしないかは、個人や組織の決定により行われることになります。   電子識別アカウントは、本政令第 13 条に定める目的に使用されます。 以下のとおり、代表的な目的をいくつか説明します。 VNelD アプリケーションの機能とユーティリティを使用するため 電子環境での行政手続を実施するため 個人情報の提供を必要とする活動や取引において、アカウントにセットをされた個人情報を証明するため IDカード又はパスポートの提供が必要な取引において、IDカード、パスポートを代わるため 組織に関する情報の証明を必要とする取引において、組織の情報を証明するため 本政令によれば、上記の規定が2022年10月20日から施行されますが、実際の登録手続や、取引等に電子識別アカウントを通じて行う際の手続・取引等については、運用がどのようになるかを注視していく必要があります。