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新しい法令により、労働許可証(ワークパーミット)の取得要件が緩和されたと聞きました。変更の内容について教えて下さい。【決議105号】

  • 2021.09.27
  • 労務
  • 就業許可証

2021年9月9日付けでCOVID-19流行を背景とした企業等に対する支援に関わる決議105/NQ-CP号(以下「決議105号」といいます)が公表されました。 同決議の効力発生日は、同書中(第5章「施行」第1項)には署名日からとなっています。 決議105号第3章「本決議の対象」第4項「労働者と専門家の条件を有利に変更」のa号により労働許可の取得条件について、政令152/2021/ND-CP号(以下「政令152号」といいます)の条件の一部を緩和しています。 1. 主要な変更点 決議105号による主要な変更点は以下のとおりです。 ① 職務と学歴の関連性要件の削除 従前の政令152号では、「専門家」の区分で労働許可を取得しようとする者については、大学レベル以上の...

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  • 2024.03.29
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ベトナムで労働許可証(ワークパーミット)を取得する義務があるにもかかわらず、取得していない場合の罰則
外国人労働者が労働許可証(ワークパーミット|WP)取得なくベトナムにおいて勤務する場合には、以下のような罰則の適用可能性があるためご注意ください。WP関連の直近の内容は以下の記事もご確認ください。 【ベトナム・労働許可】就労する外国人労働者の条件等について一部を変更した政令第70/2023/NĐ-CP号について   外国人本人が15.000.000ドンから25.000.000ドンまでの罰金を科されます。(政令第12/2022/NĐ-CP号第32条3項a号参照。) WP取得ない外国人労働者を使用する企業が違反者の人数によって、60.000.000ドンから150.000.000ドンまでの罰金を科されます。(政令第12/2022/NĐ-CP号第32条4項参照) また、外国人労働者がベトナムの出国を強制される可能性があります。(政令第12/2022/NĐ-CP号第32条5項参照)
  • 労務
  • 2023.10.14
  • 就業許可証
ベトナムで就労する外国人労働者の条件等について一部を変更した政令第70/2023/ND-CP号について
以下のコラムをご参照ください。 【ベトナム・労働許可】就労する外国人労働者の条件等について一部を変更した政令第70/2023/NĐ-CP号について
  • 労務
  • 2022.06.03
  • 就業許可証
ベトナムでは30日間以内の出張が3回まで労働許可(ワークパーミット)が不要と聞きましたが、具体的にどのような規定となっているのでしょうか。
現在の規定によれば、1 回のベトナム滞在期間が 30日以下かつ入国回数が年3回までの管理者、マネージングディレクター、専門家、熟練技術労働者は、政令152/2020/ND-CP号(2021 年 2 月 15 日より有効)に従って労働許可証の免除対象の一つとなります。 (第7条第8項参照) 以前は、「専門家、管理者、代表取締役社長、技術的な労働者の職位としてベトナムに従事し、勤務期間が30日以下および年間の勤務期間の合計が90日以下の外国人労働者は、政令11/2016/ND-CPに従って労働許可証の免除対象となります」 との規定でしたが、上記のとおり修正されています。 したがって、現在時点では、年3回、且つ一回あたりの出張日数は30日までの外国人労働者は、WPなしでベトナムに出張できることになります。 なお、この場合、労働許可証免除申請手続は不要ですが、外国人労働者の勤務開始日の少なくとも 3日前に、労働管轄機関に、外国労働者の氏名、国籍、パスポート番号、勤務開始日・勤務終了日および使用者氏名を通知する義務があります。 (政令152号第8条第2項参照)   一概には言えませんが(そもそもビザが取得できない可能性もあると考えます)、4回目以上の入国で労働許可証なしで仕事を行ったと判断された場合、以下の罰則が課されます。 1. 労働者個人 政令12/2022/ND-CP号第32条第3項a号により、1500万~2500万VNDの範囲で罰金を課され、また同第5項により国外退去処分となります。 2. 仕事に従事させた判断された法人 同第32条第4項により、6000万~9000万VNDの範囲の罰金
  • 労務
  • 2022.02.03
  • 就業許可証
外国人労働者の強制社会保険料の引き上げについて
ベトナムで就労する外国人労働者に対する強制社会保険に関する政令143/2018/ND-CP号(2018年12月1日施行。以下、「政令143号」といいます)に基づき、2022年1月から外国人労働者に対する強制社会保険料(ベトナム語:bảo hiểm xã hội bắt buộc)が引き上げられます。そこで今回は、外国人労働者の強制社会保険料について整理したいと思います。 なお、以下法令の日本語での記載は、分かりやすさの観点から一部意訳または要約して記載しているものもありますので、ご了承ください。 1)法令上、強制社会保険の対象となる外国人労働者は以下のように定められています。 「ベトナムの管轄機関によって発給される労働許可証、実務証明書または実務公認書を持ち、ベトナムにおける使用者と無期限労働契約、満1年以上の有期限労働契約を締結する、ベトナムで就労する外国人労働者が強制社会保険の加入対象となる」(政令143号第2条第1項)。 2)ただし、同条の第2項は例外として、「本条1項で定める労働者で以下に該当する場合、本政令で定める強制社会保険の加入対象外となる」とされています。 つまり、以下のa.またはb.に該当する外国人労働者は、強制社会保険に加入しなくてもよいということになります。 a. 労働法のベトナムで就労する外国人労働者関連条項の施行細則を定めた2016年2月3日付政令11/2016/ND-CP号(以下、「政令11号」といいます)第3条第1項で定める企業内人事異動者 ※ただし、執筆時点で政令11号は効力を失っており、企業内人事異動者は下記のとおり、2020年12月30日付政令152/2020/ND-CP号(以下、「政令152号」といいます)第3条第1項に定義が定められています。 b. 労働法第187条1項で定める定年に達した労働者 ※2執筆時点で男性は60歳6か月、女性は55歳8か月が定年となっています。今後毎年男性は3か月、女性は4か月ずつ定年が引き上げられていく予定です。 3)定年に達しているかどうかはすぐに分かりますが、上記にいう『企業内人事異動の外国人労働者』とは何でしょうか。 ①政令152号第3条第1項によれば、企業内人事異動の外国人労働者とは、ベトナム現地拠点を設立した外国企業の管理者、代表取締役社長、専門家、技術的な労働者として当該企業に12ヶ月以上前に採用され、 ②ベトナム現地商業拠点に一時的に異動する者をいう とされています。 現状、上記の定義に該当するかどうかについて、特定の書類を所持や手続きを完了していること等、法令上の明文規定はありません。しかし実務上、企業内異動かどうかについて社会保険局は判断せず、労働機関の判断に委ねている場合が多いです。そのため、労働許可証に企業内異動であることを示す記載があれば一つの目安になると考えられます(実務上、労働許可証の申請手続きにおいて、企業側が「企業内異動」として申請するケースが多いと考えられます)。 なお、近年の労働許可証の申請フォームが更新される前に取得された労働許可証については、労働許可証自体ではなく、労働許可証の申請書を確認する必要があります。 1)2022年1月1日以降、外国人労働者は年金・死亡手当基金への加入が義務付けられることになり、会社負担が14%、外国人労働者負担が8%となります。変更前後の保険料の変更は以下のとおりです。   使用者負担 労働者負担       計   社会保険   失業保険   医療保険 社会保険   失業保険   医療保険   退職・遺族年金 育休・傷病 労災・職業病 (※3) 退職・遺族年金 育休・傷病 失業・職業病 ~2021年12月31日  - 3% 0.5% 0% 3% – –   – 0% 1.5% 8% 2022年1月1日~ 14% 3% 0.5% 0% 3% 8% – – 0% 1.5% 30% 2)社会保険料の算出に用いられる給与は、ベトナム公務員の最低賃金の20倍が上限の金額です。本稿執筆時点の公務員の最低賃金は149万VND(1月あたり)です(2019年5月9日付け政令38/2019/NĐ-CP号第3条第2項)。そのため、現状においてはその20倍である2980万VNDを上限として社会保険料が計算されることになります。 ※3 なお、コロナの影響により労災・職業病についての使用者負担分が2021年7月から2022年6月まで免除されています(決定68/NQ-CP号)。 1)政令143号第9条第6項đ号により、労働契約が終了または労働許可証(若しくは代替する特別な業種(例:弁護士)の許可証)が失効したにもかかわらず、それが延長されない場合、納付した社会保険料が返金されると規定されています。 2)返金の額については、社会保険法第60条第2項に従うと規定されています(政令143号第9条第7項)。 社会保険法第60条第2項によれば、返還金は社会保険の納付期間及び社会保険料算出基礎となる月給の平均に基づいて計算されます。詳細な計算方法は、同条項をご確認ください。 もっとも、外国人の強制社会保険の加入が義務付けられたのが、2018年12月からであり、当該事例の絶対的母数が少ないことから、未だ外国人で実際に社会保険料の返金を受けた例は確認できていません。
  • 労務
  • 2020.11.30
  • 就業許可証
外国人労働者の労働契約の締結日と、労働許可証(ワークパーミット)の関係はどうなっていますか。
2012年労働法(2020年から改正法が施行予定)169条1(d)項及び新労働法151条1項(d)の両条項によれば、労働契約書の制度に従ってベトナムで働く外国人労働者の条件として、労働許可証を取得する必要があるとされています。 また、外国人労働者の労働許可証をガイダンスする政令11/2016/ND-CP号第12条3項によれば、 ・労働契約書の制度に従ってベトナムで働く外国人労働者が労働許可証を受けた後、使用者とその外国人労働者は書面にて労働契約を締結しなければならない また、当該労働契約は外国人労働者が勤務を開始する予定日の前に締結されるものとする とされています。 この規定に基づくと、労働契約書の締結は、外国人労働者が労働許可証を受けた後、かつ、外国人労働者の使用需要承認の申請書類に登録された勤務を開始する予定日の前に行われなければならならないと考えられます。 そのため、労働許可証が発行される前に仕事の開始及び給与の支払いは、法律上は予定されていません。 労働契約書の日付が労働許可証と合致していない場合は、従業員1人あたり10,000,000VNDから20,000,000VNDの罰金を課せられる可能性があります。ただし、罰金は最大150,000,000VNDを超えないことになります。 ( 政令28/2020/ND-CP号31条2項参照) なお、当局が検査の時点において、労働許可証を所持していない外国人労働者を雇用する行為を発見された場合(つまり、労働許可証がまだ発給されない場合)、使用者は、適用した外国人労働者の人数に応じて60,000,000VND(労働者1人以上)から150,000,000VNDまで(労働者21人以上)の範囲で罰金を課される可能性があります。 (政令28/2020/ND-CP号31条4項参照) さらに、その外国人労働者も1500万VNDから2500VND までの罰金を課せられる可能性があり、ベトナム領域から追放される場合もあります。 (政令28/2020/ND-CP号31条3項参照) しかし、実務上は、労働許可証の取得前に、商用ビザで入国し、ベトナム法人で労働している(ベトナム法人から給与をもらっている)場合も多く見られます。 この場合、上記のとおりで、法律上のリスクは残ってしまうものの、労働許可証前に労働している分については、現状は日本で精算する(より指摘リスクが小さい)、労働許可証後に何らかの形(ボーナス等)でベトナムで精算する、などの方法で処理されていることが多いようです。 2020年施行の新労働法では、156条3項において「労働契約の内容と発給された労働許可証の内容の不一致」があると労働許可証は失効すると記載されています。そのため、より実務上の監督が厳格化される可能性もあり、注意が必要です。
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  • 2016.10.03
  • 就業許可証
現地法人代表者のワークパーミット(就労許可)取得の際、企業登記証明(ERC)上の代表者は修正済みである必要がありますか。
現在は、現地法人代表者は企業登録証明(ERC)に記載に記載されますので旧IC/ERCのままでいいか、それとも新代表者の記載されたERCが必要か、 という問題になります。 代表者変更の場合、ERCの発行or修正が必要になるのでワークパーミットの事前申請をするのと同時にERCの修正を始めます。 この時点では修正後のERCはなくとも、事前申請できます。   その後、ワークパーミットの本申請の際、修正または発行されたERCが必要かどうかは法令上明確ではないものの、近時のホーチミン実務では、新しい代表者が申請書類に署名する必要があり、ワークパーミット取得の人と代表者の署名が異なる場合には、受け付けられない実務となっています。   また、申請の際、旧代表者のワークパーミットの返還も求められる実務になっています。 この部分に関しては、実務の動向が大きいこと、担当局・担当者ごとに対応が異なる可能性があるため都度確認されることをお勧めします。
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  • 2016.08.18
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2016年4月からの新たな労働許可証(ワークパーミット)取得の規定について(Decree11/2016/ND-CP)
労働許可に関して、Decree(政令)11/2016/ND-CPにおいて、2016年4月1日から新たな運用が始まっています。 施行当初は混乱が見られていましたが、最近実務にも落ち着きが見られてきていますので、以下のとおり整理しておきたいと思います。   同規定は出張者の労働許可についても規定していますが、出張者に労働許可が必要な日数等については、以下のQAをご参考ください。 *出張で入国する場合の労働許可(ワークパーミット)が必要となる日数を教えてください(11/2016/ND-CPにおける免除対象者)   そもそも、労働法上、労働許可が必要とされるのはどのような場合でしょうか。 労働法上は、以下の第172条の規定に該当する者以外の外国人労働者は、労働許可が必要とされています(労働法第169条第1項)。 第172条 労働許可書の発給対象とならないベトナムで就労する外国人 1.有限会社の出資者または所有者 2.株式会社の取締役会の構成員 3.国際組織、非政府組織の在ベトナムの駐在員事務所、プロジェクトの代表者 4.販売活動のために、ベトナムに3ヶ月未満滞在する者 5.生産経営に影響を与える、または影響を与える恐れのある事故や複雑な技術上の不測の事態が生じ、ベトナム人専門家とベトナム滞在中の外国人専門家では処理できない場合、これらを処理するためにベトナムに3ヶ月未満滞在する者 6.弁護士法の規定に基づいて、ベトナムで弁護士業の許可書の発給を受けた外国人弁護士 7.ベトナム社会主義共和国が加盟した国際条約の規定に基づいた者 8.学生としてベトナムで就学後、就労する場合。ただし、使用者は労働に関する省レベルの国家管理機関に7日前までに通知しなければならない。 9.その他政府に規定による場合   労働許可が必要とされる場合、外国人が取得できるのはベトナム人労働者が生産経営の要求にまだ応えることができない「管理業務・監督業務・専門業務・技術労働」に限定されています(労働法第170条)。 第170条 外国人労働者の採用条件 1.国内の企業・機関・組織・個人・請負業者は、ベトナム人労働者が生産経営の要求にまだ応えることができない管理業務・監督業務・専門業務・技術労働のみにおいて、外国人労働者を採用することができる。 現在のDecree11号においては、上記の業種を 1) 管理・監督者、 2) 専門家 3) 技術者 に分けて、それぞれに労働許可が取れる基準を定めています。   ①企業法第4条18項における管理者、又は機関・組織のトップ又はその補佐(Deputy); ②監督者は、機関・組織・企業の下部機関のトップで、直接管理を行う者 (Decree11号第3条4項) この場合、旧法令下は管理・監督者の範囲が広く解釈されており、日本人労働者を「管理者」とすることで労働許可を取ることができている例が多かったのですが、現在では定款に記載されるような代表取締役、取締役等でなければこちらの管理・監督者としての労働許可を取ることは困難になっています。 「監督者」の明確な定義はないものの、支店・事務所の支店長や事務所長に該当しないと取得するのは困難です。 (例えばManager・部長などは管理者・監督者としては労働許可が取れません。) したがって、多くの外国人労働者も、専門家か技術者として労働許可を取得しなければなりません。   ①海外の機関・組織・企業が発行した、専門家であることを認める旨の証明書を有する者 ②ベトナムでの職務に関連する大卒以上の学位を持つ者、その専攻分野で3年以上の勤務経歴のある外国人 (Decree11号第3条3項) ①について、Circular11号の運用当初の場合には、なんらかの国家資格を要求される可能性がありました。 もっとも、現状では、本社や以前の会社がその人の技術者としての専門性を証明することで、労働許可を取得できている場合が多いです。 この点は実務によって、変わってくる可能性もあるため、今後注視が必要になります。   ②の場合、 大卒 + 大学と同じ専攻分野での職務経験3年 + それと同様の職種でのベトナムでの業務予定 という要件が課されており、以前は学位か実務経験のどちらかで良かったものがどちらも要求されているため、充足が難しい方も相当程度いらっしゃいます。 就労許可の更新でも求められるため、このような経験の証明を出すことができず就労許可を取得できない場合も散見されています。 ②で取得できず、技術者でもない場合には、専門家の①で取得できないかどうかを試みることになります。   技術、又は他の分野で1年以上学習して、その分野で3年以上の勤務経歴のある外国人(Decree11号第3条第5項) 製造業で技術指導等を行う技術者の場合には、学習経験及び実務経験を証明すれば、技術者の労働許可を取得することが可能です。   就労許可取得までの日数は、十分な書類を提出してから7営業日以内となっています。 また、それ以前に事前許可も実務上要求され、そちらが10日~15日かかっています。
  • 労務
  • 2015.09.30
  • 就業許可証
外国人派遣の労務管理の注意点(労働許可など)
ベトナムで外国人が働くためには、ベトナム人労働者との共通の手続のほか、外国人に特有の労働許可の取得等の手続が生じます。 ビザは出入国に関する管理ですが、労働許可書はベトナム国内で働く外国人労働者の管理のため要求されるものであり、労働関連法令により規律されます。 外国人の労務管理に関しては、労働法(10/2012/QH13号、2012年6月18日公布、2013年5月1日施行)第169条以下及びその下位法令に規定されています。 労働法第169条では、外国人労働者について、以下の条件を満たす必要があるとしています。 ①十分な民事行為能力を有すること。 ②業務の要求に適する専門レベル・技能・健康を有すること。 ③ベトナムと外国の法律に規定される犯罪者、又は刑事責任を追及されている者ではないこと。 ④ベトナムの国家管轄機関が発給した労働許可書を有すること。ただし、本法第172条に規定する場合(※筆者注:労働許可書が免除される場合)は除くものとする。   また、採用する場合には、「ベトナム人労働者が生産経営の要求にいまだ応えることができない管理業務・監督業務・専門業務・技術労働のみにおいて、外国人労働者を採用することができる」とされており、ベトナム人労働者が要求に十分に応えられない業務に限定されていることに注意が必要です(同第170条第1項)。 実際、新しい出入国管理法では、外国人労働者を採用する前には、労働者使用の需要に関する文書を提出の上、書面による承認が必要とされます(同条第2項)。   具体的には以下のような手続となります。 ①外国人の労働者を採用する計画をした日から少なくとも30日前に、雇用者は外国人の労働者の需要について報告書(申請書)を作成します。 当該報告書には、職位、人数、資格、経験、給与及び労働時間を記載し、雇用者の本社のある地域を管轄する労働・傷病兵・社会福祉局(DOLISA。以下「労働局」といいます。工業団地の場合は管理委員会。)に直接提出しなければなりません。 計画に何らかの変更がある場合、外国人の雇用の承認を得た雇用者は、新たな雇用の予定日から30日前までに追加の説明書を提出する必要があります。 ②労働局は、報告書又は追加説明書を受領した日から15日以内に、外国人労働者の雇用に関して承認書(外国人労働者採用承認書)を発行します。   (1)の労働者の条件に記載のとおり、外国人労働者は、原則として労働許可書の取得が必要となります。 外国人労働者は、出入国手続の際や、当局からの要求がある場合に、労働許可書の提出が必要となります。労働許可書の所持せずに就労すれば、外国人労働者は強制退去となり、使用した企業側にも罰則があります(労働法第171条) 労働許可書の期限は最大2年間です(同第173条)。 業務の開始日から少なくとも15営業日前までに、雇用者は就業許可の発行の申請を労働局に提出しなければなりません。就業許可は、有効な書類の受領日から10営業日以内に発行されます。 「有効な書類の提出から」ですので、すべての書類がない場合や修正が必要な場合には、最終的に充分な書類を提出した日から計算されることになります。   <必要書類> ①申請書、証明写真 ②パスポートの公証された写し ③健康診断書 ④無犯罪証明書(一定の場合にベトナムにおける無犯罪証明も必要) ⑤任命状/労働契約書/業務委託契約書 ⑥適切な能力があることの証明書(管理職・一定の専門家・技術者ごとに要求が異なる) ⑦(1)で取得した外国人労働者採用承認書 ⑧企業の投資許可証明書・経営登録証明書の公証された写し   イ.労働許可書の免除 労働許可書は以下の場合には取得を免除されています(労働法第172条)。 ①    有限会社の出資者又は所有者(※筆者注:個人に限定される) ②    株式会社の取締役会の構成員 ③    国際組織、非政府組織の在ベトナムの駐在員事務所、プロジェクトの代表者 (※筆者注:民間企業の駐在員事務所の代表者は含まれないので注意) ④    販売活動のために、ベトナムに3ヶ月未満滞在する者(※筆者注:営業目的に限られ、一般の役務提供は対象外となっている。) ⑤    生産経営に影響を与える、又は影響を与える恐れのある事故や複雑な技術上の不測の事態が生じ、ベトナム人専門家とベトナム滞在中の外国人専門家では処理できない場合、これらを処理するためにベトナムに3ヶ月未満滞在する者 ⑥    弁護士法の規定に基づいて、ベトナムで弁護士業の許可書の発給を受けた外国人弁護士 ⑦    ベトナム社会主義共和国が加盟した国際条約の規定に基づいた者 ⑧    学生としてベトナムで就学後、就労する場合。ただし、使用者は労働に関する省レベルの国家管理機関に7日前までに通知しなければならない。 ⑨    その他政府に規定による場合   外国人労働者が就業許可の免除の受ける場合、雇用者は就業許可の免除の証明のために労働局に対して免除の申請を提出しなければなりません。 何もせずに免除になるわけではないので注意が必要となります。この提出は就業の開始から少なくとも7営業日前までになされる必要があり、労働局からの最終確認は3営業日以内になされます。   労働契約の下で雇用する雇用者に関しては、労働契約は就業許可が発行されてすぐに締結される必要があります。 この場合、雇用者は、労働契約書の締結日から5営業日以内に労働局に対して当該労働契約書のコピーを提出しなければならないとされます。   ウ.労働許可書の再発行 労働許可書の期限が切れる場合、従前は延長の手続がありましたが、現在の出入国管理法では再発行手続に統一されています。 また、紛失・毀損・記載内容変更の場合にも、再発行手続が必要となります。この場合も、申請の受領から3営業日以内に発行されます。   就労ビザを取得する前提として、労働許可書が必要とされています。 労働許可書を取った後に日本でビザを受領し、ベトナムで就労を開始するというのが法律上予定されている手続です。 しかし、健康診断をベトナムで受ける必要があること、そのためにベトナムに来てしまうとベトナムでの無犯罪証明を求められたり、ベトナムでの個人所得税の納税開始時期が早まったりする場合があるため、実務上このような方法を取ることが難しい状況です。   もっとも、実務上、商用ビザ申請の際の招聘人と、就労許可及び就労ビザ申請の際の招聘人が同一の場合、商用ビザで入国し、ベトナム国内で就労許可取得の上、就労ビザ・一時居住カードを取得して出国することなく継続してベトナムに滞在することが可能となっているため、3ヶ月程度の商用ビザを取得の上、ベトナムに入国して就業許可を取得する例が多くなっています。 労働許可書なしに又は期限の切れた労働許可書で労働者を働かせた企業には、以下の罰金があります。また、企業は1~3ヶ月の営業停止処分を受ける可能性もありますので注意が必要です。 a)  1人~10人:30,000,000~45,000,000ベトナムドン b) 11人~20人:45,000,000~60,000,000ベトナムドン c) 21人以上  :60,000,000~75,000,000ベトナムドン   その他、ここでは詳述しませんが、2016年1月1日施行の社会保険法において、外国人も2018年1月1日より社会保険の強制加入対象になると規定されました。 基数となる賃金は公務員の最低賃金の20ヶ月を上限とすることから、日本人の場合はほぼこの上限に社会保険料率(会社負担18%、労働者負担8%)をかけて保険料を納付することになると思われます。 コストとして非常に大きい改正点となっています。 税務面については、日本人労働者の個人所得税が問題になります。紙面の都合上、ここでは簡単に課税関係を整理するに留めます。   居住者と非居住者の区別 ベトナム国外源泉所得の課税の有無 税率 その他 非居住者 居住者に該当しない者。 課税対象に含まない。 =ベトナム国内源泉所得課税。 20% ・短期滞在者免税(183日ルール)による免税の余地あり。 ・ベトナムにおける納税分は日本で外国税額控除の余地あり。 ・所得控除はできない。 居住者 ①暦年若しくはベトナムに入国した日から連続する12ヶ月内で183日以上ベトナムに滞在する者、又は、 ②ベトナム国内に定常的な居所を有する者。 課税対象に含む。 =入国日からの全世界所得(ベトナム国内源泉所得+ベトナム国外源泉所得)課税。 累進税率 (~35%) ・ベトナム国外源泉所得を偽って申告した場合でも、ベトナムの税務当局は租税条約による情報交換で給与の情報を取得すること等が可能。 ※注1:①の183日は、入国日・出国日もそれぞれ1日と数える。 ※注2:②は、登録された恒久的住居(一時居住カード記載の住居)を有するか、又は、課税年度において183日以上の期間がある賃貸借契約を締結して賃貸住居に居住する場合をいう(雇用主が借主となっても同じ。)。但し、実際に183日未満しかベトナムに滞在しない場合に、外国の居住者であることを証明できれば、非居住者となる。 ベトナムでは、課税所得から控除できる金額が小さいこと(居住者の基礎控除がわずか900万ベトナムドン)、会社が負担する住居費用や交通費も一定限度で課税所得に加算されることから、日本人の出向者にとって個人所得税は高額になるケースが多いといえます。 そのため、非居住者なのか、居住者なのか、という管理は常に必要となります。また、居住者に関しては、入国日からの全世界所得になることから、ビザや労働許可の手続と合わせて、いつ入国するも重要な点となります。   なお、企業の法定代表者の少なくとも一人(2015年新企業法から代表者を複数にすることが可能です。)については、企業法上ベトナムに居住している必要がありますが、実際はベトナムに居住していない場合でも、本来居住義務があるとして居住者として個人所得税を課税されたケースもありました。   ベトナム非居住者は、以下の要件を満たす場合には、ベトナムで個人所得税が免税となります(日本人が日本の会社からベトナムの会社に出張する場合を前提。)。 もっとも、実務上はそれぞれの要件について、不透明な部分が多い状況ですし、認められないケースが非常に多いため、申請するかどうかについて事前に検討が必要な状況となっています。 (a) 出張者が暦年を通じて合計183日を超えない期間ベトナム国内に滞在すること。 (b) 報酬がベトナムの居住者でない雇用者等から支払われるものであること。 (c) 報酬が日本の親会社のベトナム国内に有する恒久的施設等によって負担されるものでないこと。 恒久的施設には、目に見える恒久的施設と目に見えない恒久的施設があります。 前者の例としては、支店、事務所、工場、作業場、倉庫等があり、後者の例としては、①建設・据付け・組立ての工事や監督活動で、6箇月を超える期間存続する場合や、②日本の企業がベトナムにおいてその従業員等を通じて役務の提供(コンサルタントの役務の提供を含む。)を行う場合で、このような活動が単一の事業又は複数の関連事業について12ヶ月の間に合計6ヶ月を超える期間行われるときが挙げられます。