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法定代表者と会社との間の労働契約の署名者について教えてください。

  • 2022.08.25
  • 労務
  • 採用・労働契約

1. 使用者側における労働契約の締結権者 法律45/2019/QH14号(以下、「労働法」といいます)第18条第3項a号により、使用者側の労働契約の締結権者は、企業の法定代表者または法の定めるところにより委任を受けた者とされています。 したがって就業規則などで特別に労働契約の締結者について定めを設けていない場合(政令145/2020/ND-CP号第69条第2項e号参照)など、特別な内部規定等がない場合は、原則として社長等の法定代表者が労働契約の締結権限を有することになります。   2. 法定代表者との労働契約の締結 労働法第3条第5項によれば、労使関係は、賃金の支払いに関する社会的関係をいうとされていますので、会社と法定代表者の間においても...

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  • 労務
  • 2022.10.25
  • 採用・労働契約
【2021年労働法】ベトナムの法令上の労働時間についての決まりを教えて下さい。
通常の労働時間は、1日あたり8時間、かつ1週間あたり48時間を超えないものとしなければなりません(労働法第105条第1項)。 すわなち、これを超える労働時間については原則残業(時間外労働)となります。 また、22時から(午前)6時までの労働は深夜労働となりますので、この間の勤務については、深夜手当の支給が必要となります。 シフト制で6時間以上連続する労働者は、少なくとも30 分連続した休憩時間を付与され(深夜労働の場合、少なくとも45分間)、その時間は労働時間扱いとなります(同第109条)。またシフト制の場合、次のシフトまでに12時間の休息が必要です(同第110条)。 労働時間は、週40時間を超えないことが推奨されていますが、これは法定上の義務ではありません(労働法第105条第2項)。 時間外の勤務については5割増しの賃金を、深夜労働については3割増しの賃金をそれぞれ支払わなければなりません(同第98条第1項第a号、同条第2項)。 上記の労働時間の制限を超えて労働者を労働させた場合、行政罰として4000万~5000万VNDの範囲で罰金が課される可能性があります(政令28号第17条第3項第a号)。 労働時間は、1日あたり、または週当たりで定めることも可能です。週当たりの労働時間を定める場合、1日10時間以内でかつ週48時間を超えないようにしなければなりません(労働法第105条2項)
  • 労務
  • 2021.11.15
  • 採用・労働契約
【2021年労働法】ベトナムで就労する外国人労働者の条件等はありますか。
ベトナムで就労する外国人労働者は、以下の条件を満たすものでなければならないとされています。 満18歳以上で、民事行為能力を有していること 職業についての専門性、技術や技能、実務経験を有し、健康状態に問題がないこと 労働許可証を取得していること(※) ※ベトナムで弁護士業許可証の発給を受けた外国人弁護士や、 30億VND以上の定款資本をもつの会社へ出資を行った者、株式会社の取締役、ベトナム人と結婚してベトナムで生活する者等については、例外的に労働許可証が必要な労働者となりません(詳しくは労働法第154条および政令152号第7条をご参照下さい)。 *労働許可の最新情報はこちらの記事から 会社は、例えば労働許可証を所持していない従業員を働かせた場合、6000万VND以上の罰金を課される可能性があります(政令28号第31条第4項)。 外国人との労働契約については労働許可証の有効期間を超えた労働契約を締結することはできません。なお、現在の労働法下において、外国人と結ぶ労働契約については、ベトナム人と結ぶ労働契約と異なり、有期労働契約の更新についての制限がありません(労働法第151条第2項)。
  • 労務
  • 2021.10.25
  • 採用・労働契約
【2021年労働法】ベトナムでもパートタイム労働者を使用することは可能でしょうか。可能な場合、どのような規制があるのでしょうか。
労働法32条は以下のとおりパートタイム労働者について規定しています。 パートタイム労働者とは、一日または一週間あたりの労働時間が、通常の労働者(正社員)よりも短い労働者を指すこと。 労働者には、労働契約の締結にあたってパートタイムの労働契約を締結する権利があること。 パートタイム労働者は、正社員との関係で権利および義務の履行において平等であり、差別的な取り扱いを受けないこと。 したがって、パートタイム労働者は、労働時間(日数)を除き、正社員の労働者と同様に取り扱わなければならないのが原則で、日本におけるパートタイム労働者ほど企業にとって利便性がありません。   有期契約の更新についても通常の労働者と同様です。一回のみ更新することができ、二回目以降の更新をする場合、無期契約としなければなりません。 社会保険についても、正社員と同等の取り扱いが必要となります。パートタイム労働者の勤務日数が一月に14営業日以上の場合、会社は当該労働者に関わる社会保険料を支払わなければなりません(決定595号第42条第2項)。 最低賃金について規定している政令90号の第5条第1項によれば、最低賃金は、通常の労働条件で、必要とされる月当たりの労働時間以上を勤務する労働者に適用されるとあるので、パートタイム労働者には最低賃金に関わる規制は当然には適用されないものと考えます。もっとも、正社員との間で差別的な取り扱いを行うことが禁止されているので、時給(または日給)あたりの賃金について、正社員と同等の条件にする必要はあると考えます。 ※実態としては、パートタイムの労働者については異なる取扱いをされている場合が散見されますが、法令の規定は以上のとおりです。
  • 労務
  • 2021.05.17
  • 採用・労働契約
【2021年労働法】労働契約の締結にあたって、労働契約書の締結が必要ですか。 また、労働契約において規定しなければならないとされていることは何でしょうか。
労働契約の期間が1か月未満の場合を除き、書面により労働契約を締結しなければなりません(労働法14条1項)。 労働契約書においては、法令上以下の内容を定めなければならないとされています(労働法21条2項)。 ・業務及び職場の場所 ・労働契約期間 ・業務又は職名に従った賃金額、賃金の支払方式、賃金支払時期、手当及びその他の補助 ・昇級、昇給制度 ・勤務時間,休憩時間 ・労働者に対する労働保護設備 ・社会保険、医療保険及び失業保険 ・職業能力の訓練、増強、向上に関わる事項 ・上記の規定に違反した(労働契約を締結しなかったり、必要な事項を規定しなかった)場合、400万VND以上の罰金が課される可能性があります(政令28条8条1項。具体的な罰金額については状況により異なります)。 ・例外を除いて、ベトナムでは労働者を異動(就業場所や業務の変更)させることが制限されています(労働法29条)。そのため、就業場所や業務内容については、慎重に記載する必要があります。 ・上記の事項について変更がある場合には、原則として労働契約の別紙を作成し、それに両当事者が署名することによって変更を合意すべきです。ただし有期労働契約の更新(労働契約期間の変更)については、更新回数が制限されていることから、別紙の作成ではなく、別途労働契約書を作成する必要があります。
  • 労務
  • 2021.05.17
  • 採用・労働契約
【2021年労働法】試用期間終了後は、有期労働契約を締結するのが、 一般的と聞いています。 有期労働契約の法定期間と締結の際の注意点などを教えてください。
2021年2月時点の労働法においては、36ヶ月以内の有期労働契約と無期限の労働契約のいずれかの形式で労働契約を締結しなければならないとされています(労働法20条1項)。 有期労働契約は、原則として1回のみ更新することができます(労働法20条2項c号)。そのため、有期労働契約を締結できる期間は最長でも、72ヶ月(6年)となります。 有期労働契約は、期間の満了と同時にその他の理由がなくとも終了するのが原則ですが、契約終了後も労働者が勤務を継続する場合、会社は新たな労働契約を締結しなければならないことになります。 そして、労働者が勤務を継続しているにもかかわらず、会社が有期労働契約の終了後30日以内に新たな有期労働契約を締結しない場合、会社は当該労働者との間で無期労働契約を締結したものとみなされますので注意が必要です(労働法20条2項a号、b号)。 会社は、有期労働契約を終了する場合には、契約の終了を相手方に通知し(労働法45条1項)、契約期間以後は出社を控えるよう伝達する必要があります。 ・無期労働契約になった場合、会社側から当該労働者との契約を解除するためには、懲戒解雇を行うか、一方的解除事由が必要となり、契約を終了させることは容易ではありません。一方、有期労働契約であれば、契約期間の満了とともに契約が終了します。そのため、有期労働契約から無期労働契約へ移行する場合は、慎重に判断する必要があります。 ・定年に達した後の労働者や、外国人労働者との有期労働契約については更新に回数制限がありません(労働法149条1項。151条2項)。
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  • 2016.10.18
  • 採用・労働契約
労働者の使用及び労働に関する変化の状況についての報告の内容はどのようなものでしょうか。
労働法の第6条第2項は、使用者の義務の一つとして 地方の労働に関する国家管理機関に対し、労働者の使用について、事業開始日から30日以内に届出を行い、事業の過程で生じた労働に関する変更状況を定期的に報告すること。 を規定しています。   これによれば、 ①労働者の使用について、事業開始日から30日以内に届出 ②事業の過程で生じた労働に関する変更状況を定期的に報告 という2つの報告が予定されています。   各労働報告フォームを定める通達23/2014/TT-BLDTBXHによると、①には従業員名や人数等の報告内容がありますが、②には従業員名まで報告する必要なく、統計的なデータ(従業員の総人数、変化した人数等)の内容のみの記載が必要とされています。 詳細は各フォームを参照してください。
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  • 2016.06.17
  • 採用・労働契約
ベトナムでの労働者派遣契約について派遣労働者を使用する場合に法的制限があれば教えてください。
派遣業については、労働者派遣のライセンスを持たずに「コンサルティング」として実質的に派遣業を行っている会社もあります。 労働者派遣は独自のライセンスが必要ですので、派遣ライセンスを持たない業者から労働者派遣を受ける場合には、急に派遣が止まるリスクなども考えられます。 下記は、下請として人を雇う場合ではなく、労働者派遣として、派遣労働者を雇う場合の制約となります。   以下の規定が派遣先企業に適用され、厳格に禁止されます (2013年5月22日付け55/2013/ND-CP(Decree55号)第4条第2項参照) 。 ①派遣労働者から費用を徴収すること ②派遣労働者を再派遣することを第三者に同意すること ③労働者派遣が認められる業務リスト(下記)上に含まれない業務に派遣労働者を使用すること ④12ヶ月を超えて派遣労働者を使用すること   Decree55の付録Ⅴに記載の業種以外には派遣ができない旨定められており、それが以下となります。 以下については、通常のワーカーは該当しないと考えられ、工場での派遣労働者使用は現在難しい状況です。 (1)翻訳、通訳、速記者 (2)秘書、業務アシスタント (3)受付 (4)ツアーガイド (5)営業支援 (6)プロジェクト支援 (7)製造システムのプログラミング (8)通信・テレビ設備の設置 (9)建設用機械の運転、テスト、修理 (10)ビルや工場の清掃 (11)資料編集 (12)警備員 (13)コールセンターのオペレーター (14)経理財務補助 (15)自動車修理 (16)工業デザイン、インテリアデザイン (17)運転手   企業は、以下の目的にのみ、労働者派遣を用いることができます。 ・特定の期間における突発的な労働力の要求の上昇があった時の一時的な要求を満たすこと(一時性) ・妊娠休職期間にある場合、労働災害に合い、職業病にかかり、市民の義務(=徴兵義務等)が課される場合、またはこれらにより稼働時間が減少する場合(補充性) ・高い技術経験を有する労働者を使用する必要がある場合(専門性).   また、労働者派遣の期間は、12ヶ月を超えないものとされています(労働法第54条)。   労働者派遣は、以下の場合には認められません(Decree55号第24条) ・派遣労働者を使用する企業が、現在労働者紛争、ストライキがなされており、又は、ストライキに関する決定、労働紛争の解決に関する決定を受ける労働者を交代すること ・労働者派遣企業が、派遣労働者が労働災害を受け又は職業病にかかっている場合に、派遣労働者との間で賠償責任に関する合意をなすこと ・派遣先企業において、企業再編・技術変更の結果、経済的理由又は派遣先企業の合併、分割のために削減された人員を交替すること ・労働省及び厚生省により作成されるリストに規定される過酷な環境で働かせること(そのような労働者がそのような場所に3年以上住んでいた場合を除く。)、労働省により作成されるリストに規定される重度の、有毒な若しくは危険な業務につかせること、又は、当該リスト上の極度に重度の、有毒な若しくは危険な業務につかせること。  
  • 労務
  • 2016.04.25
  • 採用・労働契約
労働契約の労働期間について教えてください。
「労働法」第22条第1項によれば、労働契約は、その期間の定め等によって3つの形式に分けられます。 a)無期限労働契約 b)有期限労働契約 c)季節的な業務または12ヶ月未満の特定業務を履行する有期限労働契約   一般に、上記(c)の類型はあまり用いられることがありませんので、上記(a)無期限労働契約及び(b)有期限労働契約についてご説明します。 無期限労働契約は、使用者及び労働者が、労働契約の効力を終了する「期限および時期を確定しない契約」をいいます。日本でいうところのいわゆる「正社員」と同じであり、解雇又は合意解除等を行わない限り、定年に達するまで労働契約が継続する類型になります。   一方、有期限労働契約は、使用者及び労働者が、労働契約の効力を終了する「期限および時期を、満12ヶ月から36ヶ月までの期間に確定した契約」をいいます。ベトナムでは労働者の解雇が認められる要件が厳しく制限されているため、会社が労働者と労働契約を締結する場合、通常は、まず12ヶ月から36ヶ月の期間の有期労働契約を締結し、労働者の能力や適性等を見ることになります。   では、有期限労働契約の締結は無制限に認められるでしょうか。会社からすれば、有期限労働契約を更新し続けることができれば、仮に労働者との間の労働契約を終了したいと思った場合、合意された期間の満了を待てば労働契約を終了させることができるため、基本的には会社にとって有利になります。 しかし、逆に言えば、有期限労働契約は、労働者の法的地位が弱くなるため、基本的には労働者にとっては不利なものです。 そこで、「労働法」第22条第2項は以下のとおり規定し、一定の場合には、無期限労働契約を強制することとしています。 本条第1項第b、c号で規定する労働契約の期限が満了しても、労働者が仕事を辞めず引き続き就労する場合、労働契約の期限が終了した日から30日以内に両当事者は新たな労働契約を締結しなければならない。新たな労働契約を締結しない場合、本条第1項第b号に規定された既存の労働契約は無期限労働契約となり、本条第1項第c号に規定された既存の労働契約は、24ヶ月を期限とする有期限労働契約となる。 両当事者が有期限契約として新たな労働契約を再度締結しようとする場合、一回のみ締結することができる。その後、労働者が引き続き就労する場合、無期限労働契約を締結しなければならない。 ここには大きく2つのことが書かれています。 一つ目は、有期限労働契約の期間満了後に30日以内に、使用者及び労働者の間で新たな労働契約を締結することなく、労働者が就労を継続した場合、有期限労働契約は無期限労働契約になるということです。 有期限労働契約を締結する労働者の契約の期間についてシステマチックに管理していない会社においては、悪意なく、「気がついたら労働契約の期間が満了していた」という事態が時折発生します。たとえば、「2015年6月1日になって、実は労働者Aの労働契約の期間が同年3月末で終了していたことがわかった」というケースです。このような場合、労働者Aとの労働契約は自動的に無期限労働契約に切り替わってしまうわけです。 したがって、有期限労働契約の期間の管理を怠ることがないよう、注意が必要です。   二つ目は、有期限労働契約の期間満了後に新たに労働契約を締結するわけですが、有期限労働契約は、2回しか更新が認められません。すなわち、一度有期限労働契約を締結し、期間が満了した後、もう一度有期限労働契約を締結することはできますが、更に3回目の労働契約を締結する場合には、無期限労働契約を締結しなければならないわけです。 無期限労働契約に移行した後は、会社が労働者との間の労働契約を終了したいと思った場合、基本的には労働者を解雇又は合意解除することになりますが、解雇要件は厳しく制限されており、労働者が合意解除に応じるかどうかは労働者の判断次第になってきます。 したがって、無期限労働契約を締結する前の段階で、その労働者の能力や適性等を見極めた上で労働契約を締結するか否か判断することが必要でしょう。
  • 労務
  • 2015.06.30
  • 採用・労働契約
会社の判断で労働者の配置転換は認められますか。
日本においては、通常、会社は労働者に対して配置転換命令を出すことができ、原則的に労働者はこれに応じる義務があります。では、ベトナムではどうでしょうか。 ベトナムでは、原則として、会社がその一方的意思表示によって、労働契約で合意された労働者の業務と異なる業務に従事させることはできません。もっとも、以下のとおり、一定の状況が存在するときに、1年につき60営業日を限度として、一時的に他の業務に従事させることは認められます。   「労働法」 第31条 労働契約に基づく業務と異なる業務への労働者の異動 1.自然災害、火災、疫病、労働災害の回避・被害克服の措置適用、職業病、水・電力障害の突発的な困難の発生または生産もしくは経営上必要がある際、使用者は本来の業務と異なる業務に一時的に労働者を異動させることができるが、使用者の同意を受けた場合を除き、1年につき合計で60営業日を超えてはならない。 2.一時的に本来の業務と異なる業務に労働者を異動させる際、使用者は労働者に対し、少なくとも3営業日前までに通告し、一時的な業務の期間を明確に通知し、労働者の健康や性別に適合する業務を配置しなければならない。 3.本条第1項の規定に従って異動される労働者は、新業務に応じた給与を受けるものとするが、新業務の給与が従来の給与より低い場合、30営業日の間は従来の給与水準が維持される。新業務に対する給与は、少なくとも従来の給与の85%を維持する必要があるが、国の規定による地域別の最低賃金を下回ってはならない。   以上のとおり、ベトナムでは原則として労働契約で合意された労働者の業務と異なる業務に従事させることはできませんが、テクニカルな話でいくと、労働契約における労働者の業務内容を多少広めに規定しておくことで、若干の部署の変更等は認められる余地があります。労働契約で合意する業務内容は特に検討をせずに合意してしまうケースがほとんどですが、このように配置転換の際に影響が出る可能性がありますので、一度整理しておくことが望ましいでしょう。   なお、労働者の就労場所についても同様のことがいえます。労働契約において就労場所の合意は必須となっていますが、使用者の一方的判断により労働契約で合意された就労場所を変更することはできません。したがって、就労場所については、ある程度の幅を持った文言にしておく方が望ましいケースが多いと思われます(もっとも、「ベトナム国内」といった広すぎる内容は無効とされる可能性がありますので、ご注意ください。)。