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職場での労働安全衛生教育について

  • 2023.01.31
  • 労務
  • 労務一般

1. 労働安全衛生教育の実施について 特にオフィスのみで事業を行う会社においては、実際には実行されていないこともままありますが、ベトナムでは、使用者は労働者に対して労働安全衛生の教育(訓練)を実施しなければならないとされています(法律第84/2015/QH13号(以下「労働安全衛生法」といいます)第14条参照)。 政令第140/2018/ND-CP号(以下「政令第140号」といいます。なお、当該政令は政令第44/2016/ND-CP号の一部を修正するための政令です。元の政令については以下「政令第44号」といいます)第1条第5項により、労働安全衛生の教育を受ける対象は六つのグループに分類されます。 第1グループ:会社の代表者を始めとするいわゆる管理者 第2グループ:労働...

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  • 労務
  • 2024.03.17
  • 労務一般
ベトナムにおける労働法の重要点整理(新規赴任者・管理者向け)
目次1. ベトナム労働法の特徴(1)労働者保護が手厚い(2)判例がほとんど公開されておらず、行政機関との交渉が重要2. 採用、労働契約(1)労働契約書の締結義務(2)労働契約の種類(3)労働契約該当性(4)試用期間(5)有期労働契約(6)パートタイム労働者(7)兼業(8)情報管理3. 労働契約の終了(1)労働契約の終了事由(2)労働者による一方的解除(3)使用者による一方的解除(4)整理解雇(5)定年4. 日々の労務管理(1)就業規則の作成、周知(2)労働時間(3)時間外勤務手当(4)休日(5)年次有給休暇(6)冠婚葬祭に関わる休暇(7)傷病休暇(8)賃金(9)異動(10)懲戒(11)労働災害(12)労働組合費(13)健康診断(14)兵役(15)ストライキ5. 女性保護(1)産休・育休(2)その他女性労働者の保護6. 外国人労働者(1)労働許可証(Work Permit|ワークパーミット)(2)強制社会保険の加入(3)日本人駐在員含む外国人がベトナム労働法の適用対象となるか 社会主義のベトナムでは労働者が基礎となっているため、労働者保護が非常に手厚いです。雇用者側の都合で労働者を解雇することは会社の清算の場合以外には事実上非常に難しい状況にあり、労働者との個別の合意に基づいて労働契約を終了せざるを得ないことがほとんどです。有期契約の更新も1回に限られているほか、パートタイムの労働者についても無期契約の社員とほとんど同様の保護が与えられます。 ただ、後述の通り、使用期間後の解雇や有期契約の更新時点での雇い止めについては基本的に自由なので、無期契約を締結する前の試用期間や有期契約の期間で労働者を見極めることが非常に重要になります。 ベトナムでは判例がほとんど公開されておらず、また行政機関の法令の運用も場所によって異なることが多いです。そのため、行政当局の指導に従う必要が出てくる場合も多々あります。ただ、そのような指導と政府や省の方針が食い違っているようなケースもあるため、指導を鵜呑みにせずきちんと文書で確認したり、法令に基づいて反論したりすることが重要です。   原則として、雇用開始前に、書面または電子的方式による労働契約を締結する義務があります。また、家政婦などの一定の場合を除き、1ヶ月未満の有期契約については口頭で締結することも可能です。内容としては、以下の内容を定めなければなりません(労働法21条1項)。 ・業務及び職場の場所 ・労働契約期間 ・業務または職名に従った賃金額、賃金の支払い方式、賃金支払時期、手当及びその他の補助 ・昇給、昇級制度 ・勤務時間 休憩時間 ・労働者に対する労働保護設備 ・社会保険、医療保険及び失業保険 ・職業能力の訓練、増強、向上に関わる事項   無期限契約と、36ヶ月以下の有期契約の2種類があります(労働法20条1項)。   契約の名称を問わず、職務、賃金及び一方当事者による管理・監督が規定された契約は労働契約とみなされます。   契約の形式としては、労働契約とは別途試用契約を締結する方式のほか、労働契約の中に試用期間の条項を含める方式を採用することもできます(労働法24条)。 期間の長さについては法令上以下のように定められています(労働法25条)。明確な区別基準は示されていませんが、法定の試用期間を超えてしまった場合には400万〜1000VNDの罰金が課される可能性があるため、安易に長期の試用期間を設けることは避けるべきです。 職種 試用期間 企業法及び企業における生産・経営に投資する資本の管理・使用に関する法律に定める企業の管理者の業務 最大180日 短期大学10以上の専門・技術水準を要する職位の業務 最大60日 中級の専門・技術水準を要する職位の業務・技術を有するワーカー、専門的な業務を行う従業員 最大30日 その他の業務 最大6営業日 なお、試用期間中の給与は賃金の85%以上であること、1ヶ月未満の労働契約には試用期間が設定できないことにも注意が必要です。 試用期間の満了までに会社は正式に雇用するかどうかを候補者に通知しなければなりません(労働法27条)。ただし、かかる通知さえすれば基本的に自由に契約を解除することができます。   有期契約については、一度の更新しか認められておらず(労働法20条2項c)、2回目の更新の際には無期限の労働契約となることに注意が必要です。もっとも、退職者、外国人労働者、労働契約期間が満了している労働組合幹部などには適用されず、また、日本と異なり有期労働契約更新時の雇い止めは自由に行うことができます。無期労働契約になった場合、会社側から当該労働者との契約を解除するためには、懲戒解雇を行うか一方的解除事由が必要となり、契約を終了させることは容易ではないので、無期契約へ移行するかどうかの判断は慎重にしなければなりません。 なお、多くのベトナム企業が、法令を無視して1年の労働契約を何回も更新している実態があります。中には解雇と再雇用を繰り返している企業もあります。しかし、このような取り扱いは違法であり、罰金に処せられる可能性がありますし、回数制限を超える労働契約は無期労働契約と扱われます。   労働時間を除き、正社員の労働者と同様に取り扱わなければならない(労働法32条参照)とされています。   ベトナムでは、労働者は各労働契約上の義務を完全に履行できる限り複数の労働契約を締結する権利を有するとされており、労働者の兼業の権利が保障されています(労働法19条)。よって、労働契約や就業規則において兼業を禁止する条項を設けた場合は、ベトナム労基法違反となり、当該条項が無効とされる可能性が高いです。また、実務上、競業他社への就職禁止義務を労働者に課すことはできないと考えられています。   営業上の秘密または技術上のノウハウに接する労働者については秘密保持契約を締結することが認められており(労働法21条2項)、秘密保持契約を従業員と締結しておくことが望ましいです。一方、その他の労働者についてはかかる契約が無効になる可能性があるため注意が必要です。 また、ベトナムにおける情報管理に対する意識は、日本に比べて相対的に低い上、転職を繰り返す者も多い(競業避止義務も基本的には認められないため競業他社への転職もある)ため、アクセス権の限定や教育の徹底など、情報漏洩リスクに対していかに対処するかが重要となります。   契約期間満了、契約に規定された業務の完了、両者の合意、裁判所の判決により懲役等または復職禁止の刑を受けたこと、労働者または個人である使用者が死亡したまたは行為能力の喪失の宣告や失踪宣告を受けたこと、個人でない使用者の事業活動終了、懲戒解雇、労働者による一方的解除事由(後述)、使用者による一方的解除事由(後述)、外国人労働者の追放、外国人労働者の労働許可失効、試用期間中のKPI未達または試用契約の解除などがあります。   労働者は理由不問で一方的な解除をすることができます。ただし、有期契約の場合は原則30日、無期契約の場合は原則45日の事前通知が必要になります。なお、給料未払いやセクハラなどのケースでは事前通知も不要です。   使用者は主に以下の場合などに契約の一方的解除をすることができます。 使用者が定めるパフォーマンス水準に繰り返し未達の場合(組合がある場合には水準について意見を聞く必要があります) 定年 労働契約の締結時に虚偽の個人情報を提供し、それが雇用判断に影響を与えた場合 連続5日以上、正当な理由なく無断欠勤   一定の場合には整理解雇は可能になっていますが、労働者代表機関との協議や省レベルの国家機関への報告など手続きが煩雑なため、日本企業が整理解雇をする例は多くないです。   定年は2019年まで男性が満60歳、女性が満55歳でしたが、法改正によって、男性満62 際、女性満60歳に達するまで段階的に引き上げられることとなりました。   労働者を10人以上雇用する使用者については、就業規則を地方労働当局に登録する義務があります。この場合、登録してから15日後に効力が発生します。なお、支店などの他の拠点がある場合、その地点を管轄する当局に対しても就業規則の送付が必要な場合があるので注意が必要です。 10人未満の場合は登録不要です。この場合、就業規則に基づく使用者の決定によって効力が発生します。 支店などの他の拠点がある場合、その地点を管轄する当局に対しても就業規則の送付が必要な場合があるので注意が必要です。 内容としては、労働時間や就労場所など多岐にわたりますが、セクシャルハラスメント防止措置などの記載義務があることに注意が必要です。また、異動に関する事項や懲戒を行うための根拠として懲戒処分の権限を有する者等も記載しておく必要があります。 また、労働組合がある場合には労働組合の意見を聴取しなければならず、聴取しない場合には罰金が課される可能性があります。また、就業規則を従業員に周知した上で閲覧できる状態におく必要があり、これに反した場合も罰金が課される可能性があります。   上限は1日8時間及び週48時間です。 6時間連続勤務の場合には最低30分(深夜なら45分)の休憩が必要で、休憩時間は労働時間に含まれます(労働法109条)。 合意があれば時間外労働も可能ですが、1日の労働時間の50%、1ヶ月で40時間、1年間で200時間を超えてはなりません(「特別な場合」(※)には1年間300時間まで時間外労働が認められる場合もあります)。 合意の有無については厳格に判断されるようになってきており、使用者は(1)時間外労働を行うこと、(2)時間外労働を行う場所、(3)その労働時間のそれぞれについて、従業員の同意を得なければなりません。また、時間外労働が開始された後15日以内に、地方の労働管理当局に書面で通知を送付しなければならないことにも注意が必要です。 ※300時間/年が認められる「特別な場合」 ・輸出のための繊維製品、衣料品、皮製品、靴製品、農林水産品、電気・電子製品、塩製品の製造および加工を行う場合 ・発電、電力供給、通信、石油精製、給排水を行う企業 ・高度な専門性または技術が求められる仕事であり、労働市場が十分かつ速やかに労働者を供給できない業務 ・原材料の季節性や時期により遅延できない緊急の業務の処理、または気候、天災、火災、戦争、電力不足・原材料不足・生産ラインの技術的問題による予期せぬ原因によって生じた状況を解決するための業務の処理 ・政府が定めるその他の場合   通常勤務日の時給をAとした場合、 平日時間外勤務 給与はA×150%以上 週休日勤務の場合 A×200%以上 祝日及び有給休暇日勤務の場合 A×300%以上 勤務時間内の深夜勤務(22時〜6時)の場合 A×130%以上 通常勤務日における勤務時間外の深夜勤務の場合 A×210%以上 週休日の時間外深夜勤務の場合 A×270%以上 祝日及び有給休暇日の時間外深夜勤務の場合 A×390%以上 時間外勤務の計算方法を労働協約で合意しておくとトラブルを未然に防ぐことができる場合もあります。   毎週一日以上の週休日が必要です。日曜日またはその他の特定日が必要になります。ただし、職務の性質により、週休をとることが不可能な場合には、1ヶ月に平均4日以上の休日が必要になります。 祝日は計11日あり(※)ます。祝日が週休日と重なった場合、労働者には振替休日をとる権利が与えられます。 ※ベトナムの法定休日(労働法112条1項・2項) 太陽暦の正月:1日(1月1日) 旧暦の正月:5日 戦勝記念日:1日(4月30日) 国際メーデー:1日(5月1日) 建国記念日:2日(9月2日とその前後のいずれか1日、毎年政府が前後のいずれかになるか決定します)。 フン王の命日:1日(旧暦の3月1日) 外国人については、出身国の正月に1日、建国記念日に1日、さらに休暇が追加されます。   年次有給休暇は、勤続12ヶ月以上につき原則として12日間(12ヶ月未満の場合は月割)になります。以後、5年勤続ごとに1日ずつ追加されます。また、未消化の有給休暇の買い取りについては、退職と失業の場合のみとなっています。   慶弔休暇は以下のような場合に認められています(労働法115条1項) 有給休暇 結婚:3日の休日 実子、養子の結婚:1日の休日 実父母、養父母、義理の養父母、配偶者、実子、養子の死亡:3日の休日 無給休暇 父方の祖父母、母方の祖父母、兄弟姉妹の死亡、父または母の結婚、兄弟姉妹の結婚:1日   ベトナムにも類似の制度が存在します。以下に定める者は、傷病休暇を取得することができ、また社会保険給付を受けることができます。 労災に当たらない病気または事故により休暇をとる者で、指定の医療機関が発行する診断書等必要な書類を取得した者 7歳未満の子供を看病するために休暇をとる者で、指定の医療機関が発行する診断書等必要な書類を取得した者 産休が満了する前に職場復帰した女性労働者で、上記の①②のいずれかに該当する者   最低賃金は2023年時点で3250000~4680000(VND/月)です。ただし、変動することも多いので注意が必要です。また、社内労働組合の意見聴取をした上で賃金テーブルを作成する義務があります。 賞与の支給は法律上の義務ではありません。なお、毎年規定額支給することが決まっている「テト賞与」については、13ヶ月目の給与として賞与ではなく給与扱いになるのが一般的です。一般的な「賞与」を支給する場合には、賞与規則を作成し、労働者に対して周知、閲覧供与する必要があります(労働法104条2項)。 休業中の給与の支払い額については場合によって変わります(労働法99条)。具体的には、①使用者の故意過失を原因とする休業の場合は給与の全額、②労働者の故意過失を原因とする休業の場合は休業の原因を作った労働者は無給でその他の労働者は合意した金額、③会社に帰責性のない事故や天災などの場合は合意した金額になります。③会社に帰責性のない事故等の場合、休業してから15日目以降の休業分の給与については最低賃金以下で合意することができます(②労働者の故意過失を原因とする休業の場合には最低賃金以下で合意することはできません)。 給与からの天引きについては、会社の備品等を破壊したことに対する損害賠償についてのみ給与からの天引きが可能です。   会社は、原則として労働契約で定めた就業場所で労働者を勤務させなければなりません。労働者を異動させるには、下記の要件をいずれも満たす必要があります(労働法29条1項)。 ・天災等の不可抗力事由または「経営上の理由」 ・同意がない場合には年間で60営業日を超えないこと なお、「経営上の理由」については、想定される場合を就業規則に具体的に規定しなければなりません。このような要件により一時的な異動しかできないため、部署異動については一般的に労働契約の修正を行って再度合意を行うことがほとんどです。   懲戒の種類としては、①譴責、②給料の最高6ヶ月間の据え置き、③降格、④解雇のみであり、これ以外の形態の懲戒処分は違法無効になります(例:減給処分や停職処分などをすることはできません)。 また、懲戒事由は就業規則に定めておかなければ適用することができません。療養休暇中や使用者の同意による休暇中の労働者、妊娠中もしくは出産休暇中の女性労働者または12ヶ月未満の子供を養育中の労働者についても懲戒処分をすることができません。 さらに、懲戒手続を取るためには、以下のように法定の聴聞手続を経なければなりません。 ・聴聞会の時間と場所、対象従業員の氏名、違反の内容を通知する ・聴聞会を開催する。 ・聴聞会が終了する前に聴聞会の議事録を作成、承認を受ける。 懲戒処分の手続に違反した場合、懲戒処分が無効となり、将来的に解雇の無効を争われるという事例が多いため、手続きは遵守すべきです。   以下の①〜③の要件を満たす者は、労働災害の対象者となります。 以下の事故等に遭遇した者 職場及び労働時間中に発生した事故、雇用主の指示に従って業務を行い職場以外または労働時間外に発生した事故、出退勤中に遭遇した事故(適切な時間、適切なルートを選択していた場合) ①の事故により、労働能力が5%以上喪失した者 当該事故が以下の原因に基づかないこと 業務に関係しない喧嘩、労働者が故意に自己の健康を害した、麻薬等の薬物の使用、その他通達に規定する場合   労働組合の有無にかかわらず、会社は労働組合費を支払わなければなりません。具体的には、労働者一人当たりにつき給与から社会保険料を差引いた金額の2%にあたる金額を納付しなければなりません(使用者負担分)。社内労働組合を設置する場合、労働者一人につき1%が給与から控除されます(労働者負担分)。   会社は、毎年少なくとも一回は労働者に健康診断を受けさせなければなりません   18歳から25歳までの男子は、兵役の対象となり、24ヶ月間の兵役に行く可能性があります(大学等に進学したことで兵役を延期した者は27歳まで)。 労働契約の履行の一時停止事由にあたり、賃金を支払う必要がないものの、労働契約の終了事由や懲戒事由には当たらないため、会社は労働契約を解除することはできません。   ストライキの手続きは煩雑ですが、実際にはベトナムのストライキのほとんどが法定の手続きを経ずに行われています。ストライキに参加した労働者に対する給与の支払い義務はありませんが、ストライキのために就業できなかった他の労働者に対しては、給与の支払い義務があります(労働法218条)。   女性労働者は、出産前後で6ヶ月の産休が付与されます。出産前の休業については、法律上2ヶ月を超えてはならないとの制限もあります(労働法139条1項) 上記の女性労働者が4ヶ月間失業した後においては、①労働者と会社の合意、②認定された医療機関の医師からの承認(診断書等の取得)を条件として、早期に職場復帰することができます。 他にも、女性労働者には、出産前検診のための原則5日間の休暇、出産後の健康状態に問題がある場合には、5日〜10日の範囲で健康回復・リハビリのための休暇をとることが認められています。 なお、男性労働者も妻の出産の際には、原則として5日間の休暇をとることが可能です。 妊娠後7ヶ月目以降の労働者(高地などの特定の場所なら6ヶ月)や12ヶ月未満の子を養育中の女性労働者に対して、深夜労働、時間外労働、長距離出張をさせることはできません(労働法137条1項)。 危険な業務、または生殖能力や妊娠中の子の発育に悪影響を与える業務に従事している労働者は、会社に通知することにより、12ヶ月未満の子の養育期間が終了するまで、賃金等は従前のまま、より安全な業務に異動するか、1日の労働時間を1時間短縮するよう要求できます(労働法137条2項)。 会社は、結婚、妊娠、産休、12ヶ月未満の子の養育を理由として、当該労働者を解雇または一方的に契約の終了をすることはできません(労働法137条3項)。 生理期間中は1日30分、12ヶ月未満の子の養育中は1日60分の有給の休憩をとることができます(労働法137条4項)。 懲戒該当事由があったとしても、妊娠中、産休中、または12ヶ月未満の労働者に対しては、懲戒処分を行うことができません(労働法122条4項d号)。   外国人がベトナムで就労するためには、原則として就労開始前に労働許可証を取得する必要があります。期間は最大2年です。 ベトナム国内で外国人を採用する場合には、政府機関による承認を得る必要があります。労働許可証を所持せず就労していた場合には当該外国人が国外退去となるほか、使用者側も処罰の対象となります。 ただし、有限会社の出資者・所有者(30億VDN以上)、株式会社の取締役会の構成員、生産または経営に影響を与えるまたはその恐れのある問題を処理するために3ヶ月未満滞在する者ベトナムで弁護業許可証の発給を受けた外国人弁護士、ベトナム人配偶者がいてベトナムで生活する者、短期滞在者(1回あたり30日未満かつ年間3回までかつ管理者・社長・専門家・技術者に該当する者、WTOコミットメントの11サービス業種における企業内人事異動による外国人労働者等は労働許可証取得を免除されます。このような例外にあたる場合には、勤務開始の3日前までに管轄労働当局に対して氏名、年齢、国籍、パスポート番号、雇用者の名称、勤務の開始日と終了日を通知することで足ります。   労働許可証を持ち、使用者との間で無期労働契約を締結する者は、強制社会保険の加入対象となります。 もっとも、外国からの企業内人事異動の対象者、定年に達した労働者については強制社会保険加入の対象外となります。   ベトナムの労働法がいかなる場合に適用されるのかという点を定める国際私法はベトナムの関係法令上には直接定められていませんが、労働法の公法的性質によれば、労働者の勤務地がベトナム国内であればベトナム労働法の適用対象となると考えられます。日本において契約を結んでいる場合には、日本の労働法との重畳適用になる可能性もあります。
  • 労務
  • 2023.05.04
  • 労務一般
従業員が会社に与えた損害の損害賠償の手続について教えて下さい。
目次従業員が会社に与えた損害の賠償手続について賠償の審議手続時効 ベトナム労働法では、従業員(労働者)が会社に与えた損害について、会社から請求する場合の損害賠償規定が規定されています。 具体的には、労働法第129条・第130条をご確認ください。 審議手続については後述しますが、損害賠償できる場合であっても賠償金額の上限がある場合や給与の控除金額の上限もあるためご注意ください。 第129 条 損害賠償 1 使用者の道具・設備を損壊し、又はその財産に損害をもたらすその他の行為を行った労 働者は、法令又は使用者の就業規則の定めるところにより賠償しなければならない。 労働者は、労働者が不注意により、重大ではなく、労働者が労働に従事する地域で適用 される政府が公表した最低賃金の10 か月分を超えない価値の損害を生じさせた場合、最 大で3 か月分の賃金までの賠償をしなければならず、この法律第102 条第3 項の定める ところにより、賃金から毎月控除される。 2 労働者は、使用者の道具・設備・財産、又は使用者が引き渡したその他の財産を紛失 し、又は許可された基準を超えて物資を浪費した場合、市場の時価又は就業規則に基づ いて損害の一部又は全部を賠償しなければならない。責任契約がある場合、その契約に 従って賠償しなければならない。天災・火災・戦災・危険な疫病・災害・事前に予想す ることができず、あらゆる必要な措置及びできる限りの能力を用いたにもかかわらず回 復できなかった事件が発生したことによる場合、賠償する必要はない。 第130 条 損害賠償の処理 1 損害賠償額の検討、決定は、労働者の故意・過失、実際の損害の程度、実際の家庭の事 情、人格及び財産に基づかなければならない。 2 政府は、損害賠償の処理の手順、手続き、時効を定める。 第102 条 賃金からの控除 1 使用者は、この法典第129 条の定めるところにより、使用者の道具、設備及び財産を毀 損したことによる損害を賠償する場合に限り、労働者の賃金からの控除をすることがで きる。 2 労働者は、その賃金からの控除がなされる理由を知らされる権利を有する。 3 毎月の賃金からの控除額は、強制社会保険、健康保険、失業保険、個人所得税を差し引 き、納付した後に労働者に対し毎月支払う実際の賃金の30%を超えてはならない。 労働法129条による損害賠償を行う場合の賠償審議手続きが必要とされており、政令145/2020/ND-CPの第71条第72条に詳細に規定されております。 この聴聞の手続を行わない限り、違法な賠償処理となることになりますのでご注意ください。 聴聞手続の概要は以下のとおりです。 従業員が雇用主から与えられた財産を損なったり、雇用主の財産に損害を与えたり、消費制限を超えた場合、雇用主は従業員に事件に関する書面の報告を求めます。 この政令の第72条に定める賠償請求の期限内に、雇用主は以下の手順で賠償の審議を行います: a) 賠償審議が開催される少なくとも5営業日前に、雇用主は参加者に通知を行います。労働法第122条第1項のポイントbとポイントcに記載された者と査定者(あれば)が含まれます。通知は審議の日時と場所、損害を与えた従業員の氏名、彼/彼女によって引き起こされた損害を明記する必要があります。 b) 雇用主の通知を受け取った義務的な参加者は、参加の確認を雇用主に送信します。もし、義務的な参加者が聴聞に参加できない場合、従業員と雇用主は審議の時間や場所の変更について合意をします。合意が得られない場合、雇用主が最終決定を行います。 c) 雇用主は、この条項のポイントaとポイントbで記載された時間と場所で賠償審議を行います。義務的な参加者が参加を確認しなかったり、審議に出席しなかった場合でも、雇用主は審議を行います。 賠償審議の議事録は、審議が終了する前に取られ、承認されます。議事録には、この条の第2項ポイントaで規定された参加者の署名が必要です。署名を拒否する場合、議事録作成者は議事録にその人の氏名と拒否の理由を記載します。 賠償決定は、賠償請求の期限内に発行され、損害とその原因、賠償レベル、賠償支払いの期限と方法を明記します。決定は、第2項ポイントaで述べられた参加者に送られます。 損害賠償の他のケースは、民法の規定に従います。   同政令72条では、時効についても規定されています。時効の期間が6ヶ月と短くなっていますので注意が必要です。 第72条 賠償請求の時効 労働法第130条第2項で規定された賠償請求の時効は以下の通りです。 賠償請求の時効は、従業員が雇用主の財産に損害を与えたり、財産を失ったり、消費制限を超えたりした日から6ヶ月です。 労働法第122条第4項で規定されたケースの期間中、従業員に対する賠償請求は行われません。 労働法第122条第4項で規定された期間が終了し、賠償請求の時効が満了していないか、残りの期間が60日未満の場合、時効は労働法第122条第4項で規定された期間の終了からさらに最大60日間延長することができます。
  • 労務
  • 2022.11.03
  • 労務一般
女性労働者・未成年労働者・高齢労働者の特別規定を教えてください。
ベトナムの労働法やその関連法令において、女性労働者、未成年労働者、高齢労働者については一部特別な規定が置かれています。以下では、それぞれの概要を整理していますのでご確認ください。 2021年施行の2019年労働法での変更点は赤で表示しています。 目次1.女性労働者2.未成年労働者(18歳未満)3.高齢(高年齢)労働者(定年退職以降) 以下のとおり、女性の労働者に対しては、一部特別の規定が置かれています。 項目 内容 妊婦・養育時の保護 以下の場合、女性労働者に深夜労働、時間外労働、遠隔出張を命じてはならない。 妊娠7ヶ月目以降の妊婦。高地、遠隔地、国境、島嶼に勤務する場合は、妊娠6ヶ月目以降の妊婦 本人の同意を得る場合を除き、12ヶ月未満の子供を育児中の者 ※12ヶ月未満の子供を育児中の者の同意を得る場合、使用者は、その者に深夜労働、時間外労働、遠隔出張を命じて問題ない旨明記された。 重労働に就く女性労働者が妊娠7ヶ月となった際には、賃金は減額されることなく、軽微な労働に異動し、または1日あたりの勤務時間を1時間短縮される 2019年労働法第137条2項によれば、重労働に就く女性労働者が妊娠7ヶ月となった場合だけではなく、妊娠中の女性労働者が重労働、有害、危険な職業、特別に重労働、有害、危険な職業、又は出産の能力及び子供の養育に悪影響を与える職業・業務を行い、使用者に通知した場合も、12ヶ月未満の子供の育児期間が満了するまで、賃金が減額されることなく、軽微、安全な労働に異動され、または1日あたりの勤務時間を1時間短縮される。 女性労働者は、労働契約書の賃金が減額されることなく、生理期間中は1日に30分、12ヶ月未満の子供の育児期間中は1日に60分の休憩を取得することができる。 就業継続が胎児に悪影響を与えるとした内容の、認定医療機関による診断書を有する妊娠中の女性労働者は、労働契約の一方的解除または一時的停止が可能 休暇  出産前後で6ヶ月の休暇 生まれた子供が双子以上だった場合には、1人につきさらに1ヶ月休暇延長 出産前の休暇期間は、2ヶ月を超えてはならない。 職場復帰について労働者の健康に問題がないとする内容の認定医療機関による診断書がある場合、使用者と合意したうえ、最短で4ヶ月の休暇後、女性労働者は職場へ復帰することができる 社会保険から6ヶ月分の出産手当 ※なお、男性も原則5営業日(帝王切開の場合と妊娠32週未満の出産の場合7営業日)まで休暇をとり、その間社会保険から手当をもらえる →会社はその期間の給与を支払う必要はない。(2016年1月1日の新社会保険法より) 雇用保障 女性労働者は休暇前と同じ業務に就くことが保証される 以前の業務が無くなった場合、使用者は別の業務に就かせる必要があり、給与額は休暇前より引き下げてはならない 妊娠中・出産休暇中の女性労働者、12ヶ月齢未満の子供を養育中の労働者は解雇することができない。 健康診断 健康診断の通常項目に加え、婦人科の項目を追加   未成年労働者に対しては、以下のような規定が特に定められています。 項目 内容 労働時間 満15歳から18歳未満の未成年労働者の勤務時間は、1日8時間または週40時間を超えてはならない。 15歳未満の労働者の勤務時間は、1日4時間または週20時間を超えてはならない。15歳未満の労働者を、時間外労働または深夜労働に使用することを禁止する。 業務内容 未成年者は、その体力、知力、人格の発展を保証するため、健康に適した業務のみに従事できる。 満13歳から15歳未満の年少者を労働傷病兵社会福祉省が規定したリストに記載される軽微な業務においてのみ使用することができる 満15歳から18歳未満の未成年労働者の使用の禁止業務、禁止場所が労働法147条に定められている。 労働契約 満15歳から18歳未満までの労働者と労働契約を締結する場合、労働者の法定代理人の書面での同意が必要であると記載 満15歳未満の場合は、労働者と労働者の法定代理人の署名が必要。 有給休暇 14日 健康診断 6ヶ月に1回 (通常は1年に1回)   高齢労働者に対しては、以下のような規定が特に定められています。 項目 内容 労働時間 1日あたりの勤務時間の短縮または非常勤勤務制度の適用を受けることができる 業務内容 安全な勤務条件が保証されている場合を除き、高齢労働者の健康に悪影響を与える重労働、危険または有害な業務、特別に重労働、危険または有害な業務に、高齢労働者を使用することを禁止する。 使用者は、職場における高齢労働者の健康に配慮する責任を負う。 労働契約 使用者は、必要があれば、十分な健康状態の高齢労働者と相談した上、労働契約締結の手続をした上で契約の延長または新規労働契約の締結を行うことができる。 ※2019年労働法第149条1項によれば、労働契約に関しては、高齢労働者と使用者は有期限労働契約を多数回締結する合意をすることができることとなった(通常は2回)。 健康診断 6ヶ月に1回 (通常は1年に1回)      
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  • 2022.07.13
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ベトナムにおける損害の概念について
日本における伝統的な見解によれば、債務不履行に基づく損害賠償の範囲を定める下記の民法の規定は、(損害の発生と債務不履行の間の)相当因果関係を定めたものであって、損害賠償には、通常の損害と特別の損害があると理解されています。 損害賠償の範囲) 第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。 1項については、通常の損害を定めたものとし、予見可能性の立証が要求されないのに対し、特別の損害については当事者の予見可能性を要件(立証を条件)として、損害についての相当因果関係を認める、以上のように日本の伝統的見解は、損害の概念を整理します。   一方、ベトナム法においては民法上には損害の範囲について上記の日本法のような規定は存在しませんが、商法上には以下の規定が存在します。 第302条 (損害賠償) … 2. 損害賠償金額は、違反された当事者が違反した当事者の契約違反により実際に且つ直接被った損害金額、並びに当該違反のない場合違反された当事者が直接獲得したであろう利益より成る。 ※和訳はJETRO作成によるものです。 したがって、ベトナム法の規定によれば、少なくとも商取引から発生する間接的な損害(日本法でいうところの特別の損害)は、原則として損害の概念に含まれないと解されます。   もっとも、上記の日本法の損害に関する解釈は判例を経て明確になっている部分があるところ、ベトナムでは判例の公開が極めて不十分な状況にあり、最終的に紛争時にどのように判断されるかは判然としないところがあります。 そのため、日本法でいうところの特別損害について責任の範囲から排除したい場合などは、これらの損害(特別、派生的、または間接的損害)を排除する旨を契約に明記しておくのがベトナムにおいても通常です。
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  • 2022.06.30
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労働変更状況の報告に関わる規定の補充(政令35/2022/NĐ-CP号)について
政令145/2020/NĐ-CP号第4条2項によれば、会社が労働変更状況の報告書を本社・支店・駐在員事務所を置く省レベルの労働局、区レベルの社会保険機関に提出する必要があります。 さらに、新しい政令35/2022/NĐ-CP号第73条1項によれば、工業団地、経済区において勤務する労働者がいる場合、会社が上記の局・機関に加え、工業団地管理委員会、経済区管理委員会にその報告書を提出することが必要になりました。 上記の規定は、2022年7月15日より有効となります。
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  • 2022.04.20
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2022年の最低賃金上昇の議論状況
今月12日、ベトナム政府の諮問機関、国家賃金評議会は、最低賃金を今年の7月からおよそ6%引き上げることに合意しました。正式な決定は、政令の発布を待つ必要がありますが、当該合意のとおり、最低賃金の引き上げが実施されれば1年半ぶりの最低賃金の改訂となります。 国家賃金評議会が合意した地域別最低賃金: 第1地域 468万VND 5.88%(上昇率) 第2地域 416万VND 6.12% 第3地域 363万VND 5.83% 第4地域 325万VND 5.86% ※政令90/2019/ND-CP号の付録によれば、ホーチミン市、ハノイ市、ハイフォン省、ビンズオン省やバリアブンタウ省などの日系企業が多く所在する地域は第1地域に含まれています。また、ダナン市やバクニン省等が第2地域に分類されます。最新の地域分けについては新しく発布される政令を確認する必要があるのでご注意ください。 最低賃金については労働法(法律:45/2019/QH14)に以下の規定が存在します。 第91 条 最低賃金額 1 最低賃金額とは、経済・社会の発展状況に応じた、労働者とその家族の最低限度の生活水準を保障するために、通常の労働条件の下で最も単純な業務を行う労働者に対し支給される、最も低い賃金額である。 2 最低賃金額は地域ごとに定められ、時給・月給で決定される。 3 最低賃金額は、労働者及びその家族の最低限度の生活水準、最低賃金額と市場の賃金額との相関、消費者物価指数、経済成長の速度、労働需給関係、雇用及び失業、労働能率、企業の支払能力に基づき調整される。 4 政府は、本条の詳細を定め、国家賃金評議会の勧告に基づき最低賃金額を決定し、公表する 上記の規定に従い、最低賃金は物価水準等に応じて第1から第4の地域ごとに規定されます。最低賃金の決定過程については、草案が国家賃金評議会により審議され、了承を得た草案が首相府に提出されます。そして首相の最終判断を経た後、政令の形式で発布されます。 労働法によれば、賃金とは以下のように定義されています。 第90 条 賃金 1. 賃金とは、業務を実施するために、合意に基づき、使用者が労働者に対して払う金員であり、業務又は職位に応じた賃金額、手当その他の補助からなる 法文の原文も確認すると賃金とは、基本給(mức lương)、手当(phụ cấp lương)、その他の支給金(các khoản bổ sung khác)の三つにより構成されていると理解できます。 政令90/2019/ND-CP号の規定をみると、最低賃金では、mức lươngという用語を使用しているので、手当金を除いた基本給が最低賃金として予定されていると理解できます。そのため、手当金等を除いた基本給が最低賃金額を下回ってはいけないことになりますので、この点注意が必要です。   国家賃金評議会からは2022年7月1日からの変更ということで提案されていますが、報道によえれば多数の労働者を擁する8つの協会は、最低賃金の引き上げ時期を「2022年7月1日」から「2023年1月1日」に延期するよう要請する内容の要望書を政府に提出しています。 今後、政令としてどのように正式に発表されるかどうか注目となります。 *最低賃金引き上げ、8協会が23年からに延期要請(Vietjo)
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  • 2021.12.10
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コロナ感染者とベトナムの社会保険給付について
2021年9月の後半から減少に転じていたベトナム全体におけるコロナの感染者は、10月の後半から再び増加傾向にあり、11月23日から12月8日現在まで1万人を超える感染者が連日報告されています。どんなに注意していても完全に感染を防止することは難しく、コロナの感染者であるF0となる方が会社に生じるのもやむを得ないといえます。 仮に、従業員がコロナの感染で自宅隔離または施設隔離を余儀なくされた場合の社会保険給付はどうなるのでしょうか。給与の一部を支給して従業員を援助しようと試みる会社等もあると思いますが、その場合の社会保険の給付がどうなるのでしょうか。本稿ではこの点について解説を行っていこうと思います。 傷病休暇を取得できるのは、㋐労災に当たらない病気または事項により休暇を取る者で、㋑指定の医療機関が発行する必要書類を取得した者などになります(通達59/2015/TT-BLDTBXH号(以下「通達59号」といいます)第3条)。 特殊な事情がない限りはコロナへの感染は労災に当たらない病気となりますので、上記の㋐の条件を満たすことになります。 ※傷病休暇については以前に別の記事にも記載しているので、必要に応じてそちらもご参照ください。 【ベトナムの傷病休暇と労働災害の概要について】 https://919vn.com/column/overview-of-vietnam-of-sick-leave-and-occupational-accident/ ① 施設隔離の場合 施設隔離の場合、通常は社会保険給付の申請に必要な証明書が発行されるので、こちらの書類を用いて社会保険給付を申請することになります。 ② 自宅隔離の場合 自宅での隔離の場合、社会保険給付を受けられるようにするには、通達56/2017/TT-BYT号に指定されているフォームに従って、指定の治療施設から証明書を取得する必要があります。当該証明書を取得しないと、社会保険給付を受けられない可能性があるので注意が必要です。 1)給与の場合 社会保険給付の制度は、社会保険基金に保険料を支払ったことに基づき、労働者が疾病場度を原因として休職をし、収入の喪失を余儀なくされた場合に、その喪失分を補完することを目的としたものです。したがって、給与の全部または一部の支給がなされている場合は、収入の喪失がないとして社会保険給付が否定される可能性があります。 そのため、社会保険給付を申請する労働者は原則として給与が支給されていないことが要件となると解します。 2)その他の名目の金銭給付の場合 給与ではなく見舞金などの名目で従業員に金銭を支給する場合(但し過度に高額なものなどについては給与の支給と同視される可能性があるので注意が必要です)、収入は喪失していると解されているので、社会保険の給付が認められると考えます。 そのため、コロナに感染した従業員が社会保険給付を受けながら、会社からなにがしかの金銭補償を行いたいと考える場合、給与は支給せず見舞金などの名目で金銭を支給する必要があると考えます。  
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  • 2021.10.25
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【2021年労働法】労働者を異動させる場合、何か法令上の制限がありますか。
会社は、原則として労働契約で定めた就労場所(部署)で、労働者を勤務させなければなりません。労働者を異動させるには、下記の要件を満たす必要があります(労働法第29条第1項)。 天災等の不可抗力事由または経営上の理由(詳しい条文の文言(訳文)は下記をご参照下さい)により、想定外の困難に直面し、労働者を労働契約で定めた就労場所(部署)と異なる就労場所(部署)に異動させる必要があること。 労働者から同意がない場合、異動の期間は年間で60営業日を超えないこと。 「使用者は、天災、火災、危険な疫病、労働災害・職業病を予防し回復する措置の適用、 電気若しくは水に関する事故により、又は生産上若しくは経営上の必要により、予想外 の困難に直面した場合、労働者を労働契約と異なる業務に一時的に異動させる権利を有する…」   会社は、労働者の同意を得た場合は、60営業日を超えて労働者を異動させることができます(労働法第29条第1項)。 会社は、異動の原因である“経営上の理由”については、想定される場合を就業規則に具体的に規定しなければなりません(労働法第29条第1項) 。⇐法改正に伴い追加された内容です。就業規則を変更しなければならない可能性があるので、留意してください。 異動を実施する際は、労働者に対し、少なくとも3営業日前までに通知し、一時的な異動期間を明確に伝える必要があります(労働法第29条第2項)。 異動に伴う給与変更は可能ですが、異動後最初の30営業日は元の給与額が保障され、その後の給与額も元の給与額の85%を下回ってはいけません(労働法第29条第3項)
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  • 2021.05.20
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【2021年労働法】妊娠中や、幼児を育児中の女性労働者については、労働法上特別な保護がされると聞きました。その保護の内容について教えて下さい。
①会社は、以下の女性労働者に対して、深夜労働、時間外労働、長距離出張をさせることはできません(労働法第137条第1項)。 •妊娠後7か月目以降の労働者、または高地、奥地、遠隔地、国境、島嶼に勤務する妊娠後6か月目以降の労働者 •12か月未満の子を養育中の労働者 ②危険な業務、または生殖能力や妊娠中の子の発育に悪影響を与える業務に従事している労働者は、会社に通知することにより、12か月未満の子の養育期間が終了するまで、賃金等は従前と同様のまま、より安全な業務に異動するか、一日の労働時間を一時間短縮するよう要求できます(労働法第137条第2項) 。 ③会社は、結婚、妊娠、産休、12か月未満の子の養育を理由として、当該労働者を解雇または一方的労働契約の終了を行うことはできません(労働法第137条第3項) 。 ④生理期間中は1日30分、12か月未満の子の養育中は1日60分の有給の休憩を取ることができます(労働法第137条第4項) 。 ⑤たとえ懲戒に該当する事由があっても、妊娠中、産休中、または12か月未満の労働者に対しては、懲戒処分を行うことができません(労働法第122条第4項d号)   労働者が妊娠中や産休中であっても、有期契約が満了する場合には、当該労働契約を終了させる(更新しない)ことができます。なお、労働法の改正に伴い、「女性労働者は、妊娠中又は12 か月未満の子を養育中に労働契約の期間が満了する場合、新しい労働契約を優先的に締結される。」との文言が新たに追加されましたが、これは、会社に当該労働者との契約更新の義務を課すものではありません。 上記④の生理休暇等を取ることを望まない女性労働者は、会社と合意することにより、当該休憩時間中も勤務し、その分の給与を受けることができます(例えば、1日分の給与+30分の給与)。この場合の、30分の給与については、当該勤務が時間外労働とみなされないため、通常の時間給を支払えば足ります(政令145号第80条第3項)。 生理中の女性労働者に30分の休憩を与えない場合、会社は、1000万~2000万VNDの範囲で罰金を課される可能性があります(政令28号第27条第1項b号)。その他前ページの①~⑤に記載する事項に違反した場合は、 2000万~4000万VNDの範囲で罰金を課される可能性があります(同条第2項)。
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  • 2021.02.13
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ベトナム新労働法(2021年)の細目を規定する新政令について(セクハラ、懲戒手続、試用期間)
目次1 はじめに2 セクシャルハラスメント1)セクシャルハラスメントの予防・対応2)セクシャルハラスメントに該当する行為3 懲戒処分の手順1)聴聞会の開催2)処分の実施1)退職手当等を算出するための雇用期間への参入2)試用期間における社会保険料の納付 ベトナムの新労働法45/2019/QH14(以下「新労働法」といいます)が2021年の1月1日から施行されており、新しい労働法の変更点等についても以前解説しました。 ベトナム労働法の重要な改正点(2021年施行)(期間限定公開中) また、2021年の2月1日からは、上記の新労働法の施行に伴い、その詳細を定めた新しい政令145/2020/ND-CP号(以下「政令145号」といいます)が施行されています。政令145号については、まだ施行されて間もないこともあり、その内容について記載されている方は多くないようです。そこで、本稿では当該政令145号の中から重要と思われる点についていくつか言及していきます。 新労働法の施行により、会社は就業規則に職場でのセクシャルハラスメントの防止策、セクシャルハラスメントがあった場合の処分等の手続きを定めなければならないとされており(新労働法118条)、新労働法はセクシャルハラスメントについてより厳しい対応を行うことを示しております。 そして、新労働法はセクシャルハラスメントについて「ある者の他の者に対する、本人の意に反する又は同意のない、性的な性質を有する言動」と定義されています。 (新労働法3条9項。訳は、JETROの下記の翻訳を参考に記載しておりますhttps://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/vn/business/pdf/45-2019-QH14-jp.pdf) 政令145号によれば、セクシャルハラスメントには身体的接触を始めとする行為によるもの、言動によるもの、のみならずボディランゲージや、電子機器などを利用してわいせつ物を提示しそれを見せる等間接的なわいせつ表現も該当するとされています(政令145号84条2項)。 労働者に規律違反があった場合、懲戒を行い適切な処分を下す必要があります。懲戒を行う場合には、以下の手続きを実施しなければならず、これらの手順を遵守せずに行われた懲戒処分は無効とされる可能性があります。 特に懲戒解雇を実施する場合には、後々当該手続きが無効とされると、遡って給与相当分の金銭を相手に支給し、また違法な解雇に伴う給付もしなければなりません。以下の手続きの内容を把握しておくことはとても重要だといえます。 懲戒処分を行う場合、聴聞会を開催して、労働規律違反についての聴取を行わなければなりません。 ① 聴聞の通知 聴聞会が実施される少なくとも5営業日前までに、懲戒の対象となっている労働者(以下「対象労働者」といいます)、対象労働者が労働組合の構成員である場合には労働組合、対象労働者に代理人がいる場合はその代理人(以下、これらの聴聞に参加する者を「参加人」と総称して呼ぶ場合があります)に対して、聴聞会の日時や場所、規律違反の内容等を通知しなければなりません(政令145号70条2項a号)。 ② 開催日時の変更 参加人のうちいずれかの者が参加できない場合、会社と対象労働者は聴聞の日時や場所等について変更の合意をすることができますが、合意に達することができない場合、会社は懲戒について最終判断を下すことができます(同項b号)。 会社は、上記の通知に記載されている、または変更の合意をした日時や場所で聴聞会を実施し、仮に参加人のいずれかの出席が確認できない場合であっても聴聞会を遂行することができます(同項c号)。 ③ 議事録の作成 聴聞会を実施した場合、議事録を作成しなければならず、聴聞会が終了するまでにその議事録に参加人の署名がなされなければなりません。参加人が署名を拒否する場合には、議事録の作成者は、拒否者の氏名と拒否の理由を議事録に記載することによって参加人の署名に代替します(同条3項)。 聴聞の終了後、懲戒の時効期間内(原則は、規律処分違反行為から6ヶ月以内ですが、会社の機密事項にかかわる規律違反行為は1年とされています(新労働法123条))に懲戒の内容を決定し、参加人にその内容を通知します(同条4項)。 政令148/2018/ND-CP号(以下「政令148号」といいます)により、試用期間は、退職手当および失業手当の金額を算出するための雇用期間には含まないこととされていました。 しかし、政令145号8条3項により、試用期間も退職手当および失業手当の金額を算出するための雇用期間に含まれることとなりました。 旧政令148号以前でも試用期間は退職手当の期間に含まれていたので、それと同様の規定に戻ったということになります。 試用期間については、労働契約ではなく試用契約を締結し、その後正式な労働契約を締結する方法が今まで一般的でした。 これは、労働契約を締結してしまうと社会保険料の納付が必要になってしまい、会社にメリットがないことが一つの理由でした。 しかし、上記の改正により、試用期間についても労働契約を締結し(この場合、労働契約の中に試用契約の規定を置くことになります)、社会保険料の納付を行うメリットがあることになります。すなわち、社会保険料の納付期間については、退職手当を算出するための雇用期間に含めないとされているため(労働契約46条2項)、会社はもし試用期間中も社会保険料の納付を行っていれば、試用期間中の雇用期間に相当する退職手当についても自らの負担で拠出しなくて良いことになります。 一般的には、試用期間の社会保険料の納付金額よりも、試用期間中の雇用期間に相当する退職手当の金額の方が大きくなるので、純粋に支出の大小だけでみれば試用期間中も社会保険料を納付した方が得となります。 試用期間について、より詳しい内容は以下を参照ください。: 2021年労働法での試用期間の内容について教えてください。