エコノミックニーズテスト（ENT）は、外資系企業がベトナムの小売市場に参入する際に適用される審査基準である。特に、外資企業がベトナム国内で2店舗目以降の小売店舗を開設する場合に必要とされ、出店予定地域の既存の小売店舗数、市場の安定性、人口密度などを基準に審査が行われる。2店舗目を開設する際には、ベトナムの管轄当局から小売店舗設置許認可を取得する必要がある。

ただし、商業マスタープランに基づいた商業施設内で、500平方メートル未満の店舗面積で2店舗目以降を出店する場合には、このENTの審査は不要である。そのため、外資系小売企業は、路面店よりも商業施設内への出店を選ぶケースが多い。これにより、商業施設内での出店は手続きが比較的容易である一方で、路面店に出店する際には厳しい審査を通過する必要がある。

また、ベトナムはCPTPP（包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定）の加盟国であり、CPTPP発効から5年後の2024年1月14日にENT規制の撤廃を約束している。ただし、実際にこの規制が撤廃されるかどうかは、国内法の制定および細則を待つ必要があるため、今後の動向に注目する必要がある。