ベトナム消防・救助法大改正:2025年7月施行の要点

ベトナム国会は2024年11月29日、第15期国会第8会期において「2024年消防および救助救難法」(法律番号55/2024/QH15)を可決しました​。この新法は、現行の2001年消防法(2001年6月29日付け法律第27/2001/QH10号。2013年改正法40/2013/QH13号および2023年改正法30/2023/QH15号を含む)を全面的に改廃するもので、2025年7月1日から施行される予定です。ただし、新法の一部規定については移行措置が設けられており、例えば消防情報を当局データベースへ自動通報する装置の設置義務等は2027年7月1日までの経過期間が認められています。以下、具体的に解説します。

1.背景

・立法背景と目的

本法は近年相次いだ大規模火災・事故への対応と、現行法制の不備を是正する目的で制定されました。
従来の消防法(2001年法)は住宅や複合用途建物に対する詳細な防火基準が乏しく、また救助救難(CNCH)活動については政府の下位法令に委ねられ法律上明文化されていない状況でした。2013年憲法では人命救助等で個人の権利を制限する行為は法律の根拠を要すると定められており、救助活動の法制化が急務となっていました。

さらに、2019年11月の国会決議第99号により防火法制とその執行強化が求められ​、その後もカラオケ店火災(2022年ビンズオン省で33名死亡)や違法増改築「ミニ集合住宅」火災(2023年ハノイ市で56名死亡)といった痛ましい事故が社会問題化しました。こうした背景から、本法は防火規制の網羅性と実効性を高めるため、住宅系建物や電気設備の防火要件の明確化、救助活動の法的根拠整備、罰則強化、および行政手続の合理化を図っています​。本法の制定により、国家公安省(公安省)が消防・救助に関する統一的管理責任を負い(従来どおり)、地方自治体や関係各機関との役割分担も明確化されることとなりました。

・関連法令

今後政府による政令(Nghị định)や公安省による通達(Thông tư)が制定・改正される見込みです。現時点(2025年4月)で、新法に対応した政省令は未施行ですが、既存の政令第136/2020/ND-CP号(旧消防法の細則)に対する改正として政令第50/2024/ND-CP号が2024年5月に公布され​、一部の防火設計審査手続等が修正されています。また、違反時の行政処分についても公安省が新法施行に合わせて大幅な罰金引上げ案を準備中で、例えば電気設備の不備に対する罰金額上限を現行の2~5倍に引き上げ、電気自動車の充電設備に防火策が無い場合に最大5千万ドン(約300万円)の罰金を科す新設規定案などが報じられています(※この罰則強化は草案段階であり、新政令として2025年7月の新法施行時に発効予定。

2.旧法との比較ポイント

2024年消防および救助救難法は全8章・55条からなり、消防(防火・消火)および救助救難に関する基本原則、禁止行為、予防措置、消火活動、救難活動、消防組織・機材、科学技術の活用、責任体制などを包括的に規定しています。以下、主要な改正ポイントと新規定について旧法との比較を中心に解説します。

以下の表に、本法が旧法(2001年消防法)から変更・追加した主なポイントをまとめます。

項目 旧法(2001年消防法) 新法(2024年消防・救助救難法)
適用範囲 火災の予防・消火に関する規定が中心。救助救難活動は法律上明記なし(政令で規定)​ 火災の予防・消火に加え、人命救助・救難活動も対象に追加し法典化(第IV章として明文化)​
禁止行為 火災の故意的な誘発等を禁止(旧法第13条)。 新たな禁止行為を追加:消防隊員への妨害・侮辱、消防業務の悪用、虚偽の救難通報、消火・救助機材の作動妨害、消防設計審査結果の改ざんなど​
住宅の防火安全 一般的な防火義務のみで、住宅を商業用途に供する場合の規定は不明確。 住宅および住居兼業用建物の防火要件を明確化:
・住宅は安全な電気設備や消火器具等を備えること等基本条件を規定​。
・住宅+店舗等の兼用住宅は標識の設置や居住区と営業区画の防火区画措置を追加で義務付け​。
・特にガスや可燃物を扱う営業を含む場合、火災警報器や換気設備、可燃性ガス漏洩検知器の設置および避難経路と営業区域の防火分離を要求​。
電気設備の安全管理 電気の使用に伴う防火について概括的規定のみ(旧法第24条)​ 具体的な安全義務を明記:個人・世帯が使用する電気設備は技術基準に適合したものであること、配線や機器を定期点検し不良品は速やかに交換すること等を明文化​。
消防・救助組織と権限 国家消防警察の任務や住民の協力義務等を規定。救助活動の指揮命令・資機材動員については詳細規定なし。 救助救難活動に関する詳細規定を新設:消防・救助隊の活動範囲、指揮者の権限、他機関や資機材の動員手続、救助計画の策定・訓練などを法律上に明記​。これにより救助活動の法的根拠と人権保障の両立を図る​。
特殊施設に対する規定 森林、防火地域(経済特区・工業団地等)、石油ガス類、超高層建築、地下街、市場・倉庫、港湾・駅など個別施設ごとに詳細規定が存在。 特殊類型毎の規定を削除:上記特殊施設に関する個別規定を撤廃​し、各分野で既に制定済みの技術基準(QCVN・TCVN等)による直接規制に委ねる​。これにより法律条文上は一般原則のみ定め、詳細要件は技術規範で管理。
科学技術の活用促進 (特段の規定なし) 科学技術・データ活用に関する新政策:消防・救助分野の研究開発や技術導入を奨励する基本方針を定め、当該活動に従事する組織・個人への優遇措置を講ずる旨を規定​。また消防・救助のデータベース構築も推進。

※上記以外にも、消防設備の設置義務や防火管理体制に関する細部の変更がありますが、主要な改正点に絞って記載しています。また旧法由来の基本原則(例えば「防火・消火・救助は国と団体・世帯・個人の共同責任」等​)は新法でも継承されています。

3.条文の趣旨と重要ポイント

上記の改正点を踏まえ、本法の重要な条文の趣旨をさらに解説します。

・禁止行為の追加(第14条)

新法第14条では、防火・消防・救助活動における禁止行為を列挙しており、旧法に無かったものとして「消防・救助任務中の公務員への侮辱・妨害」「消防・救助業務の権限乱用」「虚偽の救難要請」「消防・救助用車両や機材の通行・作動を妨げる行為」「消防設計の審査結果や検査結果の偽造」が明示的に禁止されました。違反すれば行政処分や刑事処罰の対象となる可能性があり、特に悪質な場合は刑法での処罰も検討されています(例えば故意に火災を発生させた場合などは従前どおり刑事責任を負います)。こうした禁止行為の明確化は、近年問題となった虚偽通報や検査不正への対処や、消防隊への妨害行為抑止を狙ったものです。

・住宅および複合用途住宅の防火要件(第20~21条)

新法は住宅に関する防火規定を充実させています。まず一般の住宅について、第20条で「安全な電気設備の設置・使用」「消火設備(消火器など)の備え」「火気の適切な管理」等の基本的条件を定めました。次に、居住兼用で事業に供される建物(複合用途住宅)については、第21条で追加要件を課しています。具体的には「住宅部分と商業・生産部分を防火区画で明確に分離すること」「適切な防火標識(禁止標識・避難案内等)の設置」​に加え、扱う業種によっては「火災報知器・排煙設備・可燃性ガス漏れ検知器の設置」など業態に応じた安全措置を講じることを義務付けています​。

例えばガス器具を用いる飲食店やガソリン等の危険物を扱う店舗を住宅に併設する場合、住居部分との間に防火壁を設け、ガス漏れ警報機を取り付けることが必要となります。このように住宅火災による大量死傷事故(前述の2023年ハノイ市の案件など)への対策として、住宅と営業用途の区画分離と設備安全が法定化されました。

・電気の安全な使用(第24条)

旧法では抽象的に触れられるに留まっていた電気設備の防火について、新法第24条では利用者の具体的責任が定められました​。居住者や事業者は、使用する配線・機器が国家の電気安全基準を満たすことを確保し、定期的な点検と不良箇所の修理・交換を行う義務があります​。また、トラッキング火災や過負荷による火災を防ぐため、ブレーカーやアースなど適切な保護装置の設置も求められています。新法により、電気が原因の火災(配線の劣化や違法改造コンセント等)防止策が強化され、違反時には前述のとおり高額な罰金が科される仕組みが導入される見通しです。

・救助・救難活動の法定化(第37~43条等)

本法の大きな特徴の一つが、救助救難(レスキュー)活動に関する規定を章立てで盛り込んだことです。
第4章において、消防救難隊の救助活動の範囲(日常生活で発生する一般的事故・災害までカバー)​、救助活動時の指揮官の権限(現場での人員・物資動員や立入制限など)、他機関・一般人を動員できる条件、定期的な救難訓練の実施義務等が細かく規定されています。これにより、救助活動を行う消防隊員が法の明確な権限に基づき行動できるようになり、救助に協力する市民側も自らの権利義務を把握しやすくなります。

特に人命救助のために個人の権利(例:私有財産への立ち入り等)を一時的に制約する必要がある場合の根拠が法律上整備された意義は大きく、2013年憲法の要請に応える形となっています。なお新法では、能力があるのに救助活動に協力しない個人に対する罰則規定も導入予定(行政処分の草案段階)であり​、今後は「見て見ぬふり」の抑止も図られます。

・特殊施設の規制手法変更

旧消防法で詳細に規定されていた特定分野(森林火災、ガス・石油の貯蔵取扱、高層建築、防火地域など)に関する条文は、新法では一旦削除されました​。これは、それぞれの分野について既に国家技術規範(Vietnamese Standards/Code – TCVNやQCVN)が整備されており、法律で個別に規定しなくても技術基準による直接規制が可能となったためです。

例えば建築物の防火設備については建設省の基準が、工場や危険物施設については産業安全基準が存在します。新法ではこれら技術基準に適合することを求める包括条項を置くことで、詳細は専門技術基準へ委ねています。そのため、実務上は各業界で適用される最新の基準(例えば消火設備設置基準: TCVN 3890:2023 等​)を遵守することが法律上の義務となります。特殊分野ごとの規定削除は法テキストを簡素化すると同時に、技術変化に柔軟に対応できる運用を可能にする狙いがあります。

・科学技術の活用促進(第52条)

本法は、防火・救助分野における科学技術の研究開発・導入を積極的に支援する国家方針を掲げました。
第52条で、消防・救難に関する技術革新に取り組む企業や研究者に対する優遇措置(補助金や税制上の優遇など)の根拠を定め、また消防・救助に関するデータベースの構築と情報システム整備についても触れられています​。

これにより、IoT技術を活用した火災検知システムや、防火資材の開発、避難シミュレーションの高度化など、新技術の社会実装が促されることが期待されます。実際、先述の火災通報システムの中央データベース連動(2027年までに設置義務化)もこの一環であり、都市部の住宅密集地など消防車が入りにくい地域での早期探知・出動に役立てる計画です。

4.実務への影響・注意点

新法の施行により、企業や施設管理者に求められる防火・防災対策も強化されます。以下では、業種別に実務上の影響と留意点を解説します。

・飲食業界への影響

飲食店、とりわけ住宅やテナントビルの一部を店舗として営業する形態(屋台・カフェ・バー・カラオケ店等)は、本法による防火基準強化の直接的な影響を受けます。新法第21条の規定により、店舗が住宅と併設されている場合には防火区画の設置と避難経路の明確化が義務付けられました​。

たとえば、店舗部分が1階、居住スペースが2階以上にあるような場合には、階段や通路を耐火構造で区切り、万一1階で火災が発生しても上階住人が避難できる構造にする必要があります。また店舗内には「禁煙」「火気厳禁」等の標識掲示や非常口誘導灯の設置が求められます。特にガスコンロやボンベを使用する飲食店では、ガス漏れ警報器や換気設備を設置し、ガスボンベ置場を居住スペースから防火壁で仕切ることが必要となります​。これらは従来技術基準レベルでの要求事項でしたが、新法により法律上の義務として明確化されたことで、遵守しない場合の罰則適用も厳格化される見込みです。

さらに、バーやクラブ、カラオケ施設など夜間営業の娯楽施設については、過去の火災事故を踏まえ当局が一層厳しい監督姿勢を示しています。非常口の確保、定員超過の禁止、難燃内装材の使用などは当然ながら、消防当局による抜き打ち検査も増えると予想されます。飲食業界では、従業員への消防訓練(初期消火や避難誘導)も含めた包括的な防火管理体制を再点検する必要があります。特にガス・油を扱う厨房火災への備えとして、適切な消火器やキッチン用消火システムの設置、ブレーカー落としやガス遮断の手順整備などを徹底すべきです。新法の理念でもある「防火は家庭と事業者全ての責任」の下​、飲食店オーナーは自店のみならず周囲への火災波及も防ぐ社会的責任を負うことを自覚することが肝要です。

・不動産業界(ホテル・商業施設・住宅)への影響

ホテルや商業施設、マンションなど不動産業界に属する建築物にも、新法はさまざまな影響を与えます。

まずホテル・商業施設については、不特定多数が利用する大規模建物であるため従来から厳格な消防基準が適用されていますが、新法により防火設計審査や完工検査がより一貫した法的枠組みで運用されることになります。
例えば、新法施行に伴う政令で防火設計審査手続が簡素化・電子化される見通しがあり​、適法な設計・施工を証明するプロセスが明確化されるでしょう。一方で、竣工後の定期検査・査察はこれまで以上に強化され、スプリンクラーや非常電源の維持管理状況、不燃ごみ置場の防火措置など細部にわたりチェックが入ると考えられます。違反が見つかれば是正命令だけでなく高額な罰金(法人は最大10億ドン=約600万円)​や営業停止処分もあり得るため、施設管理者は法令遵守に万全を期す必要があります。

住宅不動産の分野では、デベロッパーや管理組合に対し居住者の安全確保を徹底する責務が生じます。
高層マンション等では既に法令で非常用設備の設置義務がありますが、新法のもと中央消防データベースへの火災警報自動通報システムの導入が順次進められる可能性があります​。これは、建物の火災感知器やスプリンクラーが作動した際に消防当局へ即時に通報される仕組みで、火災発生から出動までの時間短縮につながるものです。特にホーチミン市やハノイ市など大都市の密集住宅地区で優先的に導入が図られると報じられており​、該当地域のマンション開発業者・オーナーは設備更新計画に織り込む必要があります。

また、新法により各戸の電気設備管理も強調されているため、マンション管理側は居住者に対し定期的な配線点検やエアコン等の適切なメンテナンスを啓発することが望まれます。万一居住者が故意または重大な過失で電気火災を起こした場合でも、管理者として予防策を講じていなければ連帯責任を問われるリスクも考えられます(保険会社からの求償など)。加えて、本法施行後は火災事故に対する損害保険加入の重要性も増すでしょう。法令上は強制保険制度はありませんが、防火基準を満たすことが保険契約上も有利に働くため、デベロッパーは建物の安全投資とリスク移転をセットで検討すべきです。

・工場・建設業界への影響

製造業の工場および建設プロジェクトにも、新法は直接・間接の影響を及ぼします。
まず工場等の生産拠点は、旧法下でも消防当局による設計審査・検査・許可が必要でしたが、新法で特殊分野の条文が削除されたことにより、今後は最新の消防技術基準に適合することが求められます。例えば2023年改訂の国家標準TCVN 3890(建築物の消火設備配置基準)やTCVN 5738(自動火災報知システム基準)等が順守されていれば、新法にも適合しているとみなされる形です。ただし注意すべきは、技術基準の改定動向に常に目を配る必要がある点です。法律そのものに細目が書かれていない分、基準改定によって要求水準が引き上げられる可能性があります。工場の環境・安全担当者や建設会社の設計者は、消防当局や専門機関から最新情報を収集し、自社設備をアップデートしていく体制を整えましょう。

建設業界にとっては、建築許可・設計段階での消防確認手続に変更が生じる可能性があります。現在でも一定規模以上の建築物は公安省消防局による設計図面の消防審査(「消防設計検査証明書」の取得)が必須ですが、新法対応の政令でこのプロセスが見直される予定です。行政手続の簡素化が謳われており​、建築許可申請と消防同時審査のワンストップ化や電子申請の導入などが検討されています。
同時に、責任の明確化も進むとみられ、設計者・施工者は自身の提出資料に虚偽や重大な欠陥が無いことを誓約させられる仕組みになるかもしれません。仮に消防審査を通さず着工したり不適切な材料を使った場合は、発覚時に厳罰(工事停止や罰金)を招くだけでなく、刑事責任(例えば職務上過失による火災事故として)に発展するリスクもあります。

工場運営においても、新法は事業者の自主防災体制を強調しています。
一定規模以上の工場では自衛消防隊の設置や定期的な避難訓練の実施が求められ(旧法からの継続規定)、有事の際には近隣企業や地元消防隊との連携計画も策定しておく必要があります。新法では、必要に応じて事業者の人員・機材を公的救助活動に動員できる旨も規定されているため、地域社会の一員として協力体制を築いておくことが重要です。例えば大規模災害時に企業の重機や貯水槽を消防当局が利用できるよう協定を結ぶなどの取り組みが推奨されます。

最後に、工場・建設分野で近年注目すべきは電気自動車(EV)やリチウム電池に関わる防火対策です。
新法自体は個別言及していませんが、関連する罰則政令の草案で「屋内のEV充電施設に防火策を講じない行為」に対する罰金が新設されました​。これはEVバスやフォークリフト等を導入する工場や、機械設備にリチウム電池を用いる現場にも当てはまるリスクです。充電エリアの消火設備(自動消火装置や煙感知器の増設など)や、火災時に有毒ガスを排出するための換気計画をあらかじめ講じておく必要があります。建設業者も、駐車場や倉庫におけるEV対応設備の設計を今後は消防基準に織り込むことが求められるでしょう。

まとめ

2024年消防および救助救難法は、ベトナムにおける防火・防災法制の大幅な強化・拡充策として位置付けられます。本法の施行により、住宅から高層ビル、工場まであらゆる建物・活動に統一的な消防・救助ルールが適用され、従来グレーゾーンだった救助活動も明確な法的根拠を得ることになります。業界関係者にとっては、新法の趣旨を正しく理解し、関連する政令・通達など細則の整備状況にも注視することが重要です。

施行日である2025年7月1日まで残りわずかとなっており、それまでに各企業・施設は自主点検や必要な設備投資、社員教育を実施して備える必要があります。特に本法で新たに導入された要件(住宅兼業物件の区画措置や電気設備管理の強化、火災通報システムの導入計画など)は、自社に該当するかを早急に洗い出し、移行期間中に計画的に対応することが求められます​。実務上は下位法令の状況や実務運用次第で大きく変わる可能性もあり、アンテナを張りつつ必要な対応をできるように検討していくことが必要となるでしょう。

なお、移行期間については経過措置が定められていますので、以下の付録をご確認ください。

【付録】移行期間(経過措置)について

区分 内容 根拠
火災自動通報装置の中央DB接続 住宅・高層ビル等に設置を義務付けられた自動通報装置は 2027 年 7 月 1 日まで に整備完了すれば可。 第54条4項
申請中の手続(設計審査・検査等) 施行日前までに受理済みの消防関係手続は、旧消防法(27/2001/QH10)の規定で継続処理。 第55条1項
設計審査済み・未竣工プロジェクト 既に消防設計審査(thẩm duyệt)証明を取得済みで、竣工検査前の案件は 旧法の基準 で完了可能。 第55条2項
既発行の消防訓練資格証 施行日前に発行された証は、記載の有効期限まで引続き有効。 第55条3項
機材の検定機関 既存の検定機関は、政府が別途定める期限まで現行業務を継続可。 第55条4項
旧法以前に供用開始し、かつ基準未達の施設(2類型) (a) 既に省人民評議会が是正計画を決議済みの施設は、その決議に従い対策を完了。(b) 技術基準上どうしても是正困難な施設は、  • 省人民委員会がリスト化・公表し是正指針を策定  • 建設主管省+公安省が技術的代替措置をガイドライン化  • 事業者は代替措置を選択・実施、又は用途転換  • 具体的スケジュールは政府政令で別途設定予定 第55条5〜6項
既に停止処分中の施設等 停止・休業措置が施行日前に発令済みの場合、その処分手続は旧法で継続。 第55条7項

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

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