CastGlobal Law Vietnam
(CAST)についてABOUT US
私たちは、2013年にベトナムに設立した日本人弁護士とベトナム人弁護士の所属する日系の弁護士事務所です。ハノイ市とホーチミン市に拠点を有しています。
ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
CASTの特徴FEATURES
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ビジネスの現状・ベトナムのスピード感に合わせたスピーディーかつ柔軟な対応
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タイムチャージに基づかないリーズナブルで相談しやすい顧問契約の設定
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ベトナムのM&A、不動産、企業運営に関わる法務、知財戦略などの専門分野の支援実績
活用例
- 現地の担当弁護士にチャット・メールでいつでも気軽に相談できる環境。
- 自社の担当・駐在員が変わっても、過去の経緯から把握してアドバイスしてもらうことが可能。
- 会社の総務・法務スタッフとも普段からやりとりし、社内のコンプライアンス体制・意識向上にも。
導入事例CASES
ニュースNEWS
- コラム
- 2025.03.27
- CastGlobal
ベトナムの2024年4月30日・5月1日の連休について(南部解放(戦勝)記念日と国際メーデー)
ベトナム労働法第112 条により、 南部解放(戦勝)記念日(Ngày Chiến thắng):4 月30 日と、国際メーデー(Ngày Quốc tế lao động:):5 月1 日は祝日となっています。
通常であれば、その直後の5月2日(金)は平日となり休みにはなりません。しかしベトナム政府は、官公庁の職員がこの期間に5連休を取得できるよう特別措置を講じることを決定しました。具体的には、2025年5月2日(金)を休日とする代わりに、直前の4月26日(土)を振替出勤日とすることにより、4月30日から5月4日までを連休とする方針です今回は4月26日が業務日となって、代わりに5月2日が休暇となり、土日も合わせれば5月5日までの5連休になる会社が多くなります。
4月30日(水): 南部解放記念日
5月1日(木): メーデー
5月2日(金): 振替休日(4月26日の労働日の振替)
4月26日(土)
4月27日(日)
4月28日(月)
4月29日(火)
4月30日(水)
5月1日(木)
5月2日(金)
5月4日(土)
通常の土曜日
労働日とする提案
通常の日曜日
平日
平日
南部開放記念日
国際メーデー
振替休日
会社により週休日
上記のように、土日と連休との間に5月2日の平日が挟まっているため、5月2日(月)を振替休日とし、5連休とすることが政府方針です(4月26日の分は別途振替出勤日とする)。
しかし、これはあくまで公務員向けのものであり、民間企業は各社の判断になるのが現状です。
- コラム
- 2025.03.20
- CastGlobal
ベトナム、「一時在留許可カード購入制度」検討とビザ制度見直しの詳細
ベトナム政府は、外国人の長期滞在を促進するためにビザ制度全般の見直しを行い、その一環として「一時在留許可カード(暫定的な居住証)を購入できる制度」の導入を検討しています。2025年3月15日、ファム・ミン・チン首相は関連省庁に対し、この新制度の具体的なメカニズム構築に向けた調査・研究を指示しました。以下では、現時点で公表されている内容と、ビザ緩和・在留制度改革の動きについて整理します。
ベトナム政府は、コロナ後の国際観光・投資回復基調を捉えながら、2025年以降の経済成長目標を維持すべく、外国人の入国・滞在をより円滑にする政策を進めています。従来から掲げる方針は「社会経済の発展に寄与する外国人の積極的な受け入れ」です。今回の取り組みも、この方針の延長線上に位置づけられます。
ファム・ミン・チン首相が「一時在留許可カード購入制度」の研究指示
対象分野:観光客、専門家、富裕層、科学者、芸術家、トップアスリートなど特定グループ別にビザ・在留要件を総点検
ベトナムでは既に投資額に応じて最長10年の在留許可が得られる投資ビザ制度がありますが、今回の「購入制度」はそれを補完・拡張する選択肢となり得ます。政府は、特に富裕層や高度人材を呼び込む「ゴールデンビザ」的な施策にも触れており、さらなる開放策に意欲を示しています。
2025年3月、滞在可能期間が15日から45日に延長されているビザ免除措置について、日本を含む12か国を対象に3年間の延長を行いました。期間は2025年3月15日から2028年3月14日までの3年間有効です。
過去の政府決議(2022年・2023年)で設定された免除要件は2025年3月15日をもって失効しましたが、これまでと同様の内容を延長するものとなっています。
ベトナム政府、ビザ免除措置を更新|2025年〜2028年の新ルールと注意点まとめ
eビザの申請から発給までのオンラインプロセスが見直され、処理速度・UIが向上する見込みです。観光客やビジネス渡航者が自国から簡便にビザを取得できるよう、政府がシステムのアップグレードを進めています。
ITやハイテク産業などの優先分野に従事する外国人を対象に、就労許可証の発給要件緩和や一部免除が提案されています。
本制度については首相の研究指示が出たばかりで、具体的な仕組みは今後検討される段階です。法改正や新政令の制定が必要と見込まれており、制度設計には時間を要する可能性があります。
想定される内容としては、資金拠出(投資)によって長期滞在資格を得る、いわゆる「ゴールデンビザ」型の制度になる可能性が高いとされています。既存の投資ビザ制度と併せて、より柔軟に在留権を取得できる選択肢が追加される見込みです。
犯罪歴のチェック、資金の出所確認などの規定は厳格化されると考えられます。安全保障や公共秩序に関わるリスクを回避するため、政府は要件や審査プロセスを慎重に定める見通しです。
今回の制度見直しは、コロナ後の経済回復を後押しし、観光業界や外国投資誘致に一定のプラス効果をもたらすと予測されます。一方で、外国人流入増加に伴う治安・インフラへの負荷、住宅価格上昇などの懸念にも対応が必要です。ここでは、制度が確定していない状況でもあるため、主なポイントのみ記載します。
ビザ免除枠の拡大により、短期渡航が増加する可能性。
「在留許可カード購入制度」によって富裕層や高度人材が長期滞在しやすくなる余地。
日本人のビザなし滞在期間が45日へ延長されていることにより、短期出張の手続きが簡素化。
新たな在留資格取得ルートの整備により、駐在員の派遣や専門家の招聘が柔軟化する可能性。
在留資格を「購入」できる制度には、不正利用や治安面の懸念が付きまとうため、厳格な審査が想定される。
観光ビザや免除措置の拡大に伴い、目的外活動(不法就労など)の取り締まりも強化される公算。
企業・個人ともに、引き続き就労許可や在留資格の範囲内で活動することが求められる。
2025年3月中にも関係省庁が検討結果をまとめるとされており、その後、法改正や政省令の整備が進む見通しです。
観光・サービス業界はビザ緩和策を歓迎する一方、治安・インフラ面の懸念から制度導入にはバランスある運用が求められます。タイ・インドネシアなど周辺国でも同様の長期滞在ビザ(デジタルノマドビザ等)が活発に導入されており、ベトナムも競争力強化の一環として制度設計を加速させる可能性があります。
上記はまだ検討中のものが多く、実際どの程度の制度になるかは不明ですが、日本からの投資家にも影響が大きくなる可能性は高く、今後の動きを注視したいと思います。
- コラム
- 2025.03.19
- CastGlobal
ベトナムにおける民事執行手続の概要と実務上の留意点
ベトナムでは、民事裁判の判決や決定を実際に実現するための民事執行制度が整備されています。日本企業を含む外国企業としては、訴訟や仲裁で勝訴判決を得るだけでなく、その後にしっかりと債権回収・履行確保ができるかどうかが最終的なポイントです。本コラムでは、ベトナムの民事執行手続について、金銭債権の強制執行や不動産・動産の引渡し執行を中心に、法的枠組みや実務上の留意点、外国企業に特有の課題・対策などを幅広く解説いたします。
ベトナムの民事執行制度は、民事判決執行法(2008年法律第26号)に基づいて定められています。
執行機関は司法省(日本でいう法務省に相当)の指揮下にあり、全国の省(地方)および郡(県)レベルに“民事判決執行機関”が置かれています。
これらの機関に所属する執行官(Chấp hành viên)が、具体的な執行手続(差押えや競売など)を担当します。
ベトナムでは判決の執行が行政手続と位置づけられており、裁判所は執行に直接は関与しません。もっとも、執行官の行為に不服がある場合には裁判所が審査を行うなど、一部司法的な関与も残されています。
ベトナムの民事判決執行法では、まずは債務者に任意の履行を促すのが基本姿勢(民事判決執行法第9条1項)とされています。
債務者が期限内に支払いや引渡しを行わない場合、執行官が強制執行手続に移行して財産調査や差押えに着手します。
判決が確定し、金銭債権(支払命令)を勝ち取った債権者は、判決確定日から5年以内に執行申立てを行わなければなりません。
執行申立先は、原則として判決を出した裁判所の所在地に対応する民事判決執行機関です。
申立書には当事者情報や執行を求める内容を記載し、執行文付きの判決書など必要書類を添付する必要があります。
執行機関が申立てを受理すると、通常5営業日以内に「判決執行決定」が発出され、債務者に10日前後の任意履行期間が与えられます。
任意履行期限の経過後
任意期限を過ぎても債務者が支払わない場合、執行官は10日以内に強制執行手続へ移行します。
財産調査
執行官は債務者の財産や口座、収入などを調査し、差押えの可否や優先順位を判断します。
差押え・評価・競売
預金口座であれば口座凍結、動産・不動産ならば差押えの上で専門機関の評価や競売を実施します。
売得金の配当・弁済
競売などで得た代金を債権者へ配当し、残金があれば債務者に返還する流れです。
執行官には強制執行を進めるための広範な権限が与えられており、必要に応じて警察(公安)の協力を得ることも可能です。
判決で不動産の明け渡しや動産の返還が命じられた場合も、民事執行機関が手続を担当します。
執行官が現地に赴き、占有者(債務者)に退去を命じます。
債務者が応じない場合は警察の立会いのもと強制的に排除し、不動産を勝訴当事者に引き渡します。
ただし、高齢者・子どもが居住している場合などは社会的配慮が必要となり、実務上は時間がかかることも多いです。
差押え・接収を行い、動産を債権者へ引渡します。
債務者が故意に物を隠したり破損させたりする恐れがあるときは、仮差押えなどの保全措置を活用することが有効です。
すでに物が滅失している場合は、同種の代替物や損害賠償に切り替えることも検討されます。
執行申立ての管轄は、基本的に原審裁判所と同じ地域の執行機関です。
主な必要書類は以下のとおりです。
・判決書(執行文付き)
・申立書
・代理権証書(代理人が申立てを行う場合)
・その他関連資料(公証書や和解調書など)
要件を満たさない場合は5営業日以内に却下となる可能性があります。適法に受理されれば執行決定が出され、正式な手続が開始されます。
ベトナム法では、判決で敗訴した債務者に対し財産状況を誠実に申告する義務を課しています。
執行官は債務者の事業所や自宅を検査し、銀行や土地使用権登録所、社会保険機関などにも照会を行い、財産の所在や名義を突き止めます。
債権者側が債務者資産に関する情報を集め、執行官に提供することも可能です。
実務では、こうした情報提供が執行官の調査を補強することで、回収の迅速化に役立ちます。
債務者に財産が見当たらない場合でも、法律上、半年おきに再調査が行われる仕組みがあります。
ただし、まったく資産がなければ回収は困難で、債権者が事実上「泣き寝入り」せざるを得ないケースもあります。
執行官は裁判所とは独立した行政官であり、判決の具体的な実現を担う重要な存在です。
主な権限
・差押えや競売など各種決定の発出
・当事者・関係者の呼出しや事情聴取
・不動産・動産への立ち入りや接収を含む強制措置
・警察への協力要請や抵抗妨害への対処
・公正中立な執行義務(違反すれば懲戒・刑事責任の追及もあり)
ベトナムでは毎年執行件数が増加しており、「執行可能」と判断された案件の8割前後が完了しているとの統計もあります。
ただし、金額ベースの回収率は約半数程度にとどまり、大型の不良債権などは執行不能案件として残りやすい実情があります。
ホーチミン市など大都市は複雑な事案が多く、執行官1人あたり400~500件を抱えることもあるため、業務負担が大きく遅延要因となっています。
執行長期化・遅延
差押え・競売手続が長期にわたり、数年後にようやく回収が完了することも珍しくありません。
債務者の抵抗・財産隠し
預金を引き出して親族名義に移す、不動産に居座るなど、悪質な手段で執行を免れようとする事例が後を絶ちません。
手続濫用
債務者が苦情申立てを乱発し、執行を意図的に引き延ばすケースがあります。
執行機関の課題
執行官の過重労働や手続ミス、汚職リスクなど。現在は監察強化による改善が進んでいます。
無資力・夜逃げ
債務者にまったく資産がなく所在不明の場合、実質的に回収不能となります。
外国判決の直接執行は原則不可
ベトナムは日本を含む多くの国と民事判決相互執行条約を締結していないため、日本の裁判所判決などはそのままベトナムで強制執行できません。
1958年ニューヨーク条約に基づく外国仲裁判断ならば、ベトナム裁判所の承認・執行許可を得て国内で執行する道があります。
言語・手続面のハードル
ベトナム語への翻訳、公証・認証など事務負担が大きく、コストもかかります。
現地代理人(弁護士)の起用
法律実務や関係当局との調整において、現地弁護士が不可欠です。
契約段階からのリスクヘッジ
・ベトナムで執行可能な裁判・仲裁管轄を定める
・動産担保や保証人の設定
・前払い条件や厳格な遅延損害金条項
・これらを活用し、将来の回収リスクを下げることが重要です。
ベトナムでは判決を得ても、実際の強制執行がスムーズに進むとは限りません。執行官のリソース不足や債務者の抵抗などが現実の課題です。
相互執行条約がない国の判決はそのまま執行不可となるため、ベトナム国内の裁判所または国際仲裁を利用できるよう契約段階から工夫が必要です。
競売物件がなかなか売れない、債務者が逃亡するなどのリスクがあります。とくに不動産の強制立ち退きは地域的事情で時間を要する場合が多いです。
債務者が判決前後に財産を隠すリスクを避けるため、訴訟中に仮差押えなどの保全を検討し、または契約段階で抵当権を設定しておくと、強制執行が容易になります。
手続全般がベトナム語で進むうえ、各地方の運用差も大きいため、経験豊富なローカル弁護士との連携が不可欠です。
債務者資産の独自調査や関係機関との折衝など、専門家のネットワークを活かすことで執行成功率を高められます。
債務者が無資力であれば回収は困難です。契約先の信用調査や与信管理を徹底し、早めの債権保全を行うことが重要です。
ベトナムの民事執行制度は整備が進み、執行官が行政官として強い権限をもつという特徴があります。一方で、執行の長期化や債務者の抵抗など、実務的にはスムーズにいかない場面も多々あります。特に外国企業は、判決承認や翻訳・公証手続、言語面のハードルを踏まえ、早い段階から専門家と連携しながら対応を進めることが肝要です。
ベトナムでの債権回収を成功させるには、契約時のリスクヘッジ、執行可能な紛争解決条項の設定、そして実際に執行が必要になった際の迅速な対応と粘り強い追及が不可欠です。最終的には「判決を取って終わり」ではなく、「実際に資金や物を回収・引渡しを得てこそ真の勝利」といえます。ぜひ本稿のポイントを踏まえ、ベトナムビジネスの安定的な取引・リスク管理にお役立てください。
- コラム
- 2025.03.11
- CastGlobal
ベトナム政府、ビザ免除措置を更新|2025年〜2028年の新ルールと注意点まとめ
ベトナム政府は2025年3月7日付で発行した決議第44号/NQ-CPにより、一部の外国人に対するビザ免除措置を延長・改訂しました。
これにより、従来のビザ免除措置(決議第32号/NQ-CPおよび第128号/NQ-CP)に代わる形で、2025年3月15日から2028年3月14日までの3年間、新しい制度が適用されます。本コラムでは、この新たなビザ免除の内容や背景、従来制度との違いなどを整理し、わかりやすく解説します。
今回の決議第44号では、下記の12か国がビザ免除対象となりました(2028年3月14日までの期間)。
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
イギリス(英国および北アイルランド)
ロシア
日本
韓国(大韓民国)
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
フィンランド
従来リストに含まれていたベラルーシが今回外れたため、13か国から12か国に減少した点です。
2023年8月15日に施行された改正出入国管理法に基づき、ビザ無しでの最大滞在期間は15日間から45日間に延長されています。決議第44号でも、この最長45日間の滞在が引き続き適用され、観光や短期出張などの目的であればビザ手続きなしで渡航が可能です。
適用開始日:2025年3月15日
適用終了日:2028年3月14日
この3年間の時限措置として運用されます。旧決議(第32号・第128号)に基づくビザ免除措置は2025年3月14日で失効し、翌日(3月15日)から本決議が有効となります。
パスポートの種類や入国目的を問わず一律でビザ免除
ただし入国時点で有効なパスポートを所持していること
往復航空券(または第三国行きの航空券)の保有
出入国管理上の問題がないこと
こうした従来から定められていた基本要件は、新決議でも踏襲されています。45日を超えて滞在したい場合や、就労など別の在留資格が必要な場合には、ビザ延長または在留資格変更手続きを行う必要があります。
ベトナム政府は2022年3月の決議第32号/NQ-CPで主に日本や欧州主要国を対象に一方的ビザ免除措置を実施し、当初は15日間までの滞在を認めていました。適用期限を2025年3月14日までとしていたところ、2023年8月の決議第128号/NQ-CPで滞在可能日数を45日間に延長するなどの修正が行われました。
旧リストには含まれていたベラルーシが、新たな決議44号では除外されています。そのため、対象国数は13→12に変更され、ベラルーシ国籍者はビザ免除を利用できなくなりました。ベトナム政府から公式な理由説明はなく、今後の追加措置については未定です。
今回の決議44号とは別枠で、2025年3月1日から同年末までの限定期間、ポーランド・チェコ・スイス国民に対して観光目的のビザ免除が試行導入されます。旅行社を通じたツアー参加者向けの特例措置とされ、ベトナム政府の観光振興策の一環です。成功すれば、ほかの欧州諸国へ拡大する可能性もあると報じられています。
45日以上の滞在・就労には別途ビザが必要
長期滞在(45日を超える観光・商用・留学など)や就労を伴う場合は、従来通り労働許可証や在留資格(ビザ)の取得が必須です。
パスポート残存有効期間
一般的に、ベトナム入国時にはパスポート残存期間が6か月以上あることが望ましいとされています。具体的な要件は実務上変わる可能性があるため、渡航前に最新情報を確認する必要があります。
電子ビザの活用
ビザ免除対象外の国籍や45日を超える滞在を予定している方は、ベトナム政府が発行する電子ビザ(E-visa)を検討できます。最近の法改正により、電子ビザの有効期間延長(最長90日)や対象国の拡大が進められています。
旧決議との整合性
2025年3月14日までは旧決議(32号・128号)が継続し、3月15日付で新決議44号が発効します。途中期間で制度が切り替わるため、渡航予定日が2025年3月15日前後にかかる方は特に注意が必要です。
ベトナム政府は公式声明で、「経済・観光振興の観点から、ビザ免除の対象国や期間を必要に応じて延長・拡大する可能性がある」旨を示しています。また、欧州連合(EU)諸国からは「EU加盟国すべてへのビザ免除」を求める声が高まっており、ベトナム側でも観光収入増や投資促進の狙いから、さらなる国・地域の追加を検討する余地があるとみられます。
一方で、国際情勢や各国との外交関係によっては、今回のように対象リストが変更されるリスクも否定できません。常にベトナム政府の公式発表や在外公館の情報を確認し、最新の入国要件を把握することが大切です。
決議第44号/NQ-CP(2025年3月7日付)により、従来のビザ免除措置は2025年3月15日に切り替えられ、対象は計12か国、最長45日間の滞在が2028年3月14日まで認められます。ベラルーシが除外された一方、新たにポーランド・チェコ・スイスへ限定的な試行免除が導入されるなど、一部変化が生じています。
45日を超える滞在や就労目的の場合は別途ビザが必要であり、旧制度と同様にパスポート残存有効期間などの基本的要件も維持されています。
ビザ免除措置はベトナム側の「一方的措置」であるため、今後の外交方針や国内事情に応じて変更が加えられる可能性があります。渡航計画を立てる際は、必ず最新の政府公報や大使館・総領事館のウェブサイトを確認することが重要です。
ベトナム、「一時在留許可カード購入制度」検討とビザ制度見直しの詳細
- コラム
- 2025.03.10
- CastGlobal
ベトナム・ホーチミン市、マンション民泊を禁止―2025年開始の規制内容について
ホーチミン市において、2025年2月27日に26/2025/QĐ-UBNDが公布され、これまで明確になっていなかったAirbnbなどの民泊を明文で規制し、具体的な条件などが規定されました。不動産所有者にとっては大きい影響があるため、本コラムではこれまでの規制の背景や規制の具体的内容などについての詳細をまとめます。今後はその他の市や省への影響も懸念されます。
ホーチミン市ではここ数年、Airbnbなどの短期宿泊賃貸サービスが拡大し、マンション(集合住宅)での民泊利用が急増してきました。報道によれば、あるマンションでは居住戸数の60%が短期賃貸に転用されていたとの報告もあります。4区の「Masteri Millennium」では1か月の宿泊客が約1300人に達し、その約8割が外国人旅行者だったというデータも示されています。
このように「事実上のホテル」としてマンションを活用する動きは、エレベーターや共有設備の混雑、騒音や治安リスクなど、常住住民との摩擦を生みました。例えば人気マンションではエレベーター待ち時間が3〜5分から10〜15分に延びたケースもあり、住民が生活に支障を来す事態が発生。さらに、薬物使用など違法行為への懸念も高まり、マンション管理組合や地元当局へ「規制強化」を求める声が続出しました。
社会的には住居としてのマンションの安全・秩序維持が重要視され、経済面ではホテル業界との公平性や課税逃れ問題が指摘されてきました。実際に不動産業界団体などからは「民泊を行うなら事業登録と納税を義務付けるべきだ」という声があり、これらが重なった結果、ホーチミン市当局の規制強化に至ったとみられます。2025年3月には同市人民委員会がマンション使用規定を改正し、住宅用マンションでの短期宿泊営業を明確に禁止する旨を公布しました。
ベトナムではもともと2014年住宅法第6条第11項に「集合住宅を居住目的以外に使用する行為」が明確に禁止されており、マンションをオフィスやホテルのように転用することは原則違法とされていました。ただし長らく有名無実化し、民泊に対する明確なガイダンスがなかったため、Airbnbなどは事実上容認されていた状況です。
しかし2023年に国会で可決された新住宅法(法律番号27/2023/QH15)において、2024年8月1日から施行される改正規定でも「居住目的以外での集合住宅の使用」や「関連法令に反する宿泊賃貸」が禁止行為として再確認されました。短期宿泊向けにマンションを転用することは「非居住目的の使用」とみなされる可能性が高く、違法性を問われる余地があります。
もっとも、「民泊」を名指しで禁止する条項は現時点で存在せず、「数日貸し」が即違法と断定できるかは解釈の争いが残っています。住宅法や関連法令に抵触しない範囲での住宅賃貸は認められるとの見方もある一方、「短期貸しは実質的にホテル業」として無許可営業を問題視する意見も強い状況です。
現時点では政令や通達レベルでの公式解釈が未整備で、ベトナム国内でも見解が分かれているのが実情といえます。
ホーチミン市では2025年3月、マンション管理・使用規定を改正し、「住宅用途のマンションで短期宿泊サービス営業を行うこと」を明文で禁止しました。もし宿泊サービスを行う場合は商業用途を含む複合型マンションであること、正式な観光宿泊の認可を受けることなど条件が課されるため、いわゆる一般的な分譲マンションでのAirbnb営業は認められない方針を明確化しています。これは市として独自に強力な取り締まり根拠を得たともいえます。
集合住宅を本来の居住目的以外で使用した場合、2000万~4000万ドン(約11万〜22万円)の罰金が科され、短期賃貸をやめて居住用途に戻すよう命じられます。実際にバリア・ブンタウ省では、2023年住宅法施行後に短期賃貸禁止の通達をもとに1000万~2000万ドンの罰金を課した事例が報告されています。
無許可で宿泊サービスを行えば、観光や営業許可の不備として別途制裁される可能性があります。また、外国人客の一時滞在登録を怠った場合も公安当局より罰金を科されることがあるため、オーナー側には複合的なリスクが生じます。ホーチミン市警察は2023年に5645人の外国人の滞在登録違反を摘発しており、取り締まりが強化される傾向にあります。
ビジネスモデルの転換
これまでマンションをAirbnb用に購入・運用してきた投資家は、短期賃貸禁止によって長期賃貸への切り替えや物件売却を余儀なくされ、投資回収計画に大きな影響が及びます。
収益性の低下
Airbnb運用で順調に稼働していた場合、1部屋あたり月に500万〜600万ドン(約2.9万〜3.5万円)の利益を得ていたとの報告があります。長期賃貸へ切り替えると利回りは一般的に下がるため、ローン返済に影響が出るオーナーも増加するとみられます。
掲載物件の激減
管理組合が「短期賃貸禁止」と明示して警備員が出入りを厳格にチェックする結果、マンション物件のAirbnb掲載数は70〜80%減少との報告があります。
営業エリアの移動
規制の厳しい4区などから、取り締まりの手薄な地区(7区やビンタイン区など)へ移動するホストもおり、市全域で一斉に取り締まりが行われなければ“いたちごっこ”が続く懸念があります。
宿泊オプションの減少
ホテルより安価で複数人利用や自炊が可能な民泊は、中程度の収入層やバックパッカーに人気でした。民泊を失うことで旅行費用が増加すれば、観光需要の減少や他都市・他国への流出が懸念されます。
地域経済の波及効果
民泊利用者が住宅街の飲食店などで消費することで地域経済が潤う側面がありました。ホテル集中により、こうした“地元消費”が失われるとの指摘もあります。
ホテル業界へのプラス効果
一方で、無許可の民泊が減ることで正規ホテルの稼働率や売上が向上し、価格設定やサービスも改善される可能性があります。また、Airbnb物件が長期賃貸市場へ流れれば、地元居住者にとって賃料の選択肢が広がるメリットもあるかもしれません。
常住住民・管理組合の支持
「マンション本来の住環境を取り戻せる」と歓迎する声が強い一方、短期賃貸を続けたいオーナーとの対立も一部で起きています。管理組合によるロビーやエレベーターでの掲示、警備員による出入り監視が強化される傾向です。
投資オーナーの反発
副収入が絶たれる懸念や「所有権の制限だ」という不満も高まっており、SNS等で管理組合と衝突する事例も報告されています。
観光客の戸惑い
ホーチミン市マンションでのチェックインを警備員に拒否される事例が相次ぎ、突然の予約キャンセルなど旅行者が混乱する場面が出ています。
治安維持への支持
一般市民からは「違法民泊が犯罪温床になるより良い」「適正な課税が必要」という声もあり、治安維持や公平性の観点では一定の支持があるようです。
住宅法やホーチミン市の独自規定に照らし、自ら保有するマンションが「居住目的以外の利用」にあたるかをまず精査する必要があります。
万一短期賃貸を行う場合は商業用ライセンス取得や複合用途マンションの区画であることなど、要件を満たしているか必ず確認してください。
外国人向け短期賃貸の手続き
外国人に貸す際は、一時滞在登録が義務付けられており、怠ると公安当局から罰金を科されるリスクがあります。
そもそも住宅法上、外国人に貸す場合は貸主・借主双方が法定条件を満たす必要があるため、形式上の契約や手続をきちんと行うことが求められます。
管理規約で独自に短期賃貸を禁止しているマンションが増えています。オーナーであっても管理規約に違反すればペナルティや実質的な営業不能状態に陥る可能性が高いです。
管理組合と事前に十分協議し、物件用途・利用ルールの合意形成を図ることが重要です。
民泊を事業として行う場合、観光業ライセンスの取得や旅客宿泊業としての届出、売上把握に基づく課税が求められる可能性があります。
Airbnb等のプラットフォームを通じた収益を当局に把握される流れが強まることが想定されるため、脱税とみなされないよう適切な会計処理が必要です。
建設省は「居住用住宅を賃貸すること自体は住宅法で認められる」との見解を示しつつ、住宅法第160条・161条等を遵守するよう促しています。ただし、ホーチミン市のような大都市では、独自の管理規定や強い取締りが先行しており、今後さらに詳しい通達や政令が定められる可能性があります。
観光客誘致において民泊は安価で多様なニーズに対応する重要な選択肢です。一方でマンション住民の平穏な居住環境も守らなければなりません。今後は一律禁止を続けるのか、あるいは許認可制・日数制限・課税強化など、海外事例を参考にした折衷案が検討される余地があります。
2023年の住宅法改正に加え、ホーチミン市の姿勢は「強い取り締まり」に傾いています。短期的には罰則強化や管理委員会との連携で違反行為を厳しく抑制する流れが加速するでしょう。抜け道として“親戚訪問”を装うケース等もあるため、さらなる実効性のある仕組みが整備されるか注視が必要です。
ホーチミン市マンションでの観光宿泊賃貸禁止措置は、2014年・2023年住宅法の規定を背景に、さらに2025年3月の市独自規定で強化された形となっています。実質的には「一般的な住宅用マンションを短期賃貸(民泊)に転用する行為が違法」と判断されやすい状態です。違反時には2000万~4000万ドンの罰金や営業停止が科されるなどペナルティも明確化されており、市当局や管理組合が積極的に取り締まりを進めています。
投資家や民泊ホストにとっては大きな経済的打撃となる一方、住民側からは騒音・治安リスクの軽減を歓迎する声が強く、不動産市場や観光業にも賛否両論の影響が広がっています。将来的には観光振興とのバランスを考慮した管理策の整備が課題となりますが、当面はホーチミン市におけるマンション短期賃貸は禁止が基本スタンスであり、違反リスクへの注意が欠かせません。
実務上はまだ民泊が各プラットフォームで公開されており、どの程度厳しく取り締まられるかはわからない状況です。今後の動向を注視しつつ、正規の許認可手続きや長期賃貸の活用など、適法かつ持続可能な運用を図ることが肝要です。