【速報】外国人のワークパーミット要件緩和の可能性について
- 2025.06.05
- コラム
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最近、ベトナムの外国人ワークパーミット(就労許可)について、要件緩和が検討されています。まだ正式施行前のドラフト段階ですが、内務省(MoHA)が主体となって政令改正案を提出しており、現在パブリックコメントや他省庁の審査が行われています。
本稿では、改正案のドラフトについて重要ポイントに絞って解説します。あくまでドラフト段階であり、今後変更の可能性があることには注意が必要です。
1.改正内容
既存の政令 152/2020/ND-CP と 70/2023/ND-CP を一本化・全面改正する内容であり、具体的には、以下の通りの改正が予定されています。
①申請手続きの簡易化、短期化
現在、ワークパーミットの申請手続きは、(ア)外国人雇用需要の事前報告、(イ)ワークパーミット申請(となっているところ、(ア)(イ)が一括申請に統合され、申請書の提出から10 営業日以内に許可されることになる予定であり、期間の大幅短縮が見込まれています(ドラフト22.2条)
ワークパーミットの付与に関する権限も明確化され、内務省か管轄の省の委員会のいずれかに申請することになります(ドラフト4条)。
オンライン申請についても導入予定となっており、全国どこからでも申請可能になることが期待されます。
②専門家・技術者要件の緩和
いままでは、「大学卒業+3 年の実務経験」「実務経験5年間」などの実務要件や、専攻と職務の関連性が必須でしたが、改正案では、 特定重点分野(金融・AI・DX など)について実務経験要件が撤廃され大学卒業要件のみになることとなっています(ドラフト18.9条(b))。
これらの分野については人ニーズが多いのにも関わらず、実務経験が足りない人材が多く、改革が望まれていました。今回改正が実現すれば、これらのニーズにこたえる形となります。
2.改正のスケジュールと変更の可能性
最短だと 2025 年 の第3四半期での施行が見込まれます。施行までは政令Decree 152/2020(70/2023による改正内容を含む)が有効であり、特定重点分野の労働者であっても無許可就労の際の罰金や強制退去リスクは引き続き残っています。
内容については、手続統合・経験要件免除などは賛否が分かれており、国会法制局・労働総連盟が追加条件を付す可能性があります。
3.とるべき対応
特定重点分野(金融・AI・DX など)に関するハイテク人材をベトナムに招聘する予定の企業は、改正発効後に申請すれば手続きが大幅に簡素化される可能性があるため、スケジュールを再調整するとコスト削減が期待できます。また、施行までに電子申請システムの準備をしておくことが望ましいです。
もっとも、施行の遅延や内容の修正の可能性があるため、現行の手続きと改正後の手続きに分けて期間・費用を試算し、招聘時期について対応を検討することが必要です。いずれにせよ、最新の情報をアップデートしていくことが必要になります。