【ベトナム】On the Spot取引に関する条文変遷の動向
- 2025.07.02
- コラム
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On the Spot取引(みなし輸出入通関)については近年大きな動きがありました。2025年7月2日現在のベトナム政府の動きについて分かりやすくまとめました。
1.現在On the Spot取引として認められている取引
現行政令においては、以下の(a)~(c)の物品に関する取引がOn the Spot取引として認められています(08/2015/ND-CP第35条1項)。
- (a) 海外組織・個人がベトナムにて加工を依頼し、その海外組織・個人がベトナムでの組織・個人に販売する物品
- (b) ベトナム国内企業と輸出加工企業・非関税地帯での企業の間で売買される物品
- (c) ベトナム企業とベトナムに進出しない外国組織・個人(外国商人)間で売買される物品で、その外国商人がベトナムで他の企業で納品を請求する物品
2.On the Spot取引にまつわる条文変遷の動向
On the Spot取引について、全部削除案や一部削除案、(c)の修正案が出るなど政府の動きは変遷しています。今回はOn the Spot取引にまつわる条文の変遷について分かりやすくまとめてみました。
- 2023.5 総局通達( 2587/TCHQ-GSQL )で「On the Spot取引そのものを削除」という叩き台を提示。
- 2024.9 財務省が正式にOn the Spot取引全削除案をパブリックコメント
- 2025.3 首相とEuroChamの懇談会で、欧州企業が削除反対・移行期間をと要望→On the Spot取引を存続する方向に軌道修正
- 2025.4 On the Spot取引を残す方向で関税法の改正案発表
- 2025.5.8 政令改正の第3次ドラフト公表(35条の(b)を削除、(c)のうち「ベトナムに進出しない」要件を削除)
- 2025.5.22 財務省が再び政令からOn the Spot取引の丸ごと削除案を掲載(1年猶予あり)
- 2025.5.26 パブリックコメントの批判を受け改正政令のドラフトを更新し、On the Spot取引復活((b)は削除されたままだが、他の政令・通達等へ移動するためである可能性がある)。
- 2025.6.25 国会が関税法改正を可決。On the Spot取引自体の存続は確定(新設47条aにOTSの定義が盛り込まれているため。なお、具体的な対象範囲は今後の政令等で定めることに)。
- 2025.7.1~ 改正関税法施行。新関税法と整合した新政令・通達を順次公開予定。
7月1日から改正関税法が施行され、On the Spot取引自体の存続は確定しましたが、具体的な適用範囲については今後の政令・通達に委ねられました。
関連Q&A:
ベトナムに進出している外国企業が、外国の親会社名義でOn The Spot取引(みなし輸出入通関)をすることの制限について(2023年の財務省改正案を含む。)