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ベトナムの「一時滞在申告」を再点検 ― 2025年12月施行の新政令282/2025/NĐ-CPで罰則規定が刷新【駐在員・日系企業向け】

2026年7月15日 / CastGlobal Law Vietnamベトナムに滞在する外国人には、宿泊の都度、「一時滞在申告」が必要です。旅行者に限らず、駐在員やその家族、短期出張者も対象です。2025年12月15日には出入国・在留等の行政処罰を定める新政令282/2025/NĐ-CP(2025年12月15日施行。旧政令144/2021/NĐ-CPを代替)が施行され、罰則規定が刷新されました。足元では一部のレジデンス等で運用が厳格化しており、出張・一時帰国が多い方ほど申告が抜け落ちがちです。本稿では、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から、制度と罰則を改めて整理します。

本稿のポイント

  • 申告義務の主体は原則として宿泊施設側(到着から12時間以内、僻地・遠隔地では24時間以内)
  • 新政令282/2025/NĐ-CPにより、未申告人数に応じて最大2,000万VND(法人は2倍)の罰金
  • 社宅・会社借り上げ物件を持つ日系企業は、自社が「宿泊施設側」として申告義務を負い得る

1. 制度の概要 ― 誰が、いつまでに

宿泊施設の活動を直接管理・運営する者は、外国人が宿泊施設に到着した時から12時間以内(僻地・遠隔地の地域では24時間以内)に、申告用紙に情報を十分に記載し、宿泊施設の所在地の公安又は公安の駐在所・分署に送付する責任を負います。

根拠は、外国人のベトナムにおける入国、出国、通過、居住に関する法律(法律47/2014/QH13、2015年1月1日施行。法律51/2019/QH14(2020年7月1日施行)及び法律23/2023/QH15(2023年8月15日施行)により改正)の第33条です。改正後の同条の和訳(抜粋)は次のとおりです。

<第33条 一時滞在申告(和訳・抜粋)>

1.ベトナムに一時滞在する外国人は、宿泊施設の活動を直接管理・運営する者を通じて、宿泊施設の所在地を管轄する公安又は公安の駐在所・分署に一時滞在申告をしなければならない。宿泊施設は、外国人の一時滞在に同意する前に、一時滞在申告を実施するため、旅券又は国際渡航に有効な書類、ベトナムでの居住に関連する書類を提示するよう外国人に求める責任を負う。

2.外国人の一時滞在申告は、電子申告又は一時滞在申告用紙を通じて実施する。申告用紙により申告する場合、宿泊施設の活動を直接管理・運営する者は、外国人が宿泊施設に到着した時から12時間以内(僻地・遠隔地の地域では24時間以内)に、申告用紙に情報を十分に記載し、宿泊施設の所在地の公安又は公安の駐在所・分署に送付する責任を負う。

3.外国人は、一時滞在場所を変更した場合、または、常住カードに記載された住所以外の場所に一時滞在する場合、又は旅券の情報に変更があった場合、本条第1項の規定に従い一時滞在申告をしなければならない。

このとおり、申告義務の主体は原則として宿泊施設側です(ホテル・サービスアパートは運営者、賃貸物件・個人宅はオーナーや管理者等)。もっとも、外国人本人にも、一時滞在申告の実施のため宿泊施設に旅券等を提示する義務があります(同法第44条2項đ号。法律23/2023/QH15により追加)。

2. 新政令282/2025/NĐ-CPによる罰則

宿泊施設が法定の一時滞在申告を行わない場合、未申告の外国人の人数に応じ、以下の罰金が科され得ます(政令282/2025/NĐ-CP第21条)。

未申告の外国人の人数 罰金額(個人) 根拠条項
1~3名 300万~500万VND 第21条3項e号
4~8名 1,000万~1,500万VND 同条5項c号
9名以上 1,500万~2,000万VND 同条6項đ号

上記は個人の場合の金額で、組織(法人)が違反した場合は2倍となります(同政令第5条2項)。また、外国人本人が申告のための旅券等の提示を怠った場合や、虚偽情報でオンライン申告用アカウントを作成した場合も、300万~500万VNDの罰金対象です(第21条3項e号)。

金額自体は極端に高額ではありませんが、「申告されていない状態」が続くこと自体が、各種行政手続やトラブル対応、公安とのやり取りの場面で不利に働くおそれがあります。

3. 日系企業に特有の注意点

法律23/2023/QH15第2条9項による改正で第45a条が新設され、機関・組織・個人は、外国人がベトナムに合法的に居住している場合に限り、当該外国人の雇用、観光ツアーの催行、一時滞在の受入れができることが明記されました。合法的に居住していない外国人を雇用・滞在させた場合や、出入国・在留に関する違反の兆候を発見しながら当局に通報しない場合、2,000万~2,500万VND(法人は2倍)の罰金があり得ます(政令282/2025/NĐ-CP第21条7項đ号)。

ポイント

社宅や会社借り上げ物件に駐在員を住まわせている日系企業は、自社が「宿泊施設側」の立場に立ち、申告義務を負い得る点に留意が必要です。総務・人事部門において、駐在員・帯同家族・出張者の入居時の申告フローを定めておくことをお勧めします。

4. 実務上の対応

  • ホテルや管理体制の整ったサービスアパートでは運営側が申告済みのことが多いものの、パスポートコピーの提出=申告完了とは限りません。フロントや管理事務所に確認するのが確実です。
  • 個人賃貸・友人知人宅・民泊等は「誰も申告していない」状態が生じやすい典型例です。オーナー・管理者と申告主体を明確にし、未了であればオンライン申告又は管轄公安で速やかに対応してください。
  • 転居時や旅券更新時にも再申告が必要です(第33条3項)。一時帰国後の再入国時も、都度の申告を前提に運用されている点にご注意ください。
  • 申告漏れに気づいた場合、過去日付で取り繕うことは避け、気づいた時点で正直に補完・相談する方が結果的に安全です。

一時滞在申告を含む管理体制の整備についてご不明な点があれば、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

免責事項: 本記事の内容は2026年7月15日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。

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CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd.

ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。日本国弁護士と現地ベトナム人弁護士の協働により、日本語で完結するリーガルサービスをワンストップで提供しています。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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