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近時の労務トラブル事例及び行政処罰の件数等

  • 2017.05.29
  • 労務
  • 労務一般

■近時の労務トラブル事例 近時、ニュースになっているトラブル事例としては、以下のようなものがあります。 年月 企業 内容 理由 勝訴側 賠償金・罰金等 2016年5月 ベトナム企業 会社が労働契約を一方的に解除したことで違法解約に基づく賠償金を求めた紛争 企業構造の変化による解約 労働者側 944.000.000 VND 約50万円 2012年7月 ベトナム企業 会社が労働契約を一方的に解除したことで違法解約に基づく賠償金を求めた紛争 組織再編による解約 労働者側 118.913.000 VND 約60万円 2016年2月 ベトナム企業 ストライキ 3000人規模 基本給を上げるた...

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  • 労務
  • 2023.01.31
  • 労務一般
職場での労働安全衛生教育について
特にオフィスのみで事業を行う会社においては、実際には実行されていないこともままありますが、ベトナムでは、使用者は労働者に対して労働安全衛生の教育(訓練)を実施しなければならないとされています(法律第84/2015/QH13号(以下「労働安全衛生法」といいます)第14条参照)。 政令第140/2018/ND-CP号(以下「政令第140号」といいます。なお、当該政令は政令第44/2016/ND-CP号の一部を修正するための政令です。元の政令については以下「政令第44号」といいます)第1条第5項により、労働安全衛生の教育を受ける対象は六つのグループに分類されます。 第1グループ:会社の代表者を始めとするいわゆる管理者 第2グループ:労働安全衛生担当者 第3グループ:労働安全衛生が厳格に求められる仕事(具体的には、労働傷病兵社会省が定めたリストに記載された仕事をいいます)に従事する労働者 第4グループ:第1、3、5、6グループに属さない労働者(通常の労働者が想定されており、試用期間中の者なども含まれます。) 第5グループ:医療担当者 第6グループ:労働安全衛生法第74条に規定される安全衛生係員   ほとんどの企業において、第4グループの通常の労働者に対する労働安全衛生教育の実施が問題になるので、以下では通常の労働者に対する労働安全教育を実施することを前提に記載します。 政令第44/2016/ND-CP号(以下に「政令第44号」といいます。)第29条1項によれば、労働安全衛生教育は、 会社が自ら労働安全衛生の教育を実施する、または 労働安全衛生教育を実施する外部の会社に委託する ことを選択することが可能です。 労働安全衛生教育を実施する会社は、労働安全衛生教育に関する活動資格証明書(ベトナム語:「Giấy chứng nhận đủ điều kiện hoạt động huấn luyện an toàn, vệ sinh lao động」)を所持している必要があります(政令第44号第26条第8項)。 労働安全衛生に関する活動資格証明書の有効期間は発行日より5年間で(政令第44号第30条第2項)、これは活動資格証明書に記載されます。なお当該期間については更新が可能とされています。 社内の教育プログラム・教育用資料を作成すること、法定の条件を満たす労働安全衛生の教育講師がいれば、会社は自ら労働安全衛生の教育を実施できます。 ① 労働安全衛生の教育講師 労働安全の教育講師になるためには次の3つの条件のいずれかを満たす必要があります(政令140号第1条第7項第2項)。 大学以上の学位を有し、労働安全衛生業務に関する計画の作成・実施において3年以上の経験を有する者、 短期大学の学位を有し、労働安全衛生業務に関する計画の作成・実施において4 年以上の経験を有する者、 労働安全衛生において5年以上の経験を有する社内における労働安全衛生担当者 また、実習の教育講師に対しては、次の2つの条件のいずれかを満たす必要があります(政令140号第1条第7項第4項b号)。 実習の教育の分野に適する中級以上の技術資格を持つ者、 実習の教育の分野において3年間以上の勤務経験を有する者 ② 労働安全衛生教育講師の研修 前記第①号の資格者が労働安全衛生の教育講師の研修コースに参加し、当該研修コースを完了し、当該研修コースの試験に合格すれば、労働安全衛生の教育講師の研修修了証を取得できます。当該資格の取得者は、労働安全衛生の教育を他の労働者に実施することができます。 なお、5年ごとに、当該資格者は労働安全衛生に関する知識を更新するため講習に参加する必要があります。   労働者が本労働安全衛生教育を受講した後、会社はその労働者の情報を教育日誌(ベトナム語:「Sổ theo dõi công tác huấn luyện」)に記入します。当該教育日誌の様式については、政令第40号中の第11サンプルに従う必要があります。(政令第44号第24条4項)。 当該教育の有効期限は1年間とされています(政令第44号第21条2項)そのため、当該教育の効力が残存するうちに、会社は前回と同じ教育もしくは必要に応じて新しい教育を労働者に受けさせなければなりません。
  • 労務
  • 2022.11.03
  • 労務一般
女性労働者・未成年労働者・高齢労働者の特別規定を教えてください。
ベトナムの労働法やその関連法令において、女性労働者、未成年労働者、高齢労働者については一部特別な規定が置かれています。以下では、それぞれの概要を整理していますのでご確認ください。 2021年施行の2019年労働法での変更点は赤で表示しています。 以下のとおり、女性の労働者に対しては、一部特別の規定が置かれています。 項目 内容 妊婦・養育時の保護 以下の場合、女性労働者に深夜労働、時間外労働、遠隔出張を命じてはならない。 妊娠7ヶ月目以降の妊婦。高地、遠隔地、国境、島嶼に勤務する場合は、妊娠6ヶ月目以降の妊婦 本人の同意を得る場合を除き、12ヶ月未満の子供を育児中の者 ※12ヶ月未満の子供を育児中の者の同意を得る場合、使用者は、その者に深夜労働、時間外労働、遠隔出張を命じて問題ない旨明記された。 重労働に就く女性労働者が妊娠7ヶ月となった際には、賃金は減額されることなく、軽微な労働に異動し、または1日あたりの勤務時間を1時間短縮される 2019年労働法第137条2項によれば、重労働に就く女性労働者が妊娠7ヶ月となった場合だけではなく、妊娠中の女性労働者が重労働、有害、危険な職業、特別に重労働、有害、危険な職業、又は出産の能力及び子供の養育に悪影響を与える職業・業務を行い、使用者に通知した場合も、12ヶ月未満の子供の育児期間が満了するまで、賃金が減額されることなく、軽微、安全な労働に異動され、または1日あたりの勤務時間を1時間短縮される。 女性労働者は、労働契約書の賃金が減額されることなく、生理期間中は1日に30分、12ヶ月未満の子供の育児期間中は1日に60分の休憩を取得することができる。 就業継続が胎児に悪影響を与えるとした内容の、認定医療機関による診断書を有する妊娠中の女性労働者は、労働契約の一方的解除または一時的停止が可能 休暇  出産前後で6ヶ月の休暇 生まれた子供が双子以上だった場合には、1人につきさらに1ヶ月休暇延長 出産前の休暇期間は、2ヶ月を超えてはならない。 職場復帰について労働者の健康に問題がないとする内容の認定医療機関による診断書がある場合、使用者と合意したうえ、最短で4ヶ月の休暇後、女性労働者は職場へ復帰することができる 社会保険から6ヶ月分の出産手当 ※なお、男性も原則5営業日(帝王切開の場合と妊娠32週未満の出産の場合7営業日)まで休暇をとり、その間社会保険から手当をもらえる →会社はその期間の給与を支払う必要はない。(2016年1月1日の新社会保険法より) 雇用保障 女性労働者は休暇前と同じ業務に就くことが保証される 以前の業務が無くなった場合、使用者は別の業務に就かせる必要があり、給与額は休暇前より引き下げてはならない 妊娠中・出産休暇中の女性労働者、12ヶ月齢未満の子供を養育中の労働者は解雇することができない。 健康診断 健康診断の通常項目に加え、婦人科の項目を追加   未成年労働者に対しては、以下のような規定が特に定められています。 項目 内容 労働時間 満15歳から18歳未満の未成年労働者の勤務時間は、1日8時間または週40時間を超えてはならない。 15歳未満の労働者の勤務時間は、1日4時間または週20時間を超えてはならない。15歳未満の労働者を、時間外労働または深夜労働に使用することを禁止する。 業務内容 未成年者は、その体力、知力、人格の発展を保証するため、健康に適した業務のみに従事できる。 満13歳から15歳未満の年少者を労働傷病兵社会福祉省が規定したリストに記載される軽微な業務においてのみ使用することができる 満15歳から18歳未満の未成年労働者の使用の禁止業務、禁止場所が労働法147条に定められている。 労働契約 満15歳から18歳未満までの労働者と労働契約を締結する場合、労働者の法定代理人の書面での同意が必要であると記載 満15歳未満の場合は、労働者と労働者の法定代理人の署名が必要。 有給休暇 14日 健康診断 6ヶ月に1回 (通常は1年に1回)   高齢労働者に対しては、以下のような規定が特に定められています。 項目 内容 労働時間 1日あたりの勤務時間の短縮または非常勤勤務制度の適用を受けることができる 業務内容 安全な勤務条件が保証されている場合を除き、高齢労働者の健康に悪影響を与える重労働、危険または有害な業務、特別に重労働、危険または有害な業務に、高齢労働者を使用することを禁止する。 使用者は、職場における高齢労働者の健康に配慮する責任を負う。 労働契約 使用者は、必要があれば、十分な健康状態の高齢労働者と相談した上、労働契約締結の手続をした上で契約の延長または新規労働契約の締結を行うことができる。 ※2019年労働法第149条1項によれば、労働契約に関しては、高齢労働者と使用者は有期限労働契約を多数回締結する合意をすることができることとなった(通常は2回)。 健康診断 6ヶ月に1回 (通常は1年に1回)      
  • 労務
  • 2022.07.13
  • 労務一般
ベトナムにおける損害の概念について
日本における伝統的な見解によれば、債務不履行に基づく損害賠償の範囲を定める下記の民法の規定は、(損害の発生と債務不履行の間の)相当因果関係を定めたものであって、損害賠償には、通常の損害と特別の損害があると理解されています。 損害賠償の範囲) 第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。 1項については、通常の損害を定めたものとし、予見可能性の立証が要求されないのに対し、特別の損害については当事者の予見可能性を要件(立証を条件)として、損害についての相当因果関係を認める、以上のように日本の伝統的見解は、損害の概念を整理します。   一方、ベトナム法においては民法上には損害の範囲について上記の日本法のような規定は存在しませんが、商法上には以下の規定が存在します。 第302条 (損害賠償) … 2. 損害賠償金額は、違反された当事者が違反した当事者の契約違反により実際に且つ直接被った損害金額、並びに当該違反のない場合違反された当事者が直接獲得したであろう利益より成る。 ※和訳はJETRO作成によるものです。 したがって、ベトナム法の規定によれば、少なくとも商取引から発生する間接的な損害(日本法でいうところの特別の損害)は、原則として損害の概念に含まれないと解されます。   もっとも、上記の日本法の損害に関する解釈は判例を経て明確になっている部分があるところ、ベトナムでは判例の公開が極めて不十分な状況にあり、最終的に紛争時にどのように判断されるかは判然としないところがあります。 そのため、日本法でいうところの特別損害について責任の範囲から排除したい場合などは、これらの損害(特別、派生的、または間接的損害)を排除する旨を契約に明記しておくのがベトナムにおいても通常です。
  • 労務
  • 2022.06.30
  • 労務一般
労働変更状況の報告に関わる規定の補充(政令35/2022/NĐ-CP号)について
政令145/2020/NĐ-CP号第4条2項によれば、会社が労働変更状況の報告書を本社・支店・駐在員事務所を置く省レベルの労働局、区レベルの社会保険機関に提出する必要があります。 さらに、新しい政令35/2022/NĐ-CP号第73条1項によれば、工業団地、経済区において勤務する労働者がいる場合、会社が上記の局・機関に加え、工業団地管理委員会、経済区管理委員会にその報告書を提出することが必要になりました。 上記の規定は、2022年7月15日より有効となります。
  • 労務
  • 2022.04.20
  • 労務一般
2022年の最低賃金上昇の議論状況
今月12日、ベトナム政府の諮問機関、国家賃金評議会は、最低賃金を今年の7月からおよそ6%引き上げることに合意しました。正式な決定は、政令の発布を待つ必要がありますが、当該合意のとおり、最低賃金の引き上げが実施されれば1年半ぶりの最低賃金の改訂となります。 国家賃金評議会が合意した地域別最低賃金: 第1地域 468万VND 5.88%(上昇率) 第2地域 416万VND 6.12% 第3地域 363万VND 5.83% 第4地域 325万VND 5.86% ※政令90/2019/ND-CP号の付録によれば、ホーチミン市、ハノイ市、ハイフォン省、ビンズオン省やバリアブンタウ省などの日系企業が多く所在する地域は第1地域に含まれています。また、ダナン市やバクニン省等が第2地域に分類されます。最新の地域分けについては新しく発布される政令を確認する必要があるのでご注意ください。 最低賃金については労働法(法律:45/2019/QH14)に以下の規定が存在します。 第91 条 最低賃金額 1 最低賃金額とは、経済・社会の発展状況に応じた、労働者とその家族の最低限度の生活水準を保障するために、通常の労働条件の下で最も単純な業務を行う労働者に対し支給される、最も低い賃金額である。 2 最低賃金額は地域ごとに定められ、時給・月給で決定される。 3 最低賃金額は、労働者及びその家族の最低限度の生活水準、最低賃金額と市場の賃金額との相関、消費者物価指数、経済成長の速度、労働需給関係、雇用及び失業、労働能率、企業の支払能力に基づき調整される。 4 政府は、本条の詳細を定め、国家賃金評議会の勧告に基づき最低賃金額を決定し、公表する 上記の規定に従い、最低賃金は物価水準等に応じて第1から第4の地域ごとに規定されます。最低賃金の決定過程については、草案が国家賃金評議会により審議され、了承を得た草案が首相府に提出されます。そして首相の最終判断を経た後、政令の形式で発布されます。 労働法によれば、賃金とは以下のように定義されています。 第90 条 賃金 1. 賃金とは、業務を実施するために、合意に基づき、使用者が労働者に対して払う金員であり、業務又は職位に応じた賃金額、手当その他の補助からなる 法文の原文も確認すると賃金とは、基本給(mức lương)、手当(phụ cấp lương)、その他の支給金(các khoản bổ sung khác)の三つにより構成されていると理解できます。 政令90/2019/ND-CP号の規定をみると、最低賃金では、mức lươngという用語を使用しているので、手当金を除いた基本給が最低賃金として予定されていると理解できます。そのため、手当金等を除いた基本給が最低賃金額を下回ってはいけないことになりますので、この点注意が必要です。   国家賃金評議会からは2022年7月1日からの変更ということで提案されていますが、報道によえれば多数の労働者を擁する8つの協会は、最低賃金の引き上げ時期を「2022年7月1日」から「2023年1月1日」に延期するよう要請する内容の要望書を政府に提出しています。 今後、政令としてどのように正式に発表されるかどうか注目となります。 *最低賃金引き上げ、8協会が23年からに延期要請(Vietjo)
  • 労務
  • 2021.12.10
  • 労務一般
コロナ感染者とベトナムの社会保険給付について
2021年9月の後半から減少に転じていたベトナム全体におけるコロナの感染者は、10月の後半から再び増加傾向にあり、11月23日から12月8日現在まで1万人を超える感染者が連日報告されています。どんなに注意していても完全に感染を防止することは難しく、コロナの感染者であるF0となる方が会社に生じるのもやむを得ないといえます。 仮に、従業員がコロナの感染で自宅隔離または施設隔離を余儀なくされた場合の社会保険給付はどうなるのでしょうか。給与の一部を支給して従業員を援助しようと試みる会社等もあると思いますが、その場合の社会保険の給付がどうなるのでしょうか。本稿ではこの点について解説を行っていこうと思います。 傷病休暇を取得できるのは、㋐労災に当たらない病気または事項により休暇を取る者で、㋑指定の医療機関が発行する必要書類を取得した者などになります(通達59/2015/TT-BLDTBXH号(以下「通達59号」といいます)第3条)。 特殊な事情がない限りはコロナへの感染は労災に当たらない病気となりますので、上記の㋐の条件を満たすことになります。 ※傷病休暇については以前に別の記事にも記載しているので、必要に応じてそちらもご参照ください。 【ベトナムの傷病休暇と労働災害の概要について】 https://919vn.com/column/overview-of-vietnam-of-sick-leave-and-occupational-accident/ ① 施設隔離の場合 施設隔離の場合、通常は社会保険給付の申請に必要な証明書が発行されるので、こちらの書類を用いて社会保険給付を申請することになります。 ② 自宅隔離の場合 自宅での隔離の場合、社会保険給付を受けられるようにするには、通達56/2017/TT-BYT号に指定されているフォームに従って、指定の治療施設から証明書を取得する必要があります。当該証明書を取得しないと、社会保険給付を受けられない可能性があるので注意が必要です。 1)給与の場合 社会保険給付の制度は、社会保険基金に保険料を支払ったことに基づき、労働者が疾病場度を原因として休職をし、収入の喪失を余儀なくされた場合に、その喪失分を補完することを目的としたものです。したがって、給与の全部または一部の支給がなされている場合は、収入の喪失がないとして社会保険給付が否定される可能性があります。 そのため、社会保険給付を申請する労働者は原則として給与が支給されていないことが要件となると解します。 2)その他の名目の金銭給付の場合 給与ではなく見舞金などの名目で従業員に金銭を支給する場合(但し過度に高額なものなどについては給与の支給と同視される可能性があるので注意が必要です)、収入は喪失していると解されているので、社会保険の給付が認められると考えます。 そのため、コロナに感染した従業員が社会保険給付を受けながら、会社からなにがしかの金銭補償を行いたいと考える場合、給与は支給せず見舞金などの名目で金銭を支給する必要があると考えます。  
  • 労務
  • 2021.10.25
  • 労務一般
【2021年労働法】労働者を異動させる場合、何か法令上の制限がありますか。
会社は、原則として労働契約で定めた就労場所(部署)で、労働者を勤務させなければなりません。労働者を異動させるには、下記の要件を満たす必要があります(労働法第29条第1項)。 天災等の不可抗力事由または経営上の理由(詳しい条文の文言(訳文)は下記をご参照下さい)により、想定外の困難に直面し、労働者を労働契約で定めた就労場所(部署)と異なる就労場所(部署)に異動させる必要があること。 労働者から同意がない場合、異動の期間は年間で60営業日を超えないこと。 「使用者は、天災、火災、危険な疫病、労働災害・職業病を予防し回復する措置の適用、 電気若しくは水に関する事故により、又は生産上若しくは経営上の必要により、予想外 の困難に直面した場合、労働者を労働契約と異なる業務に一時的に異動させる権利を有する…」   会社は、労働者の同意を得た場合は、60営業日を超えて労働者を異動させることができます(労働法第29条第1項)。 会社は、異動の原因である“経営上の理由”については、想定される場合を就業規則に具体的に規定しなければなりません(労働法第29条第1項) 。⇐法改正に伴い追加された内容です。就業規則を変更しなければならない可能性があるので、留意してください。 異動を実施する際は、労働者に対し、少なくとも3営業日前までに通知し、一時的な異動期間を明確に伝える必要があります(労働法第29条第2項)。 異動に伴う給与変更は可能ですが、異動後最初の30営業日は元の給与額が保障され、その後の給与額も元の給与額の85%を下回ってはいけません(労働法第29条第3項)
  • 労務
  • 2021.05.20
  • 労務一般
【2021年労働法】妊娠中や、幼児を育児中の女性労働者については、労働法上特別な保護がされると聞きました。その保護の内容について教えて下さい。
①会社は、以下の女性労働者に対して、深夜労働、時間外労働、長距離出張をさせることはできません(労働法第137条第1項)。 •妊娠後7か月目以降の労働者、または高地、奥地、遠隔地、国境、島嶼に勤務する妊娠後6か月目以降の労働者 •12か月未満の子を養育中の労働者 ②危険な業務、または生殖能力や妊娠中の子の発育に悪影響を与える業務に従事している労働者は、会社に通知することにより、12か月未満の子の養育期間が終了するまで、賃金等は従前と同様のまま、より安全な業務に異動するか、一日の労働時間を一時間短縮するよう要求できます(労働法第137条第2項) 。 ③会社は、結婚、妊娠、産休、12か月未満の子の養育を理由として、当該労働者を解雇または一方的労働契約の終了を行うことはできません(労働法第137条第3項) 。 ④生理期間中は1日30分、12か月未満の子の養育中は1日60分の有給の休憩を取ることができます(労働法第137条第4項) 。 ⑤たとえ懲戒に該当する事由があっても、妊娠中、産休中、または12か月未満の労働者に対しては、懲戒処分を行うことができません(労働法第122条第4項d号)   労働者が妊娠中や産休中であっても、有期契約が満了する場合には、当該労働契約を終了させる(更新しない)ことができます。なお、労働法の改正に伴い、「女性労働者は、妊娠中又は12 か月未満の子を養育中に労働契約の期間が満了する場合、新しい労働契約を優先的に締結される。」との文言が新たに追加されましたが、これは、会社に当該労働者との契約更新の義務を課すものではありません。 上記④の生理休暇等を取ることを望まない女性労働者は、会社と合意することにより、当該休憩時間中も勤務し、その分の給与を受けることができます(例えば、1日分の給与+30分の給与)。この場合の、30分の給与については、当該勤務が時間外労働とみなされないため、通常の時間給を支払えば足ります(政令145号第80条第3項)。 生理中の女性労働者に30分の休憩を与えない場合、会社は、1000万~2000万VNDの範囲で罰金を課される可能性があります(政令28号第27条第1項b号)。その他前ページの①~⑤に記載する事項に違反した場合は、 2000万~4000万VNDの範囲で罰金を課される可能性があります(同条第2項)。
  • 労務
  • 2021.02.13
  • 労務一般
ベトナム新労働法(2021年)の細目を規定する新政令について(セクハラ、懲戒手続、試用期間)
ベトナムの新労働法45/2019/QH14(以下「新労働法」といいます)が2021年の1月1日から施行されており、新しい労働法の変更点等についても以前解説しました。 ベトナム労働法の重要な改正点(2021年施行)(期間限定公開中) また、2021年の2月1日からは、上記の新労働法の施行に伴い、その詳細を定めた新しい政令145/2020/ND-CP号(以下「政令145号」といいます)が施行されています。政令145号については、まだ施行されて間もないこともあり、その内容について記載されている方は多くないようです。そこで、本稿では当該政令145号の中から重要と思われる点についていくつか言及していきます。 新労働法の施行により、会社は就業規則に職場でのセクシャルハラスメントの防止策、セクシャルハラスメントがあった場合の処分等の手続きを定めなければならないとされており(新労働法118条)、新労働法はセクシャルハラスメントについてより厳しい対応を行うことを示しております。 そして、新労働法はセクシャルハラスメントについて「ある者の他の者に対する、本人の意に反する又は同意のない、性的な性質を有する言動」と定義されています。 (新労働法3条9項。訳は、JETROの下記の翻訳を参考に記載しておりますhttps://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/vn/business/pdf/45-2019-QH14-jp.pdf) 政令145号によれば、セクシャルハラスメントには身体的接触を始めとする行為によるもの、言動によるもの、のみならずボディランゲージや、電子機器などを利用してわいせつ物を提示しそれを見せる等間接的なわいせつ表現も該当するとされています(政令145号84条2項)。 労働者に規律違反があった場合、懲戒を行い適切な処分を下す必要があります。懲戒を行う場合には、以下の手続きを実施しなければならず、これらの手順を遵守せずに行われた懲戒処分は無効とされる可能性があります。 特に懲戒解雇を実施する場合には、後々当該手続きが無効とされると、遡って給与相当分の金銭を相手に支給し、また違法な解雇に伴う給付もしなければなりません。以下の手続きの内容を把握しておくことはとても重要だといえます。 懲戒処分を行う場合、聴聞会を開催して、労働規律違反についての聴取を行わなければなりません。 ① 聴聞の通知 聴聞会が実施される少なくとも5営業日前までに、懲戒の対象となっている労働者(以下「対象労働者」といいます)、対象労働者が労働組合の構成員である場合には労働組合、対象労働者に代理人がいる場合はその代理人(以下、これらの聴聞に参加する者を「参加人」と総称して呼ぶ場合があります)に対して、聴聞会の日時や場所、規律違反の内容等を通知しなければなりません(政令145号70条2項a号)。 ② 開催日時の変更 参加人のうちいずれかの者が参加できない場合、会社と対象労働者は聴聞の日時や場所等について変更の合意をすることができますが、合意に達することができない場合、会社は懲戒について最終判断を下すことができます(同項b号)。 会社は、上記の通知に記載されている、または変更の合意をした日時や場所で聴聞会を実施し、仮に参加人のいずれかの出席が確認できない場合であっても聴聞会を遂行することができます(同項c号)。 ③ 議事録の作成 聴聞会を実施した場合、議事録を作成しなければならず、聴聞会が終了するまでにその議事録に参加人の署名がなされなければなりません。参加人が署名を拒否する場合には、議事録の作成者は、拒否者の氏名と拒否の理由を議事録に記載することによって参加人の署名に代替します(同条3項)。 聴聞の終了後、懲戒の時効期間内(原則は、規律処分違反行為から6ヶ月以内ですが、会社の機密事項にかかわる規律違反行為は1年とされています(新労働法123条))に懲戒の内容を決定し、参加人にその内容を通知します(同条4項)。 政令148/2018/ND-CP号(以下「政令148号」といいます)により、試用期間は、退職手当および失業手当の金額を算出するための雇用期間には含まないこととされていました。 しかし、政令145号8条3項により、試用期間も退職手当および失業手当の金額を算出するための雇用期間に含まれることとなりました。 旧政令148号以前でも試用期間は退職手当の期間に含まれていたので、それと同様の規定に戻ったということになります。 試用期間については、労働契約ではなく試用契約を締結し、その後正式な労働契約を締結する方法が今まで一般的でした。 これは、労働契約を締結してしまうと社会保険料の納付が必要になってしまい、会社にメリットがないことが一つの理由でした。 しかし、上記の改正により、試用期間についても労働契約を締結し(この場合、労働契約の中に試用契約の規定を置くことになります)、社会保険料の納付を行うメリットがあることになります。すなわち、社会保険料の納付期間については、退職手当を算出するための雇用期間に含めないとされているため(労働契約46条2項)、会社はもし試用期間中も社会保険料の納付を行っていれば、試用期間中の雇用期間に相当する退職手当についても自らの負担で拠出しなくて良いことになります。 一般的には、試用期間の社会保険料の納付金額よりも、試用期間中の雇用期間に相当する退職手当の金額の方が大きくなるので、純粋に支出の大小だけでみれば試用期間中も社会保険料を納付した方が得となります。 試用期間について、より詳しい内容は以下を参照ください。: 2021年労働法での試用期間の内容について教えてください。
  • 労務
  • 2021.01.28
  • 労務一般
ベトナムにおけるパートタイム労働者について
日本であれば、経済的合理性の観点から、正社員を雇うほどでもない仕事についてはパートタイムの労働者を雇って仕事を任せることもあるかと思います。 しかし、ベトナムでは、通常の企業においてあまりパートタイムの労働者についての話を耳にすることがありません。 そこで、今回はベトナムのパートタイム労働者について記載していこうと思います。   ベトナム労働法(45/2019/QH14。2021年1月1日より施行。)の32条にパートタイム労働者に関する規定が存在します。当該条項については、下位法令(ガイドライン政令等)に関連する規定がなく、パートタイム労働者に関する法令の具体的な規定は、当該規定のみとなっています。 同規定には、概略以下の事項が規定されています。 ・通常の労働者(正社員)よりも一日、または一週間あたりの労働時間が短いこと ・労働者にはパートタイムの労働契約を締結する権利があること ・パートタイム労働者は正社員との関係で、差別的な取り扱いを受けないこと ※以下、法令の翻訳はすべてJETROの翻訳を引用します。 https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/business/ 労働法32条 1.短時間労働者とは,労働に関する法令,集団労働協約,又は就業規則に規定された1日あたり,1週あたり又は1月あたりの通常の労働時間と比較してより短い労働時間の労働者である。 2.労働者は,労働契約締結の時に,使用者と短時間労働を合意する。 3.短時間労働者は,賃金の支払いを受け;通常の労働者と平等の権利,義務であり;機会の平等を受け,取扱の差別を受けず,労働安全衛生を保証される。   以上の労働法32条に定められているとおり、ベトナムにおいては、正規の労働者(パートタイムではない労働者)とパートタイムの労働者間において異なる取扱いをすることを禁止してます。具体的に問題となりそうな場面において以下に記載します。 1)契約の更新 例えば、契約の更新の場面においては、その他の正規有期労働社員と同じで、有期契約の更新は一回のみでき、二回目以降の更新を行おうとすると、以後は無期契約としなければなりません。 この点、ローカルの会社等においては更新が複数回なされている実態もあるようですが、法令の解釈上は以下の理由により、複数回の更新は認められないものと考えます。 有期労働契約の更新を1回に制限する20条2項c号は、その但書において、更新を1回に制限することについての例外を定めておりますが、同但書は、パートタイムの労働者には何ら言及していません。 労働法20条2項c号 c) 両当事者が締結した新しい労働契約が有期限労働契約である場合,もう一回のみ締結できる。その後,労働者が依然として引き続き働く場合は,無期限労働契約を締結しなければならない。但し,国家資本を有する企業で社長として雇用される者との労働契約及びこの法典の149条1項,151条2項,177条4項が規定する場合を除く。 上記の但書に言及されている149条1項および151条2項が、高齢労働者と外国人労働者については、複数回有期契約を更新できる旨を明示していることからすると、パートタイムの労働者については、同様の規定が存在しない以上、契約の更新について通常の労働者と区別することは許容されないものと考えます。 労働法149条1項 1.高齢の労働者を使用する場合,両当事者は有期限労働契約を多数回締結する合意をすることができる。 労働法151条2項 2.…ベトナムで外国人労働者を使用する場合,両当事者は有期限労働契約を多数回締結する合意をすることができる。 2)社会保険 社会保険についても、正規社員と同等の取り扱いをしなければなりません。すなわち、当該労働者の月の勤務日数が14営業日を越えない場合をのぞき、パートタイムの労働者であってもその社会保険料を負担しなければならないことになります(決定595/QD-BHXH第42条4項に基づく)。 以上で述べてきたとおり、原則として正規社員とパータイムの労働者については、平等な取り扱いが必要とされていますが、最低賃金に関わる政令の規定の適用については、別途の取り扱いが可能と考えます。 最低賃金について定めた政令90/2019/ND-CP号(以下「政令90号」といいます)5条1項によれば、当該最低賃金は、通常の労働条件で、必要とされる月あたりの労働時間以上を勤務する労働者に適用されると規定されています。パートタイムの労働者は、この条件に当てはまらないので、同政令が当然に適用されわけではないと考えます。 もっとも、労働法32条3項によれば、通常の労働者と同等の権利を有することが規定されているので、時給(または日給)あたりの賃金については正社員と同等の条件が必要と考えます。 そして、パートタイム労働者が、通常の労働者(正社員)と労働条件が異なることは契約書上明確にされている必要があるので、可能なかぎり、労働契約書には、月の勤務時間(勤務日数)が明確に計算できるように条件(月当たりの勤務日数、1日当たりの勤務時間等)が明記されていることが望ましいといえます。   以上のように、ベトナム法上においては、パートタイム労働者と正規労働者の待遇が原則として同じでなければならないと規定されています。 そのため、パートタイム契約を締結するメリットを企業側が感じず、イベントや小売業等のアルバイトなどを除いて正規社員を主体として雇用する流れになっているものと推測します。