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加工契約で保税で輸入された設備の保管と使用用途の制限について教えてください。

  • 2019.05.02
  • 税関
  • EPE・保税取引

■他の加工契約のために使用できますか。 委託加工契約書の下に保税でベトナムに輸入した設備について、機械の所有権が日本側にある場合、他社との委託加工契約にその機械を使っても問題は無いのではないのでしょうか。 ベトナム法は契約の範囲内で輸入された機械でないと加工できないなどの制限はありません。 また、他社との委託加工契約にその機械を使うことができるかどうかについて法律上明文の定めはありません。 しかしながら、使用用途や保管場所については報告しなければならず、その点の制限があります。 さらに通常は最初の委託加工契約で他の用途に使うことができないなどの制約がかけられていることが通常です。 ■保税で入れた機械を勝手に国内で販売すれば違法だと思いますが、使用用途に関してはどう取り締まるのでし...

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Ư
  • 税関
  • 2024.06.01
  • EPE・保税取引
保税倉庫に保管できる貨物を教えて下さい。
政令第08/2015/ND-CP号の第85条は、保税倉庫での取り扱い可能貨物について規定しています。 原則として、保税倉庫に保管できる貨物は、以下のベトナム国内からの貨物、およびベトナム国外からの貨物となります。 目次(i)  ベトナム国外からの貨物(ii)  ベトナム国内からの貨物外国企業による利用 (a)    ベトナム企業へ販売する契約を締結していないベトナム国外オーナーの貨物 (b)    ベトナム国内市場への輸入またはベトナム外国への輸出を待機するベトナム企業の輸入貨物 (c)    ベトナム外国への輸出を待つ中の海外からの貨物   (a)    輸出を待つ輸出手続きを完了した輸出貨物 (b)    一時輸入及び再輸出の期間が終了した貨物 ベトナムで輸出入を禁止さる貨物、偽造標章商品・ベトナム原産地名称の偽造商品、人または環境に危険性をもつ商品に加えて、現行のベトナム首相決定第27/2020/QD-TTg号により、タバコ(HSコード24.02.20)およびアルコール(HSコード22.08.30.00)の輸入貨物を保税倉庫で保管することは、禁止されています。   政令第08/2015/ND-CP号(以下、「政令第08号」という)の第84条により、外国の組織・個人は、保税倉庫を利用できる主体となります。 この点、現地法人がある場合に保税倉庫が利用できないのではないかという見解もあります。しかし、保税倉庫の利用主体の規定においては、特に当該外国企業のベトナムにおける現地法人を考慮に入れていません。預けられる貨物は、保税倉庫で保管できる貨物に該当すること、および保税倉庫の通関手続きを行うこと、を条件として、保税倉庫の利用には特に影響ないと考えています。 保税倉庫で保管できる貨物の規定によれば、保税倉庫で保管できる外国企業の貨物は、以下のとおりです。 (i) ベトナム国外から運び込まれ、ベトナム企業へ販売する契約を締結していないベトナム国外オーナーの貨物(政令第08号の第85条第2項第a号) (ii) ベトナム国外から運び込まれ、ベトナム国外への輸出を待機中の海外からの貨物(政令第08号の第85条第2項第c号) (iii) ベトナム国内から運び込まれ、輸出を待つ輸出手続を完了した輸出貨物(政令第08号の第85条第3項第a号) 法令上、上記のケースに該当する場合、ベトナム現地法人のある外国企業は、保税倉庫を利用できると考えられます。 もちろん各々のケースに応じて、政令第08号を案内する通達第38/2015/TT-BTC号により、保税倉庫への搬入の手続きを行わなければなければなりません。 つまり、保税倉庫の規定によれば、外国企業の現地法人が、保税倉庫の利用権を有するかどうかに影響を及ぼさないと考えます。 保税倉庫で保管できる貨物に該当し、保税倉庫への搬入の手続きを行ったことを条件として、法令上は、ベトナム現地法人のある外国企業の保税倉庫利用権に特に制限はないと考えます。 なお、先日の税関によるみなし輸出入の案内によれば、現地法人のある外国企業はみなし輸出入を行うことができず、保税倉庫を経由し取引を行う必要があるとしています。 したがって、税関も、現地法人のある外国企業の保税倉庫利用を認めるのではないかと考えています。
  • 税関
  • 2023.12.04
  • EPE・保税取引
  • 税関一般
外国からの貨物を保税倉庫に置いたまま所有権を移転することの可否
こちらのケースに対して、工商省の2020年10月20日付レター第1147/XNK-CN号により、以下が商工省の意見となります。 (i) 商法の第3条第8項および通達第38/2015/TT-BTC号の第91条第8項により、保税倉庫での所有権移転は、物品売買とみなされます。 参考条文: LAW ON COMMERCIAL Article 3. Interpretation of terms 8. Purchase and sale of goods means a commercial activity whereby the seller is obliged to deliver goods, to transfer ownership in goods to the purchaser and to receive payment; and whereby the purchaser is obliged to pay the seller and to receive delivery of and ownership in the goods in accordance with an agreement. CIRCULAR NO. 38/2015/TT-BTC (AMENDED) Article 91. Customs management of goods entering and dispatched from bonded warehouses 8. The transfer of ownership of goods in bonded warehouse shall be carried out by goods owner upon sale of goods as prescribed in Clause 8 Article 3 of the Law on Commerce.   (ii)   外国貿易管理法の第5条第2項第c号および政令第09/2018/ND-CP号の第3条により、外資企業は、輸出手続きを実施した場合に限り、物品売買(保税倉庫における所有権移転が含まれる)を行うことが可能です。 参考条文: LAW ON FOREIGN TRADE MANAGEMENT Article 5. Right to freedom of export and import business (c) To exercise the right to import goods from overseas into Vietnam to sell to business entities which have the right to distribute such goods in Vietnam in the form of using their names in the declaration form for imported goods in order to conduct and to be responsible for the import procedures. The right to import does not include the right to organize or participate in the goods distribution network in Vietnam. DECREE NO. 09/2018/ND-CP Article 3. Definitions 3. Right to import means the right to import goods from foreign countries into Vietnam for sale to business entities which have the right to distribute such goods in Vietnam, and includes the right to provide one’s name on the goods import declaration in order to conduct procedures relating to import and to bear liability for such conduct. Right to import does not include the right to organize or participate in a goods distribution system in Vietnam, unless the law of Vietnam or an international treaty of which Vietnam is a member stipulates otherwise. 上記の規定に基づいて、商工省は、ベトナム企業への保税倉庫における販売のため、外資企業が輸入手続きを実施する必要があると解釈しています。
  • 税関
  • 2022.12.07
  • EPE・保税取引
EPEが販売後にEPE内で商品を保管し、買主の希望の時期に引き渡すことの可否について教えて下さい。
EPEが製造した商品について、販売時までEPE名義で自社保管することには、現行法に沿って、法的な問題ありません。 一方、当該商品をベトナム国内・国外に販売後、所有権が移転したにもかかわらず、EPE内で販売先名義で保管することは可能なのでしょうか。 改正された通達第38/2015/TT-BTC号の第75条および第86条により、EPEがOn Spot輸出の通関手続きを完了し、商品を引き渡す期限が規定されておらず、明確ではありません。 そのため、法令上、EPEが販売した後にその商品を保管し、買主と合意した時期に通関手続を行うことのできる可能性はありますが、実務上認められるのかどうかについては現状において不明ですし、地域の税関によって対応が異なる可能性もあります。 実務上、販売と配送時期のズレが一般的とはいえませんから、担当の税関当局と確認するのが望ましいです。
  • 税関
  • 2022.12.05
  • EPE・保税取引
EPEが販売後にEPE内で商品を保管し、買主の希望の時期に引き渡すことの可否について教えて下さい。
EPEが製造した商品について、販売時までEPE名義で自社保管することには、現行法に沿って、法的な問題ありません。 一方、当該商品をベトナム国内・国外に販売後、所有権が移転したにもかかわらず、EPE内で販売先名義で保管することは可能なのでしょうか。 改正された通達第38/2015/TT-BTC号の第75条および第86条により、EPEがOn Spot輸出の通関手続きを完了し、商品を引き渡す期限が規定されておらず、明確ではありません。 そのため、法令上、EPEが販売した後にその商品を保管し、買主と合意した時期に通関手続を行うことのできる可能性はありますが、実務上認められるのかどうかについては現状において不明です。また、地域の税関によって対応が異なる可能性もあります。 実務上、販売と配送時期のズレが一般的とはいえませんから、担当の税関当局と確認するのが望ましいです。
  • 税関
  • 2022.07.20
  • EPE・保税取引
EPEの国内販売を認める法令上の根拠を教えて下さい。
政令第35/2022/ND-CP号(以下、「政令35」という)の第2条第20項および第21項により、EPEは、輸出加工区、工業区または経済区において輸出加工活動を行う企業であるとされています。 そのため、本来は輸出を目的に加工することが前提とされています。 《政令35/2022/ND-CP号の第2条第21項》 Export processing enterprise means an enterprise which conducts export processing activities in export processing zones, industrial zones or economic zones. 《政令35/2022/ND-CP号の第2条第20項》 Export processing activity refers to a specialized act of manufacturing of exported commodities and provision of services for production of exported products and exportation.   もっとも、法令上、EPEの国内への販売についても明記されています。 記載されている活動として、(i)生産し、国内市場に輸出・販売すること、(ii)輸入権、輸出権および販売権に基づき販売すること、および(iii)資産清算の国内販売があります。 ■生産した貨物を国内へ輸出・販売する権利 政令35の第26条第11項により、EPEは、国内市場へ貨物を販売できることになります。 《政令35/2022/ND-CP号の第26条第11項》 Export processing enterprises may sell goods into the domestic market. Goods imported from export processing enterprises or export processing zones into the domestic market shall be subject to taxes in accordance with law on customs duties. それに加え、政令第08/2015/ND-CP号により、EPEが国内企業へ商品を販売するためには、On-Spotの通関手続を通じて行います。 《政令08/2015/ND-CP号の第35条第1項第b号》 Article 35. Customs procedures that must be followed by on-the-spot exports and imports 1. On-the-spot exports and imports shall include: b) Those traded under the sale and purchase contract between domestic enterprises and exporting and processing enterprises or enterprises located in free trade zones; 上記のOn-Spotの通関手続は、改正された通達第38/2015/TT-BTC号(以下、「通達38」という)の第75条および第86条により、詳細的に案内されています。手続きの詳細的な規定なので、こちらで引用しません。 ■輸入権、輸出権および販売権に基づき販売する権利 政令35の第26条第6項により、明確ではないが、一般的にEPEは、販売が含まれる他の経営活動を行えることになります。 《政令35/2022/ND-CP号の第26条第6項》 6. Export processing enterprises may perform other business transactions under law on investment, law on businesses and relevant regulatory provisions, and ensure conformance to the following requirements: a) Areas intended for storage of goods needed for export processing activities must be separated from the others; b) Revenues and expenses related to export processing and other business activities must be recorded separately; c) Using property, equipment and machinery obtaining tax incentives applied to export processing enterprises for other production and business activities must be prohibited. In case of using property, equipment and machinery obtaining tax incentives applied to export processing enterprises for other production and business activities, tax incentives granted in the form of tax reduction or exemption according to law on taxes must be reimbursed. また、通達38の第77条により、EPEは、条件を満たせば、販売とその関連活動を行えると規定しています。 《通達第38/2015/TT-BTC号の第77条第1項》「EPEs that are permitted to engage in goods trading and activities directly related to goods trading in Vietnam as prescribed in the Government’s Decree No. 23/2007/ND-CP dated February 12, 2007 must record them separately from manufacturing; a separate area must be provided for storing exports or imports by the right to import, right to export, and right to distribute.」 ■ 資産清算における国内販売権利 政令35の第26条第4項第c号および通達38の第79条第1項により、資産清算の場合、EPEは国内市場に中古の資産(輸入した機器、車両、原材料など)を販売できます。 《政令35/2022/ND-CP号の第26条第4項第c号》 Export processing enterprises may sell or liquidate used property and goods into the domestic market under the provisions of law on investment and other regulations of relevant legislation. At the time of selling or liquidating them into the domestic market, if export or import management policies do not apply, except to the extent that they are put under the control under regulatory requirements or standards, and the specialized inspection that have not yet been carried out upon arrival; the goods are subject to the permit-based management requirements, import thereof must depend on the written consent from the licensing agency. 《通達第38/2015/TT-BTC号の第79条第1項》 An EPE may liquidate the following imports: machines and equipment, vehicles, raw materials, supplies and other imports under its ownership by means of export, sale, donation or destruction in Vietnam.
  • 税関
  • 2016.05.04
  • EPE・保税取引
EPE(輸出加工企業)在庫管理のための3ヶ月レポート(2016年以降提出義務なし)について教えてください。
EPEにおいては、保税で原材料等を輸入できるため、それが全て輸出されているか、輸出されていないのであれば申告納税がなされているかどうかが非常に重要となります。 現在の事後検査の強化においても、税関が把握する原材料(税関在庫)と、会社に実際にある原材料(会社在庫)の差に対して、多額の関税及びVATがかけられることが相次いでいます。   どのような貨物が、いつ、どの程度、輸出又は輸入されたかがわからない場合、InとOutのバランスを見ることはできません。 これに関して、旧税関法(2015年1月1日廃止)では、「原材料の受入・払出・残存報告表」の作成を義務付け、原則として3ヶ月に1回税関に対して報告が必要とされていました(優遇された企業、税関総局が認めた企業の場合のみ毎年 での報告が可能)。 これを便宜上「3ヶ月レポート」と呼びます。   なお、新税関法令下では3ヶ月レポートの作成・提出義務はなく、決算期ごとに提出する決算レポートに変更されています。 3ヶ月レポートは以下のようなものです。 番号 原材料名/コード 輸入した原材料 輸出製品の生産に使われた原材料 再輸出する原材料 原材料の期末残高 輸入申告書 単位 輸出製品名/コード 輸出申告書 単位 製品ユニット当たりの原材料の使用量(歩留を含む) 輸出製品の生産に使われる原材料量 輸出申告書(番号;記号;申告日) 原材料の再輸出する量 番号;記号;登録日 手続完了日 原材料の輸入量 原材料の期首残高 番号;記号;登録日 手続完了日  輸出量 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17)      
  • 税関
  • 2016.05.04
  • EPE・保税取引
EPE(輸出加工企業)は国内販売をすることができますか。できるとして制限があるでしょうか。
EPE(Export Processing Enterprises)とは、 ①EPZ(輸出加工区)内で設立され、操業している企業、又は、 ②工業団地内若しくは経済区内で操業し、製品すべてを輸出する企業 を指します。 しかし、後述のとおり、国内販売が可能となっているため、②の定義と矛盾する状況となっています。 EPEの定義からすれば、すべてを輸出するからこそ保税取引できるのが本来の趣旨ということになります。 もっとも、Decree、Circular等で、以下のように国内販売が前提となっているものが多くあり、法令上・実務上国内販売できているのが現状です。 Decree108号 15 条. 輸出加工企業及び国内市場の間の貨物売買の権利 2. 輸出加工企業は下記の貨物を国内市場に販売することができる。 a) 輸出加工企業が生産し、かつ、輸入禁止に該当しない製品。 b) 輸出加工企業が生産したが、国内市場の需要がある製品。 c) 商業に関する法令及び関連する法令の規定に基づいて、輸入禁止に該当せず、又は、輸入許可に該当しない、生産過程で得られた廃料、廃品。 Circular38号 第75条第3項 第75条.EPEの輸出入商品に対する税関手続 3. EPEと国内企業との間の売買商品 EPE、国内企業は本通達の第86条に規定されるOn-the-spot輸出、輸入手続に相応する形態で通関手続を実施する。   上限等が決まっているわけではないですが、ヒアリングでも国内販売が多くなり過ぎるとEPEの意味がなくなることや、保税設備での製造ができることで不合理な優遇となってしまうことから、EPEのライセンスを没収する可能性があるとの回答がありました。 そのため、国内販売に注力する場合にはあまり量が増大しないように注意が必要があります。 一般的には全体の2割程度に収めている企業が多いと思われます。
  • 税関
  • 2016.01.08
  • EPE・保税取引
中古機械・設備の輸入規制に関する新Circular(23/2015/TT-BKHCN)(2015年11月13日付)
施行が見送られていたCircular20/2014/TT-BKHCNに代わり、2015年11月13日付けでCircular23/2015/TT-BKHCNが出されました。 このCircularによれば、以下の2要件が中古機械・設備の輸入に求められることになりました。 ①製造から10年以内 ②ベトナム国家技術基準・国家規格又は安全・省エネ及び環境保護に関するG7各国の同等の基準に基づき製造された機械・設備であること なお、投資の際に、予め当局から認可を得て中古機械を輸入できる例外も定められていますが、既存のプロジェクトに関しては影響がないということになります。   結局、従来のCircularにあった10年要件は残り、質の基準のパーセンテージ要件はなくなったものの一定の基準を満たす必要があるとされました。 中古機械・設備を輸入する場合、減価償却の終わった10年よりももっと使用している中古機械を輸入したい場合も多いため、10年の要件が残ったことで企業側にはいまだ厳しい規定といえます。 また、質の基準についても今後どのような運用となるのか不明確な部分が多く、今後の運用が心配です。 本規定は、2016年7月1日からの施行となります。   従前の議論を確認するために、施行されなかったCircularの内容とその議論を記載しておきます。 2014年7月に科学技術省から発布され、同年9月の施行が予定されていたCircular No.20/2014/TT-BKHCN(Circular20号)は、海外からベトナムへの中古機械・設備の輸入を規制する内容でした。 もともとは、一定の国から質の悪い中古設備が流入していることに対抗するものでしたが、その規定の曖昧さや、外資の流入を防ぐという観点からの批判が大きく、施行が延期されていました。 具体的には、前回の草案段階で、中古の機械・設備について、使用された期間が5年を超えず、新品の8割以上の 品質である等の条件を満たす場合に輸入を認めるとされており、この規定が批判のまとになっていました。 それに代わり新たな草案3号が発表され、2015年7月1日から施行することが発表されました(結局、これも上記のとおり変更されるわけですが)。   修正後のの案では、ベトナムに輸入する機械・設備は、10年以内の設備でなければならず、かつ新しい機械・設備の80%に相当するものでなければならないとされました。 批判を受け、前回5年以内とされていた要件が、10年以内と緩和されたというところに大きな特徴があります。 2015年3月18日に、Circular20号の新案についてセミナーが開催されましたが、Circular20号は経済発展・外国投資を阻害するものとして不要であるという理由で、専門家、ローカル企業・外資企業の代表からは反対の意見が続出していました。   では、どのような阻害要因があるのでしょうか。 不合理・非現実的とされている規定として挙げられているのは、上述のベトナムに輸入する機械・設備は、10年未満の設備でなければならず、かつ新しい機械・設備の80%に相当するものでなければならないとされている部分です。   ■10年以内 ローカル企業・外資企業の代表の意見によると、当該機械・設備の年数(10年以内)に関する規定は、不合理かつ非現実的と言われています。 多くの設備、電気機器等は10年以上経過しており、ドイツ、日本、アメリカでは20年以上場合によっては100年も使われるものもあると言われています。特に、印刷や織物の分野ではこのような特徴が顕著です。 このような機械の中には、新製品を確保し、輸入することが現在では困難になっているものあります。   ■80%の質 また、中古機械・設備の質に関する規定については、新しい機械・設備の80%に相当する必要があるとされていますが、各国家では質に関する異なる基準があり、このような評価をすることが不適当かつ実行困難であると考えられます。 例えば、一定の国からの新しい機械は日本やドイツからの中古の機械・設備にも劣る場合があるといったようなことも企業からの声としてあがっています。 さらに、ベトナムでは機械の質に関して国家基準が発達していないため、ベトナムに輸入されたときに中古機械・設備の残存している質を判定する国家基準がありません。   Circular20号においては、検査機関が独自の評価基準を作成すると記載されていますが、この基準に関して検査機関と企業との間で大きな認識の相違が生じることは間違いないと思われます。 の外国投資家は高いコストのかかる国から、労働単価の低い発展途上国に生産ラインを移動させようとしていますが、複数国から中古設備を導入するような場合等にはこの中古設備規制が重くのしかかり、ベトナムへの投資を見合わせるという自体にもなりかねません。   上述のとおり、2016年7月施行のCircularでは10年の要件は残りました。 今後の運用に注目したいと思います。
  • 税関
  • 2016.01.04
  • EPE・保税取引
EPE(輸出加工企業)の実在庫と税関在庫の不一致による関税・VATの課税の仕組を教えてください。
2014年くらいから、EPEに対して、実在庫と税関在庫の不一致を理由に追徴課税されることが急増しています。 EPEとは、英語のExport Processing Enterprises、日本語の輸出加工企業の略称であり、 ①輸出加工区内で設立され、操業している企業、 又は、 ②工業団地内若しくは経済区内で操業し、製品すべてを輸出する企業 のことを指します。 EPEは、EPEにINする原材料等について、国外にOUTすることを条件に、関税及び付加価値税(VAT)をかけないまま取引ができています(=保税)。 しかしながら、このINとOUTの不一致を指摘され、その部分に課税されることで大きなインパクトになる例が出てきており、注意が必要になっています。   そもそも、なぜINとOUTの量がずれると課税されるのでしょうか。 EPEは、INされた貨物をOUTすることを条件に保税取引をしているわけですから、OUTできていない(と税関に認識される)場合、その貨物についてはベトナム国内に販売されたのと同様に認識されてしまいます。 通常の企業であれば、ベトナム国内に売る場合は関税とVATを支払って輸入しているため、EPEがOUTできなかった貨物についても通常の国内輸入同様に関税とVATを払うべき、ということになります。     ここでは基本的な解説に留めますが、不一致の主な原因は以下のとおりです。 1)税関在庫と会社実在庫とが、別途管理されていること 2)会社実在庫の変動が、税関在庫に反映されていないこと   まず、INについては、税関も基本すべて把握しており、会社もそのまま処理するため、税関と会社の認識に相違がないのが通常です。   しかし、OUT部分の認識は異なります。 上述1)の部分ですが、税関は、EPEの在庫について、3カ月に1回EPEから提出されるレポート(2014年度まで)又は1年に1回の決算レポート(2015年度から)に基づいて税関在庫を把握しています。 このレポート管理・作成には、税関の電子システムと結びついたソフトが使われているのが通常です。   これに対して、会社の実在庫は管理すべき項目が異なるため、各企業において管理ソフトが導入されており、税関へのレポート作成のシステムとは別途管理されているのが通常です。 これがズレの前提になっています。   このズレの原因があったとしても、会社在庫の変動をその都度税関在庫に反映できていれば問題ないわけですが、厳密にそのような管理をすることは難しく、またEPEによってはそのような管理が意識されていない場合もあります。   反映できていな主なズレの原因は以下のようなものです。 ・税関に報告している製品ごとの原材料の標準使用量(Production Norm)と、実際の歩留り率の相違 ・不良品、かけら部材等の処理を、税関在庫に反映していない etc…   さらに、会社によっては 3)会社システム上の在庫と実在庫との不一致 があり、二重のズレが生じている場合もあります。 上述のように、INしたのにOUTしていない場合には、その部分について関税とVATを納めていないので、 1)関税とVATの課税 がなされます。 また、 2)脱税したことによる罰金(違反の性質、程度に応じ、脱税金額の1~5倍) 3)本来申告すべき時点からの利息 も課されることになります。 さらに、 4)多額の脱税行為があった、若しくは脱税行為に対する行政処罰を受けたにもかかわらず、再び違反した場合、法定によって刑事責任 も追及される可能性があります(刑法第153条、154条)。 密輸罪となるため、最高で「12年以上20年以下の懲役、無期懲役又は死刑」もありえます。 実際は、まだEPEのズレでこのような刑罰は聞いたことがないですが、法令上は可能性があるということになります。
  • 税関
  • 2015.12.04
  • EPE・保税取引
EPE(輸出加工企業)において保税で輸入した原材料等が生産過程のミス等で不良品となった場合、どのように処理すべきですか。
この場合、Circular04/2007/TT-BTMによれば、機械、設備、輸送手段、材料、副資材及びその他の輸入貨物を、輸出、ローカルマーケットへの売却、贈与又は廃棄の方法によって清算することが可能とされています。 下記については担当税関によって対応が異なる可能性も高いため、都度確認すべきです。 国内に販売できるスクラップ・廃棄物はCircular 01/2013/TT-BTNMTの付録IIにリストアップされており、このリストに入っていなければ国内に販売できません。 原則としては、目的変更の手続が必要となります(Circular38号第21条参照)   なお、以下の加工契約に関する規定はEPEには適用なしと考えられます; ・加工契約のための原材料(64条) →加工のために輸入した不要になった原材料が輸入量の3%を超えない場合、国内市場へ販売するときには目的変更のための税関手続は免除  →法律に従って税金は申告・納税しなければならない。 ・輸出製品の製造のための商品(71条) →実際の標準使用量の範囲内の廃棄物及びスクラップについて、国内市場に販売される場合、何らの税関手続を要しないが、法律に従って税金は申告・納税しなければならない。 →実際の標準使用量の範囲を超えた廃棄物及びスクラップについて、国内市場に販売される場合、税関手続を要求され、かつ、法律に従って税金は申告・納税しなければならない。   条件は以下のいずれかを満たすことです。 ①それらが不要になった場合又は在庫として残っている場合 ②要求水準を満たしていない場合 ③製造及び企業の経営活動に適合しなくなった場合 必要書類: ・再輸出する理由を具体的に説明する企業からのオフィシャルレター ・輸出税関申告書 ・返却先がサプライヤーの場合、サプライヤーが当該材料の返却に合意することを示す書面(契約書ではない) →もっとも、実務上は難易度が高い場合も   Circular38号第72条等によれば、材料、物資を輸入した税関支局に対し、廃棄の場所、方法を通知します。 廃棄する際は、環境保護の法律に基づいて廃棄を行います。   また保税状態になっていた輸入税について納税する義務を負うことになります。 なお、優先企業の場合、企業は自ら廃棄をでき、税関機関は監視しないと規定されています。   機械・設備の廃棄については、Circular38号第79条の除却手続に従うこととなっています。 償却期間が過ぎていれば簡単に処分することが可能です。