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労働者が研修後1年で退職してしまいました。研修費用の返還請求は可能ですか。

  • 2016.04.25
  • 労務
  • 労務管理

会社の費用でベトナム人労働者を一定期間日本等で研修させることがよく行われます。このような労働者がベトナムでの勤務に復帰後すぐに退職することを防止するため、退職時の研修費用の返還について会社と労働者の間で合意するケースが見られます。 研修費用返還のルールについて、労働法は以下のとおりになります。 まず、労働法第43条は、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」させた場合の労働者の義務を規定しますが、同条第3項は、「(労働者は)本労働法第62条に従って使用者に研修費用を返還しなければならない。」と規定します。 そして、労働法第62条以下では、両当事者が職業研修契約を締結しなければならないとされ、その内容として以下のものを規定しています。 a)研修する職業。 ...

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在宅勤務をする従業員の給料を減額することはできますか?
在宅勤務をする従業員の給料を減額するといった運用は可能なのでしょうか。本稿は在宅勤務をする従業員について減給することが問題ないか、減給ができるとしてどのような点に注意すべきか、どのように運用すべきかといった点について分かりやすく解説します。   目次1.減額は問題ないか2.最低賃金規制との関係3.運用について 原則として、在宅勤務を理由に、使用者が一方的に賃金を減額することはできません。 賃金や就業場所は労働契約の主要条項であり、変更には当事者の合意が必要です。合意なく減額すれば適切に支払っていないことになり(ベトナム労働法45/2019/QH14第94条、第95条)、行政制裁を受けたり、労働者からの予告なし解除されるリスクがあります(労働法第35条2項b)。紛争にも繋がる可能性があります。 従業員との間で合意する場合には、少なくとも3労働日前に通知し、合意できた場合は契約付属書の締結または新契約の締結で変更する必要があります。合意できなければ現契約のまま継続です(労働法第33条)。 1の合意をしたとしても、最低賃金を下回る減額はできません。 労働法90条1項・2項においては、「職務・職位に対する賃金=基本給」について最低賃金を下回ることはできないと記載があるため、基本給自体について減給する場合には、減給後の基本給が最低賃金を下回らないようにすることが必要です。 あくまで(手当やその他の金銭は含まない)基本給に関する定めであるため、手当を含めて最低賃金を上回ったとしても違反となることに注意が必要です。 その他の手当てについては、通勤を前提とする手当についてのカットは問題となりにくいですし、それ以外の手当てについても労働者と合意のうえ減額することは可能です。 *控除による減額 在宅勤務を理由として一方的に賃金を控除することはできません。賃金からの控除は、事業主の資機材等に損害を与えた場合の損害賠償など限定事由に限られ(労働法第102条1項・第129条)、控除総額は月の手取りの30%上限となっているためです。前述の通り、合意の上契約を改定してから減額する必要があります。 *参考となる条文 ベトナム労働法では、災害などの突発的事情がある場合の配転の場合には、30労働日は旧賃金維持、以後の新業務の賃金は少なくとも旧賃金の85%かつ最低賃金以上という下限が定められています(労働法第29条3項)。在宅勤務自体に適用がある条文ではありませんが、制度設計の際の参考になります。   法令上は在宅勤務を含めた柔軟な制度設計が推奨されている(労働法135条2項)ため、運用には注意する必要があります。 前述のように、減額自体は労働者の合意があれば可能ではありますが、業務上の支障がない場合にはできる限り在宅勤務を含む柔軟な職場環境設計が望ましいです。 最低賃金の基礎となる「賃金」とは?(基本給のみで最低賃金水準を超えていなければならないかどうか。) 【2021年労働法】従業員の給与を天引きすることは、ベトナムの法律上問題ありませんか。
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目次1. シフト制の定義2. シフト勤務間の間隔について3. シフト勤務時における有給の休憩時間1)有給の休憩が発生するシフト勤務の定義2)時間外労働と休憩時間の労働時間への算入 ベトナムにおいてシフト制勤務とは、「少なくとも二人または二グループ以上が、24時間以内に同じ仕事(作業)位置で、交代で仕事(作業)をするよう配置すること」をいいます(政令145/2020/ND-CP号(以下「政令第145号」といいます)第63条第2項)。上記でいう「同じ仕事位置で」とは原文では“trên cùng một vị trí làm việc”と記載されており、必ずしも意義が明確ではありません。したがって、二つ以上の勤務時間帯を設けている工場勤務や24時間対応のコールセンターなどの他、日勤勤務の他に夜間勤務帯(例えば外国企業への対応のためなど)を設けている事業形態についてはオフィス勤務であってもシフト勤務制に関わる規制について留意する必要があると考えます。 シフト制で勤務する労働者に対しては、次のシフトに勤務するまでの間に最低でも12時間の休息を与えなくてはなりません(法律第45/2019/QH14号(以下「労働法」といいます)第110条)。したがって、日勤のあとに立て続けに夜勤を、また反対に夜勤の後に立て続けに日勤に従事させることはできません。 例 日勤と夜勤の勤務帯があるA社の場合 シフトA:8:00~17:00(休憩12:00~13:00) シフトB:20:00~5:00(休憩:0:00~1:00) この場合、シフトAが終わった同日にシフトBに従事させた場合、また反対にシフトBの終了後にシフトAの勤務を行う場合、それぞれの勤務間が3時間しかありません。したがって、上記の労働法第110条の規定に抵触することになります。 労働法第109条第1項に、「労働者がシフト制で6時間以上連続して勤務する場合休憩時間は労働時間に算入される」と規定されております。 上記の規定については“労働者がシフト制で6時間以上連続して勤務する場合”とは一人の労働者が休憩時間をおかずに6時間休みなしで働くことを指しているのか、それともその他の場合をいうのか必ずしも意義が明確ではありません。 この点について、政令第145号第63条第2項に規定があります。 同規定によれば、 (a) 従業員が6時間以上のシフトで勤務している場合(同規定にはベトナム語で連続を意味する“liên tục”の記載がないので、休憩時間を含めて6時間以上の勤務だと解されます) (b) 近接する二つのシフト帯の間隔が45分を超えない場合 の二つを満たす場合が、労働法第第109条第1項の「労働者がシフト制で6時間以上連続して勤務する場合」に当たると記載されています。 したがって、 シフトA:8:00~17:00(休憩12:00~13:00)  シフトB:17:00~25:00(休憩:19:00~20:00) のようなシフトの場合、上記の休憩時間も給与が発生してしまうので注意が必要です。有給の休憩時間が発生してしまう場合、日勤場合は、最低30分、夜勤の場合は最低45分を有給の休憩時間として設定する必要があります(政令第145号第64条第2項)。有給の休憩の発生を避けるためには、一つのシフトの勤務時間を6時間以下にするか、シフト間の間隔を45分を超えて設定する必要があります。 上記のとおり、労働法第109条を休憩時間も労働時間に算入されると規定されています。それでは、上記のようなシフトAについては、労働時間が9時間とされて、1時間分は時間外労働と判断されてしまうのでしょうか。労働法第105条第1項が通常の労働時間(時間外手当が発生しない労働時間)を8時間としていることから、休憩時間の1時間の取り扱いについて論点となり得ると考えます。 論理的に考えれば、上記シフトAの休憩時間については労働を行っていないので、これが時間外労働と見做されるのはおかしいですが、労働法第109条は休憩時間について、労働時間に算入される(原文:được tính vào giờ làm việc)と規定されています。そのため、文言の解釈としては、上記の1時間は労働時間に含まれると判断される恐れがあります。そのため、シフト制で有給の休憩時間が発生してしまい、なかかつ時間外手当の発生を避けたいと考える場合、休憩時間を含めた全体の労働時間を8時間以内にすることが望ましいと考えます。
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