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ベトナムにおいて労働者が車両を使用して業務を行う場合に、企業が注意すべきポイント

  • 2024.12.24
  • その他企業法務
  • 労務管理

1. はじめに ベトナムでは、車両を用いた業務中に事故が発生した場合、企業(使用者)が損害賠償責任を負う可能性が高いとされています。これは日本の「使用者責任」に近い考え方であり、ベトナム民法(2015年民法)第597条により、従業員が業務遂行中に第三者へ与えた損害については、企業が一定の責任を負うものと解されます。 また、業務中の事故が労働者自身に対しても発生する場合には、労働災害として認定される可能性があり、企業には所定の補償や保険手続きなどの義務が生じる場合があります。 2. 使用者責任のポイント 2-1. 業務遂行中の事故かどうか •業務時間中・業務場所における事故 労働者が業務目的で車両を運転している最中に事故が発生した場合、企業が第三者に対する賠償責任を負う可能性が...

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ベトナムにおいて労働者が車両を使用して業務を行う場合に、企業が注意すべきポイント
ベトナムでは、車両を用いた業務中に事故が発生した場合、企業(使用者)が損害賠償責任を負う可能性が高いとされています。これは日本の「使用者責任」に近い考え方であり、ベトナム民法(2015年民法)第597条により、従業員が業務遂行中に第三者へ与えた損害については、企業が一定の責任を負うものと解されます。 また、業務中の事故が労働者自身に対しても発生する場合には、労働災害として認定される可能性があり、企業には所定の補償や保険手続きなどの義務が生じる場合があります。 •業務時間中・業務場所における事故 労働者が業務目的で車両を運転している最中に事故が発生した場合、企業が第三者に対する賠償責任を負う可能性があります。 •業務以外の私的行為による事故 たとえば、業務とは無関係に私的な用事で車両を使用中に起きた事故は、企業の責任が必ずしも認められない場合があります。 ベトナムで事故が発生した場合は、当事者同士の過失割合に応じて損害賠償額が決定されます。企業側が被害者に対してまず賠償を行うものの、従業員に重大な過失・故意があった場合には企業が従業員に対して一部の求償を行うことも考えられます。ただし、実務上は事故の事実認定や過失割合の確定に時間や手続きがかかるため、迅速な初動対応が重要となります。 労働者が業務上の事故で負傷した場合、以下の要件を満たせば「労災」として認定され、企業には補償や保険に関する義務が生じることがあります。 1.事故発生の場所・時間・状況が業務と関連しているか ・職場および労働時間中に発生した事故 ・雇用主の指示に基づき、職場以外または労働時間外に発生した事故 ・出退勤中の事故(適切なルート・時間での移動に限る) 2.事故によって労働能力が5%以上喪失すること 3.事故原因に、以下のような業務と無関係の行為や労働者の故意が含まれないこと ・業務に関係しない喧嘩 ・労働者が故意に健康を害した行為 ・麻薬等の薬物を使用していた場合 ・通達26/2017/TT-BLDTBXH号第11条に規定するその他の除外事由 上記要件を満たす場合、労働者は労災と認定され、企業には必要な手当や保険の手続きを速やかに行う義務が生じます。また、労災認定手続きはベトナム労働当局との調整が必要となるため、専門家への相談が有用です。 ・対人・対物賠償の補償 従業員が運転中に第三者に損害を与えた場合、企業が責任を負わなければなりません。自動車保険に加入しておくことで、保険会社による補償を受けることができ、企業リスクを軽減できます。 •個人所有車両か、会社所有車両かの確認 個人所有車両の場合でも、業務使用を想定した保険特約が必要となる場合があります。一方、会社所有車両であっても、任意保険に十分な保証額で加入していなければ、企業のリスクが大きくなります。 •労働災害補償と健康保険の適用 労災として認定されると、企業負担の補償義務や社会保険・健康保険からの給付が適用されます。もし未加入や不備がある場合は、企業に対して行政処分が科されるリスクがあります。 業務中の車両使用ルールや安全運転ガイドラインを社内規程として明文化し、従業員への周知を徹底することが重要です。 出張や営業活動など、車両利用が想定される業務については、事前の安全教育・研修を実施することが望ましいです。 事故発生時には、現場対応(警察・救急への連絡、証拠保全など)や社内報告のフローを確立しておきます。 迅速な初動対応を行うことで、過失割合や事実認定が不利にならないように留意する必要があります。 車両保険・労災保険ともに、補償額や保険金の支給条件を定期的に確認し、必要に応じて保険内容を見直します。 労働者の業務範囲や車両の使用頻度に合わせ、最適な保険プランを選択することが重要です。 労働者が負傷した場合は、迅速に治療を手配し、適切な補償・手続き(労災認定申請等)を行うことで、企業としての法的リスクや労働者とのトラブルを低減できます。 再発防止策の検討・実施も重要です。事故原因の分析や研修強化を行い、二次被害を防ぐように努めます。 ベトナムでの車両使用業務は、第三者に対する損害賠償責任と労働者自身の労災リスクの両面で、企業にとって大きな法的リスクを伴います。特に、使用者責任(ベトナム民法第597条)と労災認定の要件を正しく理解し、適切な保険加入、社内規程の整備、事故時の迅速な対応が不可欠です。 企業としては、万が一事故が発生した場合の影響を最小限に抑えるため、定期的な保険の見直しや従業員教育を行い、未然にトラブルを防ぐ姿勢を社内全体で徹底していくことが望ましいといえます。