SNSの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPについて(2024年12月25日施行)
- 2024.11.13
- コラム
- CastGlobal
2024年11月9日、ベトナム政府がSNSの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPを公布しました。
この政令は2024年12月25日から施行され、6章84条で構成されており、インターネットサービスと情報管理に関する重要な変更を含んでいます。本コラムでは主要な概要について説明します。
目次
主要な内容について
1. ソーシャルメディアアカウントの認証
- 施行日(2024年12月25日)から90日以内に、すべてのユーザーは、ベトナムの携帯電話番号で認証する必要があります。
- ベトナムの携帯電話番号を持っていない場合のみ、個人識別番号での認証が可能です。
- 商業目的でライブストリーミングを行う場合は、個人識別番号での認証が必須となります。
- 認証済みアカウントのみが投稿、コメント、ライブストリーミング、情報共有が可能となります。
2. 未成年者のアカウント管理
- 16歳未満の子供がソーシャルメディアを使用する場合、親または保護者が自身の情報で登録し、子供の投稿内容を監督・管理する必要があります。
- ゲーム発行者は 18 歳未満のプレイヤーのプレイ時間を各ゲーム 60 分以内に管理する必要があり、また、 18 歳未満のプレーヤー向けに企業が提供するすべてのゲームは、1 日あたり 180 分を超えてはなりません。
- ゲームプロバイダーは、年齢ごとのゲーム分類結果を継続的に表示するための技術機器システムを備えている必要があり、 「1 日 180 分を超えるプレイは健康に悪影響を及ぼします」という内容の警告情報を、ゲームのフォーラム およびプレイヤーのデバイス画面の目立つ場所に 30 分ごとの頻度で投稿する必要があります。
- プレイヤーが 16 歳未満の場合、親または保護者がその情報を使用してアカウントを登録し、プレイ時間とアクセスしたゲームコンテンツを監視および管理する責任を負います。
3. 国内ソーシャルメディアの企業の責任
- コンテンツおよび情報管理部門と技術管理部門があります。コンテンツと情報の管理責任者はベトナム国籍である必要があります。
- 明確で連絡可能な住所と電話番号を備えた本社があります。
- サーバーをベトナム国内に置く
- その他詳細な技術的要件についても記載されています。
4. インターネットサービスプロバイダーの責任
- 違法なオンライン情報を監視、収集、検出するための措置を講じる責任があります。
- ユーザーの情報、ログイン・ログアウト時間、IPアドレス、投稿情報の処理ログを最低2年間保存する必要があります
5. ドメイン名の管理
- ベトナム国内のドメイン名(.vn)の管理規定が更新されました。
- 18歳から23歳のベトナム国民は、.id.vnドメインの登録に優先権が与えられます。
- 企業や個人事業主は、.biz.vnドメインの登録に優先権が与えられます。
6. インターネットアクセスポイントの規制
公共のインターネットアクセスポイント(インターネットカフェなど)の運営条件が明確化されました。
国境を超えた事業者への規制
本政令では23条で、クロスボーダーの事業者(国外からの事業者)についても規制を明記しています。
なお、ソーシャル・ネットワーキングを行う場合には、ベトナム政府(具体的には情報通信省)に対して連絡先情報を通知する必要があります。この通知に基づき、ベトナム国内でのライブ配信機能の提供や収益を伴うサービスの提供が許可されます(24条)。
1. 一般的な遵守義務
- 国外の組織、企業、個人がベトナム国内で情報を提供する場合、本政令およびベトナム関連法令に従わなければならない。
- 特に、オンラインゲームを提供する場合には、追加で第37条第4項に従う義務がある。
2. 違反があった場合のベトナム当局の措置
- ベトナム当局は以下の状況で技術的措置を実施する権限がある。
- 国外事業者がベトナムの法律に違反する情報を提供した場合。
- ベトナム政府(情報通信省や公安部)との協力を拒否し、違法情報の処理を行わない場合。
3. ベトナム向けに一定の条件を満たす事業者への追加義務
ベトナムからのアクセスが毎月100,000回以上ある、またはベトナム国内にデータストレージを利用している事業者は、以下の責任を負う必要があります。
- 連絡先の通知:
ベトナムのストレージサービス利用開始後60日以内に、情報通信省へ連絡先を通知する必要があります。 - 違法情報の監視と削除:
ベトナムの「ネットワークセキュリティ法」(Luật An ninh mạng)第8条に基づき、違法とされる情報、サービス、アプリを監視し、削除する必要があります。 - コンテンツ提供の制限:
ベトナムの著作権に準じて、ベトナムの報道機関からの情報を引用する場合には、事前に報道機関とコンテンツ使用についての協定を締結しなければなりません。合意が得られない場合、報道機関からの情報を引用または表示してはなりません。 - 利用者情報の保存と提供:
ベトナムのSNS利用者の情報(氏名、生年月日、ベトナムの電話番号など)を保存する義務があります。 - 利用者のアカウント認証:
ベトナム国内の電話番号による認証を必須とし、商業目的でのライブストリーム機能使用時は、個人識別番号による追加認証を行う必要があります。 - 子供向けコンテンツの保護:
子供に不適切な内容に対する警告を表示し、子供保護の措置を実施する義務があります。 - 苦情対応システム:
電子手段による苦情の受付を行い、違法情報に関する苦情は48時間以内に対応し、必要に応じて削除を実施することが求められます。 - アプリストア事業者の対応:
ベトナムの当局から要請があった場合、違法なアプリケーションの削除を行う必要があります。また、電子決済に関するベトナムの法令を遵守し、ゲーム事業者には法的な許可証の提出を求める義務があります。 - コンテンツ配信方法の開示:
配信プロセスを明示し、利用者に選択可能な形でのサービス利用契約またはコミュニティガイドラインの提供が必要です。 - 報告義務:年次報告を11月25日までに提出する義務があり、国家安全保障に関する事案や緊急事態に関しても臨時報告が求められる場合があります。
影響について
この新政令は、ベトナムのオンライン環境に大きな影響を与える可能性があります。特に注目すべき点は以下の通りです。
プライバシーと匿名性:
ソーシャルメディアアカウントの認証義務化により、オンラインでの匿名性が大幅に制限されます。これは、オンライン上の違法行為や有害コンテンツの抑制に効果がある一方で、表現の自由に影響を与える可能性があります。
未成年者の保護:
16歳未満の子供のアカウント管理を親が行うことで、オンライン上の未成年者保護が強化されます。しかし、これは同時に若者のプライバシーや自主性に影響を与える可能性もあります。
インターネット産業への影響:
インターネットサービスプロバイダーや公共アクセスポイントに対する新たな規制は、ベトナムのインターネット産業全体に影響を与える可能性があります。
国際的な影響:
この政令は、ベトナムで事業を展開する国際的なソーシャルメディア企業にも適用されるため、グローバルなインターネットガバナンスに影響を与える可能性があります。
この新政令は、オンライン安全性の向上とサイバー空間の管理強化を目指していますが、同時に個人の自由とプライバシーのバランスをどのように取るかという課題も提起しています。実際にどの程度厳しい対応になるかどうか含め、今後の実施状況と影響を注視する必要があるでしょう。