ベトナムのコンドテル形態へのピンクブック(LURC)発行について

コンドテルのピンクブック発行に関する法的背景

政令10/2023/ND-CPにより、ベトナムではコンドテル(商業施設としての長期リース形態)を含む観光宿泊施設にも「ピンクブック(LURC)」(所有権証明書)が発行されることが2023年5月に定められました。この政令は、コンドテルやリゾートヴィラなどの非住宅不動産に対して所有権を証明することで、不動産市場の透明性と観光業界の発展をサポートすることを目的としています。
これまでコンドテル形態で住宅を購入した外国人も多かったですが、こちらについてはピンクブックが発行できないということで通常の住宅としての売買との評価の差も生じていました。

同政令では、商業・サービス用の土地に建てられた観光宿泊施設であるコンドテルが、関連法(土地法、建設法、不動産事業法)の規定を満たしている場合、ピンクブックの発行が認められるとされています。ただし、土地使用権の期間は開発者の土地使用期間に依存し、通常は50年であり、特定のケースでは70年まで延長可能です。

2024年の法改正と現状

しかし、政令10/2023/ND-CPは2024年8月1日に失効し、現在コンドテルのピンクブック発行については、新しい土地法に基づく手続きが求められる状況にあります。
新土地法の第149条では、住宅ではない建物に対する土地使用権および所有権の証明書発行が定められていますが、詳細なガイダンスはまだ明確にされておらず、さらなる法的整理が期待されています。

実際のピンクブック発行事例

2023年には、Khanh Hoa省のLibera Nha Trangプロジェクトにおいて、コンドテルの購入者がピンクブックの発行を受けた事例が報告されています。この事例は、法的条件を満たした場合に、観光宿泊施設にも所有権証書が発行され得ることを示す重要な前例です。
もっともこちらは発行された詳細までは不明であること、旧法下であることなどからあくまでも参考情報にしか過ぎない状況です。
https://nld.com.vn/day-manh-go-vuong-cho-condotel-196240522210027607.htm

不明確な点と今後の展望

現時点では、コンドテルに関する法的枠組みが完全には明確になっていないため、特に商業用と住宅用の境界線や、ピンクブック発行の具体的条件について、今後さらなる政令や通達が求められる状況です。
また、オフィステル(オフィス兼用住宅)の規制についても、詳細なガイダンスが不足しており、今後の法改正を注視する必要があります。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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