ベトナム不動産市場の現状と新たな税制提案
- 2024.11.06
- コラム
- CastGlobal
ベトナムの不動産市場は、特にホーチミン市において供給不足が深刻な問題となっています。
この状況は、富裕層が複数の物件を保有し、その一部が空き家のままであることによってさらに悪化しています。これに対処するため、ベトナム国会では不動産所有者への追加課税政策が提案されています。
不動産市場の供給不足
ホーチミン市では、毎年約50,000件の住宅需要が未満足のまま残っています。この供給不足は、法的制約や開発業者の問題、そして金融市場の不安定さによって引き起こされています。特に、手頃な価格の住宅が不足しており、高価格帯のコンドミニアムや住宅が過剰供給されているという逆転した状況が見られます。
また、ハノイ市とホーチミン市では社会住宅の建設目標も未達成であり、ハノイは目標の9%、ホーチミン市は19%にとどまっています。このような背景から、70%以上の一般市民が2軒目や空き物件への追加課税に賛成している調査結果も出ています。
この理由としては以下のようなポイントが影響しています。
- 高価格帯の過剰供給: 高価格帯の住宅は供給過剰となっている一方で、手頃な価格帯や社会住宅はほとんど供給されていない。例えば、最近の報告によると、現在市場に出ているアパートの約58.92%が高級セグメントに属し、手頃な価格帯の住宅プロジェクトが少ない。
- 法的制約と開発者の問題: 不動産市場は法的な問題や開発者による資金調達の困難さに直面しています。特に、多くのプロジェクトが土地問題や財務義務の不備から進行できず、結果的に新規供給が制限されている。
新たな税制提案の背景
国土交通省は、複数の不動産を所有する個人や空き物件を持つ所有者に対して追加課税を行うことを提案しています。この提案は、投機行為を抑制し、不動産市場を持続可能な形で発展させることを目的としています。最近の地価上昇や取引価格の急激な変動は、このような政策が必要であることを示唆しています。
具体的には、以下のようなポイントが挙げられます:
- 投機抑制: 不動産価格を不当に上昇させる投機行為を防ぐため。
- 市場安定化: 価格変動を抑え、市場全体の健全な発展を促進するため。
- 社会的公平性: 不動産所有者間で公平性を保つため。
この新たな課税政策は、特に富裕層による空き家保有問題に対処するために重要です。これにより、市場への物件供給が促進されることが期待されています。
まとめ
ベトナムの不動産市場は現在、供給不足と高騰する価格という二重の課題に直面しています。国会で提案されている追加課税政策は、この問題解決に向けた一歩となる可能性があります。今後、この政策が実施されることで、市場がどのように変化するか注視していく必要があります。
また、その他の対応策として以下も検討されています。
- 社会住宅プロジェクトの推進: 市政府は2021年から2030年までの間に、約400万平方メートルの社会住宅を開発する計画を立てています。このプロジェクトでは、低所得者向けに多様な投資形態を用いることが検討されています。
- 土地利用の見直し: 商業住宅プロジェクトに対して20%を社会住宅として割り当てる方針も打ち出されています。これにより、より多くの手頃な価格の住宅が市場に供給されることを目指しています。
- インフラ整備と地域拡張: 中心部での土地供給が限られているため、不動産市場は東部や西部などの地域へと広がっています。特にトゥドゥック市では、大量供給によってアパート市場が支配されることが期待されています。
- 資金調達支援と法整備: 政府は建築コストの50%を支援する政策や、新たな投資方針を承認し、法的問題を抱えるプロジェクトについても解決を進めています。これにより、市場流動性を高めることが期待されています。
政府も対策し始めていることで不動産マーケットの環境も大きく変わっていく可能性があります。