2025年からのベトナム電子タバコ規制の概要
- 2024.12.03
- コラム
- CastGlobal
ベトナム国会は2024年11月30日、2025年から電子タバコ(加熱式タバコを含む)の製造・販売・輸入・保管・輸送・使用を全面的に禁止する決議を可決しました(173/2024/QH15)。これは、若者を中心に急増する電子タバコ使用者を背景に、国民の健康保護および社会秩序の維持を目指した対応となっています。
規制の内容
禁止対象: 電子タバコおよび加熱式タバコ
禁止される行為:
- 製造
- 販売
- 輸入
- 所持(保管)
- 輸送
- 使用
旅行客の持ち込みにも適用されると考えられますので、ベトナムに旅行される方々は電子タバコの持ち込みを控えるよう注意してください。
173/2024/QH15の該当箇所(2.2)
“Quốc hội thống nhất cấm sản xuất, kinh doanh, nhập khẩu, chứa chấp, vận chuyển, sử dụng thuốc lá điện tử, thuốc lá nung nóng, các loại khí, chất gây nghiện, gây tác hại cho sức khỏe con người từ năm 2025, bảo đảm sức khỏe cộng đồng, trật tự, an toàn xã hội; giao Chính phủ tổ chức thực hiện cụ thể. Đẩy mạnh công tác tuyên truyền, nâng cao nhận thức của người dân, đặc biệt là đối với thanh niên, thiếu niên về tác hại của rượu, bia, thuốc lá, thuốc lá điện tử, thuốc lá nung nóng, các loại khí, chất gây nghiện, gây tác hại cho sức khỏe con người.”
(仮訳)「国会は、2025年から電子タバコ、加熱式タバコ、健康に害を及ぼす各種ガスや薬物の製造、販売、輸入、保管、輸送、使用を禁止することで一致しました。これにより、公衆の健康を確保し、社会の秩序と安全を維持することを目指します。具体的な実施については政府に委ねられています。また、特に若者や未成年に対し、アルコール、ビール、タバコ、電子タバコ、加熱式タバコ、健康に害を及ぼす各種ガスや薬物の有害性に関する認識を向上させるため、啓発活動の強化を求めています。」
参考:在ベトナム日本大使館からの通知 2024年12月25日時点
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02157.html
●ベトナムでは2025年1月日から、ベトナム国内で電子たばこ及び加熱式たばこを使用する場合、罰金の対象となる可能性がありますのでご注意ください。
●また、海外からベトナムに電子たばこ及び加熱式たばこを持ち込む場合、使用よりも重い罰金の対象となる可能性がありますのでご注意ください。
先のベトナム国会において、2025年1月1日から電子たばこと加熱式たばこの生産、取引、輸入、保管、輸送、使用を禁止する決議が承認されたとの当地報道が出ております。
2025年1月1日以降、電子たばこ等を使用・製造・輸送・保管等する者は、その状況に応じて、罰金・行政処分・刑事責任に問われる可能性があり、電子たばこ等を使用した場合、警告又は100万~200万ドンの罰金対象となる可能性があるほか、輸送・保管・製造の場合は更に重い罰金・刑事処罰が課せられる可能性がありますので、ご注意ください。
規制強化の理由:若年層への深刻な影響
規制強化の最大の背景は、若年層での電子タバコ使用率増加です。13~17歳の学生使用率は2019年の2.6%から2023年には8.1%へと急増し、特に13~15歳では1年で3.5%から8%へと倍増する深刻な伸びを示しています。これらの数字は、従来のタバコよりも「手軽」と誤解される電子タバコが、若者の間で急速に広まっている現実を浮き彫りにしています。
電子タバコは多様なフレーバーやスタイリッシュなデザインが売り物であり、SNSでの拡散やインフルエンサーの影響も相まって、「新しいもの好き」な若い世代を強く引きつけています。しかし、その背後には高濃度ニコチンによる依存症リスクや、心血管・呼吸器への悪影響、発達途上の脳に対する悪影響など、深刻な健康被害が潜んでいます。こうした公衆衛生上の懸念は、ベトナム政府が取締りを強化する強い動機となっています。
電子タバコ製品が若者に浸透した一因は、オンラインを通じた容易な入手経路です。FacebookやZaloなどのソーシャルメディア経由で匿名性を盾にした販売が横行し、中には原産地不明、あるいは有害化学物質や合成麻薬を含む可能性のある製品が流通しています。この状況は既存の法規制や捜査の手の届きにくい領域であり、規制当局にとって大きな課題となっています。
規制のこれまでの経緯
2023年5月、ファム・ミン・チン首相は、電子タバコや加熱式タバコ、シーシャなどの新型タバコ製品の使用防止に向けた規制の策定を各機関に指示しました。 これにより、15歳以下の男性の喫煙率を39%未満、女性を1.4%未満に抑えること、また職場や飲食店での受動喫煙の減少を目指す「2030年までのタバコ害の予防と制御に関する国家戦略」が承認されていました。
さらに、2024年5月には、チン首相が保健省に対し、電子タバコや加熱式タバコの管理策の研究と提案を指示しました。 これに伴い、財務省や国防省、公安省にも密輸や違法取引の監視と取り締まりの強化が求められています。今回はさらに進んで販売や使用の規制まで入ったことになります。