【ベトナム相続】ベトナム不動産に関して遺言を作成する場合、どのような手続きが考えられますか。
- 2025.03.01
- コラム
- CastGlobal
近年、日本人によるベトナム不動産の購入機会が増えています。しかし、購入者が亡くなった際、相続人として「どう相続手続きすればよいかわからない」「名義変更に時間がかかる」といったトラブルも少なくありません。将来、円滑に大切な資産を引き継ぐためには、遺言を作成しておくことを強くおすすめします。
■ ベトナム不動産に関する遺言作成方法
ベトナムの不動産を特定の相続人(例えばお子様など)に相続させたい場合、以下の2つの方法があります。
- 日本法に基づいて、日本国内の公証役場で遺言を作成する(ベトナム民法681条2項b)。
- ベトナム法に基づいて、ベトナムの公証役場で遺言を作成する(ベトナム民法681条2項本文)。
■ 実務上の注意点
理論上は上記のとおり二つの遺言作成方法がありますが、実務上、日本の公正証書遺言の有効性を認めた事例は確認されていないため、実際に相続が発生した際、円滑に名義変更ができるかは不透明です。
そのため、ベトナム不動産については、②の「ベトナム公証役場での遺言作成」を推奨します。
■ ベトナムで遺言を作成する際のポイント
- 配偶者がいる場合、遺言作成時に配偶者の共同署名が必要です。
- 相続開始後は、遺言をもとにベトナム公証役場で「相続宣言手続」(公証法第57条)を行い、その後、土地管理当局(天然資源環境省)でピンクブック(権利証)の名義変更手続きを進める流れになります。
■ ベトナムにおける相続税負担
親から子(嫁・婿含む)への不動産相続については、ベトナムでは所得税が免除されます(通達No.111/2013/TT-BCT第3条1項d)。
そのため、ベトナムでの税負担はありません。
■ おわりに
ベトナム不動産の相続や贈与に関する手続きは、日本とは異なる点が多く、戸惑うことも少なくありません。
「もしもの時」に備えて、早めに遺言作成や手続き方法について検討を始めることが、家族への安心につながります。特に、ベトナム現地での遺言作成がスムーズな相続へのカギとなりますので、早期の専門家活用をお勧めいたします。