ベトナムにおける建設活動関連のライセンス(組織・個人)について
- 2024.11.04
- コラム
- CastGlobal
目次
1. 概要
このコラムではベトナムにおける工事業者等に要求されるライセンスについて解説します。
WTOの規定に基づき、ベトナムでは建設活動への外国資本の参入制限がありません。したがって、外国投資家が100%出資の建設企業を設立することが可能です。もっとも、ベトナム投資法において、工事建設施工サービスは条件付き投資分野とされており、工事建設施工サービスを行うためには特定の条件を満たす必要があります。
2. 建設活動能力認定証
建設活動能力認定証とは
工事建設施工の分野における建設活動に参加する組織は、建設工事の種類とレベルに応じた建設活動能力認定証を取得する必要があります。(2014年建設法の第148条4項、2020年の改正建設法の第1条53項a号)
建設活動能力認定証は、組織が法律の規定に基づく建設活動の能力条件を満たした場合に権限を有する機関が当該組織に発行するものであり、当該組織による建設活動の分野及び範囲を記載するものです(詳細は以下のリンクより)。
建設法第50/2014/QH13号の第 79 条7 項b号に規定される個別住宅は、総床面積が250㎡未満又は3階建て未満又は高さが12m未満の建築物です。そのため、組織が、総床面積が250㎡未満又は3階建て未満又は高さが12m未満の個別住宅の建設活動に参加する場合、建設能力認定証を取得する必要がありません。
工事建設施工を行う組織の能力条件
各建設分野によって条件は異なりますが、工事建設施工の分野における組織の能力条件のみに言及します。
工事建設施工の活動に参加する組織は、能力レベルに応じた条件を満たさなければなりません。次のとおり各レベルの能力条件についてさらに説明します。
I級 (Level I)
- 現場指揮長の役職を担当する個人は、担当する専門分野に適した I級の現場指揮長の条件を十分に満たす必要があります。
- 専門分野の施工を担当する個人は、担当する業務に適した大学又は専門学校の学位を取得し、大学の学位を取得した場合の少なくとも 03年、専門学校の学位を取得した場合の少なくとも 05 年の勤務期間を持っている必要があります。
- 担当する業務に適した工事の建設施工の要件を満たすために主要な機械及び設備の十分な数量を動員する能力を有します。
- 建設施工の場合のレベルI以上の少なくとも1つの工事又はレベルII以上の2つの同種工事の認定証発行申請の内容に関連する工事項目、工事又は工事の部分(個別的な建設施工の場合)を直接施工しました。
- 設備設置工事を施工する場合のレベルI以上の少なくとも1つの工事又はレベルII以上の2つの工事の認定証発行申請の内容に関連する工事項目、工事の設備設置工事を直接施工しました。
II級 (Level II)
- 現場指揮長の役職を担当する個人は、担当する専門分野に適した II級以上の現場指揮長の条件を十分に満たす必要があります。
- 専門分野の施工を担当する個人は、担当する業務に適した大学又は専門学校の学位を取得し、大学の学位を取得した場合の少なくとも 01年、専門学校の学位を取得した場合の少なくとも 03 年の勤務期間を持っている必要があります。
- 担当する業務に適した工事の建設施工の要件を満たすために主要な機械及び設備の十分な数量を動員する能力を有します。
- 建設施工の場合のレベルII以上の少なくとも1つの工事又はレベルIII以上の2つの同種工事の認定証発行申請の内容に関連する工事項目、工事又は工事の部分(個別的な建設施工の場合)を直接施工しました。
- 設備設置工事を施工する場合のレベルII以上の少なくとも1つの工事又はレベルIII以上の2つの工事の認定証発行申請の内容に関連する工事項目、工事の設備設置工事を直接施工しました。
III級 (Level III)
- 現場指揮長の役職を担当する個人は、担当する専門分野に適した III級以上の現場指揮長の条件を十分に満たす必要があります。
- 専門分野の施工を担当する個人は、担当する業務に適した大学又は専門学校の学位を取得する必要があります。
- 担当する業務に適した工事の建設施工の要件を満たすために主要な機械及び設備の十分な数量を動員する能力を有します。
建設活動能力認定証の活動範囲
工事建設施工の分野における建設活動能力認定証の活動範囲は以下のとおりです。
- I級の能力認定証:同種の工事のすべてのレベルを施工ことができます。
- II級の能力認定証:レベルII以下の同種の工事を施工ことができます。
- III級の能力認定証:レベルIII以下の同種の工事を施工ことができます。
建設活動能力認定証の分野及び活動範囲の詳細は政令第15号の付録VII(政令第35/2023/NĐ-CPによる改正・補足)に規定されています。
工事のレベルについて、住宅、住宅のような構造がある工事の場合では、これらの工事が構造規模に基づいて分類されています。具体的には以下のとおりです(通達第06/2021/TT-BXD号の付録II)。
工事のレベル | 高さ(m) | 階数 | 総床面積
(1,000㎡) |
地下階数 |
特別レベル | > 200 | > 50 | ||
レベルI | 75〜200 | 25〜50 | > 30 | ≥ 5 |
レベルII | 28〜75 | 8〜24 | 10〜30 | 2〜4 |
レベルIII | 6 ÷ 28 | 2〜7 | 1〜10 | 1 |
レベルIV | ≤ 6 | 1 | < 1 |
しかし、前述のとおり、組織が、総床面積が250㎡未満又は3階建て未満又は高さが12m未満の個別住宅の建設活動に参加する場合、能力認定証を取得する必要がありません。
3.個人の建設活動資格認定証
個人の建設活動資格認定証とは
建設工事がレベルI、II、IIIに該当する場合、現場指揮長は、適切な建設活動資格認定証を持つ必要があります(2014年建設法の第157条2項、2020年建設法の第1条56項による改正、政令第15号の第74条及び第95条)。建設活動資格認定証は、業務を遂行する分野における十分な専門資格及び職業経験を有する建設法の第148条3項の個人に対して権限を有する機関によって発行される、業務遂行能力を確認する文書です。
建設活動資格認定証が不要とされる建設法第50/2014/QH13号の第 79 条7 項b号に規定される個別住宅は、総床面積が250㎡未満又は3階建て未満又は高さが12m未満の建築物です。
そのため、個人が、総床面積が250㎡未満又は3階建て未満又は高さが12m未満の個別住宅の建設活動を行う場合、資格認定証を取得する必要がありません。
現場指揮長の業務遂行の条件
現場指揮長の役職を担当する個人は、次のとおり各級に応じた条件を満たさなければなりません(政令第15号の第74条1項)。
- I級:I級の建設施工監督資格認定証を保有するか、又はレベルIからの少なくとも01つの工事又はレベルII以上の02つの同種工事の資格内容に該当する業務の現場指揮長として勤務した。
- II級:II級の建設施工監督資格認定証を保有するか、又はレベルIIからの少なくとも01つの工事又はレベルIII以上の02つの同種工事の資格内容に該当する業務の現場指揮長として勤務した。
- III級:III級の建設施工監督資格認定証を保有するか、又はレベルIIIからの少なくとも01つの工事又はレベルIV以上の02つの同種工事の資格内容に該当する業務の建設施工に直接参加した。
活動範囲
可能な活動範囲は以下のとおりです(政令第15号の第74条2項)。
- I級:建設施工監督資格認定証に記載される分野に該当するか、又は現場指揮長として勤務した工事の分野に該当する全ての工事の現場指揮長として勤務することができます。
- II級:建設施工監督資格認定証に記載される分野に該当するか、又は現場指揮長として勤務した工事の分野に該当するレベルII以下の工事の現場指揮長として勤務することができます。
- III級:建設施工監督資格認定証に記載される分野に該当するか、又は建設施工に参加した工事の分野に該当するレベルIII及びレベルIVの工事の現場指揮長として勤務することができます。