ベトナム建設許可の「特級~4級+戸建」と直近のアップデート
- 2025.06.10
- コラム
- CastGlobal
1. 制度の背景
ベトナム建設法は、工事の規模・複雑さ・社会的影響度に応じて 5 段階(特級/1級/2級/3級/4級)に分類しています。これにより、設計審査の深度・許可権限・安全基準が段階的に定められており、建設許可証の対応も変わることになります。
2. 各級のポイント
- 特級
- 要件:国家的重要施設、超高層(>100 m 目安)、特殊基礎・深掘トンネル等。
- 実務:建設省レベルでの総合審査+専門家評定が必須。
- 1級
- 要件:延べ床20,000 m²超、高さ75 m超など。
- 特徴:大規模民間開発の多くが該当。環境アセスや交通影響評価が求められる。
- 2級
- 要件:延べ床5,000–20,000 m²。
- 特徴:物流倉庫・工業団地内工場が典型。消防・構造計算書の簡略可。
- 3級
- 要件:延べ床500–5,000 m²。
- 特徴:中小規模店舗・集合住宅。提出図書が比較的軽い。
- 4級(+戸建住宅)
- 要件:延べ床<500 m²、階数≤3、スパン≤15 m 等。
- 特徴:区レベルで許可。住宅改修・内装のみの場合は免許不要ケースも。
3. 2024年アップデート(ハノイ市)
項目 | 旧制度 | 2024/6/9 以降 |
---|---|---|
申請方法 | 原則対面提出 | 電子ポータル完全移行(https://dichvucong.hanoi.gov.vn) |
対象工事 | 一部のみオンライン | 特級~4級+戸建: 新規許可/改修許可/変更・延長・再発行・移転許可 |
手数料 | 区分ごとに数十万~数百万VND | 2025/12/31 まで無料 |
審査期日 | 15~30 営業日(実務は延伸傾向) | 電子化により進捗トラック機能追加、行政遅延の可視化 |
4. 企業の対応
オンライン移行対応
設計図書・BIMデータをPDF/A形式で準備。電子署名(CA証明書)必須。
スケジュール短縮を見込む
手数料無料期間中に許可取得を前倒し検討。
専門等級の確認
自社案件がどの級に該当するか事前判定し、必要な構造計算・消防審査を逆算手配。
情報公開リスク
電子ポータル閲覧により設計概要が半公開となるため、機密図書は別添管理ルールを設定。
まとめ: 2024 年のハノイ市のオンライン化と手数料免除は、外資・日系デベロッパーにとって手続きコストとリードタイムを大幅に削減する好機といえるでしょう。開発スケジュールを再チェックし、電子申請体制を整備することで、競争優位を確保できる可能性があります。