ベトナム建設許可の「特級~4級+戸建」と直近のアップデート

1. 制度の背景

ベトナム建設法は、工事の規模・複雑さ・社会的影響度に応じて 5 段階(特級/1級/2級/3級/4級)に分類しています。これにより、設計審査の深度・許可権限・安全基準が段階的に定められており、建設許可証の対応も変わることになります。

2. 各級のポイント

  • 特級
    • 要件:国家的重要施設、超高層(>100 m 目安)、特殊基礎・深掘トンネル等。
    • 実務:建設省レベルでの総合審査+専門家評定が必須。
  • 1級
    • 要件:延べ床20,000 m²超、高さ75 m超など。
    • 特徴:大規模民間開発の多くが該当。環境アセスや交通影響評価が求められる。
  • 2級
    • 要件:延べ床5,000–20,000 m²。
    • 特徴:物流倉庫・工業団地内工場が典型。消防・構造計算書の簡略可。
  • 3級
    • 要件:延べ床500–5,000 m²。
    • 特徴:中小規模店舗・集合住宅。提出図書が比較的軽い。
  • 4級(+戸建住宅
    • 要件:延べ床<500 m²、階数≤3、スパン≤15 m 等。
    • 特徴:区レベルで許可。住宅改修・内装のみの場合は免許不要ケースも。

3. 2024年アップデート(ハノイ市)

 

項目 旧制度 2024/6/9 以降
申請方法 原則対面提出 電子ポータル完全移行https://dichvucong.hanoi.gov.vn)
対象工事 一部のみオンライン 特級~4級+戸建: 新規許可/改修許可/変更・延長・再発行・移転許可
手数料 区分ごとに数十万~数百万VND 2025/12/31 まで無料
審査期日 15~30 営業日(実務は延伸傾向) 電子化により進捗トラック機能追加、行政遅延の可視化

4. 企業の対応

オンライン移行対応
設計図書・BIMデータをPDF/A形式で準備。電子署名(CA証明書)必須。

スケジュール短縮を見込む
手数料無料期間中に許可取得を前倒し検討。

専門等級の確認
自社案件がどの級に該当するか事前判定し、必要な構造計算・消防審査を逆算手配。

情報公開リスク
電子ポータル閲覧により設計概要が半公開となるため、機密図書は別添管理ルールを設定。

まとめ: 2024 年のハノイ市のオンライン化と手数料免除は、外資・日系デベロッパーにとって手続きコストとリードタイムを大幅に削減する好機といえるでしょう。開発スケジュールを再チェックし、電子申請体制を整備することで、競争優位を確保できる可能性があります。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

  • Facebook
  • Website