不動産事業法に関するDecree 96/2024/ND-CPの概要

1.背景と目的

2024年8月1日に施行された不動産事業法に関するDecree 96/2024/ND-CPは、ベトナムにおける不動産業務に関する詳細な規制を提供し、市場の透明性を高めることを目的として制定されました。この政令は、問題となっていた不動産取引に関する新たな制限を導入し、特に市場投機の抑制と不動産ブローカーの資格要件を強化することで、持続可能な成長を促進するものとされています。

2.主な規定内容

(1) 小規模不動産業者に対する取引制限
  • 小規模不動産業者は、年間10件以下の取引に制限され、取引額は一契約あたり3,000億VND(約17億円)を超えてはならないとされています。
    この制限は、法的な不動産企業を設立せずに不動産活動を行う個人を対象としています。ただし、取引件数が年に1件のみの場合、取引額は制限されません。
  • 小規模業者は不動産企業の設立を免除されますが、取引数と取引額の制限に従い、適切に税金を申告し納付する義務があります。
(2) 不動産仲介に関する新たな要件

すべての不動産仲介業者は、認可された不動産取引会社や不動産コンサルティング会社に所属し、資格証明を取得する必要があります。
この規制により、無資格のフリーランスブローカーが市場から排除され、不動産取引の信頼性を向上させる目的です。

(3) 市場投機の抑制

政令は市場の投機と価格の不正な操作を防ぐために、特に都市部(I、II、III級)での土地分割販売を禁止しています。
この措置により、都市開発が秩序正しく進行し、土地価格の安定化が図られることが期待されています。

(4) 不動産取引の銀行支払いの義務化

すべての不動産取引は、銀行を通じて行うことが義務付けられました。これにより、価格操作や税逃れを防ぎ、市場の透明性が大幅に向上します。
銀行を通じた取引は、信頼性の高いデータベースの構築を可能にし、市場分析や政策決定において重要な役割を果たすことを目的としています。

(5) 不動産取引所の活動条件

同政令では、不動産取引所が不動産事業法の第55条に規定する条件を満たさなければならないと明記しています。
企業の法定代表者及び不動産取引所の管理運営者が、不動産取引所の活動について責任を負わなければなりません。不動産取引所の法定代表者が、不動産取引所の管理運営者となることもできます。

不動産取引所は、12ヶ月以上安定した名称・取引住所を有し、不動産取引所の活動内容に応じた要件を満たした技術設備を備えていなければなりません。なお、不動産取引所がマネーロンダリング防止に関する法律の規定に基づくマネーロンダリング対策の実施及びマネーロンダリング防止に関する報告を行う義務があります。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

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