「外貨両替は“正規ルートのみ”」を改めて徹底へ―政令340/2025/NĐ-CP(2026年2月9日施行)が実務に与える影響
- 2026.02.06
- コラム
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2026年2月9日施行の政令340/2025/NĐ-CP(通貨・銀行分野の行政違反行為と制裁に関する政令)を背景に、ベトナムでは外貨両替について「正規ルートの徹底」が改めて強く意識される局面に入っています。
本稿では、報道と法令(政府法令ポータル等の一次情報)に基づき、一般論としてのポイントと実務上の注意点を整理します。

目次
1. 何が起きているのか:新しい「禁止」ではなく、違反時の「罰則の明確化・強化」
政令340/2025/NĐ-CPは、通貨・銀行分野(外為・金取引を含む)における行政違反行為と制裁(罰金、没収等)を体系的に定めるものです。政府の法令ポータル等で、公布日(2025年12月25日)・施行日(2026年2月9日)・署名者(副首相 Hồ Đức Phớc)といった基本情報が確認できます。
重要なのは、これが「外貨両替を新たに禁止する」政令というより、従来からある外為規制(許可された場所での取引等)に違反した場合の処分を、より具体的に・厳格に運用しやすくする性質のものだという点です。
2. 典型的に問題になる行為:①個人間両替、②無許可店(いわゆる“闇両替”)での両替
報道で繰り返し注意喚起されているのは、次の2類型です。実務的には、「どこで」「誰と」両替したかが最初のリスク分岐になります。
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個人同士で外貨を売買する(友人・知人間の両替等)
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外貨両替の許可・登録がない組織で外貨を売買する(自由市場、“chợ đen”と呼ばれる闇市場を含む)
大手紙でも、政令340/2025に基づき、こうした行為が取引金額に応じて処分対象となり得る旨が明確に報じられています。
3. 実例:ダナンでは「店も客も処分」「外貨・VNDの没収」まで現実に起きている
「地域によって両替の“体感難易度”が違う」背景を理解するうえで、具体的な摘発事例は重要です。
2025年10月、ダナン市公安(Công an TP Đà Nẵng)の経済安全部門が、市中心部の金店(宝石店)での外貨売買について、店舗側(私企業の金店)と顧客双方に行政処分を行い、違反に係るVND・外貨を没収した旨を公表・報道しています。規模として「20億VND超相当」と報じられています。
この種の事例がある地域では、店舗側が「リスクに見合わない」と判断して取扱停止(事実上の撤退)に振れやすく、結果として「街の店舗では両替が難しい」という状況が生まれやすくなります。本事例は新政令ができる前の処分ですが、このような実例によってダナンはより厳しく取り締まられる状況にありますので、新政令の運用にも注視が必要です。
4. 影響を受ける主体:旅行者だけでなく、在住者・企業実務にも波及
今回の局面で影響を受けるのは観光客だけではありません。
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在住外国人・出張者:現金ニーズがあっても、安易に非正規ルートに流れると、罰金・没収リスクが現実化します。
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宝石店・両替店:許可・登録の有無が死活問題となり、取扱継続には手続・帳票等のコンプラ強化が不可欠です。
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銀行・金融機関:行政処分リスクを踏まえ、支店レベルでのKYC/AML、取引目的・証憑確認がより厳格化しやすい環境になります。
5. 「没収」情報の読み方:金(ゴールド)でも同様に誤解が拡散しやすい
政令340/2025は外貨だけでなく、金地金・金製品(vàng)についても行政処分を規定しています。そのため施行前後は「没収されるらしい」といった不安が出やすく、VOVなどが“どういう場合に没収が問題になるのか”を解説しています。
実務上の教訓はシンプルです。“一般人の通常の保有”の話と、“無許可営業・無登録取引”の話を混同しないこと。そして当局が問題視しているのは、許可・登録・正規手続を外した取引である点です。
6. 注意喚起(実名ベース):どこに気を付けるべきか
報道と法令から導ける、現実的な注意点を4つに絞って整理します。
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両替は「銀行」または「正規の外貨両替代理店」に限定 許可・登録が確認できない金店、個人間両替は避けるのが安全です。
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“店も客も”処分され得る ダナン市公安の事例が示すとおり、顧客側も処分対象になり得ます。
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没収があり得る以上、レートが良くても割に合わない 金額が大きいほどリスクは増え、都市によっては「店がやらない」判断が合理的になり得ます。
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現金依存を下げる(カード・送金・ATMの併用) 制度・運用の方向性として「正規金融チャネルに寄せる」圧力が高まる局面です。
まとめ
政令340/2025/NĐ-CP(2026年2月9日施行)は、外貨両替を「突然禁止」する類のものではありません。一方で、個人間両替や無許可店での両替に対して、罰金だけでなく没収まで含めて執行しやすい法体系となり、既にダナン市公安のように具体的な摘発事例も存在します。
したがって実務的には、「両替は正規ルートだけ」「証憑・正規手続を外さない」「現金依存を下げる」の3点を徹底することが、最も合理的で安全な対応です。