【訪日ビザ1】ベトナムで採用したベトナム国籍の従業員に日本本社で研修を受けさせたい場合の査証(ビザ)について
- 2023.02.06
- コラム
- 行政書士法人キャストグローバル
1. 研修を行えるビザの概要
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、殆どのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。これは、ベトナムで雇用関係にある従業員が日本に入国する場合においても同様です。
在留資格を取得する必要があるかどうかは日本国内で想定されている研修内容に拠ります。
例えば商談や展示会への出席、オリエンテーションの様な限定された研修内容であれば日本国内での在留資格を取得することなく、短期滞在ビザで研修を行う事も考えられます。
短期滞在ビザで研修を行うのは特定のケースしか想定されませんが、ポイントしては「報酬の受け取りが発生しない事」「受け入れ法人が研修を通して利益を得ていない(成果物等を介して)事」という点が挙げられます。又、その短期滞在ビザでの滞在期間は90日を超える事は出来ません。(出入国管理及び難民認定法別表第二)。
従って外国籍従業員が研修を行う場合には在留資格を取得するのが一般的です。
研修に対応する在留資格は、「企業内転勤」、「研修」、「技能実習」等が想定されます。その他「技術人文知識国際業務」も考えられますが、長期滞在を想定した在留資格ですのでで、帰国を前提とした研修とすると使い勝手の点で劣ります(出入国管理及び難民認定法別表第一(第二条の二、第二条の五、第五条、第七条、第七条の二、第十九条、第十九条の十六、第十九条の十七、第十九条の三十六、第二十条の二、第二十二条の三、第二十二条の四、第二十四条、第六十一条の二の二、第六十一条の二の八関係))。
在留資格の用途から大別すると「企業内転勤」「研修」はデスクワーク、「技能実習」は実務作業を行う事が在留資格上認められます。それぞれメリットデメリットを踏まえて在留資格の選択方法について解説します。
2. 企業内転勤、研修、技能実習の使い分け
「企業内転勤」、「研修」、「技能実習」を報酬の有無、雇用契約の主体、研修内容に分けると以下のとおり大別されます。
報酬の発生 | 雇用契約 | 研修内容 | |
企業内転勤 | 〇 | 本国又は日本法人 | デスクワーク |
研修 | ×(実費の範囲においてのみ可) | 本国 | デスクワーク |
技能実習 | 〇 | 日本法人 | 単純労働を含む実務的な作業 |
企業内転勤、研修、技能実習で各々契約の形態や報酬の支払い方法が変わってくる事が見て取れるものと思います。
例えば単純労働を前提とした研修であれば技能実習しか選択肢が無い事になりますし、デスクワークが前提でかつ給与を支払うのを前提とした研修とするのであれば企業内転勤しか選択肢は無いという事になります。(平成二年法務省令第十六号出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)
また、研修の在留資格は、報酬の支払いは不可となりますが、実費を超えない範囲であればこれは支給しても問題はないと考えられています。例えば宿泊費、食費等滞在中の日常生活に必要な費用は支給して問題ありません。
したがって、研修内容を精査し、雇用形態や研修スケジュールを綿密に兼用した上で在留資格を選択する必要があると言えます。
※次回以降、各在留資格についてそれぞれ取得の流れや注意点について比較検討していきます。