column

コラム

【ベトナム労務】就業規則の登録手続について教えてください。

ベトナム2019年労働法(45/2019/QH14 号)及び政令145/2020/ND-CP(以下「政令145号」といいます)では、企業が作成すべき就業規則について詳細を規定しています。ベトナムの労務でも就業規則は重要な文書となるため、以下ご参照ください。

就業規則を作成しなければならない場合

使用者(雇用主)は、就業規則を公布しなければならないとされていますが、10人以上の場合書面によらなければならないとされています。従業員数が10人未満の雇用主は、書面による規則は必要ありませんが、その場合、労働規律および物的責任については、雇用契約の内容に含める必要があります。

就業規則の内容

就業規則の内容として、労働法及び政令145号で規定されるものは以下のような項目です。

a) 1日および1週間の具体的な労働時間、休憩時間; 交代制勤務; シフトの開始および終了時間; 時間外労働(ある場合); 時間外労働の特別なケース; 追加休憩; シフト間の休憩; 週休日; 年次休暇、個人休暇、無給休暇;
b) 職場の秩序; 職場、勤務時間中の移動; 行動規範; 服装規定; 雇用主による職務配置への遵守;
c) 職場の衛生および安全: 規則や規定、手続き、職場衛生、労働安全および消防安全の確保に関する措置への遵守責任; 個人用安全装置および職場での職業衛生および安全確保に役立つその他の装置の使用および保管; 職場での清掃、除染および消毒;
d) 雇用主による職場でのセクシャルハラスメントの防止および対策に関する規定; この政令の第85条に規定された職場でのセクシャルハラスメント対策の手続き;
e) 雇用主の財産、営業秘密、技術秘密および知的財産の保護: 財産、書類、技術秘密、営業秘密、知的財産のリスト; それらの保護の責任と対策; これらの財産および秘密に対する侵害の定義;
f) 労働法第29条第1項に従って、従業員が雇用契約に反して一時的に再配置される具体的なケース;
g) 特定の従業員の違反とそれに対応する懲戒処分;
h) 物的責任: 従業員が道具や器具、財産を損傷させたり失ったりした場合や、物質消費限度を超えた場合の賠償責任; 損害に応じた賠償レベル; 賠償請求権限を持つ者;
i) 懲戒処分を行う権限を持つ者: 労働法第18条第3項に定められた雇用主を代表して雇用契約を締結する権限を持つ者、または就業規則で特定された具体的な者。

就業規則の登録手続

10人以上の労働者を使用する場合、就業規則は各地域の労働局に登録しなければなりません。就業規則を公布した日から10 日以内に、就業規則の登録書類を提出しなければならないとされています。この場合、登録手続をしなければ就業規則が有効とならないため注意が必要です。
10 人未満の労働者を使用する使用者が就業規則を書面により公布する場合、その効力は使用者が就業規則内で規定することとされています。

登録のための手順は以下のとおりです。

①就業規則を発行または改訂する前に、この政令の第41条第1項に従って、社内労働組合(ある場合)と協議する
②就業規則を公布した日から10 日以内に、各地域の労働局に対して就業規則の登録書類を提出する
(労働局が就業規則の全ての登録書類を受領した日から15 日後に就業規則が有効となるとされています。)
③労働局は、就業規則の内容に法令に反する規定がある場合、登録書類を受領した日から7 営業日以内に、使用者に修正、補足及び再登録をするよう指導する(実際にはもっと期間がかかるケースがある)
④発行された就業規則は、すべての社内労働組合(ある場合)およびすべての従業員に送付される。就業規則の主要内容は、必要に応じて職場で公に掲示される

※なお、支店等複数の拠点を有している会社については、それらの拠点を管轄する労働局に対しても登録した就業規則を送付する必要があります(それぞれの複数拠点で異なる就業規則の登録も可能)。

なお、②の書類提出時の必要書類は以下のものです。

1.就業規則登録申請書
2.就業規則
3.社内労働組合がある場合は、社内労働組合の意見書
4.労働規律及び物的責任に関する規定を定めた使用者の文書(もしあれば)

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

  • Facebook
  • Website