【訪日ビザ4:技能実習】現地採用したベトナム国籍の従業員に日本で長期間技能を身に着けさせたい
- 2023.05.30
- コラム
- 行政書士法人キャストグローバル
1. 技能実習制度の概要
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、ほとんどのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。これが大前提になります(初回の記事はこちらから)。
報酬の有無、雇用、研修内容に着目して訪日ビザを分類しました。
報酬の発生 | 雇用契約 | 研修内容 | |
企業内転勤 | 〇 | 本国又は日本法人 | デスクワーク |
研修 | ×(実費の範囲においてのみ可) | 本国 | デスクワーク |
技能実習 | 〇 | 日本法人 | 単純労働を含む実務的な作業 |
比較対象として表に入れてはいますが、技能実習ビザは企業内転勤や研修ビザと大きく制度や趣旨を異にしています。
受け入れや審査に入国管理局と受け入れ企業だけが関わるのではなく、外国人技能実習機構、送り出し機関、監理団体等係る機関が多く存在するのが大きな差異を生んでいると言えます。
外国人技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。
技能自習ビザの種類は以下の4種が存在します。
団体監理型 | 企業単独型 | |
1年目(1号) | 技能実習第1号ロ | 技能実習第1号イ |
2年目、3年目(2号) | 技能実習第2号ロ | 技能実習第2号イ |
4年目、5年目(3号) | 技能実習第3号ロ | 技能実習第3号イ |
団体監理型と企業単独型の類型が存在し、それぞれ1号(入国1年目)、2号(2~3年目)、3号(4~5年目)と在留資格が分類されています。
なお、3号に移行出来る技能実習の職種は限定されていますので注意が必要です。
2. 団体監理型と企業単独型
関係する機関の相違
団体監理型 | 企業単独型 | |
実習実施者 | 〇 | 〇 |
送り出し機関(現地法人) | 〇 | 〇 |
監理団体 | 〇 | × |
技能実習機構 | 〇 | 〇 |
入国管理局 | 〇 | 〇 |
申請先は技能実習機構と入国管理局となっており違いはありませんが、監理団体の関与の有無に大きな違いがあります。企業単独型は現地法人から直接技能実習生を受け入れますので監理団体の関与は想定されていません。
技能実習生受け入れの流れ
団体監理型か企業単独型かで技能実習生の受け入れの流れは異なりますが、一般的に以下の流れで実習生を受け入れる事となります。
①技能実習生候補者選抜(オンライン等)
②技能実習機構への計画認定申請
③入国管理局への認定証明書交付申請
④入国後実習開始
⑤2号計画認定申請、在留資格諸申請
各号に進むたびに入管への申請を行いますが、事前に技能実習機構で計画認定を受けておく必要が有る事が特徴的です。
技能実習ビザは現業に従事可能な数少ないビザの一つですが、利害関係機関が多く存在しその許可申請先も複数に渡っています。
団体監理型と企業単独型で受け入れの流れが大きく違いますので自社の実習生受け入れ実績や規模、従業員数に注意を払いながらどちらがより選択肢として理に適っているか総合的に判断する必要があると言えます。
技能実習については、制度見直しの議論も進んでいますので、最新情報にはご留意ください。