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【2026年5月更新】タンソンニャット空港「プレアライバル申告」制度の最新運用状況|APECレーン活用・根拠法令・義務vs推奨を整理

速報 2026年5月9日 更新

初版公開:2026年4月16日 / 最終更新:2026年5月9日 / CastGlobal Law Vietnam

📝 2026年5月9日更新内容

・根拠法令(Công văn số 1474/CACK TSN)を特定

・「義務」vs「推奨」のソース別整理を追加

事前登録者のAPECレーン(ファストトラック)利用の実態を追加

・航空会社(Vietjet、Korean Air等)の対応状況を追加

・国際移民法事務所(Fragomen)の分析を追加

・各国比較表にシンガポール・インドネシアを追記

2026年4月15日より、ホーチミン市タンソンニャット国際空港において、外国人の入国に係る事前申告登録制度(Pre-Arrival Information)が開始されました。制度開始から約1ヶ月が経過し、実際の運用状況が明らかになってきましたので、最新情報に基づきアップデートします。


制度の概要

ホーチミン市出入国管理局(Công an cửa khẩu Sân bay Quốc tế Tân Sơn Nhất)は、入国審査の効率化・迅速化およびデジタルトランスフォーメーション推進の一環として、外国人およびベトナム系外国籍者(越僑)を対象に、入国前にオンラインで個人情報を事前申告する制度を2026年4月15日から正式に開始しました。

根拠文書はCông văn số 1474/CACK TSN(タンソンニャット空港出入国管理局公文書第1474号)です。

▍ ポイント整理

制度名称 Pre-Arrival Information(事前入国情報申告)
根拠法令 Công văn số 1474/CACK TSN
開始日 2026年4月15日
対象空港 タンソンニャット国際空港(ホーチミン市)のみ ※ノイバイ(ハノイ)等は現時点で対象外
対象者 外国人およびベトナム系外国籍者(越僑) ※ベトナム国籍者(ベトナムパスポート使用)・トランジット客は対象外
義務 or 推奨 下記「義務vs推奨」セクション参照
費用 無料(クレジットカード情報の入力も不要)
登録可能時期 入国の3日前(72時間前)から
対応言語 日本語を含む複数言語対応
所要時間 パスポート・フライト情報等を手元に用意すれば約3〜5分

登録の手順

1
公式サイトにアクセス
https://prearrival.immigration.gov.vn/ から申告画面に入る。公式QRコードからのアクセスも可能。
2
個人情報・渡航情報を入力
国籍、到着日、パスポート情報、ビザ情報、出発国、渡航目的、フライト番号、ベトナムでの宿泊先(ホテル名・住所)、出国予定日等を入力。日本語での案内に対応。パスポート写真をアップロードすると一部自動入力される機能もあります。
3
QRコードを受領・保存
登録完了後にQRコードが発行され、登録メールアドレスにも送信されます。携帯でスクリーンショットを撮るか、印刷して持参してください。機内で携帯の電池切れや着陸時の電波不良に備え、複数の方法で保存しておくことを推奨します。
4
入国審査時にQRコードを提示
タンソンニャット空港の入国審査窓口でQRコードを提示。従来の手動入力による処理が、QRスキャンにより大幅に短縮されます。

「義務」か「推奨」か ― ソースによる違いを整理

本制度について「義務なのか推奨なのか」という点は、情報ソースによって表現が異なっており、混乱が生じています。以下、主要ソースごとに整理します。

情報ソース 表現 備考
ベトナム主要メディア
(Thanh Niên, Người Lao Động, CafeF等)
bắt buộc(義務) Công văn 1474/CACK TSNに基づき報道
米国大使館 must(義務) 「all foreign passport holders must complete」と明記
Fragomen
(国際移民法大手事務所)
must(義務) ただし「パイロットプログラム」と位置づけ。4月末までは過渡期として遅延を予想
在ホーチミン日本国総領事館
(制度開始初期の案内)
推奨 出入国管理局への確認として「義務ではない」と案内。根拠法令が十分に出ていなかった制度初期の情報

当事務所の見解

公式通知(Công văn 1474/CACK TSN)自体は「bắt buộc(義務)」のトーンであり、ベトナムの主要メディアおよび米国大使館もこれに準じた表現を使用しています。在ホーチミン日本国総領事館が「推奨」と案内したのは、根拠法令が十分に共有されていなかった制度開始初期の情報に基づくものです。

一方で、実運用上は、未登録であっても入国拒否にはならず、手続きに時間がかかるだけというのが現時点での実態です。

「義務だが罰則なし」という状態は、ベトナムの行政運用においてはしばしば見られるパターンです。ただし、今後運用が定着するにつれ、未登録者への対応が厳格化される可能性は十分にあります。事実上の義務として対応しておくことを強く推奨します。

【新情報】事前登録者はAPECレーン(ファストトラック)を利用可能

制度開始当初(4月中旬)は運用が固まっておらず、QRコードを提示してもどの窓口で見せるのか現場レベルで混乱が見られました。

しかし、2026年5月上旬時点では、以下のような運用が確認されています。

✅ 実際の運用(2026年5月時点・当事務所確認)

事前登録済みのQRコードをAPECレーン(ファストトラックレーン)の担当者に提示すると、APEC/ABTCカード保持者用のレーンに並ばせてもらえる運用が行われています。

この場合、ファストトラックサービスを別途購入していなくても同様の扱いとなります。

※ まだ運用が完全に固まっていない段階であり、今後変更される可能性があります。ただし、出入国管理局が事前登録者にメリットを出そうとしている方向性は明確です。今後運用が変わる可能性もあるのでご注意ください。

タンソンニャット空港は設計容量を大幅に超過しており、ピーク時(特に夕方以降の国際線集中時間帯)には入国審査の待ち時間が40分〜90分に達することがあります。事前登録によりAPECレーンを利用できれば、大幅な時間短縮が可能です。

航空会社の対応状況

各航空会社もこの制度への対応を進めており、チェックイン時や予約確認メールで旅客への通知を開始しています。

Vietjetはいち早く対応し、オンラインチェックイン時に通知を発信。Korean AirSingapore Airlines等の国際航空会社も予約確認メール等を通じて旅客に事前登録を案内しています。出入国管理局も、航空会社および旅行会社に対して旅客への事前周知を正式に要請しています。

登録の手順(詳細)

公式ポータル(prearrival.immigration.gov.vn)での入力項目は以下の通りです。

入力カテゴリ 入力項目
基本情報 国籍、到着予定日、パスポート写真(任意・自動入力用)
パスポート情報 氏名、生年月日、性別、パスポート番号(パスポート記載と完全一致が必須)
ビザ情報 ビザ種別(e-Visa、VOA、免除等)
渡航情報 出発国、渡航目的、移動手段、フライト番号、入国地点(タンソンニャット)
滞在先情報 宿泊先名、市、区、住所。就労目的の場合は勤務先情報も
出国予定 ベトナム出国予定日

入力後、確認画面で情報を精査した上で送信すると、システムがファイル番号を付与し、QRコードを生成します。QRコードは登録メールアドレスにも送信されます。

なお、到着日が変更になった場合は、新しい日程が72時間以内に入った時点で再度フォームを送信し直す必要があります。子供を含む全ての旅客に個別の申告が必要ですが、保護者が代理で入力可能です。

各国の類似制度との比較

制度名 導入時期 義務/推奨
ベトナム Pre-Arrival Information 2026年4月 義務(実態は柔軟運用)
タイ TDAC(TM6 e-form) 2025年5月 義務
韓国 e-Arrival Card 2025年2月 推奨(K-ETA保持者免除)
シンガポール SG Arrival Card 2024年 義務
インドネシア 電子税関申告 2024年 義務
日本 Visit Japan Web 2022年11月 推奨

Autogate(自動ゲート)利用者の扱い

テンポラリーレジデンスカード(TRC / thẻ tạm trú)を保持し、Autogateに登録済みの外国人(日本人駐在員等)がPre-Arrival申告の対象に含まれるかどうかは、公式には明確にされていません。

Autogateは生体認証(顔認証・指紋)とパスポートスキャンにより本人確認を行う別系統のシステムであり、Pre-Arrival申告とは独立して機能すると考えられます。Autogateでの通過は通常30秒〜1分程度で完了します。

ただし、現時点では「Autogate登録者は申告不要」という公式見解がないため、念のため事前登録しておくことを推奨します。登録自体は無料で3〜5分程度で完了し、デメリットはありません。

実務上の推奨対応

当事務所からの推奨事項(2026年5月更新)

日系企業の駐在員およびベトナムへ渡航する全てのビジネスパーソンに、次回入国時からの事前登録を強く推奨します。

① 登録は無料で、日本語対応のため手続きが容易(約3〜5分)

② APECレーン利用による大幅な時間短縮が期待できる(実際に運用確認済み)

③ 米国大使館・ベトナム主要メディアは「義務」と明記しており、未登録の場合は処理時間が延長される

④ 将来的な義務化の厳格化(罰則追加等)に備え、早期に登録プロセスに慣れておくことが望ましい

⑤ タンソンニャット空港の1日の到着者数はピーク時に4万8,000人を超え、設計容量を大幅に超過

企業の管理部門・総務部門向けの推奨:出張者の事前チェックリストにPre-Arrival登録を追加してください。e-Visa・航空券・宿泊確認書と同様の必須準備項目として取り扱うことを推奨します。

今後の展開予測

国際移民法大手事務所のFragomenは、本制度を「パイロットプログラム」と位置づけ、他の入国地点への拡大が予定されていると分析しています。

実際、登録ポータルには空路だけでなく陸路・海路の選択肢が既に含まれており、入国地点のフィールドもタンソンニャットに限定されていません。これは、ノイバイ(ハノイ)やダナン等の国際空港、さらには陸上国境への拡大が技術的に準備されていることを示しています。

ベトナム政府はデジタルトランスフォーメーションを国家戦略として推進しており、タンソンニャットでのパイロット運用を経て全国展開に移行する流れは確実視されます。

注意事項 ― 偽サイトに要注意

⚠ 詐欺サイトへの注意喚起

本登録は完全無料であり、クレジットカード情報の入力は一切不要です。

既に、手数料を徴収する「代行サイト」が複数確認されています。必ず公式URL(prearrival.immigration.gov.vn)からアクセスしてください。ドメインが .gov.vn であることを確認してください。

万が一、登録の過程でクレジットカード情報や金銭の支払いを求められた場合は、詐欺サイトの可能性が高いため、直ちに手続きを中止してください。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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