ベトナムにおけるライセンスとビジネスライン登録について

ベトナムに進出を考える日本企業にとって、事業の運営に必要なライセンスや登録手続きは非常に重要なポイントです。
特に、事業活動を開始するにあたり、ビジネスライン(業務内容)の登録や、それに関連するCPCコード、VSICコード、そして各種ビジネスライセンス(サブライセンス)を理解することが求められます。本記事では、これらの要素を整理し、企業がベトナムで事業を合法的かつ効率的に運営するために知っておくべき基本的な情報を解説します。

1. ビジネスラインとは

ベトナムでは、企業が事業を開始する際に、投資計画局やその他の関連当局に「ビジネスライン」と呼ばれる事業内容を登録することが必須です。ビジネスラインの登録は、事業の業種や内容を明確にし、政府に対して事業の合法性を示すために行われます。

ビジネスラインは、VSICコード(Vietnam Standard Industrial Classification Code)と呼ばれる産業分類コードに基づいています。VSICコードは、ベトナム政府が事業活動をカテゴリー別に管理するために使用されるコードで、具体的な事業内容を分類します。これは国際標準産業分類(ISIC)に準拠しており、企業がどの分野で活動するかを政府が管理するための重要な指標です。

例えば、製造業、サービス業、コンサルティング業など、企業が行う業務に応じたVSICコードを選定し、ビジネスラインとして登録する必要があります。これにより、事業活動の合法性が確保され、政府による管理が可能となります。

2. CPCコードとは

一方、CPCコード(Central Product Classification Code)は、国連が定めた中央商品分類コードであり、主に商品やサービスの種類を国際基準に基づいて分類するために使用されます。特に、サービス業や国際的な取引に関連する企業にとって、CPCコードは重要です。

ベトナムでは、サービスを提供する企業が特定の業務を行う際に、CPCコードを使用してその業務内容を登録します。これは国際的な基準に基づいており、特に外資系企業が進出する際に求められることが多いです。

例えば、「管理コンサルティング」業務はCPCコード865に該当し、企業はこのコードに基づいてコンサルティングサービスを登録することができます。CPCコードは国際的な取引や投資においても使用され、企業が行う業務内容を正確に反映させるための手段となります。

3. ビジネスライセンス(サブライセンス)とは

ビジネスライセンスとは、特定の事業活動を合法的に行うために必要な許認可を指します。これには、ビジネスラインの登録に加えて、各省庁からの追加の許可が必要な場合があります。これを「サブライセンス」とも呼ぶことがあり、例えば、医療業、教育業、金融業など、特定の規制が厳しい分野で事業を行う際には、別途取得が求められることが一般的です。

ベトナムでは、特定の業種について追加の許認可が必要なケースが多く、企業が進出する際には、各業種に対応するサブライセンスの取得が求められます。例えば、食品や医薬品の製造・販売を行う企業は、保健省からの許可が必要であり、金融業を営む場合には、財務省や中央銀行からの認可が必要です。

このように、サブライセンスは業種によって異なり、ビジネスラインの登録に加えて、企業が法的に事業を運営するためには、これらの追加の許認可を取得することが不可欠です。

4. ビジネスライン、CPCコード、VSICコード、ビジネスライセンスの関係性

ビジネスライン、CPCコード、VSICコード、ビジネスライセンスは、それぞれが関連し合い、企業がベトナムで事業を行う際に必要な要素となります。

  • ビジネスライン: 企業が事業活動を行うために登録する基本的な業務内容です。これに基づいて、事業の合法性が確認されます。
  • VSICコード: ビジネスラインに対応する産業分類コードで、ベトナム政府が企業の業種を管理するために使用します。
  • CPCコード: 特にサービス業において、国際基準に基づいた業務内容の分類を示します。外資系企業やサービス業に多く使用されます。
  • ビジネスライセンス(サブライセンス): 特定の業種に必要な追加の許認可で、ビジネスラインの登録に加えて必要となる場合がある。

例えば、コンサルティング業を営む外資系企業は、まずVSICコードに基づいたビジネスラインの登録を行い、その際にCPCコード865(管理コンサルティング)を選定します。その後、具体的な業務を行うために、必要に応じてサブライセンスの取得が求められることがあります。

5. まとめ: ベトナム進出時に必要な準備

ベトナムに進出する日本企業にとって、これらのライセンスや登録は必須事項です。特に、企業の業務内容に応じたVSICコードやCPCコードの選定は重要であり、正確な登録がなされていない場合、後に事業の運営に支障をきたす可能性があります。また、特定の業種ではビジネスライセンス(サブライセンス)の取得が必要であるため、進出前に十分な準備と確認が求められます。

ベトナムは、成長著しい経済圏であり、多くの外資系企業が進出していますが、法規制や行政手続きが厳格であるため、正確な手続きを踏むことが成功の鍵となります。進出を検討する企業は、専門家のサポートを受けながら、適切なライセンス取得と事業計画の策定を行うことが推奨されます。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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