【ベトナム】外国人・外資系企業におけるVNeID登録の最新情報

VNeID(Vietnam Electronic Identification)はベトナム公安省が開発した デジタル身分証明システム であり、スマートフォンアプリ「VNeID」を通じて個人や法人の電子身分証(e-ID)を発行・管理します。もともとはベトナム国民向けに提供され、電子政府サービスや日常の行政手続をデジタル化 する基盤として活用されてきました。2024年に公布された政令第69/2024/ND-CPにより、このVNeIDシステムを外国人個人および外国組織(企業等)にも拡大することが定められました。

2025年7月から一部の外国人の登録も必須となっていますが、制度開始時の混乱が見られるため、以下のとおり現在の状況を整理します。

最終更新:2025年7月2日

対象者(義務が生じる者)

  • ベトナムに 有効な在留カード(TRC/PRC) を持ち、オンライン行政手続を行う外国人
  • 外資企業・団体の法定代表者(又は正式委任を受けた代理人)
  • 上記に該当しない短期滞在者等は任意。ただし今後電子手続が主流化するため登録推奨。

① レベル区分

  • レベル1:基本情報のみ(現在アプリは外国人未対応、順次開放予定)
  • レベル2:顔+指紋登録済。電子申告・投資手続などフル機能利用可

② 現状の取得方法

アプリ最新Ver.では外国人入力欄が未解放となっており、アプリでの外国人登録は本コラム作成時点ではできません。
そのため、直接レベル2の登録を窓口で対応 → アプリに反映する流れが現実的という状況です。

③ レベル2登録(強化期間:7/1〜8/19)

窓口や申請に必要な書類は現状は以下です。

窓口:従来区分の出入国管理局(Immigration Office)

<持参書類>

④ 法人電子ID(企業アカウント)

代表者がレベル2取得後、VNeIDアプリ又は窓口で法人IDを申請(ERC情報等入力)して法人IDを作成・紐づけすることが必要です。

③の手続きをする際に窓口で一緒に対応するのが最も確実です。

【留意点】

現行法に「全外国人必須」との明文はありません。

ただし
・外資企業の代表者
・TRC/PRC所持でオンライン手続を行う個人
・未成年・被後見人の代理申請を行う保護者等(すぐ必要なオンライン手続はなさそうですが。)
は実務上レベル2取得が不可欠と考えられます。

将来は銀行口座開設や運転免許更新を含む多くのサービスが電子ID前提となるため、該当しない外国人についても登録が必要となるケースが考えられ、最新の状況を確認していくことが求められます。

※今後、非居住者の納税対応や、非居住者が代表になっている法人の対応において、VNeID対応が可能なのかどうかも注目されます。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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