【ベトナム】外国人・外資系企業におけるVNeID登録の最新情報

VNeID(Vietnam Electronic Identification)はベトナム公安省が開発した デジタル身分証明システム であり、スマートフォンアプリ「VNeID」を通じて個人や法人の電子身分証(e-ID)を発行・管理します。もともとはベトナム国民向けに提供され、電子政府サービスや日常の行政手続をデジタル化 する基盤として活用されてきました。2024年に公布された政令第69/2024/ND-CPにより、このVNeIDシステムを外国人個人および外国組織(企業等)にも拡大することが定められました。

2025年7月から一部の外国人の登録も必須となっていますが、制度開始時の混乱が見られるため、以下のとおり現在の状況を整理します。

最終更新:2025年8月31日

対象者(義務が生じる者)

  • ベトナムに 有効な在留カード(TRC/PRC) を持ち、オンライン行政手続を行う外国人
  • 外資企業・団体の法定代表者(又は正式委任を受けた代理人)
  • 上記に該当しない短期滞在者等は任意。ただし今後電子手続が主流化するため登録推奨。

① レベル区分

  • レベル1:基本情報のみ(現在アプリは外国人未対応、順次開放予定)
  • レベル2:顔+指紋登録済。電子申告・投資手続などフル機能利用可

② 現状の取得方法

アプリ最新Ver.では外国人入力欄が未解放となっており、アプリ上での外国人登録は本コラム作成時点ではできません。
そのため、登録者本人が直接レベル2の登録を出入国管理局の窓口で対応 → アプリに反映する流れを行う必要があるという状況です。

③ レベル2登録(強化期間:7/1〜8/19)

窓口や申請に必要な書類は現状は以下です。登録者本人が窓口に行く必要があります。

窓口:従来区分の出入国管理局(Immigration Office)

※7月7日時点では、ホーチミン市では整理券制度になっています。

<持参書類>

  • パスポート原本
  • 一時在留許可(テンポラリーレジデンスカード|TRC)永年滞在許可(PRC) 原本
  • 申請書 TK01:窓口で記載・印刷等の対応。7月1日からの新住所の記載が必要。
  • 本人が使用名義になっているベトナム登録携帯番号(変更されていないケースが多いので要注意)
    ※SMSで1414番宛にTTTB+スペース+パスポート番号を送るとSMS返答で名義が確認できます【説明してくださっている方のX投稿】。
    ※一部地域では法人名義での電話番号でも登録完了になったとの情報もあり(通信会社ごとの対応の違いもあり)。今後実務上は徐々に変わっていく可能性。
  • その場で顔写真・指紋採取(手数料無料)

登録後、1週間以内程度でSMSまたはメールアドレスに結果が通知される。

<2025年8月13日時点のホーチミン市入館当局での登録手順>

朝7:30に到着。
①写真撮影 7:35
入り口入って少し進んだ先のカウンターで3万VND払って券をもらう。
→その紙とパスポート提出してすぐ撮影。メガネは外す。
② 電話番号確認 7:36
カウンターで自分の電話番号が確認する「1414」への「TTTB+パスポート番号」送付。確認できれば小さい紙と整理番号もらえる
※事前にやっていたもの見せればok
③書類記載 7:40
その紙に名前、パスポート番号、住所(7月1日からの新しいもの)電話番号、メールアドレス記載
④一番奥のカウンター待機
整理番号がディスプレイに表記されている。呼ばれるまで待つ。②で受領した番号はNo.20。空いていればスムーズに進みそうだが、混んでいればここでかなり待つ。
いまは窓口4つがフル稼働していて1人につき5分-10分くらい。20人待ちなら30分程度待てば回ってきそう。
⑤呼ばれたら窓口へ 8:05
記載済みの紙を渡して入力してもらう。それを印刷した書面を確認し、間違いなければ署名。
そのまま全ての指の指紋採取。
8:10には終了

雑感:
初期よりはかなりスムーズになっているし待機の人数も少なめ。8時頃には④カウンターで待っている人数が結構増えていたので7:30くらいに行く方がよいですね。
上記さえわかっていれば日本語しか話せない方でも1人で対応はできそうですが、イレギュラーな事項あると英語・ベトナム語での対応が必要な印象です。

④ 法人電子ID(企業アカウント)

代表者がレベル2取得後、VNeIDアプリで法人IDを申請(ERC情報等入力)して法人IDを作成・紐づけすることが必要です。法定代表者のアプリまたは委任者のappで企 業向けeIDを作成します。

③の登録後、SMSまたはメールアドレスにIDの連絡がきたのち、アプリ上で登録という流れにります。この点は混雑状況や実務状況で変更がある可能性はあります。

企業向けVNeIDは、①法定代表者本人 ②法定代表者が権限委任した人が管理可能です。法定代表者は各手続き内容ごとに委任者を設定できます。

【留意点】

現行法に「全外国人必須」との明文はありません。
少なくとも、現時点では法人の行政手続のために法人代表者の登録は必須です。

ただし
・TRC/PRC所持でオンライン手続を行う個人
は登録が必要です。

本コラム執筆現在では、登録しないことによる罰則その他は明確化されていません。
将来は銀行口座開設や運転免許更新を含む多くのサービスが電子ID前提となるため、該当しない外国人についても登録が必要となるケースが考えられ、最新の状況を確認していくことが求められます。

※今後、帯同家族、非居住者の納税対応や、非居住者が代表になっている法人の対応において、VNeID対応が可能なのかどうかも注目されます。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

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