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【ベトナム労務】日本人従業員のベトナム入国から労働契約締結までの法的手続の概要

第一 労働許可証(以下、「WP」といいます)取得前の入国ビザについて

WP を申請せずに入国ビザを取得したい場合は、出張目的で DN1 または EV ビザを申請できます。

1.DN1 ビザ (ビジネスビザ)

ビザの期間は1 年を超えてはなりません。 (統合文書 30/VBHN-VPQH (以下「統合文書」といいます) 第 9.4 条、第 31.1 条(a))。

ベトナム企業は、ベトナムの入国管理局にビザ申請書を提出することで外国人の保証人となり、外国人は日本のビザ発給機関でビザを受け取ります。手順は次のとおりです。

■手順:

ステップ 1: ビザを申請します。

No. ビザ申請書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠
1 事業登録証明書、投資登録証明書(認証謄本) 入国管理局 統合文書第 10 条、第 16.7 条;

 

通達No.31/2015/TT-BCA第3.1条

2 組織の権限のある人の印鑑と署名を説明する文書(右記のフォームに記載等を行ないます) 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム NA16
3 申請書 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム NA2

または

入国管理に関する国家 Web ポータルにてオンライン手続ができます。

すべての書類の提出から 5 営業日以内に、入国管理局から結果の通知が送信されます。

次に、日本のベトナムビザ発給機関でビザを受け取ります。

ステップ 2: 日本のベトナムビザ発給機関でビザを受け取ります。

No. ビザ取得書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠
1 ビザ申請申告書 通達No. 04/2015/TT-BCA、フォーム  NA1 ベトナムの海外駐在員事務所 (在日ベトナム大使館・在大阪ベトナム総領事館・在福岡ベトナム総領事館) 統合文書;

通達No.04/2015/TT-BCA

2 パスポート

 

2.EVビザ:

期間は90日以内です(統合文書第9条2、第31条1項(a))。

ビジネス目的で使用できます。

  • 手順 (通達No.22/2023/TT-BCA):
    • ステップ1:公安省のポータル(https://dichvucong.bocongan.gov.vn/、または https://e-services.mps.gov.vn/)にアクセスして、電子ビザ申請情報を入力し、写真とパスポートIDページをアップロードします。 この手順を実行すると、システムによってコードが発行されます。
    • ステップ2:コードを受け取った後、ビザ発給手数料を支払います。
    • ステップ3: 電子ビザ発行の結果を印刷します。
3.ノービザ

なお、日本人であれば45日間はビザが免除されます(決議128/NQ-CP第1条)ので45 日間滞在期間中にビザを申請することも可能です。

 

2 WPの取得について

「国内異動」(政令No.152/2020/NĐ―CP第2.1(b)条)の形でWPの取得に必要な条件と手続:

  • 雇用局または雇用サービスセンターのウェブサイトに外国人労働者が就労予定の業務にベトナム人労働者を募集する告知を15日間行う。雇用者は、この告知によってもベトナム人労働者を採用することができなかった場合に限り、外国人労働者雇用の報告を進めることができる。(政令70/2023/NĐ-CP第2条)
  • 外国人労働者の雇用の承認文書の取得:
    • 提出すべき書類:外国人労働者の雇用の必要性を説明する文書
    • フォーム:政令 70/2023/NĐ-CPフォーム01/PLI
    • 労働傷病兵社会問題省または労働傷病兵社会問題局に提出する(政令70/2023/NĐ-CP第2条)
  • 外国人労働者の雇用の承認を受け取った場合、WPを申請することができる。提出すべき書類は以下のとおりです:
No. WP申請書類 フォーム 提出をする国家機関 法的根拠
1. 申請書 政令No. 70/2023/NĐ-CP、フォーム  No.01/PLI 労働傷病兵社会問題省または労働傷病兵社会問題局 政令No. 152/2020/NĐ-CP

政令No. 70/2023/NĐ-CP

2. 健康診断書
3. 日本の無犯罪証明書
4. 管理者・CEO/専門家/技術者の証明書

–       管理者・CEO:会社定款、企業登録証明書

–       専門家/技術者: 資格(学歴)取得証明

5. 写真2枚(4cm x 6cm)
6. 外国人労働者の雇用の承認文書
7. パスポート(認証コピー)
8. 決定任命
9. 就労経験確認書(職歴証明書・労働契約書などで、ベトナムで勤務する以前に日本法人で12ヶ月以上連続で勤務していたことを示すもの)

 

第三 WP取得前のベトナム法人からの給与の振込

WP所得前についてはベトナム法人から当該従業員に対して、給与の支払いはできないと考えます。

ベトナムの規制によれば、外国人は入国目的に反する若しくは申告していない活動をベトナムですることはできません(統合文書第44.2条)。この場合、当該従業員はビジネス目的でベトナムに来ている日本法人の従業員でしかなく、WPを持っていないため、法的はにベトナムにおける外国人労働者に分類されません。

政令No. 152/2020/NĐ-CP第2.1条によれば、外国人労働者とは、ベトナムでの労働契約やその他類似する契約に基づき、勤務する者を指し、日本法人との労働契約しかなく、ベトナムの滞在根拠がVISA等に基づくに過ぎないものについては、ベトナム法上の外国人労働者に該当しません。

ベトナム法人から給与を振込んだ場合、当該会社は次のリスクに直面する可能性があります。

  • 外国人がビザ申請以外の目的で入国した場合、15,000,000 VND ~ 20,000,000 VND の罰金が課せられます。 (政令 144/2021/ND-CP第 18.6 条(b))
  • 外国人労働者が労働許可証なしで働いた場合、15,000,000 VND から 2,5000,000 VND の罰金が課せられます(政令12/2022/ND-CP第 32 条)。
  • ベトナムの法人には、労働許可証なしにベトナムで働く外国人労働者を1人から10人まで雇用した場合、30,000,000 VNDから45,000,000 VNDの罰金が課せられます (政令12/2022/ND-CP第 32.5 条)
  • この場合給与は認可された 費用として認められないため、当該給与を損金処理もできません。

したがってWP取得前は日本法人から給与を支給するなどの何らかの手当が必要と考え

 

第四 WP取得後に必要な手続の概要

政令No. 152/2020/NĐ-CP第 2.1(a) 条にて「労働契約」の形式でWPを取得した場合:

  • 就業予定日より前に労働契約を締結しなければならない。また当該労働契約書 (原本または認証コピー) を WP を発行した機関に送付する必要があります。
    ※「国内異動」の形でWPを取得の場合、条文上は労働契約を締結するのは必須ではない(政令No. 152/2020/NĐ-CP第 11.3 条)。もっとも代替書面等の形式や内容が必ずしも明確ではないため、多くの場合労働契約の締結が行われています。
  • 社会保険に加入する (ベトナムの雇用主と無期労働契約または1年以上の有期労働契約を結んでいる場合。(政令143/2018/NĐ-CP第1条)。
    ※「国内異動」の形でWPを取得の場合、社会保険に加入する必要がない(政令143/2018/NĐ-CP第 2.2(a)条)。
  • ビザをDNからLD1またはLD2ビザに変更して滞在を延長する。
  • 2007 年個人所得税法に従って個人所得税を納付する。

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CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

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