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取引の相手方に対する債権の時効は何年ですか?

  • 2016.04.25
  • 組織体制、契約管理
  • 債権回収

■時効の種類と期間 ベトナムでは、①消滅時効と、②訴訟時効が存在します。 ①は、その期間が終了するときに、義務者がその義務を免除される期間であり、②は、主体が侵犯された合法的な権利利益を保護するよう要求するために裁判所に提訴する権利を有する期間をいいます。 一般的に時効というとき、②を指すのが通常です。   訴訟時効は原則として合法的な権利と利益が侵害された日から2年間となります。 ※賃金債権については原則として労働争議調停を要求できる期間が6ヶ月、裁判書に要求できる期間が1年となっている等、例外もあり。   ■時効中断 (1)義務者による義務の承認、(2)義務者による義務の一部の完了、(3)当事者による和解の場合には提訴時効が始めから再度カウント...

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日本企業のベトナム企業に対する債権管理の注意点・問題点(消滅時効・紛争解決)
日本企業からベトナム企業に対する債権回収のお悩みは、ベトナムでも良く耳にします。結論からいうと、数十万円から数百万の債権の場合、訴訟提起等を行って債権回収を行うメリットはないことも多いのが現状です。今回は、債権管理を行う上での注意点・問題点についてなるべく日本の場合と比較して説明したいと思います。 日本法とベトナム法では、時効についての定め方・期間が異なります。日本法の債権の消滅時効については、民法167条1項が以下のように規定しています。 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 一方、ベトナムでは民法429条が「契約に関する提訴時効」という表題で以下のように債権の時効を規定しています。 「裁判所に対して契約紛争の解決を請求するための提訴時効は,請求権を有する者が自己の権利又は合法的利益が侵害されたことを知り又は知るべきであった日から3 年である。」 両者を比較した場合、ベトナム法は提訴時効という形で時効の概念を定めており、そこが理論的には大きな違いとなります。しかし、この点は債権管理を行う上では決定的な差異とならないので、本稿では特に触れません。 また、日本の場合、会社同士の取引で発生した債権の商事時効は5年と短くなりますが(日本商法526条1項)、ベトナム法でも「2年」と短くなります(ベトナム商法319条)。 このように、ベトナムでは消滅時効の期間が短いということに最も注意しなければなりません。ベトナム企業に契約上の債権を有する場合、いつ時効が切れるかということに債権管理上注意しなければなりません。 さらに、消滅時効でもう一点気をつけなければならないのは、時効の停止・中断についてです。日本法上では、裁判外であっても催告を行えば、6か月は時効の進行が一時的に停止しますが(日本民法153条)、ベトナムにおいては催告による時効の停止がありません(もっとも、日本の場合も、催告から6か月以内に訴えの提起等を行わなければ、最終的に時効は中断しません)。 相手方が債務について支払いを行う等、問題となっている債務について承認するような行為がなければ、他に訴え等を提起することでしか消滅時効の進行を止めることはできません(ベトナム民法157条1項)。 そのため、相手方の支払いが遅れている場合には、単に督促をするだけではなく、合意書等の形で相手方が債務の存在を認めていることをしっかりと残しておくことが重要です。 このように、ベトナムでは債権の時効期間が短く、また、停止・中断事由も限定的であることから、債権が発生する契約をした場合(契約書がない場合も含む)、日本よりもさらにきっちりと自社で記録に残し、定期的に合意を取る等の管理を心がける必要があります。   多くの場合、日本企業であれば紛争の解決を試みる場合、知らない国で行うよりも日本で裁判を行いたいと思うでしょう。 しかし、請求する権利を有する債権者が日本企業であっても、契約書上で紛争解決の管轄裁判所を日本の裁判所と定めることは問題があります 。 日本とベトナムの間には、相互の判決の承認及び執行について規定する二国間条約が締結されておらず、また相互承認もないことから、日本の裁判所で勝訴したとしても、判決結果をベトナム国内で強制執行することができません。 強制執行ができない判決では相手が任意で支払わない以上、何もできなくなってしまい、意味がなくなってしまいます。そのため、日本企業がベトナム企業を訴える場合には、ベトナムで訴訟するか、仲裁を選ぶ必要があります。 仲裁の場合、日本もベトナムも仲裁に関するニューヨーク条約(「外国仲裁判断の承認および執行に関する条約」)に加盟しており、相互に執行することができます。そのため、契約書において紛争解決条項を定める場合、一般的には債務者(請求される側)の国で訴訟する規定にするか、仲裁条項を置くかについて注意してください(仲裁条項がない場合、仲裁を利用できません)。 なお、ベトナム国内企業同士の場合、ベトナム国内法上、外資の現地法人だとしてもベトナム国外での訴訟・仲裁は選択できないため注意が必要です。 ベトナムの第一審裁判所は、職業裁判官1名と、一般市民から選ばれる人民参審員2名によって裁判体が構成されます。職業裁判官と、人民参審員の1票は同等の価値とされています。その為、法律に関しては素人である人民参審員の判断が、職業裁判官の判断に優先される可能性があります。 また、裁判官ごとの能力にも大きなばらつきがあると言われていますし、残念ながら公的機関の判断が賄賂の影響を受ける場合もないとはいえないです。たとえ裁判したとしても、訴訟の進行も裁判官や相手方の訴訟行動の影響が日本よりも大きく、訴訟に2年以上かかることも多くあります。 さらに、法令の解釈や事実認定について重要な争点がある場合には、事前の調査を行って裁判所の判断を予測する必要があります。日本であれば裁判は公開されているので、争点になりそうなものについて事前に調査を行うことによりある程度結果の予測を立てることができます。しかし、ベトナムにおいては、現行法上においては判決が公開されているものの、当該運用は2015年の民訴法の改正に伴って最近始まったばかりであり、また公開される裁判例も十分ではありません。 したがって、過去の蓄積された事例を調査して、判決結果を予想することが困難です。 このような法・社会制度上の問題があることから、ベトナムで訴訟提起しても、判決までに要する期間や、判決結果に対する予測は明確にできません。これはベトナムで訴訟することの問題点のひとつといえるでしょう。 では仲裁の場合はどうでしょうか。 この場合は日本やニューヨーク条約に加盟している第三国でも可能となります。 手続きの透明性、公平性や利便性などを考えると日本やシンガポール等での仲裁は検討すべき選択肢の一つです。 しかしながら、ベトナム国外での仲裁は費用が高額となる場合が多いので、回収しようとする債権額が大きくない場合には、費用対効果として割りに合わない場合があります。 ベトナムでの仲裁手続きでも、各当事者が仲裁を選定する過程があるため、ベトナム国内の裁判よりは公平性が高いといえます。ただ、費用については裁判手続きを利用するよりも高額になる場合が多いので、この点はやはり注意が必要です。 以上のように仲裁手続きについてもメリット、デメリットがあるので、利用するには債権額との関係で慎重な判断が必要となります。 以上のような訴訟上の問題点に加えて、執行逃れが比較的容易等、日本と比べると執行制度についても不備が散見されます。 また、日本では、民事保全手続を活用することにより、相手方に秘して財産の仮差押等を行うことができますが、ベトナムでは、訴訟提起をせず(本案提訴前)に保全処分を行うことができません。結果的にベトナムでの訴訟や仲裁で勝ったとしても、執行時に既に相手がいない、財産がないということも考えられます。 これらの理由から、日本企業の多くは数十万円から数百万の債権について、メリット・デメリットを考慮したうえで、結果的に訴訟提起をしないという場合も多いです。 そのため、ベトナムでの債権管理においては、そもそもその契約金額にふさわしいのかという相手の信用性の判断が非常に重要になります。その上できちんとした契約書を作成しておく等、事前の準備をしっかり行い、さらに訴訟になる前に定期的に請求を行い、自社の債権を優先してもらう努力をするなどの事実上のやりとりも非常に重要となります。