2026年ベトナム「建国記念日(独立記念日・国慶節)」休暇について

2026年のベトナムの建国記念日(国慶節)は2026年9月2日(水)です。本コラムでは建国記念日前後の休暇についてまとめます。

今年は、昨年までと異なり「振替(hoán đổi)」が導入されています。公的機関は8月31日(月)を休みにして5連休とし、その代わりに8月22日(土)が出勤日となります。この振替は民間企業には適用されないため、自社の休暇日程をどう設定するかで対応が分かれます。

なお、2025年は建国80周年としてハノイで大規模な軍事パレードとそのリハーサルが行われましたが、2026年は81周年であり、本コラム作成時点で同種の国家級パレードは公表されていません。あわせて、2026年から法定の有給休日が年間12日に増えています。これらの点を含め、ベトナム現地の日系法律事務所の観点から整理します。

1. 2026年の基本カレンダー(公的機関)

2026年の国慶節は、9月2日(水)です。公務員等の公式な休暇は、8月29日(土)〜9月2日(水)の連続5日間(週休日2日+振替休日1日+国慶節2日)と通知されています。

    • 8/22(土):出勤日(8/31の振替として勤務)
    • 8/28(金):連休前の最終開庁日
    • 8/29(土):週休日
    • 8/30(日):週休日
    • 8/31(月):振替休日(8/22に出勤する代わりの休日)
    • 9/1(火):国慶節に付随する休日(前日)
  • 9/2(水):建国(独立)記念日 当日
  • 9/3(木):業務再開

(上記は「9441/TB-BNV」による公式スケジュールです。)

対象は、行政機関、事業体、政治組織および政治社会組織の幹部・公務員・職員です。土日固定の休日制をとっていない機関は、各機関の業務計画に応じて休暇を配置することとされています。また内務省は、連休中も国民・企業向けの行政サービスが途切れないよう、当直体制を整備するよう求めています。

1.1 通知の発出元が「内務省」に変わりました

実務上、注意していただきたい変更点があります。2025年の国慶節休暇は労働傷病兵社会省(Bộ LĐ-TB&XH)の通知6150/TB-BLĐTBXH号によるものでしたが、2025年の省庁再編で同省が内務省(Bộ Nội vụ)に統合されました。

さらに、内務分野の国家管理における権限分配に関する政府令(政令第128/2025/ND-CP号、2025年7月1日施行)第7条2項により、労働法第112条3項に基づく祝日日程の具体的通知は内務大臣が行うこととされました。従来「首相が決定する」と説明されていた部分が変わっていますので、社内規程や年間カレンダーに根拠を記載している企業は、更新をご検討ください。今後は「TB-BNV」の番号で通知を確認することになります。

2. 民間企業が取るべき設定(法的根拠と実務)

2.1 法的な前提

労働法(法律第45/2019/QH14号、2021年1月1日施行)第112条1項(d)上、国慶節は2日間(9月2日+その前日または翌日のいずれか1日)の有給休暇です。どちらを選ぶかは、前記1.1のとおり、毎年の実情に応じて内務大臣が決定・通知します。

また、週休日が祝日と重なった場合は、翌営業日に振替休日を与える必要があります(労働法第111条3項)。もっとも、2026年は9月1日(火)・2日(水)がいずれも平日ですので、この規定に基づく代休は発生しません。この点は昨年より判断がシンプルです。

2.2 2026年の企業向け選択肢・通知

企業(民間)は、2026年の国慶節の2日間として

  • A案:9/1(火)+9/2(水)、または
  • B案:9/2(水)+9/3(木)

のいずれかを選択できます。実施の少なくとも30日前までに従業員へ通知してください(同通知9441号)。通知9441号も、公務員スケジュールに準拠すること、および労使間でより労働者に有利な休暇案を協議することを推奨しています。

実務上は、学校が公的機関の日程に従うことも踏まえると、A案(9/1+9/2)を採用し、8/31(月)をどう扱うかを別途決めるという整理が現実的です(後記3.)。

30日前通知の期限は既に経過しています

A案(9月1日開始)であれば8月2日、B案(9月2日開始)であれば8月3日が30日前にあたります。本コラム公開時点では、いずれの期限も経過しています。まだ社内通知を出していない場合は、直ちに書面またはメールで通知を行い、記録を保存しておくことをお勧めします。

なお、この30日前通知の懈怠それ自体に対する明示的な罰則規定は、現行法令上、必ずしも明確ではありません。もっとも、通知の遅れによって従業員が休暇を取得できなかった場合には、後記4.の祝日休暇に関する制裁の対象となり得ます。形式面の不備を残さないことが安全です。

2.3 例示:週休2日制(原則:土日休み)の場合
日付 公的機関 区分(A案) 区分(B案)
8/22(土) 出勤日 週休日 週休日
8/28(金) 最終開庁日 平日(通常勤務) 平日(通常勤務)
8/29(土) 週休日 週休日 週休日
8/30(日) 週休日 週休日 週休日
8/31(月) 振替休日 平日(※後記3.参照) 平日(通常勤務)
9/1(火) 国慶節の付随休日 国慶節の付随休日(推奨) 平日(通常勤務)
9/2(水) 国慶節当日 国慶節当日 国慶節当日
9/3(木) 業務再開 平日 国慶節の付随休日

※2026年は週休日と祝日が重ならないため、労働法111条3項に基づく代休は発生しません。
※公的機関の8/22(土)出勤・8/31(月)休日は、民間企業には自動的に適用されません(後記3.)。

3. 【2026年の注意点】政府の「振替」はそのまま適用できません

「政府が8/22(土)出勤・8/31(月)休みにするなら、当社も同じにすればよい」という発想は、民間企業では法的リスクを伴います。通知9441号の振替措置は、あくまで公的機関等の職員を対象とするものであり、民間企業の労働時間・休日は労働法の一般規定に従うためです。

3.1 8月22日(土)に出勤させる場合の割増賃金

労働法第111条2項は、使用者が週休日を日曜日または週の他の特定日に配置する権限を有するとしつつ、これを就業規則(Nội quy lao động)に記載しなければならないと定めています。したがって、土曜日の位置づけは各社の就業規則によって異なり、割増率も変わります。

  • 就業規則上、土曜日も週休日とされている場合 → 8/22の労働は200%以上
  • 週休日は日曜のみで、土曜は週40時間制の枠内の非労働日とされている場合 → 所定労働時間を超える部分は150%以上

いずれの場合も、時間外労働には労働者本人の同意が必要です(労働法第107条2項a号)。また、月40時間・年200時間(一部業種は年300時間)という時間外労働の上限規制も適用されます。「振替出勤日だから通常賃金でよい」という運用は、法的根拠を欠くおそれがあります。

3.2 8月31日(月)を休業にする3つの方法

8/31(月)は民間企業にとって通常の労働日です。これを休みにして5連休を実現する場合、次の3つの整理が考えられます。

方法 内容と法的根拠 留意点
① 年次有給休暇の計画付与 使用者は労働者の意見を聴取したうえで年次有給休暇の日程を定め、事前に通知できる(労働法第113条4項) 意見聴取と事前通知のプロセスを記録に残すこと。年休残日数が不足する従業員への配慮が必要
② 会社付与の有給特別休暇 法定を上回る有利な取扱いとして、賃金を支給したうえで休業とする 最も安全でトラブルが少ない。1日分の人件費が追加コストとなる
③ 8/22出勤との振替 公的機関と同様に土曜出勤と組み合わせる 前記3.1のとおり割増賃金の対象となり得る。就業規則・労働協約との整合確認と労働者の同意取得が不可欠

当事務所の観点からは、コストと法的安定性のバランスを踏まえ、②の会社付与による有給特別休暇、または①の年次有給休暇の計画付与を基本とし、③を採用する場合は事前に就業規則を確認したうえで書面による同意取得と割増賃金の計上を行うことをお勧めします。なお、何の整理もせずに会社都合で休業とした場合、労働法第99条3項の「休業(ngừng việc)」として賃金支払義務が生じる可能性がありますので、「とりあえず休みにする」という運用は避けるべきです。

4. 祝日に出勤させる場合の割増賃金

やむを得ず国慶節に出勤させる場合、最低でも300%(日給制は当日の賃金とは別に300%)の支払いが必要です。週休日は200%、通常日の時間外は150%が最低水準です(労働法第98条、および労働法の一部条項の詳細規定に関する政府令〔政令第145/2020/ND-CP号、2021年2月1日施行〕のガイダンス)。

  • 夜勤加算:夜間労働には30%以上の加算(労働法第98条2項)、夜間の時間外労働にはさらに20%の加算(同条3項)
  • 同意:時間外労働には労働者の同意が必要(労働法第107条2項a号)。一斉の強制はできません
  • 制裁:祝日休暇に関する規定に違反した場合、個人の使用者で1,000万〜2,000万ドン、法人の場合はその2倍の2,000万〜4,000万ドンの過料(労働・社会保険等の分野における行政違反処罰に関する政府令〔政令第12/2022/ND-CP号、2022年1月17日施行〕第18条2項および第6条1項)

5. 外国人労働者(日本人駐在員)の追加休暇

見落とされがちですが、労働法第112条2項は、ベトナムで就労する外国人労働者について、同条1項の祝日に加えて自国の伝統的正月1日および自国の建国記念日1日の有給休暇を付与すると定めています。

日本人駐在員の場合、日本の正月(1月1日)と建国記念の日(2月11日)が該当し得ます。ベトナム法人と直接雇用契約を締結している駐在員については、この2日間の取扱いを就業規則や個別契約で明確にしておくことをお勧めします。実務上は日本本社の年末年始休暇との調整のなかで既に消化されているケースが多いものの、規程上の根拠が整理されていない企業も見受けられます。

6. 2026年からの新祝日「ベトナム文化の日」(11月24日)

年間の労務カレンダーに関わる重要な改正がありましたので、あわせてお伝えします。

第16期国会第1回会期で可決されたベトナム文化発展に関する国会決議(決議第28/2026/QH16号、2026年7月1日施行)により、毎年11月24日が「ベトナム文化の日(Ngày Văn hóa Việt Nam)」と定められ、労働者は有給で休業できることとなりました。

これにより、ベトナムの有給法定休日は従来の11日から12日に増えました。2026年の11月24日は火曜日です。年間の稼働日数、人件費予算、工場の生産計画、納期設定などに影響しますので、下期の計画を確定する前に社内カレンダーを更新しておくことをお勧めします。

7. 企業のチェックリスト(実務メモ)

  • 休暇方式(A案 or B案)を決定し、未通知であれば直ちに全従業員へ通知(社内掲示・メール・勤怠システム)し、記録を保存。
  • 8/31(月)を休業とする場合、年休の計画付与か会社付与の有給休暇かを明確にする。
  • 8/22(土)出勤を検討する場合、就業規則の週休日の定めを確認し、同意取得と割増賃金の計上を行う。
  • シフト・生産計画・顧客対応を5連休(A案想定)で設計。取引先の休暇日程がA案・B案でずれる可能性を前提に相互確認する。
  • 祝日出勤の賃金設定(150%・200%・300%の適用)を給与ロジックに反映。
  • 行政機関は8/28(金)が最終開庁日、再開は9/3(木)。投資登録証明書(IRC)・企業登録証明書(ERC)の変更、労働許可証、ビザ・一時滞在許可、各種届出は8/28までに完了させる。
  • 8/22(土)は行政機関が開庁。窓口対応が可能な1日として活用の余地がある。
  • 商業銀行の休業日程は各行の判断による。取引銀行の告知を個別に確認し、給与振込・海外送金・決済を前倒しする。
  • 連休は国内旅行の繁忙期。航空券・ホテルの手配は早めに行う(空港での手続についてはタンソンニャット国際空港のプレアライバル申告制度もご確認ください)。

8. 記念行事・交通規制情報

2026年は建国81周年にあたります。2025年(建国80周年)にハノイ・バディン広場で実施されたような国家級の軍事パレードおよびリハーサルは、本コラム作成時点で公表されていません。ハノイ市では、文化体育局傘下の芸術団体による記念公演が各坊・社で実施される予定とされており、2025年のような大規模かつ広域の交通規制は現時点では想定されていません。

もっとも、9月2日当日は各地で国旗掲揚式や記念行事が行われ、局地的な交通規制や混雑が生じる可能性があります。ハノイ・ホーチミン市を中心に、当日の外出・移動を予定されている場合は、直前に在ベトナム日本国大使館・総領事館および各地方当局の最新情報をご確認ください。急遽の変更が行われる可能性もありますので、時間に余裕をもった行動をお願いします。

なお、建国記念日(独立記念日・国慶節)の制度概要については、用語解説ページもあわせてご参照ください。


情報ソース: 内務省「2026年国慶節休暇に関する通知」(9441/TB-BNV)/ベトナム政府電子情報ポータル(xaydungchinhsach.chinhphu.vn、2026年8月10日・8月11日付記事)/労働法(法律第45/2019/QH14号)/内務分野の国家管理における権限分配に関する政府令(政令第128/2025/ND-CP号)/労働法の一部条項の詳細規定に関する政府令(政令第145/2020/ND-CP号)/労働・社会保険等の分野における行政違反処罰に関する政府令(政令第12/2022/ND-CP号)/ベトナム文化発展に関する国会決議(決議第28/2026/QH16号)/ハノイ市文化体育局公表資料/当事務所独自調査

免責事項: 本記事の内容は2026年8月12日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。個別の案件については専門家にご相談ください。

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CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd.

ベトナム・ホーチミン市拠点の日系法律事務所。日系企業向けの企業法務、M&A、コンプライアンス、労務、知的財産を中心にリーガルサービスを提供。日本国弁護士と現地ベトナム人弁護士の協働により、現地の実務と日本企業の視点の双方を踏まえたサービスをご提供します。

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【執筆者】CastGlobal

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