• HOME
  • ニュース
  • コラム
  • ベトナム政府、ビザ免除措置を更新|2025年〜2028年の新ルールと注意点まとめ

ベトナム政府、ビザ免除措置を更新|2025年〜2028年の新ルールと注意点まとめ

1.はじめに

ベトナム政府は2025年3月7日付で発行した決議第44号/NQ-CPにより、一部の外国人に対するビザ免除措置を延長・改訂しました。
これにより、従来のビザ免除措置(決議第32号/NQ-CPおよび第128号/NQ-CP)に代わる形で、2025年3月15日から2028年3月14日までの3年間、新しい制度が適用されます。本コラムでは、この新たなビザ免除の内容や背景、従来制度との違いなどを整理し、わかりやすく解説します。

2.新決議の主な内容

2-1.対象国

今回の決議第44号では、下記の12か国がビザ免除対象となりました(2028年3月14日までの期間)。

  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • スペイン
  • イギリス(英国および北アイルランド)
  • ロシア
  • 日本
  • 韓国(大韓民国)
  • デンマーク
  • スウェーデン
  • ノルウェー
  • フィンランド

従来リストに含まれていたベラルーシが今回外れたため、13か国から12か国に減少した点です。

2-2.滞在可能期間

2023年8月15日に施行された改正出入国管理法に基づき、ビザ無しでの最大滞在期間は15日間から45日間に延長されています。決議第44号でも、この最長45日間の滞在が引き続き適用され、観光や短期出張などの目的であればビザ手続きなしで渡航が可能です。

2-3.適用期間

適用開始日:2025年3月15日
適用終了日:2028年3月14日

この3年間の時限措置として運用されます。旧決議(第32号・第128号)に基づくビザ免除措置は2025年3月14日で失効し、翌日(3月15日)から本決議が有効となります。

2-4.入国条件
  • パスポートの種類や入国目的を問わず一律でビザ免除
  • ただし入国時点で有効なパスポートを所持していること
  • 往復航空券(または第三国行きの航空券)の保有
  • 出入国管理上の問題がないこと

こうした従来から定められていた基本要件は、新決議でも踏襲されています。45日を超えて滞在したい場合や、就労など別の在留資格が必要な場合には、ビザ延長または在留資格変更手続きを行う必要があります。

3.これまでのビザ免除制度との比較

3-1.従来制度(決議第32号/NQ-CP・第128号/NQ-CP)

ベトナム政府は2022年3月の決議第32号/NQ-CPで主に日本や欧州主要国を対象に一方的ビザ免除措置を実施し、当初は15日間までの滞在を認めていました。適用期限を2025年3月14日までとしていたところ、2023年8月の決議第128号/NQ-CPで滞在可能日数を45日間に延長するなどの修正が行われました。

3-2.ベラルーシ除外

旧リストには含まれていたベラルーシが、新たな決議44号では除外されています。そのため、対象国数は13→12に変更され、ベラルーシ国籍者はビザ免除を利用できなくなりました。ベトナム政府から公式な理由説明はなく、今後の追加措置については未定です。

3-3.新たな特例:ポーランド・チェコ・スイス

今回の決議44号とは別枠で、2025年3月1日から同年末までの限定期間、ポーランド・チェコ・スイス国民に対して観光目的のビザ免除が試行導入されます。旅行社を通じたツアー参加者向けの特例措置とされ、ベトナム政府の観光振興策の一環です。成功すれば、ほかの欧州諸国へ拡大する可能性もあると報じられています。

4.主な留意点

45日以上の滞在・就労には別途ビザが必要
長期滞在(45日を超える観光・商用・留学など)や就労を伴う場合は、従来通り労働許可証や在留資格(ビザ)の取得が必須です。

パスポート残存有効期間
一般的に、ベトナム入国時にはパスポート残存期間が6か月以上あることが望ましいとされています。具体的な要件は実務上変わる可能性があるため、渡航前に最新情報を確認する必要があります。

電子ビザの活用
ビザ免除対象外の国籍や45日を超える滞在を予定している方は、ベトナム政府が発行する電子ビザ(E-visa)を検討できます。最近の法改正により、電子ビザの有効期間延長(最長90日)や対象国の拡大が進められています。

旧決議との整合性
2025年3月14日までは旧決議(32号・128号)が継続し、3月15日付で新決議44号が発効します。途中期間で制度が切り替わるため、渡航予定日が2025年3月15日前後にかかる方は特に注意が必要です。

5.将来的な展望

ベトナム政府は公式声明で、「経済・観光振興の観点から、ビザ免除の対象国や期間を必要に応じて延長・拡大する可能性がある」旨を示しています。また、欧州連合(EU)諸国からは「EU加盟国すべてへのビザ免除」を求める声が高まっており、ベトナム側でも観光収入増や投資促進の狙いから、さらなる国・地域の追加を検討する余地があるとみられます。

一方で、国際情勢や各国との外交関係によっては、今回のように対象リストが変更されるリスクも否定できません。常にベトナム政府の公式発表や在外公館の情報を確認し、最新の入国要件を把握することが大切です。

6.まとめ

決議第44号/NQ-CP(2025年3月7日付)により、従来のビザ免除措置は2025年3月15日に切り替えられ、対象は計12か国、最長45日間の滞在が2028年3月14日まで認められます。ベラルーシが除外された一方、新たにポーランド・チェコ・スイスへ限定的な試行免除が導入されるなど、一部変化が生じています。
45日を超える滞在や就労目的の場合は別途ビザが必要であり、旧制度と同様にパスポート残存有効期間などの基本的要件も維持されています。

ビザ免除措置はベトナム側の「一方的措置」であるため、今後の外交方針や国内事情に応じて変更が加えられる可能性があります。渡航計画を立てる際は、必ず最新の政府公報や大使館・総領事館のウェブサイトを確認することが重要です。

CastGlobal

【執筆者】CastGlobal

ベトナムの法律事務所

ベトナムで主に日系企業を支援する弁護士事務所です。日本人弁護士・ベトナム人弁護士が現地に常駐し、最新の現地情報に基づいて法務面からベトナムビジネスのサポートをしています。

  • Facebook
  • Website