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- 2023.06.24
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【ベトナムビザ】ベトナム入国ビザの種類について
2022年3月15日の政府決議(No. 32/NQ-CP)によって、コロナ禍で停止していたビザの免除が再開されました。日本人はベトナムへの入国にあたって、滞在期間が15日以内であればパスポートの種類、目的を問わずビザは必要ありません。
それ以上の滞在は基本的にビザの申請が必要です。
6月24日、ノービザ入国(15日以内)について、期間を45日まで延長することが決定しました(施行は8月15日〜)。
※なお、e-visaについても30日→90日へ延長、マルチプル(複数回入国)対応に変更されています(後述)。
【ニュース】ベトナムのe-visaとノービザ滞在の期間が延長(2023年8月15日〜)
ベトナムのビザは「外国人のベトナムへの出入国、通過、居住についての法律(47/2014/QH13)」およびその改正法(51/2019/QH14)によって定められており、現在27種類あります。
今回はその中でも日本人に利用される機会の多いビザをご紹介します。
なお、51/2019/QH14の7条の4に記載されている例外を除き、入国後にビザの目的変更はできません。
NG1
ベトナム共産党中央執行委員会書記長、国家主席、国会議長、首相から招待された代表団のメンバー
12か月
NG2
ベトナム共産中央常務委員会、国会副主席、国会副議長、副首相、ベトナム祖国戦線中央委員会の委員長、最高人民裁判所長、最高人民検察庁の長官、国家監査員の総長などの招聘による代表団のメンバー
12か月
NG3
公館、領事館、国際連合に加盟する国際機関の代表事務所、政府間機関の代表事務所のメンバーとその配偶者、18歳未満の子供、使用人など。
12か月
NG4
外交使節団、領事事務所、国際連合に加盟するため、国際機関の代表事務所および政府間組織の代表事務所に勤務するために来日する人、外交使節団領事事務所、国際連合に加盟する国際機関の代表事務所および政府間組織の代表事務所のメンバーの訪問者
12か月
LV1
ベトナム共産党中央委員会、国会、政府、ベトナム祖国戦線中央委員会、最高人民裁判所、最高人民検察院、ベトナム国家監査院、省庁、閣僚級機関、政府付属機関、省および中央運営都市の人民評議会と人民委員会の部局や機関で働くようになった人
12か月
LV2
社会政治団体、社会団体、ベトナム商工会議所で働く人
12か月
L S
ベトナムで活躍する外国人弁護士
5年
DT1
ベトナムへの投資が1000億ドン以上または投資奨励の対象の地域への投資をする投資家および外国組織の代表者
5年
DT2
ベトナムへの投資が500億ドン以上1000億ドンまたは開発投資促進の対象となる地域への投資をする投資家および外国組織の代表者
5年
DT3
ベトナムへの投資が30億ドン以上500億ドン未満の外国人投資家および外国組織の代表者。
3年
DT4
ベトナムへの投資が30億ドン以下の外国人投資家および外国組織の代表者
12か月
DN1
ベトナムの法律に従い、法人格を持つ他の企業や組織で働く外国人
12か月
DN2
ベトナムが締約している条約に基づき、サービスの提供、商業活動の確立、その他の活動を行うために入国する外国人
12か月
NN1
国際組織、外国の非政府組織の駐在員事務所の所長、プロジェクトの代表者
12か月
NN2
外国企業の駐在員事務所の所長、支店の代表者、または外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織の代表者
12か月
NN3
外国の非政府組織、外国企業の駐在員事務所、外国企業の支店、外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織駐在員事務所で働く者
12か月
DH
ベトナムで研修、学習する人
12か月
HN
会議やシンポジウムに参加する人
3か月
PV1
ベトナムに常駐する特派員やジャーナリスト
12か月
PV2
ベトナムに短期間滞在する特派員やジャーナリスト
12か月
LD1
ベトナムが締約国である条約に別段の定めがない限り、労働許可証の免除証明書をもってベトナムで働く外国人
2年
LD2
ベトナムで働き、労働許可証を取得する必要のある外国人
2年
DL
ベトナムを観光する人
3か月
TT
LV1、LV2、LS、DT1、DT2、DT3、NN1、NN2、DH、PV1、LD1、LD2を保有する外国人の配偶者または18歳未満の子供
12か月
VR
親族を訪問するなどの目的で来訪する人
6か月
SQ
同法17条3項に該当する者
30日
EV
E-Visa
30日
DT1/DT2/DT3/DT4
投資ビザです。ベトナム法人に出資している日本人などが該当します。以前は金額を問わず最大5年間でしたが、2019年の改正によって金額で種類が細分化され、期間もそれぞれ割り当てられました。
DN1/DN2
ビジネスビザです。ベトナムの現地法人への出張等に使われます。取得にはベトナムの勤務先企業からの招聘状(インビテーションレター)が必要です。実務において認められる期間は基本的に3か月か6か月です。
NN2/NN3
ベトナムにある日本の駐在員事務所や支店で働く場合に取得します。
LD1/LD2
就労ビザです。長期間就労する際に取得します。(ベトナムに進出した日系企業など。実際にベトナムで働くには就労ビザに加えて労働許可証(ワークパーミット)の二つが必要です。LDビザの取得には労働許可証の取得が必要となります。本コラムでは労働許可証自体の要件については解説しませんが、労働許可証自体にも種類・要件があり、取得が困難な場合もあるためご注意ください。ベトナムの改正労働法(45/2019/QH14)の154条と、外国人労働者に関する政令(152/2020/ND-CP)の7条に規定されている場合は労働許可証が免除されます。(ベトナムでの就労が3か月以内の外国人、ベトナム人と婚姻している外国人、ベトナムの法律に基づいてベトナムの弁護士資格を持つ外国人弁護士など)
DH
ベトナムへの留学や実習、研究者としての研修が該当します。
EV
e-visaです。ネットで申請手続きができます。以下の基準を満たしているときは申請が可能です。
・ベトナムに入国する外国人であること
・パスポートを所持していること
・「外国人のベトナムへの入国・出国・通過・ベトナムでの居住に関する法律(47/2014/QH1)」の21条の入国禁止者に該当しないことE-visaの有効期間は30日で、入国は1回に限られます。(シングルビザ)
2023年8月15日から、e-visaの期間が90日に延長され、かつ、複数回入国(マルチ)に対応することが決定しました。
こちらのサイトでE-visa申請が可能です。入国時には発給されたビザを印刷し、パスポートと共に提示します。
※ビザ申請のサイトは2024年11月リニューアル(以下のいずれかから)
https://evisa.gov.vn/
https://thithucdientu.gov.vn/
【ニュース】ベトナムのe-visaとノービザ滞在の期間が延長(2023年8月15日〜)
【ニュース】ベトナムのe-visaとノービザ滞在の期間が延長(2023年8月15日〜)
ベトナム国会は、法律23/2023/QH15を可決し、外国人入国者に付与される電子ビザ(e-visa)の有効期限を、1回入国または複数回入国の場合の最長30日から90日に延長することを決めました。また、複数回(マルチ)の入国も可能となります。
さらに、ベトナムの一方的ビザ免除(ノービザ)プログラムの対象となる国や地域から渡航者は、現在の15日間から延長され45日間の滞在が可能となりました。
ノービザ滞在は、日本、韓国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ロシア、ベラルーシの13カ国に認められています。
2023年8月15日から開始となります。
※23/2023/QH15は、「ベトナム国民の出入国に関する法律およびベトナムにおける外国人の出入国・通過・居住に関する法律の多数の条項の修正および補足」というタイトルであり、その他の出入国関連の条文も変更されています。
*Vietnam lawmakers approve extension of e-visa validity to 3 months
https://e.vnexpress.net/news/travel/vietnam-lawmakers-approve-extension-of-e-visa-validity-to-3-months-4621230.html
政府からの要請時点での記事は以下↓
【ニュース】ベトナム政府、e-visa(観光電子ビザ)とノービザの期限延長の承認を正式に要請
- コラム
- 2023.06.17
- CastGlobal
【ベトナム】個人データ(個人情報)保護に関する政令No.13/2023/ND-CPの注目点(2023年7月1日施行):最新版...
政府は、2023年4月17日に、個人データ(個人情報)[1]保護に関する政令No.13/2023/ND-CP(以下、「本政令」という。)を公布しました。本政令は2023年7月1日より施行されます。本政令は、草案段階から多くの企業にとって影響力の大きい政令として注目がされており、施行される政令が可決されてからもどのような運用となるのか明確でない部分も多いです。
現時点において、本政令の規定について政府からの運用についての案内や、解釈についての公式的な見解は存在していません。そのため、本政令の解釈と運用については、将来的に発行される政令や通達、またはその他オフィシャルレター等の書面を通じて、明らかにある可能性があります。第3に記載のとおり、今後新たな解釈指針や文書のフォーマット、ポータルサイトが公表される可能性が高いですので、新しい情報には注意が必要です。
以下では、政令の内容や記事作成時点でわかっている情報に基づき、本政令の主要な内容について整理します。
※今後、本コラムは新しい情報等に基づいて随時アップデートしていきたいと思います。
本政令は、以下の対象に適用されます。
ベトナムの機関・組織、ベトナム人
ベトナムにある外国の機関・組織、所在する外国人
国外で活動するベトナムの機関・組織、ベトナム人
ベトナムにおいて個人データの処理に直接関与する、または当該処理に関連する外国の機関・組織、ベトナムに所在する個人
個人データ
個人データとは、記号、文字、数字、画像、音声の態様または、電子媒体上で類似の表現をされるものであり、特定の個人に関連付けられるまたは特定の個人の確定に資するものをいう。(本政令第2条1項)
本政令上、個人データは、名前や生年月日などを含む基本的な個人データ(本政令第2条3条)、と政治的見解や遺伝情報、犯罪歴などを含む機密性の高い個人データ[2](本政令第2条4項)とに分類されている。
個人データの処理
個人データの処理とは、個人データの収集、記録、分析、検証、保管、修正、開示、結合、アクセス、追跡、回収、暗号化、復元、コピー、共有、送信、提供、移転、削除、廃棄またはその他の関連する活動など、個人データに影響を及ぼす1つまたは複数の活動をいう。(本政令第2条7項)
個人データ管理者
個人データ管理者とは、個人データ処理の目的と手段を決定する組織または個人をいう。(本政令第2条9項)
個人データ処理者
個人データ処理者とは、データ管理者との契約・合意を通じて、データ管理者に代わってデータ処理を行う組織または個人をいう。(本政令第2条10項)[3]
第三者
第三者とは、個人データの主体、個人データ管理者、個人データ処理者以外の者であり、個人データの処理を許可された組織または個人をいう。(本政令第2条12項)
上記の定義などにより、ベトナムにおいて活動している日系会社を含む外資企業も、顧客や従業員から収集、記録、保管などしている個人データの処理を直接に行い、またはこのデータの収集・記録・保管の目的と手段を自ら決定するなどしている場合、個人データ管理・処理者として本政令の条項の適用を受ける可能性があります。
原則として個人データ管理・処理者は、個人データを処理する際、処理の目的、処理されるデータの種類などをデータ主体に通知して、関連する個人データ処理の許可に関する同意をこのデータ主体から取得しなければならないとされています(本政令第11条)。
個人の生命や健康を保護するために個人データを直ちに処理する必要がある場合、法律の規定に従う個人データを開示する場合、法律の規定に従って契約上の義務を履行する場合[4]、国家安全保障や大規模災害などに関する緊急事態などの場合、同意の取得なしに個人データを処理できると規定されています(本政令第17条)。
データ主体への通知およびデータ主体からの同意は、電子形式等も含めた書面による方法でなされなければなりません(本政令第11条5項、第13条3項)。取得した同意や通知については、事後的に管轄当局からの提出を求められる場合に備えて、保管しておくことが推奨されます。
なお、失踪宣告を受けた者、死亡者、および子供の個人データなどの特別な場合の個人データ処理については別途の規定が存在するため、留意が必要です(本政令第19条、第20条)。
データ主体は、自己のデータに対して知る権利、アクセス権、同意権、同意の撤回権、データの提供や削除を要求する権、データ処理に対して制限を課すまたは反対するなどの権利を有します(本政令第9条)。個人データ管理・処理者はデータ主体から当該権利の行使を受けた場合、その要求に対応しなければなりません。
上記の要求への対応については法定期限が定められているものも存在します。例えば、データ処理の制限・反対の要求 (本政令第9条6項、8項)、データの提供の要求(本政令第14条3項)、データの削除の要求(本政令第16条5項)などに対して、データ主体より要求を受けた後、原則として 72 時間以内に対応しなければならないと規定されています。
本政令に対する違反行為を発見した場合、個人データ管理・処理者は、違反発生後72時間以内に公安省に通知しなければならないと規定されています。この場合の通知は、本政令のフォーム No. 03 に基づき実施することが要求されています。
個人データ管理・処理者は、個人データの処理を開始した時点から個人データ処理影響評価の書類を作成し、保管しなければなりません。この点、国内で個人データを扱う企業について、広く適用される可能性があり、かつ、新しい手続であることから重要な手続となっています。
個人データ処理影響評価の書類は、以下の内容を記載しなければならないとされています(同1項)。
個人データ管理・処理者の情報・連絡先
個人データ保護の担当者(下記第7項を参照)の氏名・連絡先
個人データ処理の目的
処理される個人データの種類
個人データを受領する組織または個人(ベトナム国外の組織または個人を含む)
ベトナム域外に個人データを移転する場合はその旨
個人データの処理期間、個人データを削除・廃棄する場合の予定期間(もしあれば)
適用される個人データ保護措置の説明
個人データ処理の影響程度の評価、発生する可能性がある結果・損害、そのような損害を軽減または排除するための対策
そして、個人データ処理日から60日間以内に当該作成した書面を公安省に送付しなければなりません。
なお、公安省に送付された書類の内容に変更があった場合、個人データ管理・処理者は、個人データ処理影響評価の書類を更新・補足し、当該書類を公安省に再送する必要があります。
ベトナムからベトナム域外への個人データ移転についても、これまでにない新しい手続が設定されました。
ベトナム国民の個人データをベトナム域外に移転する場合、個人データ管理・処理者は以下の手続(国外移転影響評価書類の作成)を実行しなければならなりません。
個人データの国外移転に関する影響評価の書類を本政令に規定されている様式に従って作成し、個人データの処理日から60日以内に公安省に送付すること。なお、公安省から要求がある場合は影響評価の書類を訂正しなければならない
データ移転が完了した後、データ移転の情報と担当組織・個人の連絡先詳細を書面で公安省に通知すること
公安省に送付された書類の内容に変更があった場合、個人データの国外移転の影響評価の書類を更新・補足し、該当の書類を公安省に再送すること
個人データ管理・処理者は、個人データ保護に関する規則を作成し、発行しなければならないと規定されています(本政令第27条第2項)。個人データ保護に関する規則の内容や形式については、本政令において具体的に言及されていないため、個人データ管理・処理者は、自らの状況に合わせて社内の規則を作成すれば足りると解されます。もっとも今後、通達等により規則の内容が規定される可能性も排除できません。
本政令第2条4項に規定されている機密性の高い個人データを処理する場合、個人データ管理・処理者は、個人データの保護の担当者を指定し、公安省に属するサイバーセキュリティ・ハイテク犯罪防止局にこの担当者の情報を送付すべきです。
現在、当局のセミナーでの発言情報や弊社での調査等により、上記以外に本政令の運用等に関わる以下の情報を入手しています。もっとも、下記はベトナム政府から公式に文書等で開示されたものではなく、記載内容について確定的な事項ではないため、その点はご留意ください。
本政令の適用対象は、本政令発効以前に収集された個人データにも及ぶが2023年7月1日以前に取得されたデータについては、改めてデータ主体の同意を得る必要はない。
公安省は、現在、個人データの保護に関する5つの新たな行政手続を発表する準備を進めている。それには、個人データ処理影響評価書類の作成・送付、および個人データ国外移転影響評価書類の作成・送付に関するものも含まれる。また、個人データ処理影響評価書類と個人データ国外移転影響評価書類は、それぞれ別の書式を用いた別の手続によって行われなければならない。公安省は、政令発効前に当該書類と書式の公開と、個人データ保護に関する国家ポータルサイトを開設する予定である。ポータルサイト上での入力も可能となる予定。
政令では、個人データ国外移転方式について規定しておらず、個人データ国外移転の影響評価書類を作成しなければならないとのみ定めているため、移転の方式に関わらず、同影響評価書類の作成が必要になる。
書類の作成は政令発効日(2023年7月1日)から60日以内に行わなければならない。
書類の書式はすべてベトナム語で作成されなければならない。国家ポータルサイトの書類書式に直接記入するか、書式をダウンロードする場合は、サイバーセキュリティ・ハイテク犯罪局に直接送付しなければならない。
法律に特別な規定がある場合を除き、個人データの売買、譲渡において利益を生み出すすべての行為が法律の規定に違反する。
データの処理をベトナム国内で行うかどうかに関係なく、ベトナム国民のデータを収集する外国企業、ベトナム国民のデータを国外に移転する企業、ベトナム国民のデータを受けとる企業、これらのすべての企業が理論上は本政令の適用対象となる可能性がある。
2021年に公安省が公表した行政違反処罰の政令草案(個人情報保護に関わる措置の違反に対する処分などについて)によれば、本年12月1日から違反に関わる処罰が発効される予定とされている。しかし、現時点において、当該違反に対する処分についての政令の公布について、確定的な情報がない。そのため、本政令の施行日から一定期間の間は、罰則がない状況で本政令が運用される可能性が高いといえる。
上記に基づくと、これから発表されるポータルサイトや一部の書類のフォーマットも参照のうえ、2023年7月1日から60日以内に対応を進める企業が増えていくように思われます。それぞれの書類は準備に時間がかかる可能性もあるため、情報収集のうえ早めに対応することが推奨されます。
——————–
[1] 個人情報という表現が日本語の表現としては一般的と考えるが、本政令中原文においてベトナムで一般的に情報と訳される“thông tin”ではなくデータや資料と訳される“dữ liệu”が用いられているため、以下、「個人データ」という表現を統一して用いる。
[2] 原文は“dữ liệu cá nhân nhạy cảm”
[3] 個人データ管理者と処理者を包括した定義も存在し、本文中で「個人データ管理者・処理者」と記載している場合がある。
[4] 現時点において、契約上の義務を履行するため(原文:Để thực hiện nghĩa vụ theo hợp đồng)の範囲が明確に示されていない。そのため、当然に個人データが含まれる契約類型(労働契約、法人同士の売買契約等において署名書の個人データ)についても同意の取得に関わる規定が排除されない可能性があるため、注意が必要である。
- コラム
- 2023.06.10
- CastGlobal
【ベトナム】現地法人の設立のステップについて教えてください(企業法・投資法)
日本企業その他の外資企業がベトナムで現地法人を設立する場合、どのようなステップを踏む必要があるでしょうか。
大きな流れがわかりづらいという声も多いため、本コラムでは概要を説明したいと思います。
ベトナムでの設立形態は、主として株式会社・有限責任会社ですが、今回は出資者が一人(一社)の一人有限責任会社を想定しています。その他の形態でも設立手順はほぼ一緒となりますので、参考になるかと思います。
なお、以下は本コラム作成時点の内容であり、法令や実務の変更によって内容が変わることがあるという点はご留意ください。
参考:
【ベトナム企業法】有限責任会社と株式会社の違い
法律上、外国企業がベトナムにおいて現地法人を設立するためには、①投資登録証明書(以下に「IRC」といいます。)と②企業登録証明書(以下に「ERC」といいます。)の2つの手続が必要となります。
また、それに加えて銀行口座開設等の実務上の手続も必要になりますので、関連する手続についても概要を説明します。
ベトナムでの経営事業に関しては、最低限以下の条件を満たさなければなりません。
2020年の投資法第6条での禁止な投資・経営分野と、政令第31/2021/ND-CP第I付録A項目に規定されている外国投資家が市場参入できない分野リストに属しないこと
=禁止分野ではないこと
政令第31/2021/ND-CP第I付録B項目に規定されている外国投資家に対する条件付き市場参入分野リストに属する場合には、その分野に対する市場参入の条件を満たすこと
=条件付き分野の場合には条件を満たすこと
政令第31/2021/ND-CP第I付録のリンクは、以下のJETROのリンクから確認できます。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/vn/invest_02/pdfs/vn7A030_seigenbunya_gyosyu.pdf
一定分野に対する市場参入の条件は、現地法人における外国投資家の定款資本保有割合、投資形式、投資活動範囲などを含め、WTO・CPTPPへのコミットメントなどの国際条約・規約やベトナム国内の各分野に関する法令に規定されています(2020年投資法第9条3項参照)。
IRCとERCを申請するため、現地法人の本社住所を決定し、オフィス賃貸借に関するMOU又は正式な契約書を事前に締結することが必要です。
【実務上の注意点】
現地法人の本社住所を置く場所は、オフィス利用の目的が認められている場所でなければならないためご注意ください。(たとえば、通常の住宅等ですと登録できないため、契約前に事前にご確認ください。)
また、工業団地以外で行われる製造業に対して、ホーチミン市のDPI(計画投資局)は、現地法人の生産に最新テクノロジーを使用し、環境を汚染しないこと等を証明できない限り、製造業を承認していないとしています。この証明自体が実務上難しく、承認の可能性は高くないため、スムーズな設立のためには工業団地内での設立を推奨します。
投資登録証明書(IRC)の申請に関する概要は以下のとおりです。
申請先:省レベルの計画投資局の対外経済課
申請形式:オンライトで投資プロジェクトの情報を提出した後、申請先での書面の提出
書類処理期間:適法な書類をすべて受領した日から15日以内
※実務上はより遅れる場合があります。
必要書類:以下の書類は基本的な書類です。当局は、検討中に、追加書類の提出を請求する可能性がありますので、ご注意ください。
投資プロジェクト実施の申請書(通達第03/2021/TT-BKHĐTのForm A.I.1)
投資プロジェクトの提案書(通達第03/2021/TT-BKHĐTのForm A.I.4)
投資家の財務能力説明書
書類提出者への委任状
投資家の履歴事項全部証明書 (*)
投資家の代表取締役のパスポートの写真のあるページ(*)
投資家の直近2年間の財務報告書又は銀行口座の残高証明書 (*)
※財務報告書と残高証明書の両方があれば、一緒に提出したほうが確実です。
オフィス賃貸借に関するMOU又は正式な契約書の公証コピー
※当局は賃貸している場所について疑義がある場合に、賃貸している場所が会社住所として使用を許可されることを証明する追加書類の提供を要求することがあります。この場合には、投資家が貸主に対して証明書類の準備を依頼します。
結果:IRCの取得
なお、2020年投資法第30条から第32条までの移住・再定住要請をする投資プロジェクトや環境に大きな影響を与える投資プロジェクト等に対しては、IRCを申請する前に、当局への投資方針承認の申請が必要です。
もっとも、通常の事業を行う一般的な現地法人の設立では、この申請を行うことは必要とされていません。
企業登録証明書(IRC)の申請に関する概要は以下のとおりです。
申請先:省レベルの計画投資局の経営登録課
申請形式:オンライトでの提出
書類処理期間:適法な書類をすべて受領した日からの3営業日以内
必要書類:以下の書類は基本的な書類です。当局は、検討中にその他の書類の提出を請求する可能性がありますので、ご注意ください。
一人有限責任会社登録の申請書(通達第01/2021/TT-BKHĐTのForm I-2)
※一人有限責任会社の場合
所有者の委任代表者のリスト(通達第01/2021/TT-BKHĐTのForm I-10)
現地法人の定款
所有者の委任代表者の任命に関する所有者の決定書
書類提出者への委任状
所有者の履歴事項全部証明書 (*)
現地法人の法定代表者のパスポートの写真があるページ(*)
所有者の委任代表者のパスポートの写真があるページ(*)
IRCのコピー公証版
結果:ERCと現地法人を管理する税務局に関する通知書の取得
【留意点】
(*)の書類はベトナムの管轄当局へ提出できるために、(i)日本での公証・領事認証と(ii)ベトナム語への翻訳、(ii)翻訳版の公証という手続を経なければなりません。
※日本で公証を行う際にベトナム語もセットで行う場合もありますが、翻訳・翻訳公証はベトナムでの正式な翻訳サービス会社に依頼し、ベトナム国内で行うことが通常です。
日本での領事認証の手続きについて、外国法人は日本での管轄当局とご確認して、当該手続きを実施していただけましたら、幸甚です。
また、パスポートの写真のあるページ については、本人がベトナムにいる場合(短期間の出張でも可能)、(i)から(iii)までのかわりに、ベトナムでの公証コピーを取得する簡易な手続をすることができます。
その他、一般的には以下のような手続も必要となります。
ERC又はERCドラフトを受領した後、社印の作成サービスを提供する企業(社印作成の企業)に社印の作成を依頼します。
通常、ERC又はERCドラフトのコピー版と、現地法人の法定代表者からの委任状(社印作成企業への連絡を担当する者に対する委任状)を提出するのみとなります。
社印の作成期間は1日~2日程度です。
■直接投資講座(DICA)の開設
DICAは、定款資本金・外国からのローンの受け取りや、配当の振り込みなどの通達第06/2019/TT-NHNNの第6条、7条に規定されている目的のみに使用されます。
ERCの発行日から90日間以内にDICAに定款資本金を振り込まなければならないため、DICAの開設は法人設立後できる限り早く行ったほうがよいです。
【注意点】
DICAの開設については、銀行によって投資金額等によって開設できる/できないの判断がなされることがあることや、必要資料が会社設立資料と重複しているものがあることなどもあります。そのため、会社設立と同時期に取引したい銀行に連絡し、口座開設の可否や必要資料について確認することが望ましいです。
■経常口座開設
売上の受け取りや賃金や経費の支払いなどの日常の取引のために、経常口座(普通口座)を開設する必要もあります。
DICAに振り込まれた定款資本金やローンは通常外貨ですので、この金額をベトナム国内で使用可能にするために、ベトナムドンに変えたうえでベトナムドンの経常口座に入金することとなります。なお、外国への送金・外国からの入金のために外貨の経常口座も開設可能です。
投資に関する定期的な報告をオンラインで提出するために、現地法人がアカウントの作成手続きをDPIで行うことが必要です(2020年投資法第72条、政令第31/2021/NĐ-CP第102条、第104条参照)。現地法人は、現地法人の当該アカウントの担当者を指定し、この担当者の情報をこの登録書に記載しなければなりません。
基本的な手順は、現地法人がアカウント作成登録書(雛形があります)を作成し、DPIにこの登録書を提出するという方法です。実務上の手続は変わることもありますので、都度DPIにご確認ください。
- コラム
- 2023.06.06
- CastGlobal
【ニュース】ベトナムで初めてミシュラン・ガイドの掲載レストランが発表
2023年の6月6日、ベトナム初のミシュランガイド掲載店が発表されました。
A)星付きレストラン、B)ミシュラン・セレクト、C)ビブグルマンの3つのセクターに分かれており、また、3つの特別賞も受賞しています。
Aの星付きレストランは一つ星レストランが4軒選ばれました。
①Anan Saigon(ホーチミン市)
📍MAP
②Hibana by Koki(ハノイ市)
📍MAP
③Gia(ハノイ市)
📍MAP
④Tam Vi(ハノイ市)
📍MAP
Bのミシュランセレクト店は70軒で、そのうち32軒がハノイ、38軒がホーチミン市の飲食店です。
Cのビブグルマン(良質な料理をコスパがよくいただける店)は29軒で、 そのうちハノイに 13 軒、ホーチミン市に 16 軒となっています。
ミシュランガイド特別賞はソムリエ賞がホーチミン市のLửaのYamamoto Yu氏、功労賞がVietnam Houseの Nguyen Thi Nuシェフ、ヤングシェフ賞がGiaのSam Tranシェフに贈られたとのことです。
初回のソムリエ賞の受賞が日本人の方というのはすごいですね!!
各掲載店については以下の公式サイトからも確認できます。
https://guide.michelin.com/vn/en/selection/vietnam/restaurants
参考リンク:
TuoiTre:4 nhà hàng được gắn sao Michelin tại Việt Nam: Anăn Saigon, Gia, Hibana by Koki và Tầm Vị
https://tuoitre.vn/4-nha-hang-duoc-gan-sao-michelin-tai-viet-nam-anan-saigon-gia-hibana-by-koki-va-tam-vi-20230606194721897.htm
VnExpress:Four Vietnamese restaurants receive Michelin Stars
https://e.vnexpress.net/news/food/four-vietnamese-restaurants-receive-michelin-stars-4614430.html
- コラム
- 2023.06.01
- CastGlobal
【ベトナム企業法】有限責任会社・株式会社の委任代表者について教えて下さい。
委任代表者とは、法人たる会社の所有者、社員、株主から書面による委任を受け、これらの法人のために権利行使を行う個人のことをいいます(企業法4条1項)。つまり、社員総会や株主総会に出席し、出資者の意思を代表して表明する個人の方を指します。
委任代表者になるためには、完全な民事能力を有すること、企業の設立及び管理を禁止される対象者ではないこと(刑事責任に問われていないこと等。詳しくは企業法17条2項参照)、また会社が定款や契約等で定めた資格や条件があればその資格や条件を満たすこと等が必要です(企業法14条5項c号)。
また、会社が二人以上有限責任会社において定款資本35%以上を保有する場合、株式会社において普通株式総数の10%以上を保有する場合は、最大3人の委任代表者に委任することができます(企業法14条2項。ただし、定款で委任代表者の員数についての定めがある場合には、定款の定めが優先適用となります。)。
委任代表者が複数いる場合、それぞれの委任代表者が代表する株式数や持分の割合について具体的に定める必要がありますが、具体的に定めない場合はそれぞれの委任代表者は等分の権利行使ができます。
例)ベトナム有限責任会社に対する日本企業の出資割合が、ベトナムの有限責任会社の持分の60%であり、3人の委任代表者を指定する場合
① 委任代表者の代表する持分の割合を定める場合
委任代表者A 会社持分の30%について権利行使する
委任代表者B 会社持分の20%について権利行使する
委任代表者C 会社持分の10%について権利行使する
② 委任代表者の代表する持分を定めない場合
委任代表者A、B、Cはそれぞれ会社の持分の20%について権利行使する
委任代表者の指定は、書面でしなければならず、会社に通知する必要があります。委任代表者の指定の際に用いられる委任状には、以下の主要な内容を含まなければならないとされています(企業法14条4項)。
a) 所有者、社員、株主の名称、企業コード、本店の住所
b) 委任代表者の数及び各委任代表者に対応する株式、持分の割合
c) 委任代表者一人ずつの氏名、恒久的住所、国籍、公民身分証明カード、人民証明書、旅券又はその他の合法的な個人身分証明書の番号
d) 委任代表者一人ずつに対応する委任期限;その場合においては委任を受けた開始日を明記する。
đ) 所有者、社員、株主の法定代理人、委任代理人の氏名、署名
会社を設立する等して最初の委任代表者を定める場合、会社の本店が所在する管轄の営業登録機関(ベトナム語:Cơ quan đăng ký kinh doanh)に委任代表者の合法的な個人身分証明書(身分証明書・パスポート等)の公証版や委任代表者の指定文書を提出しなければなりません(政令01/2021/ND-CP号(以下「政令01号」といいます)24条3項)。
また、委任代表者を交代する場合にも、交代の日から10営業日以内に委任代表者の情報を営業登録機関に報告する必要があります(政令01号60条3項)。
上場会社でない株式会社は、外国法人の委任代表者を定める、または変更する場合、その氏名、国籍、旅券番号、住所に関する情報を、その情報を得てから3営業日以内に、営業登録機関に提出しなければなりません(企業法176条3項、政令01号60条1項)。
- コラム
- 2023.05.30
- 行政書士法人キャストグローバル
【訪日ビザ4:技能実習】現地採用したベトナム国籍の従業員に日本で長期間技能を身に着けさせたい...
日本国内において外国籍の従業員が研修を行う場合、ほとんどのケースで在留資格を取得する必要があります(出入国管理及び難民認定法第二条の二)。これが大前提になります(初回の記事はこちらから)。
報酬の有無、雇用、研修内容に着目して訪日ビザを分類しました。
報酬の発生
雇用契約
研修内容
企業内転勤
〇
本国又は日本法人
デスクワーク
研修
×(実費の範囲においてのみ可)
本国
デスクワーク
技能実習
〇
日本法人
単純労働を含む実務的な作業
比較対象として表に入れてはいますが、技能実習ビザは企業内転勤や研修ビザと大きく制度や趣旨を異にしています。
受け入れや審査に入国管理局と受け入れ企業だけが関わるのではなく、外国人技能実習機構、送り出し機関、監理団体等係る機関が多く存在するのが大きな差異を生んでいると言えます。
外国人技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。
技能自習ビザの種類は以下の4種が存在します。
団体監理型
企業単独型
1年目(1号)
技能実習第1号ロ
技能実習第1号イ
2年目、3年目(2号)
技能実習第2号ロ
技能実習第2号イ
4年目、5年目(3号)
技能実習第3号ロ
技能実習第3号イ
団体監理型と企業単独型の類型が存在し、それぞれ1号(入国1年目)、2号(2~3年目)、3号(4~5年目)と在留資格が分類されています。
なお、3号に移行出来る技能実習の職種は限定されていますので注意が必要です。
団体監理型
企業単独型
実習実施者
〇
〇
送り出し機関(現地法人)
〇
〇
監理団体
〇
×
技能実習機構
〇
〇
入国管理局
〇
〇
申請先は技能実習機構と入国管理局となっており違いはありませんが、監理団体の関与の有無に大きな違いがあります。企業単独型は現地法人から直接技能実習生を受け入れますので監理団体の関与は想定されていません。
団体監理型か企業単独型かで技能実習生の受け入れの流れは異なりますが、一般的に以下の流れで実習生を受け入れる事となります。
①技能実習生候補者選抜(オンライン等)
②技能実習機構への計画認定申請
③入国管理局への認定証明書交付申請
④入国後実習開始
⑤2号計画認定申請、在留資格諸申請
各号に進むたびに入管への申請を行いますが、事前に技能実習機構で計画認定を受けておく必要が有る事が特徴的です。
技能実習ビザは現業に従事可能な数少ないビザの一つですが、利害関係機関が多く存在しその許可申請先も複数に渡っています。
団体監理型と企業単独型で受け入れの流れが大きく違いますので自社の実習生受け入れ実績や規模、従業員数に注意を払いながらどちらがより選択肢として理に適っているか総合的に判断する必要があると言えます。
技能実習については、制度見直しの議論も進んでいますので、最新情報にはご留意ください。
【訪日ビザ1】ベトナムで採用したベトナム国籍の従業員に日本本社で研修を受けさせたい場合の査証(ビザ)について
【訪日ビザ2:企業内転勤】ベトナムで採用した従業員にデスクワークを内容とした研修を受けさせたい
【訪日ビザ3:研修ビザ】ベトナムで採用した従業員に現業を含む内容の研修を受けさせたい
【ニュース】ベトナム政府、e-visa(観光電子ビザ)とノービザの期限延長の承認を正式に要請
ベトナム政府は、国会に対し、ベトナムに入国する外国人の観光Eビザの有効期限を1か月から3か月に延長する承認を正式に要請(Tuoi Tre新聞)
https://tuoitrenews.vn/news/society/20230527/vietnamese-govt-seeks-legislative-approval-for-3month-evisa-validity/73391.html
トー・ラム公安大臣は、ベトナムでの外国人の入国、出国、通過、居住に関する法律の多くの条項の修正案を、27日土曜日に国会に正式に提出しました。
修正案では、ベトナムは外国人入国者に付与される電子ビザ(e-visa)の有効期限を、1回入国または複数回入国の場合の最長30日から3か月に延長することとなっています。
さらに、ベトナムの一方的ビザ免除(ノービザ)プログラムの対象となる国や地域からの外国人旅行者は、現在の15日間から最大45日間の延長滞在を享受できるようになります。これはビザ免除対象となっている日本人の短期滞在社にとっても大きく影響することになります。
6月中に採択される予定ですが、仮に可決された場合でも施行時期は不明です。
6月末までには更に情報がわかる予定です。
【追記】2023年8月15日から正式な適用が決まりました。
【ニュース】ベトナムのe-visaとノービザ滞在の期間が延長(2023年8月15日〜)
関連記事(コラム):
【ベトナムビザ】ベトナム入国ビザの種類について(2023年最新版)
- コラム
- 2023.05.26
- CastGlobal
[note]コロナ明けのベトナムビジネスで多い相談や注目されている業界ごとのトピックについて(2023年5月更新)...
最近ベトナムでの新規相談や既存クライアントの追加投資の相談が急増しています。まだコロナの影響はあるものの、コロナ前の勢いに近づいていることをひしひし感じています。
最近の進出(予定)企業からの新規相談の傾向や業界ごとのトピックを簡単にまとめたいと思います(あくまでも私の所感です)。
※2023年5月に更新しました。
目次
1)サービス関連
2)製造業
3)IT関連
4)不動産
5)スタートアップ
6)新たな形態?
7)終わりに
詳細は以下のnoteからご覧ください。
*コロナ明けのベトナムビジネスで多い相談や注目されている業界ごとのトピックについての整理
- コラム
- 2023.05.23
- CastGlobal
【ベトナム企業法】有限責任会社と株式会社の違い
ベトナムで現地法人を設立するにあたり、設立する法人の形態として、有限責任会社か、又は株式会社を検討するのが一般的です。
以下では、有限責任会社と株式会社の主な違いについて説明します。
有限責任会社は、1名の個人又は組織が出資者となる1名有限責任会社と、2名以上50名以下の個人又は組織が出資者となる2名以上有限責任会社に区別されます(企業法46条1項)。
株式会社は、3人以上の個人又は組織が出資者となる組織形態であり、出資者数に上限はありません(企業法111条1項b)。
(ア)出資者が法人の場合
会社所有者が法人の場合、委任代表者を1人以上選任しなければなりません。
3名以上の委任代表者を選任した場合、会社は、社員総会を設置しなければならず、会長は、委任代表者の中から選任されることになります。
委任代表者が1人の場合の機関構成は、会長、社長又は副社長であり、3人以上の場合の機関構成は、社員総会、社長又は副社長となっていますが、監査役の選任は必須ではありません(企業法79条1項)。
(イ)出資者が個人の場合
会社所有者が個人の場合、機関は会長と社長によって構成されますが、こちらも監査役の選任は不要です。
2名以上有限責任会社の場合、社員総会,社員総会の会長,社長又は総社長を置かなければならず、うち一人は法定代表者と兼任する必要があります(企業法54条3項)。他方で、国営企業やその子会社でない限り、監査役会の設置は不要です(企業法54条2項)。
株式会社の機関構成は、以下の2種類が規定されています(企業法137条1項)。
a) 株主総会,取締役会,監査役会及び社長又は総社長。株式会社の株主が 11 人未満であり,各株主が会社の株式総数の 50 パーセント未満を保有する組織である場合,監査役会の設置は強制ではない。
b) 株主総会,取締役会及び社長又は総社長。この場合,取締役の少なくと も 20 パーセントが独立取締役でなければならず,また,取締役会に直属する会計監査委員会がなくてはならない。
有限責任会社の社員が自己の持分を売却する場合、以下の手順を踏まなければなりません(先買権。企業法52条1項)。
a) 他の各社員に対し,持分に応じた割合で,同一の売却条件により持分の売却を申し出る。
b) 売却を申し出た日から 30 日以内に,他の社員が購入しない場合,社員でない者に対し,上記a)の売却の申出と同一の条件で譲渡する。
株式会社の場合、株主は原則として自由に自己の株式を売却することができます(企業法127条1項)。
ただし、①企業登記証明書の発給を受けた日から 3 年以内の間,②発起株主でない者に株式譲渡する場合には、株主総会の承認を得る必要があります(企業法120条3項)。
また、定款により譲渡制限を課すことは可能です。
有限責任会社の場合、利益の分配や議決権の行使は、出資持分の割合によって決定されます。
株式会会社は、普通株式のほか、以下のような優先株式を発行することが可能です(企業法114条2項)。
a) 配当優先株式。
b) 償還優先株式。
c) 議決権優先株式。
d) 会社の定款及び証券に関する法定の規定に従ったその他の優先株式
以上の4点の相違点をまとめると、以下のようになります。
なお、株式会社のみが社債が発行でき、また証券市場に上場できるなど、上記の主な相違点以外のその他の相違点もありますので検討の際にはご留意ください。
組織形態
出資者の数
持分譲渡
種類株式
機関構成
1名有限責任責任会社
1名
先買権あり
なし
本文記載のとおり
2名以上有限責任会社
2名~50名
先買権あり
なし
本文記載のとおり
株式会社
3名以上
原則自由(譲渡制限の設定可能)
発行可能
本文記載のとおり