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2015年7月1日より企業法および投資法が改正されましたが、外資系企業の設立手続きは旧法令と比べてどのように変わりますか。

  • 2016.04.25
  • 投資
  • 投資一般・会社設立

2015年7月1日前に設立された外資企業は投資証明書(Investment Certificate = IC)のみを取得すればよかったですが、2015年7月1日以降の新規設立は投資登録証明書(Investment Registration Certificate=IRC)を取得したうえで、企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate=ERC)を取得する流れに変更されます。 なお、旧法で設立された外資企業で、なんらかの内容修正(たとえば、法的代表者変更、住所変更等)が必要になった場合、旧投資証明書(IC)をERCやIRCに分けるとともに、該当事項を修正することとなります。 投資法および企業法では、投資登録証明書は原則として十分な書類の受領か...

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  • 2025.03.12
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ベトナム外資企業の資本金払込について
目次1.資本金払込の期限(ERC発行後90日以内の確認)ポイント2.資本金を払込む際の基本的な手続き3.資本金払込時の注意点 ベトナムにおける外資企業(FDI企業)は、企業登録証明書(ERC)の発行日から起算して90日以内に資本金の払い込みを完了する必要があるとされています。これは、ベトナム企業法(Enterprise Law 2020)に基づき原則的に適用されるルールです。 ただし、投資登録証明書(IRC)等に別途スケジュールが定められている場合や、投資対象の特性によって特別な要件が付されているケースもございます。実際に投資プロジェクトを進める際は、IRCの内容や当局からの通知をあらためてご確認いただくことをおすすめします。 一般的には「ERC発行から90日」ルールが適用されます。 IRCに特段の払込スケジュールが定められている場合や別の許可が必要なケースもあるため、最終的にはIRCや関連規定の確認が必須です。 払込期限を過ぎた場合、行政処分やERC・IRCの取り消し・修正を求められるリスクがあるため要注意です。 (1) 資本金専用口座(Capital Account)の開設 外資企業は、ベトナム国内銀行に資本金専用口座を開設し、出資者からの資本金は原則としてこの口座を通じて受領しなければなりません。通常口座と区別し、外貨管理を適正に行うための規定となっています。 (2) 送金時の目的表記 日本からベトナムへ送金する際は、送金目的を「資本金払い込み(Capital Contribution)」と明記する必要があります。銀行によっては、正確な英語表記(e.g. “Capital Contribution”)を求められるケースもございます。 (3) 送金証明書の取得・保管 銀行が発行する送金証明書(Bank Remittance Receipt)や、出資者が作成する送金確認書(Payment Confirmation)を適切に保管することが大切です。会計・税務上の証拠書類となるだけでなく、将来的に投資資金の正当性を証明する際の裏付け資料にもなります。 (4) 資本金払込証明書(Capital Contribution Certificate)の発行 ベトナム企業側(FDI企業)は、出資者が資本金を払込んだ事実を証明するため、払込証明書(Capital Contribution Certificate)を作成・発行することが求められます。企業法上は株主・出資者ごとに以下の情報を明記するのが一般的です。 出資者の名称(個人・法人) 払込日 払込金額 出資比率 代表者の署名・会社印 など (1) 払込期限を厳守する 先述のとおり、原則としてERC発行から90日以内の払込完了が求められます。万が一期限を超過してしまうと、行政罰の適用や、投資計画自体の見直しを迫られる可能性があるため注意が必要です。 (2) IRCのスケジュール要件を確認する IRC(投資登録証明書)には、プロジェクトの実施スケジュールや資金拠出スケジュールが記載されている場合があります。資本金の分割払いや追加出資のタイミングなど、特別の定めがあるときはその指示に従う必要があります。 (3) 資本金以外の資金移動に注意する 資本金と営業資金(ローンや社内貸付など)を混同して送金しないよう、送金目的を明確に区別して行うことが推奨されます。間違って送金した場合、後の修正手続きに時間や手間がかかる場合があります。 (4) 会計・税務上の処理 ベトナムでは会計・税務上の書類管理が厳格に求められる傾向があります。資本金の払込証明書、銀行の送金証明、IRC/ERCのコピーなど、関連書類はすべて整理し、監査や税務調査に備えることが大切です。
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  • 2025.02.17
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ベトナムの新しいオンラインゲーム規制の概要 ~Decree 147/2024(政府令147号)を中心に~
ベトナムでは、海外からのオンラインゲーム提供を厳しく規制する流れが近年ますます強化されており2024年11月公布の政府令147号(147/2024/ND-CP)によって既存規制がさらに明確化・厳格化されました。 以下では、海外企業(とりわけモバイルアプリを通じてベトナム向けにゲームを提供するケース)を念頭に、主要ポイントを概要として整理します。 政令ではかなり細かい要件、義務が記載されており、ゲームの形態やアクセス数等によっても対応が変わります。越境オンラインゲームを含め、ベトナムにゲームを提供されている企業においては、より詳細に確認されることを推奨します。 目次1. ライセンス要件・越境提供の禁止と現地法人 • ゲーム種別ごとの許可手続 • アプリストアでのライセンス表示義務2. 税務規制 • 外国請負税(FCT)の対象 • 海外事業者の納税義務3. 決済手段 • ベトナムドン(VND)建て原則 • 決済サーバーの国内設置4. コンテンツ規制 • 有害・禁止表現の排除 • 年齢区分と未成年者のプレイ制限5. データ保護 • 実名・本人確認の義務 • 個人データ保護政令13号(2023年施行)6. 広告・マーケティング • 表現規制と年齢相応性 • スパム規制7. 技術要件 • 国内サーバーと監視体制 • アプリストア連携8. その他関連ポイント • ギャンブル・賭博に注意 • 知的財産・消費者保護 • 当局との連携まとめ 従来からベトナムは、海外企業(法人・個人)が直接越境でオンラインゲームを提供することを禁止しています。Decree 147でもこの方針が再確認され、実質的に「ベトナム国内で法人を設立し、その法人が許可(ライセンス)を取得する」ことが必須要件となっています。 G1ゲーム(リアルタイム相互作用): 情報通信省(MIC)から「電子ゲーム提供サービス許可証」が必要。技術システム要件やユーザー情報管理など、厳格な審査を受けます。 G2~G4ゲーム(単一プレイや非リアルタイム型等): 所定の要件を満たしたうえで登録(認証)申請により提供可能。ただし、いずれの場合もベトナム法人であることが大前提です。 2025年2月以降、AppleやGoogleなどプラットフォーム側がベトナム向けゲームに対しライセンス番号等の表示を求め始めています。無許可の場合はストア削除命令や配信停止といった制裁を受けるリスクがあります。 ベトナム国内ユーザーからの収益は、海外企業であっても現地で課税対象となります。典型的にはVAT5%+CIT5%の計10%ほどが源泉相当で課せられるケースが多いですが、最新法令ではVAT10%が適用されるなどの例外もあり、実務上は約10%前後が目安です。 2019年の税管理法改正により、国外企業もベトナム税当局への登録・申告義務が明確化されました。Apple・Googleなど主要プラットフォームはすでにベトナム税IDを取得し、プラットフォーム経由で源泉徴収するか、自社で直接申告・納付する二択が基本です。 国内利用者からの課金・支払いは基本的にVND建て。クレジットカードや国内電子ウォレット等、国家銀行の許可を受けた手段のみが公的に認められています。 課金処理を含む主要システムをベトナム国内に置き、認可済み決済事業者と連携することが義務化。海外サーバーで直接決済を完結させる仕組みは違法と見なされる可能性があります。 暴力・ポルノ・賭博・反政府的要素など、法律で禁じられた内容はゲーム内で扱えません。厳しい審査が行われ、違反するとライセンス取消・配信停止等の処分を受ける恐れがあります。 Decree 147で新たに16+区分が設けられるなど年齢レーティングが強化。特に18歳未満のユーザーには1日60分まで(同一事業者全ゲーム合計で180分)のプレイ制限という厳しい規定が盛り込まれています。ゲーム事業者は技術的にプレイ時間を管理しなければなりません。 携帯電話番号や政府発行IDによるユーザー本人確認が求められ、匿名利用を防止する制度が徹底化されています。未成年者の年齢確認や保護者同意の管理にも活用される見通しです。 同意取得や利用目的の明示、未成年者データの取り扱いなど、多岐にわたるルールが課されます。データ漏えい時の報告義務や、越境移転時の追加手続(国内サーバー保存や事前申告など)にも注意が必要です。 暴力や賭博を煽る表現、わいせつな広告は厳禁。年齢レーティングに応じて広告対象を絞るなど、未成年への配慮も求められます。 SMSやメール等で広告を送る場合、受信者の事前同意や「[QC]」(広告)表示など、ベトナム独自の反スパム規定に従う必要があります。 とりわけG1ゲームは国内にサーバーを設置し、安定稼働や当局からのアクセスが可能な体制が必要です。またユーザーアカウント管理システムやチャット監視、ログ保存といった仕組みが義務付けられています。 AppleやGoogle等がライセンス情報や年齢レーティングの表示を求めており、アプリ提出時に当局発行の許可番号やURLを登録するフローが整備されています。 ベトナムでの賭博は原則禁止。ゲーム内アイテムの売買や現金化、射幸性の高い仕組みは規制リスクが大きいため、慎重な設計が必要です。 他社コンテンツの無断使用や不公正な利用規約は無効とされる恐れがあり、利用規約はベトナム語での明示、払い戻しや責任範囲の妥当性を確保しなければなりません。 規制は情報通信省(MIC)傘下の放送・電子情報局(ABEI)が所管。さらなる通達・ガイドラインが随時発出される可能性があり、定期的なアップデート確認が欠かせません。 ベトナムはオンラインゲーム(特に海外事業者による提供)を強力に統制しており、現地法人の設立とライセンス取得が前提条件となっています。さらに、未成年者保護やコンテンツ審査・データ保護要件も強化され、プラットフォーム側の協力姿勢(無許可ゲームの削除など)によって実効力も高まっています。 今後参入・継続を検討する企業は、Decree 147に基づく各種手続・技術要件を早期に整備し、現地当局やプラットフォームの動向を常時フォローすることが不可欠といえます。 該当企業の方は早期にご連絡いただければ幸いです。 関連コラム SNS・オンラインゲームの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPについて(2024年12月25日施行)
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  • 2024.10.09
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ベトナムにおける投資法上の投資報告義務の概要を教えて下さい。
以下のコラムをご確認ください。 ベトナムにおける投資報告義務について
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  • 2024.09.19
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ライセンスとビジネスライン、VSICコード、CPCコードについて教えて下さい。
以下のコラムをご確認ください。 ベトナムにおけるライセンスとビジネスライン登録について
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  • 2024.05.28
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理美容業(床屋/ヘアーカット)のライセンスについて
目次1. 理美容業(Hair cut業)への外資出資に関する適法性2. 理美容業についての規制 ベトナムにおける理美容業の規制はあるのでしょうか。 この事業について、外国投資家に対する市場アクセスについてWTOコミットメントに誓約されていませんが、政令第31/2021/ND-CP号(政令第31号)付けの外国投資家に対する市場アクセス制限分野、業種リストに属しておらず政令第31号第17条4項a号によれば、外資企業がこの事業に出資することができると考えられています。 Web上の情報でも、すでにいくつかの日系企業はこのビジネスラインを持っています。 なお、2020年投資法第IV付録に従って、理美容業は、条件付き事業ではありません。 理美容業や理美容従事者の資格に関する規制を見つけませんので、特別な条件なしで理美容業の開業を行うことができると考えられます。 現状、日本と異なり個人に対する資格などもありません。
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  • 2023.02.01
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2020年投資法の附録第IV号に規定されている条件付経営投資事業リストの変更 (保険法と映画法)
2020年公布の投資法(2021年施行)においては、一部の事業について条件付きであるとされており、その事業分野名が附録第IV号(以下に「附録第IV号」といいます。)に列挙されていました。 2022年公布の保険業法と同じく2022年公布の映画法が2023年1月1日より有効とされており、附録第IV号に規定されている条件付経営投資事業リストも変更されています。 具体的には、以下の表のとおりです。 附録第IV号に規定される旧規定 新規定 法的根拠 説明 第29項:保険仲介、保険補助活動 第29項:保険仲介 第29a項:保険補助サービス 2023年1月1日より有効となっている2022年の保険業法第155条 「保険補助活動」から「保険補助サービス」に変更されていますが、保険業法に規定される用語に統一するための用語の修正のみと考えます。 第192項:映画配給と映画普及のサービス 第192項:映画普及のサービス 2023年1月1日より有効となっている2022年の映画法第48条 2022年の映画法によれば、映画配給サービスが条件付経営投資分野ではなくなりました。(※) 映画配給とは、映画の交換、売買、賃貸、輸出入という活動です(2022年映画法第3条7項)。 映画普及とは、映画館、テレビシステム、サイバースペース、その他の視聴覚メディア等を通じて、視聴者に映画を配信することとされています(2022年の映画法第3条8項)。 ※映画配給について「条件付分野」から外されたましたが、改正映画法の第8.1条により映画配給サービスについて「外資系企業の出資比率は51%が限度とする」とされています。また、政令31/2021/ND-CP号付録I第B.1条ににより、同サービスは「外国投資家が条件付きで参入が認められる事業分野」に規定されています。 そのため、実際にはまだ外資系企業の参入のためにはベトナム資本の企業との合弁で行う必要があると考えられます。
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  • 2023.01.09
  • 投資一般・会社設立
ベトナムの駐在員事務所について教えて下さい。
以下のコラムをご確認ください。 ベトナムの駐在員事務所について
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  • 2022.10.31
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支店と経営拠点の相違について
ベトナムに設立された法人が、ベトナム国内に拠点を設ける場合、支店という方法と経営拠点を設ける方法とがあります。 両者の相違について、以下簡易的に記載します。 内容 支店 経営拠点 行政手続 登録手続:申請書類が経営拠点の登録より多い(政令第01/2021/NĐ-CP号第31条1項に基づく) 閉鎖手続: 税務に関する手続:支店を閉鎖する前に、税務に関する義務を完了するために税務当局に登録することが必要。支店が従属支店ではなく独立支店の場合、発生する税務手続が多いですので、従属立採算に比べて複雑で手間かかる(同政令第72条1項に基づく)。 社会保険に関する手続:支店が労働契約を締結して、社会保険料をの納付する場合、閉鎖の際、社会保険との手続きを行うことが必要 そのため、支店の閉鎖手続きが経営拠点の閉鎖に比べて、複雑で、手間かかる場合が多いです。 登録手続:申請書類がより少ない (同政令第31条2項に基づく) 閉鎖手続: 税務に関する手続:経営拠点を閉鎖する前に、税務に関する義務を完了するために税務当局に登録することが必要。経営拠点は従属採算であり、会計手続は本社で対応しするため、発生する会計・税務手続は少なく、支店より簡易である。 社会保険に関する手続:経営拠点が労働契約を締結せず、社会保険料を納付しないため、閉鎖の際、社会保険との手続きは発生しない。 上記のとおり、経営拠点の閉鎖手続きが支店の閉鎖に比べて簡易になっています。 活動の範囲 本社の事業内容に従って活動する。 本社の委任代表であり、労働契約、取引契約などの契約を締結できる。 (2020年企業法第44条1項に基づく) 本社の事業内容に従い活動する。 本社の委任代表ではなく、労働契約、取引契約などの契約を締結できない。 (2020年企業法第44条3項に基づく) 会計制度 本社との独立採算又は従属採算を選択できる。 本社の従属採算制度である。
  • 投資
  • 2021.09.20
  • 投資一般・会社設立
ベトナムにおけるビジネスライン(VSICコード)と事業活動について教えてください。
ベトナムにおいては、その営業活動に当たってVSIC(Vietnam Standard Industrial Classification)コードの登録が必要となります。VSICコードは企業がどのような事業活動を行うか申告し登録するもので、VSICコードの詳細については、決定27/2018/QD-TTg号(以下、「決定27号」といいます)に記載されています。 これに加えて外資企業はCPC(Certificate of Professional Competence)コードの登録が必要となります。 CPCコードとは、ベトナムがWTO(世界貿易機構)に加盟する際にした、サービス分野に関して外国投資家に対して一定の市場開放をする旨のコミットメント(通称「WTOコミットメント」といわれるものです)中で使われている番号のことです。 なお、設立の際のVSICコードや、CPCコードの登録については、下記のJETROが作成した「ベトナム拠点設立マニュアル」に有益な情報が記載されていますので、そちらもご覧になって下さい。 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2018/ed272f032fec21e9/vn_manual201811.pdf 本稿では、設立後に会社が行う事業と上記のVSICコードとの関係について記載いたしますので、設立時のVSICコードとCPCコードの登録に関わる記載は上記の資料等をご確認下さい。以下でいうビジネスラインは原則としてVSICコードのことを指します。   特にローカルの会社においては、必ずしもビジネスラインに則って事業活動を行っていないのが現状です。外資に対しても現状のところ摘発事例は多くなく、登録していない事業活動を実施することにそれほど抵抗感がない方もいるかもしれません。 しかし、登録していないビジネスラインに関わる事業活動を行うことは法律的には違法となります。会社組織の場合、登録されていない事業活動に従事している場合、3000万から4000万VNDの範囲で罰金を科される場合があります(政令50/2016/ND-CP号第13条第5項)。 現状こちらの罰金はそれほど科せられていないようですが、より現実的な事項として会計処理の問題があるようです。 すなわち、登録していないビジネスラインに関わる事業活動については、登録されていない事業活動に関わる費用を損金として処理できないことがあり、罰金よりもこちらの方が問題として顕在化する場合が多いとの印象があります。   会計処理を行うため、契約等の名目を登録されているビジネスラインの範囲内にする場合も散見されます。例えば、本当は別のサービスの提供をしているのに、コンサルティング契約とするような場合です。最後にこの場合に内在する問題点について記述しようと思います。 民法(91/2015/QH13)第124条は、別の民事取引であることを隠ぺいするために、別の取引を装った場合、当該取引は無効になると規定されています。したがって、ビジネスライン外の事業を実施する際、会計処理のために別契約を締結することも行われていますが、相手方の都合が悪くなった場合に当該契約の無効を主張されるリスクがあります。この点は十分注意が必要となります。   以上のとおり、原則として登録していないビジネスラインに関わる事業を行うことは違法であり、罰金を科せられたり、当該事業に関わる損金について会計処理できない等の問題が生じ得ます。会計処理の問題をクリアにするために、別名目の契約を締結する場合がありますが、この場合は契約の無効を主張されるリスクが内在します。 現状はビジネスラインに関わる摘発は厳しく行われていませんが、今後はこの状況が変化する可能性もあります。また上記のようなリスクも存在します。新規のビジネスラインの登録には費用や時間がかかる場合もありますが、繰り返し行う事業活動については、適切なビジネスラインを取得しておくことが推奨されます。
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  • 2021.01.05
  • 投資一般・会社設立
ベトナムにおけるフランチャイズビジネスに関わる法規制
ベトナムにおいては、例えば外資企業特有の規制として、小売り事業におけるエコノミックニーズテスト(Economic Needs Test(以下、「ENT」といいます))があります。これは、小売店舗の出店に関して、二店舗目以降の小売店舗開店の可否について経済需要に応じて個別的に判断されるというものです。当 該エコノミックニーズテストの内容(基準)は必ずしも明確でないため、二店舗目以上の店舗を展開したい場合にこのENTがビジネス上の障壁になる場合があります。 また、投資証明書(Investment Registration Certificate)の取得手続きはやや煩雑で、時間を要する場合もあります。 このようなビジネス上の障害を回避するため、ベトナムにおけるビジネス展開の方式としてフランチャイズが選択されることがあります。 フランチャイズ方式であれば、ベトナムに子会社を設立せずにベトナムでビジネスを展開することができます。 フランチャイジーがベトナムローカル企業である場合には、上記のような外資企業に関わる規制を回避することができます。 政令35/2006/ND-CP号(政令120/2011/ND-CP号、政令08/2018/ND-CP号により一部が修正されています。以下「政令35号」といいます)5条により、ベトナムにおいてフランチャイズ事業を行うためには、フランチャイザーが当該事業を過去に1年以上行っていたことが必要です(政令35/2006/ND-CP号5条。当該政令は、政令120/2011/ND-CP号、政令08/2018/ND-CP号により一部が修正されています。以下当該政令を「政令35号」といいます)。 ベトナム国外からフライチャンズ事業を実施する場合には、事業の開始前にフライチャンズの登録が必要となります(政令35号17条)。この登録は商工省へ行います。   フランチャイズの登録に当たっては、商工省に対して、フランチャイズ事業の内容を説明する文書の提出が必要とされます(政令35号19条)。 フランチャイズ事業の内容を説明する文書の内容については、通達09/2006/TT-BTM号(以下、「通達09号」といいます)別紙3にその詳細が規定されています。以下にその主要な内容を記載します。 ・フランチャイザーに関する一般情報(名称、本社の住所、連絡先、設立日等) ・ブランド名、知的財産権の内容 ・フランチャイズ料等、フランチャイズに要する費用 ・フランチャイザーの義務 ・フランチャイズに関わる契約 上記の内容に変更がある場合には、当該変更が生じた日から30日以内に、変更内容を商工省に通知する必要があります。   上記のようにベトナムにおいてフランチャイズ事業を選択するメリットは種々あります。 しかし、フランチャイズビジネスにおいては、フランチャイザーにより自社ブランドを毀損されるリスクがあるところ、ベトナムにおいてはブランド価値についての理解が日本よりも希薄です。そのため、ベトナムでフランチャイズビジネスを展開する上では信頼できる事業パートナーの存在が不可欠となってきます。