NEWS

ニュース

ベトナムの半導体産業:政策、進展、および最新の議論についての整理

コラム
2024.12.18
CastGlobal

ベトナムの半導体産業:政策、進展、および最新の議論についての整理

ベトナムは、世界の技術および半導体供給チェーンにおける主要プレイヤーとしての地位を確立するため、半導体産業の発展に積極的に取り組んでいます。NVIDIAが投資の決定を発表したほか、2030年・2050年までのロードマップを発表し、高付加価値の半導体産業に集中的に取り組むことを明示しており、今後の動きに注目です。 1. 国家政策と戦略目標 国家半導体戦略 ベトナム政府は、2050年までに自立した半導体エコシステムを構築するための野心的なロードマップを発表しました。主な目標は以下です。 2030年まで 少なくとも1つの半導体製造工場(ファブ)の設立 20のパッケージング・テスト施設の運営 300の集積回路(IC)設計会社の育成 半導体分野に特化した技術者50,000人の養成 2050年まで ファブを3カ所に拡大 20のバックエンド施設の整備 高度な半導体製造および設計を支える強固な研究開発(R&D)エコシステムの構築 国内成長の促進と外国投資の誘致を目指し、以下のようなインセンティブが導入されています: 研究開発(R&D)費用の150%までの税控除 簡略化された投資手続きおよび最大10年間の無償土地リース 「国家半導体開発指導委員会」の設立による業界成長の監督と調整 人材開発への注力 ベトナム政府は、半導体分野における熟練労働力の重要性を認識しており、大学や国際企業と連携して以下の取り組みを行っています。 STEM(科学、技術、工学、数学)教育プログラムの拡充 NVIDIAやQualcommといったグローバル技術リーダーとの協力による、2030年までの半導体技術者50,000人の養成 2. 産業の進展と投資 外国直接投資(FDI) 戦略的な地理的位置、競争力のある労働コスト、政府の支援により、ベトナムは世界の半導体企業にとって魅力的な投資先となっています。主な進展は以下の通りです。 NVIDIA 米国拠点の半導体・AIの大手企業であるNVIDIAは、AIと半導体技術を中心としたR&Dセンターをベトナムに設立する計画を発表しました。このセンターは、地元のスタートアップや大学、企業を支援し、AIアプリケーションや半導体ソリューションを開発します。 Amkor Technology バクニン省に2023年に16億ドル規模の半導体パッケージング・テスト施設を設立し、ベトナムの半導体産業における最大級の投資案件となりました。 Intel ホーチミン市で運営している世界最大級の組立・テスト施設をさらに拡大しています。 その他、サムスン、ハナマイクロン、オランダのBE Semiconductor Industriesなどの大手企業が投資を進めています。 国内企業の貢献 FPT Corporation ベトナム最大のITサービス企業で、半導体設計やAIアプリケーションに投資しており、国内設計のチップの商業化を目指しています。 Viettel 国営通信企業で、国家の安全保障と技術的独立性を支援するため、半導体製造およびR&Dプロジェクトを模索しています。 3. NVIDIAの戦略的役割 NVIDIAは、ベトナムの半導体およびAIの発展における重要なパートナーとなっています。同社の主な取り組みは以下の通りです。 R&Dセンター ベトナムに設立予定のR&Dセンターは、AIと半導体技術に焦点を当て、ベトナムのSTEM人材の成長を活用します。この施設は、地元のスタートアップや研究者に技術訓練と支援を提供します。 AIエコシステムの開発 NVIDIAはベトナムの大学やスタートアップと連携し、医療、教育、金融といった業界でAIアプリケーションの革新を促進しています。既に100以上のAIスタートアップと65の大学と提携しています。 半導体製造 NVIDIAのベトナムでの主な焦点はR&DとAIですが、チップ製造の可能性にも関心を示しており、ベトナムを半導体製造の地域ハブにすることを検討しています。 4. 課題と機会 課題 熟練労働力の不足 現在の労働力は、先進的な半導体設計および製造に十分な専門知識を欠いています。2030年までに50,000人の技術者を育成することは大きな課題です。 インフラの不備 半導体産業には、信頼性の高い電力供給、高度な物流、高度な施設が必要ですが、これらの分野でベトナムにはまだ改善の余地があります。 技術的依存 チップ設計や製造のような高付加価値分野では、外国の技術と専門知識に大きく依存しています。 機会 地政学的変化 米中貿易摩擦により、世界の企業がサプライチェーンを多様化しており、ベトナムは半導体投資の魅力的な代替地となっています。 地域的リーダーシップ ベトナムの積極的な政策とグローバル技術リーダーとのパートナーシップにより、東南アジアの半導体産業におけるリーダーになる可能性があります。 5. 将来展望 ベトナムの半導体産業は、政府の強力な支援、増加する外国投資、NVIDIAのようなグローバルリーダーとの戦略的パートナーシップにより、著しい成長が期待されています。ベトナムが中所得国の罠を脱するのに非常に重要な政策の一つとなるでしょう。 ベトナムは2050年までに世界の半導体供給チェーンの主要プレイヤーとなることを目指しており、特にAIとR&DにおけるNVIDIAや多くの外資企業の関与も、ベトナムのハイテク未来を形作る上で重要な役割を果たしていくことになりそうです。

日本人がベトナム不動産を所有したまま亡くなった場合の相続手続き(遺言がない場合)

コラム
2024.12.14
CastGlobal

日本人がベトナム不動産を所有したまま亡くなった場合の相続手続き(遺言がない場合)

以下は、ベトナムに不動産を有する日本人が遺言のないまま亡くなった場合の相続手続きについて、より専門的かつ分かりやすい形で整理したものです。実際には、両国の法規制や運用上の特徴を踏まえた慎重な対応が求められるため、専門家への相談を強く推奨します。 1. 準拠法と手続全体の枠組み (1)日本法が準拠法となる点 被相続人が日本国籍の場合、相続に関する法律関係(法定相続人の範囲、相続分、特別受益、寄与分等)は、日本法(民法)が準拠法となります(通則法第36条)。これにより、相続人の確定や遺産分割協議の有効性といった基本的な判断は原則として日本法に従って行われます。 (2)ベトナム側手続への影響 一方で、ベトナム国内に所在する不動産の権利移転(名義変更)手続は、ベトナムの土地法や不動産関連の行政手続法令に則って行う必要があります。すなわち、「相続関係」の準拠法が日本法である一方で、「不動産名義変更」という実体・手続はベトナム法に基づくため、二国間法制の整合的な適用が求められます。 2. ベトナムでの不動産名義変更手続きのハードル (1)遺産分割協議の有効性の立証 日本で有効に成立した遺産分割協議書があっても、そのままベトナム当局が名義変更を認めるとは限りません。ベトナム当局は「当該協議書が日本法上有効である」こと、および「相続手続きが適正に完了している」ことを十分な法的証拠とともに要求する場合が多く、単なる印鑑証明や公証書では不十分と判断されるケースもあります。 (2)裁判所関与の可能性 そのため、現地当局が求める法的確実性を担保するためには、日本の裁判所を通じた手続(遺産分割調停、審判手続など)で、確定的な「調停調書」または「審判書」を取得する方法が検討されます。これらの裁判所書面を「公印確認(アポスティーユ)」「翻訳公証」を経た上でベトナム当局に提出することにより、ベトナム側での名義変更手続を円滑化できる可能性が高まります。ただし、こうした司法手続きは相応の時間・コスト負担を伴います。 3. 相続人間での意見対立と対応策 (1)代償金による単独取得 相続人間で不動産の帰属先や評価額に合意できる場合、特定の相続人が単独で不動産を承継し、他の相続人に対し代償金を支払う方法が考えられます。しかし、ベトナムでは日本のような公的評価制度(固定資産評価額や路線価)が確立されておらず、不動産の適正評価が難しいため、代償金額の算定を巡って意見対立が生じるリスクがあります。 (2)売却・代金分配の困難性 不動産を第三者へ売却し、得られた代金を相続人間で分配する方法も理論上可能です。しかし、ベトナム当局は外国人相続人を含む共有名義化に慎重であり、前例不足や法解釈上の問題から、共有名義設定や売却手続そのものを拒否される可能性があります。その結果、売却方針が決まらず、相続手続が膠着する懸念もあります。 4. 手続き長期化のリスクと事前対策 (1)手続の長期化要因 ベトナム当局の慎重な審査、裁判所関与の必要性、不動産評価の困難性、共有名義設定拒否のリスクなど、様々な要因が重なり、ベトナム不動産の相続手続は日本国内相続よりも長期化、複雑化しやすいといえます。 (2)遺言作成によるリスク軽減 こうしたリスクを事前に回避するためには、被相続人が生前に法的に有効な遺言を作成しておくことが最善策といえます。遺言により特定の相続人に不動産を帰属させることを明確化すれば、相続人間での意見対立や裁判所手続の必要性を大幅に減らすことが可能です。ベトナム不動産を含む複数国の資産がある場合、各国法制に精通した専門家への相談が不可欠です。 5. まとめ 日本国籍被相続人の相続は基本的に日本法が準拠法となるが、不動産が所在するベトナムでの名義変更にはベトナム法が絡み、日越両国法の整合的対応が必要。 日本で合意した遺産分割協議書がベトナムでそのまま通用しない可能性があり、裁判所での確定的書面の取得や証明手続が求められる場合がある。 相続人間での意見対立がある場合、代償金や売却案を検討できるが、不動産評価や共有名義の問題、当局の慎重姿勢が実務上の障壁となり得る。 手続き長期化のリスクを軽減するため、あらかじめ有効な遺言を準備することが効果的。 こうした複雑な手続きを回避・円滑化するためには、早期段階から専門家へもご相談のうえ、両国での法的要件や行政実務を踏まえた戦略的な対応が不可欠です。

ベトナム・ホーチミン市における不動産登記問題の現状と対策

コラム
2024.12.11
CastGlobal

ベトナム・ホーチミン市における不動産登記問題の現状と対策

ホーチミン市では、不動産登記(通称「Sổ hồng」/レッドブック/LURC)が長年の課題となっており、特に商業住宅プロジェクトにおける未登記物件が市場全体に影響を及ぼしています。外国人所有物件だけでなく、ベトナム人所有物件についてもLURCが発行されていない物件が多くあり、課題となっています。 以下に、最新の状況、政府の取り組み、課題、そして今後の展望を整理します。 1.現状:未登記物件問題の深刻さ 未登記物件の規模 2023年末時点: 約81,000戸の未登記物件が存在。 2024年3月時点: 政府の取り組みにより59,000戸まで減少。 未登記の主な原因 1.  開発業者の遅延: 登記に必要な書類提出の遅れ。 財務義務(税金や関連費用)の未履行。 2. 新しい不動産形態に関する法的課題: オフィステル(オフィス兼居住空間)やショップハウスに関する未整備の法制度。 3. プロジェクトの法的・財務的問題: 銀行担保に設定されたままの物件。 建築規制違反の発覚。 4. 調査・監査による進行停止: プロジェクトが不正疑惑やその他の監査対象となる場合。 2.政府の取り組み:2024年末までの3段階計画 ホーチミン市人民委員会(UBND)は、未登記物件問題の解消に向けて以下の3段階計画を実施しています。 第1段階(2024年10月まで) 専門チームの設立: 未登記プロジェクトを調査するタスクフォースを編成。 データの収集と分類: プロジェクトを以下のカテゴリに分類: 1.登記完了済み物件 2.建設中で未登記の物件 3.使用中だが未登記の物件 第2段階(2024年11月まで) 課題の分析と解決策の立案: 各プロジェクトの問題点を特定し、法的・行政的な解決策を提示。 第3段階(2024年12月まで) 実行と進捗管理: 解決策を具体化し、未登記問題を解消するための進捗を管理。 3.成果と今後の展望 2024年6月時点の成果 22,147戸が新たに登記完了。しかし、未解決の物件が依然として多数残っています 新しい法制度への対応 2024年に施行される新土地法(Luật Đất đai)に基づき、以下が期待されます: 政策のさらなる調整 新形態の不動産に対応した法制度の整備 透明性向上の試み 市政府は、不動産プロジェクト情報を電子プラットフォームで公開し、市場の透明性向上を図る計画です。 4.まとめ ホーチミン市では、不動産登記問題の解消に向けた具体的な取り組みが進行中であり、2025 年までに、天然資源環境省の機能と課題に基づく 6 つの問題グループに基づいて、81,085 戸の住宅の問題の除去が完了する予定としています。しかし、法制度の改善や開発業者の協力など、多くの課題が依然として残されています。登記状態により、購入者は物件の所有権を正式に証明できず、長期的な未登記問題が、不動産市場全体の停滞を招いているともいえます。今後、政府や関連機関の連携がさらに重要となり、透明性の高い市場運営が鍵となるでしょう。

ベトナムにおけるeコマースとデジタルプラットフォームの税務改革

コラム
2024.12.04
CastGlobal

ベトナムにおけるeコマースとデジタルプラットフォームの税務改革

2025年4月1日より、ベトナムではeコマースおよびデジタルプラットフォームが出品者に代わって税金を申告・納付することが義務付けられます。 この新しい規定は、国内外のeコマースプラットフォームに適用され、公平な税務管理と税収増加を目的とした重要な取り組みです。本記事では、規制の詳細、現行制度との違い、期待される効果、そして実務上の影響について解説します。 新しい税務規定の概要 新しい税務規定では、以下が義務付けられます: コマースプラットフォームは、個人事業者や法人の出品者に代わって税金を申告・納付。 プラットフォームは、税金を控除した上で、取引額の報告を税務当局に行う必要があります。 この規定は、国内外のプラットフォームに適用され、国際企業にも登録または代表者の任命を要求します。 また、ベトナムの財務省は技術的な支援が可能であり、プラットフォームが円滑に税務義務を履行できる体制を整備中です。 現行制度との違い 現在の制度では、eコマースプラットフォームが税務当局に報告する義務は限定的であり、個々の出品者が自己申告・納税を行っています。 しかし、新制度ではプラットフォームが税務手続きを包括的に管理することで、効率化と透明性の向上が期待されています。 変更点 現行:出品者が納税責任を負う。 改正後:プラットフォームが納税手続きを代行。 期待される効果と現状データ 1. 税収の増加 ベトナムでは、2022年3月の電子情報ポータル導入以降、102の外国サプライヤーが登録し、これまでに約7,340億円の税金を納付しています。 2024年の最初の10ヶ月間だけで、eコマース関連の税収は前年同期比で17%増加しました。 2. 公平な税務管理 国内外のプラットフォームが同等の税務負担を負うことで、市場の公平性が確保されます。 3. 行政コストの削減 税務手続きの簡素化により、出品者および税務当局の負担が軽減されると期待されています。 課題と専門家の見解 専門家によると、新制度はベトナムのデジタル経済における重要な一歩とされていますが、以下の課題が指摘されています: プラットフォーム企業の負担増加:税務管理のコストが増加し、手数料引き上げに繋がる可能性。 小規模出品者への影響:新しい規定が中小規模の出品者にとって負担となり、市場参入の障壁となる可能性。 国際企業との協力体制:特に海外企業との連携や執行の確保が課題とされています[3][5]。 政府の対応策 ベトナムの財務省は、税務改革の円滑な導入を支援するため、税務当局内に専門タスクフォースを設置し、プラットフォーム企業に対する技術支援や指導を行う予定です。 今後移行期間の対応なども下位の法令で明確化される可能性もあります。 まとめ 2025年4月から施行されるeコマースおよびデジタルプラットフォームの新しい税務規定は、税収増加と公平な市場競争の確保を目的とした画期的な取り組みです。一方で、プラットフォーム企業や出品者への影響も慎重に考慮する必要があります。eコマース事業者は今後の動向を注視し、対応策を講じることが求められます。

2025年からのベトナム電子タバコ規制の概要

コラム
2024.12.03
CastGlobal

2025年からのベトナム電子タバコ規制の概要

ベトナム国会は2024年11月30日、2025年から電子タバコ(加熱式タバコを含む)の製造・販売・輸入・保管・輸送・使用を全面的に禁止する決議を可決しました(173/2024/QH15)。これは、若者を中心に急増する電子タバコ使用者を背景に、国民の健康保護および社会秩序の維持を目指した対応となっています。本コラムでは規制の概要、動向について整理します(最終アップデート:2025年1月20日)。 禁止対象: 電子タバコおよび加熱式タバコ 禁止される行為: 製造 販売 輸入 所持(保管) 輸送 使用 旅行客の持ち込みにも適用されると考えられますので、ベトナムに旅行される方々は電子タバコの持ち込みを控えるよう注意してください。 2024年12月31日時点で、すでに多くの販売店が閉店しているという報道も出ています。  173/2024/QH15の該当箇所(2.2) “Quốc hội thống nhất cấm sản xuất, kinh doanh, nhập khẩu, chứa chấp, vận chuyển, sử dụng thuốc lá điện tử, thuốc lá nung nóng, các loại khí, chất gây nghiện, gây tác hại cho sức khỏe con người từ năm 2025, bảo đảm sức khỏe cộng đồng, trật tự, an toàn xã hội; giao Chính phủ tổ chức thực hiện cụ thể. Đẩy mạnh công tác tuyên truyền, nâng cao nhận thức của người dân, đặc biệt là đối với thanh niên, thiếu niên về tác hại của rượu, bia, thuốc lá, thuốc lá điện tử, thuốc lá nung nóng, các loại khí, chất gây nghiện, gây tác hại cho sức khỏe con người.” (仮訳)「国会は、2025年から電子タバコ、加熱式タバコ、健康に害を及ぼす各種ガスや薬物の製造、販売、輸入、保管、輸送、使用を禁止することで一致しました。これにより、公衆の健康を確保し、社会の秩序と安全を維持することを目指します。具体的な実施については政府に委ねられています。また、特に若者や未成年に対し、アルコール、ビール、タバコ、電子タバコ、加熱式タバコ、健康に害を及ぼす各種ガスや薬物の有害性に関する認識を向上させるため、啓発活動の強化を求めています。」 2025年1月20日追記: ベトナム保健省からの具体的な提案も出てきました。現状、「使用」については市中での規制はあまり行われていないようですので、こちらの具体的な罰則の施行を待って取締を強化する方向と考えられます。 ベトナム保健省は、電子タバコおよび加熱式タバコの使用に対し、100万~200万ドン(約40~80米ドル)の罰金を科すことを提案しています。 再犯の場合、罰金は倍増される見込みです。この提案は、医療分野における行政処分に関する政令117の改正案に含まれており、3月初旬まで一般からの意見を募集しています。違反者の情報は関連当局や学校に報告され、押収された製品は破棄される予定です。 これまでもあった法令に基づき、これらの製品の製造、取引、保管、輸送、および広告に対しては、罰金として1億ドンから10億ドン(約4000~4万米ドル)が科されるほか、1年から5年の懲役刑が科される可能性があります。「使用」および「助長」に関しては具体的な罰則が存在しないことから、保健省は追加の規制を提案するに至りました。 参考:在ベトナム日本大使館からの通知 2024年12月25日時点 https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02157.html ●ベトナムでは2025年1月1日から、ベトナム国内で電子たばこ及び加熱式たばこを使用する場合、罰金の対象となる可能性がありますのでご注意ください。 ●また、海外からベトナムに電子たばこ及び加熱式たばこを持ち込む場合、使用よりも重い罰金の対象となる可能性がありますのでご注意ください。 先のベトナム国会において、2025年1月1日から電子たばこと加熱式たばこの生産、取引、輸入、保管、輸送、使用を禁止する決議が承認されたとの当地報道が出ております。 2025年1月1日以降、電子たばこ等を使用・製造・輸送・保管等する者は、その状況に応じて、罰金・行政処分・刑事責任に問われる可能性があり、電子たばこ等を使用した場合、警告又は100万~200万ドンの罰金対象となる可能性があるほか、輸送・保管・製造の場合は更に重い罰金・刑事処罰が課せられる可能性がありますので、ご注意ください。 規制強化の最大の背景は、若年層での電子タバコ使用率増加です。13~17歳の学生使用率は2019年の2.6%から2023年には8.1%へと急増し、特に13~15歳では1年で3.5%から8%へと倍増する深刻な伸びを示しています。これらの数字は、従来のタバコよりも「手軽」と誤解される電子タバコが、若者の間で急速に広まっている現実を浮き彫りにしています。 電子タバコは多様なフレーバーやスタイリッシュなデザインが売り物であり、SNSでの拡散やインフルエンサーの影響も相まって、「新しいもの好き」な若い世代を強く引きつけています。しかし、その背後には高濃度ニコチンによる依存症リスクや、心血管・呼吸器への悪影響、発達途上の脳に対する悪影響など、深刻な健康被害が潜んでいます。こうした公衆衛生上の懸念は、ベトナム政府が取締りを強化する強い動機となっています。 電子タバコ製品が若者に浸透した一因は、オンラインを通じた容易な入手経路です。FacebookやZaloなどのソーシャルメディア経由で匿名性を盾にした販売が横行し、中には原産地不明、あるいは有害化学物質や合成麻薬を含む可能性のある製品が流通しています。この状況は既存の法規制や捜査の手の届きにくい領域であり、規制当局にとって大きな課題となっています。 2023年5月、ファム・ミン・チン首相は、電子タバコや加熱式タバコ、シーシャなどの新型タバコ製品の使用防止に向けた規制の策定を各機関に指示しました。 これにより、15歳以下の男性の喫煙率を39%未満、女性を1.4%未満に抑えること、また職場や飲食店での受動喫煙の減少を目指す「2030年までのタバコ害の予防と制御に関する国家戦略」が承認されていました。 さらに、2024年5月には、チン首相が保健省に対し、電子タバコや加熱式タバコの管理策の研究と提案を指示しました。 これに伴い、財務省や国防省、公安省にも密輸や違法取引の監視と取り締まりの強化が求められています。今回はさらに進んで販売や使用の規制まで入ったことになります。

6歳未満の子供向けの乳製品および栄養補助食品に関する通達33/2024/TT-BYT

コラム
2024.11.25
CastGlobal

6歳未満の子供向けの乳製品および栄養補助食品に関する通達33/2024/TT-BYT

2024年11月15日、ベトナム保健省は通達33/2024/TT-BYTを発行しました。 この通達は、2025年1月1日から施行され、6歳未満の子供向けの乳製品および栄養補助食品に関する経済技術的特性(価格安定化と価格申告など)を規定しています。 ■6歳未満の子供向け乳製品: 保健省が定める国家技術基準に基づく36ヶ月齢までの乳児用調製乳 6歳未満の子供向けとして公表されている粉末または液体の動物性乳を含む栄養製品 ■6歳未満の子供向け機能性食品: 健康補助食品 医療用栄養食品 栄養補助食品 特別食事用食品(乳製品を含まないもの) 価格安定化と価格申告の要件 対象製品は以下の経済・技術的特徴を含む必要があります。 製品名(詳細名) 製品分類 ・製品形態(剤形/使用形態) 製品公表登録受理書番号または自己公表番号 本規定は2025年1月1日から施行されます 省級人民委員会は価格申告の受理を組織し、円滑な実施を確保 保健省食品安全局は本規定の実施を主導し、関連部門と協力して指導 企業や個人は6歳未満の子供向け製品を公表する際、省級人民委員会が指定する機関に価格申告書を提出する責任があります 実施中に問題が発生した場合、関係者は保健省食品安全局に報告して解決を求めることができます

2025年のベトナムの祝祭日について

コラム
2024.11.25
CastGlobal

2025年のベトナムの祝祭日について

2025年の一般的な祝日のパターンは以下のとおりです。民間企業においては土曜日や日曜日の業務がある場合は変わる場合があること、政府が正式に発表するまでは変わる可能性のある祝日もあるためあくまで参考としてご確認ください。テトについては公務員の9連休の日程は政府が確定しました。 【ベトナム】2025年のテト休暇(Tet Holidays)について 休暇 日付  曜日 日数 年末年始休暇(西暦) 2025年1月1日 水曜日 祝日 1 旧正月(テト)休暇 2025年1月25日 土曜日 週末 9 2025年1月26日 日曜日 週末 2025年1月27日 月曜日 祝日 2025年1月28日 火曜日 祝日 2025年1月29日 水曜日 祝日 2025年1月30日 木曜日 祝日 2025年1月31日 金曜日 祝日 2025年2月1日 土曜日 週末 2025年2月1日 日曜日 週末 フン王記念日 2025年4月7日 月曜日 祝日 1 戦勝記念日・国際労働者の日 2025年4月30日 水曜日 祝日 5 2025年5月1日 木曜日 祝日 2025年5月2日 金曜日 祝日 2025年5月3日 土曜日 週末 2025年5月4日 日曜日 週末 建国記念日/国慶節 2025年8月30日 土曜日 週末 4 2025年8月31日 日曜日 週末 2025年9月1日 月曜日 祝日 2025年9月2日 火曜日 祝日

2025年1月1日から2025年6月30日までのVAT減税の継続について(10%→8%)

コラム
2024.11.24
CastGlobal

2025年1月1日から2025年6月30日までのVAT減税の継続について(10%→8%)

ベトナム財務省は現在2%減税して10%→8%になっているVAT(付加価値税)について、経済回復効果への実績をもとにさらに2025年上半期も継続を提案し、その後11月30日、国会で174/2024/QH15により可決されました。これに基づいて、2024年12月31日には、継続についての内容を規定する政令180/2024/ND-CPも発行されました。 2025年7月1日以降については未定であり、特になにも法令変更がなければ通常どおり10%に戻ることになります。 ベトナム財務省が2025年前半のVAT減税継続を提案→国会決議→政令180号 減税率は2%で、10%の税率が適用される商品・サービスに対して8%に引き下げ 適用期間は2025年1月1日から2025年6月30日までの6ヶ月間 10%の税率が適用される多くの商品・サービスが対象となる 以下の分野は減税対象から除外される: 通信、情報技術 金融、銀行、証券、保険 不動産 金属、鉱業製品(石炭採掘を除く) コークス、精製石油 化学製品 特別消費税の対象となる商品・サービス 各減税の目的と期待される効果 消費を刺激し、経済回復を促進することが主な目的 企業の生産コスト削減、利益増加、需要喚起につながると期待されている 2025年の経済成長目標(6.5-7%)達成を支援する狙いも 6ヶ月間の減税により、約25兆ドン(約1,250億円)の税収減が見込まれている 月平均で約4.175兆ドンの税収減となる見通し 2022年から2024年にかけて同様の減税措置が実施されてきた 3年間で合計約123.8兆ドンの減税効果があった 2022年には小売売上高とサービス収入が前年比19.8%増加 2023年は下半期のみの減税だが、全体として、2023 年の商品小売総売上高と消費者サービス収益は、2022 年と比較して 9.6% 増加すると予想 関連記事: ベトナムのVAT税率減少(VAT8%の軽減税率の継続)とVietnam Airlinesの支援策について

ベトナムにおける銀行での顔認証・生体認証について(2025年1月1日発効)

コラム
2024.11.13
CastGlobal

ベトナムにおける銀行での顔認証・生体認証について(2025年1月1日発効)

2024年6月28日、ベトナム国家銀行は銀行カード業務に関する新規制(Circular 18/2024/TT-NHNN)を発表しました。 当該Circular自体は2024年7月1日から発効していますが、外国人にも大きな影響をあたえる以下の規制が2025年1月1日から発効します。 ベトナムに居住して銀行カードを使っている方についても年内に生体認証を完了する必要があるためご注意ください。 2025年1月1日以降、顔認証による本人確認を完了していない口座では、オンライン取引が不可能になります。これには、オンライン送金や ATM/CDM での現金引き出しなどが含まれます。 新たなカード発行については2024 年 10 月 1 日から規制が始まっており、10月1日以降に発行されたカードはすべて生体認証が完了しているものと考えられます。 すべての銀行口座所有者は、2025年1月1日までに生体認証(顔認証)を登録する必要があります。これは、口座の本人確認を強化し、不正利用を防ぐための措置です。 2024年10月1日以前に発行されたカードの顧客情報更新期限は、遅くとも2026年1月1日までにしなければならないとされています。 銀行は顧客の身分証明書の有効期限を追跡し、期限切れの30日前までに通知する義務があります。有効期限が切れた場合、その口座での取引は一時停止されます。 この規制は、銀行口座の「クリーンアップ」を目的としており、偽造書類を使用した口座や本人以外の名義の口座を排除することを目指しています。 オンライン取引の安全性を高め、詐欺や不正利用のリスクを軽減することが期待されています。 一部の銀行では、この新規制により詐欺行為が大幅に減少したと報告しています。 多くの銀行(Vietcombank、Agribank、Sacombank、SHBなど)は、顧客に対して身分証明書の更新と生体認証情報の登録を積極的に呼びかけています。一部の銀行では、オンラインでの口座開設プロセスに生体認証の登録を統合し、手続きの簡素化を図っています。 体験談2024年11月14日: こちらの件、弊社日本人の個人口座があるOCBとVietcomBankに確認したところ、外国人個人の場合はパスポートとTRCを持って窓口に行けばOKとのことでした。OCBの支店で手続を行いましたが、1分以内で完了しました。 法人口座について、両銀行に確認したところでは、現状政府から具体的な指示ははないため、現状は特に対応不要で、正式な情報が出たら連絡があるということでした。 なお、併せてパスポート番号の更新手続きなどもある場合、もっと時間がかかったという声もいただきました。 体験談2024年12月4日: 12月に入って一足早くVietcomBankのオンライン送金ができなくなってしまいました。ATMカードは引き続き使えています。 そのためVCB本店の窓口にいき手続きしてきましたが、15分ほどで完了しました。 OCBの支店よりは署名などで時間がかかりましたが、比較的スムーズに対応してもらえました。

SNS・オンラインゲームの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPについて(2024年12月25日施行)

コラム
2024.11.13
CastGlobal

SNS・オンラインゲームの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPについて(2024年12月25日施行)

2024年11月9日、ベトナム政府がSNSやオンラインゲームの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPを公布しました。 この政令は2024年12月25日から施行され、6章84条で構成されており、インターネットサービスと情報管理に関する重要な変更を含んでいます。本コラムでは主要な概要について説明します。 施行日(2024年12月25日)から90日以内に、すべてのユーザーは、ベトナムの携帯電話番号で認証する必要があります。 ベトナムの携帯電話番号を持っていない場合のみ、個人識別番号での認証が可能です。 商業目的でライブストリーミングを行う場合は、個人識別番号での認証が必須となります。 認証済みアカウントのみが投稿、コメント、ライブストリーミング、情報共有が可能となります。 16歳未満の子供がソーシャルメディアを使用する場合、親または保護者が自身の情報で登録し、子供の投稿内容を監督・管理する必要があります。 ゲーム発行者は 18 歳未満のプレイヤーのプレイ時間を各ゲーム 60 分以内に管理する必要があり、また、 18 歳未満のプレーヤー向けに企業が提供するすべてのゲームは、1 日あたり 180 分を超えてはなりません。 ゲームプロバイダーは、年齢ごとのゲーム分類結果を継続的に表示するための技術機器システムを備えている必要があり、 「1 日 180 分を超えるプレイは健康に悪影響を及ぼします」という内容の警告情報を、ゲームのフォーラム およびプレイヤーのデバイス画面の目立つ場所に 30 分ごとの頻度で投稿する必要があります。 プレイヤーが 16 歳未満の場合、親または保護者がその情報を使用してアカウントを登録し、プレイ時間とアクセスしたゲームコンテンツを監視および管理する責任を負います。 コンテンツおよび情報管理部門と技術管理部門があります。コンテンツと情報の管理責任者はベトナム国籍である必要があります。 明確で連絡可能な住所と電話番号を備えた本社があります。 サーバーをベトナム国内に置く その他詳細な技術的要件についても記載されています。 違法なオンライン情報を監視、収集、検出するための措置を講じる責任があります。 ユーザーの情報、ログイン・ログアウト時間、IPアドレス、投稿情報の処理ログを最低2年間保存する必要があります ベトナム国内のドメイン名(.vn)の管理規定が更新されました。 18歳から23歳のベトナム国民は、.id.vnドメインの登録に優先権が与えられます。 企業や個人事業主は、.biz.vnドメインの登録に優先権が与えられます。 公共のインターネットアクセスポイント(インターネットカフェなど)の運営条件が明確化されました。   本政令では23条で、クロスボーダーの事業者(国外からの事業者)についても規制を明記しています。 なお、ソーシャル・ネットワーキングを行う場合には、ベトナム政府(具体的には情報通信省)に対して連絡先情報を通知する必要があります。この通知に基づき、ベトナム国内でのライブ配信機能の提供や収益を伴うサービスの提供が許可されます(24条)。 1. 一般的な遵守義務 国外の組織、企業、個人がベトナム国内で情報を提供する場合、本政令およびベトナム関連法令に従わなければならない。 特に、オンラインゲームを提供する場合には、追加で第37条第4項に従う義務がある。 2. 違反があった場合のベトナム当局の措置 ベトナム当局は以下の状況で技術的措置を実施する権限がある。 国外事業者がベトナムの法律に違反する情報を提供した場合。 ベトナム政府(情報通信省や公安部)との協力を拒否し、違法情報の処理を行わない場合。 3. ベトナム向けに一定の条件を満たす事業者への追加義務 ベトナムからのアクセスが毎月100,000回以上ある、またはベトナム国内にデータストレージを利用している事業者は、以下の責任を負う必要があります。 連絡先の通知: ベトナムのストレージサービス利用開始後60日以内に、情報通信省へ連絡先を通知する必要があります。 違法情報の監視と削除: ベトナムの「ネットワークセキュリティ法」(Luật An ninh mạng)第8条に基づき、違法とされる情報、サービス、アプリを監視し、削除する必要があります。 コンテンツ提供の制限: ベトナムの著作権に準じて、ベトナムの報道機関からの情報を引用する場合には、事前に報道機関とコンテンツ使用についての協定を締結しなければなりません。合意が得られない場合、報道機関からの情報を引用または表示してはなりません。 利用者情報の保存と提供: ベトナムのSNS利用者の情報(氏名、生年月日、ベトナムの電話番号など)を保存する義務があります。 利用者のアカウント認証: ベトナム国内の電話番号による認証を必須とし、商業目的でのライブストリーム機能使用時は、個人識別番号による追加認証を行う必要があります。 子供向けコンテンツの保護: 子供に不適切な内容に対する警告を表示し、子供保護の措置を実施する義務があります。 苦情対応システム: 電子手段による苦情の受付を行い、違法情報に関する苦情は48時間以内に対応し、必要に応じて削除を実施することが求められます。 アプリストア事業者の対応: ベトナムの当局から要請があった場合、違法なアプリケーションの削除を行う必要があります。また、電子決済に関するベトナムの法令を遵守し、ゲーム事業者には法的な許可証の提出を求める義務があります。 コンテンツ配信方法の開示: 配信プロセスを明示し、利用者に選択可能な形でのサービス利用契約またはコミュニティガイドラインの提供が必要です。 報告義務:年次報告を11月25日までに提出する義務があり、国家安全保障に関する事案や緊急事態に関しても臨時報告が求められる場合があります。 この新政令は、ベトナムのオンライン環境に大きな影響を与える可能性があります。特に注目すべき点は以下の通りです。 プライバシーと匿名性: ソーシャルメディアアカウントの認証義務化により、オンラインでの匿名性が大幅に制限されます。これは、オンライン上の違法行為や有害コンテンツの抑制に効果がある一方で、表現の自由に影響を与える可能性があります。 未成年者の保護: 16歳未満の子供のアカウント管理を親が行うことで、オンライン上の未成年者保護が強化されます。しかし、これは同時に若者のプライバシーや自主性に影響を与える可能性もあります。 インターネット産業への影響: インターネットサービスプロバイダーや公共アクセスポイントに対する新たな規制は、ベトナムのインターネット産業全体に影響を与える可能性があります。 国際的な影響: この政令は、ベトナムで事業を展開する国際的なソーシャルメディア企業にも適用されるため、グローバルなインターネットガバナンスに影響を与える可能性があります。 この新政令は、オンライン安全性の向上とサイバー空間の管理強化を目指していますが、同時に個人の自由とプライバシーのバランスをどのように取るかという課題も提起しています。実際にどの程度厳しい対応になるかどうか含め、今後の実施状況と影響を注視する必要があるでしょう。 関連Q&A(会員限定): ベトナムの新しいオンラインゲーム規制の概要 ~Decree 147/2024(政府令147号)を中心に~