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【ニュース】ベトナムへの越境EC等の小口輸入品についての免税範囲の見直し(財務省提案の段階)

コラム
2025.02.18
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【ニュース】ベトナムへの越境EC等の小口輸入品についての免税範囲の見直し(財務省提案の段階)

本日2025年2月18日より、100万VND以下の小口輸入品についての輸入税免税規定が廃止されています。 ベトナム決定01/2025/QĐ-TTg:小口輸入免税の廃止と新たな課税ルール 一方で、財務省は以下のとおり免税対象範囲の見直しと、それ以外の義務などを合わせて政令を提案中との報道がなされており、こちらが早急に検討されそうです。 一時混乱はありそうですが、新たな制度が始まる可能性が高いため越境EC業界含め要注目ですね。 下記が現在提案されている政令の要点です。 単品価格200万VND以下の商品にVAT免除 同一購入者における年間累計96百万VNDの上限 食品/化粧品等の消費財に限定(工業用部品は除外) 年4回まで検査免除可能 危険物・文化財等は除外対象 分割購入防止のためIPアドレス追跡システム導入 詳細は以下のとおりです。 財務省の新政令案:免税対象範囲の見直し 財務省は免税規定廃止後の新たなルールとして、越境ECを通じて輸入される小口商品の課税に関する政令案を準備中です​。この案では、小額輸入品に一定の範囲で再び免税枠を設ける一方、悪用防止のため厳格な条件を付与する内容となっています。 免税対象の範囲拡大と上限設定 政令案によれば、オンラインプラットフォーム(ECサイト)経由で購入された1件あたりの商品価値が200万ドン(約1万〜1万2千円)以下の輸入品については、輸入関税および輸入段階のVATを免除することが提案されています​。これは従来の100万ドンから閾値を引き上げるもので、小口輸入品に対する免税枠の拡大と言えます​。 ただし年間の累計購入金額が9600万ドン(約55〜60万円)を上限とし、それを超えると免税措置は適用されません​。。この年額上限は、一人の消費者または一企業が免税制度を利用できる総額に上限を設けることで、免税枠の乱用(大量の小口分割発注による免税適用の繰り返し)を防ぐ狙いがあります​。 なお、1件あたり200万ドンを超える注文や、年間上限を超過した場合には、その注文の商品全価値に対して通常の関税・VATが課される仕組みです​。部分的に超過分のみ課税するのではなく、閾値を超えた場合は全額に課税される点に注意が必要です​。 対象となる品目 この免税措置の対象は「オンライン商取引を通じて購入された商品」とされています​。すなわち、ShopeeやLazada、Alibaba系サイト、TikTok Shopなど越境ECプラットフォームを通じた個人輸入品が主な対象です。現時点で特定の商品カテゴリの除外は明記されていませんが、財務省案では2つの選択肢が示されています​。 一つは(A)関係当局が指定する特定品目以外は免税対象外(通常どおり許認可・検査が必要)とする案、もう一つは(B)上記の金額基準に合致するもののみ一律に免税対象とする案です​。後者の場合でも、たとえば禁制品や輸入に際し特別な許可が必要な医薬品・農薬等は従来通り規制対象となるとみられます(それらは別途の法律で輸入自体に許可が必要です)。 実際、ドラフトでは「輸入許可証や各種証明の取得・専門検査を免除する対象品目のリスト」を策定することも検討されており、このリストに載らない商品はたとえ少額でも通常の検査手続きを経る可能性があります​ 。最終的な対象品目の詳細については、関係省庁間の協議で確定する見通しです。 検査免除の条件と不正対策 新政令案には、通関時の検査(専門検査や許認可手続)の免除条件についても明確な条件が盛り込まれています。具体的には、価額が200万ドン以下の越境EC輸入品であれば、年間最大4回までは輸入の際に各種の許可申請や品質検査等を免除する方針です​。ただし5回目以降の輸入や、上述の年間累計9600万ドンを超える場合には、たとえ1件ごとの金額が少額でも通常の検査手続が必要になります​。 この「年4回までの検査免除」という頻度制限は、同一人物が免税枠を悪用して大量の小口発送に分散することを防ぐ効果を狙ったものです​。財務省によれば、こうした回数制限と金額上限を組み合わせることで、利用者が政策の穴を突いて注文を細切れに分割する行為に歯止めをかける意図があります​。 不正対策としては、購入者や送付先の識別情報を一元管理・追跡する仕組みづくりが欠かせません。 具体的には、個人識別番号(納税者IDや身分証情報)に基づいて年間免税枠の利用状況を管理することが想定されます。さらに、同一人物が複数のアカウントや住所を使って回数制限を逃れようとするケースへの対策として、ECプラットフォーム側でのデータ連携や、場合によってはIPアドレスなど技術的手段での検知も議論されています。 財務省はまた、免税対象となる商品をまとめ買い(「gom hang」)して国内で転売するような行為を禁止する規定も提案しており​、越境ECの個人輸入制度を悪用した業者的行為には厳しい姿勢を示しています。 施行時期と政府・関係機関の見解 上述の免税廃止措置(100万ドン以下の免税枠撤廃)は2025年2月18日付で既に発効しています​。一方、新たな政令案については現在パブリックコメントや関係省庁との協議を経ている段階で、正式な施行時期は未定です。 財務省は2023年からこの問題に取り組み、2023年6月には一度政府に対し同趣旨の政令案を提出していました​。その後、越境EC取引のさらなる拡大を受けて内容を追加修正(年4回の制限規定などを盛り込み)し​、2024年末〜2025年初頭に改めて策定した草案を発表しています​。関係者によれば、司法省の審査を経て最終案が首相に提出・承認され次第、2025年中にも新ルールが施行される見通しです。 政府および関係機関も、この政策変更について明確な見解を示しています。国会では「小口だからといって免税するのは不公正であり、越境ECを利用した事実上の脱税を許すべきではない」との声が上がっていました​。 実際、国内販売される商品には一律10%のVATが課税されますが、これまで海外ECからの直送品だけが免税されていたため、国内業者にとって競争上のハンデとなっていた面があります。財務省も「小口輸入品の免税は国内製造業や通常の輸入品との競争条件を歪め、不公平を生んでいる」と指摘し、現行制度をこのまま放置すれば「輸入EC商品への逆保護(逆差別)」につながりかねないとの懸念を表明しました​。また、免税によって品質検査が省かれることで、低品質・模造品が無検査で大量流入するリスクも問題視されています​。こうした理由から、政府としては免税措置の見直しは避けられないとの判断に至ったわけです。 国際的に見ても、越境ECに係る課税の強化は一つの流れです。例えばタイでは2024年5月1日から、輸入額にかかわらず全ての輸入商品にVATを課す制度を導入しました​。。欧州連合(EU)も既に2021年に22ユーロ以下のVAT免税枠を撤廃し、少額でも確実にVATを徴収する仕組みに移行しています(関税については150ユーロ以下無税の枠が残っています)。 ベトナム財務省は、こうした近隣諸国や世界の動向も踏まえつつ、自国の電子商取引市場に適した制度設計を進めていると述べています​。 日系企業への影響とまとめ 日本の越境EC事業者および日系企業にとっても、ベトナム市場戦略の見直しが必要になるでしょう。ベトナムの消費者向けに少額の商品を直送販売している場合、今後は顧客が税負担を負うことになるため、価格設定やマーケティングに配慮が求められます。 例えば「送料無料・消費税込み」のような形で、税負担込みの総額表示や事前徴収を行うなど、購入者に分かりやすい対応が重要です。 また、年間4回までの免税枠という制限から、リピーター顧客が頻繁に小口購入する業態では、まとめ買い割引や現地在庫の活用といった配送回数を減らす工夫も検討すべきでしょう。逆に高額商品の場合はもともと課税対象であったため、大きな影響はありませんが、通関手続きが厳格化されることで配送リードタイムが伸びる可能性には注意が必要です。 総じて、ベトナム政府の今回の措置は、越境EC市場の健全化と税収確保、国内産業保護を目的としたバランス策と言えます​。免税の恩恵が縮小することで一時的な取引減少も予想されますが、長期的には透明で公正な競争環境の整備に寄与するでしょう​。ベトナムの越境EC市場は東南アジアでトップクラスの成長率(年15〜20%)を示しており、市場規模は2024年時点で250億ドルを超えるとされています​。 日本企業にとっても依然として魅力的な市場であることに変わりはなく、今回の制度変更を正しく理解し適応することが、今後のビジネスチャンスを活かす鍵となるでしょう。

【ベトナム】交通ルールの新規制に関する政令168/2024/ND-CPの解説

コラム
2025.02.11
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【ベトナム】交通ルールの新規制に関する政令168/2024/ND-CPの解説

2024年12月26日に発行され、2025年1月1日から施行される政令第168/2024/ND-CP(以下「政令168」という)は、ベトナムにおける道路交通分野の秩序と安全を規定した新たな行政処分規制です。 この政令は、新たに違反者への点数減算および免許点数回復の仕組みを導入し、より厳格な処罰を実施します。以下に主要な内容を解説します。 自動車運転者についての規定は以下のとおりです。 1. 自動車運転者に関する規定 No. 違反行為 罰金額 政令100、123[1] 政令168 1 信号無視 400万~600万ドン 1,800万~2,000万ドン 2 一方通行の道路を逆走する、「逆走禁止」の標識のある道路を逆走する。 400万~600万ドン 1,800万~2,000万ドン 3 路地や枝道から幹線道路に向かうときは、速度を落とし(または一時停止)、道を譲らない。 交差点では、優先道路や幹線道路をどの方向からでも走行する車両に道を譲らない。 80万ドン~100万ドン 400万~600万ドン 4 横断歩道のある場所で歩行者や車椅子に道を譲らない。 30万 – 40万VND 400万~600万ドン 5 ドアを開けて、又は開けっ放しにして事故を起こす。 40万~60万VND 2000万~2200万ドン 6 規制に従って固定されていない輸送手段である物品、機械、技術機器、円筒状の物品の輸送。 60万 – 800千VND 1,800万~2,200万ドン 7 交通管制官の指示に従わない。 400万~600万ドン 1,800万~2,000万ドン 8 公務を遂行する職員に対する検査および管理の要求を妨害または遵守しない。 400万~600万ドン 3,500万~3,700万ドン 9 蛇行運転、速度超過、競争運転、足でハンドルを操作する。 1000万~1200万ドン 4,000万~5,000万ドン 10 血中または呼気中のアルコール濃度が以下の基準を超えている状態で車両を運転する: 血中アルコール濃度: 50 ミリグラム以上から 80 ミリグラム/100ミリリットル 呼気中アルコール濃度: 0.25 ミリグラム以上から 0.4 ミリグラム/リットル 1,600万~1,800万ドン 1,800万~2,000万ドン 11 所定の制限速度を35km/h以上超えて車両を運転する。 1000万~1200万ドン 1,200万~1,400万ドン 12 ナンバープレートが不鮮明な自動車を運転する。 ナンバープレートを偽造または変造した自動車を運転する。  登録されていないナンバープレートを装着した自動車を運転する。 400万~600万ドン 2000万~2600万ドン 13 道路を走行する車両を運転する際に、電話やその他の電子機器を保持したり使用したりする。 200万~300万ドン 400万~600万ドン 14 高速道路において四輪電動乗用車[2]又は四輪電動貨物自動車[3]を運行する。 1,200万~1,400万ドン 15 高速道路上で間違った場所に停止または駐車する。 1000万~1200万ドン 1,200万~1,400万ドン 16 高速道路を逆走する。 1,600万~1,800万ドン 3,000万~4,000万ドン 17 高速道路で後退する。 1,600万~1,800万ドン 3,000万~4,000万ドン 18 高速道路でUターンする。 1000万~1200万ドン 3,000万~4,000万ドン 特筆すべきは、運転中の携帯電話使用、ドアを開け放しにして事故を起こす、蛇行運転、速度超過、競争運転、足でハンドルを操作する等に対する罰則の強化であり、交通事故を未然に防ぐための厳格な取り組みが反映されています。   オートバイの運転者についての規定は以下のとおりです。 2. オートバイ運転者に関する規定 No. 違反行為 罰金額 政令100、123 政令168 1 信号無視 80万ドン~100万ドン 400万~600万ドン 2 血中または呼気中のアルコール濃度が以下の基準を超えている状態で車両を運転する: 血中アルコール濃度: 50 ミリグラム以上から 80 ミリグラム/100ミリリットル 呼気中アルコール濃度: 0.25 ミリグラム以上から 0.4 ミリグラム/リットル 400万~500万ドン 600万~800万ドン 3 血中または呼気中のアルコール濃度が以下の基準を超えている状態で車両を運転する: 血中アルコール濃度: 80 ミリグラム以上/100ミリリットル 呼気中アルコール濃度: 0.4 ミリグラム以上/リットル 600万~800万ドン 800万~1,000万ドン 4 所定の制限速度を20km/h以上超えてバイクを運転する。 400万~500万ドン 600万~800万ドン 5 バイクを高速道路に運転する 200~300万ドン 400万~600万ドン 6 一方通行の反対方向に進む 100万~200万ドン 400万~600万ドン 7 蛇行運転 600万~800万ドン 800万~1,000万ドン 8 交通事故を起こした場合、直ちに止めずに、現場を維持しない、被害者を救護しない等 600万~800万ドン 800万~1,000万ドン 9 歩道でバイクを運転する 40万~60万ドン 400万~600万ドン アルコール基準値違反、赤信号無視、蛇行運転等に対する厳しい罰則は、飲酒運転撲滅への明確な意志を示しています。   歩行者も以下の交通ルールを遵守する必要があります。 横断歩道の使用 横断歩道は横断歩道線によって区切られています。横断歩道線とは、平行に引かれた白い実線(イメージ1)、または 横断歩道を判別する2 本の長い白い実線(イメージ2)のことです。 イメージ1     イメージ2   指定された区域外での道路横断の禁止 信号、道路線、歩道橋、歩行者用トンネルがある場所でのみ道路を横断することができます。中央分離帯を越えてはいけません[4]。 歩道の使用義務 歩行者は、歩道または歩行者専用の道のみを歩くことができます。歩道、路肩、または歩行者専用の道がない場合は、道路の右側端を歩く必要があります。 歩行者専用の道をはみ出て歩いたり、中央分離帯を越えたり、指定された横断歩道以外を横断したり、手信号なしで道路を横断した場合、15万から25万ドンの罰金が科せられます[5]。 新たに導入された点数減算および回復制度は、交通ルールの順守を促進する仕組みです。 制度 内容 点数減算 運転免許証の点数は、12点で構成されています。違反ごとに特定の点数が減算され、点数がゼロになると免許が一時停止または取消される[6]。 免許点数回復 免許の点数がゼロになってから少なくとも6か月後、警察官によって実施される道路交通法に関する知識の試験を受けることができます。試験に合格すれば、12点が回復されます[7]。 12ヶ月間違反がなければ、または点数がゼロにならなければ、点数が回復されます[8]。   (1)「非名義車両使用」違反の罰則追加 車の売買などで所有者が変わった際に、登録名義を変更しなかった場合に罰則が科されます。 (2)ヘッドライト点灯義務の時間変更 以下の時間帯・条件でのヘッドライト点灯が義務化されました。 18:00~翌06:00の間 霧、煙、ほこり、雨、悪天候で視界が悪い場合 (3)「3人乗り」の禁止と例外 緊急搬送、公務、12歳未満の子どもを同乗させる場合、高齢者や障がい者を介助する場合以外でのバイク・原付の「3人乗り」は違反行為となります。 (4)告発制度 今年初めから施行された新しい政令により[9]、交通違反を告発した場合、違反行為に対する行政罰金の最大10%、上限500万ドンが報奨金として支払われることがあります。具体的な支払方法については、関係機関が今後詳細を定める予定です。   [1] 政令100/2019/NĐ-CP、政令123/2021/NĐ-CP [2] 四輪電動乗用車のイメージ画像:リンク [3] 四輪電動貨物自動車のイメージ画像:リンク [4] 道路交通秩序安全法36/2024/QH15第30.1条 [5] 政令168第10.1条 [6] 道路交通秩序安全法36/2024/QH15第58.1条 [7] 道路交通秩序安全法36/2024/QH15第58.3条 [8] 道路交通秩序安全法36/2024/QH15第58.2条 [9] 政令176/2024/NĐ-CP第5.11条

ベトナム投資に関連する最新ニュース・法務アップデート(2025年2月7日)

コラム
2025.02.07
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ベトナム投資に関連する最新ニュース・法務アップデート(2025年2月7日)

今後、日系企業にも関わる可能性の高いベトナムの経済ニュースや法務アップデートをメーリングリスト・コラムで行っていきたいと思います。有料会員(顧問企業)向けの内容とを分けていく可能性もありますが、内容が固まっていくまでは全体を公開していきたいと思います。 ニュースレターの登録はこちらからお願いします。 2025年1月のベトナム経済は回復基調を示しました。 消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.63%とインフレは管理された水準にあり、国家財政も安定しています。輸出入は月間630億ドル超に達し、約30億ドルの貿易黒字を記録しました。 特に外国直接投資(FDI)の動向が顕著で、新規認可額は約43億ドルと前年同期比+48.6%の大幅増となり、実行額も15億ドル超(+2%)に達しています 。工業生産指数や小売売上高も前年を上回り、国内需要の持ち直しが見られます。 インフレ抑制下でマクロ経済の安定が維持され、FDI流入が力強く増加していることは、ベトナムの投資環境が改善傾向にあることを示しており、日系企業にとっても追い風となるでしょう。 関連ニュース: Positive economic indicators recorded in early 2025: Gov’t spokesperson|VNS ベトナム政府は2030年までの電力計画を見直す草案を発表し、ガス火力と洋上風力発電の導入目標を大幅に引き下げました 。 新たな草案によれば、当初2030年までに6GW設置予定だった洋上風力は今後10年間ゼロに先送りされ、液化天然ガス(LNG)火力も国内ガス供給不足などを理由に計画容量を減らす方針です。その穴埋めとして、2030年までに石炭火力を当初計画の30.1GWから31GW以上に増強し、水力や太陽光・陸上風力など他の再生可能エネルギーで電力需要に対応します。 さらに2035年までに原子力発電を再導入し、2050年までに約5GWを目指す計画も盛り込まれました。 電力不足への危機感から安全保障を優先した形で、短期的には石炭など従来型電源への依存が高まります。一方で太陽光や陸上風力には拡大余地があり、洋上風力・LNG分野の投資には計画調整の影響が懸念されます。エネルギー需要が急伸する中、この方針転換はエネルギー関連の日系企業にとって戦略見直しが必要になる重要ニュースです。 関連ニュース: Vietnam cuts gas, offshore wind targets in new power plan, draft document shows | Reuters 国家銀行(SBV=中央銀行)のダオ・ミン・トゥ副総裁は、インフレが抑制され好条件が整えば、2025年の銀行与信(クレジット)成長率が政府目標の16%を上回る可能性に言及しました 。SBVは2025年のGDP成長率目標8%に合わせ、信用成長目標を16%程度に設定しています。 この達成に向け、中央銀行は柔軟な金融政策を維持しつつ、物価安定と為替レートの安定を図る方針です。また市中銀行に対してはコスト削減やIT活用による金利引き下げ努力を求めています。必要に応じ為替市場への介入も辞さない姿勢で、通貨安定と流動性確保に努める方針です 。 投資家にとっては、緩和的で安定した金融環境が継続する見通しを意味し、資金調達面での追い風となります。ただし信用供給拡大はインフレ管理との両立が前提となるため、今後の物価動向にも注意が必要です。 関連ニュース: Vietnam’s 2025 credit growth may exceed 16% target: central bank 以前から報道されてきたとおり、ベトナム政府は企業支援と景気下支えのため、2020年以降続けてきた一連の税・料金減免措置を2025年も延長・強化する方針です 。 具体的には、付加価値税(VAT)の税率2%引き下げ措置(標準税率10%を8%へ)を2025年1月1日から6月30日まで継続するなど、税金・手数料の減免・納税猶予策が講じられます)。2020~2024年に実施されたVAT2%減税は国内消費を刺激し、コロナ後の経済回復に寄与したと評価されています 。 他にもオンライン行政サービス利用促進のため手数料を一部5~50%減額する措置も継続されます。これら減税策は国家予算に負担となる一方で、企業の資金繰りを改善し消費を喚起する効果があります。日系企業にとっては当面の税コストが軽減される利点があり、市場の需要喚起策にもなるため、事業計画において好材料と言えます。 関連ニュース: Tax relief programmes crucial to boost economic growth | Vietnam+ (VietnamPlus) 2025年1月1日から2025年6月30日までのVAT減税の継続について(10%→8%) 人材サービス大手TopCVの報告によれば、2025年のベトナム労働市場はIT・デジタルやグリーン分野を中心に大幅な人材需要増が見込まれています 。ソフトウェア開発者、データアナリスト、サイバーセキュリティ技術者などのIT人材や、製造業における自動化エンジニア、サプライチェーン管理者といった高度技能職の求人が増加すると予測されています。 また、再生可能エネルギーやグリーン経済分野でも環境エンジニアやクリーンエネルギー開発者などの需要拡大が期待されています。一方で、専門技能を持たない労働者はAIや自動化の進展により職を失うリスクも指摘されており、労働省当局者は労働者のスキル向上と職種転換支援の重要性を強調しています 。 外国企業にとって、ベトナムの若く豊富な労働力は引き続き魅力ですが、特にハイテク分野では人材獲得競争が激しくなる可能性があります。ITエンジニアマーケットは近時の世界情勢やAI普及により2極化しているともいえますが、高度人材の獲得競争は引き続き残りそうです。現地での研修制度導入や待遇改善など、人材確保策が投資成功のカギとなるでしょう。 関連ニュース: Job market to surge in 2025, technology and sustainability leading the way 2024年11月27日、第15期国会は2024年法第57号(57/2024/QH15)を可決し、計画法・投資法・PPP法(官民連携投資法)・入札法の改正を行いました 。この改正法は2025年1月15日に発効(一部条項は同年7月1日発効)し、投資手続きや事業分野の規制緩和を図る内容となっています。 主な変更点として、投資法における事業分野の規制リストが見直され、「無人航空機ビジネス」「データ仲介サービス」等が新たに条件付許可業種に追加される一方、「電気コンサルタント」「防火防災サービス」は許可業種から除外されました。 また港湾・桟橋や歴史遺産保護地区での投資案件、工業団地・輸出加工区の開発案件に関する事業認可権限が分権化され、これまで中央政府承認が必要だった案件の一部を各省・市の人民委員会が承認できるようになります。 さらに、高度技術産業の誘致を促すため「特定投資手続」が新設され、工業団地・ハイテクパーク等における半導体や先端技術の研究開発拠点など一定のプロジェクトについては、投資政策決定や技術評価、建設・環境・防火許可など複数の承認手続きを省略し、申請後15日以内に投資登録証明書(IRC)が発給される迅速なワンストップ手続きが導入されます。 PPP法の改正では、従来禁止されていた建設移管(BT)方式の契約が再度可能となり、PPP事業に対する政府資金拠出上限も総事業費の50%から最大70%に引き上げられました 。 これらの法改正により投資手続の簡素化・迅速化とハイテク・インフラ分野への投資促進が図られており、日系企業にとってもプロジェクト実現までの時間短縮や新たな事業機会拡大につながると期待されます。 2024年1月18日にベトナム国会で可決された新「土地法」(2024年土地法)および前年11月に可決された新「住宅法」(2023年住宅法)・新「不動産事業法」(2023年不動産業法)が、施行されています。こちらはもともと2025年1月1日施行予定でしたが、それぞれ一部規定を除き2024年8月から施行されています。 これら不動産関連法の刷新により、外国資本のプロジェクトに関わる土地利用ルールが大きく変わっています。 まず新土地法では「外国投資経済組織(FIE)」の定義が見直され、外資が一定比率未満の企業(=投資法上の外資手続きを要しない企業)は純粋な国内企業とみなされ、土地利用権においても内資企業と同等の扱いを受けられるようになりました。 また、外国資本企業(FIE)が工業団地・経済特区・ハイテク区内の土地利用権を譲渡により取得することや、国家から土地割当を受けた内資デベロッパーの不動産プロジェクトをM&Aで引き継ぐことが明確に認められています。これにより、従来グレーだった土地付き案件の外資による買収が容易になり、工業用地取得や不動産開発における参入ハードルが下がる見通しです。 さらに、国による画一的な「公定地価枠(ランドプライスバンド)」制度が廃止され、市場実勢に即した価格評価を行うために各省が設定する「地価テーブル」の仕組みへと移行します 。これにより用地取得コストの透明性向上や適正化が期待されます。一方で、国有地の賃貸料の一括前払いに関する規定も見直され、従来は事業者が選択できた一括払い方式は限定的な場合を除き認められなくなりました(年払いの場合でも新たに「契約上の賃借権」を認めるなど、年払い企業の権利強化策も導入)。 この変更は、一括払いによる長期土地使用権を担保に資金調達を図るスキームに影響を与える可能性があります。 総じて、新土地法と関連法の施行は土地取引の透明性・効率性を高め、外国企業によるプロジェクト取得を円滑にすると期待されます。一方で賃貸料制度の変更など資金計画面での調整も必要となるため、日系企業は新ルールを踏まえた戦略策定が求められます。 関連コラム: 【ベトナム】2024年土地法の重要な改正点(2024年8月1日施行) 【ベトナム】新住宅法及び新不動産事業法の重要な改正点(2024年8月1日施行) ベトナム政府は先端産業への大型投資を呼び込むため、2024年12月31日付で政令第182号/2024/NĐ-CP「投資支援基金の設立・管理・運用に関する政令」を発出しました。これにより国家予算を原資とする「投資支援基金」が創設され、ハイテク産業分野のプロジェクトを対象に大規模な資金支援を行う枠組みが整いました。 支援は主に2種類あり、①年間経費補助(年次補助)と②初期投資補助に大別されます。年間補助はハイテク産業や研究開発(R&D)プロジェクトを対象に研修・人材育成費、研究開発費、新規設備投資、ハイテク製品の製造費、社会インフラ整備費など幅広い費用を毎年補助するものです。初期投資補助は特に半導体や人工知能(AI)のR&Dセンターを設立する企業に向けたもので、該当プロジェクトには初期投資額の最大50%相当が一括補助されます 。 この基金は2024会計年度から運用開始され、補助申請は毎年度終了後翌年7月10日までに行うスケジュールが示されています。グローバル最低法人税(GloBEルール)が2024年から導入され各国の税優遇競争が制約される中、ベトナム政府は税制以外の直接支援策で競争力を確保する戦略といえます 。 実際、同政令による画期的な補助スキームは「ベトナムをアジアのAI研究開発ハブにする」(チー・ズン計画投資相)との国家ビジョンを支えるものです。日系企業にとっても、半導体・AI等の先端分野でベトナム進出・拡張を検討する際に、この新設基金による大規模インセンティブが追い風となり得ます。補助金活用に際しては要件の精査や現地当局との調整が必要ですが、今後数年間の投資戦略に影響を与える重要な法制度アップデートと言えるでしょう。 その他、近時下記のような最新法務関連のアップデートもしていますので、ご興味があればご覧ください。 ベトナム決定01/2025/QĐ-TTg:小口輸入免税の廃止と新たな課税ルール ベトナム国内における旅客運輸(タクシーなど)についての最新Decree158号について(2025年1月1日施行) ベトナムにおけるeコマースとデジタルプラットフォームの税務改革 SNSの利用等に関する新しい政令147/2024/NĐ-CPについて(2024年12月25日施行) ベトナムにおける銀行での顔認証・生体認証について(2025年1月1日発効)

ベトナム社会保険の年金制度:外国人労働者の受給条件と一時給付金

コラム
2025.02.04
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ベトナム社会保険の年金制度:外国人労働者の受給条件と一時給付金

ベトナムで強制加入の社会保険に加入している外国人労働者は、外国人であっても退職時に、年金を受給することが可能です。 年金の受給条件は簡潔にいうと、少なくとも20年間社会保険料を支払い、規定の年齢(定年)に達していることが必要です。現行の法律で定められている具体的な受給条件は以下の第1項にまとめてあるとおりです。 また社会保険を納付している場合、年金は受給できなくても、一時金を受給することができる場合もあります。そちらについては第2項に簡単にまとめます。 年金を受給するためには、退職時点において以下の条件を充たしていることが必要になります(政令143/2018/NĐ-CP第9条1項参照)。 ベトナム当局により発給される労働許可証もしくは実務証明書、実務公認書を有していること。 ベトナム法人との間で、無期限労働契約または12ヶ月以上有期限労働契約に基づいて雇用されていたこと。 労働法上の定年に達していること。 定年については、職種により異なりますが、ほとんどすべての日本人は通常の労働条件下のもと、定年が決定されるので、本稿ではその場合のみ記載します(労働法第169条2項、政令135/2020/NĐ-CP第7条1項、政令143/2018/NĐ-CP第9条1項) 男性 女性 退職年 退職年齢 退職年 退職年齢 2024 61歳 2024 56歳4か月 2025 61歳3か月 2025 56歳8か月 2026 61歳6か月 2026 57歳 2027 61歳9か月 2027 57歳4か月 2028から 62歳 2028 57歳8か月 2029 58歳 2030 58歳 4 か月 2031 58歳 8 か月 2032 59歳 2033 59歳 4 か月 2034 59歳 8 か月 2035年から 60 歳   20年以上社会保険料を支払っていること(政令143/2018/NĐ-CP第9条1項。※注 2019年労働法改正によって改正された後のもの)。 年金の受給条件を満たさない場合でも、ベトナムで社会保険に加入している外国人労働者は、以下のいずれかのケースに該当する場合、社会保険一時金を受給することができます(政令143/2018/NĐ-CP第9条6項)。 ①定年には達しているが、年金を受給するための社会保険料納付期間に満たない。 ②年金を受給するための社会保険料納付期間に満たないが、がん、小児麻痺、AIDSなどの生命に関わる重大な疾病にかかっている。 ③年金を受給するためすべての要件を満たしているが、ベトナムに引き続き居住しないため、一時給付金受給を希望する。 ④年金を受給するための社会保険料納付期間に満たないが、労働契約・労働許可証・実務証明書・実務公認書が満了しており、一時給付金の受給を希望する。

ベトナムにおけるアルコール卸売・小売についての規制概要

コラム
2025.01.21
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ベトナムにおけるアルコール卸売・小売についての規制概要

本コラムでは、アルコール販売に関する政令105/2017/ND-CPとそえを修正する17/2020/ND-CPで規定された遵守事項を中心に、ベトナムにおけるアルコールの卸売業・小売業に求められる一般的な規制について解説します。 ベトナムでは外資による流通ビジネス(卸売・小売)は、法律上は可能とされています。ただし、「条件付きビジネス(conditional business)」として扱われるため、追加の許認可取得や規制遵守が必要です。アルコールはその中でもとくに管理が厳しい商材に該当します。 アルコールの卸売業者および小売業者は、以下の条件を満たさなければなりません。 卸売業者および小売業者は、それぞれの事業活動に応じたビジネスライセンスを取得する必要があります。 卸売業者は「アルコール卸売ライセンス」を取得。 小売業者は「アルコール小売ライセンス」を取得。 ライセンスは地方の商工局(Sở Công Thương)または規模に応じて中央省庁によって発行されます。 アルコール度数により販売規制が異なります。 アルコール度数5.5%以上は、特に厳格な規制対象。 アルコール度数5.5%未満も条件付きで規制。 アルコールの広告は禁止または制限されている場合が多く、特に未成年者を対象とする広告は禁止。 プロモーション活動(イベントや割引)においては、特定の許可が必要。   卸売業者は、以下の条件を満たす必要があります。 卸売業者は、販売地域をカバーする適切な流通ネットワークを構築する必要があります。 流通網は少なくとも2つ以上の省・都市をカバーし、各エリアに少なくとも1つの販売拠点を持つ必要があります。 卸売業者は、製造業者または他の卸売業者と有効な供給契約を締結する必要があります。 輸入アルコールを取り扱う場合、輸入許可と製造元の輸出許可が必要です。 保管施設および輸送手段は、アルコールの品質を維持するための基準(温度管理、衛生条件など)を満たす必要があります。 卸売業者は、小売業者または最終消費者に販売する際、適切な記録を保持し、規制対象外の販売が行われないよう管理します。 小売業者は以下の要件を満たす必要があります。 小売業者のライセンスは特定の地域に限定され、他地域での販売には新たなライセンス取得が必要です。 未成年者(18歳未満)への販売は禁止。 販売時間および販売場所の規制がある場合は、それに従う必要があります。 アルコールを販売する店舗は、適切な衛生基準を満たし、必要な保管設備(冷蔵庫など)を備えている必要があります。 売上記録および仕入れ記録を適切に管理し、必要に応じて監査に対応できる体制を整備する必要があります。 卸売業者および小売業者共通で以下の項目を遵守する必要があります。 取得したライセンスを店舗や事務所に掲示すること。 アルコール販売に関する税務申告および納税を正確に行う必要があります。 輸入アルコールは、ベトナムの基準に適合し、適切な検査を受けている必要があります。 すべての販売取引に関して、出所や販売先を特定できる記録を保持すること。 105/2017/ND-CPおよび17/2020/ND-CPでは、以下のような違反時の罰則が定められています。 ライセンスなしでの販売: 高額な罰金および営業停止。 未成年者への販売: 営業停止や追加の罰金。 広告規制の違反: 宣伝活動の差し止めおよび罰金。 アルコールの卸売・小売事業を運営する際は、これらの規制を厳格に遵守する必要があります。ライセンス取得および維持の要件を正確に理解し、適切な流通管理を行うことで、法令違反のリスクを最小限に抑えることが可能です。 実務上は外資系がアルコール販売系のライセンスを取得する場合、難易度が高いといわれ、多くの時間がかかるケースも見られます。ある程度時間の余裕をみたうえで、取得を試みることを推奨します。

ベトナム決定01/2025/QĐ-TTg:小口輸入免税の廃止と新たな課税ルール

コラム
2025.01.07
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ベトナム決定01/2025/QĐ-TTg:小口輸入免税の廃止と新たな課税ルール

2025年1月3日付でベトナム政府首相が発出した決定01/2025/QĐ-TTg(以下、「本決定」といいます)について、その概要と背景、具体的な内容、および今後予想される影響を解説します。施行は2025年2月18日とされています。なお、2月18日時点で、財務省は免除規定を折り込んだ新たな政令案も提案しています。 まだ署名されたばかりの決定であり、具体的な実務対応などには注視が必要です。 1. 背景と本決定の位置づけ 本決定(Quyết định 01/2025/QĐ-TTg)は、ベトナム首相によって2025年1月3日に署名され、同年2月18日から施行されるものです。最大の特徴は、決定 78/2010/QĐ-TTg(2010年決定第78号)の全面的な廃止を宣言する点にあります。 従前の決定第78号では、国際宅配便(クーリエサービス)による輸入貨物について「価値が1,000,000ドン(約5,000~6,000円相当)以下のもの」には輸入関税や付加価値税(GTGT)の免税を適用する旨が定められていました。しかし、本決定の施行によって、従来の免税制度はすべて廃止され、すべての輸入貨物は価値の多寡にかかわらず関税や付加価値税(GTGT)の課税対象となります。 2. 廃止の理由と背景 (1) 貿易実務の変化 近年、ベトナムを含む世界各国でEコマース(電子商取引)が急速に拡大し、小口輸入(小額取引)の件数が飛躍的に増加しています。1回あたりの貨物価値は小さくとも、取引総量としては大きな規模に達しているのが現状です。 従来の少額貨物免税制度は、ベトナムの税収確保や公平な課税の観点からも問題が指摘されるようになり、本決定はこうした課題に対応するために策定されました。 (2) 公平な競争環境の確保 免税の対象となる小額貨物が多いほど、国内生産品との差異が大きくなり、国内市場における競争に影響を及ぼしかねません。ベトナム国内の事業者は製造時や流通時に付加価値税を負担している一方、輸入小口貨物には免税が適用されていたため、不公平感が生じていました。今回の本決定は、この不均衡を是正し、国内企業を含むすべての事業主体に対して公平なビジネス環境を整備することを目的としています。 3. 本決定の主な内容 (1) Quyết định 78/2010/QĐ-TTgの全面廃止 2025年2月18日以降、宅配便を通じて輸入される商品価値のいかんにかかわらず、関税および付加価値税(GTGT)の納税義務が生じます。 以前存在した1,000,000ドン以下の免税枠は廃止され、同一制度は存在しなくなります。 (2) 他の関連法令との整合性 本決定は、2024年11月30日にベトナム国会が可決した「Nghị quyết 174/2024/QH15(2024年決議第174号)」の方針と連動し、少額輸入品に対する付加価値税免除を終了させるものです。 また、輸出入関税法(2016年4月6日制定)や関連政令(Nghị định 134/2016/NĐ-CP、18/2021/NĐ-CP)など、既存の法令枠組みに則って運用されます。 174/2024/QH15(2024年決議第174号)第8項該当箇所() 8. Tiếp tục giảm 2% thuế suất thuế giá trị gia tăng đối với các nhóm hàng hóa, dịch vụ quy định tại điểm a mục 1.1 khoản 1 Điều 3 của Nghị quyết số 43/2022/QH15 của Quốc hội về chính sách tài khóa, tiền tệ hỗ trợ Chương trình phục hồi và phát triển kinh tế – xã hội trong thời gian từ ngày 01 tháng 01 năm 2025 đến hết ngày 30 tháng 6 năm 2025. Giao Chính phủ tổ chức thực hiện, chịu trách nhiệm bảo đảm nhiệm vụ thu và khả năng cân đối ngân sách nhà nước năm 2025 đã được Quốc hội quyết định; chấm dứt ngay hiệu lực của quy định miễn thuế giá trị gia tăng trong Quyết định số 78/2010/QĐ-TTg của Thủ tướng Chính phủ, làm cơ sở cho cơ quan quản lý thuế có căn cứ pháp lý và chế tài quản lý thu đối với các sàn thương mại điện tử nước ngoài bán hàng hóa vào Việt Nam. 8. 2025年1月1日から2025年6月30日までの期間において、国会の決議第43/2022/QH15(社会経済の回復・発展支援を目的とした財政・金融政策)第3条第1項1.1目a号に規定される商品およびサービスのグループに対し、引き続き付加価値税率を2%引き下げるものとする。政府はこれを組織的に実行し、国会が決定した2025年の歳入確保および国家予算の均衡を担保する責任を負う。あわせて、首相の決定第78/2010/QĐ-TTgに定める付加価値税免税に関する規定の効力を直ちに終了させ、ベトナム国内に商品を販売する海外の電子商取引プラットフォームに対して、税務当局が徴税管理を行うための法的根拠および手段を確立する基礎とする。 (3) 適用開始日 2025年2月18日から本決定が施行されるため、同日以降の輸入通関手続きにおいては、免税制度の適用は受けられないという規定関係になっています。具体的に実務がどうなるかは施行してみないとわからない部分もありますが、大きく変わる可能性もあるため注意が必要です。 4. 予想される影響と留意点 (1) 企業への影響 •宅配便・国際輸送業者 国際輸送や宅配サービス事業者は、従来の免税手続が廃止されることで、顧客への課税手続きや通関費用の案内・負担方法などを明確化する必要があります。 •輸入ビジネスに関わる企業 小口輸入を多数取り扱っていた企業は、コスト計算や価格設定の見直しが不可欠です。特にオンライン販売などでは、小額商品でも最終価格が上昇する可能性があるため、販売戦略の再検討が求められます。 (2) 消費者への影響 •少額輸入品の価格上昇 1,000,000ドン以下の小額輸入品についても、輸入関税や付加価値税(GTGT)が課されるため、購入時の支払総額が増加する可能性があります。 •商品の入手性 取引手続きの煩雑化やコストアップが生じることから、小口輸入業者やECサイトにおける取り扱い商品が減少したり、配送料金が上がるといった影響も想定されます。 (3) 実務・法的手続き上の対応 •通関手続の変更 新制度に合わせて、輸入申告書の内容や課税計算方法が従来とは異なる場合があります。 •税務負担と契約条件の見直し 輸入関連の契約(取引条件、価格設定、保険・運送など)について、免税措置が前提になっていたケースでは再調整が必要です。 5. まとめ 本決定「Quyết định 01/2025/QĐ-TTg」は、ベトナムにおける小口輸入商品への免税制度を全面的に廃止し、公平な競争環境を整えつつ、税制面での透明性を高めるための重要な一手です。近年のEコマース発展や国際物流の増加に伴い、少額の商品であっても課税対象とし、国内外企業の競争条件を揃える意義があります。 一方、実務上は小口輸入のコスト上昇や通関手続きの見直しが避けられず、宅配便事業者やオンライン販売事業者、一般消費者にも影響が及ぶでしょう。ベトナムでの貿易・物流活動を行う企業や個人は、2025年2月18日以降の制度変更に備え、最新の法令情報を入手し、税負担や手続面の見直しを進めることが求められます。 以下、続報↓ 【ニュース】ベトナムへの小口輸入品についての免税範囲の見直し(財務省提案の段階)

ホーチミン市メトロ1号線開業!新設17路線の電気バスの解説。

コラム
2024.12.30
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ホーチミン市メトロ1号線開業!新設17路線の電気バスの解説。

ホーチミン市で待望のメトロ1号線が2024年12月22日に開業し、それに合わせて17の電気バス路線(153~169番)が同日より一斉に運行を開始しました。実際に乗車してみましたが、車内はエアコン完備で快適。しかも運行間隔が比較的短く(153番で10~15分おき)活用しやすい印象です。メトロに合わせて開業1ヶ月間は無料となっています。 1. 環境に優しい電気バス 電気バスは排気ガスが出ないため、よりクリーンな移動手段です。車体には無料Wi-Fiやキャッシュレス決済システムが搭載され、快適性や利便性にも優れています。車体デザインにはホーチミン市トゥードゥック区のシンボルである「ひまわり」のモチーフが描かれており、街中でも見つけやすいです。定員はやや小型で30名程度です。 現状は無料期間ということもあり、人気方面は満席でした。   2. 運行時間と料金 毎日午前5時から午後10時まで運行され、料金は大人6,000VND、学生3,000VND(2024年12月時点)。 ただし開業から1ヶ月間は無料で乗車できるので、この期間にぜひ試してみてください。 料金を払う場合は、前から乗車して乗務員に支払い(電子決済可能)、降車時は真ん中のドアから降ります。 降車時は事前に降車ボタンを押さないと止まってくれないので注意(日本の路線バスと同様の仕組み)。 3. おすすめ路線:153番(タオディエン周辺) 日本人が多く居住するタオディエン地区を通る153番は特に便利です。ビンアン水上バス駅からリエンフオン通り、アンフー駅を結ぶルートで、タオディエン内をぐるっと回ります。ショッピングモール「ビンコムメガモール」周辺やエステラ近辺を通るため、観光や買い物にも活用しやすいでしょう。 4. その他の路線 1.路線153:ビンアン水上バス駅 ~ リエンフオン通り ~ アンフー駅(タオディエンぐるっと回る+ビンコムメガモールの駅+エステラ側までいくバス) 2.路線154:タインミーロイ住宅地 ~ ラックチエック駅 3.路線155:サイゴンバスターミナル ~ 市民劇場 ~ ベンタイン駅 ~ バソン駅 4.路線156:サイゴンバスターミナル ~ ホアフン鉄道駅 ~ ベンタイン駅 5.路線157:バンタンバスターミナル ~ ドゥックカイアパート ~ タオディエン駅 6.路線158:バンタンバスターミナル ~ タインダ住宅地 ~ タンカン駅 7.路線159:ゴータットトーアパート ~ ハンサン交差点 ~ バンタン駅 8.路線160:バンタン駅 ~ ビンホームズ・セントラルパーク 9.路線161:バンタンバスターミナル ~ ガーバスターミナル ~ タンカン駅 10.路線162:マントゥエンアパート ~ ビンタン区 ~ トゥードゥック区 ~ トゥードゥック駅 11.路線163:トゥードゥック区の住宅地 ~ ハノイ高速道路 ~ スオイティエン駅 12.路線164:ビンタン区の工業団地 ~ 国道13号線 ~ バンタン駅 13.路線165:タオディエン地区 ~ サイゴン橋 ~ ベンタイン駅 14.路線166:フーミーフン新都市区 ~ グエンフーカン通り ~ バソン駅 15.路線167:タンビン区 ~ ホアフン鉄道駅 ~ ベンタイン駅 16.路線168:ビンタイン区の大学キャンパス ~ ディエンビエンフー通り ~ 市民劇場駅 17.路線169:トゥードゥック市ハイテクパーク ~ ハノイ高速道路 ~ スオイティエン駅 また、ルートについて片仮名だと調べづらそうなので英語表記も下記しておきます。わかりやすいルートマップなど見当たらなかったので、Go!Busから停留所とバスのルートを検索するのが一番早そうです。 1.Route 153: Connects Binh An Waterbus Station and Lien Phuong Street with An Phu Metro Station. 2.Route 154: Links Thanh My Loi Residential Area and Rach Chiec Station. 3.Route 155: Runs from Saigon Bus Station to the Municipal Theater, with access to Ben Thanh, Municipal Theater, and Ba Son Stations. 4.Route 156: Runs from Saigon Bus Station to Hoa Hung Railway Station, connecting with Ben Thanh Metro Station. 5.Route 157: Departs from Van Thanh Bus Station to Duc Khai Apartment Building near Thao Dien Station. 6.Route 158: Runs from Van Thanh Bus Station through Thanh Da Residential Area to Tan Cang Station. 7.Route 159: Carries passengers from Ngo Tat To Apartment Building to Hang Xanh Roundabout near Van Thanh Metro Station in Binh Thanh District. 8.Route 160: Links Van Thanh Station and Vinhomes Central Park. 9.Route 161: Travels from Van Thanh Bus Station to Nga Tu Ga Bus Station near Tan Cang Station. 10.Route 162: Transports passengers to Binh Thanh and Thu Duc Stations from Man Thien Apartment Building in Thu Duc City. 11.Route 163: Connects Ho Chi Minh City Industry and Trade College with Binh Thai Station. 12.Route 164: Spans from Nong Lam University to Topaz for access to Saigon Hi-Tech Park Station and National University Station. 13.Route 165: Links Nong Lam University and Saigon Hi-Tech Park. 14.Route 166: Stretches from Vietnam National University-Ho Chi Minh City to Suoi Tien. 15.Route 167: Connects Nong Lam University with Linh Trung 1 Export Processing Zone near Saigon Hi-Tech Park Station. 16.Route 168: Runs from Ho Chi Minh City University of Technology and Education to Binh Thai Intersection for connection with Binh Thai and Thu Duc Stations. 17.Route 169: Links Vincom Thu Duc to Tay Hoa Intersection.   5. 使い方のコツ • Go!Busアプリ ベトナムのIT大手FPTが開発している「Go!Bus」アプリを使えば、リアルタイムの運行状況、路線検索、バス停情報を簡単にチェックできます。水上バスの予約も可能なので、市内観光の組み合わせにも便利です。 Go!Bus公式サイト • GoogleMapとの併用 GoogleMapでもバスの経路や乗り換え案内が表示されるようになってきています。慣れない土地での移動には非常に助かるツールです。日常的な移動だけでなく観光にも活用すると良いでしょう。 • 注意点 路線名や停留所表記がベトナム語・英語表記で統一されていない場合があります。アプリなどを活用しながら、実際のバス停表記とのズレを確認するのがスムーズです。 6. まとめ メトロ1号線の開業によりホーチミン市の公共交通が大きく変わりつつある中、新たに導入された17の電気バス路線は、居住者や旅行者にとっても観光客にとっても非常に便利な選択肢になりそうです。 観光で訪れる方は、市内散策の足としても活用可能。   電気バスの最新情報や運行スケジュール、路線図については、ホーチミン市交通運輸局の公式ウェブサイトや「Go!Bus」アプリをご確認ください。

ベトナム国内における旅客運輸(タクシーなど)についての最新Decree158号について(2025年1月1日施行)

コラム
2024.12.26
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ベトナム国内における旅客運輸(タクシーなど)についての最新Decree158号について(2025年1月1日施行)

2024年12月18日付けDecree 158/2024/NĐ-CP(以下「本政令」)は、ベトナム国内における道路運輸業に対する新たな法的枠組みを提供するものであり、2025年1月1日からの施行です。本コラムでは本政令の概要について整理します。 本政令は、ベトナム国内外における道路運輸業(タクシー、バス、契約車両を含む)に対して以下を規定しています: 経営許可条件 車両使用条件(使用年数、装備) 契約車両および国際運輸に関する規定 許可証の発行および取り消し手続き また、本政令は2025年1月1日より正式に施行され、既存の関連政令を廃止します。 旅客運輸業を営むためには、以下の条件を満たす必要があります: (1) 経営許可証の取得 事業登録:事業者は商業ライセンスまたは法人登録を完了している必要があります。 運輸事業許可証(Giấy phép kinh doanh vận tải)の取得が必須。 許可証には、事業者が運行可能な運輸形態(例:タクシー、バス、契約運輸)が明記されます。 (2) 運行計画の提出 運行エリアや路線の詳細な計画を地方交通運輸局に提出。 路線運行の場合、停留所や時刻表を含めた詳細な運行計画が必要。 (3) 保険加入 全ての運行車両および乗客に対して、法定の保険(例:責任保険)に加入していること。 (1) 使用年数の制限 タクシー:12年以内 路線バス:20年以内 契約車両:長距離(300km以上):15年以内、短距離:20年以内 (2) 車両設備 行動監視装置の設置:車両にはGPSベースの行動監視装置が搭載され、運行状況をリアルタイムで記録する必要があります。 運転記録装置:ドライバーの運転状況を記録し、運行管理に活用。 車両状態の定期点検:安全基準を満たすため、定期的な整備および検査が義務付けられています。 旅客運輸業で働く運転手には、以下の要件が課されます: (1) 資格要件 適切な運転免許証を保有していること。 車両の種類に応じた運転免許(例:大型バスにはD級免許)が必要。 (2) 健康要件 運転手は、定期的な健康診断を受け、運行に支障がないと判断される必要があります。 (3) 法令遵守の誓約 交通規則および運輸規制を順守すること。 契約運輸(タクシーなどではない企業向けの送迎、観光ツアー用車両、長距離チャーター車両)については以下のような規定がされています。 運行前に運送業者と利用者(法人・個人間)で 運行内容を記載した契約書を締結 することが必要です。 契約外の乗客の乗車・降車は禁止 契約書に記載されていない料金徴収は禁止 契約書には以下が含まれることが求められます: – 運行日および時間 – 出発地・目的地 – 乗客リスト(全員の氏名や人数を明記) – 運賃および支払い条件 – 双方の責任範囲 運行管理者の配置: 各事業者は、運行スケジュールや車両の安全性を管理する専任の管理者を配置する必要があります。 乗客管理: 契約運輸の場合、事前に乗客リストを作成し、管理することが義務付けられています。契約外の乗客の乗車は禁止。 記録保持: 運行データ、契約情報、乗客リストを一定期間(通常1年間以上)保存すること。 運賃の明確化: 運賃は事前に明示され、透明性を確保すること。 メーターを使用するタクシーでは、メーター機器の定期点検を実施。 苦情対応システム: 乗客からの苦情に対応するための専用窓口または電話番号を設置。 広報の遵守: 宣伝広告において、サービス内容や運賃について虚偽表示を行わないこと。 国際運輸業に関する許可証の発行および取り消し、並びに外国車両の一時的な国内運行の延長手続きが具体的に定められています。 国際運輸を行う場合、追加で以下の条件が課されます 外国車両に対する特別許可証の取得 国際ルートに関する国際協定やベトナム政府規定の遵守 運行ルートや停留所の詳細な報告と承認 重大な違反や安全基準の不履行により、許可証が取り消される8つの具体的な条件が明記されています。 1. 法令違反による許可証取り消し 2. 使用年数制限の違反 3. 偽造または不正な許可証の使用 4. 安全基準の重大な不履行 5. 契約運輸に関する規定違反 6. 運輸サービス品質基準の不履行 7. 国際運輸規定の違反 8. 行政処分や罰金への未対応 本政令は、過去の規定をより具体化し、実効性を高めることを目指しています。以下が注目すべきポイントです: 1)タクシー・契約車両への規制強化:特に契約車両による不正営業(いわゆる「偽装タクシー」)を防止するため、契約の遵守が徹底されます。 2)国際運輸の管理強化:外国車両の運行許可手続きの透明性を高め、国境をまたぐ運輸業の安全性向上を図っています。 3)安全性と品質向上の推進:全ての運輸事業者に対し、最新の安全装置の導入を義務化。 本政令の施行により、ベトナムの旅客運輸についても更に管理強化が求められていくことになりそうです。

ベトナムにおけるNetflixのテレビ番組規制の概要と影響

コラム
2024.12.24
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ベトナムにおけるNetflixのテレビ番組規制の概要と影響

Netflixは2024年12月23日をもってベトナム国内での一部のテレビ番組配信を停止しました。この決定は、同国の放送・映像コンテンツに関する厳格な法規制への対応を目的としたものです。本コラムでは、関連する法的根拠、規制強化の背景、具体的な影響、および将来展望を解説します。 1. ベトナムにおけるNetflix規制の概要 1.1 主要な法的根拠 1.Nghị định 71/2022/NĐ-CP(政令第71号) ベトナムの放送・ストリーミングサービスを管理するための主要法令です。 ベトナム国内向けにテレビ番組(chương trình truyền hình)を提供する事業者には、サービス提供にあたって「ベトナム法人の設立」や「許可の取得」など厳格な要件が課されています。 2.ベトナムの映画法(Luật Điện ảnh) 元々映画やドラマ等のコンテンツの事前審査・分類(レイティング)を定めていた法律で、改正を経てオンライン配信事業者にも適用範囲を拡大する動きが見られます。•特に「映画(phim điện ảnh)」として分類されない番組については、コンテンツ登録や審査が厳しく行われる傾向があります。 ベトナム当局(Cục Phát thanh, Truyền hình và Thông tin điện tử:放送・テレビ・電子情報局)は、「テレビ番組」という範疇に該当するコンテンツを配信する場合、ベトナム国内で正式な許可を得る必要があるとの見解を示しています。 特にNetflixのような海外プラットフォームは、映画(cinematic content)として配信する作品には比較的柔軟な姿勢が示されている一方で、“番組形式”のリアリティショーやバラエティ番組などを提供する場合は、厳格にライセンス要件を求められます。 2. Netflixが実施した番組削除の現状 2.1 削除対象となった番組 2024年12月24日時点において、Netflixはベトナム国内からアクセス可能なテレビ番組(chương trình truyền hình)を削除したと報じられていますが、まだ削除されたのはテレビ番組の一部のようです。実際に削除対象となった例として、以下のような番組が挙げられます(各種メディア報道より)。 リアリティショー(例:「Love on the Spectrum」「Down For Love」「Longest Third Date」など) その他、旅行・料理・バラエティなど、ドラマ・映画以外の“番組”として分類されるコンテンツ全般 削除の背景: Netflixは、ベトナム国内でテレビ番組を提供する許認可を取得していないため、事実上「配信可能なのは映画(映画作品)に限られる」という状況にあります。 2024年末にかけて、当局が一斉調査を強化した結果、無許可のテレビ番組が多数存在したことが判明し、Netflixが自主的に(あるいは当局からの指導のもと)大量削除に踏み切ったとみられています。 2.2 今後の番組削除が拡大する可能性 現状、Netflixのみならず、他の動画配信サービス(iQIYIなど)にも同様の規制が及んでおり、テレビ番組のジャンルに該当するコンテンツは順次削除または配信停止を余儀なくされる可能性が高いとされています。 3. 今後予想される影響と事業者の対応 3.1 海外プラットフォームへの影響 ベトナム市場を継続的に開拓したい配信プラットフォームは、テレビ番組(chương trình truyền hình)を正規に提供するため、現地法人の設立や放送局ライセンスの取得(外資には難しいと考えられる)や事業提携を検討せざるを得ません。これらの実施にはコストがかかり、さらにコンテンツ審査に関するリスク管理(自主検閲や当局承認プロセスなど)も大きな負担となります。 3.2 ベトナムの視聴者・コンテンツ業界への影響 視聴者の選択肢減少 Netflixなど海外プラットフォームで視聴できた多様なリアリティ番組やドキュメンタリー、バラエティ番組が削除され、視聴者の選択肢は一時的に減少する可能性がありそうです。 国内コンテンツの拡大機会 一方で、ベトナム国内の放送局や動画配信サービスにとっては、ライバルとなる海外番組が減少することで国内コンテンツの視聴機会が増える可能性があります。もともとローカルのテレビBoxが強いなかではあるなか、どのようにマーケットが変化するか注目です。 合法的な供給ルート整備への期待 将来的には、海外プラットフォームも法的要件を満たしたうえで番組配信を再開することが考えられます。この際、ローカルプロダクションとの連携や合法的な供給ルートの整備が進むことで、ベトナムのコンテンツ業界全体の発展につながる可能性もあります。 4. 法的リスクと企業の留意点 4.1 違反時の制裁 罰金やサービス停止 ベトナム当局は、許可を得ずにテレビ番組を提供する事業者に対し、罰金やサービス停止命令などの行政制裁を科す可能性があります。 ブランド・レピュテーションリスク 法規制違反によってメディア報道やSNSで批判的に取り上げられれば、ユーザーからのイメージ低下につながる懸念も拭えません。 4.2 企業が取るべき対応 サービス内容の事前調査・法的チェック ベトナム向けの事業展開を計画する企業は、自社コンテンツが映画に該当するか、番組(chương trình truyền hình)に該当するかを厳格に区別し、必要な許認可を取得すべきです。 現地法人設立やライセンス取得の検討 テレビ番組を含む包括的なコンテンツを配信したい場合、ベトナム国内で法人を設立し、当局からライセンスを得るなどの手続きが避けられません。実際には外資企業の取得が難しいため、ローカル企業との協力体制となる可能性が高そうです。 コンテンツの自主検閲・当局との連携 当局が問題視する可能性のあるシーン・テーマを事前にチェックし、必要に応じて修正・削除を行うことが求められます。また、当局との連携や相談体制を整えておくこともリスク管理上重要です。 5. まとめ ベトナム当局は、国内の放送・通信インフラを保護するとともに、コンテンツの適正管理を徹底するため、海外プラットフォームへ厳格な規制を敷いています。Netflixが番組(chương trình truyền hình)を大規模に削除したのは、この規制強化の流れを受けた対応の一環といえます。 今後のポイント: 1)Netflix等の海外企業がテレビ番組配信を再開するかどうか 事業継続に向けたライセンス取得や法人設立、コンテンツ審査など、追加コストを負担してまで参入を続けるかが注目点となります。 2)ベトナム国内企業との提携や共同制作の増加 法規制をクリアするには、現地パートナーとの提携が効率的であり、海外企業のローカル化が進むことで、新たなコンテンツ制作の機会が生まれる可能性があります。 3)ユーザーによる代替プラットフォームの模索 Netflixの番組削除を受け、視聴者は他の合法的な動画配信サービスやVPN利用など、さまざまな代替手段を模索する動きが出てくると予想されます。 総じて、ベトナムのコンテンツ配信事業は今後さらに規制の明確化と厳格化が進むとみられ、海外プラットフォームや関連企業にとってはコンプライアンス・コストの増大が避けられません。一方、適切なライセンス取得やコンテンツ管理体制を整備すれば、依然としてベトナムは魅力的な市場であり、多くの視聴者を獲得する可能性も残されています。今後も法改正や当局の方針を注視し、ベトナム市場の特徴を踏まえた事業戦略を立案・実行していくことが重要です。

相続人にベトナム人がいる場合の相続手続について

コラム
2024.12.22
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相続人にベトナム人がいる場合の相続手続について

1. 準拠法と基本原則:日本法がベース 被相続人が日本国籍である場合、法定相続人の範囲や各人の相続分、特別受益・寄与分などの判断基準は、日本の民法に基づくことになります(通則法第36条)。 相続人にベトナム国籍の方が含まれていても、この基本原則は変わりません。問題は、「日本法による相続関係確定」を前提としつつ、ベトナムに在住する相続人やベトナム当局を巻き込んだ実務手続きを進めなければならない点にあります。 2. 相続人間の協議を難しくする要因 ベトナム人相続人が含まれるケースでは、以下のような要因が遺産分割協議を複雑化します: 言語の壁:日本語とベトナム語の通訳・翻訳が不可欠で、意思疎通が容易ではない。 地理的距離:相続人が日越双方で暮らしている場合、オンライン会議や郵送によるコミュニケーションが中心となり、迅速な決定が難しい。 法律・文化の相違:相続に関する価値観や判断基準、手続きへの理解度が異なるため、合意形成に時間がかかりやすい。 こうした障壁により、日本国内の相続より手続きが長期化し、合意形成までに相当の時間やストレスを伴う可能性があります。 3. 日本裁判所での遺産分割調停手続きと外国送達の課題 円滑な相続人間の話し合いが難しい場合、日本の家庭裁判所で遺産分割調停を行うことが考えられます。しかし、相手方がベトナムに在住している場合、調停申立書や期日呼出状などの送達が大きなハードルとなります。 •送達手続きの複雑さ: 日本の家事事件手続法や民事訴訟法に基づき、在ベトナム日本領事館やベトナム指定当局を通じて文書を送達します。その際、文書をベトナム語へ正確に翻訳し、公証する手続きが不可欠です。 •期間の長期化: 翻訳・公証作業や領事ルートによる送達には、数か月から1年程度の時間を要することが珍しくありません。住所不明・所在不明の場合や、長期間当局から返信が得られない場合、民事訴訟法上の公示送達に移行することになり、さらなる時間的ロスが生じます。 これらの手続的障壁によって、実質的な遺産分割の話し合い開始までに相当な期間を要する可能性があります。 4. 遺言による事前対策の重要性 こうした複雑な手続きを回避、あるいは大幅に軽減する有効な方策として、被相続人が生前に有効な遺言を残しておくことが挙げられます。 例えば、 ベトナム国内資産をベトナム人相続人へ帰属させる 日本国内資産は日本在住相続人へ配分する といった内容を明確にすることで、相続時に日越間での協議・調停が必要となる範囲を最小限に抑えることが可能になります。 これにより、相続人間の対立や送達手続きの煩雑さを軽減し、よりスムーズな手続進行が期待できます。 5. 早期準備の重要性 相続人に外国籍者が含まれる場合、必要な手続きは国際法務・翻訳公証・現地実務対応など、多岐にわたります。 ベトナム人相続人がいる場合の相続手続きは、日本法を準拠法としつつ、国際的な調整や翻訳送達手続きに伴う膨大な労力・時間がかかる可能性があります。スムーズな手続処理には、事前の遺言作成と早期の専門家活用が極めて重要です。 これらの準備を通じて、将来のトラブルや長期化リスクを最小限に抑え、相続手続を円滑に進めることが期待できます。