CastGlobal Law Vietnam
(CAST)についてABOUT US
私たちは、2013年にベトナムに設立した日本人弁護士とベトナム人弁護士の所属する日系の弁護士事務所です。ハノイ市とホーチミン市に拠点を有しています。
ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
CASTの特徴FEATURES
- 01
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ビジネスの現状・ベトナムのスピード感に合わせたスピーディーかつ柔軟な対応
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タイムチャージに基づかないリーズナブルで相談しやすい顧問契約の設定
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ベトナムのM&A、不動産、企業運営に関わる法務、知財戦略などの専門分野の支援実績
活用例
- 現地の担当弁護士にチャット・メールでいつでも気軽に相談できる環境。
- 自社の担当・駐在員が変わっても、過去の経緯から把握してアドバイスしてもらうことが可能。
- 会社の総務・法務スタッフとも普段からやりとりし、社内のコンプライアンス体制・意識向上にも。
導入事例CASES
ニュースNEWS
- コラム
- 2026.02.22
- CastGlobal
【2026年2月施行】ベトナム新規制4政令を実務目線で整理:金・外為罰則/著作権/税務申告/オンライン広告
2026年2月、ベトナムで日系企業の実務に直結する4つの政令が相次いで施行されました。内容は「新しい禁止を増やす」というより、違反時の罰則・当局対応・手続運用を具体化して執行しやすくする方向です。これらの政令の概要をまとめます。
対象政令(施行日) ・政令340/2025/NĐ-CP(2026年2月9日) ・政令373/2025/NĐ-CP(2026年2月14日) ・政令341/2025/NĐ-CP(2026年2月15日) ・政令342/2025/NĐ-CP(2026年2月15日)
政令340/2025は、通貨・銀行分野の行政罰則を全面改訂する政令です。旧・政令88/2019(および改正政令143/2021)を置き換え、2026年2月9日から適用されます。
実務で最も多いのは、①無許可両替(許可のない両替店・金店等)での外貨売買、②ベトナム国内取引での外貨(USD/JPY等)建て表示・契約、③外貨による支払です。政令340は、これらを金額レンジに応じて段階的に罰則化しています。
典型類型
取引金額(USD相当)
罰則(個人の目安)
補足
無許可両替/個人間売買/外貨での支払(違法)
1,000未満
警告(原則)
再犯・反復で罰金へ
同上
1,000〜10,000未満
1,000万〜2,000万VND
出張者の“ちょい両替”がここに入り得ます
同上
10,000〜100,000未満
2,000万〜3,000万VND
まとまった送金・決済で問題化しやすい帯
同上
100,000以上
8,000万〜1億VND
高額取引は執行対象になりやすい
外貨建て表示(契約・広告・値札等)
金額に関係なく成立
3,000万〜5,000万VND
「USD建て+VND支払」でも表現次第でリスク
実務コメント(重要) 外為違反は「会社が指示していない従業員の行為」でも、経費精算・取引書類・社内チャット等の痕跡から、会社側の管理不備として発展するケースがあります。少なくとも、(i) 出張・駐在者向けの外為ルール、(ii) 契約テンプレ(通貨条項・表示条項)、(iii) 例外があり得る取引(特区・専門法の例外等)の整理、は優先度が高いです。
金地金(いわゆる“金塊・ゴールドバー”)については、無許可での製造・売買等は3億〜4億VND(=300〜400 million VND)という大きなレンジの罰則が想定されています。一方、個人が陥りやすいのは「無許可業者との売買」「金を決済手段にする」などの行為で、まずは警告、再犯・反復で1,000万〜2,000万VNDに上がり得ます。
無許可業者(許可のない銀行・企業等)との金地金売買、金を支払手段として使う:まず警告→反復で罰金の可能性
同一顧客が1日あたり2,000万VND以上の金売買は、顧客口座と金業者口座での口座決済が原則(現金運用はリスク)
実務上、金店・小規模店舗が混在するため、「相手が許可業者か」の確認が重要
出張者・駐在員向け:両替は「銀行・正規両替所のみ」、領収書要件、違反時の社内対応(経費精算不可/報告義務)を明文化
契約書・見積書・請求書:ベトナム国内取引の通貨表示(USD/JPY)が残っていないか棚卸し(賃料・サービス料・ロイヤルティで頻出)
経理・財務:海外送金・外貨取引のエビデンス(契約・請求書・支払指図)を整備し、銀行からの照会に耐える形へ
政令341/2025は、著作権・関連権の侵害について35の侵害行為類型を明確にし、罰則を整理・強化しました。罰金上限は個人2億5,000万VND、法人5億VNDで、同一行為について法人は個人の2倍という整理です。
ソフトウェア:ライセンス数超過、無断インストール、在宅端末への転用
マーケ素材:画像・動画・フォント・BGMの権利処理不足(制作会社任せで証憑がない)
社内利用:研修資料・翻訳物・SNS投稿での転載/二次利用
実務の勘所 「制作会社が作った=自社が自由に使える」ではありません。①権利帰属(著作権が誰に帰属するか)、②利用範囲(媒体・期間・地域・改変可否)、③再委託の有無を契約と証憑で残すことが、最もコスパの良いリスク低減策です。
政令373/2025は、税務管理法の施行細則である政令126/2020を改正し、申告・決算の運用を調整しました。日系企業の実務で影響が出やすいのは、四半期申告の要件不充足時の扱いと、複数給与(複数社)を得る個人のPIT確定申告の提出先です。
納税者が自ら(または税務当局から指摘されて)要件不充足を認識した場合、次の四半期の初月から月次申告へ切替
過去の四半期分について、月次申告書を再提出し、延滞金(tiền chậm nộp)は計算
ただし、切替に伴って再提出する月次申告書については「遅延提出の行政罰は課さない」という整理(手続リカバリーの明確化)
複数の支払者から給与所得がある場合、年間で最も大きい所得を支払った組織を管轄する税務当局に提出する整理です。提出先を誤った場合も、税務当局側で転送支援を行う旨が示されています。
経理・給与:自社が月次/四半期のどちらで申告しているか、要件を満たしているかの再点検
駐在員・兼業:複数社から所得が出るスキーム(兼職、役員報酬、プロジェクト手当等)がある場合、PIT確定申告の導線を整理¥
政令342/2025は、改正広告法の下で、オンライン広告を中心に運用要件を具体化しました。日系企業にとって重要なのは、(A)ユーザー保護UI要件、(B)違法広告の遮断・削除(24時間)、(C)事業者側の届出・保存・報告義務です。
広告を閉じるアイコン/機能は、1回の操作で広告が閉じられること
静止画広告:待機時間なし
動画・アニメ等:待機(スキップ不可)時間は最大5秒
広告主、広告サービス事業者、媒体(掲載者)等は、当局からの要請を受けた場合、原則24時間以内に違法広告の遮断・削除を実施(または協力)することが求められます。体制がないと、代理店任せの企業ほど対応が遅れがちです。
連絡先情報の事前通知:ベトナムで広告サービスを開始する前に、文化スポーツ観光省へ連絡先情報を通知(変更時は再通知)
記録の保存:広告活動に関する情報・契約・素材等を保存(保存期間:最終表示日から3年間)
年次報告:ベトナムでのオンライン広告サービス事業について、毎年11月25日までに年次報告(臨時報告もあり得ます)
オンライン広告の実務では、次のような健康・環境に影響する11カテゴリが特に注意領域です(表示要件・専門法令・許認可とセットで点検が必要)。
化粧品/食品/乳幼児向け栄養製品(一定類型)
家庭・医療用の殺虫・消毒製品、化学物質
医療機器/医療サービス(診療等)/医薬品
農薬、動物用医薬品、飼料、水産養殖関連、種苗等
肥料/種子・苗
アルコール飲料(ビール、度数15度未満の酒等を含む)
代理店契約:違法広告の指摘が来た場合の「24時間対応の主体」「素材差し替え権限」「ログ・素材の保管責任」を明文化
クリエイティブ設計:動画広告は5秒以内で主張が伝わる構造に(スキップ前提)
エビデンス保管:健康・食品・化粧品等は、専門法令上の根拠(表示・許認可・届出)をセットで保管
より詳しい内容は以下をご確認ください。
【2026年2月15日施行】広告法・新政令(342/2025/NĐ-CP)の概要と実務対応~UX規制の導入と管理体制の変更点~
- コラム
- 2026.02.11
- CastGlobal
【2026年2月15日施行】広告法・新政令(342/2025/NĐ-CP)の概要と実務対応~UX規制の導入と管理体制の変更点~
ベトナム政府は2025年12月26日、広告法の詳細規定を定める新政令 342/2025/NĐ-CP(以下、新政令)を公布しました。本政令は2026年2月15日より施行され、従来の政令(181/2013/NĐ-CPおよび70/2021/NĐ-CP)は同日をもって失効します。
今回の改正では、インターネット広告における「ユーザー体験(UX)」に関する具体的な技術要件や、違反広告への対処フロー、行政報告の期限などが変更されています。
本稿では、新政令の条文に基づき、日系企業が留意すべき変更点と実務上の対応事項を整理します。
新政令では、インターネット上の広告表示について、利用者の利便性を確保するための技術的な要件が明文化されました。特にアプリ内広告やポップアップ広告などの仕様において、以下の基準を満たす必要があります。
「固定領域外広告」の定義とスキップ時間:画面上の位置が固定されず、コンテンツの一部または全部を覆う広告(固定領域外広告)について、以下の仕様が義務付けられました。
静止画広告:待機時間なしで即時に閉じることができなければなりません。
動画・動画像広告:広告を閉じるまでの待機時間は最大5秒と規定されました。
「閉じる」ボタンの仕様:広告を閉じるためのアイコンは、1回の操作(ワンタップ)で機能する必要があります。また、偽の閉じるボタンや、識別が困難なボタンの配置は禁止されています。
違反報告機能の実装:利用者が違反広告を通報したり、表示を拒否したりするための導線(アイコンや手順)を配置し、通報に対して適時に処理・通知を行う仕組みが求められます。
自社でアプリやWebサービスを運営している場合、あるいは広告配信を行う場合、広告の表示仕様がこれらの要件に合致しているか、開発・技術部門と連携して確認する必要があります。
広告サービスを提供する企業(広告代理店や媒体社、自社で広告枠を運用する企業等)に対し、以下の行政手続や管理義務が規定されています。
連絡先の事前通知(Form 03):ベトナムでネット広告サービスを提供する組織・企業は、営業開始前に文化・スポーツ・観光省へ連絡先情報(Form 03)を通知する必要があります。通知受理後、4営業日以内に確認書が交付されます。
年次報告期限の変更(11月25日):広告サービス事業者の活動に関する年次報告(Form 04)の提出期限が、従来の「年末」等の慣例から、毎年11月25日に設定されました。
広告記録の3年間保存:広告サービス提供者は、契約書、広告サンプル、掲載期間、位置情報などの記録を、広告表示終了日から3年間保存し、当局による確認が可能な状態にしておく義務があります。
コンプライアンスカレンダーの更新(報告期限の変更)およびデータの保存体制(サーバー容量や保存フロー)の見直しが推奨されます。
特定の製品・サービス(「特別な製品」)に関する広告要件が整理されています。特に以下のカテゴリーでは、必須表示項目に変更や具体化が見られます。
健康補助食品(Thực phẩm bảo vệ sức khỏe)等:製品カテゴリーに応じた定型文言(”Thực phẩm bảo vệ sức khỏe”等)の表示に加え、「本品は薬ではなく、治療薬の代替にはならない」といった推奨文言の表示が必要です。音声・映像広告において、15秒未満の場合は読み上げが免除されますが、画面上での文字表示は必須となります。
化粧品:製品名、機能・効能、公表責任者の名称・住所に加え、国際協定に基づく警告等の表示が必要です。
使用中のバナーや動画広告内の文言が、新政令の要件(文字サイズや表示時間含む)を満たしているか、マーケティング部門での再点検が必要です。
違法広告(法令違反やセキュリティ侵害など)への対処について、対応期限と措置が具体的に規定されました。
24時間以内の削除・遮断義務:広告主、広告サービス提供者、配信者等は、文化・スポーツ・観光省や所管当局から違法広告の通知を受けた場合、24時間以内に当該コンテンツを処理(削除・遮断)する必要があります。
不履行時の技術的措置:上記の要求に応じない場合、文化・スポーツ・観光省および公安省は、通信事業者等を通じて
広告やサービスへのアクセスを技術的に遮断する措置を講じるとされています。この措置は、違法状態が解消されるまで解除されません。
万が一、当局から削除要請があった場合に、担当者不在等で対応が遅れないよう、緊急時の連絡体制や対応フローを整備しておくことがリスク管理上重要です。
新政令 342/2025/NĐ-CP は、デジタル広告のUX規制や管理手続において、より具体的かつ厳格なルールを設けています。
2026年2月15日の施行までに猶予期間はありますが、システムの改修や社内規定(報告期限や記録保存)の更新には時間を要する場合があります。現行の運用と新規定とのギャップを確認し、計画的に準備を進めることをお勧めします。
また、広告法の法改正については、2026年1月1日施行のベトナム広告法改正|インフルエンサー義務化とオンライン広告ラベル等についても、合わせてご確認ください。
- コラム
- 2026.02.06
- CastGlobal
「外貨両替は“正規ルートのみ”」を改めて徹底へ―政令340/2025/NĐ-CP(2026年2月9日施行)が実務に与える影響
2026年2月9日施行の政令340/2025/NĐ-CP(通貨・銀行分野の行政違反行為と制裁に関する政令)を背景に、ベトナムでは外貨両替について「正規ルートの徹底」が改めて強く意識される局面に入っています。
本稿では、報道と法令(政府法令ポータル等の一次情報)に基づき、一般論としてのポイントと実務上の注意点を整理します。
政令340/2025/NĐ-CPは、通貨・銀行分野(外為・金取引を含む)における行政違反行為と制裁(罰金、没収等)を体系的に定めるものです。政府の法令ポータル等で、公布日(2025年12月25日)・施行日(2026年2月9日)・署名者(副首相 Hồ Đức Phớc)といった基本情報が確認できます。
重要なのは、これが「外貨両替を新たに禁止する」政令というより、従来からある外為規制(許可された場所での取引等)に違反した場合の処分を、より具体的に・厳格に運用しやすくする性質のものだという点です。
報道で繰り返し注意喚起されているのは、次の2類型です。実務的には、「どこで」「誰と」両替したかが最初のリスク分岐になります。
個人同士で外貨を売買する(友人・知人間の両替等)
外貨両替の許可・登録がない組織で外貨を売買する(自由市場、“chợ đen”と呼ばれる闇市場を含む)
大手紙でも、政令340/2025に基づき、こうした行為が取引金額に応じて処分対象となり得る旨が明確に報じられています。
「地域によって両替の“体感難易度”が違う」背景を理解するうえで、具体的な摘発事例は重要です。
2025年10月、ダナン市公安(Công an TP Đà Nẵng)の経済安全部門が、市中心部の金店(宝石店)での外貨売買について、店舗側(私企業の金店)と顧客双方に行政処分を行い、違反に係るVND・外貨を没収した旨を公表・報道しています。規模として「20億VND超相当」と報じられています。
この種の事例がある地域では、店舗側が「リスクに見合わない」と判断して取扱停止(事実上の撤退)に振れやすく、結果として「街の店舗では両替が難しい」という状況が生まれやすくなります。本事例は新政令ができる前の処分ですが、このような実例によってダナンはより厳しく取り締まられる状況にありますので、新政令の運用にも注視が必要です。
今回の局面で影響を受けるのは観光客だけではありません。
在住外国人・出張者:現金ニーズがあっても、安易に非正規ルートに流れると、罰金・没収リスクが現実化します。
宝石店・両替店:許可・登録の有無が死活問題となり、取扱継続には手続・帳票等のコンプラ強化が不可欠です。
銀行・金融機関:行政処分リスクを踏まえ、支店レベルでのKYC/AML、取引目的・証憑確認がより厳格化しやすい環境になります。
政令340/2025は外貨だけでなく、金地金・金製品(vàng)についても行政処分を規定しています。そのため施行前後は「没収されるらしい」といった不安が出やすく、VOVなどが“どういう場合に没収が問題になるのか”を解説しています。
実務上の教訓はシンプルです。“一般人の通常の保有”の話と、“無許可営業・無登録取引”の話を混同しないこと。そして当局が問題視しているのは、許可・登録・正規手続を外した取引である点です。
報道と法令から導ける、現実的な注意点を4つに絞って整理します。
両替は「銀行」または「正規の外貨両替代理店」に限定 許可・登録が確認できない金店、個人間両替は避けるのが安全です。
“店も客も”処分され得る ダナン市公安の事例が示すとおり、顧客側も処分対象になり得ます。
没収があり得る以上、レートが良くても割に合わない 金額が大きいほどリスクは増え、都市によっては「店がやらない」判断が合理的になり得ます。
現金依存を下げる(カード・送金・ATMの併用) 制度・運用の方向性として「正規金融チャネルに寄せる」圧力が高まる局面です。
政令340/2025/NĐ-CP(2026年2月9日施行)は、外貨両替を「突然禁止」する類のものではありません。一方で、個人間両替や無許可店での両替に対して、罰金だけでなく没収まで含めて執行しやすい法体系となり、既にダナン市公安のように具体的な摘発事例も存在します。
したがって実務的には、「両替は正規ルートだけ」「証憑・正規手続を外さない」「現金依存を下げる」の3点を徹底することが、最も合理的で安全な対応です。
- お知らせ
- 2026.02.05
- CastGlobal
【無料】2025年度 海外法務セミナー「経済政策から読み解く ベトナム投資の魅力とリスク」(3月24日神戸開催)
CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd(弁護士法人キャストグローバル)代表弁護士・工藤拓人が、神戸市海外ビジネスセンター等主催の「2025年度 海外法務セミナー」にゲスト講師として登壇します。
本セミナーでは、今後20年間の成長目標を掲げるベトナムの投資環境の変化や法改正のポイント、日系企業の進出動向、現地ビジネスで留意すべき法的リスクを、経済政策の視点も踏まえて分かりやすく解説します。
開催概要は以下のとおりです。
テーマ:経済政策から読み解く ベトナム投資の魅力とリスク
日時:2026年3月24日(火)14:00~15:30
会場:神戸国際会館セミナーハウス 802・803会議室(神戸市中央区御幸通8-1-6)
定員:約50名(先着順)
参加費:無料
申込方法:神戸市イベントページ(おでかけKOBE)よりお申し込み 申込みはこちら
ゲスト講師として弊所の代表が登壇致します。
ゲスト講師:弁護士法人キャストグローバル パートナー/Cast Global Law Vietnam Co., Ltd 代表弁護士 工藤 拓人(神戸市海外ビジネスサポートデスク)
常任講師:弁護士法人東町法律事務所 芳田 栄二 弁護士/名倉 大貴 弁護士
監修:神戸市海外ビジネスセンター 顧問 村元 四郎
主催:神戸市海外ビジネスセンター、ひょうご・神戸国際ビジネススクエア、弁護士法人東町法律事務所
お問い合わせ:神戸市海外ビジネスセンター(経済観光局国際課)
Email:asia-biz@city.kobe.lg.jp
TEL:078-231-0222
- コラム
- 2026.02.02
- CastGlobal
2025年以降のベトナム電子たばこ規制の最新動向 ―使用者への罰金とたばこ法改正案(2026年2月時点)
本コラムは、2024年12月3日付「2025年からのベトナム電子たばこ規制の概要」の続編として、2026年2月時点での最新状況をアップデートするものです。
2024年11月の国会決議第173/2024/QH15号により、ベトナムでは2025年から電子たばこ(ベイプを含む)および加熱式たばこについて、製造・販売・輸入・保管・輸送・使用を全面的に禁止する方針が示されました。その後、投資法、行政罰政令、そして「たばこ被害防止法」(以下「たばこ法」)の改正案が相次いで公表され、規制は「グレーゾーン」から「全面禁止・厳格取締り」へと明確にシフトしています。
以下では、前回コラムからの主なアップデートとして、
① 電子たばこ使用者そのものを直接処罰する政令第371/2025/ND-CP号の内容
② 電子たばこ・加熱式たばこ等を法律レベルで組み込むたばこ法改正案の骨子
を中心に整理します。
まず、ベトナムにおける電子たばこ規制の「土台」となる枠組みを簡単におさらいします。
2024年11月30日に採択された国会決議第173/2024/QH15号において、
「電子たばこ・加熱式たばこ・その他健康に有害なガス・成分」について、
2025年から製造・取引(販売)・輸入・保管・輸送・使用を全面禁止する方針が明記されました。
これにより、電子たばこ等はベトナム法上、いわゆる「禁止商品(hàng cấm)」として位置付けられています。
投資法の改正により、電子たばこ・加熱式たばこに関する投資・事業活動は、投資禁止分野として明示されました。
これにより、電子たばこ関連ビジネスは、ライセンス実務上も「そもそも登録・許可できない分野」という扱いになります。
電子たばこ等は、政令第98/2020/ND-CP号の規定する「国家が生産・経営・使用を禁止する商品」に該当すると解されており、
その製造・販売・輸入・輸送・保管については、
行政罰:高額の罰金、商品・違法利得の没収など(政令第98/2020/ND-CP号)
刑事罰:一定額以上の取引・組織的違反等の場合、刑法第190条「禁止商品の製造・取引罪」により懲役刑・多額の罰金
といった二重の法的リスクが存在します。
この段階で、メーカー・輸入業者・卸売・小売・物流などの事業者側が電子たばこを扱うことは、既に行政・刑事両面で極めてハイリスクな行為になっている点が重要です。
前回コラムでは、電子たばこの「使用」については、保健省が政令第117/2020/ND-CP号(医療分野の行政違反処理)改正案の中で、使用者に対する罰金(案)を検討している段階であるとご紹介しました。
その後、政府は2025年12月31日付で政令第371/2025/ND-CP号を公布し、同日から施行しました。本政令は、電子たばこ・加熱式たばこに関する行政罰規定を本格的に導入するものであり、特に「使用者本人」を直接処罰する点が従前と大きく異なります。
電子たばこ・加熱式たばこを使用した個人は、
3,000,000〜5,000,000VND(約114〜190米ドル)の罰金の対象となります。
併せて、使用に供した電子たばこ機器・カートリッジ等は没収・破棄されます。
自己の管理する場所(飲食店、ホテル、カラオケ、オフィス、商業施設等)で、電子たばこ・加熱式たばこの使用を許容・黙認した場合、
個人管理者:5,000,000〜10,000,000VNDの罰金
組織(法人等):上記の2倍の罰金
という制裁が規定されています。
これにより、従来のように「禁止商品をビジネスとして扱うとアウト」という事業者側中心の枠組みに加えて、「ベトナム国内で電子たばこを吸った人」も行政罰の対象になることが明確化されました。在留邦人や出張者・旅行者についても、「日本から少量を持ち込んで自分だけで吸うなら問題ない」という感覚は、現行制度の下では明確にリスクが高いと言わざるを得ません。
2026年1月、保健省は「たばこ被害防止法」(2012年法)改正案について、関係省庁・専門家からの意見聴取(パブリック・コンサルテーション)を開始しました。報道ベースで判明している主なポイントは以下のとおりです。
電子たばこ
加熱式たばこ
電子機器(電子たばこ・加熱式たばこ用デバイス)
加熱式たばこ用の特別加工たばこ
その他の新型たばこ製品
などの概念を、たばこ法の定義条文に新たに追加する方向です。従来のたばこ法は紙巻きたばこ中心の設計であり、電子たばこ・加熱式たばこに関する定義や禁止行為が明確ではありませんでしたが、これを実態に合わせてアップデートする狙いがあります。
改正案は、既に国会決議第173/2024/QH15号および投資法、政令第371/2025/ND-CP号等で示された方針を踏まえ、以下の行為を法律レベルの禁止行為として明記する方向です。
電子たばこ・加熱式たばこおよびその他新型たばこ製品の所持(保管)・輸送・使用の禁止
これら製品の製造用部品・機器の製造・売買の禁止
これにより、「完成品」だけでなく、組み立て用デバイスやリキッド、部品等も含めて規制対象であることが、法律上明確化される見込みです。
改正案では、紙巻きたばこを含む全てのたばこ製品について、
広告・スポンサー・販売促進・マーケティング活動の全面禁止
小売店・コンビニ・スーパー等でのたばこ製品・パッケージ・ブランドの店頭での陳列禁止(顧客から見えない形での保管)
などの措置が盛り込まれています。特にコンビニや免税店等にとっては、レジ周りやショーケースの見せ方を根本的に見直す必要が出る可能性があります。
医療機関・教育機関・子ども向け施設・高火災リスク区域に加え、
法律で特別に認められる一部のケースを除き、全ての屋内施設・公共交通機関を全面禁煙とする方向が示されています。
併せて、施設管理者・組織の責任者に対し、禁煙ルールの掲示・周知・違反者への指導等を行う法的責任をより明確に課す方向性も示されています。
たばこパッケージの主要面に占める健康警告表示の面積を、現行の50%から前面・背面それぞれ85%以上に拡大する案が提示されています。
加えて、2027年1月1日からは特別消費税法の改正により、たばこに対する絶対額課税(1箱あたりの固定額)+従価税のミックス課税が導入される予定であり、価格面からも喫煙抑制を図る方向です。
世界保健機関(WHO)の勧告に沿い、「たばこ対策政策を商業的利益から保護する」趣旨の規定を法文に盛り込む案が検討されています。
禁煙外来や相談窓口などの禁煙支援サービスの対象に、電子たばこ・加熱式たばこ使用者も明示的に含めることが提案されています。
報道によれば、この改正たばこ法は、2026年の国会で審議され、2027年1月1日施行を念頭に置いた長期的な枠組みと位置付けられています。
電子たばこ規制の流れを簡潔にまとめると、以下のようになります。
〜2024年:たばこ法は紙巻きたばこ中心で、電子たばこは定義や禁止行為が不明確。
→ 他の法令(禁止商品規制等)を通じて部分的に対応。
2024年11月:国会決議第173/2024/QH15号により、2025年からの製造・販売・輸入・保管・輸送・使用の全面禁止を政治的に宣言。
2024〜2025年:投資法改正により電子たばこ関連事業を投資禁止分野に分類。行政罰政令の改正作業が進行。
2025年12月31日:政令第371/2025/ND-CP号が公布・施行され、
電子たばこ・加熱式たばこの使用者に対する3,000,000〜5,000,000VNDの罰金+機器没収、
使用を容認した施設管理者への5,000,000〜10,000,000VND(組織は2倍)の罰金が明文化。
2026年1月以降:たばこ法改正案により、電子たばこ等の定義、所持・輸送・使用の禁止、広告・展示禁止、禁煙区域拡大、パッケージ警告85%等を法律本文に取り込むプロセスが進行中。
これらを総合すると、ベトナムは電子たばこ・加熱式たばこについて、
国会決議(基本方針)
投資法(投資禁止分野)
行政罰政令(政令第98号・第371号等)
たばこ法本体(改正案)
という四層構造で、「全面禁止・ゼロトレランス」のスタンスを固めつつあると評価できます。
電子たばこ本体、リキッド、加熱式たばこ用デバイスや部品等を扱う事業は、投資法上禁止事業であり、
同時に「禁止商品」の製造・販売・輸入・保管・輸送として、行政罰および刑事罰の対象となり得ます。
今後、たばこ法改正により部品・設備の製造・売買も法律レベルで禁止行為として位置付けられる見込みであり、「デバイスだけ」「リキッドだけ」といったモデルも含め、実務上は撤退・中止が前提と考えるべきです。
飲食店、ホテル、カラオケ、コワーキングスペース、オフィス等の管理者が電子たばこ使用を黙認した場合、政令第371/2025/ND-CP号に基づき罰金の対象となります。
就業規則、ハウスルール、利用規約、館内掲示等の中で、紙巻きたばこだけでなく電子たばこ・加熱式たばこも含めて全面禁煙とする旨を明記し、従業員・利用者に周知することが重要です。
たばこ法改正により、店頭でのたばこ製品の陳列禁止が導入されると、小売店舗のレイアウトにも影響が出る可能性があります。
2025年12月31日以降、ベトナム国内で電子たばこ・加熱式たばこを使用した場合、個人として3,000,000〜5,000,000VNDの罰金+機器没収のリスクがあります。
また、税関実務上も電子たばこは輸入禁止品として扱われており、入国時に発見された場合には没収等のリスクがあります。
実務的には、「ベトナムには電子たばこを持ち込まない・吸わない」ことを前提としたコンプライアンスが、安全なラインと考えられます。
ベトナムにおける電子たばこ・加熱式たばこ規制は、
国会決議による全面禁止方針の明確化
投資法上の禁止事業化
政令第371/2025/ND-CP号による使用者・施設管理者への罰金の導入
たばこ法改正案による定義・禁止行為・広告規制・禁煙区域・警告表示等の恒久ルール化
という形で、段階的に強化されてきました。今後、国会審議の中で細部の文言が修正される可能性はあるものの、全体としては「規制が緩む」よりも「さらに厳格になる」方向性が高いと考えられます。
日本企業としては、電子たばこ関連ビジネスへの関与を避けるとともに、自社オフィス・店舗における禁煙ルールの整備・運用、在越日本人社員や出張者・旅行者への周知を早めに徹底することが重要です。
本コラムは2026年2月時点の情報に基づいており、今後新たな法令・政令が公布された場合には、随時アップデートしていく予定です。
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