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ベトナムでは、大きなトラブルにならないように日常的に法務を意識して経営することが重要ですが、実際には何が問題になりうるのかや日本との違いもわからず、法的な事柄によって日々の業務に集中できないことも多く生じています。
お客様に憂いなくビジネスに集中いただくため、"法務面からベトナムビジネスを伴走する身近なパートナー"として貢献していきます。
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- コラム
- 2026.02.02
- CastGlobal
2025年以降のベトナム電子たばこ規制の最新動向 ―使用者への罰金とたばこ法改正案(2026年2月時点)
本コラムは、2024年12月3日付「2025年からのベトナム電子たばこ規制の概要」の続編として、2026年2月時点での最新状況をアップデートするものです。
2024年11月の国会決議第173/2024/QH15号により、ベトナムでは2025年から電子たばこ(ベイプを含む)および加熱式たばこについて、製造・販売・輸入・保管・輸送・使用を全面的に禁止する方針が示されました。その後、投資法、行政罰政令、そして「たばこ被害防止法」(以下「たばこ法」)の改正案が相次いで公表され、規制は「グレーゾーン」から「全面禁止・厳格取締り」へと明確にシフトしています。
以下では、前回コラムからの主なアップデートとして、
① 電子たばこ使用者そのものを直接処罰する政令第371/2025/ND-CP号の内容
② 電子たばこ・加熱式たばこ等を法律レベルで組み込むたばこ法改正案の骨子
を中心に整理します。
まず、ベトナムにおける電子たばこ規制の「土台」となる枠組みを簡単におさらいします。
2024年11月30日に採択された国会決議第173/2024/QH15号において、
「電子たばこ・加熱式たばこ・その他健康に有害なガス・成分」について、
2025年から製造・取引(販売)・輸入・保管・輸送・使用を全面禁止する方針が明記されました。
これにより、電子たばこ等はベトナム法上、いわゆる「禁止商品(hàng cấm)」として位置付けられています。
投資法の改正により、電子たばこ・加熱式たばこに関する投資・事業活動は、投資禁止分野として明示されました。
これにより、電子たばこ関連ビジネスは、ライセンス実務上も「そもそも登録・許可できない分野」という扱いになります。
電子たばこ等は、政令第98/2020/ND-CP号の規定する「国家が生産・経営・使用を禁止する商品」に該当すると解されており、
その製造・販売・輸入・輸送・保管については、
行政罰:高額の罰金、商品・違法利得の没収など(政令第98/2020/ND-CP号)
刑事罰:一定額以上の取引・組織的違反等の場合、刑法第190条「禁止商品の製造・取引罪」により懲役刑・多額の罰金
といった二重の法的リスクが存在します。
この段階で、メーカー・輸入業者・卸売・小売・物流などの事業者側が電子たばこを扱うことは、既に行政・刑事両面で極めてハイリスクな行為になっている点が重要です。
前回コラムでは、電子たばこの「使用」については、保健省が政令第117/2020/ND-CP号(医療分野の行政違反処理)改正案の中で、使用者に対する罰金(案)を検討している段階であるとご紹介しました。
その後、政府は2025年12月31日付で政令第371/2025/ND-CP号を公布し、同日から施行しました。本政令は、電子たばこ・加熱式たばこに関する行政罰規定を本格的に導入するものであり、特に「使用者本人」を直接処罰する点が従前と大きく異なります。
電子たばこ・加熱式たばこを使用した個人は、
3,000,000〜5,000,000VND(約114〜190米ドル)の罰金の対象となります。
併せて、使用に供した電子たばこ機器・カートリッジ等は没収・破棄されます。
自己の管理する場所(飲食店、ホテル、カラオケ、オフィス、商業施設等)で、電子たばこ・加熱式たばこの使用を許容・黙認した場合、
個人管理者:5,000,000〜10,000,000VNDの罰金
組織(法人等):上記の2倍の罰金
という制裁が規定されています。
これにより、従来のように「禁止商品をビジネスとして扱うとアウト」という事業者側中心の枠組みに加えて、「ベトナム国内で電子たばこを吸った人」も行政罰の対象になることが明確化されました。在留邦人や出張者・旅行者についても、「日本から少量を持ち込んで自分だけで吸うなら問題ない」という感覚は、現行制度の下では明確にリスクが高いと言わざるを得ません。
2026年1月、保健省は「たばこ被害防止法」(2012年法)改正案について、関係省庁・専門家からの意見聴取(パブリック・コンサルテーション)を開始しました。報道ベースで判明している主なポイントは以下のとおりです。
電子たばこ
加熱式たばこ
電子機器(電子たばこ・加熱式たばこ用デバイス)
加熱式たばこ用の特別加工たばこ
その他の新型たばこ製品
などの概念を、たばこ法の定義条文に新たに追加する方向です。従来のたばこ法は紙巻きたばこ中心の設計であり、電子たばこ・加熱式たばこに関する定義や禁止行為が明確ではありませんでしたが、これを実態に合わせてアップデートする狙いがあります。
改正案は、既に国会決議第173/2024/QH15号および投資法、政令第371/2025/ND-CP号等で示された方針を踏まえ、以下の行為を法律レベルの禁止行為として明記する方向です。
電子たばこ・加熱式たばこおよびその他新型たばこ製品の所持(保管)・輸送・使用の禁止
これら製品の製造用部品・機器の製造・売買の禁止
これにより、「完成品」だけでなく、組み立て用デバイスやリキッド、部品等も含めて規制対象であることが、法律上明確化される見込みです。
改正案では、紙巻きたばこを含む全てのたばこ製品について、
広告・スポンサー・販売促進・マーケティング活動の全面禁止
小売店・コンビニ・スーパー等でのたばこ製品・パッケージ・ブランドの店頭での陳列禁止(顧客から見えない形での保管)
などの措置が盛り込まれています。特にコンビニや免税店等にとっては、レジ周りやショーケースの見せ方を根本的に見直す必要が出る可能性があります。
医療機関・教育機関・子ども向け施設・高火災リスク区域に加え、
法律で特別に認められる一部のケースを除き、全ての屋内施設・公共交通機関を全面禁煙とする方向が示されています。
併せて、施設管理者・組織の責任者に対し、禁煙ルールの掲示・周知・違反者への指導等を行う法的責任をより明確に課す方向性も示されています。
たばこパッケージの主要面に占める健康警告表示の面積を、現行の50%から前面・背面それぞれ85%以上に拡大する案が提示されています。
加えて、2027年1月1日からは特別消費税法の改正により、たばこに対する絶対額課税(1箱あたりの固定額)+従価税のミックス課税が導入される予定であり、価格面からも喫煙抑制を図る方向です。
世界保健機関(WHO)の勧告に沿い、「たばこ対策政策を商業的利益から保護する」趣旨の規定を法文に盛り込む案が検討されています。
禁煙外来や相談窓口などの禁煙支援サービスの対象に、電子たばこ・加熱式たばこ使用者も明示的に含めることが提案されています。
報道によれば、この改正たばこ法は、2026年の国会で審議され、2027年1月1日施行を念頭に置いた長期的な枠組みと位置付けられています。
電子たばこ規制の流れを簡潔にまとめると、以下のようになります。
〜2024年:たばこ法は紙巻きたばこ中心で、電子たばこは定義や禁止行為が不明確。
→ 他の法令(禁止商品規制等)を通じて部分的に対応。
2024年11月:国会決議第173/2024/QH15号により、2025年からの製造・販売・輸入・保管・輸送・使用の全面禁止を政治的に宣言。
2024〜2025年:投資法改正により電子たばこ関連事業を投資禁止分野に分類。行政罰政令の改正作業が進行。
2025年12月31日:政令第371/2025/ND-CP号が公布・施行され、
電子たばこ・加熱式たばこの使用者に対する3,000,000〜5,000,000VNDの罰金+機器没収、
使用を容認した施設管理者への5,000,000〜10,000,000VND(組織は2倍)の罰金が明文化。
2026年1月以降:たばこ法改正案により、電子たばこ等の定義、所持・輸送・使用の禁止、広告・展示禁止、禁煙区域拡大、パッケージ警告85%等を法律本文に取り込むプロセスが進行中。
これらを総合すると、ベトナムは電子たばこ・加熱式たばこについて、
国会決議(基本方針)
投資法(投資禁止分野)
行政罰政令(政令第98号・第371号等)
たばこ法本体(改正案)
という四層構造で、「全面禁止・ゼロトレランス」のスタンスを固めつつあると評価できます。
電子たばこ本体、リキッド、加熱式たばこ用デバイスや部品等を扱う事業は、投資法上禁止事業であり、
同時に「禁止商品」の製造・販売・輸入・保管・輸送として、行政罰および刑事罰の対象となり得ます。
今後、たばこ法改正により部品・設備の製造・売買も法律レベルで禁止行為として位置付けられる見込みであり、「デバイスだけ」「リキッドだけ」といったモデルも含め、実務上は撤退・中止が前提と考えるべきです。
飲食店、ホテル、カラオケ、コワーキングスペース、オフィス等の管理者が電子たばこ使用を黙認した場合、政令第371/2025/ND-CP号に基づき罰金の対象となります。
就業規則、ハウスルール、利用規約、館内掲示等の中で、紙巻きたばこだけでなく電子たばこ・加熱式たばこも含めて全面禁煙とする旨を明記し、従業員・利用者に周知することが重要です。
たばこ法改正により、店頭でのたばこ製品の陳列禁止が導入されると、小売店舗のレイアウトにも影響が出る可能性があります。
2025年12月31日以降、ベトナム国内で電子たばこ・加熱式たばこを使用した場合、個人として3,000,000〜5,000,000VNDの罰金+機器没収のリスクがあります。
また、税関実務上も電子たばこは輸入禁止品として扱われており、入国時に発見された場合には没収等のリスクがあります。
実務的には、「ベトナムには電子たばこを持ち込まない・吸わない」ことを前提としたコンプライアンスが、安全なラインと考えられます。
ベトナムにおける電子たばこ・加熱式たばこ規制は、
国会決議による全面禁止方針の明確化
投資法上の禁止事業化
政令第371/2025/ND-CP号による使用者・施設管理者への罰金の導入
たばこ法改正案による定義・禁止行為・広告規制・禁煙区域・警告表示等の恒久ルール化
という形で、段階的に強化されてきました。今後、国会審議の中で細部の文言が修正される可能性はあるものの、全体としては「規制が緩む」よりも「さらに厳格になる」方向性が高いと考えられます。
日本企業としては、電子たばこ関連ビジネスへの関与を避けるとともに、自社オフィス・店舗における禁煙ルールの整備・運用、在越日本人社員や出張者・旅行者への周知を早めに徹底することが重要です。
本コラムは2026年2月時点の情報に基づいており、今後新たな法令・政令が公布された場合には、随時アップデートしていく予定です。
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2025年からのベトナム電子タバコ規制の概要
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- 2026.01.19
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【2026年3月1日施行】ベトナムAI法(134/2025/QH15)の概要と実務ポイント
この法律は、AIの研究・開発、提供、運用、利用と、それに関わる組織・個人の権利義務・国家管理を対象にしています(例:提供者、導入者、利用者などの役割を分けて規律)。政令で具体化される部分が大きいものの、AI規制の方向性は示されたといえます。
※国防・治安・暗号専用のAI活動は適用除外とされています。
AI法は、プレイヤーを明確に分けています。
典型的に日系企業で問題になるのは次の整理です。
開発者(Nhà phát triển):設計・学習・テスト・微調整などに関与し、技術手段や学習データ等を直接コントロールする組織・個人
提供者(Nhà cung cấp):自社名義で市場に出す・利用に供する組織・個人(自社開発か第三者開発かは問わない)
導入者(Bên triển khai):業務・商用としてAIを使ってサービス提供や業務運用をする組織・個人(個人の私的利用は除外)
利用者(Người sử dụng):直接操作・対話する者、出力を使う組織・個人
影響を受ける者(Người bị ảnh hưởng):AIにより権利利益等に直接・間接の影響を受ける組織・個人
AI法の中核はリスクベース規制です。
高リスク:生命、健康、組織・個人の権利および合法的利益、国家の利益、公共の利益、国家安全保障に重大な損害を与え得るもの
中リスク:相互作用の主体が人工知能システムであること、又は生成された内容であることを認識できないことにより、使用者を混乱させ、影響を与え又は操作する可能性を有する
低リスク:上記以外
提供者は利用に供する前に自己分類し、中・高リスクは分類資料(「分類ファイル」)を備える必要があります。
さらに重要なのが、中・高リスクは、利用開始前に科学技術省へ通知しなければならない点です。通知は後述の「AIワンストップポータル」を通じて行う設計です。
提供者には、以下のような透明性責任が課されます。
人がAIと直接対話する場合:利用者がAIと認識できる設計・運用
音声・画像・動画など生成物:機械可読形式での表示
公共向けにAI生成・編集コンテンツを出す場合:真実性に誤認を与え得るなら明確に通知
実在人物の外見・声の模倣・実際の出来事の再現:識別しやすいラベル付け
「重大インシデント」時の責任分担が明文化されています。
開発者・提供者:技術的措置で是正、停止・回収、当局へ通知
導入者・利用者:記録し、速やかに通知・協力
報告・処理は原則としてAIワンストップポータル経由
高リスクAIは、原則として利用に供する前(または重要変更時)に適合性評価が必要です。
指定リストに入る高リスクAIは、登録/承認された適合性評価機関による評価
それ以外は、提供者の自己評価または外部機関の評価
どのAIが「高リスク」か、さらに「認証必須」かのリストは首相が定める
高リスクAIでは、提供者側にかなり具体的な義務が置かれています。たとえば:
リスク管理措置の整備・継続的見直し
学習・検証・運用データのガバナンス
技術文書・運用ログ等の作成・更新・保存
人による監視・介入可能性
透明性義務・事故対応義務の履行
説明責任(ただしソースコードや詳細パラメータ等の開示は原則不要
導入者側にも、目的外運用の禁止、データ安全、基準遵守などが課されます。
高リスクAIをベトナムで提供する外国提供者は、原則としてベトナム国内の適法な連絡窓口を置く必要があります(第14条6項)。また、認証必須の類型なら商業拠点または授権代理人が必要、とされています。
中リスク:透明性責任に加え、当局から求められた場合の説明責任など
低リスク:違反や権利侵害の疑いがある場合などに説明責任
任意で技術標準の採用を奨励
施行:2026年3月1日
施行前から稼働しているAIは、分野により12か月・18か月の経過措置があります。医療・教育・金融は18か月、それ以外は12か月が原則です。
自社が「提供者/導入者/開発者」のどれに当たるかを案件ごとに確定
対象AIを棚卸しし、高・中・低リスク仮分類
中・高リスクは、分類資料の整備→科学技術省への事前通知が必要になる前提で準備
表示・ラベル設計を作る
高リスクは、適合性評価、インシデント体制をパッケージで整備
日本本社が提供するモデルをベトナムで高リスク提供する可能性がある場合、ベトナム国内の連絡窓口(代理人/拠点)の要否を検討
学習データ・生成物まわりは、AI法だけでなく、知財・個人情報・データ法制との整合を契約と運用に落とす
- コラム
- 2026.01.13
- CastGlobal
【2026年4月施行】知的財産法大改正まとめ~AI利用、IP資産化、オンライン執行強化~
2026年4月1日に、知的財産法の改正法(131/2025/QH15)が施行されます。
今回の改正は、立法趣旨として大きく ①IPの資産化、②手続の簡素化、③権利保護・執行の実効性向上、④AIやデジタル化など新領域へのアップデートを全面に押し出しています。
2026年3月施行のAI法の施行細則と併せて、今後AIに関する具体的規制が制定されていくことが想定されますが、詳細については今後の政令等に委ねられている部分が多いです。
本稿では、重要な改正点を分かりやすく解説します。
第6条5項(新設)で、AI等を用いて生成されたIP対象の「権利発生・確立」について、政府が詳細を定める枠組みを明記しました。
第7条5項(新設)で、適法に公表され公衆がアクセスを許された文書・データを、研究・試験・AI訓練に使用できるとしつつ、権利者の正当な権利利益に不合理に影響しないことを条件にしました。
第8a条(新設)で、IPを資産として扱う方向性を明文化しました。詳細は今後の法令に委ねられますが、民事・商取引・投資等でIPを利用できること、国として出資(現物出資)や融資担保(質入れ等)への利用を奨励 することが規定されました。
第7条4項(新設)で、同一対象に複数のIP権が成立する場合、後発の権利行使が先発権利の通常利用と矛盾するなら、後発権利の行使終了を裁判所が決定し得る枠組みを規定されました。
意匠(工業意匠)の定義で、製品の外形が「物理または非物理」の形態を含む旨を明記しています。
第119条2項の審査期間が短縮され、発明は原則18→12か月、商標・意匠・GIは9→5か月と変更されました。また、第119条2a(新設)で、一定の場合の迅速審査(3か月)を制度化(対象は発明・商標)されました。
以下のように、執行が強化されました。
・裁判所が削除・非表示・アクセス無効化等を命じ得る類型を追加。
・立証困難時の裁量賠償の上限を5億→10億VNDに。精神損害は基礎賃金×10〜100倍方式へ。
・仮処分としてもアクセスの一時無効化を追加。
第198b条でプラットフォーム管理者の保護義務を明文化されました。また、第198b条の見出し自体を改め、仲介サービス企業+プラットフォーム管理者の責任として整理されました。
項目
条文(旧)
条文(新)
改正の要点
意匠(工業意匠)
第4条13項:形状・線・色彩等の外観
第4条13項:物理/非物理の外形を含む
非物理的意匠を明確に包含。
AI生成物の扱い
第6条:権利発生根拠(一般規定)
第6条5項新設:AI等が生成した成果については政府が規定する
AI生成物の帰属・保護の射程を今後詳細に規定する旨を明確化。
IPの衝突
規定なし
第7条4項新設:一つの対象に対し複数の知的財産権が発生し又は確立される場合、後に発生した又は後に確立された知的財産権の行使の終了が強制される
同一対象に複数のIP権が絡む場合の衝突処理の考え方を整備
AI学習
規定なし
第7条5項新設:適法に公表され、かつ公衆がアクセスを許される知的財産権の対象に関する文書及びデータを、AIの訓練に使用できる(著作者、知的財産権者の正当な権利及び利益に不合理な影響を与えないことが条件)。
AI学習の条件を規定
IPの資産利用
規定なし
第8a条新設:知的財産権を用いて、民事取引、商取引、投資その他の活動を行うことができること、国家は知的財産権を出資に用い、または融資のための担保(抵当)として用いることを奨励することを規定。
IPの資産化を示唆
項目
条文(旧)
条文(新)
改正の要点
保護対象外
第15条:保護対象外列挙
第15条4項追加:「アイデア/スローガン/単独の作品名」
スローガンや単独の作品名は原則保護外であることを明確化。
コンピュータプログラムの保護
第22条1項で規定
第22条1項改正:オンラインプラットフォーム上の利用形態等を明確化
ローカル複製だけでなく、オンライン環境での利用を意識した整備。
項目
条文(旧)
条文(新)
改正の要点
審査
第119条2項:審査期間
a)発明について:実体審査請求が出願公表日前に提出された場合は公表日から18か月以内、又は請求が公表後に提出された場合は請求受理日から18か月以内;
b)商標、工業意匠及び地理的表示について:出願公表日から9か月以内。
第119条2項改正:審査期間
a)発明について:実体審査請求が出願公表日前に提出された場合は公表日から12か月以内、又は請求が公表後に提出された場合は請求受理日から12か月以内;
b)商標、工業意匠及び地理的表示について:出願公表日から5か月以内。
第119条2a新設:3か月以内の迅速審査の制度化
審査の迅速化
項目
条文(旧)
条文(新)
改正の要点
仲介サービス企業の責任(対象拡張)
第198b条:仲介サービス提供企業と規定
第198b条:プラットフォーム管理者に権利保護義務を追加
いわゆるプラットフォーム側の権利保護義務を明文化。
民事救済
第202条:民事救済は1~5類型
第202条に6・7項追加:偽造品や海賊版等の廃棄命令、アクセスの遮断
裁判所がオンライン侵害のアクセス無効化等を命じ得る形へ拡張。
法定損害賠償(上限引上げ)
第205条1項d:上限5億VND
第205条1項d:上限10億VND
立証困難時の裁量賠償の上限が倍増。
精神損害(算定方式変更)
第205条2項:500万~5000万VND
第205条2項:基礎賃金の10~100倍
金額固定から指数化へ(将来の賃金制度変更にも対応)。
仮処分
第207条:仮処分は差押等中心
第207条1項に「アクセス遮断」追加
訴訟前後の暫定措置として、オンライン侵害に即応可能。
- お知らせ
- 2026.01.09
- CastGlobal
【香川・高松開催】ベトナムビジネス成長戦略:投資環境と人材活用(参加無料)
百十四銀行との共催で香川・高松開催のセミナーを行います。オフラインのみの参加ですが、お近くの方はぜひご参加いただければ幸いです。
日時:2026年1月21日(水)14:30~16:00(開場 14:00)
会場:情報通信交流館 e-とぴあ・かがわ
高松シンボルタワー タワー棟5階 BBスクエア(4階より入場)
(香川県高松市サンポート2番1号)
定員:対面30名(先着)
申込期限:2026年1月16日(金)
参加費:無料
お申込み(公式ページ)
https://www.114bank.co.jp/support/event/vietnambusiness.html
申込ページへ
時間
内容
14:30~14:35
開会・ご挨拶(百十四銀行)
14:35~15:15
第1部:ベトナムの最新投資環境と日系企業の進出状況
~党大会を控えてダイナミックに変化するベトナム~
CastGlobal Law Vietnam 代表 工藤 拓人
15:15~15:45
第2部:日本におけるベトナム人材の採用と定着
森興産株式会社 代表取締役 森 隼人 氏
15:45~16:00
質疑応答
16:00~
会場にて名刺交換
工藤 拓人(CastGlobal Law Vietnam Co., Ltd. 代表/日本国弁護士・ベトナム外国弁護士)
森 隼人(森興産株式会社 代表取締役)
会場には無料駐車場はございません。公共交通機関をご利用ください。
お車の場合は、近隣の有料駐車場をご利用ください。
〒760-8574 高松市亀井町5-1
百十四銀行 コンサルティング部 海外進出支援チーム(川染・ブィー)
TEL:087-836-2913(受付時間:平日9:00~17:30)
- コラム
- 2026.01.08
- CastGlobal
【2026年1月1日施行】VAT法改正の概要と企業への影響
2025年12月11日、ベトナム国会(第15期第10会期)において「付加価値税法の一部改正法(法律番号149/2025/QH15)」が可決されました。この改正法は2026年1月1日施行と定められており、付加価値税(VAT)制度に関する重要な変更をもたらします。改正内容は農業分野を中心にVATの課税範囲や税率、還付要件等の見直しを含み、幅広い業種・企業に影響を与えるものです。以下では、本改正の背景と主な内容、実務上の影響について、法令や報道に基づき専門的に解説します。
2024年11月に成立した新しい付加価値税法(48/2024/QH15)は、運用開始後に農業製品や飼料分野、税還付手続における問題点が各業界団体や企業から指摘されました。そして、制度上の障害を早急に解消する必要性から、本改正法は異例の速さで緊急立法されました。法案審議においては、短期間での法改正に慎重意見もありましたが、企業の要望を踏まえ早期に法律を改正することで障害除去を図る方針が採られました。
今回の付加価値税法改正法(2025年法149号)では、VAT制度の三つの主要分野について見直しが行われています。それぞれVAT還付要件の緩和、農業関連の非課税・税率調整、小規模事業者に対する課税売上高基準の引上げです。以下に主な改正ポイントを整理します。
VAT還付条件の緩和
仕入税額の還付要件から「売り手による納税済みであること」という条件が撤廃されました。従来は購入者がVAT還付を受けるためには、取引の売り手が当該取引分のVATを申告・納税済みであることが条件とされており、売り手側の不正や未納によって買い手側の還付申請が滞るリスクがありました。改正法によりこの買い手側には責任外の条件が削除され、売り手と買い手の責任範囲を明確に分離する形となります。これにより税還付手続の迅速化と企業の資金繰り改善が期待されます。
未加工農産品の流通取引における非課税措置の復活
企業間で取引される未加工の農林水産品について、VATの課税・申告義務を免除する規定が復活しました。具体的には、生産農家や漁師等から直接仕入れた未加工(または通常の一次加工のみ)の農作物・水産物等を、企業・協同組合などが他の企業・協同組合へ販売する場合、出荷段階でのVATを申告・納税する必要がなくなるものです。この規定は2014年から施行されていた優遇措置の復活であり、2024年新法で一旦削除されていたものが今回の改正で元に戻りました。
小規模事業者に対する課税売上高基準の引上げ
VATの免税点となる年間売上高基準が大幅に引き上げられました。改正法では「年間売上高5億ドン以下の個人事業者・世帯業者の提供する財・サービスはVATの課税対象としない」と規定されています。従来、ベトナムのVAT制度における小規模事業者の課税最低売上高は年間2億ドンであり、今回引き上げが決定したものです。これにより零細な個人商店や家内業者など多数の事業者がVAT申告・納税義務から解放される見通しです。
上記を含む、改正ポイントのまとめは以下の通りです。
改正項目
改正前の規定(48/2024/QH15, それを改正する90/2025/QH15)
改正後の規定(149/2025/QH15)
VAT還付要件
購入者がVAT還付を受けるには、売り手が当該取引のVATを申告・納税済みであることが必要(旧法第15条第9項(c))
売り手の納税状況にかかわらず購入者は還付申請可能。新法第1条第3項により左記条件(旧法第15条第9項(c))が削除
未加工農産品の企業間取引
生産者以外の事業者が販売する未加工農産品は課税対象(旧法第5条第1項)
企業・協同組合間での未加工農産品販売はVATの申告・納税不要(非課税扱い)。仕入VATは引き続き控除可能(新法第1条第1項(a)にて旧法第5条第1項を修正)
副産物・廃棄物の税率
旧法では規定が明確でなく、未加工(または一次加工のみ)の農林畜水産物が飼料・薬用原料として使われる場合の扱いと、廃品等を回収して再利用・再生して売る場合の税率に分けて記載されていた(旧法第9条第5項)
各生産過程において回収される廃品、副産物、スクラップには、当該廃品、副産物、スクラップの品目の税率水準を適用する、と一本化(新法第1条第2項にて旧法第9条第5項を修正)
小規模事業者の売上免税基準
年間2億VND以下は免税(旧法第5条第25項)
年間5億ドン以下は免税に拡大(旧法第5条第25項が改正され、免税基準が引上げ) ※2026年より適用
定額課税方式
会計・請求書・証憑制度を十分に行わない世帯・個人が推計(定額)方式でVATを納める旨の規定(旧法第12条第3項)
定額方式の削除(新法第1条第3項にて旧法第12条第3項を削除)
本改正法は2026年1月1日から施行され、同日以降発生する取引に適用されます。施行日までに関連政省令・通達が公布される見通しですので、企業担当者は最新の省令・通達にも留意して実務対応する必要があります。また、税務当局の監督手法にも変更が加わる可能性があります。関連する法令動向も含め、包括的にフォローすることが望ましいでしょう。
2025年付加価値税法改正(149/2025/QH15)は、VAT制度の重要な論点について迅速に対応した改正であり、企業にとって好影響をもたらす内容となっています。特に、VAT還付の円滑化や小規模事業者の事務負担緩和といった措置は、ポ有益な環境整備といえます。一方で、施行初期には具体的運用に関する疑問点も生じ得るため、政府から発出される細則やガイダンスを注視し、適切に社内ルールやシステムをアップデートすることが必要です。現地の専門家に相談しながら、確実なコンプライアンス体制を構築することが肝要です。



