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【ベトナム労務】外国人労働者の強制社会保険料の引き上げについて

コラム
2022.02.16
CastGlobal

【ベトナム労務】外国人労働者の強制社会保険料の引き上げについて

ベトナムで就労する外国人労働者に対する強制社会保険に関する政令143/2018/ND-CP号(2018年12月1日施行。以下、「政令143号」といいます)に基づき、2022年1月から外国人労働者に対する強制社会保険料(ベトナム語:bảo hiểm xã hội bắt buộc)が引き上げられています。そこで今回は、外国人労働者の強制社会保険料について整理したいと思います。 なお、以下法令の日本語での記載は、分かりやすさの観点から一部意訳または要約して記載しているものもありますので、ご了承ください。 1)法令上、強制社会保険の対象となる外国人労働者は以下のように定められています。 「ベトナムの管轄機関によって発給される労働許可証、実務証明書または実務公認書を持ち、ベトナムにおける使用者と無期限労働契約、満1年以上の有期限労働契約を締結する、ベトナムで就労する外国人労働者が強制社会保険の加入対象となる」(政令143号第2条第1項)。 2)ただし、同条の第2項は例外として、「本条1項で定める労働者で以下に該当する場合、本政令で定める強制社会保険の加入対象外となる」とされています。 つまり、以下のa.またはb.に該当する外国人労働者は、強制社会保険に加入しなくてもよいということになります。 a. 労働法のベトナムで就労する外国人労働者関連条項の施行細則を定めた2016年2月3日付政令11/2016/ND-CP号(以下、「政令11号」といいます)第3条第1項で定める企業内人事異動者 ※1 ただし、執筆時点で政令11号は効力を失っており、企業内人事異動者は下記のとおり、2020年12月30日付政令152/2020/ND-CP号(以下、「政令152号」といいます)第3条第1項に定義が定められています。 b. 労働法第187条1項で定める定年に達した労働者 ※2 執筆時点で男性は60歳6か月、女性は55歳8か月が定年となっています。今後毎年男性は3か月、女性は4か月ずつ定年が引き上げられていく予定です。 3)定年に達しているかどうかはすぐに分かりますが、『企業内人事異動の外国人労働者』とは何でしょうか。 政令152号第3条第1項によれば、 1. 企業内人事異動の外国人労働者とは、ベトナム現地拠点を設立した外国企業の管理者、代表取締役社長、専門家、技術的な労働者として当該企業に12ヶ月以上前に採用され、 2. ベトナム現地商業拠点に一時的に異動する者をいう とされています。 現状、上記の定義に該当するかどうかについて、特定の書類を所持したり、手続きを完了していること等を求める法令上の明文規定はありません。 しかし、実務上、企業内異動かどうかについて社会保険局は判断せず、労働機関の判断に委ねている場合が多いです。そのため、労働許可証に企業内異動であることを示す記載があれば一つの目安になると考えられます(実務上、労働許可証の申請手続きにおいて、企業側が「企業内異動」として申請するケースが多いと考えられます)。なお、近年の労働許可証の申請フォームが更新される前に取得された労働許可証については、労働許可証自体ではなく、労働許可証の申請書を確認する必要があります。 1)2022年1月1日以降、外国人労働者は退職・遺族年金への加入が義務付けられることになり、会社負担が14%、外国人労働者負担が8%となります。変更前後の保険料の変更は以下のとおりです。 使用者負担 労働者負担  計 社会保険 失業 保険 (※4) 医療 保険 社会保険 失業 保険 医療 保険 退職・ 遺族年金 育休・傷病 労災・職業病(※3) 退職・ 遺族年金 育休・傷病 労災・職業病 ~2021年 12月31日  ー 3% 0.5% ー 3% ー ー ー ー 1.5% 8% 2022年 1月1日~ 14% 3% 0.5% ー 3% 8% ー ー ー 1.5% 30% 2)社会保険料の算出に用いられる給与は、ベトナム公務員の最低賃金の20倍が上限の金額です。本稿執筆時点の公務員の最低賃金は149万VND(1月あたり)です(2019年5月9日付け政令38/2019/NĐ-CP号第3条第2項)。そのため、現状においてはその20倍である2980万VNDを上限として社会保険料が計算されることになります。 ※3 コロナの影響により労災・職業病についての使用者負担分が2021年7月から2022年6月まで免除されています(決定68/NQ-CP号)。 ※4 外国人には失業保険は適用されません。なお、ベトナム人の失業保険については、会社負担の失業保険料について、給与の1%が2022年9月末まで免除されています(決定116/NQ-CP号)。 1)政令143号第9条第6項đ号により、労働契約が終了または労働許可証(若しくは代替する特別な業種(例:弁護士)の許可証)が失効したにもかかわらず、それが延長されない場合、納付した社会保険料が返金されると規定されています。 2)返金の額については、社会保険法第60条第2項に従うと規定されています(政令143号第9条第7項)。 社会保険法第60条第2項によれば、返還金は社会保険の納付期間及び社会保険料算出基礎となる月給の平均に基づいて計算されます。計算方法については、同条項をご確認ください。 もっとも、外国人の強制社会保険の加入が義務付けられたのが、2018年12月からであり、当該事例の絶対的母数が少ないことから、未だ外国人で実際に社会保険料の返金を受けた例は確認できていません。

【ベトナム税務】付加価値税(VAT)10%から8%の軽減について(2022年2月1日〜12月31日)

コラム
2022.02.08
CastGlobal

【ベトナム税務】付加価値税(VAT)10%から8%の軽減について(2022年2月1日〜12月31日)

政府は、以下の業種を除き、付加価値税を10%から8%に軽減させることを決定しました(15/2022 /ND-CP)。 これは、経済・社会の回復と発展のためのプログラムを支援する財政および金融政策に関する国会の法令第43/2022 / QH15に基づく税の免税および減税政策に関する規定となっています。 対象期間は2022年2月1日から2022年12月31日です。1月28日に発表され、その数日後から開始という慌ただしいものとなっています。 大きな分野としては以下が8%への軽減対象「外」とされており、詳細は別表Ⅰ−Ⅲに記載されています。 対象外となっている業種は、通常通り10%のVAT課税となります。 電気通信、情報技術 金融(銀行、証券、保険) 不動産取引 金属及びプレハブ金属製品 鉱業(石炭鉱業を除く)、コークスの生産、石油精製、化学物質や化学製品の生産 特別消費税の対象となる商品およびサービス 自社事業が対象外に該当するかどうか、御確認ください。 *政令の原文・別表はこちら(ベトナム語のみ) https://thuvienphapluat.vn/van-ban/Thuong-mai/Nghi-dinh-15-2022-ND-CP-mien-giam-thue-theo-Nghi-quyet-43-2022-QH15-chinh-sach-tai-khoa-501143.aspx

ベトナム事務所ホームページの開設のお知らせ

お知らせ
2022.01.27
CastGlobal

ベトナム事務所ホームページの開設のお知らせ

この度、弊社のウェブサイトを新設いたしましたのでお知らせします。 本サイトでは、ベトナムビジネスに関わられる皆様にとって、 より情報が探しやすいよう構成やデザインをいたしました。 これからも皆様のビジネスにお役に立てるよう、 ベトナムの法務や労務に関するコラムや資料なども追加し内容の充実に努めて参ります。 お時間があれば、下記ご確認いただければ幸いです。 —————————————————————————— トップ: https://cast-vietnam.com/ サービス紹介: https://cast-vietnam.com/services/ コラム: https://cast-vietnam.com/news-cat/column/ 資料: https://cast-vietnam.com/resources/ —————————————————————————— ベトナムビジネスに関することであれば、お気軽にご相談くださいませ。 ベトナムはまもなくテト休暇ですが、よい休暇をお過ごしください。 弊社においても1/29(土) – 2/6(日)はお休みをいただきます。

CastGlobalのメールアドレス変更のお願い

お知らせ
2021.12.10
CastGlobal

CastGlobalのメールアドレス変更のお願い

キャストグローバルのグループ名称変更に伴い、2021年末をもって、弊所のメールアドレスが@cast-law.comから@castglobal-law.comに統一されることになりました。 各スタッフのメールアドレスの@以降のみ変更となり、今後こちらの新しいメールアドレスでやりとりさせていただきます。 これに伴い、infoメールも以下に変更となります。 お問い合わせの場合、クイック相談か、下記のメールアドレスにお願い致します。 (旧)info-v@cast-law.com (新)info-v@castglobal-law.com 何卒よろしくお願い致します。

弊所弁護士が京都弁護士会向けのベトナムセミナーを行いました。

お知らせ
2021.12.02
CastGlobal

弊所弁護士が京都弁護士会向けのベトナムセミナーを行いました。

2021年12月2日(木)に、弊所代表弁護士の工藤が、京都弁護士会の弁護士の方々向けにベトナム法務に関するセミナーを行いました。 弁護士向けのベトナムセミナーは弊所としても初めてでしたが、日本のいろいろな事務所の弁護士の方と協力して案件対応を行うことが増えてきています。 日本企業のコンプライアンスにとってベトナム企業との取引やベトナム子会社の管理の重要性も増しており、今後もこのような機会があれば積極的に情報発信していきたいと思います。 京都弁護士会の方は、近々オンラインの研修ページにもUPされますので、ご興味があればご覧ください。

Break Field Vietnam Co., Ltd.

導入事例
2021.11.23

Break Field Vietnam Co., Ltd.

自社サイトFinancial Fieldを通じて保険を販売する保険販売代理店です。
大手保険会社とのシステム連携による申込から電子契約書発行を約5分で完了する仕組みや、サイト集客に広告AIや、AIコールボットを活用するなど最新テクノロジーによる保険販売が特徴です。

NICCA VIETNAM CO., LTD.

導入事例
2021.11.23

NICCA VIETNAM CO., LTD.

繊維加工薬剤の製造及び販売

TAGGER CO., LTD.

導入事例
2021.11.23

TAGGER CO., LTD.

日本のアニメキャラクターの、出版権、商品化権、映画配給権、映像配信権、テレビ放映権等の管理と運用。現在は日本のキャラクターの『ドラえもん』、『ワンピース』、『ドラゴンボール』、『名探偵コナン』、『クレヨンしんちゃん』、『Dr.スランプ(アラレちゃん)』『THE FIRST SLUM DANK』、サンリオの各種キャラクターなどを扱う。

Cloud CIRCUS, Inc.

導入事例
2021.11.22

Cloud CIRCUS, Inc.

ベトナムにてデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」の販売と
マーケティングコンサルティング業務をご提供しております。
Cloud CIRCUSは全10個のツール郡から構成されていて、
そのうちの1つの「BowNow」というプロダクトの導入から
活用フェーズまでコンサルティングを行い、
現地企業の攻めのDXをサポートしています。

【ベトナム労務】Covid-19の影響を受けた労働者・使用者向けの支援に関する決議116/NQ-CP|失業保険料の一時引き下げなど

コラム
2021.10.06
CastGlobal

【ベトナム労務】Covid-19の影響を受けた労働者・使用者向けの支援に関する決議116/NQ-CP|失業保険料の一時引き下げなど

ベトナムでCovid-19の影響を受けた労働者・使用者向けの支援に関する決議116/NQ-CPについて、オンラインで申請が可能になっておりますので、各社ご確認ください。 180万VND-330万VND/個人(失業保険の加入期間に応じて金額が決まる)が、失業保険に入っている労働者への支援金として支払われることになっております。 2021年9月30日時点で失業保険に加入されている労働者か、失業保険に加入しており2021年から9月30日までに失業した方を対象とします(年金対象者を除く)。弊社には1区の社会保険局からメールでも詳細案内がありました。各地域ごと運用されているため、管轄の当局にご確認ください。 https://thuvienphapluat.vn/van-ban/Bao-hiem/Nghi-quyet-116-NQ-CP-2021-chinh-sach-ho-tro-nguoi-lao-dong-bi-anh-huong-boi-dai-dich-COVID19-489120.aspx 以下の赤字部分の会社負担の失業保険料について、給与の1%の負担が2022年9月末まで免除されています。 使用者 労働者 社会保険 失業保険 医療保険 社会保険 失業保険 医療保険 退職、 遺族年金 育休・傷病 労働災害 職業病 退職、 遺族年金 育休・傷病 失業保険 職業病 14% 3% 0% o% 3% 8% – – 1% 1.5% 20% 10.5% 合計: 30.5% ※青字の労働災害・職業病に関する社会保険は、別途Covid-19による影響への経済対策として、2022年6月30日まで社会保険料に含まれる労災・職業病保険料について企業負担分が0%(これまでは0.5%)になっています。 【ベトナム労務】2021年7月1日付け68/NQ-CP(COVID-19による困難に直面している従業員と雇用者を支援するためのいくつかの方針についての決定(68/NQ-CP)):社会保険料の減額など